JP5561927B2 - トナー及びトナーの製造方法 - Google Patents

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本発明は、電子写真法又はトナージェット法に用いられるトナー及びトナーの製造方法に関するものである。
電子写真法は、高画質化、装置の小型軽量化、高速化、省エネルギー化の如き様々の要請を受けており、そのためにはトナーの定着性能を改善することが必須である。特に、トナーをより低い温度で転写材に定着できる性能(以下、低温定着性能と称する)の向上が求められている。
しかし、トナーの低温定着性能を向上させた場合、長期保管中にトナーの凝集を抑制する性能(以下、耐ブロッキング性能と称する)や、多量の連続プリントや複写の際に、画像不良の発生を抑制する性能(以下、耐久安定性能と称する)が低下しやすくなる。
定着工程においては、転写材上のトナーが定着部材に付着した後、該トナーが再度転写材に移行することによって転写材を汚す現象であるオフセットを抑制する性能(以下、耐オフセット性能と称する)が低下しやすくなる。画像を形成した後においては、印刷物を重ねて保管する際に、一枚下の印刷物のトナーが、上の印刷物の裏面に付着して汚染することを抑制する性能(以下、画像保存性能と称する)が低下しやすくなる。
さらに、高光沢の画像を形成することによって、画像の発色性を向上させる性能(以下、グロス性能と称する)や、画像の光沢にムラが生じることを抑制する性能(以下、耐しみ込み性能と称する)が低下しやすくなる。
このため、これら上記の性能を同時に満たすトナーが待望されている。
特許文献1は、ガラス転移点(Tg)が低いトナー粒子の表面を、該トナー粒子よりもTgが高い樹脂微粒子で被覆することにより、トナーの低温定着性能と耐ブロッキング性能とを両立しようとするものである。特許文献2は、結着樹脂、着色剤、ワックスを有するコア粒子を、シード重合法により形成したシェル層で被覆することにより、トナーの低温定着性能と耐ブロッキング性能と、耐久安定性能との両立を目指している。
特許文献3は、ビニル系樹脂を有するトナーにおいて、極性樹脂を含有せしめることで、トナーの低温定着性能と、耐ブロッキング性能と、耐久安定性能との向上を目指している。
特開2004−226572号公報 特開2007−171272号公報 特開2007−322499号公報
しかし、上記文献のトナーよりも更に低温定着性能が向上しているトナーが待望されている。
本発明の目的は、前述の如き課題を解決し得るトナー及び該トナーを製造する製造方法を提供することにある。
即ち、本発明の目的は、ワックスを含有するトナーにおいて、低温定着性能を向上させた場合においても良好な耐ブロッキング性能及び耐久安定性能を有し、高品位画像の形成を可能とするトナーを提供するものである。
本発明は、結着樹脂、着色剤及びワックスを含有するコア粒子、並びに、該コア粒子を被覆しているシェルを有するトナー粒子と、該トナー粒子の表面に付着している無機微粒子と、を有するトナーであって、
該シェルは、該シェル用の樹脂を
体積平均粒子径(D3s)が5〜500nm、かつ、
体積分布の10%粒子径(D3s10)と該D3sとの比(D3s/D3s10)が1.0〜10.0
の微粒子に成形した後、該微粒子を該コア粒子に被覆させることで形成されており、
該シェル用の樹脂は、スルホン酸基を0.78〜2.11質量%含有し、
該トナーは、
(i)示差走査熱量計(DSC)によるガラス転移点(Tg1)が25.0〜60.0℃であり、
(ii)温度23.0℃及び湿度60%RHにおける凝集度をA0としたとき、該A0が70.0%以下であり、
(iii)該トナーを72時間静置した後のトナーの凝集度がA0+10.0%になる温度をT1(℃)とし、該トナーを72時間静置した後のトナーの凝集度が98.0%になる温度をT2(℃)としたとき、
T1(℃)とTg1(℃)との差(T1−Tg1)が5.0〜40.0℃であり、
T1(℃)とT2(℃)との間での凝集度の変化率α
α={98.0−(A0+10.0)}/(T2−T1)
が15.0〜50.0である、
ことを特徴とするトナーに関する。
更に、本発明は、上記構成のトナーの製造方法であって、
該製造方法は、
スルホン酸基を0.78〜2.11質量%含有するシェル用の樹脂が微粒子の状態で水中に分散したシェル用の樹脂の微粒子の分散液(1)を調製する工程と、
結着樹脂、着色剤及びワックスを含有するコア粒子と、分散安定剤と、水とを有し、該コア粒子の表面に該分散安定剤が吸着して水中に分散した状態を形成しているコア粒子の分散液(2)を調製する工程と、
該分散液(2)に該分散液(1)を添加して複合体の分散液を調製し、該コア粒子の表面に、該分散安定剤を媒介として、該シェル用の樹脂の微粒子が該コア粒子の表面に吸着して被覆している状態を形成する被覆処理工程と、
該複合体の分散液を加熱し、該媒介として存在する該分散安定剤を媒介状態から解放し、該コア粒子と該シェル用の樹脂の微粒子とを直接に接触させ、該コア粒子を被覆しているシェル用の樹脂の微粒子を該コア粒子の表面に固定化してトナー粒子を形成する固定処理工程と、
該トナー粒子を回収して乾燥させて、粉体のトナー粒子を得る乾燥工程と、
該トナー粒子と無機微粒子とを混合してトナーを得る混合工程と
を有し、
該シェル用の樹脂の微粒子の体積平均粒子径(D3s)が5〜500nmであり、かつ、体積分布の10%粒子径(D3s10)と該D3sとの比(D3s/D3s10)が1.0〜10.0である
ことを特徴とするトナーの製造方法に関する。
本発明によれば、結着樹脂と着色剤とワックスを含有するコア粒子と、該コア粒子を被覆するシェル用樹脂とを有するトナー粒子と、該トナー粒子の表面に付着する無機微粒子とを少なくとも有するトナーにおいて、低温定着性能を向上させた場合においても良好な耐ブロッキング性能及び耐久安定性能を有し、高品位画像を形成することができる。
コア粒子と該コア粒子を被覆するシェル用樹脂とを有するトナー粒子と、該トナー粒子の表面に付着する無機微粒子とを有するトナーにおいて、該トナーの低温定着性能を向上し、耐ブロッキング性能が低下することを抑制するためには、該トナーが有するガラス転移点(Tg1)を越える一定の温度領域において、トナーが熱を長時間受けた場合でも、トナーの凝集度の変化が抑制できる物性を有することが重要であることを見いだした。さらに一旦トナーの凝集度の変化が開始する条件となった以降は、急激に凝集度の変化が進行する物性を有するトナーとすることで、トナーの低温定着性能と、耐ブロッキング性能及び耐久安定性能の両立が達成できることを見いだした。
本発明におけるトナーの凝集度の測定方法については以下に示す。
トナーの真密度をρ(g/cm3)としたとき、(2.0×ρ)gのトナーを秤量し、容量50mlのポリ容器(高さ76mm、底面積1134mm2(外径38mm)ポリエチレン製円柱状容器、例えば、広口ポリ瓶50ml;(株)サンプラテック社製を用いることができる)に入れる。このとき、ポリ容器内でトナー層がほぼ水平になるようにする。これをポリ容器入りトナーと称する。
温度30.0乃至120.0℃の範囲について、温度10.0℃刻みで温度を変化させた恒温槽に、上記ポリ容器入りトナーをそれぞれ入れて72時間静置する。各恒温槽からポリ容器を静かに取り出し、温度23.0℃,湿度60%RH環境下において24時間静置して冷却する。次いで、縦30cm、横30cm、厚さ1cmの鉄板を床に設置し、高さ1mの位置でポリ容器を垂直に保った状態から鉄板へと自然落下させる。この様にして処理されたトナーを用いて、後述の方法により、各温度における凝集度a(%)を求める。
また、上記とは別に、前記と同様のポリ容器入りトナーを、温度23.0℃,湿度60%RH環境下において96時間(72時間+24時間)静置する。以後は同様にして、高さ1mの位置でポリ容器を垂直に保った状態から鉄板へと自然落下させる。このトナーを用いて、後述の方法により、温度23.0℃,湿度60%RH環境下における凝集度A0(%)を求める。
上記により測定した各温度における凝集度a(%)において、該凝集度a(%)が100.0%になる最も低い温度t(℃)を求める。
この結果から、更に詳細なデータを求めるため、温度30.0乃至t℃の範囲について、恒温槽中の雰囲気温度を温度2.0℃刻みで変化させた恒温槽を用意し、前記と同様のポリ容器入りトナーを各恒温槽に入れて72時間静置する。以後は同様にして、ポリ容器を静かに取り出し、温度23.0℃,湿度60%RH環境下において24時間静置して冷却する。次いで、高さ1mの位置でポリ容器を垂直に保った状態から鉄板へと自然落下させる。このトナーを用いて、後述の方法により、各温度における凝集度A(%)を求める。
この方法によって得られた値から、x軸に各恒温槽中の雰囲気温度T(℃)、y軸にそのときの上記凝集度の値A(%)をプロットしたT(℃)(x軸)−A(%)(y軸)のグラフを作成する。このグラフより、本発明で規定する各物性値を読みとる。
即ち、上記グラフのy軸において(A0+10.0)%の点を求め、それに対応するx軸の値をT1(℃)とする。また、上記グラフのy軸において98.0%の点を求め、それに対応するx軸の値をT2(℃)とする。実施例1で作成したトナーを用いて、上述の測定を行った結果を図1に示す。
凝集度の測定装置としては、例えば、「パウダーテスター」(ホソカワミクロン社製)の振動台側面部分に、デジタル表示式振動計「デジバイブロ MODEL 1332A」(昭和測器社製)を接続したものを用いる。下から順に、目開き38μm(400メッシュ)の篩、目開き75μm(200メッシュ)の篩、目開き150μm(100メッシュ)の篩を重ね、これを上記装置の振動台にセットする。測定は、温度23.0℃,湿度60%RH環境下で、以下の様にして行う。
(1)デジタル表示式振動計の変位の値を0.60mm(peak−to−peak)になるように振動台の振動幅を予め調整する。
(2)前述の方法によって調整したトナーを、最上段の目開き150μmの篩上に静かにのせ、そのトナーの質量を測定する。
(3)振動台を90秒間振動させた後、各篩上に残ったトナーの質量を測定し、下式にもとづいて凝集度A(%)を算出する。
凝集度(%)={(目開き150μmの篩上の試料質量(g))/5(g)}×100
+{(目開き75μmの篩上の試料質量(g))/5(g)}×100×0.6
+{(目開き38μmの篩上の試料質量(g))/5(g)}×100×0.2
一般的なトナーについて上記の物性測定を行うと、DSCによるトナーのTgをTg1(℃)としたとき、該Tg1(℃)と前記T1(℃)との差(T1−Tg1)(℃)は−20℃〜−5℃といった負の値になりやすい。また、前記変化率αは10.0以下になりやすい。この場合、トナーの低温定着性能の向上を目指した場合には十分な耐ブロッキング性能が得られない。
本発明のトナーは、コア粒子と、該コア粒子を被覆するシェル用樹脂とを有するトナー粒子とを有するトナーにおいて、前記(T1−Tg1)(℃)が5.0乃至40.0℃であり、前記αが15.0乃至50.0である。該(T1−Tg1)(℃)が正の値であり、且つ、5.0℃以上であることは、コア粒子のTgよりも高いTgを有するシェル用樹脂をトナーが有すること、及び、コア粒子とシェル用樹脂とが本発明の物性測定で検出可能な程度に非相溶の状態で存在していることを示す。また、αが15.0以上であることは、シェル用樹脂による被覆層の厚みが十分に薄いこと、該シェル用樹脂の被覆層の厚みがトナー粒子表面の全体に渡って均一であること、及び、そのような被覆層の均一性が、トナー一粒一粒について比較した場合においても、トナー全体に渡って均一であることを示す。即ち、上記の物性値は、コア粒子を被覆するシェル用樹脂の被覆層の厚みについて、ミクロな均一性とマクロな均一性を併せた物性値と考えられる。
例えば、コア粒子と、該コア粒子を被覆するシェル用樹脂とを有するトナーにおいて、コア粒子の表面にシェル用樹脂で被覆されていない部分がある場合、或いは、シェル用樹脂による被覆層の厚みが不均一である場合、前記T1(℃)は小さい値になりやすい。シェル用樹脂で被覆されていない部分や被覆層の膜厚が特に薄い部分はトナー同士が凝集や融着を発生しやすいため、低温でも凝集度が変化しやすいためと考えられる。T1(℃)が小さい値になるため、前記αも小さい値になりやすい。一方、トナーが有するシェル用樹脂の含有量を多くすると、前記T2(℃)が大きくなりやすく、前記αはさらに小さくなりやすい。このような場合、トナーの低温定着性能、グロス性能が低下する。また、シェル用樹脂がコア粒子から剥がれやすくなるため、トナーの耐久安定性能が低下しやすい。
一方、シェル用樹脂による被覆層の厚みが十分に薄い場合には、コア粒子と同等の熱溶融特性をトナーが発現することが可能になる。これによりトナーの低温定着性能、グロス性能が向上する。また、被覆層の厚みが薄いことで被覆層に柔軟性が発現し、被覆層が割れにくくなる。さらに、トナー粒子の表面全体に渡って被覆層の厚みが均一であることにより、トナーが受ける機械的又は熱的ストレスが被覆層の全体に分散されるようになり、被覆層が割れにくくなる。これによりトナーの耐ブロッキング性能、耐久安定性能が良好に発現される。
また、前記(T1−Tg1)(℃)が40.0℃以下であること、及び、前記αが50.0以下であることは、シェル用樹脂が熱力学的に十分な軟らかいことを示す。これにより、トナーの耐ブロッキング性能を良好に保持しつつ、トナーの低温定着性能、グロス性能、耐久安定性能を向上することができる。シェル用樹脂の柔らかさが不十分であると、前記T1が大きい値になりやすいため、前記(T1−Tg1)(℃)及び前記αは大きくなりやすい。この場合、トナーの低温定着性能、及び、グロス性能が低下しやすい。また、熱力学的に硬い樹脂は脆く割れやすい上に、コア粒子とシェル用樹脂の熱力学的な柔らかさに差が大きくなると、被覆層が割れやすくなる。トナーが受けるストレスが、シェル用樹脂による薄い被覆層に集中しやすいためと考えられる。このような場合、被覆層がトナー粒子の表面から剥がれやすくなり、トナーの耐久安定性能が低下する。
前記αが15.0乃至50.0であり、前記(T1−Tg1)が5.0℃未満の場合には、シェル用樹脂による被覆層の膜厚がトナー全体に渡って均一であるが、コア粒子とシェル用樹脂との柔らかさが熱力学的に近い、或いは、シェル用樹脂の方がコア粒子よりも軟らかいと考えられる。このような場合、外部からの熱等の刺激によりコア粒子とシェル用樹脂とが相溶しやすく、シェル用樹脂によってコア粒子を遮蔽する効果が低下しやすい。よって、トナーの耐ブロッキング性能、画像保存性能が低下しやすい。前記αが15.0乃至50.0であり、前記(T1−Tg1)が40.0℃を越える場合には、コア粒子に比較してシェル用樹脂が熱力学的に硬すぎると考えられる。このような場合、シェル用樹脂による被覆層を薄くした場合に被覆層が割れやすく、トナー粒子表面からシェル用樹脂が剥がれやすくなる。よって、トナーの耐久安定性能が低下しやすい。
一方、前記(T1−Tg1)が5.0乃至40.0℃であり、前記αが15.0未満である場合、トナーが有するシェル用樹脂の被覆状態が不均一であり、且つ、非常に多い場合と考えられる。このような場合、トナーの低温定着性能、グロス性能が低下する。また、トナーが受ける機械的ストレスは、シェル用樹脂による被覆層の厚みが偏った部分に集中しやいため、その部分から被覆層が割れやすくなる。このような場合、トナー粒子表面からシェル用樹脂が剥がれやすくなるため、トナーの耐久安定性能が低下する。前記(T1−Tg1)が5.0乃至40.0℃であり、前記αが50.0を越える場合、コア粒子に比較してシェル用樹脂が熱力学的に硬すぎるため、コア粒子とシェル用樹脂との接着性が低下しやすい。また、シェル用樹脂が硬く脆いため、シェル用樹脂による被覆層を薄くした場合に、被覆層が割れやすくなる。このような場合、トナー粒子表面からシェル用樹脂が剥がれやすくなるため、トナーの耐久安定性能が低下する。
尚、前記(T1−Tg1)は10.0乃至35.0℃であることが好ましく、10.0乃至25.0℃であることがより好ましい。さらには、該(T1−Tg1)は14.0乃至22.0℃であることが特に好ましい。又、前記αは16.0乃至46.0であることが好ましく、18.0乃至42.0であることがより好ましい。さらには、該αは20.0乃至40.0であることが特に好ましい。
前記(T1−Tg1)及び前記αは、トナー粒子表面におけるシェル用樹脂の被覆状態、及び、被覆量に大きく影響を受ける。また、コア粒子とシェル用樹脂との界面の接着状態、シェル用樹脂の材質の影響も受ける。このため、シェル用樹脂の添加量、組成、分子量、酸価、及び、シェル用樹脂が有するその他の官能基の種類と量によって制御可能である。また、コア粒子の熱特性の影響も受けるため、結着樹脂の組成と分子量、ワックスの種類、分子量及び添加量、その他添加剤、及び、コア粒子をシェル用樹脂で被覆する製造工程により制御可能である。また、トナー粒子表面に付着する無機微粒子の種類と量、その粒子径によって制御可能である。
本発明のトナーは、結着樹脂と着色剤とワックスとを含有するトナー粒子と、該トナー粒子の表面に付着する無機微粒子とを少なくとも有するトナーであって、Tg1(℃)が25.0乃至60.0℃である。該Tg1が25.0乃至60.0℃であると、トナーの低温定着性能及び画像保存性能の点で好ましい。
Tg1が25.0未満であると、トナーの低温定着性能は良好となりやすいが、十分な画像保存性能が得られない。また、トナーの耐ブロッキング性能、グロス性能、耐オフセット性能及び耐久安定性能が低下しやすい。該Tg1が60.0℃を越える場合、トナーの画像保存性能は良好になりやすいが、十分な低温定着性能が得られない。また、トナーの耐久安定性能及び耐オフセット性能は良化しやすいが、グロス性能が低下しやすい。尚、Tg1の範囲としては30.0乃至55.0℃であることが好ましく、33.0乃至50.0℃であることがより好ましい。さらには、該Tg1は35.0乃至47.0℃であることが特に好ましい。
上記Tg1(℃)は、主にコア粒子が有する結着樹脂のガラス転移点(℃)に対応する値と考えられる。このため、コア粒子に含有される結着樹脂の組成と分子量、分子量分布により制御可能である。また、結着樹脂とワックスとの相溶・非相溶といった存在状態の影響も受けるため、ワックスの種類と添加量、トナーを製造する過程における加熱冷却工程によって制御可能である。また、該Tg1(℃)は、コア粒子とシェル用樹脂との界面の接着状態、及び、トナー粒子表面におけるシェル用樹脂の被覆状態の影響も受ける。このため、該Tg1(℃)は、シェル用樹脂の添加量、組成、分子量、酸価、及び、シェル用樹脂が有するその他の官能基の種類と量、及び、コア粒子をシェル用樹脂で被覆する製造工程によっても制御可能である。
本発明のトナーは、温度23.0℃,湿度60%RH環境下における凝集度A0(%)が70.0%以下である。凝集度A0(%)が70.0%以下であると、トナーの耐久安定性能の点で好ましい。コア粒子と、該コア粒子を被覆するシェル用樹脂とを有するトナーにおいて、シェル用樹脂による被覆層が薄い場合、トナー粒子の表面に無機微粒子が埋め込まれやすく、該A0(%)が大きい値になりやすい。該A0(%)が70.0%を越える場合、本発明のようにTg1(℃)が小さい値のトナーの場合には、トナー担持体や帯電部材にトナーが滞留しやすく、トナーの耐久安定性能が低下する。現像器内においてトナーが受けるストレスが大きくなりやすく、シェル用樹脂による被覆層が割れやすくなるためと考えられる。尚、A0(%)の範囲としては、30.0%以下であることがより好ましく、15.0%以下であることがさらに好ましい。
一方で、該A0(%)が小さすぎると、トナーが紙の繊維に入り込みやすく、トナーのグロス性能が低下する場合がある。また、該A0(%)を小さい値にするために、トナー粒子の表面に付着する無機微粒子を多量に含有する場合には、トナーの低温定着性能が低下しやすくなる。さらに、該添加剤がトナー担持体や帯電部材に堆積しやすく、トナーの耐久安定性能が低下しやすくなる。この観点からは、該A0(%)は0.3%以上であることが好ましく、1.0%以上であることがより好ましい。以上より、該A0(%)は0.3乃至70.0%であることが好ましく、1.0乃至30.0%であることがより好ましい。さらには、該A0(%)は1.0乃至15.0%であることが特に好ましい。
前記A0(%)は、トナーの形状及び粒子径、該トナーに含有される無機微粒子の組成、粒子径、及び、添加量により制御可能である。また、シェル用樹脂によるコア粒子の被覆状態によっても制御可能である。
前記T1(℃)としては、45.0乃至75.0℃であることが好ましい。該T1(℃)が、45.0乃至75.0℃であると、トナーの低温定着性能、耐ブロッキング性能、耐久安定性能、画像保存性能、及び、耐グロス性能の両立の点で好ましい。
該T1(℃)が45.0℃未満である場合、トナーの耐ブロッキング性能、画像保存性能、及び、耐しみ込み性能が低下する場合がある。T1(℃)が75.0℃を越える場合、トナーの低温定着性能、グロス性能、及び、耐久安定性能が低下しやすくなる。尚、T1(℃)の範囲としては、49.0乃至72.0℃であることがより好ましく、50.0乃至70.0℃であることが更に好ましく、52.0乃至68.0℃であることが特に好ましい。
本発明のトナーは、前記T2(℃)が50.0乃至80.0℃であることが好ましい。該T2(℃)が50.0乃至80.0℃であると、トナーの低温定着性能、耐ブロッキング性能、耐久安定性能、画像保存性能、及び、耐オフセット性能の両立の点で好ましい。
該T2(℃)が50.0℃未満であると、トナーの画像保存性能、耐オフセット性能及び耐しみ込み性能が低下する場合がある。該T2(℃)が80.0℃を越える場合、トナーの低温定着性能、グロス性能が低下しやすくなる。また、シェル用樹脂による被覆層が脆くなる場合があり、トナーの耐久安定性能が低下する場合がある。尚、該T2(℃)の範囲としては、53.0乃至73.0℃であることがより好ましく、56.0乃至72.0℃であることが特に好ましい。
上記T1(℃)及びT2(℃)は、シェル用樹脂のガラス転移点(℃)、及び、トナー粒子表面におけるシェル用樹脂の被覆状態、及び、被覆量に大きく影響を受ける。このため、シェル用樹脂の添加量、組成、分子量、酸価、及び、シェル用樹脂が有するその他の官能基の種類と量によって制御可能である。また、コア粒子をシェル用樹脂で被覆する製造工程によって制御可能である。また、コア粒子の熱特性の影響も受けるため、結着樹脂の組成、分子量及び分子量分布、ワックスの種類、分子量及び添加量、その他添加剤により制御可能である。
本発明のトナーは、定荷重細管押し出し式レオメーターによるトナーの粘度測定において、粘度5000Pa・sとなる温度をF1(℃)、粘度1000Pa・sとなる温度をF2(℃)とした時、該F1(℃)が75.0乃至115.0℃であることが好ましく、該F1(℃)と該F2(℃)との差(F2−F1)が8.0乃至40.0℃であることが好ましい。
該F1(℃)が75.0乃至115.0℃であると、トナーの低温定着性能、グロス性能、耐オフセット性能、及び、耐しみ込み性能の点で好ましい。また、該F1(℃)が上記のような低温領域にあることで、トナーが脆くなることが抑制され、トナーの耐久安定性能が向上しやすくなる。シェル用樹脂による薄い被覆層を有するトナーでは、被覆層が割れにくくなるため、トナー粒子の表面から被覆層が剥がれにくくなる。
また、該(F2−F1)が8.0乃至40.0℃であることで、トナーのグロス性能、耐しみ込み性能、耐オフセット性能、画像保存性能がより良好になる。該(F2−F1)が上記のような広い温度幅を有することで、トナーが脆くなることが抑制され、トナーの耐久安定性能が向上しやすくなる。シェル用樹脂による薄い被覆層を有するトナーでは、被覆層が割れにくくなるため、トナー粒子の表面から被覆層が剥がれにくくなる。
該F1(℃)が75.0℃未満である場合、トナーのグロス性能、耐オフセット性能、及び、耐しみ込み性能が低下する場合がある。該F1(℃)が115.0℃を越える場合、トナーの低温定着性能、及び、グロス性能が低下する場合がある。また、トナーが脆くなりやすく、トナーの耐久安定性能が低下する場合がある。コア粒子と該コア粒子を被覆するシェル用樹脂とを有するトナーでは、該シェル用樹脂が剥がれやすくなる場合がある。このような場合、トナーの耐久安定性能が低下しやすい。
尚、F1(℃)は80.0乃至110.0℃であることがより好ましく、85.0乃至105.0℃であることが更に好ましい。
また、該(F2−F1)が温度8.0℃未満であると、トナーの耐オフセット性能、グロス性能、耐しみ込み性能、及び、画像保存性能が低下する場合がある。また、トナーが脆くなりやすく、トナーの耐久安定性能が低下する場合がある。コア粒子と該コア粒子を被覆するシェル用樹脂とを有するトナーでは、該シェル用樹脂が剥がれやすくなる場合がある。このような場合、トナーの耐久安定性能が低下しやすい。該(F2−F1)が温度40.0℃を越える場合、トナーの低温定着性能、及び、グロス性能が低下する場合がある。
尚、該(F2−F1)は温度9.0乃至30.0℃であることがより好ましく、温度10.0乃至22.0℃であることが特に好ましい。
前記F1及び(F2−F1)は、コア粒子の熱特性に影響を受けると考えられる。このため、コア粒子に含有される結着樹脂の組成、分子量及び分子量分布、ワックスの種類、分子量及び添加量、その他添加剤により制御可能である。また、コア粒子とシェル用樹脂との界面の接着状態、及び、トナー粒子表面におけるシェル用樹脂の被覆状態の影響も受ける。このため、前記F1及び(F2−F1)は、シェル用樹脂の添加量、組成、分子量、酸価、及び、シェル用樹脂が有するその他の官能基の種類と量により制御可能である。また、コア粒子をシェル用樹脂で被覆する製造工程によっても制御可能である。
トナーに含有されるシェル用樹脂の量としては、トナー質量に対し1.0乃至10.0質量%であることが好ましい。これは、トナーの低温定着性能、耐ブロッキング性能、耐久安定性能、耐オフセット性能、画像保存性能、及び、耐しみ込み性能の両立の点で好ましい。トナーに含有されるシェル用樹脂の量が1.0質量%未満の場合、トナーの耐久安定性能、画像保存性能が低下する場合がある。トナーに含有されるシェル用樹脂の量が10.0質量%を越える場合、トナーの低温定着性が低下しやすくなる。また、シェル用樹脂の量が多すぎることで、かえってシェル用樹脂がトナー粒子表面から剥がれやすくなる場合がある。このような場合、トナーの耐久安定性能が低下する。
尚、トナーに粒子に含有されるシェル用樹脂の量は、トナー質量に対し2.0乃至9.0質量%であることがより好ましく、3.0乃至6.0質量%であることが特に好ましい。
さらに、本発明のトナーは、シェル用樹脂のガラス転移点をTg2(℃)としたとき、該Tg2と前記Tg1との差(Tg2−Tg1)は10.0乃至50.0℃であることが好ましい。該(Tg2−Tg1)が、10.0乃至50.0℃であると、トナーの低温定着性能、耐ブロッキング性能、グロス性能、及び、耐久安定性能の両立の点で好ましい。該(Tg2−Tg1)が10.0℃未満であると、トナーの画像保存性能、及び、耐ブロッキング性能が低下する場合がある。該(Tg2−Tg1)が50.0℃を越える場合、トナーの低温定着性能、及び、グロス性能が低下しやすくなる。また、コア粒子とシェル用樹脂との熱特性の違いが大きくなりすぎ、シェル用樹脂がトナー粒子表面から剥がれやすくなる場合がある。この場合、トナーの耐久安定性能が低下する。
尚、該(Tg2−Tg1)は温度15.0乃至45.0℃であることがより好ましく、温度20.0乃至40.0℃であることが特に好ましい。さらには、該(Tg2−Tg1)は温度27.0乃至40.0℃であることが特に好ましい。
本発明のトナーは、該トナーが有する無機微粒子として、シリカ又は酸化チタンから選ばれる1種以上の微粒子を含有し、該微粒子の含有量は、なるべく少ない方がトナーの低温定着性が良化しやすい。しかし、該含有量が少なすぎると、トナーの低温定着性能の向上を目指して、熱的に軟らかいトナー粒子とした場合、前記シリカ又は酸化チタンがトナー粒子の表面に埋没されやすい。このため、該含有量はトナー全量に対し0.50乃至3.00質量%であることが好ましい。該含有量が0.50質量%未満である場合、トナーの耐久安定性能が低下する場合がある。該含有量が3.00質量%を越える場合、トナーの低温定着性能、グロス性能が低下する場合がある。また、トナーの耐久安定性能が低下する場合がある。尚、上記含有量は、0.50乃至2.50質量%であることがより好ましく、0.70乃至2.20質量%であることが特に好ましい。
また、トナーが有する無機微粒子は、一次粒子の個数平均粒子径が20.0乃至200.0nmであることが、トナーの低温定着性能、耐ブロッキング性能、耐久安定性能、及び、画像保存性能の両立の点で好ましい。コア粒子と該コア粒子を被覆するシェル用樹脂とを有するトナーの場合、熱的に軟らかいコア粒子の表面を、熱的に固いシェル用樹脂で被覆するため、前記無機微粒子が埋没される影響が抑制されやすい。このため、該無機微粒子の一次粒子の個数平均粒子径が小さくても良好なトナーの耐久安定性能が得られ、低温定着性能が良化しやすい。一方、該個数平均粒子径が大きすぎると、現像機内において部材よりトナーが受けるストレスにより、無機微粒子とシェル用樹脂との接点にストレスが集中しやすい。このため、シェル用樹脂が剥がれやすくなり、トナーの耐久安定性能が低下する場合がある。このため、上記個数平均粒子径は、20.0乃至160.0nmであることがより好ましく、20.0乃至120.0nmであることが特に好ましい。
本発明において、前記コア粒子を被覆するシェル用樹脂は、該シェル用樹脂を体積平均粒子径(D3s)が5乃至500nmの樹脂微粒子に成形した後に、コア粒子を被覆させることが好ましい。さらに、前記シェル用樹脂は、上記の粒子径を有する樹脂微粒子の水分散液として用いられ、コア粒子を被覆させることが好ましい。シェル用樹脂を、予め粒子径が制御された樹脂微粒子の状態でコア粒子の表面に被覆させることで、シェル用樹脂による被覆層の膜厚を均一に形成することが可能となる。また、シェル用樹脂が、上記粒子径を有する樹脂微粒子の水分散液の状態で用いることで、トナー粒子間で比較した場合にも膜厚をより均一にすることが可能となる。
このようにシェル用樹脂を樹脂微粒子とし、その水分散液を形成する方法としては、シェル用樹脂を溶媒で希釈、或いは、加熱してと水と共に撹拌、又は、加圧する分散法により形成ことができる。また、シェル用樹脂の原料となるモノマーを水に分散した後、該モノマーを重合して樹脂微粒子を形成する重合法により形成することも可能である。
本発明において、結着樹脂、着色剤、及びワックスを有するコア粒子と、該コア粒子を被覆するシェル用樹脂とを有するトナーを形成する好ましい方法としては、下記方法が挙げられる。
(A)シェル用樹脂が微粒子の状態で水中に分散したシェル用樹脂の微粒子分散液(1)を形成する工程。結着樹脂、着色剤、ワックス、その他添加剤を含有したコア粒子と、無機塩の如き分散安定剤と、水とを有し、該コア粒子の表面に該分散安定剤が吸着して水中に分散した状態を形成するコア粒子の分散液(2)を形成する工程。該コア粒子の分散液(2)に前記シェル用樹脂の微粒子分散液(1)を添加して複合体の分散液を形成し、該コア粒子の表面に前記分散安定剤を媒介として、該シェル用樹脂の微粒子が該コア粒子の表面に吸着して被覆する状態を形成する被覆処理工程。該複合体の分散液において、加熱すると共に、前記媒介として存在する分散安定剤を媒介状態から解放し、前記コア粒子と前記シェル用樹脂の微粒子とが直接に接触し、コア粒子を被覆するシェル用樹脂の微粒子が、コア粒子表面に固定化してトナー粒子を形成する固定処理工程。該トナー粒子を回収して乾燥させて、粉体のトナー粒子を形成する乾燥工程。該トナー粒子と無機微粒子とを混合してトナーを形成する混合工程を経てトナーを形成する方法。
(B)シェル用樹脂が微粒子の状態で水中に分散したシェル用樹脂の微粒子分散液(1)を形成する工程。結着樹脂、着色剤、ワックス、その他添加剤、有機溶媒を含有する混合物を、前記水分散液(1)に添加して複合体の分散液を形成し、結着樹脂、着色剤、ワックス、その他添加剤、有機溶媒を有するコア粒子の表面を、前記シェル用樹脂の微粒子が被覆した状態を形成する複合体の分散液(3)を形成する工程。該分散液(3)中の有機溶媒を除去して、トナー粒子を形成する脱溶剤工程。該トナー粒子を回収して乾燥させて、粉体のトナー粒子を形成する乾燥工程。該トナー粒子と無機微粒子とを混合してトナーを形成する混合工程を経てトナーを形成する方法。
(C)シェル用樹脂が微粒子の状態で水中に分散したシェル用樹脂の微粒子分散液(1)を形成する工程。結着樹脂が微粒子の状態で水中に分散した結着樹脂の微粒子分散液(2)を形成する工程。着色剤が水中に分散した着色剤の分散液(3)を形成する工程。ワックスが微粒子の状態で水中に分散したワックスの分散液(4)を形成する工程。結着樹脂の微粒子分散液(2)と、着色剤の分散液(3)と、ワックスの分散液(4)とを混合し、凝集させてコア粒子の分散液を形成する凝集工程。該コア粒子の分散液に、前記シェル用樹脂の微粒子分散液(1)を加え、該コア粒子の表面に該シェル用樹脂の微粒子を被覆させてトナー粒子の分散液を形成する被覆工程。該トナー粒子を回収して乾燥させて、粉体のトナー粒子を形成する乾燥工程。該トナー粒子と無機微粒子とを混合してトナーを形成する混合工程を経てトナーを形成する方法。
その中でも(A)の方法では、コア粒子表面において分散安定剤は、界面化学的に均一に吸着する。コア粒子表面に均一に並べられた分散安定剤と、シェル用樹脂の微粒子との電気的相互作用によりシェル用樹脂の微粒子を吸着させる。分散安定剤とシェル用樹脂の微粒子とが接触できる限りでシェル用樹脂の微粒子が吸着するため、コア粒子表面において分散安定剤を媒介として、シェル用樹脂の微粒子を細密充填した状態で一層だけ並べることができる。この状態を形成した後に、分散安定剤だけを取り除きつつ、シェル用樹脂の微粒子をコア粒子表面に固定化するため、トナー粒子表面の全方位に渡って膜厚が均一な被覆層を形成でき、且つ、その均一さがトナー全体に及ぶと考えられる。このため、コア粒子がある程度の粒子径分布を有する場合でも、大きいコア粒子についても小さいコア粒子についても、シェル用樹脂の微粒子の直径に相当する被覆層が形成されると考えられる。
前記シェル用樹脂の微粒子分散液を形成する工程において、シェル用樹脂の微粒子の体積平均粒子径(D3s)が15乃至150nmであることが好ましい。該D3sが上記範囲であることで、該シェル用樹脂の微粒子の添加量を少なくしても、トナー粒子の表面におけるシェル用樹脂の被覆状態の均一性、被覆層の膜厚の均一性、及び、トナー全体で比較した場合のシェル用樹脂による被覆状態の均一性がより良好となる。このため、トナーの低温定着性能と耐久安定性能がより良好となりやすい。
さらに、該シェル用樹脂の微粒子は、ゼータ電位(Z1s)が−110.0乃至−35.0mVであることが好ましい。該Z1sは、該シェル用樹脂が有する酸性基の種類、含有量と、該シェル用樹脂の微粒子の粒子径に由来すると考えられる。該Z1sが上記範囲であることで、コア粒子とシェル用樹脂の微粒子との密着性がより良好になる。また、該シェル用樹脂の微粒子の添加量を少なくしても、トナー粒子の表面におけるシェル用樹脂の被覆状態の均一性、被覆層の膜厚の均一性、及び、トナー全体で比較した場合のシェル用樹脂による被覆状態の均一性がより良好となる。該Z1sが−110.0mV未満である(負に大である)場合、シェル用樹脂がトナー粒子の表面から剥がれやすくなる場合がある。また、トナー粒子の表面にシェル用樹脂の微粒子が固定化されにくくなり、遊離したシェル用樹脂の微粒子が副生する場合がある。このような場合、トナーの耐久安定性能が低下しやすい。該Z1sが−35.0mVを越える(負に小である)場合、トナー粒子表面におけるシェル用樹脂の被覆状態に偏りが生じやすく、被覆層の膜厚が不均一になりやすい。この場合、トナー粒子の表面からシェル用樹脂が剥がれやすく、トナーの耐久安定性能が低下しやすい。
尚、上記D3sの範囲としては、15乃至100nmであることがより好ましく、20乃至80nmであることが特に好ましい。また、上記Z1sの範囲としては、−95.0乃至−35.0mVであることがより好ましく、−85.0乃至−45.0mVであることが特に好ましい。
前記シェル用樹脂は、酸価Av(Avs)が3.0乃至40.0mgKOH/gであり、該Avsと前記D3sとの積(Avs×D3s)が200乃至1000であることが好ましい。該Avsが3.0乃至40.0mgKOH/gであることで、該酸価に由来する酸性基が前記コア粒子の表面と相互作用しやすく、コア粒子とシェル用樹脂との密着性が良化やすい。さらに、(Avs×D3s)が200乃至1000であることで、該シェル用樹脂の微粒子の添加量を少なくしても、トナー粒子の表面におけるシェル用樹脂の被覆状態の均一性、被覆層の膜厚の均一性、及び、トナー全体で比較した場合のシェル用樹脂による被覆状態の均一性がより良好となる。
該Avsが3.0mgKOH/g未満の場合、D3sが150nmを越える場合、或いは、(Avs×D3s)が200未満の場合は、トナー粒子表面におけるシェル用樹脂の微粒子の被覆状態が不均一になりやすく、シェル用樹脂の被覆層の層厚が不均一になりやすい。この場合、トナー粒子の表面からシェル用樹脂が剥がれやすく、トナーの耐久安定性能が低下しやすい。該Avsが40.0mgKOH/gを越える場合、D3sが20nm未満の場合、或いは、(Avs×D3s)が4000を越える場合は、コア粒子を被覆するシェル用量樹脂の被覆量がトナー粒子間で不均一になりやすい。この場合も、トナー粒子の表面からシェル用樹脂が剥がれやすく、トナーの耐久安定性能が低下しやすい。該被覆量が多すぎる場合には、トナーの低温定着性能、グロス性能が低下する場合がある。このため、前記表層樹脂のAvsは、6.0乃至35.0mgKOH/gであることがより好ましく、6.0乃至30.0mgKOH/gであることが特に好ましい。また、前記(Avs×D3p)は、200乃至600であることがより好ましい。
前記シェル用樹脂の微粒子は、体積分布の10%粒子径(D3s10)と前記D3sとの比(D3s/D3s10)が1.0乃至10.0であることが、トナーの低温定着性能と耐久安定性能の観点から好ましい。該シェル用樹脂の微粒子の添加量を少なくしても、トナー粒子の表面におけるシェル用樹脂の被覆状態の均一性、被覆層の膜厚の均一性、及び、トナー全体で比較した場合のシェル用樹脂による被覆状態の均一性がより良好となる。該D3s/D3s10が10.0を越える場合、コア粒子を被覆するシェル用量樹脂の被覆量がトナー粒子間で不均一になりやすい。この場合、トナー粒子の表面からシェル用樹脂が剥がれやすく、トナーの耐久安定性能が低下しやすい。該被覆量が多すぎる場合には、トナーの低温定着性能、グロス性能が低下する場合がある。このため、(D3s/D3s10)が1.0乃至5.0であることがより好ましく、1.0乃至4.0であることが特に好ましい。
また、前記シェル用樹脂の微粒子は、体積分布の90%粒子径(D3s90)と前記D3sとの比(D3s90/D3s)が1.0乃至10.0であることがトナーの低温定着性能と耐久安定性能の観点から好ましい。該シェル用樹脂の微粒子の添加量を少なくしても、トナー粒子の表面におけるシェル用樹脂の被覆状態の均一性、被覆層の膜厚の均一性、及び、トナー全体で比較した場合のシェル用樹脂による被覆状態の均一性がより良好となる。該(D3s90/D3s)が10.0を越える場合、コア粒子を被覆するシェル用量樹脂の被覆量がトナー粒子間で不均一になりやすい。この場合、トナー粒子の表面からシェル用樹脂が剥がれやすく、トナーの耐久安定性能が低下しやすい。該被覆量が多すぎる場合には、トナーの低温定着性能、グロス性能が低下する場合がある。このため、該(D3s90/D3s)は1.0乃至6.0であることがより好ましく、1.0乃至4.0であることが特に好ましい。
前記シェル用樹脂は、2価のアルコール成分としてエーテル結合を有するアルコールを有するポリエステルを有することが好ましい。エーテル結合を有する2価アルコールとして、具体的には、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、下記化1で示されるビスフェノール誘導体;または下記化2で示される化合物をあげることができる。
Figure 0005561927
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基を示し、x,yはそれぞれ1以上の整数を示し、且つx+yの平均値は2乃至10を示す。)
Figure 0005561927
(式中、R’はエチレン、プロピレン、又は、ブチレン基を示す。)
前記シェル用樹脂が、2価のアルコール成分としてエーテル結合を有するアルコールを有するポリエステルであることは、トナーの低温定着性能、耐ブロッキング性能、耐久安定性能、耐オフセット性能、画像保存性能、及び、耐しみ込み性能の両立の点で好ましい。主鎖にエーテル結合を多数有することで、コア層と適度な親和性を有するため、シェル用樹脂の添加量が少量の場合にも、コア粒子に対するシェル用樹脂の被覆状態がより均一になりやすい。
上記2価アルコールと組み合わせて用いる多価カルボン酸成分としては、以下の化合物が挙げられる。
フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;琥珀酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6乃至12のアルキル基で置換された琥珀酸若しくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、トリメリット酸。
前記シェル用樹脂は、下記に示すアニオン性の親水性官能基を有することが好ましい。前記シェル用樹脂がアニオン性の親水性官能基を有することは、トナーの低温定着性能、耐ブロッキング性能、耐久安定性能、耐オフセット性能、及び、耐しみ込み性能の両立の点で好ましい。アニオン性の親水性官能基を有することで、コア層と親和性が良好となり、シェル用樹脂の添加量が少量の場合にも、コア粒子に対するシェル用樹脂の被覆状態がより均一になりやすい。
アニオン性の親水性官能基としては、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、及びこれらの金属塩、或いは、アルキルエステルを用いることができる。金属塩としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム等のアルカリ土類金属が挙げられる。中でも、コア粒子とシェル用樹脂との接着性、被覆状態の均一性の観点から、スルホン酸基、スルホン酸基のアルカリ金属塩、スルホン酸基のアルキルエステル塩から選ばれるスルホン酸基を有することが好ましい。シェル用樹脂の添加量が少量の場合にも、コア粒子に対するシェル用樹脂の被覆状態が特に均一になりやすい。
前記シェル用樹脂は、該樹脂を100.00質量%としたときスルホン酸基を0.10乃至4.00質量%含有することが好ましい。該スルホン酸基の含有量が0.10乃至4.00質量%であることは、トナーの低温定着性能、耐ブロッキング性能、耐久安定性能、耐オフセット性能、画像保存性能、及び、耐しみ込み性能の両立の点で好ましい。該スルホン酸基の含有量が上記範囲である場合に、シェル用樹脂の添加量が少量の場合にも、コア粒子に対するシェル用樹脂の被覆状態が特に均一になりやすい。該スルホン酸基の含有量が0.10質量%未満であると、トナー粒子表面におけるシェル用樹脂の被覆状態に偏りが生じやすく、被覆層の膜厚が不均一になりやすい。この場合、トナー粒子の表面からシェル用樹脂が剥がれやすく、トナーの耐久安定性能が低下しやすい。該スルホン酸基の含有量が4.00質量%を越える場合、シェル用樹脂がトナー粒子の表面から剥がれやすくなる場合がある。また、トナー粒子の表面にシェル用樹脂の微粒子が固定化されにくくなり、遊離したシェル用樹脂の微粒子が副生する場合がある。このような場合、トナーの耐久安定性能が低下しやすい。尚、該スルホン酸基の含有量は、0.20乃至3.00質量%であることが好ましく、0.40乃至2.00質量%であることがより好ましい。
前記シェル用樹脂は、重量平均分子量(Mw)が3000乃至300000であることが、トナーの低温定着性能、耐ブロッキング性能、耐久安定性能、グロス性能、耐オフセット性能、画像保存性能、及び、耐しみ込み性能の両立の点で好ましい。該樹脂の重量平均分子量が3000未満であると、現像機内でシェル用樹脂が割れやすくなりトナーの耐久安定性能が低下しやすくなる。また、トナーの耐オフセット性能、画像保存性能、及び、耐しみ込み性能が低下する場合がある。該樹脂の重量平均分子量が300000を越える場合、トナーの低温定着性能、グロス性能が低下する場合がある。尚、該樹脂の重量平均分子量は、4000乃至100000であることが好ましく、5000乃至70000であることがより好ましい。特に好ましい該樹脂の重量平均分子量は、5000乃至50000である。
前記シェル用樹脂は、個数平均分子量(Mn)が2000乃至100000であることが、トナーの低温定着性能、耐ブロッキング性能、耐久安定性能、グロス性能、耐オフセット性能、画像保存性能、及び、耐しみ込み性能の両立の点で好ましい。該樹脂の個数平均分子量が2000未満であると、現像機内でシェル用樹脂が割れやすくなりトナーの耐久安定性能が低下しやすくなる。また、トナーの耐オフセット性能、画像保存性能、及び、耐しみ込み性能が低下する場合がある。該樹脂の個数平均分子量が100000を越える場合、トナーの低温定着性能、グロス性能が低下する場合がある。尚、該樹脂の個数平均分子量は、2000乃至50000であることが好ましく、3000乃至10000であることがより好ましい。
前記シェル用樹脂は、重量平均分子量(Mw)と個数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.20乃至50.0であることが、トナーの低温定着性能、耐ブロッキング性能、耐久安定性能、グロス性能、耐オフセット性能、画像保存性能、及び、耐しみ込み性能の両立の点で好ましい。該樹脂のMw/Mnが1.20未満であると、現像機内でシェル用樹脂が割れやすくなりトナーの耐久安定性能が低下する場合がある。また、トナーの耐オフセット性能、画像保存性能、及び、耐しみ込み性能が低下する場合がある。該樹脂のMw/Mnが50.0を越える場合、トナーの低温定着性能、グロス性能が低下する場合がある。尚、該樹脂のMw/Mnは、1.30乃至15.0であることが好ましく、1.50乃至10.0であることがより好ましい。
前述した本発明のトナーを形成する好ましい方法において、(A)で示した方法による場合、下記条件であることが好ましい。
前記コア粒子の分散液(2)を形成する工程において、コア粒子の重量平均粒子径D4cが3.0乃至8.0μmであり、コア粒子の個数平均粒子径D1cと該D4cとの比(D4c/D1c)が1.00乃至1.30であることが好ましい。コア粒子のD4cが3.0μm未満であると、シェル用樹脂による被覆層を形成する際に、該シェル用樹脂を介してトナー粒子同士が凝集しやすくなり、トナーの耐久安定性能が低下する場合がある。該D4cが8.0μmを越える場合、コア粒子とシェル用樹脂との密着性が低下する場合があり、トナー粒子の表面からシェル用樹脂が剥がれやすく、トナーの耐久安定性能が低下しやすくなる。同様に、(D4c/D1c)が1.30を越える場合、シェル用樹脂による被覆相を形成する際に、該シェル用樹脂を介してトナー粒子同士が凝集しやすくなり、トナーの耐久安定性能が低下する場合がある。尚、(D4c/D1c)は粒子径の分布の程度を示す指標であり、完全に単分散である場合に1.00を示す。該値が1.00よりも大きいほど、粒子径の分布が大きいことを示す。
上記と同様の理由により、該D4cは3.0乃至7.0μmであることがより好ましく、4.0乃至6.0μmであることがさらに好ましい。また、該(D4c/D1c)は1.00乃至1.25であることがより好ましく、1.00乃至1.20であることが更に好ましい。該(D4c/D1c)は、1.00乃至1.15であることが特に好ましい。
前記コア粒子の分散液(2)を形成する工程において、該コア粒子は表面に分散安定剤を有し、該コア粒子のゼータ電位(Z2c)が、−15.0mV以下(負に大)であり、且つ、該Z2cとZ1sとの差(Z2c−Z1s)が5.0乃至50.0mVであることが好ましい。該Z2cが−15.0mVを越える(負に小である)場合、シェル用樹脂による被覆層を形成する際に、該シェル用樹脂を介してトナー粒子同士が凝集しやすくなり、トナーの耐久安定性能が低下する場合がある。該(Z2c−Z1s)が5.0mV未満の場合、トナー粒子表面におけるシェル用樹脂の被覆状態に偏りが生じやすく、被覆層の膜厚が不均一になりやすい。この場合、トナー粒子の表面からシェル用樹脂が剥がれやすく、トナーの耐久安定性能が低下しやすい。該(Z2c−Z1s)が50.0mVを越える場合、シェル用樹脂がトナー粒子の表面から剥がれやすくなる場合がある。また、トナー粒子の表面にシェル用樹脂の微粒子が固定化されにくくなり、遊離したシェル用樹脂の微粒子が副生する場合がある。このような場合、トナーの耐久安定性能が低下しやすい。
尚、該Z2cは−85.0乃至−15.0mVであることがより好ましく、さらには、−70.0乃至−20.0mVであることが好ましい。特に好ましい該Z2cは、−55.0乃至−30.0mVである。また、該(Z2c−Z1s)は20.0乃至45.0mVであることがより好ましく、さらには、25.0乃至45.0mVであることが好ましい。特に好ましい該(Z2c−Z1s)は、30.0乃至45.0mVである。
前記コア粒子の分散液(2)を形成する工程において、コア粒子が有する分散安定剤は、Ca、Mg、Ba、Zn、Alから選ばれる難水溶性の無機塩であることが好ましい。コア粒子を被覆するシェル用樹脂の被覆状態がより均一になり、酸やアルカリの添加により均一に溶解することが可能であるため、コア粒子とシェル用樹脂との接着性も向上しやすい。特に好ましい無機塩の例としては以下の化合物が挙げられる。
リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛の如きリン酸多価金属塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの如き炭酸塩;メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムの如き無機塩;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、ベントナイト、アルミナの如き無機酸化物。
前記コア粒子としては、スチレン−アクリル樹脂を主成分とし、さらに結着樹脂100質量部に対し2.0乃至20.0質量部のポリエステルを含有することが好ましい。コア粒子がポリエステルを含有することで、コア粒子に吸着する前記無機塩の均一性がより向上する。これにより、トナー粒子表面を被覆するシェル用樹脂の膜厚の均一性がより良好になる。尚、上記ポリエステルの含有量は3.0乃至15.0質量部であることがより好ましく、さらには、4.0乃至10.0質量部であることが好ましい。
前述の(A)で示した方法における被覆処理工程において、コア粒子の水分散液にシェル用樹脂の微粒子分散液を添加する場合、シェル用樹脂の微粒子分散液の添加速度は遅い方が、被覆状態の均一性の観点から好ましい。固形分としてのシェル用樹脂の添加速度が0.01乃至1.50質量部/分であることが、トナーの低温定着性能、耐ブロッキング性能、及び、耐久安定性能の両立の観点から好ましい。該シェル用樹脂の添加速度が0.01質量部/分未満では、シェル用樹脂の微粒子による被覆状態がやや不均一になる場合がある。この場合、トナーの耐久安定性能が低下しやすくなる。該シェル用樹脂の添加速度が1.50質量部/分を越える場合、シェル用樹脂の微粒子を媒介として、トナー粒子同士が融する場合がある。この場合、トナーの耐久安定性能が低下しやすくなる。尚、シェル用樹脂の添加速度は、0.03乃至1.00質量部/分であることがより好ましく、さらには、0.03乃至0.30質量部/分であることが好ましい。
前述の(A)で示した方法における固定処理工程において、加熱する温度は、コア粒子のガラス転移点をTg0(℃)、シェル用樹脂のガラス転移点をTg2(℃)としたとき、該Tg0(℃)と比較して2.0℃以上高い温度であり、且つ、該Tg2(℃)と比較して1.0(℃)以上低い温度であることが好ましい。トナー粒子同士が融着することを抑制し、均一にシェル用樹脂の微粒子をコア粒子の表面に固定化することができ、トナーの耐久安定性能がより良好になる。尚、該加熱する温度は、該Tg0(℃)と比較して8.0℃以上高い温度であることがより好ましい。
上記の固定処理工程において、トナー粒子同士が融着することを抑制するために、界面活性剤や前述の難水溶性無機塩の如き分散安定剤を添加することも好ましい。その添加量は、トナー粒子100重量部に対して0.01乃至5.00質量部とすることが好ましい。用いることができる界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル、フルオロアルキル基を有するものが挙げられる。該フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、例えば、炭素数2乃至10のフルオロアルキルカルボン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(炭素数6乃至11)オキシ]−1−アルキル(炭素数3乃至4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(炭素数6乃至8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(炭素数11乃至20)カルボン酸又はその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(炭素数7乃至13)又はその金属塩、パーフルオロアルキル(炭素数4乃至12)スルホン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(炭素数6乃至10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(炭素数6乃至10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(炭素数6乃至16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。該フルオロアルキル基を有する界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子株式会社製);フローラドFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M株式会社製);ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業株式会社製);メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ化学工業株式会社製);エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204(ト−ケムプロダクツ社製);フタージェントF−100、F150(ネオス社製)等が挙げられる。
前記カチオン界面活性剤としては、例えば、アミン塩型界面活性剤、四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤等が挙げられる。前記アミン塩型界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等が挙げられる。前記四級アンモニウム塩型のカチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。該カチオン界面活性剤の中でも、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級又は三級アミン酸、パーフルオロアルキル(炭素数6乃至10個)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族四級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、などが挙げられる。該カチオン界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−121(旭硝子株式会社製);フローラドFC−135(住友3M株式会社製);ユニダインDS−202(ダイキン工業株式会社製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ化学工業株式会社製);エクトップEF−132(ト−ケムプロダクツ社製);フタージェントF−300(ネオス社製)等が挙げられる。
前述の(A)で示した方法における固定処理工程において、分散安定剤を媒介状態から解放する方法としては、塩酸を添加することにより分散液のpHを5.0以下にする酸処理工程を有することが好ましい。該酸処理工程により、難水溶性の無機塩の如き分散安定剤を溶解することで、分散液内の全てのコア粒子に均一にシェル用樹脂の微粒子を固定化することができる。トナーの耐久安定性能がさらに良好になる。
上記酸処理工程において、塩酸を添加する場合、塩酸の添加速度は遅い方が、被覆状態の均一性の観点から好ましい。塩酸の添加速度が0.01乃至0.10mol/時間であることが、トナーの低温定着性能、耐ブロッキング性能、及び、耐久安定性能の両立の観点から好ましい。塩酸の添加速度が0.01mol/時間未満では、シェル用樹脂がトナー粒子表面から剥がれやすくなる場合がある。この場合、トナーの耐久安定性能が低下しやすくなる。塩酸の添加速度が0.10mol/時間を越える場合、トナー粒子同士が凝集融着しやすくなる。この場合、トナーの耐久安定性能が低下する場合がある。尚、シェル用樹脂の添加速度は、0.03乃至0.06mol/時間であることがより好ましい。
前記固定処理工程において加熱する温度(加熱工程1)は、前記Tg2(℃)以下の温度であって、且つ、前記Tg0(℃)と比較して(Tg0+2.0)乃至(Tg0+20.0)℃の温度であることが、トナーの耐久安定性能の観点から好ましい。該温度がTg0+2.0℃未満であると、トナー粒子表面からシェル用樹脂が剥がれやすくなり、トナーの耐久安定性能が低下しやすくなる。該温度がTg0+20.0℃を越える場合、コア粒子表面の被覆効率が低下する場合があり、遊離したシェル用樹脂が副生する場合がある。この場合、トナーの耐久安定性能、耐ブロッキング性能が低下しやすくなる。Tg2(℃)を越える温度の場合、トナー粒子同士が融着しやすくなり、トナーの耐久安定性能が低下しやすい。尚、該温度は(Tg0+5.0)乃至(Tg0+15.0)℃であることがより好ましい。
前記コア粒子の水分散液が難水溶性の無機塩を分散安定剤として含有する場合、上記酸処理工程の後、分散液のpHを6.0以上にする工程を有することが好ましい。更に、前記Tg0(℃)以上の温度であって、前記Tg2と比較して(Tg2−10.0)乃至(Tg2−0.5)℃の温度に加熱する工程(加熱工程2)を有することが好ましい。
pHを6.0以上にすることで、コア粒子を被覆したシェル用樹脂の微粒子の外側に、無機塩を再析出させることができる。さらに、上記範囲に加熱する工程を有することで、コア粒子とシェル用樹脂との密着性を向上することができ、トナーの耐久安定性能がより良好になる。該pHが6.0未満であると、トナー粒子同士が融着してトナーの耐久安定性能が低下する場合がある。加熱工程2における温度がTg2−0.5℃を越える場合、トナー粒子同士が融着してトナーの耐久安定性能が低下する場合がある。加熱工程2における温度がTg2−10.0℃未満の場合、トナー粒子表面からシェル用樹脂が剥がれやすくなる場合がある。尚、該pHは、6.0乃至12.0であることがより好ましく、さらには、6.0乃至9.0であることが好ましい。また、加熱工程2の温度の範囲としては、(Tg2−8.0)乃至(Tg2−1.0)℃であることがより好ましく、さらには、(Tg2−5.0)乃至(Tg2−1.0)℃であることが好ましい。
本発明のトナーは、ソックスレー抽出法によるテトラヒドロフラン(THF)不溶成分を3.0乃至45.0質量%含有し、該THF可溶成分はスルホン酸基に由来する硫黄元素を0.010乃至1.000質量%含有することが好ましい。該スルホン酸基は、本発明では、シェル用樹脂に含有されるスルホン酸基と考えられる。本発明によると、該スルホン酸基の含有量が上記範囲である場合に、コア粒子とシェル用樹脂との吸着性がより良好となる。このため、トナーに含有せしめるシェル用樹脂の添加量を少なくしても本発明で規定する物性値を良好に発現することが可能となり、トナーの耐久安定性能、低温定着性能を更に良好にすることができる。尚、上記硫黄元素の含有量は、0.050乃至0.500質量%であることがより好ましく、0.100乃至0.500質量%であることが更に好ましい。上記硫黄元素の含有量は、0.100乃至0.300質量%であることが特に好ましい。
前記THF不溶成分の含有量が3.0質量%未満であると、シェル用樹脂がコア粒子の内部に埋没しやすくなる場合がある。また、トナーの耐オフセット性能、画像保存性能が低下しやすくなる。該THF不溶成分の含有量が45.0質量%を越える場合、シェル用樹脂がトナー粒子表面から剥がれやすくなる場合がある。また、トナーの低温定着性能、グロス性能が低下しやすくなる。このため、前記THF不溶成分の含有量は、6.0乃至35.0質量%であることがより好ましく、8.0乃至25.0質量%であることが特に好ましい。上記THF不溶成分の含有量は、結着樹脂及び架橋剤の種類や添加量、トナーの製造条件等によって制御することが可能である。
前記トナーに含有されるTHF可溶成分は、ゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン(St)換算の重量平均分子量(Mw)が8000乃至300000であることが好ましい。又、上記測定で求められる数平均分子量(Mn)とMwとの比(Mw/Mn)が2.0乃至20.0であることが好ましい。該THF可溶成分が上記範囲にMw及びMw/Mnを有することで、トナーの低温定着性能、耐しみ込み性能、及び、耐オフセット性能が更に良好になる。該Mwが8000未満の場合は、トナーの耐久安定性能、耐オフセット性能と画像積載性能が低下する場合がある。該Mwが300000を越える場合は、トナーの低温定着性能とグロス性能が低下する場合がある。同様に、該Mw/Mnが2.0未満の場合は、トナーの耐久安定性能、耐オフセット性能と画像積載性能が低下する場合がある。該Mw/Mnが20.0を越える場合は、トナーの低温定着性能とグロス性能が低下する場合がある。なお、前記Mwの範囲としては、分子量30000乃至150000であることがより好ましく、分子量50000乃至150000であることが特に好ましい。又、前記Mw/Mnの範囲としては、2.0乃至10.0であることがより好ましく、3.0乃至8.0であることが特に好ましい。
前記Mw及びMw/Mnを上記範囲に有するようにするためには、架橋剤や重合開始剤の種類や添加量、トナーの製造条件等を制御することにより可能となる。
本発明のトナーは、フロー式粒子像分析装置による平均円形度が0.945乃至0.995の範囲であることが好ましい。より好ましくは0.965乃至0.995であり、0.975乃至0.990であることが特に好ましい。該平均円形度が0.945未満であると、現像器内においてトナー粒子の凹部や凸部からトナー粒子が割れやすくなり、割れたトナー粒子が帯電部材等に堆積されて耐久安定性能が低下しやすくなる。本発明のようにシェル用樹脂を含有するトナー粒子においては、トナー粒子間におけるシェル用樹脂の含有状態が不均一であると、該シェル用樹脂がトナー粒子の凹部や凸部を形成して平均円形度が小さい値となりやすく、該シェル用樹脂が現像器内で剥がれやすい。前記平均円形度が0.995より大きいと、トナーが過密に充填されやすく、低温定着性能の向上を目指した場合には、耐久安定性能が低下する場合がある。
また、上記測定によって得られる円形度の標準偏差は、0.050以下であることがトナーの耐久安定性能の観点から好ましい。該標準偏差が0.050を越える場合、トナー粒子の表面からシェル用樹脂が剥がれやすく、トナーの耐久安定性能が低下しやすい。尚、該標準偏差は、0.045以下であることがより好ましく、さらには、0.040以下であることが好ましい。
本発明のトナーは、フロー式粒子像分析装置による個数分布において、2.0μm以下の粒子の含有量が20.0個数%以下であることが好ましい。該粒子の含有量が20個数%を越える場合、現像器内において該粒子が帯電部材等に蓄積されて耐久安定性能が低下しやすくなる。本発明の適用できるトナーのように、シェル用樹脂を含有するトナー粒子においては、トナー粒子表面におけるシェル用樹脂の含有状態が不均一であると、該シェル用樹脂が2μm以下の粒子として検出されやすく、トナーの耐久安定性能が低下しやすい。なお、前記2.0μm以下の粒子の含有量は、15.0個数%以下であることがより好ましく、10.0個数%以下であることが更に好ましく、5.0個数%以下であることが特に好ましい。
次に、本発明のトナーに用いることができる材料およびその製造方法を説明する。
本発明の結着樹脂に用いることができるモノマーとしては、具体的には、例えば以下の化合物を用いることができる。
ビニル系重合体を生成するためのビニル系モノマーとしては以下の化合物が挙げられる。
スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きスチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体。
さらに、以下の化合物が挙げられる。
マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、前記α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマー。
さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
本発明のトナーにおいて、結着樹脂のビニル系重合体ユニットは、ビニル基を二個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよい。この場合に用いられる架橋剤は、芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられる。アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば以下の化合物が挙げられる。エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの。エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの。芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。
多官能の架橋剤としては、以下の化合物が挙げられる。
ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート。
本発明に用いられるハイブリッド樹脂には、ビニル系重合体ユニット成分及びポリエステルユニットの一方の中、又は両方の中に、両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステルユニットを構成するモノマーのうちビニル系重合体ユニットと反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。ビニル系重合体ユニットを構成するモノマーのうちポリエステルユニットと反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットの反応生成物を得る方法としては、それぞれのユニットと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の樹脂の重合反応をさせることにより得る方法が好ましい。
本発明のビニル系重合体を製造する場合に用いられる重合開始剤としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート。
本発明のトナーは、1種又は2種以上のワックスを含有している。本発明に用いることのできるワックスとしては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、オレフィン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素ワックス;酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素ワックスの酸化物;脂肪族炭化水素ワックスのブロック共重合物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックス等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス;及び脱酸カルナバワックス等の脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したもの。エステルワックスとしては、ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリルが挙げられる。
そして、ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物等が挙げられる。
特に好ましく用いられるワックスとしては、分子鎖が短く、且つ、立体障害が少なくモビリティに優れるパラフィンワックス、ポリエチレン、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素ワックスである。
ワックスの分子量分布では、メインピークが分子量350乃至2400の領域にあることが好ましく、分子量400乃至2000の領域にあることがより好ましい。このような分子量分布を持たせることによりトナーに好ましい熱特性を付与することができる。
また、上記ワックスの含有量としては、結着樹脂100質量部に対し3乃至30質量部含有することが好ましい。本発明のトナーは、トナーに含有されるワックスの一部を、トナー製造時に結着樹脂と相溶させ可塑剤として用いる。さらに、定着工程において、トナーに含有されるワックスの一部を結着樹脂と相溶させ可塑剤として用いる。このため、トナーに含有せしめたワックスの全てが離型剤として作用しないため、通常よりも多くのワックスを含有させることが好ましい。ワックスの含有量が3質量部未満であると、耐オフセット性能が低下しやすくなる。ワックスの含有量が30質量部を超える場合、定着工程におけるワックスの吸熱量が多くなりすぎて、低温定着性能が低下しやすくなる。なお、本発明のトナーが有するワックスの含有量としては、5乃至20質量部であることがより好ましく、6乃至14質量部であることが特に好ましい。
上記の如き物性を求めるにあたって、ワックスのトナーからの抽出を必要とする場合には、抽出方法は特に制限されるものではなく、任意の方法が可能である。
一例を挙げると、所定量のトナーをトルエンにてソックスレー抽出し、得られたトルエン可溶分から溶剤を除去した後、クロロホルム不溶分を得る。
その後、IR法などにより同定分析をする。
また、定量に関しては、DSCにより定量分析を行う。
これらのワックス成分の内では、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、60乃至140℃の領域に最大吸熱ピークを有するものが好ましく、60乃至90℃の領域に最大吸熱ピークを有するものがさらに好ましい。上記の温度領域に最大吸熱ピークを有することにより、低温定着に大きく貢献しつつ、離型性をも効果的に発現することができる。この最大吸熱ピークが60℃未満であるとワックス成分の自己凝集力が弱くなり、トナーの耐オフセット性能が低下する場合がある。一方、この最大吸熱ピークが140℃を超える場合、トナーの低温定着性能が低下しやすくなる。
本発明のトナーは、荷電制御剤を使用しても良い。
トナー粒子を負荷電性に制御する荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。
有機金属化合物、キレート化合物、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、ケイ素化合物、ノンメタルカルボン酸系化合物及びその誘導体。
また、トナー粒子を正荷電性に制御する荷電制御剤としては、例えば、以下に示す荷電制御剤を用いることができる。
ニグロシン及び脂肪酸金属塩による変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等)、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート類。これらを単独或いは2種類以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ニグロシン系、4級アンモニウム塩の如き荷電制御剤が特に好ましく用いられる。
上記荷電制御剤は、トナー粒子中の結着樹脂100質量部当り、0.01乃至20質量部、より好ましくは0.5乃至10質量部となる様に含有させるのが良い。
本発明のトナー粒子は、着色剤を含有している。黒色着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、又は以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用される。
シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー用の着色剤として、例えば、以下に示す着色剤を用いることができる。
イエロー着色剤としては、顔料系としては、モノアゾ化合物、ジスアゾ化合物、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、以下の顔料が好適に用いられる。
C.I.ピグメントイエロー3,7,10,12乃至15,17,23,24,60,62,73,74,75,83,93乃至95,99,100,101,104,108乃至111,117,120,123,128,129,138,139,147,148,150,151,154,155,166,168乃至177,179,180,181,183,185,191:1,191,192,193,199、214。
染料系としては、例えば、C.l.ソルベントイエロー33,56,79,82,93,112,162,163、C.I.ディスパースイエロー42,64,201,211が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、モノアゾ化合物、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的には、以下の着色剤が挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、3、5乃至7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、238、254、269、C.I.ピグメントバイオレッド19等が例示できる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が挙げられる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が挙げられる。
これらの着色剤は、単独または混合しさらには固溶体の状態で用いることができる。本発明の着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透明性、トナー中への分散性の点から選択される。該着色剤の添加量は結着樹脂100質量部に対し0.4乃至20質量部となる様に添加して用いられる。
前記コア粒子がスチレン−アクリル樹脂と共に有するポリエステルとしては、2価のアルコール成分としてエーテル結合を有するアルコールを有するポリエステルを有することが好ましい。エーテル結合を有する2価アルコールとして、具体的には、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、下記化1で示されるビスフェノール誘導体;または下記化2で示される化合物をあげることができる。
Figure 0005561927
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基を示し、x,yはそれぞれ1以上の整数を示し、且つx+yの平均値は2乃至10を示す。)
Figure 0005561927
(式中、R’はエチレン、プロピレン、又は、ブチレン基を示す。)
前記シェル用樹脂が、2価のアルコール成分としてエーテル結合を有するアルコールを有するポリエステルであることは、トナーの低温定着性能、耐ブロッキング性能、耐久安定性能、耐オフセット性能、及び、画像保存性能の両立の点で好ましい。主鎖にエーテル結合を多数有することで、コア層と適度な親和性を有するため、シェル用樹脂の添加量が少量の場合にも、コア粒子に対するシェル用樹脂の被覆状態がより均一になりやすい。
上記2価アルコールと組み合わせて用いる多価カルボン酸成分としては、以下の化合物が挙げられる。
フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;琥珀酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6乃至12のアルキル基で置換された琥珀酸若しくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、トリメリット酸。
それらの中でも、特に、前記化1で代表されるビスフェノール誘導体、及び、炭素数2乃至6のアルキルジオールをジオール成分とし、二価のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、炭素数4乃至10のアルキルジカルボン酸、及びこれらの化合物の酸無水物等)を酸成分として、これらを縮重合したポリエステルが、トナーとして、良好な帯電特性を有するので好ましい。
本発明のトナー粒子は磁性体を含有させ磁性トナーとしても使用しうる。この場合、磁性体は着色剤の役割をかねることもできる。本発明において、該磁性体としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライトの如き酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルの如き金属が挙げられる。或いはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムの如き金属との合金及びその混合物が挙げられる。
これらの磁性体は平均粒子径が2μm以下、好ましくは0.1乃至0.5μm程度のものが好ましい。トナー中に含有させる量としては結着樹脂100質量部に対し20乃至200質量部、特に好ましくは40乃至150質量部となる様に含有させるのが良い。
上記磁性体は、796kA/m(10kエルステッド)印加での磁気特性が保磁力(Hc)1.59乃至23.9kA/m(20乃至300エルステッド)、飽和磁化(σs)50乃至200emu/g、残留磁化(σr)2乃至20emu/gの磁性体が好ましい。
また、本発明のトナーには、流動性向上剤として、シリカ、酸化チタンから選ばれる1種以上の無機微粒子又は疎水性シリカ、酸化チタンから選ばれる1種以上の無機微粒子がトナー粒子に外部添加されて混合されることが好ましい。例えば、酸化チタン微粒子、シリカ微粒子、アルミナ微粒子を添加して用いることが好ましく、特にシリカ微粒子を用いることが好ましい。
本発明のトナーに用いられる無機微粉体は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上のもの、特には50乃至400m2/gの範囲のものが良好な結果を与えることができるため好ましい。
さらに、本発明のトナーは、必要に応じて流動性向上剤以外の外部添加剤をトナー粒子に混合されて有していてもよい。
例えば、クリーニング性を向上させる等の目的で、一次粒径が30nmを超える(好ましくは比表面積が50m2/g未満)微粒子をさらにトナー粒子に添加することも好ましい形態の一つである。より好ましくは一次粒径が50nm以上(好ましくは比表面積が30m2/g未満)で球状に近いシリカ、酸化チタンから選ばれる1種以上の無機微粒子又は有機微粒子である。例えば球状のシリカ微粒子、球状のポリメチルシルセスキオキサン微粒子、球状の樹脂微粒子を用いるのが好ましい。
さらに以下に示す他の添加剤を現像性向上剤として少量加えることもできる。
フッ素樹脂粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末;又は酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末の如き研磨剤;ケーキング防止剤;又は例えばカーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸化スズ粉末の如き導電性付与剤;また、逆極性の有機微粒子、およびシリカ、酸化チタンから選ばれる1種以上の無機微粒子これらの添加剤も、その表面を疎水化処理して用いることも可能である。
上述の如き外添剤は、トナー100質量部に対して0.1乃至5質量部(好ましくは0.1乃至3質量部)使用するのが良い。
本発明のトナーに用いるコア粒子を粉砕法により製造する場合は、公知の方法が用いることができる。例えば、結着樹脂、離型剤、荷電制御剤等の成分、およびその他の添加剤をヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合器中で十分混合する。その後、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて熔融混練して、樹脂類をお互いに相熔させる。その中にマグネタイト等の他のトナー材料を分散又は溶解させ、冷却固化、粉砕後に、分級、さらに樹脂微粒子等で表面処理するという多段階の工程によってトナー粒子を得る。得られたトナー粒子に必要に応じて微粉体等を添加して混合することによってトナーを得ることが出来る。分級および表面処理の順序はどちらが先でもよい。分級工程においては生産効率の点からは、多分割分級機を用いることが好ましい。
粉砕工程は、機械衝撃式、ジェット式等の公知の粉砕装置を用いて行うことができる。本発明に係わる特定の円形度を有する現像剤を得るためには、さらに熱をかけて粉砕したり、又は補助的に機械的衝撃を加える処理をすることが好ましい。また、微粉砕(必要に応じて分級)されたトナー粒子を熱水中に分散させる湯浴法、熱気流中を通過させる方法などを用いてもよい。
機械的衝撃力を加える方法としては、例えば川崎重工社製のクリプトロンシステムやターボ工業社製のターボミル等の機械衝撃式粉砕機を用いる方法がある。また、高速回転する羽根によりトナー粒子をケーシングの内側に遠心力により押しつけ、圧縮力、摩擦力等の力によりトナー粒子に機械的衝撃力を加える方法を用いてもよい。このような装置としては、例えば、ホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステムや、奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム等を用いることができる。
また、本発明のトナーは、ディスク又は多流体ノズルを用いて溶融混合物を空気中に霧化し略球状トナー粒子を得る方法や、単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用いて直接トナー粒子を生成する分散重合方法を用いて製造が可能である。さらに、水溶性の極性重合開始剤の存在下で直接重合させてトナー粒子を生成するソープフリー重合方法に代表される乳化重合方法等を用いてトナー粒子を製造する方法、溶解懸濁法、乳化凝集法などでも製造が可能である。
特に好ましい製法として、水系媒体中において、重合性単量体を直接重合して得られる懸濁重合法が挙げられる。
懸濁重合法によるトナー粒子の製造では、一般に、重合性単量体、着色剤、ワックス、荷電制御剤、架橋剤などを、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機等の分散機によって均一に溶解又は分散させる。こうして得られた単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁する。この時、高速撹拌機もしくは超音波分散機のような高速分散機を使用して一気に所望のトナー粒子のサイズとするほうが、得られるトナー粒子の粒度分布がシャープになる。重合開始剤添加の時期としては、予め単量体組成物に加えても良いし、水系媒体中に単量体組成物を懸濁した後に添加しても良い。
懸濁後は、通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持されかつ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。なお、本発明においては、前記懸濁する際に、pHが4乃至10.5であることが好ましい。pHが4未満であると、粒度分布の広いトナーとなる場合がある。またpHが10.5を超えると、トナーの帯電性能が低下する場合がある。
懸濁重合法においては、分散安定剤として公知の界面活性剤や有機・無機分散剤が使用できる。その中でも、無機分散剤は反応温度を変化させても安定性が崩れ難くいため、好ましく使用できる。こうした無機分散剤の例としては、以下の化合物が挙げられる。
リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛の如きリン酸多価金属塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの如き炭酸塩;メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムの如き無機塩;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、ベントナイト、アルミナの如き無機酸化物。
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.2乃至20質量部を単独で又は2種類以上組み合わせて使用することが好ましい。平均粒径が5μm以下であるような、より微粒化されたトナーを目的とする場合には、0.001乃至0.1質量部の界面活性剤を併用しても良い。用いることができる界面活性剤としては、前述と同様である。
これらの無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用しても良いが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中にて該無機分散剤を生成させることが好ましい。具体的には例えば、リン酸三カルシウムの場合、高速撹拌下、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、難水溶性のリン酸三カルシウムを生成させることができ、より均一で細かな分散が可能となる。無機分散剤は、重合終了後酸あるいはアルカリで溶解して、ほぼ完全に取り除くことができる。
前記重合工程においては、重合温度は40℃以上、一般には50乃至90℃の温度に設定して重合を行う。この温度範囲で重合を行うと、重合の進行と共に結着樹脂とワックスが相分離し、ワックスが内包化されたトナーが得られる。重合反応終期において、反応温度を90乃至150℃にまで上げることも好ましい。
本発明のトナーは、一成分系の現像剤として使用することも可能であり、トナーとキャリアとを有する二成分系の現像剤としても使用可能である。
二成分系現像剤として用いる場合には、本発明のトナーとキャリアとを混合した現像剤として使用する。該キャリアは、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、及び、クロム元素から選ばれる元素単独または複合のフェライトで構成される。該キャリアの形状としては、球または略球状、扁平または不定形があり、そのいずれのものも用いることができる。中でも、キャリアは表面に樹脂成分を有し、真密度が2.5乃至4.2g/cm3の磁性キャリアであることが好ましい。
本発明のトナーに組み合わせるキャリアは、上記磁性キャリアであれば特に限定されない。例えば、
(1)磁性体が樹脂中に分散されている磁性体含有樹脂キャリアコアの表面に樹脂成分を含有する磁性体含有樹脂キャリア
(2)多孔質磁性体(多孔質フェライトを含む)に樹脂が含浸された樹脂含浸キャリア
などが挙げられる。
(1)磁性体含有樹脂キャリアについて説明する。
上記磁性体含有樹脂キャリアのコアを製造する方法としては、樹脂を構成するモノマーを磁性体存在下で重合して得る方法がある。
このとき、重合に用いられるモノマーとしては、ビニル系モノマーの他に、エポキシ樹脂を形成するためのビスフェノール類とエピクロロヒドリン;フェノール樹脂を形成するためのフェノール類とアルデヒド類;尿素樹脂を形成するための尿素とアルデヒド類;メラミン樹脂を形成するためのメラミンとアルデヒド類が用いられる。
本発明で用いられる磁性体含有樹脂キャリアを形成する樹脂としてはフェノール樹脂が好ましく、該フェノール樹脂を生成するためのフェノール類としては、フェノールの他、m−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、o−プロピルフェノール、レゾルシノール、ビスフェノールAの如きアルキルフェノール類、及びベンゼン核又はアルキル基の一部又は全部が塩素原子や臭素原子で置換されたハロゲン化フェノール類の如きフェノール性水酸基を有する化合物が挙げられる。中でもフェノール(ヒドロキシベンゼン)がより好ましい。
該フェノール樹脂を生成するためのアルデヒド類としては、ホルマリン又はパラアルデヒドのいずれかの形態のホルムアルデヒド及びフルフラール等が挙げられる。中でもホルムアルデヒドが特に好ましい。
アルデヒド類のフェノール類に対するモル比は、1乃至4が好ましく、特に好ましくは1.2乃至3である。アルデヒド類のフェノール類に対するモル比が1より小さいと、生成する粒子の強度が弱くなる場合がある。一方、アルデヒド類のフェノール類に対するモル比が4よりも大きいと、反応後に水系媒体中に残留する未反応のアルデヒド類が増加する場合がある。
フェノール類とアルデヒド類とを縮重合させる際に使用する塩基性触媒としては、通常のレゾール型樹脂の製造に使用されるものが挙げられる。このような塩基性触媒としては、アンモニア水、ヘキサメチレンテトラミン及びジメチルアミン、ジエチルトリアミン、ポリエチレンイミンの如きアルキルアミンが挙げられる。これら塩基性触媒のフェノール類に対するモル比は、0.02乃至0.30が好ましい。
上記磁性体含有樹脂キャリアコアは、磁性体がマグネタイト微粒子であるか、又は、鉄元素を少なくとも含む磁性フェライト微粒子であることが好ましい。また、キャリアの磁気特性を調整するために、磁性体含有樹脂キャリアに含有させる磁性体の一部を非磁性無機化合物に置き換えて配合してもよい。該非磁性無機化合物がヘマタイト(α−Fe23)の微粒子であることが、キャリア中での分散性を均一にし、キャリアの磁気特性、真密度を調整する上で、より好ましい。非磁性無機化合物は、磁性体よりも比抵抗値が大きい。
磁性体は個数平均粒径が0.02乃至2μmであることが、キャリアの粒子表面の状態を均一にする点で好ましい。非磁性無機化合物は、個数平均粒径が0.05乃至5μmであることが好ましく、非磁性無機化合物の粒径が磁性体の粒径よりも1.1倍以上大きい方が、磁性コア粒子の表面抵抗値をより高める上で好ましい。
磁性体含有樹脂キャリアコアに用いる磁性体の量としては、上記磁性体含有樹脂キャリアコアに対して70乃至95質量%(より好ましくは、80乃至92質量%)であることが、磁性キャリアの真密度を小さくし、機械的強度を十分に確保する上で好ましい。
また、磁性体含有樹脂キャリアコア中の磁性体及び非磁性無機化合物の総量に対して、磁性体は30乃至99質量%含まれていることが、磁性体含有樹脂キャリアコアの磁化の強さを調整してキャリア付着を防止し、さらに、磁性体含有樹脂キャリアコアの比抵抗値を調整する上で好ましい。
フェノール樹脂を用いた磁性体含有樹脂キャリアコアの製造方法としては、例えば、フェノール類とアルデヒド類と磁性体を含有する水性媒体中において、フェノール類とアルデヒド類を塩基性触媒の存在下で重合して磁性体含有樹脂キャリアコアを得ることができる。この方法により磁性体含有樹脂キャリアコアを製造した場合には、平均円形度を上記の範囲に調整しやすいので、この方法は好ましい製造方法である。
上記磁性体含有樹脂キャリアコアを製造する他の方法としては、ビニル系又は非ビニル系の熱可塑性樹脂、磁性体、その他の添加剤を混合機により十分に混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き混練機を用いて溶融・混練して、これを冷却後、粉砕・分級を行って磁性体含有樹脂キャリアコアを得る方法がある。この際、得られた磁性体含有樹脂キャリアコアを熱あるいは機械的に球形化して磁性体含有樹脂キャリアコアとして用いることが好ましい。
上記キャリアコアは、コート樹脂によって表面がコートされていることがトナーへの帯電付与性や離型性の点から好ましい。コート樹脂としては、絶縁性の樹脂を用いることが好ましい。この場合に使用し得る絶縁性樹脂は、熱可塑性の樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよい。
熱可塑性の樹脂の例としては、以下の樹脂が挙げられる。
ポリスチレン;ポリメチルメタクリレートやスチレン−アクリル酸共重合体の如きアクリル樹脂;スチレン−ブタジエン共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体;ポリ塩化ビニル;ポリ酢酸ビニル;ポリフッ化ビニリデン樹脂;フルオロカーボン樹脂;パーフルオロカーボン樹脂;溶剤可溶性パーフルオロカーボン樹脂;ポリビニルアルコール;ポリビニルアセタール;ポリビニルピロリドン;石油樹脂;セルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースの如きセルロース誘導体;ノボラック樹脂;低分子量ポリエチレン;飽和アルキルポリエステル樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリーレートといった芳香族ポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリエーテルケトン樹脂。
熱硬化性樹脂の例としては、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、無水マレイン酸とテレフタル酸と多価アルコールとの重縮合によって得られる不飽和ポリエステル、尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素−メラミン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−グアナミン樹脂、アセトグアナミン樹脂、グリプタール樹脂、フラン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂が挙げられる。
上述した樹脂は、単独でも使用できるが、夫々を混合して使用してもよい。また、熱可塑性樹脂に硬化剤等を混合し硬化させて使用することもできる。特に好ましい形態は、小粒径でかつ離型剤を含有するトナーに対しては、より離型性の高い樹脂を用いることが好適である。
さらに、前記コート樹脂は、導電性を有する粒子や荷電制御性を有する粒子を含有してもよい。このようなコート樹脂は、単独で、又はこの樹脂を形成するモノマーに導電性を有する粒子や荷電制御性を有する粒子を含有させて、適当な方法によりキャリアコアにコートすることが好ましい。これらの粒子は、小粒径で、かつ低温定着性を有するようなトナーに対し、ソフトで素早く帯電を付与するという点で含有することが好ましい。
上記導電性を有する粒子としては、比抵抗が1×108Ωcm以下のものが好ましく、さらには、比抵抗が1×106Ωcm以下のものがより好ましい。導電性を有する粒子は、具体的には、カーボンブラック、マグネタイト、グラファイト、酸化亜鉛、及び酸化錫から選ばれる少なくとも一種以上の粒子を含有する粒子が好ましい。特に導電性を有する粒子としては、良好な導電性を有するカーボンブラックが、トナーへの帯電付与性(帯電量の立ち上がり)を良好にする上で好ましい。
上記導電性を有する粒子は、個数平均粒径が1μm以下であることが、キャリアからの粒子脱落を防止し、また均一な導電サイトとして働く上で好ましい。
上記荷電制御性を有する粒子としては、有機金属錯体の粒子、有機金属塩の粒子、キレート化合物の粒子、モノアゾ金属錯体の粒子、アセチルアセトン金属錯体の粒子、ヒドロキシカルボン酸金属錯体の粒子、ポリカルボン酸金属錯体の粒子、ポリオール金属錯体の粒子が挙げられる。トナー粒子中に分散させる荷電制御剤を用いてもよいが、官能基を有する樹脂粒子や官能基を有する処理剤で処理した無機の粒子を用いることが、トナーへの帯電付与性を良好にするためには好ましい。
荷電制御性を有する粒子は、具体的例には、ポリメチルメタクリレート樹脂の粒子、ポリスチレン樹脂の粒子、メラミン樹脂の粒子、フェノール樹脂の粒子、ナイロン樹脂の粒子、シリカの粒子、酸化チタンの粒子、及びアルミナの粒子から選ばれる少なくとも一種以上の粒子を含有する粒子であることが好ましい。また、無機の粒子の場合には、各種のカップリング剤で処理して用いることが、荷電制御性や導電性を発現するために好ましい。
上記荷電制御性を有する粒子は、個数平均粒径が0.01乃至1.50μmであることが、均一な帯電サイトとして働く上で好ましい。
上記コート樹脂の上記キャリアコアへのコート量は、キャリアコア100質量部に対し、0.1乃至5.0質量部であることが、トナーへの帯電付与性、及び磁性キャリアの耐久性を高める上で好ましい。また上記導電性を有する粒子や荷電制御性を有する粒子の配合量は、前記コート樹脂100質量部に対し、総量で0.1乃至30質量部であることが好ましい。
上記導電性を有する粒子や荷電制御性を有する粒子を、30質量部を超えて添加すると、コート樹脂へそれら粒子が分散しづらくなり、磁性キャリアから前記の粒子が脱離する場合がある。特にカーボンブラックを添加した場合では、耐久するにしたがい、カーボンブラックによるトナーの汚染や部材の汚染を引き起こすことがある。
(2)樹脂含浸キャリアについて説明する。
樹脂含浸キャリアのコアは、多孔質磁性体を用いて製造される。多孔質磁性体の例には、Ca−Mg−Fe系フェライト、Li−Fe系フェライト、Mn−Mg−Fe系フェライト、Ca−Be−Fe系フェライト、Mn−Mg−Sr−Fe系フェライト、Li−Mg−Fe系フェライト及びLi−Rb−Fe系フェライトなどの鉄系酸化物のフェライト磁性体が含まれる。鉄系酸化物のフェライトは、それぞれ金属の酸化物、炭酸塩、硝酸塩などを湿式あるいは乾式にて混合し、所望のフェライト組成となるよう仮焼成することにより得られる。得られた鉄系酸化物のフェライトを、サブミクロンまで粉砕する。粉砕されたフェライトに、粒径を調整するための水をフェライトに対し20乃至50質量%加え、バインダーとして例えばポリビニルアルコール(分子量500乃至10,000)を0.1乃至10質量%加え、さらに孔密度をコントロールするための炭酸カルシウムなどの金属炭酸塩を0.5乃至15質量%添加して、スラリーを調製する。
そのスラリーを、スプレードライヤーなどを用いて造粒を行い、多孔質磁性体を得ることができる。ここで、スラリーの粘度やスプレードライヤーのノズルの大きさなどを適宜に調整することにより、多孔質磁性体の粒径を制御することができる。
このように作製した樹脂含浸キャリアのコアに対し、コート樹脂を含浸させることで樹脂含浸キャリアを作製できる。コート樹脂はどのようなものでもかまわない。例えば、磁性体含有樹脂キャリアで用いた樹脂を用いることができる。
本発明の二成分現像剤および補給用現像剤に用いるキャリアは、体積分布基準の50%粒径(D50)が15乃至70μmである。好ましくは20乃至70μmであり、更に好ましくは25乃至60μmである。磁性キャリアの体積分布基準の50%粒径(D50)がこの範囲の場合、長期にわたり、かぶりも無く、良好なドット再現性の良い画像を得ることができる。キャリアの体積分布基準の50%粒径(D50)が15μm未満である場合には、キャリアの流動性が低下し、トナーの耐久安定性能が低下する場合がある。70μmを超える場合には、キャリア粒径が大きいために、磁気ブラシの密度が粗くなり、画像の粒状感が粗くなる場合がある。
キャリアの粒径は、風力分級機(エルボジェットラボEJ−L3、日鉄鉱業社製)等で分級することで、上記の範囲内にすることができる。
上記体積分布基準の50%粒径(D50)の測定方法は後述する。
キャリアの真密度は2.5乃至4.2g/cm3、好ましくは2.7乃至4.1g/cm3であり、更に好ましくは3.0乃至4.0g/cm3である。キャリアの真密度が小さいために、現像機内でトナーやキャリアが劣化する現象が抑制される。
さらに、トナーとキャリアを含有する補給用現像剤を現像器に補給しながら現像し、現像器内部で過剰になったキャリアを必要に応じて少なくとも現像器から排出する二成分現像方法を用いた場合、キャリアとトナーの比重差が少ないために、過剰になったキャリアが現像剤回収口まで汲み上げられ、現像器内で過剰になったキャリアを効果的に排出することができる。このため、長期にわたり高画質を維持することができる。
上記キャリアの真密度の測定方法は後述する。
キャリアの磁化の強さは、1000/4π(kA/m)の磁界下において40乃至70Am2/kgであることが好ましい。キャリアがこの範囲の場合、長期にわたり、良好なドット再現性の良い画像を得ることができる。キャリアの磁化の強さが40kAm2/kg未満の場合、現像時に感光ドラム上に現像されやすくなりキャリア付着を起こすことがある。キャリアの磁化の強さが70kAm2/kgを超える場合、規制ブレード9と現像スリーブ8の間での現像剤へのストレスが大きくなり、キャリアを劣化させることがある。
上記磁化の強さの測定方法は後述する。
キャリアは、平均円形度が0.85乃至0.95であり、円形度0.80以上の粒子を90個数%以上含有することが好ましい。平均円形度は、好ましくは0.87乃至0.93であり、更に好ましくは0.88乃至0.92である。平均円形度は粒子の丸さの形状を表す係数であり、粒子の最大径と計測した粒子投影面積から求められる。平均円形度が1.00であれば真球状(真円)であることを示し、数値が小さくなるほど細長い、あるいは不定形な形状であることを示す。
キャリアの平均円形度が0.85乃至0.95である場合、十分なキャリア強度を有し、トナーへの帯電付与性に優れ、かつ、トナーやトナー成分の付着も起こりにくく、耐久性に優れる。平均円形度が0.85未満の場合、粒子が不定形な形状をしていることを意味しており、この場合、トナーへの帯電付与性が悪化する場合がある。また、キャリアの平均円形度が0.95を超える場合は、キャリアの比表面積が小さくなり、トナーの帯電性が低下することがある。
キャリアの平均円形度の測定方法は後述する。
トナーとキャリアとを混合して現像器内での二成分現像剤として使用する場合、トナーとキャリアの混合比率はキャリア1質量部に対して、0.02乃至0.35質量部で使用することが好ましく、更に0.04乃至0.25質量部が好ましく、特に0.05乃至0.20質量部が好ましい。0.02質量部未満では画像濃度が低下する場合があり、0.35質量部を超えるとカブリや機内飛散が発生する場合がある。
<ゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の分子量測定>
本発明において、GPCによる重量平均分子量(Mw)、個数平均分子量(Mn)、分子量分布の極大値(Mp)とは、以下の方法によって求められる値である。
測定するサンプルをテトラヒドロフラン(THF)に入れ、室温にて24時間静置する。これを、高速液体クロマトグラフ(HPLC)用ディスポーザブルフィルター「マイショリディスク H−25−5」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、以下の標準サンプルを用いて作成した分子量校正曲線を使用する。Polymer Laboratories社製 標準ポリスチレンEasical PS−1(分子量7500000,841700,148000,28500,2930の混合物、及び、分子量2560000,320000,59500,9920,580の混合物)及びPS−2(分子量377400、96000,19720,4490,1180の混合物、及び、分子量188700,46500,9920,2360,580の混合物)。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
<トナー及び使用する樹脂のTHF可溶成分或いは不溶成分の含有量の測定>
以下に示すソックスレー抽出法により測定される。
円筒濾紙(例えば、東洋濾紙製No.86Rを用いることができる)を、温度40℃で24時間真空乾燥した後、25℃,60%RHの温湿度に調整された環境下に3日間放置する。この円筒濾紙に測定する試料約2.0gを秤量し、このときの試料の重さをW1(g)とする。ソックスレー抽出器を用い、溶媒としてTHF200mlを用い、温度90℃のオイルバスで24時間抽出する。その後、円筒濾紙を静かに取り出して、温度40℃で24時間真空乾燥する。これを温度25℃,湿度60%RHに調整された環境下に3日間放置した後、円筒濾紙に残存する固形分の量を秤量し、これをW2(g)とする。THF可溶成分、或いは不溶成分の含有量は、下記式から算出される。
試料のTHF不溶成分の含有量(質量%)=(W2/W1)×100
試料のTHF可溶成分の含有量(質量%)=100−(W2/W1)×100
THF可溶成分の蛍光X線測定を行うサンプルとしては、上記ソックスレー抽出器により抽出された溶液の溶媒を留去させて樹脂成分を回収し、温度40℃で24時間真空乾燥したものを用いる。
<トナー及び使用する樹脂、ワックスのガラス転移点(Tg)、融点(Tm)、最大吸熱ピークの吸熱量、及び、その半値幅の測定の測定>
本発明において、ガラス転移点(Tg)、最大吸熱ピークの温度、吸熱量、及び、その半値幅の測定は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定する。DSCとしては、具体的には例えば、Q1000(TAインストルメンツ社製)が利用できる。測定方法は、アルミパンに試料4mgを精秤し、リファレンスパンとして空のアルミパンを用い、窒素雰囲気下、モジュレーション振幅1.0℃、周波数1/分で測定する。測定温度は、0℃で10分間保持した後、昇温速度1℃/分で0℃から200℃まで走査して得られたリバーシングヒートフロー曲線をDSC曲線とし、これを用いて中点法によりTgを求める。なお、中点法によって求められたガラス転移点とは、昇温時のDSC曲線において吸熱ピーク前の基線と吸熱ピーク後の基線の中線と、立ち上がり曲線での交点をもってガラス転移点とするものである(図2参照)。
トナーの最大吸熱ピークの温度、吸熱量、及び、その半値幅の測定は、上記と同様に測定して得られたリバーシングヒートフロー曲線において、吸熱ピーク前のベースラインの外挿線から該吸熱ピークが離脱する点と、吸熱ピーク終了後のベースラインの外挿線と該吸熱ピークが接する点とを結んだ直線と吸熱ピークとで囲まれる領域において、該吸熱ピークの極大値となる温度を、最大吸熱ピークの温度とする。該ピークに極大値が2つ以上存在する場合は、前記囲まれる領域において、前記結んだ直線と極大値との長さが長い極大値における温度を、最大吸熱ピークの温度とする。前記囲まれる領域が独立して2つ以上存在する場合にも、前記と同様にして結んだ直線と極大値との長さが長い極大値における温度を、最大吸熱ピークの温度とする。また、最大吸熱ピークの半値幅とは、上記により特定した最大吸熱ピークにおいて、前記と同様にして結んだ直線と極大値との長さの1/2となる点と、該極大値よりも低温側のDSC曲線とを結んだ線の温度幅を、最大吸熱ピークの半値幅とする。
吸熱量は、上記測定で得られたリバーシングヒートフロー曲線において、吸熱ピーク前のベースラインの外挿線から該吸熱ピークが離脱する点と、吸熱ピーク終了後のベースラインの外挿線と該吸熱ピークが接する点とを結んだ直線と吸熱ピークとで囲まれる領域の面積(融解ピークの積分値)より吸熱量(J/g)として求める。前記囲まれる領域が独立して2つ以上存在する場合には、それらを合計して吸熱量とする。
<樹脂の酸価測定>
樹脂の酸価は以下のように求められる。基本操作は、JIS−K0070に準ずる。
試料1g中に含有されている遊離脂肪酸、樹脂の酸基などを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を酸価といい、以下の方法によって測定される。
(1)試薬
(a)溶剤の調製
試料の溶剤としては、エチルエーテル−エチルアルコール混液(1+1または2+1)またはベンゼン−エチルアルコール混液(1+1または2+1)を用いる。これらの溶液は使用直前にフェノールフタレインを指示薬として0.1モル/リットルの水酸化カリウムエチルアルコール溶液で中和しておく。
(b)フェノールフタレイン溶液の調製
フェノールフタレイン1gをエチルアルコール(95v/v%)100mlに溶かす。
(c)0.1モル/リットルの水酸化カリウム−エチルアルコール溶液の調製
水酸化カリウム7.0gをできるだけ少量の水に溶かしエチルアルコール(95v/v%)を加えて1リットルとし、2乃至3日放置後ろ過する。標定はJISK 8006(試薬の含量試験中滴定に関する基本事項)に準じて行う。
(2)操作
試料1乃至20gを正しくはかりとり、これに溶剤100ml及び指示薬としてフェノールフタレイン溶液数滴を加え、試料が完全に溶けるまで十分に振る。固体試料の場合は水浴上で加温して溶かす。冷却後これを0.1モル/リットルの水酸化カリウム−エチルアルコール溶液で滴定し、指示薬の微紅色が30秒間続いたときを中和の終点とする。
(3)計算式
次の式によって酸価を算出する。
A=B×f×5.611/S
A:酸価(mgKOH/g)
B:0.1モル/リットル−水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量(ml)
f:0.1モル/リットル−水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター
S:試料(g)
樹脂の水酸基価は以下のように求められる。基本操作は、JIS−K0070に準ずる。
試料1gを規定の方法によってアセチル化するとき水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を水酸基価といい、以下の方法によって測定される。
(1)試薬
(a)アセチル化試薬の調製
無水酢酸25mlをメスフラスコ100mlに入れ、ピリジンを加えて全量を100mlにし、十分に振りまぜる。(場合によっては、ピリジンを追加しても良い)。アセチル化試薬は、湿気、炭酸ガス及び酸の蒸気に触れないようにし、褐色びんに保存する。
(b)フェノールフタレイン溶液の調製
フェノールフタレイン1gをエチルアルコール(95v/v%)100mlに溶かす。
(c)0.2モル/リットルの水酸化カリウム−エチルアルコール溶液の調製
水酸化カリウム35gをできるだけ少量の水に溶かし、エチルアルコール(95v/v%)を加えて1リットルとし、2乃至3日放置後ろ過する。標定はJISK 8006によって行う。
(2)操作
試料0.5乃至20gを丸底フラスコに正しくはかりとり、これにアセチル化試薬5mlを正しく加える。フラスコの口に小さな漏斗をかけ、温度95乃至100℃のグリセリン浴中に底部約1cmを浸して加熱する。このときフラスコの首が浴の熱を受けて温度が上がるのを防ぐために、中に丸い穴をあけた厚紙の円盤をフラスコの首の付け根にかぶせる。1時間後フラスコを浴から取り出し、放冷後漏斗から水1mlを加えて振り動かして無水酢酸を分解する。さらに分解を完全にするため、再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱し、放冷後、エチルアルコール5mlで漏斗及びフラスコの壁を洗い、フェノールフタレイン溶液を指示薬として0.2モル/リットルの水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定する。尚、本試験と並行して空試験を行う。場合によっては、指示薬としてKOH−THF溶液にしても構わない。
(3)計算式
次の式によって水酸基価を算出する。
A={(B−C)×f×28.05/S}+D
A:水酸基価(mgKOH/g)
B:空試験の0.5モル/リットル−水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量(ml)
C:本試験の0.5モル/リットル−水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量(ml)
f:0.5モル/リットル−水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター
S:試料(g)
D:酸価(mgKOH/g)
<トナーの平均円形度、円形度の標準偏差、2μm以下の粒子の含有量の測定>
フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって測定する。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
測定には、対物レンズとして「UPlanApro」(倍率10倍、開口数0.40)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定し、トナー粒子の平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.985乃至200.0μmに限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
また、2μm以下の粒子の含有量は、上記の測定により求められる円相当径が1.985μm未満の粒子数の全粒子数に対する個数%から求めた。
<トナーの粒子径測定>
トナーの重量平均粒子径D4(μm)、個数平均粒子径D1(μm)は、具体的には以下の方法により測定することができる。
装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行なう。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行なう前に、以下のように専用ソフトの設定を行なった。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定した時の、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、グラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
<THF可溶成分が有するスルホン酸基に由来する硫黄元素含有量、シェル用樹脂が有するスルホン酸基の含有量、トナーが有するシリカ、酸化チタンの含有量の測定>
波長分散型蛍光X線「Axios advanced」(PANalytical(パナリティカル)社製)を用いて測定した。サンプル約3gを、27mm測定用の塩化ビニル製リングに入れ、200kNでプレスし、試料を成型した。使用したサンプル量と成形後の試料の厚みを測定し、含有量算出のための入力値として上記の含有量を求めた。分析条件及び解析条件は下記に示す。
分析条件
・定量方法:ファンダメンタルパラメータ法
・分析元素:周期表におけるホウ素B乃至ウランUまでの各元素について測定
・測定雰囲気:真空
・測定サンプル:固体
・コリメーターマスク径:27mm
・測定条件:各元素に最適な励起条件にあらかじめ設定された自動プログラムを用いた
・測定時間:約20分
・その他は装置の推奨する一般値を用いた
解析
・解析プログラム:UniQuant5
・解析条件:酸化物形態
・バランス成分:CH2
・その他は装置の推奨する一般値を用いた
<定荷重細管押し出し式レオメーターによるトナーの粘度測定>
本発明における定荷重細管押し出し式レオメーターによるトナーの粘度測定の方法について述べる。装置としては、例えば、流動特性評価装置「フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、下記の条件で測定を行う。
・サンプル:トナーの真密度をρとしたとき、(1.0×ρ)gのトナーを秤量し、これ を加圧成型器を用い、常温常圧環境下において200kgf(1960N)の荷重で2 分間加圧成型し、直径約10mm、高さ約10mmの円柱状に成型してサンプルとする 。
・シリンダ圧力:9.81×105(Pa)
・測定モード:昇温法
・昇温速度:4.0℃/分
・余熱時間:5.0分
・ダイ:ダイ長さ1.0mm、ダイ径0.5mmであり、ダイ表面が鏡面研磨されたダイ を使用
・測定環境:温度23℃湿度60%
・測定開始温度:25.0℃
上記測定により得られた温度−粘度曲線のグラフより、粘度5000Pa・sとなる温度、及び粘度1000Pa・sとなる温度を読みとって、それぞれF1(℃)、及びF2(℃)の値とする。
<シェル用樹脂の微粒子の粒子径測定>
シェル用樹脂の微粒子の体積平均粒子径(D3s)、体積分布の10%粒子径(D3s10)、90%粒子径(D3s90)は、例えば、MICROTRAC UPA MODEL:9232(Leeds and Northrup社製)で測定することができる。測定条件としては、下記に示す条件とする。
Particle Material:Latex
Transparent Particles:Yes
Spherical Particles:Yes
Particle Refractive Index:1.59
Fluid:water
<無機微粒子の一次粒子径の測定方法>
上記無機微粉体の数平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(S4700、日立製作所)により拡大撮影(10万倍)したトナーの写真と、更に走査型電子顕微鏡に付属させたX線マイクロアナライザ(XMA)等の元素分析手段によって無機微粉体の含有する元素がマッピングされたトナーの写真とを対照して測定する。撮影した写真から100個の粒子について、一次粒子の最長辺をa、最短辺をbとしたとき、(a+b)/2として求め、その個数平均値をもって一次粒子径とした。
<キャリアの体積分布基準の50%粒径(D50)及び平均円形度>
キャリアの体積分布基準の50%粒径(D50)及び平均円形度は、例えばマルチイメージアナライザー(ベックマン・コールター社製)を用いて、以下のようにして測定される。
約1%NaCl水溶液とグリセリンとを、50体積%:50体積%で混合した溶液を電解液として用いる。ここでNaCl水溶液は、一級塩化ナトリウムを用いて調製されればよく、例えばISOTON(登録商標)−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)であってもよい。グリセリンは、特級あるいは一級の試薬であればよい。
電解液(約30ml)に、分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン塩酸)を、0.1乃至1.0ml加え、さらに測定試料を2乃至20mg加える。試料が懸濁された電解液を、超音波分散器で約1分間分散処理して、分散液を得る。
アパーチャーとして200μmアパーチャー、20倍のレンズを用いて、以下の測定条件で円相当径および円形度を算出する。
測定フレーム内平均輝度:220乃至230
測定フレーム設定:300
SH(スレシュホールド):50
2値化レベル:180
ガラス測定容器に電解液、および前記分散液を入れて、測定容器中のキャリア粒子の濃度を5乃至10体積%とする。ガラス測定容器内容物を最大撹拌スピードで撹拌する。サンプルの吸引圧を10kPaにする。キャリア比重が大きく沈降しやすい場合は、測定時間を15乃至30分とする。また、5乃至10分ごとに測定を中断して、サンプル液の補充および電解溶液−グリセリン混合溶液の補充を行う。
測定個数は2000個とする。測定終了後、本体ソフトにより、粒子画像画面でピンぼけ画像、凝集粒子(複数同時測定)などの除去を行う。
キャリアの円形度および円相当径は、下記式で算出される。
円形度=(4×Area)/(MaxLength2×π)
円相当径=√(4・Area/π)
ここで、「Area」とは二値化されたキャリア粒子像の投影面積であり、「MaxLength」とは該キャリア粒子像の最大径と定義される。円相当径は、「Area」を真円の面積としたときの真円の直径で表される。円相当径は、4乃至100μmを256分割され、体積基準で対数表示して用いる。これを用い、体積分布基準の50%粒径(D50)を求める。平均円形度は、各粒子の円形度を足し合わせ、全粒子数で割った値を平均円形度とする。
<トナー、キャリアの真密度の測定>
トナー、キャリアの真密度は、気体置換型ピクノメータを用いる方法により測定することができる。測定原理は、一定体積の試料室(体積V1)と比較室(体積V2)との間に遮断弁を設け、予め質量(M0(g))を測定したのちサンプルを試料室に入れる。試料室及び比較室内をヘリウムの如き不活性ガスで充満し、そのときの圧力をP1とする。遮断弁を閉じ、試料室のみ不活性ガスを加える。そのときの圧力をP2とする。遮断弁を開き、試料室と比較室とを接続したときの系内の圧力をP3とする。下記式Aにより、サンプルの体積(V0(cm3))を求めることができる。下記式Bにより、トナー、キャリアの真密度ρ(g/cm3)を求めることができる。
V0=V1−[V2/{(P2−P1)/(P3−P1)−1}] (式A)
ρ=M0/V0 (式B)
上記の方法として、本発明では乾式自動密度計アキュピック1330(島津製作所(株)社製)を用いて測定した。この際、10cm3の試料容器を用い、試料前処理としてはヘリウムガスパージを最高圧19.5psig(134.4kPa)で10回行う。この後、容器内圧力が平衡に達したか否かの圧力平衡判定値として、試料室内の圧力の振れが0.0050psig/minを目安とし、この値以下であれば平衡状態とみなして測定を開始し、真密度を自動測定する。測定は5回行い、その平均値を求めて真密度(g/cm3)とする。
<キャリアの磁化の強さの測定>
本発明の補給用現像剤に含まれるキャリアの磁化の強さは、振動磁場型磁気特性装置VSM(Vibrating sample magnetometer)や直流磁化特性記録装置(B−Hトレーサー)などで求めることが可能である。好ましくは、振動磁場型磁気特性装置で測定できる。振動磁場型磁気特性装置の例には、理研電子(株)製の振動磁場型磁気特性自動記録装置BHV−30が含まれる。これを用いて、以下の手順で測定することができる。円筒状のプラスチック容器にキャリアを十分に密に充填し、一方で1000/4π(kA/m)(1000エルステッド)の外部磁場を作り、この状態で容器に充填されたキャリアの磁化モーメントを測定する。さらに、該容器に充填したキャリアの実際の質量を測定して、キャリアの磁化の強さ(Am2/kg)を求める。
以下、本発明を製造例及び実施例により具体的に説明するが、これらは本発明をなんら限定するものではない。
(シェル用樹脂1の製造例)
冷却管、撹拌機、窒素導入管を備えた反応容器に、下記原料を入れ、常圧下、260℃で8時間反応させた後、240℃に冷却し、1時間かけて1mmHgに減圧した。さらに3時間反応させてスルホン酸基を有するポリエステルを得た。
(アルコールモノマー)
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
(BPA−PO): 110質量部
・ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
(BPA−EO): 34質量部
・エチレングリコール: 60質量部
(酸モノマー)
・テレフタル酸: 80質量部
・イソフタル酸: 70質量部
・無水トリメリット酸: 5質量部
・5−ナトリウムスルホイソフタル酸: 3.7質量部
(触媒)
・テトラブチルチタネート: 0.3質量部
冷却管、撹拌機、窒素導入管を備えた反応容器に、上記ポリエステルを100質量部、メチルエチルケトンを50質量部、テトラヒドロフランを50質量部入れ、撹拌しつつ75℃に加熱した。これに75℃の水300質量部を添加し、1時間撹拌した。90℃に加熱して3時間、95℃で2時間撹拌した後、30℃に冷却してシェル用樹脂1の水分散液を得た。
シェル用樹脂1の水分散液の粒子径測定、及び、ゼータ電位測定を行った。また、シェル用樹脂1の水分散液をアルミシャーレに入れ、40℃の温風乾燥器で3日間乾燥し、さらに40℃の減圧乾燥器で1日間乾燥させて固化させた。これを用いて、DSCによるガラス転移点(Tg)の測定、スルホン酸基の含有量の測定、THF可溶成分のMw、Mw/Mnの測定、THF不溶成分の含有量の測定を行った。該測定によって得られたシェル用樹脂1の物性を表2に示す。
(シェル用樹脂2乃至5の製造例)
表1に示す以外は、シェル用樹脂の製造例1と同様にして、シェル用樹脂2乃至5の水分散液を得た。シェル用樹脂の製造例1と同様にして、シェル用樹脂2乃至5の物性測定を行った。これらの物性を表2に示す。
Figure 0005561927
Figure 0005561927
(極性樹脂の製造例1)
冷却管、撹拌機、窒素導入管を備えた反応容器に、下記原料を入れ、常圧下、260℃で8時間反応させた後、240℃に冷却し、1時間かけて1mmHgに減圧した。さらに3時間反応させて極性樹脂を得た。
(アルコールモノマー)
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
(BPA−PO): 110質量部
・ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
(BPA−EO): 51質量部
・エチレングリコール: 56質量部
(酸モノマー)
・テレフタル酸: 74質量部
・イソフタル酸: 79質量部
・無水トリメリット酸: 5質量部
(触媒)
・テトラブチルチタネート: 0.3質量部
上記極性樹脂の物性は、DSCによるTgは69.4℃、Mwは23600、Mw/Mnは2.51、THF不溶成分の含有量は1.8質量%であった。
(コア粒子1の水分散液の製造例)
・スチレン: 65質量部
・n−ブチルアクリレート: 35質量部
・ピグメントブルー15:3 : 6質量部
・サリチル酸アルミニウム化合物: 1質量部
(ボントロンE−88:オリエント化学社製)
・ジビニルベンゼン: 0.024質量部
・上記極性樹脂の製造例で得た極性樹脂: 2.5質量部
・ワックス: 8質量部
(HNP−10:日本精蝋社製)
からなる単量体の混合物を調製した。これに15mmのセラミックビーズを入れ、アトライターを用いて2時間分散して、単量体組成物を得た。
イオン交換水700質量部に、0.1モル/リットルのNa3PO4水溶液450質量部を投入し、70℃に加温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、10,000rpmにて撹拌した。これに1.0モル/リットルのCaCl2水溶液68質量部を添加し、リン酸カルシウム塩を含む水分散液を得た。
上記単量体組成物に重合開始剤である1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの70%トルエン溶液9.5質量部を添加し、これを上記分散系に投入した。前記高速撹拌装置にて12000回転/分を維持しつつ3分間の造粒工程を行った。その後、高速撹拌装置からプロペラ撹拌羽根に撹拌機を代え、150回転/分で10時間重合を行った。30℃に冷却して、コア粒子1の水分散液を得た。
上記水分散液の一部を取り出し、該水分散液を150回転/分で撹拌しながら塩酸を滴下して水分散液のpHを1.5にした。そのまま2時間撹拌した後、ろ過と水による洗浄を3回繰り返した。これを40℃の減圧乾燥器で1日間乾燥して、コア粒子1を取り出した。
コア粒子1について、DSCによるTgの測定を行った。また、前記コア粒子1の水分散液を用いて、粒子径の測定、及びゼータ電位の測定を行った。これらのコア粒子1の物性を表3に示す。
(コア粒子2乃至4の水分散液の製造例)
表3に示す材料の添加量を変更した以外は、コア粒子1の水分散液の製造例と同様にして、コア粒子2乃至4の水分散液を得た。
コア粒子2乃至4の水分散液について、コア粒子1の水分散液の製造例と同様にして、コア粒子2乃至4の物性測定を行った。コア粒子2乃至4の物性を表3に示す。
Figure 0005561927
<実施例1>
(被覆処理工程)
前記コア粒子の1の水分散液について、水分散液の質量に対する固形分の質量から固液比を求めた。
冷却管、撹拌機、窒素導入管を備えた反応容器に、上記コア粒子1の水分散液1040質量部(コア粒子の含有量:100質量部)を投入して、150回転/分で撹拌した。撹拌を保持したまま、これに、シェル用樹脂1の製造例で得たシェル用樹脂1の水分散液20質量部(シェル用樹脂の含有量:5質量部)を0.5質量部/分の速度で滴下し、複合体の水分散液を形成した。
(固定処理工程)
撹拌を保持したまま、上記複合体の水分散液を加熱し、コア粒子1のTg0+10.0(℃)の温度に設定して、2時間撹拌した(加熱工程1)。
撹拌を保持したまま、上記複合体の水分散液に0.2モル/リットルの塩酸を滴下し、3時間かけて該水分散液のpHを1.6にした(酸処理工程)。
さらに、撹拌を保持したまま、上記複合体の水分散液に、1モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加し、該水分散液のpHを7.0にした。シェル用樹脂1のTg2−2.0(℃)に加熱し、2時間撹拌を続けた(加熱工程2)。
(乾燥工程)
20℃まで冷却し、ろ過と水洗浄を3回繰り返した後、35℃に保持した減圧乾燥器で1日間乾燥してトナー粒子1を得た。
(混合工程)
次に、下記からなる混合物をヘンシェルミキサーで混合し、トナー1を得た。
・上記トナー粒子1: 100質量部
・n−C49Si(OCH33で処理した疎水性酸化チタン
(BET比表面積:120m2/g): 0.9質量部
・ヘキサメチルジシラザン処理した後シリコーンオイルで処理した疎水性シリカ
(BET比表面積が180m2/g): 0.9質量部
上記トナー1を用い、表5及び表6に示す物性を測定した。また、トナー1について後述する評価を行った。トナー1の物性を表5、表6に、評価結果を表7に示す。
<実施例2乃至7>
実施例1において、原材料の使用量、シェル用樹脂の水分散液の添加速度、加熱工程1、酸処理工程、加熱工程2、及び外添工程を表4に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様にして、トナー2乃至7を得た。実施例1と同様にして、トナー2乃至7の物性の測定、及び評価を行った。各トナーの物性を表5、表6に、評価結果を表7に示す。
<比較例1及び2>
実施例1において、原材料の使用量、シェル用樹脂の水分散液の添加速度、加熱工程1、酸処理工程、加熱工程2、及び外添工程を表4に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様にして、トナー8及び9を得た。実施例1と同様にして、トナー8及び9の物性の測定、及び評価を行った。トナー8及び9の物性を表5、表6に、評価結果を表7に示す。
<比較例3>
実施例1において、原材料の使用量、シェル用樹脂の水分散液の添加速度、加熱工程1、加熱工程2、及び外添工程を表4に示す条件に変更し、酸処理工程を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、トナー10を得た。トナー10の物性の測定、及び評価を行った。トナー10の物性を表5、表6に、評価結果を表7に示す。
<比較例4>
・スチレン: 65質量部
・n−ブチルアクリレート: 35質量部
・ピグメントブルー15:3 : 6質量部
・サリチル酸アルミニウム化合物: 1質量部
(ボントロンE−88:オリエント化学社製)
・ジビニルベンゼン: 0.024質量部
・極性樹脂の製造例で得た極性樹脂: 5.0質量部
・ワックス: 8質量部
(HNP−10:日本精蝋社製)
からなる単量体の混合物を調製した。これに15mmのセラミックビーズを入れ、アトライターを用いて2時間分散して、単量体組成物を得た。
イオン交換水700質量部に、0.1モル/リットルのNa3PO4水溶液450質量部を投入し、70℃に加温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、10,000rpmにて撹拌した。これに1.0モル/リットルのCaCl2水溶液68質量部を添加し、リン酸カルシウム塩を含む水分散液を得た。
上記単量体組成物に重合開始剤である1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの70%トルエン溶液9.5質量部を添加し、これを上記分散系に投入した。前記高速撹拌装置にて12000回転/分を維持しつつ3分間の造粒工程を行った。その後、高速撹拌装置からプロペラ撹拌羽根に撹拌機を代え、150回転/分で重合を行った。
5時間経過した時点で、下記工程によりシード重合を行った。
・スチレン: 8.39質量部(83.9質量%)
・n−ブチルアクリレート: 1.43質量部(14.3質量%)
・メタクリル酸: 0.18質量部(1.8質量%)
前記反応容器に、上記化合物の混合物と、イオン交換水35質量部に溶解させた2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド(VA−086 和光純薬工業社製):0.1質量部とを、同時にそれぞれ30分かけて滴下した。そのまま5時間重合を継続した。
30℃に冷却した後、該水分散液を150回転/分で撹拌しながら塩酸を滴下して水分散液のpHを1.5にした。そのまま2時間撹拌した後、ろ過と水による洗浄を3回繰り返した。これを35℃の減圧乾燥器で1日間乾燥して、トナー粒子を得た。
実施例1と同様にして外添工程を経て、トナー11を得た。トナー11の物性の測定、及び評価を行った。トナー11の物性を表5、表6に、評価結果を表7に示す。
<比較例5>
比較例4において、スチレンの添加量を55質量部、n−ブチルアクリレートの添加量を45質量部とし、極性樹脂の製造例で得た極性樹脂の添加量を30.0質量部とし、シード重合の工程を行わずに10時間重合し、外添工程を表4に示す条件に変更した以外は、比較例4と同様にしてトナー12を得た。トナー12の物性の測定、及び評価を行った。トナー12の物性を表5、表6に、評価結果を表7に示す。
Figure 0005561927
Figure 0005561927
Figure 0005561927
Figure 0005561927
<耐ブロッキング性能の評価方法>
トナー5gを100mlのポリカップに計りとり、50℃に調整した温風乾燥器と25℃に調整した室内に入れ1週間静置した。ポリカップを静かに取り出し、ゆっくりと回転させたときのトナーの流動性を、50℃で静置したトナーと25℃で静置したトナーとで比較し、目視により評価した。
耐ブロッキング性能の評価基準
A:25℃で静置したトナーと比較して、50℃で静置したトナーの流動性が同等である (耐ブロッキング性能が優れる)
B:25℃で静置したトナーと比較して、50℃で静置したトナーの流動性がやや劣るが 、ポリカップの回転に伴い徐々に流動性が回復する(耐ブロッキング性能が良好であ
る)
C:50℃で静置したトナーは、凝集し融着した塊状物が見られる(耐ブロッキング性能 が劣る)
D:50℃で静置したトナーが流動しない(耐ブロッキング性能が特に劣る)
<低温定着性能、耐オフセット性能、耐しみ込み性能、及び、色域性能の評価方法>
市販のカラーレーザープリンター(LBP−5400,キヤノン製)を使用し、シアンカートリッジのトナーを取り出して、これにトナーを充填し、該カートリッジをシアンステーションに装着した。次いで、受像紙(キヤノン製オフィスプランナー 64g/m2)上に、縦2.0cm横15.0cmの未定着のトナー画像(0.5mg/cm2)を、通紙方向に対し上端部から2.0cmの部分と下端部から2.0cmの部分に形成した。次いで、市販のカラーレーザープリンター(LBP−5400,キヤノン製)から取り外した定着ユニットを定着温度とプロセススピードが調節できるように改造し、これを用いて未定着画像の定着試験を行った。常温常湿下、プロセススピードを280mm/秒に設定し、120℃乃至240℃の範囲で設定温度を10℃おきに変化させながら、各温度で上記トナー画像の定着を行った。下記評価基準に従って、低温定着性能、耐オフセット性能、グロス性能、耐しみ込み性能を評価した。
[低温定着性能の評価基準]
A:120℃以上で低温オフセットが発生せず、指でこすってもトナーが剥がれない(低
温定着性能が特に優れている)
B:130℃以上で低温オフセットが発生せず、指でこすってもトナーが剥がれない(低
温定着性能が良好である)
C:140℃以上で低温オフセットが発生せず、指でこすってもトナーが剥がれない(低
温定着性能が問題ないレベルである)
D:150℃以上で低温オフセットが発生せず、指でこすってもトナーが剥がれない(低
温定着性能がやや劣る)
E:160℃以上で低温オフセットが発生せず、指でこすってもトナーが剥がれない(低
温定着性能が劣る)
[耐オフセット性能の評価基準]
A:低温オフセットが発生しない最低温度より50℃以上高い温度領域で高温オフセット
が発生しない
B:低温オフセットが発生しない最低温度より40℃以上高い温度領域で高温オフセット
が発生しない
C:低温オフセットが発生しない最低温度より30℃以上高い温度領域で高温オフセット
が発生しない
D:低温オフセットが発生しない最低温度より20℃以上高い温度領域で高温オフセット
が発生しない
E:低温オフセットが発生しない最低温度より10℃以上高い温度領域で高温オフセット
が発生しない
[グロス性能の評価基準]
低温オフセット及び高温オフセットが発生しなかった定着画像について、ハンディ光沢度計グロスメーターPG−3D(日本電色工業製)を用いて、光の入射角75°の条件で測定し、以下の基準で評価した。
A:ベタ画像部の光沢度の最高値が45以上である(グロス性能が特に優れている)
B:ベタ画像部の光沢度の最高値が40以上45未満である(グロス性能が優れている)
C:ベタ画像部の光沢度の最高値が35以上40未満である(グロス性能が通常のレベルである)
D:ベタ画像部の光沢度の最高値が30以上35未満である(グロス性能がやや劣る)
E:ベタ画像部の光沢度の最高値が30未満である(グロス性能が劣る)
<画像保存性能の評価>
グロス性能の評価において、光沢度が最高値となった画像の定着紙について、以下の評価を行った。該定着紙の画像部を下向きにして、同じ種類で未使用の紙500枚の上に乗せた。さらに該定着紙の上から、同じ種類で未使用の紙を500枚乗せて、該定着紙を挟み込んだ。これを40℃の恒温槽に静置した。このまま2日間静置した後、それぞれ恒温槽から取り出した。前記定着紙の画像部と接触した未使用の紙に、定着紙のトナーが付着する様子を、以下の基準で評価した。
A:定着紙からのトナーの付着が観察されない(画像保存性能が特に優れている)
B:画像部の面積に対し、極めて僅かなトナーの付着がみられる(画像保存性能が優れて いる)
C:画像部の面積に対し、僅かなトナーの付着がみられる(画像保存性能が通常のレベル である)
D:画像部の面積に対し、全体的にトナーの付着がみられるが、付着した部分の色は薄い (画像保存性能がやや劣る)
E:未使用の紙に色の濃い部分がみられ、明らかなトナーの付着がみられる(画像保存性 能が劣る)
<耐久安定性能の評価>
市販のカラーレーザープリンター(LBP−5400,キヤノン製)を使用し、シアンカートリッジのトナーを取り出して、これにトナーを60g充填した。該カートリッジをシアンステーションに装着し、受像紙(キヤノン製オフィスプランナー 64g/m2)上に、ベタ画像の連続印字を行った。カートリッジ内のトナーが40g以下となった時点で、トナーを20g追加し、同様に連続印字を行う、という作業を繰り返した。下記評価基準に従って、耐久安定性能を評価した。
(耐久安定性能の評価基準)
A:トナーを追加した量が4回追加した後に、ベタ画像濃度が1.5未満となる。(耐久安定性能が特に優れている)
B:トナーを3回追加した後に、ベタ画像濃度が1.5未満となる。(耐久安定性能が良好である)
C:トナーを2回追加した後に、ベタ画像濃度が1.5未満となる。(耐久安定性能が通常のレベルである)
D:トナーを1回追加した後に、ベタ画像濃度が1.5未満となる。(耐久安定性能がやや劣る)
E:トナーを追加することなく、ベタ画像濃度が1.5未満となる。(耐久安定性能が劣る)
実施例1で作成したトナーについて、本発明で規定するT1、T2及びαを測定した結果を示す図である。 DSCによるトナー、樹脂、ワックスのガラス転移点Tg(℃)、融点Tm(℃)を測定する方法を示す図である。

Claims (7)

  1. 結着樹脂、着色剤及びワックスを含有するコア粒子、並びに、該コア粒子を被覆しているシェルを有するトナー粒子と、該トナー粒子の表面に付着している無機微粒子と、を有するトナーであって、
    該シェルは、該シェル用の樹脂を
    体積平均粒子径(D3s)が5〜500nm、かつ、
    体積分布の10%粒子径(D3s10)と該D3sとの比(D3s/D3s10)が1.0〜10.0
    の微粒子に成形した後、該微粒子を該コア粒子に被覆させることで形成されており、
    該シェル用の樹脂は、スルホン酸基を0.78〜2.11質量%含有し、
    該トナーは、
    (i)示差走査熱量計(DSC)によるガラス転移点(Tg1)が25.0〜60.0℃であり、
    (ii)温度23.0℃及び湿度60%RHにおける凝集度をA0としたとき、該A0が70.0%以下であり、
    (iii)該トナーを72時間静置した後のトナーの凝集度がA0+10.0%になる温度をT1(℃)とし、該トナーを72時間静置した後のトナーの凝集度が98.0%になる温度をT2(℃)としたとき、
    T1(℃)とTg1(℃)との差(T1−Tg1)が5.0〜40.0℃であり、
    T1(℃)とT2(℃)との間での凝集度の変化率α
    α={98.0−(A0+10.0)}/(T2−T1)
    が15.0〜50.0である、
    ことを特徴とするトナー。
  2. 前記トナーは、定荷重細管押し出し式レオメーターによる粘度測定において、粘度5000Pa・sとなる温度をF1(℃)とし、粘度1000Pa・sとなる温度をF2(℃)としたとき、
    該F1(℃)が75.0〜115.0℃であり、
    該F1(℃)と該F2(℃)との差(F2−F1)が8.0〜40.0℃である
    請求項1に記載のトナー。
  3. 前記トナーは、前記シェル用の樹脂を、前記トナー全質量に対して1.0〜10.0質量%有し、
    前記シェル用の樹脂のガラス転移点をTg2(℃)としたとき、該Tg2と前記Tg1(℃)との差(Tg2−Tg1)が10.0〜50.0℃である
    請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記トナーは、テトラヒドロフラン(THF)不溶成分を3.0〜45.0質量%含有し、
    前記トナーに含有されるテトラヒドロフラン(THF)可溶成分は、スルホン酸基に由来する硫黄元素を0.010〜1.000質量%含有する
    請求項1〜3のいずれかに記載のトナー。
  5. 前記トナーは、前記無機微粒子として、シリカ及び酸化チタンから選ばれる1種以上の微粒子を、トナー全質量に対して0.50〜3.00質量%有する請求項1〜4のいずれかに記載のトナー。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載のトナーの製造方法であって、
    該製造方法は、
    スルホン酸基を0.78〜2.11質量%含有するシェル用の樹脂が微粒子の状態で水中に分散したシェル用の樹脂の微粒子の分散液(1)を調製する工程と、
    結着樹脂、着色剤及びワックスを含有するコア粒子と、分散安定剤と、水とを有し、該コア粒子の表面に該分散安定剤が吸着して水中に分散した状態を形成しているコア粒子の分散液(2)を調製する工程と、
    該分散液(2)に該分散液(1)を添加して複合体の分散液を調製し、該コア粒子の表面に、該分散安定剤を媒介として、該シェル用の樹脂の微粒子が該コア粒子の表面に吸着して被覆している状態を形成する被覆処理工程と、
    該複合体の分散液を加熱し、該媒介として存在する該分散安定剤を媒介状態から解放し、該コア粒子と該シェル用の樹脂の微粒子とを直接に接触させ、該コア粒子を被覆しているシェル用の樹脂の微粒子を該コア粒子の表面に固定化してトナー粒子を形成する固定処理工程と、
    該トナー粒子を回収して乾燥させて、粉体のトナー粒子を得る乾燥工程と、
    該トナー粒子と無機微粒子とを混合してトナーを得る混合工程と
    を有し、
    該シェル用の樹脂の微粒子の体積平均粒子径(D3s)が5〜500nmであり、かつ、体積分布の10%粒子径(D3s10)と該D3sとの比(D3s/D3s10)が1.0〜10.0である
    ことを特徴とするトナーの製造方法。
  7. 前記シェル用の樹脂の微粒子の体積平均粒子径(D3s)が15〜150nmである請求項に記載のトナーの製造方法。
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