JP4123753B2 - ジスアゾ顔料、その製造方法及び印刷インキ組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジスアゾ顔料に関し、詳細には従来のジスアゾ顔料に比較して短時間でフラッシングが可能で且つフラッシング排水が清澄であり、得られた印刷インキの透明性、濃度に優れたジスアゾ顔料、およびこれを配合した印刷インキに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プロセスのオフセットインキはウェットケーキをフラッシングしてインキ化する方法とウェットケーキの乾燥物を3本ロール、サンドミル、ショットミルを用いて分散しインキ化する方法に大別されるが、大量生産及びインキの品質において前者の方法が格段に優れている。
【0003】
近年、インキの生産性向上がインキ単価の低減の中でクローズアップされてきた。生産性の向上のためにはウェットケーキをフラッシングする工程での時間の短縮が必須条件である。また、現実には生産時間の短縮のため充分にフラッシャーが冷却しないうちに次ぎのフラッシングを開始しており、熱によるインキの品質劣化が生じている。従って、フラッシング工程での時間の短縮はフラッシャー内での熱による品質劣化を防ぐ上でも重要である。またフラッシング性不良によるフラッシング排水の着色はBOD及びCODの増加を伴いその処理費用もコストアップの要因に繋がって問題視されている。
【0004】
しかしながらジスアゾ顔料の品質の向上すなわち透明性、濃度の向上のための所作は顔料表面を親水性にしてしまうのが現状である。例えば特公昭55−10630号公報には、2つのカップリング成分すなわちアセトアセトアニリドとその極性基含有アセトアセトアニリドとの混合カップリングが開示されているが、この方法によれば透明性、濃度に優れた黄インキを製造することは確かに可能であるが、極性基を有するカップリング成分を使用したために顔料表面はむしろ親水性になってしまいフラッシング工程での時間の短縮、排水の着色の点では不利である。
【0005】
また特開昭63−72762号公報、特開昭63−178169号公報及び特開2000−7931号公報等には、非対称型ジスアゾ顔料化合物を同一反応容器中で効率良く、対称型よりも多くの割合で製造する方法が示されている。この方法によれば、極性のカップリング成分と非極性のカップリング成分を用いることにより、従来のジスアゾ顔料より透明で流動性に優れた顔料が得られるが、極性のカップリング成分を多量に含有するためフラッシング工程での時間の短縮及び排水の着色の原因にもなり、不利である。さらに極性のカップリング成分は汎用で商業ベースで使用されている非極性のカップリング成分と比較して高価であるため、顔料のコストアップをもたらし、インキの生産性向上によるインキ単価の低減には逆行する。
【0006】
排水の着色を防ぐ方法として ロジン酸のアルカリ塩溶液をアルカリ側にした顔料スラリー中に添加してから液体硫酸バンド(硫酸アルミニウム溶液)を加えて処理することにより、ロジン酸のアルミニウム塩を顔料表面に析出することができる。これによりフラッシング排水は凝集効果のあるアルミニウムのおかげで清澄になる。しかし顔料表面はむしろ親水化してしまいフラッシング時間は長くなってしまう。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のジスアゾ顔料に比較して短時間でフラッシングが完了でき、且つフラッシング排水が清澄であり、さらに透明で且つ濃度に優れた印刷インキを提供することを目的とする。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち本発明は、3,3’−ジクロロベンジジンのテトラゾ化物とアセトアセトアニリド系化合物とをカップリングしてジスアゾ顔料の粒子を生成し、該顔料粒子表面をロジン酸および水酸化アルミニウムで表面処理してなることを特徴とするジスアゾ顔料に関する。
【0009】
更に本発明は、アセトアセトアニリド系化合物がアセトアセトアニリドと極性基含有アセトアセトアニリドの混合物である上記ジスアゾ顔料に関する。
【0010】
更に本発明は、顔料に基づいて、ロジン酸の処理量が1〜20重量%および水酸化アルミニウムの添加量が0.1〜5重量%である上記ジスアゾ顔料に関する。
【0011】
更に本発明は、3,3’−ジクロロベンジジンのテトラゾ化水溶液とアセトアセトアニリド系化合物を含む液とをカップリングしてジスアゾ顔料の粒子を生成する工程と、アルカリ領域下でロジンのアルカリ塩溶液を添加した後、酸性に調整してロジンを析出させる工程と、水溶性アルミニウム塩を添加した後、pHを3〜7に調整して水酸化アルミニウムを析出させる工程とからなることを特徴とするジスアゾ顔料の製造方法に関する。
【0012】
更に本発明は、上記ジスアゾ顔料と水とからなることを特徴とする顔料ウェットケーキに関する。
【0013】
更に本発明は、上記顔料ウェットケーキを印刷インキビヒクルによりフラッシングすることを特徴とする印刷インキの製造方法に関する。
【0014】
更に本発明は、上記ジスアゾ顔料と印刷インキビヒクルとからなことを特徴とする印刷インキに関する。
【0015】
本発明におけるアセトアセトアニリド化合物の具体例としては、アセトアセトアニリド、アセトアセト−o−トルイジド、アセトアセト−m−キシリジド、アセトアセト−o−アニシジド、アセトアセト−p−アニシジド、アセトアセト−o−クロロアニリド、アセトアセト−2,5−ジメトキシ−4−クロロアニリドである。
【0016】
なかでもオフセット用途ではアセトアセトアニリド、アセトアセト−o−トルイジド、アセトアセト−m−キシリジド、アセトアセト−2,5−ジメトキシ−4−クロロアニリドであり、この中から2成分の組み合わせ、例えばアセトアセト−o−トルイジドとアセトアセト−m−キシリジド及びアセトアセト−o−トルイジドとアセトアセト−2,5−ジメトキシ−4−クロロアニリドをプロセス用黄インキの色相になるような比率で組み合わせても良い。
【0017】
さらにプロセスの印刷インキとしての透明性、濃度、流動性を得るためには極性基含有アセトアセトアニリド化合物と混合カップリングを行うことが望ましい。極性基含有アセトアセトアニリド化合物の具体例としては、カルボン酸基を持つものとして2−アセトアセチルアミノ安息香酸、4−アセトアセチルアミノ安息香酸、4−アセトアセチルアミノ−2−クロロ安息香酸、4−アセトアセチルアミノ−2ーメチル安息香酸、4−アセアセチルアミノ−2−安息香酸、5−アセトアセチルアミノ−2−ヒドロキシ安息香酸等が、またスルホン酸基としては4−アセトアセチルアミノベンゼンスルホン酸等がある。
【0018】
これらの極性基含有アセトアセトアニリドにおける極性基の金属塩を構成する金属としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、マンガン、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム等がある。
【0019】
ジスアゾ顔料におけるアセトアセトアニリド系化合物成分相互の割合は、アセトアセトアニリドが99.5〜80モル%、極性基含有アセトアセトアニリド化合物が0.5〜20モル%、好ましくは1〜5モル%である。極性基含有アセトアセトアニリド化合物の配合量の下限値は、透明性と濃度により制限を受け、上限値はコストとフラッシング工程の時間短縮において制限を受ける。
【0020】
ロジン酸は一般的には松ヤニから抽出される天然の樹脂酸でありいろいろな化学構造を有する混合物である。本発明においてロジン酸は、ロジン酸をそのまま用いてもよいし一部加工したものを適性に合わせて使用してもよい。具体例としてはアビエチン酸を主成分とするロジン酸(荒川化学社製商品名白菊ロジン)、不均化したロジン酸(荒川化学社製商品名ロンジスR)、重合したロジン酸(ハーキュレス社製商品名ダイマーレックス、ポリペール、荒川化学社製商品名シルバータック140、シルバータック295)、水添したロジン酸(ハーキュレス社製商品名ステベライト)、マレイン化したロジン酸(荒川化学社製商品名マルキードのシリーズ)、トール油ロジン酸(荒川化学社製商品名アラキード)、ガムロジン酸(米国ロジン、中国ロジン、ポルトガルロジン)等がある。ロジン酸の顔料への処理量は顔料に対して1〜20重量%が好ましく、より好ましくは3〜10重量%である。この量が少ないとフラッシング性が不良になり、多いと濃度低下、排水着色の原因になる。
【0021】
本発明においてロジン酸による処理は、ロジン酸をナトリウム塩又はカリウム塩のようなアルカリ塩としてアルカリ領域のジスアゾ顔料のスラリー中に添加し、次いで顔料スラリーをpH6以下の酸性側に調整することでジスアゾ顔料粒子表面にロジン酸を析出させる。
【0022】
本発明において水酸化アルミニウムによる表面処理は、ロジン酸による処理が施されたジスアゾ顔料粒子に施すことが好ましい。水酸化アルミニウムによる表面処理は、液体硫酸バンド(酸化アルミニウム換算で8%の硫酸アルミニウム溶液)または塩化アルミニウムの6水和物のような水溶性アルミニウム塩を顔料スラリー中に加えてpHを11.5〜3にして水酸化アルミニウムとして顔料粒子表面に析出させる。pHを3未満にすると水酸化アルミニウムが溶解してしまうし、pH7より大きくすると水酸化アルミニウムの一部及び先にコーティングしたロジン酸が再溶解してしまう恐れがある。より好ましい範囲はpH6〜4である。水酸化アルミニウムの処理量は顔料に対して0.1〜5重量%が好ましいが、より好ましいのは0.2〜2重量%である。この量が少ないと排水の着色は清澄にならなく、また多いと顔料表面が親水性になってしまいフラッシング性不良及び濃度低下、分散不良になる。
【0023】
また水酸化アルミニウムに表面処理する別な方法としてロジン酸処理した顔料スラリー中に水酸化アルミニウムを添加してブレンドする方法や、pHを3未満にして水酸化アルミニウムを溶解させてからpHを上げて顔料表面にコーティングさせる方法もあるが水溶性アルミニウム塩を添加する方法がより好ましい。
【0024】
本発明において3,3’−ジクロロベンジジンのテトラゾ液とカップリング成分とのカップリング反応は特に制限されないが、常法により酢酸酸性下、すなわち、pHは6〜3の範囲、温度10℃〜30℃、時間は30分〜60分の間で行う方法で行う。この方法により得られたジスアゾ顔料スラリーはアルカリ側(pH9〜14)に調整後、ロジン酸アルカリ塩溶液を加え、さらに顔料スラリーを撹拌し均一化し、塩酸を加えて酸性(pH6〜4)にして顔料表面にロジン酸を析出させる。
【0025】
また、別の方法として、予め酢酸と苛性ソーダを用いてpHを約4.5前後に調整した酸性バッファー溶液を作製し、カップリング成分及びロジン酸のアルカリ塩を含むカップラー溶液とテトラゾ溶液を同時に加える方法すなわちカップリング成分を析出させることなく反応させる方法でも良い。この場合、得られたジスアゾ顔料スラリーを90℃まで加熱し、30分保持してから、水溶性アルミニウム塩溶液を添加してロジン酸処理した顔料表面に析出させる。この際、水酸化アルミニウムの処理量が多いとpHが3未満に下がる場合もあるので苛性ソーダで調整する必要がある。その後、濾過、水洗、顔料分28〜32%になるように圧搾することによってフラッシング工程に供するジスアゾ顔料のウェットケーキが得られる。
【0026】
フラッシングは顔料のウェットケーキ80重量部(乾燥換算)に対してオフセット用印刷インキビヒクル180〜220重量部を添加しフラッシャーを用いて行われる。顔料ウェットケーキは顔料と水とからなるものであり、ウェットケーキ中の顔料分は20〜40重量%であることが好ましい。
【0027】
本発明のジスアゾ顔料はプロセス用オフセットインキとして使用される。オフセットインキの組成物は本発明のジスアゾ顔料3〜35重量%とオフセット用インキビヒクル97〜45重量%、その他補助剤(ドライヤー、レベリング改良剤、増粘剤)や体質顔料0〜20重量%からなる。オフセット用インキビヒクルはロジン変性フェノール樹脂、石油樹脂、アルキッド樹脂、またはこれらの乾性油変性樹脂等の樹脂20〜50重量%、アマニ油、桐油、大豆油等の植物油0〜30重量%、n−パラフィン、イソパラフィン、α−オレフィン等の溶剤10〜60重量%からなるものである。
【0028】
【実施例】
以下実施例をあげて本発明を具体的に説明する。実施例において「部」は全て重量部を示す。
【0029】
【実施例1】
水400部に3,3’−ジクロロベンジジン25.3部と35%塩酸16.5部を加えた。この溶液を0℃に冷却後20%亜硝酸ソーダ溶液を70部加え、1時間撹拌した。少量のスルファミン酸を加え過剰の亜硝酸ソーダを消失させて、3,3’−ジクロロベンジジンのテトラゾ溶液とした。一方、水400部にアセトアセトアニリド34.0部と5−アセトアセチルアミノ−2−ヒドロキシ安息香酸0.9部と2−アセトアセチルアミノ安息香酸0.9部及び苛性ソーダ20部を加えて溶解した。この溶液に80%酢酸45部を少しずつ加えて懸濁液とし、これに前記テトラゾ溶液を約30分要して加えた。この間の反応温度は約20℃に保持した。得られたジスアゾ顔料のスラリーを苛性ソーダでpH10.5に調整後、ロンジスR(荒川化学社製不均化ロジン酸商品名)の10%アルカリ塩溶液を35部添加した。このスラリーを10分間撹拌後、塩酸を加えてpH5.0に調整して顔料表面にロジンを析出させた。その後90℃まで加熱し、30分保持してから液体硫酸バンド2.8部添加した。苛性ソーダでpHを5.0に調整後、10分間撹拌後、濾過、水洗、圧搾して顔料分30.0%のウェットケーキを得た。
【0030】
フラッシングによるインキ化は1Lフラッシャーを用いて行った。すなわち上記ウェットケーキを乾燥重量で80部と予め100℃に温めたオフセット用インキビヒクル190部をフラッシャー中に同時に投入し、フラッシングを行った(オープンフラッシング工程:トータル時間15分)。次にフラッシングで出てきた水を除去後、減圧(1〜8×103Pa)及びインキ内の温度が100℃になるまで加熱(熱媒温度130℃) を30分間行いインキ中の水を完全に除去した(バキュームフラッシング工程)。このインキにオフセット用インキビヒクル390部と溶剤44部を徐々に加えてフラッシャーから取り出した。その後、3本ロールを用いてロール温度60℃、10Barrの圧力をかけて練肉し粗大粒子を除去し、ベースインキを得た。このベースインキ62部にオフセット用インキビヒクル25部、溶剤10部、補助剤3部加えてタック5.8〜6.0に調整して最終インキを得た。
【0031】
【実施例2】
テトラゾ溶液の製造法は実施例1と同様に行った。一方、水200部にアセトアセトアニリド34.0部と5−アセトアセチルアミノ−2−ヒドロキシ安息香酸0.9部と2−アセトアセチルアミノ安息香酸0.9部とロンジスR3.5部及び苛性ソーダ14部を加え溶解したカップラー溶液を作製した。また80%酢酸20部、苛性ソーダ5部のpH4.5に調整した緩衝溶液600部を作製した。この緩衝溶液に、テトラゾ溶液及びカップラー溶液を同時に、テトラゾが反応中に遊離しないように両溶液の流速を調整しながら約30分要して加えた。カップリング反応温度は約20℃に保持した。この間、テトラゾが反応中に遊離しないように両溶液の流速は調整しながら行った。この間の反応温度も約20℃に保持した。 得られたジスアゾ顔料スラリーを90℃まで加熱し、30分保持してから、水酸化アルミニウムをコーティングさせるために、液体硫酸バンド2.8部添加した。苛性ソーダでpHを5に調整し10分間撹拌後、濾過、水洗、圧搾して顔料分30.0%のウェットケーキを得た。インキ化の方法は実施例1と同様に行い最終インキを得た。
【0032】
【実施例3】
実施例1のロンジスRの代わりに白菊ロジン(荒川化学社製ロジン酸商品名)7.0部用いた以外、同様の方法でロジン酸処理を行った。得られたジスアゾ顔料スラリーを90℃まで加熱し、30分保持してから、液体硫酸バンド2.8部添加した。苛性ソーダでpH5に調整し10分間撹拌後、濾過、水洗、圧搾して顔料分30.0%のウェットケーキを得た。インキ化の方法は実施例1と同様に行い最終インキを得た。
【0033】
【実施例4】
実施例1のロンジスRの代わりにステベライト(ハーキュレス社製ロジン酸商品名)3.5部用いた以外、同様の方法でロジン酸処理を行った。得られたジスアゾ顔料スラリーを90℃まで加熱し、30分保持してから、液体硫酸バンド1.4部添加した。苛性ソーダでpH5に調整し10分間撹拌後、濾過、水洗、圧搾して顔料分30.0%のウェットケーキを得た。インキ化の方法は実施例1と同様に行い最終インキを得た。
【0034】
【実施例5】
実施例1のロンジスRの代わりにダイマーレックス(ハーキュレス社製重合ロジン酸商品名)5.0部用いた以外、同様の方法でロジン酸処理を行った。得られたジスアゾ顔料スラリーを90℃まで加熱し、30分保持してから、液体硫酸バンド5.6部添加した。苛性ソーダでpH5に調整し10分間撹拌後、濾過、水洗、圧搾して顔料分30.0%のウェットケーキを得た。インキ化の方法は実施例1と同様に行い最終インキを得た。
【0035】
【実施例6】
実施例1のロンジスRの代わりにマルキード#33(荒川化学社製マレイン化ロジン商品名)を3.5部用いた以外、同様の方法でロジン酸処理を行った。得られたジスアゾ顔料スラリーを90℃まで加熱し、30分保持してから、液体硫酸バンド12.0部添加した。苛性ソーダでpH5に調整し10分間撹拌後、濾過、水洗、圧搾して顔料分30.0%のウェットケーキを得た。インキ化の方法は実施例1と同様に行い最終インキを得た。
【0036】
【比較例1】
カップリングまでは実施例1と同様に行った。得られたジスアゾ顔料のスラリーを苛性ソーダでpH10.5に調整後、ロンジスRの10%アルカリ塩溶液を35部添加した。このスラリーを10分間撹拌後、液体硫酸バンド5.0部、さらに塩酸を加えてpH5.0に調整して顔料表面にロジンのアルミニウム塩を析出させた。その後90℃まで加熱し、30分保持してから、濾過、水洗、圧搾して顔料分30.0%のウェットケーキを得た。
【0037】
【比較例2】
カップリングまでは実施例1と同様に行った。得られたジスアゾ顔料のスラリーを苛性ソーダでpH10.5に調整後、ロンジスRの10%アルカリ塩溶液を35部添加した。このスラリーを10分間撹拌後、塩酸を加えてpH5.0に調整して顔料表面にロジン酸を析出させた。その後90℃まで加熱し、30分保持してから、濾過、水洗、圧搾して顔料分30.0%のウェットケーキを得た。
【0038】
以上の結果を表1にまとめた。L* はインキの透明性を示しその値が小の方が透明性大、濃度はコーサー値(反射率濃度)で示しその値が大の方が濃度大、水切れ時間はオープンフラッシング工程で水が出てくる時の時間を示しこの値が小さい方がフラッシング性は良好である。
実施例1と2及び比較例1と2で得られた顔料をまずメタノールでソックスレー抽出をして抽出物を得た。さらに抽出残をトルエンでソックスレー抽出をして抽出物を得た。表2に赤外線スペクトルで抽出物を同定した結果をまとめた。
【0039】
【0040】
以上の結果から実施例1、2からロジン酸のみ検出され、硫酸バンドは全て水酸化アルミニウムになっていることが確認できた。
【発明の効果】
本発明により、短時間でフラッシングが完了でき、且つフラッシング排水が清澄なジスアゾ顔料が得られた。
更に、本発明により透明で且つ濃度に優れたジスアゾ顔料を含む印刷インキが得られた。
Claims (8)
- 3,3’−ジクロロベンジジンのテトラゾ化物とアセトアセトアニリド系化合物とをカップリングしてジスアゾ顔料の粒子を生成し、該顔料粒子表面をロジン酸および水酸化アルミニウムで表面処理してなることを特徴とするジスアゾ顔料。
- アセトアセトアニリド系化合物がアセトアセトアニリドと極性基含有アセトアセトアニリドの混合物である請求項1記載のジスアゾ顔料。
- 顔料に基づいて、ロジン酸の処理量が1〜20重量%および水酸化アルミニウムの処理量が0.1〜5重量%である請求項1または2記載のジスアゾ顔料。
- 3,3’−ジクロロベンジジンのテトラゾ化水溶液とアセトアセトアニリド系化合物を含む液とをカップリングしてジスアゾ顔料の粒子を生成する工程と、アルカリ領域下でロジン酸のアルカリ塩溶液を添加した後、酸性に調整してロジン酸を析出させる工程と、水溶性アルミニウム塩を添加した後、pHを3〜7に調整して水酸化アルミニウムを析出させる工程とからなることを特徴とるジスアゾ顔料の製造方法。
- 請求項4記載の方法で得られたジスアゾ顔料。
- 請求項1、2、3、5いずれか記載のジスアゾ顔料と水とからなることを特徴とする顔料ウェットケーキ。
- 請求項6記載の顔料ウェットケーキを印刷インキビヒクルによりフラッシングすることを特徴とする印刷インキの製造方法。
- 請求項1、2、3、5いずれか記載のジスアゾ顔料と印刷インキビヒクルとからなることを特徴とする印刷インキ。
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