以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)について詳細に説明する。
―実施の形態1―
図1は本実施の形態が適用される画像読み取り装置を示した図である。この画像読み取り装置は、積載された原稿束から原稿を順次、搬送する原稿送り装置10、スキャンによって画像を読み込むスキャナ装置70、および読み込まれた画像信号を処理する処理装置80に大別される。
原稿送り装置10は、給紙部の構成要素の一例として、複数枚の原稿からなる原稿束を積載する原稿トレイ11、原稿トレイ11を上昇および下降させるトレイリフタ12を備えている。また、トレイリフタ12により上昇された原稿トレイ11の原稿を搬送するナジャーロール13、ナジャーロール13により上昇された原稿トレイ11の原稿をさらに下流側まで搬送するフィードロール14、ナジャーロール13により供給される原稿を一枚ずつに捌くリタードロール15を備えている。最初に原稿が搬送される搬送路としての第1搬送路31には、一枚ずつに捌かれた原稿を下流側のロールまで搬送するテイクアウェイロール16、原稿をさらに下流側のロールまで搬送すると共にループ形成を行うプレレジロール17、一旦停止した後にタイミングを合わせて回転を再開し、原稿読み取り部に対してレジストレーション調整を施しながら原稿を供給するレジロール18、読み込み中の原稿搬送をアシストするプラテンロール19、読み込まれた原稿をさらに下流に搬送するアウトロール20を備えている。また、第1搬送路31には、搬送される原稿のループ状態に応じて支点を中心に回動するバッフル41を備えている。さらに、プラテンロール19とアウトロール20との間には、CIS(Contact Image Sensor)50が設けられている。
アウトロール20の下流側には、第2搬送路32および第3搬送路33が設けられ、これらの搬送路を切り替える搬送路切替ゲート42、読み込みが終了した原稿を積載させる排出トレイ40、排出トレイ40に対して原稿を排出させる第1排出ロール21を備えている。また、第3搬送路33を経由した原稿をスイッチバックさせる第4搬送路34、第4搬送路34に設けられ、実際に原稿のスイッチバックを行うインバータロール22およびインバータピンチロール23、第4搬送路34によってスイッチバックされた原稿を再度、プレレジロール17等を備える第1搬送路31に導く第5搬送路35、第4搬送路34によってスイッチバックされた原稿を排出トレイ40に排出する第6搬送路36、第6搬送路36に設けられ、反転排出される原稿を第1排出ロール21まで搬送する第2排出ロール24、第5搬送路35および第6搬送路36の搬送経路を切り替える出口切替ゲート43を備えている。これら第3搬送路33、第4搬送路34、第5搬送路35によって反転搬送路が構成される。
ナジャーロール13は、待機時にはリフトアップされて待避位置に保持され、原稿搬送時にニップ位置(原稿搬送位置)へ降下して原稿トレイ11上の最上位の原稿を搬送する。ナジャーロール13およびフィードロール14は、フィードクラッチ(図示せず)の連結によって原稿の搬送を行う。プレレジロール17は、停止しているレジロール18に原稿先端を突き当ててループを形成する。レジロール18では、ループ形成時に、レジロール18に噛み込んだ原稿先端をニップ位置まで戻している。このループが形成されると、バッフル41は支点を中心として開き、原稿に形成されるループを妨げることのないように機能している。また、テイクアウェイロール16およびプレレジロール17は、読み込み中における原稿のループを保持している。このループ形成によって、読み込みタイミングの調整が図られ、また、読み込み時における原稿搬送に伴うスキューを抑制して、位置合わせの調整機能を高めることができる。読み込みの開始タイミングに合わせて、停止されていたレジロール18が回転を開始し、プラテンロール19によって原稿が第2プラテンガラス72B(後述)に押圧されて、後述するCCDイメージセンサ78によって下面方向から画像データが読み込まれる。
搬送路切替ゲート42は、例えば予備読み取り(プリスキャン、後述)を実行しない片面原稿の読み取り終了時、および両面原稿の両面同時読み取りの終了時に、アウトロール20を経由した原稿を第2搬送路32に導き、排出トレイ40に排出するように切り替えられる。一方、この搬送路切替ゲート42は、プリスキャンを実行する片面原稿および両面原稿の順次読み取り時には、原稿を反転させるために、第3搬送路33に原稿を導くように切り替えられる。インバータピンチロール23は、両面原稿の順次読み取り時に、フィードクラッチ(図示せず)がオフの状態でリトラクトされてニップが開放され、原稿を第4搬送路(インバータパス)34へ導いている。その後、このインバータピンチロール23はニップされ、インバータロール22によってインバートする原稿をプレレジロール17へと導き、また、反転排出する原稿を第6搬送路36の第2排出ロール24まで搬送している。
他の読み取り部としての機能を有するスキャナ装置70は、上述した原稿送り装置10を載置可能に構成されると共に、この原稿送り装置10を装置フレーム71によって支え、また、原稿送り装置10によって搬送された原稿の画像読み取りを行っている。このスキャナ装置70は、筐体を形成する装置フレーム71に、画像を読み込むべき原稿を静止させた状態で載置する第1プラテンガラス72A、原稿送り装置10によって搬送中の原稿を読み取るための光の開口部を有する第2プラテンガラス72Bを備えている。
また、スキャナ装置70は、第2プラテンガラス72Bの下に静止し、および第1プラテンガラス72Aの全体にわたってスキャンして画像を読み込むフルレートキャリッジ73、フルレートキャリッジ73から得られた光を像結合部へ提供するハーフレートキャリッジ75を備えている。フルレートキャリッジ73には、原稿に光を照射する照明ランプ74、原稿から得られた反射光を受光する第1ミラー76Aが備えられている。さらに、ハーフレートキャリッジ75には、第1ミラー76Aから得られた光を結像部へ提供する第2ミラー76Bおよび第3ミラー76Cが備えられている。さらにまた、スキャナ装置70は、第3ミラー76Cから得られた光学像を光学的に縮小する結像用レンズ77、結像用レンズ77によって結像された光学像を光電変換する第2のセンサとしてのCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ78、CCDイメージセンサ78が装着される駆動基板79を備え、CCDイメージセンサ78によって得られた画像信号が駆動基板79を介して処理装置80に送られる。つまり、スキャナ装置70では、所謂縮小光学系を用いてイメージセンサとしてのCCDイメージセンサ78に像を結像させている。
ここで、まず、第1プラテンガラス72Aに載置された原稿の画像を読み取る場合には、フルレートキャリッジ73とハーフレートキャリッジ75とが、2:1の割合でスキャン方向(矢印方向)に移動する。このとき、フルレートキャリッジ73の照明ランプ74の光が原稿の被読み取り面に照射されると共に、その原稿からの反射光が第1ミラー76A、第2ミラー76B、および第3ミラー76Cの順に反射されて結像用レンズ77に導かれる。結像用レンズ77に導かれた光は、CCDイメージセンサ78の受光面に結像される。CCDイメージセンサ78は1次元のセンサであり、1ライン分を同時に処理している。このライン方向(スキャンの主走査方向)にフルレートキャリッジ73を移動させ、原稿の次のラインを読み取る。これを原稿全体に亘って実行することで、1ページの原稿読み取りを完了させる。
一方、第2プラテンガラス72Bは、例えば長尺の板状構造をなす透明なガラスプレートで構成される。原稿送り装置10によって搬送される原稿がこの第2プラテンガラス72Bの上を通過する。このとき、フルレートキャリッジ73とハーフレートキャリッジ75とは、図1に示す実線の位置に停止した状態にある。まず、原稿送り装置10のプラテンロール19を経た原稿の1ライン目の反射光が、第1ミラー76A、第2ミラー76B、および第3ミラー76Cを経て結像用レンズ77にて結像され、本実施の形態における第1のセンサであるCCDイメージセンサ78によって画像が読み込まれる。すなわち、1次元のセンサであるCCDイメージセンサ78によって主走査方向の1ライン分を同時に処理した後、原稿送り装置10によって搬送される原稿の次の主走査方向の1ラインが読み込まれる。原稿の先端が第2プラテンガラス72Bの読み取り位置に到達した後、この原稿が第2プラテンガラス72Bの読み取り位置を通過することによって、副走査方向に亘って1ページの原稿読み取りを完了させる。
本実施の形態では、フルレートキャリッジ73とハーフレートキャリッジ75とを停止させ、第2プラテンガラス72BにてCCDイメージセンサ78により原稿の第1面の読み取りを行う原稿の搬送時に、同時(時間の完全一致ではなく、同一の原稿搬送時程度の意味)にCIS50によって、原稿の第2面の読み取りを行うことが可能である。
図2は、読み取り部としてのCIS50を用いた読み取り構造を説明するための図である。図2に示すように、CIS50は、プラテンロール19とアウトロール20との間に設けられる。原稿の片面(第1面)は、第2プラテンガラス72Bに押し当てられ、この第1面の画像はCCDイメージセンサ78にて読み込まれる。一方、CIS50では、原稿を搬送する搬送路を介して対向する他方の側から、他の片面(第2面)の画像が読み込まれる。このCIS50は、搬送路に対向配置されるガラス51と、このガラス51を透過して原稿の第2面に光を照射するLED(Light Emitting Diode)52と、LED52からの反射光を集光するセルフォックレンズ53と、このセルフォックレンズ53により集光された光を読み取る第2のセンサとしてのラインセンサ54とを備えている。ラインセンサ54としては、CCDやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ、密着型センサ等を用いることができ、実寸幅(例えばA4長手幅297mm)の画像を読み取ることが可能である。CIS50では、縮小光学系を用いずに、セルフォックレンズ53とラインセンサ54とによる密着光学系を用いて画像の取り込みを行うことから、構造をシンプルにすることができ、且つ、筐体を小型化し、消費電力を低減することができる。なお、カラー画像を読み込む場合には、LED52にR(赤)G(緑)B(青)の3色のLED光源を組み合わせ、ラインセンサ54としてRGB3色用の3列一組のセンサを用いればよい。第1面の画像の読み込みと同様に、1次元のラインセンサ54によって主走査方向1ライン分を同時に処理した後、搬送される原稿における次の主走査方向の1ラインが読み込まれる。このようにして、搬送される原稿の裏面について、副走査方向に亘って1ページの原稿読み取りを行う。
また、CIS50による画像読み取りに際して、この読み取り部を構成する搬送路に、CIS50の筐体から延びる制御部材55、制御部材55によって押しつけられた原稿が突き当てられる突き当て部材60を備えている。また、この突き当て部材60の下流側にはガイド部材61が設けられている。制御部材55および突き当て部材60は、原稿の搬送路に直交する方向(すなわち、原稿送り装置10の前面から後面の方向)に、原稿送り装置10の前面から後面まで、搬送路の位置に対応して設けられている。
さらに、CIS50は、光学結像レンズにセルフォックレンズ53を採用していることから、焦点(被写界)深度が±0.3mm程度と浅く、スキャナ装置70を用いた場合に比べて約1/13以下の深度となっている。このため、CIS50による読み取りに際しては、原稿の読み取り位置を所定の狭い範囲内に定めることが要求される。そこで、本実施の形態では、搬送路に面して制御部材55を設け、原稿を制御部材55によって突き当て部材60に押し当てて搬送し、プラテンロール19とアウトロール20との間にある原稿の姿勢を安定的に制御できるように構成した。図2の二点鎖線矢印は、制御部材55を設けた場合の原稿の動きを示したものである。原稿が制御部材55によって突き当て部材60に押し当てられつつ搬送されていることが理解できる。すなわち、制御部材55によって搬送される原稿を突き当て部材60に押し当てられた状態で読み取ることで、被写界深度の深いCIS50を用いた場合のピントの甘さを改善している。
次に、図1に示す処理装置80について説明する。
図3は、処理装置80を説明するためのブロック図である。本実施の形態が適用される処理装置80は、大きく、センサ(CCDイメージセンサ78およびCIS50)から得られた画像情報を処理する画像処理部としての信号処理部81と、原稿送り装置10およびスキャナ装置70を制御する制御部90とを備えている。信号処理部81は、原稿の片面(第1面)を読み取るCCDイメージセンサ78および他の片面(第2面)を読み取るCIS50のラインセンサ54からの各々の出力に対して所定の画像処理を施す機能を有している。この信号処理部81は、ラインセンサ54からの出力に対してアナログ信号の処理を行うAFE(Analog Front End)82、アナログ信号をディジタル信号に変換するADC(Analog Digital Converter)83を有している。ただし、これらの機能は、CIS50の内部にて処理されるように構成することもできる。また、信号処理部81は、CCDイメージセンサ78からの出力に対してアナログ信号の処理を行うAFE84、アナログ信号をディジタル信号に変換するADC85を有している。
さらに、信号処理部81は、ディジタル信号に対してシェーディング補正やオフセット補正等の各種処理を施す画像処理回路が2系統備えられており、CCDイメージセンサ78にて読み込まれた片面の画像データに対して画像処理を施す第1画像処理回路100、CIS50にて読み込まれた他の片面の画像データに対して画像処理を施す第2画像処理回路200を備えている。これらの画像処理回路からの出力は、例えばプリンタ等のIOT(Image Output Terminal)や、パーソナルコンピュータ(PC)等のホストシステムへ出力される。
一方、制御部90は、両面読み取りの制御や片面読み取りの制御等を含め、原稿送り装置10およびスキャナ装置70の全体を制御する画像読み取りコントロール91、CCDイメージセンサ78およびCIS50を制御するCCD/CISコントロール92、読み取りタイミングに合わせてCIS50のLED52やフルレートキャリッジ73の照明ランプ74を制御するランプコントロール93、スキャナ装置70におけるモータのオン/オフなどを行いフルレートキャリッジ73およびハーフレートキャリッジ75によるスキャン動作を制御するスキャンコントロール94、原稿送り装置10におけるモータの制御、各種ロールの動作やフィードクラッチの動作、ゲートの切り替え動作等を制御する搬送機構コントロール95を備えている。これらの各種コントロールからは、原稿送り装置10およびスキャナ装置70に対して制御信号が出力され、かかる制御信号に基づいて、これらの動作制御が可能となる。画像読み取りコントロール91は、ホストシステムからの制御信号や、例えば自動選択読み取り機能に際して検出されるセンサ出力、ユーザからの選択等に基づいて、読み取りモードを設定し、原稿送り装置10およびスキャナ装置70を制御している。
図4は、本実施の形態における第1画像処理回路100および第2画像処理回路200の機能ブロック図を示している。
第1画像処理回路100は、CCDイメージセンサ78におけるシェーディングデータを補正するためのシェーディング補正部101、RGB3色のイメージセンサの位置を補正するGAP補正部102、γ/グレイバランスを補正するγ/グレイバランス補正部103、BGR→L*,a*,b*に変換する色空間変換部104、表裏の画像データを選択して出力するためのセレクタ(SEL)105、主走査方向および副走査方向に対して拡大、縮小処理を施す拡大縮小部106、MTF補正や平滑化を行うフィルタ部107、読み取り原稿のコントラスト調整を行うコントラスト調整部108、読み取り原稿の下地除去を行う下地除去部109を有している。さらに、第1画像処理部100は、読み取った画像データの先頭側データに基づいて原稿の下地を検知する先端AE部としての下地検知部110を有している。
一方、第2画像処理回路200は、CIS50におけるシェーディングデータを補正するためのシェーディング補正部201、RGB3色のラインセンサ54の位置を補正するGAP補正部202、γ/グレイバランスを補正するγ/グレイバランス補正部203、BGR→L*,a*,b*に変換する色空間変換部204、色空間変換部204にて色空間変換された画像データを格納するメモリ205、メモリ205に画像データを格納し、また、大1画像処理回路100のセレクタ105に向けて出力する出力部としてのメモリコントローラ206を有している。
本実施の形態では、第2画像処理回路200が、拡大縮小処理、フィルタ処理、コントラスト調整、下地検知および下地除去の機能を有しておらず、これらについては、第1画像処理回路100にて処理されるようになっている。また、第2画像処理回路200に設けられるメモリコントローラ206は、メモリ205に格納される第2面の画像データを読み取り順に出力することができると共に、読み取り順とは逆に、すなわち、180°回転させて出力することもできるようになっている。
ここで、本実施の形態では、原稿送り装置10による原稿搬送によって画像を読み取る際、第2プラテンガラス72Bを介してプラテンロール19に搬送される原稿をスキャナ装置(CCDイメージセンサ78)を用いて読み取ることが可能であると共に、原稿送り装置10に設けられたCIS50を用いて読み取ることが可能である。しかしながら、前述のように、スキャナ装置70の縮小光学系を用いたCCDイメージセンサ78による読み取りと、CIS50のセルフォックレンズ53を用いた読み取りの場合とでは、その焦点深度の深さが異なり、解像特性に差を生じてしまう。特に、写真等のカラー画像を読み込む場合には、両者の読み込みにて色合わせが困難となり、両者の読み込みにて得られる画質が異なってしまう。そこで、本実施の形態では、複数の読み取りモードを準備し、装置の設定状態、原稿の種類、ユーザの選択等に基づいて、最適な読み取りモードの選択を可能としている。
図5は、図3に示す画像読み取りコントロール91によって実行される処理の一例を示したフローチャートである。画像読み取りコントロール91では、まず、搬送される原稿が片面原稿であるか否かが判断される(ステップ101)。この判断は、例えばスキャナ装置70上に設けられたコントロールパネル(図示せず)を用いたユーザからの選択や、例えば自動選択読み取り機能が働いている場合には、画像読み込み前の第1搬送路31上の搬送路両側に設けられたセンサ(図示せず)等によって認識することができる。また、ホストシステムからの要請や、ネットワーク等を介したユーザからの選択等も考えられる。このステップ101で片面原稿であると判断される場合には、1パス(反転パスを用いない1回だけの原稿搬送パス)による片面読み取りが行われる(ステップ102)。この1パスによる片面読み取りでは、CCDイメージセンサ78による読み取りとCIS50による読み取りとのどちらを選択しても良いが、より高画質な画像読み取りを実現する場合には、CCDイメージセンサ78による読み取りを選択することが好ましい。かかる際には、原稿トレイ11上に上向きに画像部分が存在すると共に原稿の1ページ目が来るように載置し、この1ページ目から原稿を搬送して読み取りが行われる。
また、ステップ101で片面原稿ではない場合、すなわち、両面原稿である場合には、原稿が白黒原稿であるか否かが判断される(ステップ103)。このステップ103の判断は、ステップ101と同様に、ユーザからの選択または自動選択読み取り機能によって判断される。カラー原稿であってもユーザが白黒読み取りを望む場合もある。白黒読み取りを行わない場合、すなわち、カラー読み取りを行う場合には、画質が重視されるか否かが判断される(ステップ104)。例えば、カラー写真やパンフレット等のカラー画像の場合には、一般に、読み取り速度を上げる生産性よりも画質が重視される。かかる判断もユーザの設定等によってなされる。このステップ104で画質を重視すると判断される場合には、反転パスによる両面読み取りが実行される(ステップ105)。すなわち、CIS50による読み取りを行わず、原稿の第1面および第2面を共に第1のセンサであるCCDイメージセンサ78によって読み取る。これによって、原稿の第1面および第2面に対し、共に焦点深度の深い読み取り手段を用いた高画質な読み取りが可能となる。
一方、ステップ103で白黒読み取りを行う場合、または、ステップ104でカラー画像出力を必要とする場合であっても例えばビジネスカラー等の微妙な色合い等が重視されない場合や、プラス1カラーの場合(黒以外に赤や青等、他の1色のカラーを含む場合)など、画質をあまり重視せず、生産性等の他の要因が重視される場合には、反転パスを用いない、1パスによる両面同時読み取りが行われる(ステップ106)。すなわち、第1のセンサであるCCDイメージセンサ78によって第1面を読み取り、この読み取りの搬送パスに際して、同じ搬送パスにてCIS50による第2面の読み取りが行われる。これによって、同一の読み取り部へ原稿を2度搬送する必要がなく、原稿の読み取りスピードを向上させることができると共に、搬送パスが簡潔化されることで、原稿詰まり(JAM)等の原稿搬送トラブルを抑制することができる。なお、「同時読み取り」とは、必ずしも時間的に一致する場合を意味するものではなく、原稿を1回のパスにて略同時期に読み取るという意味である。
なお、図5に示す処理フローを簡潔化し、両面原稿読み取りにおいて。白黒原稿を読み取る場合には、ステップ106の両面同時読み取りを実行し、カラー原稿の場合には、ステップ105の反転パスによって順次原稿を読み取るように構成することも可能である。また、原稿面の種類に応じて、これらのモードをミックスして用いることもできる。
次に、各原稿読み取りモードにおける原稿の搬送方法について、図6および図7を用いて説明する。
図6(a),(b)は、図5のステップ102に示した1パスによる片面読み取りモードと、ステップ106に示した1パスによる両面同時読み取りモードである第2の両面読み取りモードの原稿パスを示した図である。図6(a)に示すように、原稿トレイ11に載置された原稿は、ナジャーロール13、フィードロール14およびリタードロール15、テイクアウェイロール16によって、第1搬送路31に順次、供給される。供給された原稿は、図6(b)に示すように、プラテンロール19の読み取り部およびCIS50の読み取り部を経由して、搬送路切替ゲート42によって第2搬送路32に移動し、排出トレイ40に、順次、排出される。片面読み取りの場合には、プラテンロール19の箇所にて、下方から、図1に示すスキャナ装置70のCCDイメージセンサ78を用いた読み取りがなされる。但し、前述のように、CIS50を用いた片面読み取りも可能である。また、1パスによる両面同時読み取りの場合には、スキャナ装置70のCCDイメージセンサ78を用いて第1面を読み取り、同一搬送時にCIS50を用いて第2面を読み取る。これによって、1回の原稿パスによって両面の原稿読み取りを行うことが可能となる。
図7(a)〜(d)は、図5のステップ105に示した反転パスによる両面読み取りモード、即ち、第1の両面読み取りモードを説明するための図である。図7(a)に示すように、原稿トレイ11に載置された原稿は、第1搬送路31に順次、供給され、図1に示すスキャナ装置70のCCDイメージセンサ78を用いて、プラテンロール19の箇所にて下方から読み取りがなされる。そして、搬送路切替ゲート42によって第3搬送路33を経由し、第4搬送路34へ移動する。第3搬送路33を完全に抜けた原稿は、図7(b)に示すように、インバータロール22およびインバータピンチロール23によってスイッチバックし、第5搬送路35に供給される。
第5搬送路35に供給された原稿は、再度、第1搬送路31に供給される。そして、図7(c)に示すように、原稿がスキャナ装置70のCCDイメージセンサ78によって下方から読み取られる。このとき、原稿は、図7(a)に示す場合とは表裏が反転した状態にあり、第1面とは表裏を異ならせる第2面が読み取られることとなる。第2面が読み取られた原稿は、表裏が反転された状態にあり、そのまま排出トレイ40に排出すると積載された読み取り後の原稿のページ順が狂うことになる。そこで、図7(c)に示すように、第2面の読み取りが完了した原稿を搬送路切替ゲート42を用いて第3搬送路33を経由させ、第4搬送路34に移動する。第4搬送路34に供給され、出口切替ゲート43の部分を完全に通過した原稿は、図7(d)に示すように出口切替ゲート43によって第6搬送路36を経由し排出トレイ40に排出される。これによって、原稿における表裏両面の画像を順次、読み取る第1の両面読み取りモードにおいて、読み取り後の原稿のページ順を揃えることが可能となる。
本実施の形態では、第1のセンサであるCCDイメージセンサ78を用いて原稿の片面(第1面)を読み取った後、原稿を反転させて他の片面(第2面)をこの第1のセンサで順次、読み取る第1の両面読み取りモードと、この第1のセンサと共に、第1のセンサとは搬送路を介して対向する他方の側に設けられる第2のセンサであるCIS50を用いて、原稿を一度の搬送で表裏両面(第1面および第2面)を読み取る第2の両面読み取りモードを準備した。そして、これらのモードを、必要に応じ、自動的に、またはユーザの指定等に基づいて、選択可能に構成した。これによって、例えば、白黒の出力かカラーの出力か、スピード(生産性)を重視するのか、画質を重視するのか等の用途に応じて、両面読み取りモードを適切に選択し、これらのモードを利用することができる。
尚、この説明では、読み取りモードの選択を処理装置80の画像読み取りコントロール91によって実行するように説明したが、これらの処理は、例えば、ディジタルカラー複写機等の画像処理装置の全体を制御するホストシステム等によって実行されることも可能である。
次に、上述した各画像読み取りモードにおける第1画像処理回路100および第2画像処理回路200の動作について詳述する。
まず、図5のステップ102に示す、1パスによる片面読み取りモードでは、CCDイメージセンサ78によって読み取られた画像データが、AFE84およびADC85によって適宜処理された後、第1画像処理回路100に入力される。そして、第1画像処理回路100に入力された画像データは、シェーディング補正部101によるシェーディング補正、GAP補正部102によるGAP補正、γ/グレイバランス補正部103によるγ/グレイバランス補正がなされた後、色空間変換部104にて色空間変換される。ここで、SEL105では色空間変換部104からの入力が選択されており、色空間変換部104で色空間変換された画像データは、拡大縮小部106による拡大縮小処理、フィルタ部107によるフィルタ処理、コントラスト調整部108によるコントラスト調整処理がなされた後、下地除去部109に入力される。一方、色空間変換部104で色空間変換された画像データは、SEL105を介して下地検知部110にも入力されており、下地検知部110では、原稿の先端部に対応する画像データを用いて原稿の下地レベルを検知して下地除去部109に出力する。そして、下地除去部109では、コントラスト調整部108から出力された画像データから下地検知部110にて検知された原稿の下地レベルを除去して出力用の画像データを生成して外部へと出力する。なお、1パスによる片面読み取りモードでは、第2画像処理回路200は使用されない。
また、図5のステップ105に示す、反転パスによる両面読み取りモードでは、最初に、CCDイメージセンサ78によって読み取られた画像データ(第1面の画像データ)が、AFE84およびADC85によって適宜処理された後、第1画像処理回路100に入力される。そして、第1画像処理回路100に入力された第1面の画像データは、シェーディング補正部101によるシェーディング補正、GAP補正部102によるGAP補正、γ/グレイバランス補正部103によるγ/グレイバランス補正がなされた後、色空間変換部104にて色空間変換される。ここで、SEL105では色空間変換部104からの入力が選択されており、色空間変換部104で色空間変換された第1面の画像データは、拡大縮小部106による拡大縮小処理、フィルタ部107によるフィルタ処理、コントラスト調整部108によるコントラスト調整処理がなされた後、下地除去部109に入力される。一方、色空間変換部104で色空間変換された第1面の画像データは、SEL105を介して下地検知部110にも入力されており、下地検知部110では、原稿の先端部に対応する画像データを用いて原稿の下地レベルを検知して下地除去部109に出力する。そして、下地除去部109では、コントラスト調整部108から出力された第1面の画像データから下地検知部110にて検知された原稿の下地レベルを除去して出力用の第1面の画像データを生成し、外部へと出力する。
次に、原稿が反転パスを介して搬送され、CCDイメージセンサ78によって読み取られた画像データ(第2面の画像データ)が、AFE84およびADC85によって適宜処理された後、第1画像処理回路100に入力される。そして、第1画像処理回路100に入力された第2面の画像データは、シェーディング補正部101によるシェーディング補正、GAP補正部102によるGAP補正、γ/グレイバランス補正部103によるγ/グレイバランス補正がなされた後、色空間変換部104にて色空間変換される。ここで、SEL105では色空間変換部104からの入力が選択されており、色空間変換部104で色空間変換された第2面の画像データは、拡大縮小部106による拡大縮小処理、フィルタ部107によるフィルタ処理、コントラスト調整部108によるコントラスト調整処理がなされた後、下地除去部109に入力される。一方、色空間変換部104で色空間変換された第2面の画像データは、SEL105を介して下地検知部110にも入力されており、下地検知部110では、原稿の先端部に対応する画像データを用いて原稿の下地レベルを検知して下地除去部109に出力する。そして、下地除去部109では、コントラスト調整部108から出力された第2面の画像データから下地検知部110にて検知された原稿の下地レベルを除去して出力用の第2面の画像データを生成し、外部へと出力する。なお、反転パスによる両面読み取りモードでも、第2画像処理回路200は使用されない。
さらに、図5のステップ106に示す、1パスによる両面同時読み取りモードでは、CCDイメージセンサ78によって読み取られた画像データ(第1面の画像データ)が、AFE84およびADC85によって適宜処理された後、第1画像処理回路100に入力される。そして、第1画像処理回路100に入力された第1面の画像データは、シェーディング補正部101によるシェーディング補正、GAP補正部102によるGAP補正、γ/グレイバランス補正部103によるγ/グレイバランス補正がなされた後、色空間変換部104にて色空間変換される。ここで、SEL105では色空間変換部104からの入力が選択されており、色空間変換部104で色空間変換された第1面の画像データは、拡大縮小部106による拡大縮小処理、フィルタ部107によるフィルタ処理、コントラスト調整部108によるコントラスト調整処理がなされた後、下地除去部109に入力される。一方、色空間変換部104で色空間変換された第1面の画像データは、SEL105を介して下地検知部110にも入力されており、下地検知部110では、原稿の先端部に対応する画像データを用いて原稿の下地レベルを検知して下地除去部109に出力する。そして、下地除去部109では、コントラスト調整部108から出力された第1面の画像データから下地検知部110にて検知された原稿の下地レベルを除去して出力用の第1面の画像データを生成して外部へと出力する。
一方、CCDイメージセンサ78による第1面の読み取りと略同時期にCIS50によって読み取られた画像データ(第2面の画像データ)が、AFE82およびADC83によって適宜処理された後、第2画像処理回路200に入力される。そして、第2画像処理回路200に入力された第2面の画像データは、シェーディング補正部201によるシェーディング補正、GAP補正部202によるGAP補正、γ/グレイバランス補正部203によるγ/グレイバランス補正がなされた後、色空間変換部204にて色空間変換され、読み取り順にメモリ205に順次格納される。次に、第1画像処理回路100において第1面の画像データがすべて色空間変換部104から出力された後、SEL105は受け付ける入力を色空間変換部104から第2画像処理回路200のメモリ205側に切り替える。そして、第2画像処理回路200に設けられたメモリコントローラ206により、メモリ205に格納された第2面の画像データが順次出力される。このとき、メモリコントローラ206は、自動的にあるいはユーザからの指示に基づいて、メモリ205に格納される第2面の画像データを読み取り順(格納順)あるいは読み取り順とは逆順に出力する。この出力順の決定手法については後述する。
そして、メモリ205から出力された第2面の画像データは、拡大縮小部106による拡大縮小処理、フィルタ部107によるフィルタ処理、コントラスト調整部108によるコントラスト調整処理がなされた後、下地除去部109に入力される。一方、メモリ205から出力された第2面の画像データは、SEL105を介して下地検知部110にも入力されており、下地検知部110では、原稿の先端部に対応する画像データを用いて原稿の下地レベルを検知して下地除去部109に出力する。そして、下地除去部109では、コントラスト調整部108から出力された第2面の画像データから下地検知部110にて検知された原稿の下地レベルを除去して出力用の第2面の画像データを生成し、外部へと出力する。
図8は、本実施の形態に係る画像読み取り装置で読み取られる両面原稿の一例を示したものであり、原稿における綴じ位置が異なるものを例示している。ここで図8(a)は長辺綴じ用原稿であって、画像が長手方向に対して横向きに形成される例を示している。一方、図8(b)は短辺綴じ用原稿であって、画像が長手方向に対して横向きに形成される例を示している。また、これら図8(a),(b)に示す両面原稿では、画像の背景にグラデーションがかけられており、特に、図中に矢印で示すスキャン方向(原稿の搬送方向)に沿って背景画像の濃淡が形成されるようになっている。
長辺綴じ用原稿の場合には、図8(a)に示すように、原稿の表裏で画像の先端位置(上側)が逆転し、その結果背景の濃淡が表裏で逆となっていることが理解される。このような長辺綴じ用原稿を上述した1パスによる両面同時読み取りモードで読み取る場合は、原稿の表裏(第1面、第2面)共に搬送方向先端部の画像データに基づいて原稿の下地検知および下地除去を行ってしまうと、第1面(表)については薄い下地レベルが検知され、また、第2面(裏)については濃い下地レベルが検知されることとなる。すると、表裏で異なる下地レベルにて下地除去が行われることになってしまい、出力される第1面の画像データおよび第2面の画像データの画質にずれが生じてしまう。
一方、短辺綴じ用原稿の場合には、図8(b)に示すように、原稿の表裏で画像の先端位置(上側)が一致し、その結果背景の濃淡が表裏で同じようになっていることが理解される。このような短辺綴じ用原稿を上述した1パスによる両面読み取りモードで読み取る場合は、原稿の表裏(第1面、第2面)共に搬送方向先端部の画像データに基づいて原稿の下地検知および下地除去を行うことで、第1面および第2面共に同じ下地レベルが検知されることとなる。したがって、表裏共に同じ下地レベルにて下地除去が行われることになり、出力される第1面の画像データおよび第2面の画像データの画質を合わせることが可能となる。
そこで、本実施の形態では、1パスによる両面同時読み取りモードが選択された場合であって、長辺綴じ用原稿を読み取る際には、メモリ205に格納された第2面の画像データを、メモリコントローラ206が読み取り順(格納順)とは逆順に出力するように制御する(第1の下地検知モード)。このように、第2面の画像データの先端部と後端部とを180°回転してローテーションさせることで、第1面の画像データの先端部に対して第2面の画像データの先端部(読み取りにおいては後端部)を合わせている。第1面の画像データについては、読み取り順すなわち先端部側から下地検知部110に入力されることになり、例えば図8(a)に示す例では薄い背景部が下地レベルとして検知されることになるのに対し、第2面の画像データについては読み取り順の逆順すなわち後端部側から下地検知部110に入力されることになるので、例えば図8(a)に示す例では第1面と同様に薄い背景部が下地レベルとして検知されることになる。したがって、長辺綴じ用原稿の場合にも、表裏共に同じ下地レベルにて下地除去が行われることになり、長辺綴じ用原稿の場合にも出力される第1面の画像データおよび第2面の画像データの画質を合わせることが可能となる。
一方、1パスによる両面同時読み取りモードが選択された場合であって、短辺綴じ用原稿を読み取る際には、メモリ205に格納された第2面の画像データを、メモリコントローラ206が読み取り順に出力するように制御する(第2の下地検知モード)。このように、第2面の画像データの先端部と後端部とをそのまま出力することで、第1面の画像データの先端部に対して第2面の画像データの先端部(読み取りにおいても先端部)を合わせている。第1面の画像データについては。読み取り順すなわち先端部側から下地検知部110に入力されることになり、例えば図8(b)に示す例では薄い背景部が下地レベルとして検知されることになるのに対し、第2面の画像データについても読み取り順すなわち先端側から下地検知部110に入力されることになるので、例えば図8(b)に示す例では第1面と同様に薄い背景部が下地レベルとして検知されることになる。したがって、短辺綴じ用原稿の場合にも、表裏共に同じ下地レベルにて下地除去が行われることになり、長辺綴じ用原稿の場合にも出力される第1面の画像データおよび第2面の画像データの画質を合わせることが可能となる。
ここで、本実施の形態において、原稿が長辺綴じ用原稿であるか短辺綴じ用原稿であるかは、例えばスキャナ装置70に設けられたユーザからの選択によってなされる。
また、長辺綴じ用原稿であっても、例えば図9(a)に示すように、スキャン方向に直交する方向に沿って背景画像の濃淡が形成される場合がある。本実施の形態では、長辺綴じ用原稿の場合には、第1面の画像データはそのままとし、第2面の画像データをローテーションさせた状態で下地検知および下地除去が行われることになるが、図9(a)に示す例では先端側、後端側のいずれにおいても背景画像の濃淡を平均した下地レベルが検知されることとなるため、結果として表裏共に同じ下地レベルにて下地除去が行われることになり、特に問題が生じることはない。
一方、短辺綴じ用原稿であっても、例えば図9(b)に示すように、スキャン方向に直交する方向沿って背景画像の濃淡が形成される場合もある。本実施の形態では、短辺綴じ用原稿の場合には、第1面の画像データおよび第2面の画像データをそのままとした状態で下地検知および下地除去が行われることになるが、この場合にも先端側、後端側のいずれにおいても背景画像の濃淡を平均した下地レベルが検知されることとなるため、結果として表裏共に同じ下地レベルにて下地除去が行われることになり、特に問題が生じることはない。
以上説明したように、本実施の形態では、1パスによる両面同時読み取りモードが実行される際に、両面原稿の種類(長辺綴じ用原稿、短辺綴じ用原稿)に応じて、第2面の読み取りデータを反転させ、または、反転させずに出力するようにしたので、例えばグラデーションがかかった背景画像を有する両面原稿の場合にも、表裏両面における下地レベルを合わせることができ、表裏両面の画質を合わせることができる。
なお、本実施の形態では、メモリ205から出力される第2面の画像データの出力順を調整して原稿の表裏両面の先端部を位置合わせすることで、第1面の画像データおよび第2面の画像データにおける下地検知の条件を一致させるようにしていたが、これに限られるものではなく、例えば、メモリ205からの出力は常時読み取り順とし、両面原稿が長辺綴じ用原稿か短辺綴じ用原稿かによって下地検知部110における下地検知位置を後端側あるいは先端側に変更するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、グラデーションがかかった背景画像を有する両面原稿を読み取る例に基づいて説明を行ったが、例えば電子写真複写機等の画像形成装置では、用紙上にトナー像を形成する際に用紙の後端側でトナーかぶりが生じ、結果として原稿の先端側と後端側とで背景の濃度が異なってしまうこともあり得る。本実施の形態に係る画像読み取り装置は、このようなトナーかぶりが生じた画像が形成された両面原稿を読み取る際にも有効であり、この場合にも表裏両面の画質を合わせることができる。
―実施の形態2―
図10は、本実施の形態における第1画像処理回路100および第2画像処理回路200の機能ブロック図を示している。本実施の形態において、第1画像処理回路100の構成は実施の形態1と略同様であるが、下地検知部110にて検知された下地レベルを一時的に格納するためのメモリ111がさらに設けられている点が異なっている。また、第2画像処理回路200の構成も実施の形態1と略同様であるが、メモリコントローラ206がメモリ205に格納される画像データを読み取り順にのみ出力できるようになっている点が異なっている。
次に、上述した各画像読み取りモードにおける第1画像処理回路100および第2画像処理回路200の動作について詳述する。ただし、1パスによる片面読み取りモードおよび反転パスによる両面読み取りモードは実施の形態1と同じであるので説明を省略し、1パスによる両面同時読み取りモードについてのみ説明する。
1パスによる両面同時読み取りモードでは、CCDイメージセンサ78によって読み取られた画像データ(第1面の画像データ)が、AFE84およびADC85によって適宜処理された後、第1画像処理回路100に入力される。そして、第1画像処理回路100に入力された第1面の画像データは、シェーディング補正部101によるシェーディング補正、GAP補正部102によるGAP補正、γ/グレイバランス補正部103によるγ/グレイバランス補正がなされた後、色空間変換部104にて色空間変換される。ここで、SEL105では色空間変換部104からの入力が選択されており、色空間変換部104で色空間変換された第1面の画像データは、拡大縮小部106による拡大縮小処理、フィルタ部107によるフィルタ処理、コントラスト調整部108によるコントラスト調整処理がなされた後、下地除去部109に入力される。一方、色空間変換部104で色空間変換された第1面の画像データは、SEL105を介して下地検知部110にも入力されており、下地検知部110では、原稿の先端部に対応する画像データを用いて原稿の下地レベルを検知して下地除去部109に出力すると共に、検知された下地レベルをメモリ111に格納する。そして、下地除去部109では、コントラスト調整部108から出力された第1面の画像データから下地検知部110にて検知された原稿の下地レベルを除去して出力用の第1面の画像データを生成して外部へと出力する。
一方、CCDイメージセンサ78による第1面の読み取りと略同時期にCIS50によって読み取られた画像データ(第2面の画像データ)が、AFE82およびADC83によって適宜処理された後、第2画像処理回路200に入力される。そして、第2画像処理回路200に入力された第2面の画像データは、シェーディング補正部201によるシェーディング補正、GAP補正部202によるGAP補正、γ/グレイバランス補正部203によるγ/グレイバランス補正がなされた後、色空間変換部204にて色空間変換され、読み取り順にメモリ205に順次格納される。次に、第1画像処理回路100において第1面の画像データがすべて色空間変換部104から出力された後、SEL105は受け付ける入力を色空間変換部104から第2画像処理回路200のメモリ205側に切り替える。そして、第2画像処理回路200に設けられたメモリコントローラ206により、メモリ205に格納された第2面の画像データが読み取り順に順次出力される。
そして、メモリ205から出力された第2面の画像データは、拡大縮小部106による拡大縮小処理、フィルタ部107によるフィルタ処理、コントラスト調整部108によるコントラスト調整処理がなされた後、下地除去部109に入力される。一方、メモリ205から出力された第2面の画像データは、SEL105を介して下地検知部110にも入力されており、下地検知部110では、原稿の先端部に対応する画像データを用いて原稿の下地レベル(先端下地レベル:先端側下地)を検知すると共に、原稿の後端部に対応する画像データを用いて原稿の下地レベル(後端下地レベル:後端側下地)を検知する。そして、下地検知部110では、メモリ111に格納された第1面の画像データにおける下地レベルを読み出し、これら第2面の画像データにおける先端下地レベルおよび後端下地レベルと比較する。そして、これら第2面の画像データにおける先端下地レベルおよび後端下地レベルのうち、第1面の画像データにおける下地レベルと近いものを第2面の画像データにおける下地レベルとして下地除去部109に出力する。そして、下地除去部109では、コントラスト調整部108から出力された第2面の画像データから下地検知部110にて検知された原稿の下地レベルを除去して出力用の第2面の画像データを生成し、外部へと出力する。
本実施の形態では、第2面の画像データにおける画像の先端側および後端側から二つの下地レベル(先端側下地レベル、後端側下地レベル)を作成し、第1面の画像データの下地レベルに近い方を第2面の画像データにおける下地レベルとして用いるようにしたので、原稿の綴じ方向やトナーかぶりの発生と無関係に表裏共に略同じ下地レベルにて下地除去が行われることになり、出力される第1面の画像データおよび第2面の画像データの画質を合わせることが可能となる。
10…原稿送り装置、31…第1搬送路、32…第2搬送路、33…第3搬送路、34…第4搬送路、35…第5搬送路、36…第6搬送路、40…排出トレイ、50…CIS、54…ラインセンサ、70…スキャナ装置、78…CCDイメージセンサ、79…駆動基板、80…処理装置、81…信号処理部、90…制御部、91…画像読み取りコントロール、92…CCD/CISコントロール、93…ランプコントロール、94…スキャンコントロール、95…搬送機構コントロール、100…第1画像処理回路、101…シェーディング補正部、102…GAP補正部、103…γ/グレイバランス補正部、104…色空間変換部、105…セレクタ(SEL)、106…拡大縮小部、107…フィルタ部、108…コントラスト調整部、109…下地除去部、110…下地検知部、111…メモリ、200…第2画像処理回路、201…シェーディング補正部、202…GAP補正部、203…γ/グレイバランス補正部、204…色空間変換部、205…メモリ、206…メモリコントローラ