JP4122825B2 - 2次空気供給システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気系に配置される排気浄化装置の上流側に2次空気を供給する2次空気供給システムに関し、特に、複数系統の排気系を有している2次空気供給システムにおいて、異常検出を可能とした2次空気供給システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の排気浄化装置として、排気系に三元触媒を配置し、排気ガス中のCO、HC、NOx成分を低減して浄化を図る装置が知られている。さらに、排気管に接続された開閉弁を有する2次空気供給通路にエアポンプから空気を圧送することで、排気管内に2次空気を供給して酸素濃度を高くして、排気ガス中のHC、COを酸化させることにより排気ガスの浄化を促進する技術が知られている。
【0003】
このような2次空気供給システムにおいて、エアポンプや開閉弁といった構成部品に異常が生じると、排気ガスの浄化効率が低下してしまい、エミッションが悪化することから、その異常を早期に判定する必要がある。そこで、この種の異常を検出する技術として、特開平9−21312号公報や特開平9−125945号公報に開示されている技術が知られている。
【0004】
前者は、2次空気供給通路のエアポンプと開閉弁との間に圧力センサを配置し、検出した圧力値を基にして2次空気供給システムの異常を検出するものである。また、後者は、2次空気供給通路に圧力センサを配置し、検出した圧力脈動の最大値と最小値との差を基にして2次空気供給システムの異常を検出するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、多気筒エンジンで各気筒を1列ではなく、2列に配置したいわゆる水平対向エンジンやV型エンジンにおいては、各列ごとに排気系統を備えるのが一般的である。こうしたエンジンにおいても2次空気供給系は各排気系統ごとにそれぞれ独立して設置されるのではなく、エアポンプや開閉弁を共用して、その下流側で各排気系統に分岐させる構成が一般的である。
【0006】
こうした2次空気供給システムにおいては、片側の排気系統に至る通路にのみ異常が発生した場合、圧力の変化は発生するため、前者の技術では、その検出が困難である。また、このような場合には圧力脈動の差が小さいため、後者の技術では、排気系統に至る通路の異常なのか、分岐前の通路の異常なのかを判別することができない。
【0007】
そこで本発明は、複数の排気系統を有する多気筒内燃機関用に、エアポンプや開閉弁の下流で分岐させて各排気系統へ2次空気を供給するタイプの2次空気供給システムにおいて、構成部品の異常を正確に判定することが可能なシステムを提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係る2次空気供給システムは、多気筒内燃機関の1つないし複数の気筒に対応して設けられた複数の排気系上にそれぞれ配置された排気浄化装置の上流側に2次空気を供給する2次空気供給システムであって、共通の主通路と、この主通路より下流側で分岐されて排気系の各々に連なる複数の分岐通路と、主通路上に配置されるエアポンプと、エアポンプ下流の主通路上に配置されて主通路を開閉する開閉手段と、分岐通路のそれぞれに配置されている逆止弁と、を備えている2次空気供給システムにおいて、エアポンプと前記開閉手段の間に配置される圧力センサと、エアポンプ作動中に開閉手段の開閉状態を切り替え、圧力センサで検出した該開閉前後の閉止指示時の圧力値および開放指示時と閉止指示時の圧力差に基づいて主通路および分岐通路の閉塞異常を診断する異常診断部と、をさらに備えているものである。
【0009】
エアポンプの作動中に開閉手段が閉状態の場合には、両者の間に設置された圧力センサは、高い圧力値を示す。一方、エアポンプ作動中に開閉手段が開状態の場合には、主通路・分岐通路に閉塞がなければ、圧力値は大気圧よりやや高い値、つまり、閉状態のときより低い圧力値となる。しかし、圧力センサ下流の主通路またはその下流の全ての分岐通路で閉塞異常があれば開閉手段が閉状態の場合と同じく高い圧力値が検出される。一方、開閉手段を含む主通路に異常がなく、分岐通路の一部のみに閉塞異常がある場合には、開閉手段が閉状態の場合より低く、閉塞がない場合よりも高い圧力となる。したがって、開閉手段の開閉状態を切り替え、閉状態時と開状態時との圧力の変動を検出することで、閉塞異常が一部の分岐通路のみか主通路または全分岐通路の異常かを判別することができる。このため、2次空気を確実に供給できる場合にのみシステムを作動させて、構成部品の2次損傷を防止するとともに、運転条件の調整等によりエミッションのさらなる悪化を抑制することができる。
【0010】
異常診断部は、圧力センサで検出された圧力値の所定時間内における時間平均値を用いて異常診断を行うことが好ましい。時間平均圧力を用いることで、脈動の影響を抑制して、正確な検出を行うことができる。
【0011】
各排気系内の分岐通路より下流にそれぞれ配置される空燃比センサをさらに備えており、異常診断部は、2次空気供給制御中における各空燃比センサの出力を基にして閉塞異常が起こっている分岐通路を特定することが好ましい。
【0012】
一部の分岐通路のみに閉塞異常が起こっている場合には、当該分岐通路に供給される2次空気量が不足するため、この通路における空燃比が他の通路における空燃比より小さい側にずれるため、これにより閉塞異常が起こっている分岐通路を特定することが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の参照番号を附し、重複する説明は省略する。
【0014】
図1は、本発明に係る2次空気供給装置を備える内燃機関の構成を示す概略図である。この2次空気供給装置1は、内燃機関である多気筒ガソリンエンジン(以下、単にエンジンと呼ぶ。)2に取り付けられるものである。このエンジン2は、気筒(シリンダ)20をV字型に配列したV型配列エンジンである。
【0015】
このエンジン2の吸気系3は、図示していないスロットルボディの下流に接続された共通のサージタンク30からインテークマニホールド31によって各気筒20へV字の内側から分岐接続されている。
【0016】
また排気系4は、同一バンクの気筒20各々に接続され、排気を集合させるエキゾーストマニホールド40a、40bがV字の両脇にそれぞれ接続されている。各エキゾーストマニホールド40a、40bの下流には、三元触媒からなる排気浄化装置41a、41bがそれぞれ配置されており、合流管42によって合流された後、マフラー43を通過して大気中に排出される。各エキゾーストマニホールド40a、40bの排気浄化装置41a、41b近傍(上流)には空燃比検出のためのA/Fセンサ44a、44bが配置されている。
【0017】
2次空気供給装置1の2次空気供給通路は、上流側の主通路10とその下流側で2つに分岐されてそれぞれエキゾーストマニホールド40a、40bに接続される分岐通路11a、11bから構成される。主通路10の入口にはエアフィルター12が配置され、その下流側、分岐通路11a、11bへと分岐されるまでの間に順に、電気モータ駆動式のエアポンプ(AP)13、圧力センサ14、エアスイッチングバルブ(ASV)15が配置されている。このASV15には、サージタンク30から延びる配管17が接続されており、この配管17上には電磁式スイッチングバルブ(VSV)19が配置されている。このVSV19には、フィルター19aを有する配管19bが接続されている。分岐通路11a、11b上にはそれぞれ上流側の圧力が高いときのみに通路を連通させる逆止弁であるリード弁(RV)16a、16bが配置されている。
【0018】
エンジンを制御するエンジンECU5は、この2次空気供給装置1の動作を制御する制御装置を兼ねており、圧力センサ14、A/Fセンサ44a、44bの出力信号が入力されるとともに、AP13のモータ駆動と電磁弁17の開閉を制御する。
【0019】
この2次空気供給装置1は、主として冷間始動時等の燃料濃度が高く、空燃比(A/F)が小さく、かつ、排気浄化装置41a、41bが充分に昇温しておらずその機能が充分に発揮されにくい状態において、ECU5がVSV19を開くことで、サージタンク30内の負圧をASV15に導いて、ASV15を開制御するとともに、AP13を駆動させて、2次空気供給通路(主通路10、分岐通路11a、11b)を介してエアフィルタ12を通過した空気を排気管40a、40bの各々の中へと導く。これにより、排気中の酸素濃度を上昇させて、そのA/Fを上げ、排気中のHC、COの排気管40a、40bにおける2次燃焼を促して排気の浄化を図る。また、排気温度を上昇させることで排気浄化装置(三元触媒)41a、41bの昇温を促進することによりエミッションの悪化を抑制する。なお、ASV15と電磁弁19の組み合わせに代えて、ASV15部分に直接、電磁弁を使用することもできる。
【0020】
本発明に係る2次空気供給装置1は、構成部品すなわち、AP13、ASV15、RV16a、16b等の異常を検出する機能を備えていることを特徴とする。具体的には、ECU5が、主通路10のAP13とASV15の間に配置される圧力センサ14で検出される圧力挙動に基づいて構成部品の異常検出を行う。以下、この異常検出の処理ルーチンについて詳細に説明する。
【0021】
図2〜図5は異常検出処理ルーチンを示すフローチャートであり、図2が圧力、A/Fの検出ルーチンのメイン処理を示すフローチャートであり、図3、図4はこのルーチン中のサブルーチンである圧力検出処理およびA/F検出処理のそれぞれの処理を示すフローチャートであり、図5は、検出結果を基にして異常判定を行う判定処理のフローチャートである。図6は、これらの処理で用いられる各種の制御量や測定圧力、A/F値の時間変化の一例を示すグラフである。
【0022】
以下の処理は特に記載のない限り、ECU5により行われる。図2に示される圧力、A/Fの検出処理は、エンジン2の始動直後から検出処理が終了するまで、具体的には、後述するAI OFF時の検出終了フラグXSTEP3が1にセットされるまでの間、所定のタイミングで繰り返し実行される。図5に示される異常検出処理はこの処理の終了後、XSTEP3が1の場合のときに1度だけ実行される。
【0023】
最初に、図2に示される検出処理について説明する。この処理は、圧力センサ14により、2次空気供給(以下、AIと略す)システムの作動前およびAP13作動中のASV15の開閉時それぞれの圧力を検出するものである。
【0024】
まず、ステップS1では、現在の圧力値Pを検出し、ECU5のメモリ内部に取り込む。ここで、圧力値P自体はエンジン1の運転に同期して周期的に変動するため、数タイムステップ程度の圧力値の時間平均値をとってこれを現在の圧力値とすることが好ましい。以下他のステップにおける圧力値PやA/F値の取り込みにも同じことがいえる。
【0025】
ステップS2では、AI実行条件が成立しているか否かをチェックする。この実行条件は、エンジン冷却水温、吸気温、始動経過時間、バッテリー電圧、負荷条件等により決定される。AI実行条件が成立した場合には、ステップS5へと移行してAI_OFFカウンタの値を0にリセットし、続く、ステップS6でAI_ONカウンタの値を1増加させた後、ステップS7では、AP13の作動をスタートさせる(すでに駆動中の場合は駆動を継続する)。
【0026】
ステップS8では、AI異常検出条件が成立しているか否かをチェックする。この異常検出条件とは、AP13の作動を開始してから所定の時間が経過してその作動が安定した状態にあり、エンジン2の回転数、負荷や車両の車速条件からエンジン2がアイドル状態にある等、異常検出が容易に判定できる条件を指す。AI異常検出条件が満たされている場合には、ステップS9へと移行する。満たされていない場合には、その後の処理をスキップして終了する。
【0027】
ステップS9では、AI_ONカウンタの値と第1の閾値T1とを比較する。T1未満の場合には、ステップS10へと移行して、今度はASV15閉止時の圧力検出終了フラグXSTEP1が0か否かを判定する。0以外の場合、つまりASV15閉止時の圧力検出が既に終了している場合には、以下の処理をスキップして終了する。XSTEP1が0の場合、つまりASV15閉止時の圧力検出が終了していない場合には、ステップS11へと移行し、ステップS1で取り込んだ圧力値Pを所定の閾値P0と比較する。ASV15を閉じたままAP13を作動させた場合、設定と作動状態が一致していれば、図6に示されるように、観測される圧力値は増大するはずである。そこで、Pが基準となる閾値P0以上に達している場合には、ステップS12へと移行してAI判定フラグF1の値として正常を示す0を設定し、そうでない場合、つまりASV15の開故障により圧力値がP0以上に増大しない場合にはステップS13へと移行してAI判定フラグF1の値として異常を示す1を設定し、ステップS14へと移行する。
【0028】
ステップS14では、ASV15閉止時の圧力検出が終了したとして、終了フラグXSTEP1に1をセットし、続く、ステップS15においてASV15閉止時の圧力値P1にステップS1で検出した圧力値Pをセットして処理を終了する。
【0029】
ステップS9で、AI_ONカウンタの値がT1以上の場合には、ステップS20へと移行して、ASV15を開く(すでに開いている場合には、その状態を維持する。)。具体的には、VSV19を開くことで、配管17を介してASV15へサージタンク30の負圧を導くことでASV15を開状態へと切り替える。このように、ASV15の閉状態から開状態への切替えをAP13の運転が安定するまで待機することで、AP13作動中のASV15閉止時における圧力検出を確実に行うことができる。
【0030】
続くステップS21では、AI_ONカウンタの値と第2の閾値T2とを比較する。AI_ONカウンタの値がT2以下の場合には、その後の処理をスキップして終了する。一方、AI_ONカウンタの値がT2を超えている場合には、ステップS22へと移行してASV15開時の圧力検出終了フラグXSTEP2が0か否かを判定する。0以外の場合、つまりASV15開時の圧力検出が既に終了している場合には、以下の処理をスキップして終了する。XSTEP2が0の場合、つまりASV15開時の圧力検出が終了していない場合には、ステップS23へと移行し、ASV15開時の圧力検出処理Aを実行する。
【0031】
図3は、この圧力検出処理Aの詳細である。まず、ステップS31では、現在の圧力値Pを変数P2に代入する。そして、ステップS32でP2とP1の差を求めることでAP13作動中におけるASV15を閉止状態から開状態に切り替えた時の切替え前後の圧力差ΔPを求める。
【0032】
次に、ステップS33では、求めた圧力差ΔPと所定の閾値ΔP1とを比較する。AP13作動中にASV15を閉状態から開状態へと切り替えると、AIシステムが正常に機能しているとすれば、図6に示されるように圧力は降下し、ΔPは大きくなるはずである。そこで、ΔPが基準となる閾値ΔP1を超えている場合には、ステップS34へと移行してAI判定フラグF2の値として正常を示す0を設定する。ΔPが基準となる閾値ΔP1以下の場合には、ステップS35へと移行して、今度はΔPを所定の閾値ΔP2(ここでΔP2<ΔP1である。)と比較する。分岐通路11a、11bのいずれか一方のみが閉塞している(以下、片バンク異常と称する)場合には、図6に示されるように、ASV15の開状態への切替えに伴い圧力は降下するが、その圧力降下量ΔPは両分岐通路とも閉塞のない場合に比べて小さくなるはずである。また、両通路とも閉塞しているかASV15が閉故障している(以下、両バンク異常と称する)場合には、ASV15の開状態への切替え前後での圧力低下はほとんどないはずである。そこで、ΔPが基準となる閾値ΔP2を超えている場合には、ステップS36へと移行してAI判定フラグF2の値として片バンク異常を示す1を設定する。そして、ΔPが基準となる閾値ΔP2以下の場合にはステップS37へと移行し、AI判定フラグF2の値として両バンク異常を示す−1を設定する。
【0033】
ステップS34、S36、S37の処理終了後はいずれの場合もステップS38へと移行し、各A/Fセンサ44a、44bの出力値AF1とAF2を取り込み、ステップS39で両出力値をそれぞれ変数AF1_on、AF2_onに格納して、ステップS40では、ASV15開時の圧力検出が終了したとして、終了フラグXSTEP2に1をセットして圧力検出処理を終了する。これにより、当該タイムステップのメイン処理も終了する。
【0034】
ステップS2でAI実行条件が不成立と判定された場合には、ステップS50へと移行してA/F検出処理が行われる。このA/F検出処理は、図4に示されるように、まず、ステップS51でAI_ONカウンタの値を0にリセットし、ステップS52でAI_OFFカウンタの値を1増加させ、続くステップS53でAP13の作動を停止させ(すでに停止中の場合には、停止状態を継続し)、ステップS54では、ASV15を閉じる(すでに閉じている場合には、その状態を維持する)。具体的には、VSV19を閉じることで、配管19bを介してASV15へ大気圧を導くことでASV15を閉状態へと切り替える。
【0035】
続くステップS55では、ASV15開時の圧力検出終了フラグXSTEP2が1か否かを判定する。1以外の場合、つまりASV15開時の圧力検出が終了していない場合には、、以下の処理をスキップして終了する。XSTEP2が1の場合、つまりASV15開時の圧力検出が終了している場合には、ステップS57へと移行し、AI_OFFカウンタの値を閾値T3と比較する。
【0036】
AI_OFFカウンタの値が閾値T3以下の場合には、まだ2次空気の供給が完全にストップしておらず、A/F値が変動中である可能性があるため、検出処理をスキップして処理を終了する。AI_OFFカウンタの値が閾値T3を超えている場合には、ステップS58へと移行して、AIシステムオフ時のA/F検出終了フラグXSTEP3が0か否かを判定する。0以外の場合、つまりAIシステムオフ時のA/F検出が既に終了している場合には、以下の処理をスキップして終了する。XSTEP3が0の場合、つまりAIシステムオフ時のA/F検出が終了していない場合には、ステップS59以降のA/F検出処理へと移行する。
【0037】
ステップS59では、各A/Fセンサ44a、44bの出力値AF1とAF2を取り込み、ステップS60で両出力値をそれぞれ変数AF1_off、AF2_offに格納する。ステップS61では、AIシステム作動中にステップS39で格納したAF1_on、AF2_onとAF1_off、AF2_offそれぞれの差を求めることで、AIシステム作動中と停止時での各エキゾーストマニホールド40a、40bにおけるA/Fの変動値ΔAF1、ΔAF2を求める。そして、求めたΔAF1、ΔAF2の差の絶対値を変数ΔAFに格納する。AIシステムが正常に機能しているときは、図6に示されるように、ΔAF1、ΔAF2が大きくなる一方、その差ΔAFは小さくなるはずである。
【0038】
ステップS62ではこうして求めたΔAFを閾値αと比較する。ここでΔAFが閾値αより小さい場合には、両エキゾーストマニホールド40a、40bでのAI供給条件の偏りが少ないことを示すからステップS63へと移行してAI判定フラグF3の値として偏在がないことを示す0を設定する。ΔAFが閾値α以上の場合には、両エキゾーストマニホールド40a、40bでのAI供給条件の偏りが大きいことを示すからステップS64へとΔAF1、ΔAF2のいずれが大きいかを調べる。ΔAF1が大きい場合には、偏差の小さいエキゾーストマニホールド40b側へのAI供給に異常があると判定し、ステップS65へと移行してAI判定フラグF3の値としてエキゾーストマニホールド40b側の異常を示す1を設定する。一方、ΔAF2が大きい場合には、偏差の小さいエキゾーストマニホールド40a側へのAI供給に異常があると判定し、ステップS66へと移行してAI判定フラグF3の値としてエキゾーストマニホールド40a側の異常を示す2を設定する。ステップS63、65、66の各処理の終了後はステップS67へと移行してAIシステムオフ時のA/F検出終了フラグXSTEP3に検出終了を示す1をセットして処理を終了する。これにより、当該タイムステップのメイン処理も終了する。
【0039】
XSTEP3に1が設定されたら、図5に示される異常判定処理を行う。まず、ステップS70では、判定フラグF1が0か否かを判定する。F1が0の場合には、ASV15を閉じたまま、AP13を作動させた場合に圧力上昇が検出されたことを意味するから、この場合には、AP13の作動(常時ON故障を除く)と、ASV15の開故障はないので、ステップS71に移行して、今度は判定フラグF2の値が0か否かを判定する。判定フラグF2が0の場合には、AP13作動状態のままASV15を開いたときに、所定値ΔP1以上の圧力降下が生じたことを示すから、この場合には、ASV15は正常に機能しており、その下流側のRV16a、16bを含む通路にも閉塞がないことを示す。そこで、ステップS72へと移行してAI正常フラグXAIOKに正常であることを示す1をセットして処理を終了する。
【0040】
ステップS70で判定フラグF1が0でない、つまり1が設定されていると判定された場合には、ASV15の開故障により圧力値がP0以上に増大しないものと判定し、ステップS73へと移行してASV開フラグXFASVOPに1をセットした後、ステップS74へと移行してAI異常フラグXAINGに1をセットして処理を終了する。
【0041】
また、ステップS71で判定フラグF2が0でないと判定された場合には、ステップS75へと移行し、判定フラグF2が1か否かを判定する。1でない場合、つまり、その値が−1の場合には、ASV15を開制御しても、AI供給が行われない両バンク異常の状態であることから、ステップS76、77へと移行して分岐通路11a、11bそれぞれの異常を示すバンク1閉フラグXFBNK1CL、バンク2閉フラグXFBNK2CLのそれぞれに1をセットして、ステップS74へと移行してAI異常フラグXAINGに1をセットして処理を終了する。
【0042】
また、ステップS75で判定フラグF2が1と判定された場合には、片バンク異常の状態と判定されるから、ステップS78へと移行して判定フラグF3の値が0か否かを判定する。判定フラグF3の値が0の場合には、両エキゾーストマニホールド40a、40bでのAI供給条件の偏りが少ないことを示すから主通路10側に閉塞に至らない異常、つまり配管詰まりが発生していると判定し、ステップS79へと移行して配管詰まりフラグXAIJAMに詰まりを示す1をセットして、ステップS74へと移行してAI異常フラグXAINGに1をセットして処理を終了する。
【0043】
一方、ステップS78で判定フラグF3が0でないと判定された場合には、ステップS80へと移行して判定フラグF3の値が1か否かを判定する。F3が1の場合には、エキゾーストマニホールド40b側へのAI供給に異常があることを表すから、ステップS81へと移行して、分岐通路11bの異常を示すバンク2閉フラグXFBNK2CLに1をセットし、ステップS74へと移行してAI異常フラグXAINGに1をセットして処理を終了する。一方、F3が1でない、つまり、2の場合には、エキゾーストマニホールド40a側へのAI供給に異常があることを表すから、ステップS82へと移行して、分岐通路11aの異常を示すバンク1閉フラグXFBNK1CLに1をセットし、ステップS74へと移行してAI異常フラグXAINGに1をセットして処理を終了する。
【0044】
このように、AP13の作動中のASV13の閉状態から開状態に切り替えた前後のそれぞれの圧力値と圧力差、A/Fの差を基に異常判定を行うことで、AI供給システムのうちどちらのバンクに異常が起きたかを特定することができる。このとき、片バンク故障と配管の詰まりとを明確に区別することができるので、精度良く判別を行うことができる。
【0045】
ここでは、AP13作動後、ASV13の閉→開切替えを遅らせることで、AP13の作動中のASV13の閉状態から開状態に切り替えた前後のそれぞれの圧力値と圧力差を測定する例を説明したが、AP13停止よりASV13の開→閉切替えを先行させることで、AP13の作動中のASV13の開状態から閉状態に切り替えた前後のそれぞれの圧力値と圧力差を測定し、これを基にして算出を行うことも可能である。また、A/F値の測定についても、AIシステム作動中と停止後の差ではなく、AIシステム作動前と作動中の差を測定してもよい。
【0046】
また、以上の説明では、AI供給終了後に異常判定を行う例を説明してきたが、AI供給制御中に判定を行うことも可能である。この場合、AI供給前のA/F値と供給制御中のA/F値を比較すればよい。このようにすると、早期の異常判定が可能となり、2次空気を確実に供給できる場合にのみシステムを作動させて、構成部品の2次損傷を防止するとともに、運転条件の調整等によりエミッションのさらなる悪化を抑制することができる。
【0047】
また、A/F値の変動値により異常バンクを特定するのではなく、片バンク異常と判定される場合に、作動中のA/F値がリッチ側のバンクを異常と判定することもできる。
【0048】
以上の説明では、気筒の配列形式としてV型配列エンジンを例に説明したきたが、水平対向配列やその他の機関配列形式であっても、少なくとも複数の独立した排気浄化装置を備え、その上流側に主通路から分岐された2次空気供給通路が接続されてそれぞれに2次空気を供給する形式であればよい。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、複数の排気系に分岐通路を介して2次空気供給を行う2次空気供給システムにおいて、分岐通路のいずれかが異常な場合には異常が起こっている分岐通路を特定することができ、異常検出精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る2次空気供給装置を備える内燃機関の構成を示す概略図である。
【図2】圧力、A/Fの検出ルーチンのメイン処理を示すフローチャートである。
【図3】図2の処理のサブルーチンである圧力検出処理を示すフローチャートである。
【図4】図2の処理のサブルーチンであるA/F検出処理を示すフローチャートである。
【図5】検出結果を基にして異常判定を行う判定処理のフローチャートである。
【図6】図2〜図5の処理で用いられる各種の制御量や測定圧力、A/F値の時間変化の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
1…2次空気供給装置、2…多気筒ガソリンエンジン、3…吸気系、4…排気系、5…ECU、10…主通路、11…分岐通路、12…エアフィルター、13…エアポンプ(AP)、14…圧力センサ、15…エアスイッチングバルブ(ASV)、16…リード弁(RV)、17…配管、18…電磁式スイッチングバルブ(VSV)、20…気筒、30…サージタンク、31…インテークマニホールド、40…エキゾーストマニホールド、41…排気浄化装置、42…合流管、43…マフラー、44…A/Fセンサ。

Claims (3)

  1. 多気筒内燃機関の1つないし複数の気筒に対応して設けられた複数の排気系上にそれぞれ配置された排気浄化装置の上流側に2次空気を供給する2次空気供給システムであって、共通の主通路と、前記主通路より下流側で分岐されて前記排気系の各々に連なる複数の分岐通路と、前記主通路上に配置されるエアポンプと、前記エアポンプ下流の主通路上に配置されて前記主通路を開閉する開閉手段と、前記分岐通路のそれぞれに配置されている逆止弁と、を備えている2次空気供給システムにおいて、
    前記エアポンプと前記開閉手段の間に配置される圧力センサと、
    前記エアポンプ作動中に前記開閉手段の開閉状態を切り替え、前記圧力センサで検出した閉止指示時の圧力値および開放指示時と閉止指示時の圧力差に基づいて主通路および分岐通路の閉塞異常を診断する異常診断部と、
    をさらに備えている2次空気供給システム。
  2. 前記異常診断部は、前記圧力センサで検出された圧力値の所定時間内における時間平均値を用いて異常診断を行う請求項1記載の2次空気供給システム。
  3. 前記各排気系内の前記分岐通路より下流にそれぞれ配置される空燃比センサをさらに備えており、前記異常診断部は、2次空気供給制御時の各空燃比センサの出力を基にして閉塞異常が起こっている分岐通路を特定する請求項1または2に記載の2次空気供給システム。
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