JP4122822B2 - 紙端面のスカイブヘミング加工方法及び該方法を用いて作製した紙製容器 - Google Patents
紙端面のスカイブヘミング加工方法及び該方法を用いて作製した紙製容器 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙端面のスカイブヘミング加工方法とこの方法を用いて作製したカップ状容器をはじめとする紙製容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
紙を基材とし、内層および外層をヒートシール性に優れたポリオレフィン系樹脂とする、例えば、〔容器外側〕ポリエチレン/紙/アルミニウム箔/ポリエチレンテレフレートフィルム/ポリエチレン〔容器内側〕構成のような積層シートを使用し、口縁部を偏平に潰して開口部を蓋材で密封シールした紙カップ状容器が、清酒等の浸透性の良い内容物やスナック類等の油菓子などの酸化し易い内容物を充填する紙容器として広く使用されている。
【0003】
特に清酒等浸透性が強く、流通期間の長い内容物については、容器内面に紙端面が露出していると、そこから内容物が紙基材層に浸透し、容器の強度低下等をもたらすため、あらかじめ紙カップ胴部を構成している積層シート(1)の接合部分の一方を先端から所定の長さだけ、積層シートの厚みの半分を、紙層から外側を削除(スカイブ)し、削り取った残りの部分を削除面が内側となるように折り返し(ヘミング)、内容物が直接接触する紙端面の保護を行っているのが一般的である。
以下この加工をスカイブヘミング加工と呼ぶ(図2参照)。
【0004】
ところで、紙カップ胴部の接合部分にスカイブヘミング加工が施されている場合、口縁部を形成すべく、開口部端縁を外側にカールさせ、かつ、蓋材とのシール適性を向上させるために口縁部を偏平に潰すと、図3(a)、(b)、(c)に示すように、口縁部の外側が紙の伸びについていけず、外側のポリオレフィン系樹脂やその内側の紙が切れて「リム割れ(R)」を起こしてしまうことがあった。
【0005】
「リム割れ(R)」を起こす原因としては、一方の端縁(11)ともう一方の端縁(12)の接着は片面ポリオレフィン系樹脂同士の接着であるので、接合個所の内側の先端部分(17)の接着が弱くなりがちな上、一方の端縁ともう一方の端縁とが重なり合う接合幅(14)に対する折り返し幅(15)の比率が低いことなどに起因することがわかっている。
【0006】
特に、〔容器外側〕紙/アルミニウム箔/ポリエチレンテレフタレートフィルム/ポリエチレン〔容器内側〕構成のような、容器外側が紙層である積層シートを用いた場合には、接合個所の外側の先端部分(16)に比較して、接合個所の内側の先端部分(17)は非常に接着力が低下する(図4参照)。
【0007】
しかしながらこれらはカップ成形機では完全にコントロールできない条件であり、「リム割れ」を零にすることはできず、蓋材とのシール不良を起こし易い状況にあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、スカイブヘミング加工が施された紙端面が接合部分に存在する紙カップの成形時における以上のような問題点を解決するためになされたもので、紙端面のスカイブヘミング加工の新しい方法と、この方法を用いて作製した紙製容器を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の発明は、少なくとも片面に熱可塑性樹脂層が形成された紙を主材とする積層シートの一方の端縁を先端から所定の幅だけ、積層シートの厚みの一部分を、紙層から外側を削除(スカイブ)し、削り取った残りの部分を削除面が内側になるように折り返し(ヘミング)、紙端面保護を行うスカイブヘミング加工方法において、スカイブヘミング加工を施す積層シートの一方の端縁は、先端から所定の幅だけ、先端から内方に行くにしたがい削除深さが連続的に浅くなる傾斜を有する断面形状が台形の削除部分を形成させ、削り取った残りの部分の表面にエマルジョン型の接着剤を塗布した後、削除面が内側になるように折り返して折り返し部分を接着させ、スカイブヘミング加工を行うにあたり、紙の熱可塑性樹脂接着面とスカイブ面とのなす角度θが、0.1°≦θ<tan-1((B−2C+30)/(2A−500))の関係式を満たすように紙端面のスカイブ加工を行うことを特徴とする、紙端面のスカイブヘミング加工方法である。
【0010】
このように請求項1記載の発明によれば、紙の熱可塑性樹脂接着面とスカイブ面とのなす角度θが、0.1°≦θ<tan-1((B−2C+30)/(2A−500))の関係式を満たすように紙端面のスカイブヘミング加工を行うので、一方の端縁の折り返し幅部分を厚くすることができ、従来の一方の端縁ともう一方の端縁との接合部分(14)の内側の先端部分(17)の接着が弱く、外がの先端部分(16)だけで形状保持させているために発生する応力に対しても、切断することがなくなる(図4参照)。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記熱可塑性樹脂層がポリエチレン樹脂であることを特徴とする、スカイブヘミング加工方法である。
【0012】
このように請求項2記載の発明によれば、熱可塑性樹脂層がポリエチレン樹脂であることにより、汎用のヒートシール型成形機で良好に接着することができる。
【0013】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2記載の紙端面のスカイブヘミング加工方法を用いて作製した紙製容器である。
【0014】
また、請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記紙製容器がカップ状容器であることを特徴とする、紙製容器である。
【0015】
このように請求項3又は4の発明によれば、スカイブヘミング加工を施した紙端面を接液面にして胴部貼り合わせ部を形成させて紙製容器、特にカップ状容器を作製することにより、「リム割れ」を起こすことがなくなり、蓋材との完全シールが可能になる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の紙端面のスカイブ処理方法を一実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。
【0017】
本発明の紙端面のスカイブ処理方法は、例えば、図1(a)、(b)に示すように、スカイブヘミング加工を施す積層シート(1)の一方の端縁(11)は、先端から所定の幅(X)だけ、先端から内方に行くにしたがい削除深さが連続的に浅くなる傾斜を有する断面形状が台形の削除部分(S)を形成させ、削り取った残りの部分の表面(H)にエマルジョン型の接着剤を塗布した後、削除面が内側になるように折り返して折り返し部分を接着させ、スカイブヘミング加工を行う。
【0018】
そして、紙の熱可塑性樹脂接着面とスカイブ面とのなす角度θが、0.1°≦θ<tan-1((B−2C+30)/(2A−500))の関係式を満たすように紙端面のスカイブ加工を行うことを特徴とする、紙端面のスカイブヘミング加工方法である。ここで、Aは折り返し幅、Bは折り返し後の積層シートの総厚、Cは熱可塑性樹脂層の厚さ(表示単位はそれぞれμm)を表している。
【0019】
なお、0.1°≦θ<tan-1((B−2C+30)/(2A−500))は、0.001745≦tanθ<(B−2C+30)/(2A−500)と置き換えても良い。
【0020】
θが0.1°以下になると効果がなくなるし、θが(B−2C+30)/(2A−500)以上になると削除面から熱可塑性樹脂層が露出して紙面同士の接着を行うヘミング加工時に接着不良を起こしてしまう。
【0021】
また、本発明のスカイブヘミング加工方法は、積層シートの総厚が400μm以下、特には200〜300μm程度の薄い積層シートや熱可塑性樹脂が片面しかない積層シートの場合に、著しい効果を示す。
【0022】
熱可塑性樹脂層(2)は、例えば、ポリエチレン樹脂のようなポリオレフィン系樹脂単独でも良いし、ポリオレフィン系樹脂と紙の間に、例えば、アルミニウム箔とポリエチレンテレフタレートフィルムを積層した複合フィルムを設けた構成としても良い。
もちろん、熱可塑性樹脂層(2)を積層シートの両面に形成させても構わない。
【0023】
削り取った残りの部分の表面(H)に塗布するエマルジョン型の接着剤は、特別には限定されないが、酢酸ビニール樹脂系、またはエチレン・酢酸ビニル共重合体系を主成分とする接着剤がより好ましく使用できる。
【0024】
そしてこのようなスカイブヘミング加工方法が施された積層シートの一方の端縁が、内面側に位置するように折り曲げ、封筒貼りされた紙製容器、特にカップ状紙製容器は、蓋材とのシール適性を向上させるために口縁部を偏平に潰しても、口縁部の外側も十分に紙の伸びに追従して、「リム割れ」を起こすことがない。
【0025】
【発明の効果】
上記のように、本発明の紙端面のスカイブヘミング加工方法を用いることにより、胴部貼り合わせ部分を外側にカールさせ、そのカールさせた部分を偏平に押しつぶしても貼り合わせ部分の外側も十分に紙の伸びに追従でき、リム割れを起こすことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の紙端面のスカイブヘミング加工方法の手順を示す説明図で、(a)はスカイブした状態を示す断面説明図であり、(b)はスカイブした残り部分を折り返した状態を示す断面説明図である。
【図2】従来の紙端面のスカイブヘミング加工方法の手順を示す説明図で、(a)はスカイブした状態を示す断面説明図であり、(b)はスカイブした残り部分を折り返した状態を示す断面説明図である。
【図3】従来のスカイブヘミング加工方法により作製したカップ状容器の一例を示す、(a)は全体説明図であり、(b)は(a)のA部拡大説明図であり、(c)は(a)のB部拡大説明図である。
【図4】片面が紙層となる積層シートを用いて従来のスカイブヘミング加工方法により作製したカップ状容器の接合部分の状態を示す、模式説明図である。
【符号の説明】
1‥‥積層シート
2‥‥熱可塑性樹脂層
11‥‥一方の端縁
12‥‥もう一方の端縁
14‥‥接合幅
15‥‥折り返し幅
16‥‥外側の先端部分
17‥‥内側の先端部分
A‥‥折り返し幅
B‥‥折り返し後の積層シートの総厚
C‥‥熱可塑性樹脂層の厚さ
H‥‥削り取った残りの部分の表面
S‥‥削除部分
R‥‥リム割れ
X‥‥スカイブ幅
Claims (4)
- 少なくとも片面に熱可塑性樹脂層が形成された紙を主材とする積層シートの一方の端縁を先端から所定の幅だけ、積層シートの厚みの一部分を、紙層から外側を削除(スカイブ)し、削り取った残りの部分を削除面が内側になるように折り返し(ヘミング)、紙端面保護を行うスカイブヘミング加工方法において、
スカイブヘミング加工を施す積層シートの一方の端縁は、先端から所定の幅だけ、先端から内方に行くにしたがい削除深さが連続的に浅くなる傾斜を有する断面形状が台形の削除部分を形成させ、削り取った残りの部分の表面にエマルジョン型の接着剤を塗布した後、削除面が内側になるように折り返して折り返し部分を接着させ、スカイブヘミング加工を行うにあたり、
紙の熱可塑性樹脂接着面とスカイブ面とのなす角度θが、
0.1°≦θ<tan-1((B−2C+30)/(2A−500))
の関係式を満たすように紙端面のスカイブ加工を行うことを特徴とする、紙端面のスカイブヘミング加工方法。ここで、Aは折り返し幅、Bは折り返した後の積層シートの総厚、Cは熱可塑性樹脂層の厚さを表す(表示単位はそれぞれμm)。 - 前記熱可塑性樹脂層がポリエチレン樹脂であることを特徴とする、請求項1記載の紙端面のスカイブヘミング加工方法。
- 請求項1又は2記載の紙端面のスカイブヘミング加工方法を用いて作製した紙製容器。
- 前記紙製容器がカップ状容器であることを特徴とする、請求項3記載の紙製容器。
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