JP4122535B2 - エポキシ接着フィルムの製造方法 - Google Patents

エポキシ接着フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エポキシ接着フィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高分子量エポキシ重合体に関しては、例えば、米国特許第3,277,048号明細書に、二官能エポキシ樹脂と臭素化ビスフェノールまたは塩素化ビスフェノールとを反応させて得た分子量30,000以上の熱可塑性樹脂を配合して、機械的性質の良好な難燃性エポキシ樹脂硬化物を得ることが記載され、実施例で得られた重合体の分子量は61,000、得られたシートの厚さは0.125インチ(約3mm)との記載がある。
【0003】
比較的低分子量の二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類を原料として高分子量エポキシ重合体を製造する方法は、一般に、二段法と呼ばれ、例えば、米国特許第2,615,008号公報明細書に、重合触媒に水酸化ナトリウムを用い、無溶媒下、150〜200℃で反応させることにより、エポキシ当量が5,600の高分子量エポキシ重合体が得られると記載されている。
【0004】
米国特許第3,306,872号明細書には、溶媒として、メチルエチルケトンあるいはエチレングリコールモノメチルエーテルを用いており、溶液の固形分濃度が20〜60%、触媒にアルカリ金属またはベンジルトリメチルアンモニウムの、水酸化物またはフェノラートを用い、重合反応温度を75〜150℃とし、生成した高分子量エポキシ重合体の重量平均分子量が粘度法による測定で50,000〜100,000としている。
【0005】
また、特開昭54−52200号公報に、溶媒としてエチレングリコールモノエチルエーテルを用いて、平均分子量45,500の高分子量エポキシ重合体を得たことが記載され、特開昭60−118757号公報に、溶媒としてメチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチレングリコールモノエチルエーテルを用いて、平均分子量が最大31,000の高分子量エポキシ重合体を得たことが記載され、特開昭60−144323号公報に、溶媒としてメチルエチルケトンを用い、平均分子量53,200の高分子量エポキシ重合体を得たことが記載され、特開昭60−144324号公報に、溶媒としてメチルエチルケトンを用い、平均分子量66,000の高分子量エポキシ重合体を得たことが記載されている。
この4件は、いずれもゲル浸透クロマトグラフィーによって平均分子量を測定している。
【0006】
高分子量エポキシ重合体を用いてエポキシ樹脂シートを製造する方法については、特開昭51−87560号公報に開示されているように、直鎖状高分子量エポキシ重合体と低分子量エポキシ樹脂を加熱溶融し、有機カルボン酸塩を混合して、厚さが0.3〜0.5mmのシートを製造する方法が知られている。得られたシートは、引張り強度が約10MPa、伸びが350〜870%であり、直鎖状高分子量エポキシ重合体の分子量は、30,000〜250,000とされている。
【0007】
イソシアネート類を高分子中の水酸基と反応させて、熱硬化性を付与する方法としては、1947年のオットー・バイエルによる文献(O.Bayer:Das Di-
isocyanat-Polyadditionsverfahren:Angewandte Chemie,A59,257,1947)に詳細に記載されている。また、イソシアネート類をエポキシ樹脂に配合して、硬化物を得る方法が、米国特許第2,594,979号明細書に記載されている。
【0008】
イソシアネート類を架橋剤として、高分子量エポキシ重合体の架橋を行う方法としては、特開昭55−40752号公報に記載されているように、平均分子量50,000〜150,000のフェノキシ樹脂のメチルエチルケトン溶液(固形分濃度35%)に、ポリイソシアネート類を配合することが知られている。
【0009】
特開昭54−117597号公報、特公平1−19816号公報、及び特開平2−147616号公報には、エポキシ樹脂や高分子量のフェノキシ樹脂、あるいはそれらの混合物に、不飽和イソシアネート類あるいはマスクイソシアネート類を用いる方法が開示されている。
【0010】
特公平1−19806号公報には、フェノキシ樹脂を不飽和イソシアネート類で変性することによりフィルム形成能を持たせ、硬化フィルムが得られることが開示されている。
【0011】
イソシアネート類の活性なイソシアネート基を、マスク(ブロック)することによって、室温で不活性化する方法は、前出の1947年のオットー・バイエルによる文献に記載されている。
【0012】
ハロゲン化二官能エポキシ樹脂とハロゲン化二官能フェノール類を、エポキシ基/フェノール水酸基=1/0.9〜1/1.1となるように配合し、触媒の存在下に、溶媒中で加熱して重合させて得たフィルム形成能を有するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によるスチレン換算重量平均分子量が50,000以上の高分子量エポキシ重合体と、その製造方法は、特開平4−120124号公報、特開平4−120125号公報、特開平5−93041号公報、並びに特開平5−93042号公報により開示されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術のうち米国特許第3,277,048号明細書に記載された、二官能エポキシ樹脂と臭素化ビスフェノールまたは塩素化ビスフェノールとを反応させて得た分子量30,000以上の熱可塑性樹脂を配合して、機械的性質の良好な難燃性エポキシ樹脂硬化物を得る方法は、合成時に溶媒を使用しておらず、この方法では、十分な強度のフィルム形成能を有するまでに直鎖状に高分子量化した高分子量エポキシ重合体が得られず、実施例で得られた重合体の分子量を61,000としているが、測定方法が記載されておらず、数値に再現性がない。
【0014】
二段法と呼ばれる、例えば、米国特許第2,615,008号公報明細書には、合成に溶媒を用いておらず、重合体の平均分子量は約11,000位であると推定される。この方法では、十分な強度のフィルム形成能を有するまでに直鎖状に高分子量化した高分子量エポキシ重合体が得られないものである。
【0015】
米国特許第3,306,872号明細書に記載の、生成した高分子量エポキシ重合体の重量平均分子量を測定する粘度法は、算出時に用いるパラメータの設定によって算出値が大きく左右され、正確な測定法ではなく、再現性がない。
【0016】
また、特開昭54−52200号公報、特開昭60−118757号公報、特開昭60−144323号公報、及び特開昭60−144324号公報に記載された平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定しているが、測定条件と算出方法が記載されておらず、再現性がない。
【0017】
高分子量エポキシ重合体を用いてエポキシ樹脂シートを製造する、特開昭51−87560号公報に開示された方法は、高分子量エポキシ重合体の合成方法が開示されておらず、また、分子量の測定方法も明かでない。
【0018】
特公平1−19806号公報には、フェノキシ樹脂を不飽和イソシアネート類で変性することによりフィルム形成能を持たせ、硬化フィルムが得られることが開示されているが、実施例中で使用されているフェノキシ樹脂がメチルエチルケトンに溶解していることから、ここでいうフェノキシ樹脂には、フィルム形成能がなく、この方法においても、十分な強度のフィルム形成能を有するまでに直鎖状に高分子量化した高分子量エポキシ重合体が得られないものである。
【0019】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によるスチレン換算重量平均分子量が50,000以上の高分子量エポキシ重合体と、その製造方法は、特開平4−120124号公報、特開平4−120125号公報、特開平5−93041号公報、並びに特開平5−93042号公報により開示されているが、この方法により得られる高分子量エポキシ重合体は、熱可塑性であり、十分な強度は有するが、耐熱性、耐薬品性が低いという課題があった。
【0020】
本発明は、耐熱性、耐薬品性に優れたフィルム形成能を有するエポキシ接着フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明のエポキシ接着フィルムの製造方法は、二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類を、エポキシ基/フェノール水酸基=1/0.9〜1/1.1となるように配合し、触媒の存在下に、溶媒中で加熱して重合させて得たフィルム形成能を有するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によるスチレン換算重量平均分子量が50,000以上の高分子量エポキシ重合体と、アセチルアセトンに溶解した2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート類と、多官能エポキシ樹脂と、硬化剤とを配合した後、支持フィルムの片面または両面に塗布し、溶媒を乾燥除去することを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる二官能エポキシ樹脂には、分子内に二個のエポキシ基を有する化合物ならばどのようなものでも使用することができ、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、その他、二官能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、二官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物、およびそれらのハロゲン化物、水素添加物などがある。これらの化合物は2種類以上を併用することができる。
【0023】
また、二官能フェノール類には、二個のフェノール性水酸基を有する化合物ならばどのようなものでも使用でき、例えば、単環二官能フェノールであるヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、多環二官能フェノールであるビスフェノールA,ビスフェノールFおよびこれらのハロゲン化物、アルキル基置換体などがある。これらの化合物は2種類以上を併用できる。
【0024】
二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類の当量比は、エポキシ基/フェノール性水酸基=1/0.9〜1/1.1の範囲とする。
この当量比において、フェノール性水酸基が0.9未満の場合には、直鎖状に高分子量化せず、副反応が起きて架橋し、溶媒に溶けなくなり、1.1を越えると、高分子量化が進まない。
【0025】
二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類の重合触媒としては、エポキシ基とフェノール性水酸基との反応を促進させる触媒能を有するもの、例えば、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、イミダゾール類、有機りん化合物、第二級アミン、第三級アミン、第四級アンモニウム塩などが使用できる。中でもアルカリ金属化合物が、副反応が起こりにくく、高分子量化が早いという理由で最も好ましい触媒であり、ナトリウム、リチウム、カリウムの水酸化物、ハロゲン化物、有機酸塩、アルコラート、フェノラート、水素化物、ホウ水素化物、アミドなどがある。これらの触媒は併用することができる。
触媒の配合量は、一般に、エポキシ樹脂1モルに対し、0.0001〜0.2モル程度である。0.0001モル未満では、高分子量化反応が著しく遅く、0.2モルを越えると、直鎖状に高分子化し難い。
【0026】
本発明に用いるアミド系溶媒には、二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類を溶解することができるもの、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、カルバミド酸エステルなどが使用できる。これらの溶媒は、併用することもでき、さらに他のケトン系溶媒、あるいはエーテル系溶媒等と併用することもできる。
【0027】
溶媒を用いた重合反応の際の固形分濃度は、10〜50重量%の範囲であることが必要であり、10重量%未満であると塗布する際の溶液粘度が著しく低くなり、塗布することができなくなる。50重量%を越えると副反応が多くなり直鎖状に高分子量化しにくくなる。この副反応が多くなる傾向は、固形分濃度が大きい程起こり易く、40重量%以下が好ましく、30重量%以下であることがさらに好ましい。
【0028】
また、重合反応温度は、60〜150℃であることが必要で、60℃未満では高分子量反応が著しく遅く、150℃を越えると副反応が多くなり直鎖状に高分子量化し難い。
【0029】
本発明に用いるイソシアネート類には、分子内に2個のイソシアネート基を有するもの、例えば、ジイソシアネート類には、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ジフェニルプロパンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、及びこれらの異性体、アルキル置換体、ハロゲン化物、ベンゼン環への水素添加物などが使用できる。さらに、3個のイソシアネート基を有するトリイソシアネート類、4個のイソシアネート基を有するテトライソシアネート類等を使用することもでき、これらを併用することもできる。
【0030】
イソシアネート類を架橋剤として使用すると、アルコール性水酸基との反応性が非常に高いので室温で架橋反応が進行し、エポキシ樹脂溶液のゲル化が起こる場合がある。
本発明では、このイソシアネート基をアセチルアセトンで溶解して用い、室温でイソシアネート類を不活性にする作用があり、ワニスの保存安定性を高めることができる。さらに、イソシアネート類をアセチルアセトンで溶解したものを室温〜130℃の範囲の温度で10分〜10時間の間加熱して用いると、ワニスの保存安定性をさらに高めることができる。また、乾燥したときに揮発し易く、フィルム上に残存する割合が少ない。
アセチルアセトンに溶解したイソシアネート類の濃度は、10〜90重量%の範囲が好ましい。10重量%未満であると、アセチルアセトンの使用量が多く経済的でなく、90重量%を越えると、イソシアネート類を不活性にする効果が小さくなる。
【0031】
高分子量エポキシ重合体に対するイソシアネート類あるいはアセチルアセトンで溶解したイソシアネート類の配合量は、高分子量エポキシ重合体のアルコール性水酸基当量1に対し、イソシアネート基当量0.1〜2の範囲であることが好ましい。0.1未満であると、架橋し難く、2を越えると、フィルム中にイソシアネート類が残り、耐熱性、耐薬品性を低下させる。
【0032】
本発明に用いる多官能エポキシ樹脂には、分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、二官能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、二官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物、およびそれらのハロゲン化物、水素添加物等が使用できる。これらの化合物は、複数種類併用することができ、二官能エポキシ樹脂以外の成分を不純物として含むこともできる。
この多官能エポキシ樹脂の高分子量エポキシ重合体に対する配合量は、高分子量エポキシ重合体100重量部に対して、1〜200重量部の範囲とする。
【0033】
この多官能エポキシ樹脂の硬化剤には、代表的なものとして、多官能フェノール、アミン類、イミダゾール化合物、酸無水物等が使用できる。
多官能フェノールには、単環二官能フェノールであるヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、多環二官能フェノールであるビスフェノールA、ビスフェノールF、ナフタレンジオール類、ビスフェノール類およびこれらのハロゲン化物、アルキル置換体、さらに、これらのフェノール類とアルデヒド類との重縮合物であるノボラック樹脂、レゾール樹脂等が使用でき、アミン類には、脂肪族の1級アミン、2級アミン、3級アミン、芳香族の1級アミン、2級アミン、3級アミン、グアニジン類、尿素誘導体等、具体的には、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、ジシアンジアミド、トリルビグアニド、グアニル尿素、ジメチル尿素等が使用でき、イミダゾール化合物には、アルキル置換イミダゾール、ベンズイミダゾール等が使用でき、酸無水物には、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等が使用できる。
また、必要に応じて硬化促進剤を用い、例えば、三級アミン、イミダゾール、四級アンモニウム塩等を使用する。
硬化剤の配合量は、多環能エポキシ樹脂を100重量部に対して、1〜70重量部使用する。
さらに、必要に応じて、難燃剤、無機充填剤を配合することもでき、難燃剤には、テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルエーテル、臭素化エポキシ樹脂、臭素化フェノール樹脂等の臭素化合物と、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物が使用できる。
【0034】
これらの高分子量エポキシ重合体、アセチルアセトンに溶解したイソシアネート類、多官能エポキシ樹脂、硬化剤、及び硬化促進剤を、ワニスがゲル化しないように混合する。
【0035】
【実施例】
実施例1
二官能エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:171.3)を用い、二官能フェノール類として、ビスフェノールA(水酸基当量:114.0)を用い、エポキシ基/フェノール水酸基=1/1.01となるように配合し、触媒として水酸化リチウムをエポキシ樹脂1モルに対して0.065モルの存在下に、溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドを用い、溶液の固形分濃度が20重量%となるように配合を調整し、その粘度は6,800mPa・sであり、120℃で10時間、その溶媒中で加熱して重合させて得たフィルム形成能を有するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によるスチレン換算重量平均分子量が185,000の高分子量エポキシ重合体を得、この還元粘度は、30℃のNN−ジメチルアセトアミド中で1.08dl/gであった。
この高分子量エポキシ重合体と、アセチルアセトンに溶解したイソホロンジイソシアネートの40重量%溶液を用い、高分子量エポキシ重合体のアルコール性水酸基1当量に対し、イソシアネート基0.5当量となるように配合した。
高分子量エポキシ重合体100重量部に対し、多官能エポキシ樹脂として、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量:195)を30重量部、硬化剤としてフェノールノボラック樹脂(水酸基当量:106)を20重量部配合し、ワニスを得た。
このワニスを、厚さ50μmのポリプロピレンフィルムの片面に塗布し、乾燥器中で、100℃、0.5hrの条件で乾燥し、厚さ45μmの半硬化状のエポキシ接着フィルムを得た。
【0036】
実施例2
二官能エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:171.3)を用い、二官能フェノール類として、レゾルシノール(水酸基当量:110)を用い、エポキシ基/フェノール水酸基=1/1.00となるように配合し、触媒として水酸化リチウムをエポキシ樹脂1モルに対して0.065モルの存在下に、溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドを用い、溶液の固形分濃度が30重量%となるように配合を調整し、その粘度は2,200mPa・sであり、120℃で10時間、その溶媒中で加熱して重合させて得たフィルム形成能を有するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によるスチレン換算重量平均分子量が191,000の高分子量エポキシ重合体を得、この還元粘度は、30℃のN,N−ジメチルアセトアミド中で1.24dl/gであった。
この高分子量エポキシ重合体と、アセチルアセトンに溶解したイソホロンジイソシアネートの40重量%溶液を用い、高分子量エポキシ重合体のアルコール性水酸基1当量に対し、イソシアネート基0.5当量となるように配合した。
高分子量エポキシ重合体100重量部に対し、多官能エポキシ樹脂として、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:400)を30重量部、硬化剤としてジシアンジアミド(当量:21)を2重量部配合し、ワニスを得た。
このワニスを、厚さ50μmのポリプロピレンフィルムの片面に塗布し、乾燥器中で、100℃、0.5hrの条件で乾燥し、厚さ45μmの半硬化状のエポキシ接着フィルムを得た。
【0037】
実施例3
二官能エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:171.3)を用い、二官能フェノール類として、テトラブロモビスフェノールA(水酸基当量:272)を用い、エポキシ基/フェノール水酸基=1/1.006となるように配合し、触媒として水酸化リチウムの存在下に、溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドを用い、溶液の固形分濃度が30重量%となるように配合を調整し、その粘度は3,500mPa・sであり、120℃で10時間、その溶媒中で加熱して重合させて得たフィルム形成能を有するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によるスチレン換算重量平均分子量が285,000の高分子量エポキシ重合体を得、この還元粘度は、30℃のN,N−ジメチルアセトアミド中で0.81dl/gであった。
この高分子量エポキシ重合体に、アセチルアセトンに溶解したイソホロンジイソシアネートの40重量%溶液を用い、高分子量エポキシ重合体のアルコール性水酸基1当量に対し、イソシアネート基0.5当量となるように配合した。
高分子量エポキシ重合体100重量部に対し、多官能エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:171.3)を50重量部、硬化剤としてイミダゾール(当量:68)を2重量部配合し、ワニスを得た。
このワニスを、厚さ50μmのポリプロピレンフィルムの片面に塗布し、乾燥器中で、100℃、0.5hrの条件で乾燥し、厚さ42μmの半硬化状のエポキシ接着フィルムを得た。
【0038】
実施例4
二官能エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:171.3)を用い、二官能フェノール類として、ビスフェノールA(水酸基当量:114.0)を用い、エポキシ基/フェノール水酸基=1/1.01となるように配合し、触媒として水酸化リチウムをエポキシ樹脂1モルに対して0.065モルの存在下に、溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドを用い、溶液の固形分濃度が20重量%となるように配合を調整し、その粘度は6,800mPa・sであり、120℃で10時間、その溶媒中で加熱して重合させて得たフィルム形成能を有するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によるスチレン換算重量平均分子量が185,000の高分子量エポキシ重合体を得、この還元粘度は、30℃のN,N−ジメチルアセトアミド中で1.08dl/gであった。この高分子量エポキシ重合体と、アセチルアセトンに溶解したイソホロンジイソシアネートの40重量%溶液を120℃で8時間加熱したものを用い、高分子量エポキシ重合体のアルコール性水酸基1当量に対し、イソシアネート基0.5当量となるように配合した。
高分子量エポキシ重合体100重量部に対し、多官能エポキシ樹脂として、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量:195)を30重量部、硬化剤としてフェノールノボラック樹脂(水酸基当量:106)を20重量部配合し、ワニスを得た。
このワニスを、厚さ50μmのポリプロピレンフィルムの片面に塗布し、乾燥器中で、100℃、0.5hrの条件で乾燥し、厚さ42μmの半硬化状のエポキシ接着フィルムを得た。
【0039】
比較例1
高分子量エポキシ重合体に、フェノキシ樹脂であるYP50(東都化成株式会社製、商品名、平均分子量;68,000)を用い、2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート類として、イソホロンジイソシアネートを用い、そのイソシアネート基1.0当量に対し、マスク剤として、メチルエチルケトンオキシムを1.0当量用い、高分子量エポキシ重合体のアルコール性水酸基1当量に対し、イソシアネート基0.5当量となるように配合した。
高分子量エポキシ重合体100重量部に対し、多官能エポキシ樹脂として、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量:195)を30重量部、硬化剤としてフェノールノボラック樹脂(水酸基当量:106)を20重量部配合し、ワニスを得た。
このワニスを、厚さ50μmのポリプロピレンフィルムの片面に塗布し、乾燥器中で、100℃、0.5hrの条件で乾燥し、厚さ42μmの半硬化状のエポキシ接着フィルムを得た。
しかし、この接着フィルムは、脆く、取り扱いが困難で、評価を行うことができなかった。
【0040】
比較例2
ハロゲン化二官能エポキシ樹脂として、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:400)を用い、ハロゲン化二官能フェノール類として、テトラブロモビスフェノールA(水酸基当量:272)を用い、エポキシ基/フェノール水酸基=1/1.02となるように配合し、触媒として水酸化リチウムをエポキシ樹脂1モルに対して0.065モルの存在下に、溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドを用い、溶液の固形分濃度が30重量%となるように配合を調整し、その粘度は350mPa・sであり、120℃で10時間、その溶媒中で加熱して重合させて得たフィルム形成能を有するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によるスチレン換算重量平均分子量が155,000の高分子量エポキシ重合体を得、この還元粘度は、30℃のN,N−ジメチルアセトアミド中で1.22dl/gであった。
この高分子量エポキシ重合体に、2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート類として、イソホロンジイソシアネートを単独で用い、高分子量エポキシ重合体のアルコール性水酸基1当量に対し、イソシアネート基0.5当量となるように配合した。
高分子量エポキシ重合体100重量部に対し、多官能エポキシ樹脂として、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量:195)を30重量部、硬化剤としてフェノールノボラック樹脂(水酸基当量:106)を20重量部配合し、ワニスを得た。
このワニスは、3時間でゲル化してしまい、フィルムを得ることができなかった。
【0041】
(試験方法)
実施例、比較例の中での測定方法、及び接着フィルムの特性、並びにワニスの保存安定性を、以下の方法で試験を行った。
試験結果の一部を、表1に示す。
・粘度
EMD型粘度計(株式会社東京計器社製)を用い、25℃で測定した。
・ ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によるスチレン換算重量平均分子量
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)に使用したカラムは、TSKgelG6000+G5000+G4000+G3000+G2000である。溶離液には、N,N−ジメチルアセトアミドを使用し、試料濃度を2重量%とした。分子量の異なるスチレンを用いて分子量と溶出時間の関係を求めた後、試料の溶出時間を測定し、分子量を推定して、スチレン換算重量平均分子量とした。
・還元粘度
高分子量エポキシ重合体を、ウベローデ粘度計を用いて測定した。
・引張り強度及び伸び
引張り強度及び伸びは、株式会社東洋ボールドウィン社製のテンシロンを用い、フィルム試料のサイズを50×10mm、引張り速度を5mm/minとした。
・Tg
ガラス転移点(Tg)は、示差走査熱量計である910(デユポン社製、商品名)を用いて測定した。
・ 接着力
18μmの銅箔であるTSA−18(古河サーキットフォイル株式会社製、商品名)を、半硬化状のエポキシ接着フィルムに重ね、170℃、2MPa、30分の条件で加熱加圧して積層一体化し、銅箔を10mmの幅で、90°の方向に引っ張り、引き剥がし強度を求めた。
・耐薬品性
硬化した試料フィルムを、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルアセトアミド、トルエン、アセトン、塩化メチレン、10%塩酸、10%水酸化ナトリウムのそれぞれに、30分間浸漬し、表面を目視で観察し、膨潤、溶解のないものを良好と判断した。
・ワニスの保存安定性
ワニスの状態で、室温に7日間放置し、撹拌して、目視で観察し、ゲル化していないものを良好と判断した。
【0042】
【表1】
Figure 0004122535
【0043】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によって、強度、接着性に優れ、かつ、耐熱性、耐薬品性に優れた接着フィルムの製造方法を提供することができる。

Claims (8)

  1. 二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類を、エポキシ基/フェノール水酸基=1/0.9〜1/1.1となるように配合し、触媒の存在下に、溶媒中で加熱して重合させて得たフィルム形成能を有するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によるスチレン換算重量平均分子量が50,000以上の高分子量エポキシ重合体と、アセチルアセトンに溶解した2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート類と、多官能エポキシ樹脂と、硬化剤とを配合した後、支持フィルムの片面または両面に塗布し、溶媒を乾燥除去することを特徴とするエポキシ接着フィルムの製造方法。
  2. 高分子量エポキシ重合体のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によるスチレン換算重量平均分子量が、100,000以上であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ接着フィルムの製造方法。
  3. 重合反応溶媒が、アミド系溶媒であることを特徴とする請求項1または2に記載のエポキシ接着フィルムの製造方法。
  4. 高分子量エポキシ重合体の還元粘度が、0.50dl/g以上であることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれかに記載のエポキシ接着フィルムの製造方法。
  5. 高分子量エポキシ重合体の還元粘度が、0.80dl/g以上であることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれかに記載のエポキシ接着フィルムの製造方法。
  6. 二官能フェノール類が、臭素化ビスフェノールAであることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれかに記載のエポキシ接着フィルムの製造方法。
  7. アセチルアセトンに溶解したイソシアネート類を、さらに加熱したものを用いることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれかに記載のエポキシ接着フィルムの製造方法。
  8. 支持フィルムが銅箔であり、塗布面が銅箔の粗化面のみであることを特徴とする請求項1〜7のうちいずれかに記載のエポキシ接着フィルムの製造方法。
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