JP4121770B2 - フォトマスク製造用べーキング装置 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、IC、LSIなどの半導体素子の製造に用いられるフォトマスクの製造に関するもので、詳しくはフォトマスク上のレジストの描画後の架橋反応および分解反応を促進、安定させるためのべーキング処理に関する。
【0002】
【従来の技術】
フォトマスクは、ICやLSIなどの半導体素子の回路パターンを形成する際の原版として用いられるものであり、一般には石英のガラス基板上にクロム、モリブデンなどを主体とした遮光層からなるパターンを配設したものである。
従来より、このフォトマスクの製造は、▲1▼石英などのガラス基板上にクロム、モリブデンなどを主体とする遮光層を略全面に形成する工程、▲2▼遮光層の略全面にg線(436nm)やi線(365nm)などの紫外線、または、電子線に感応するレジストを塗布する工程、▲3▼g線やi線、または、電子線を用いて前記レジストを所定のパターン形状に選択的に露光する工程、▲4▼露光されたレジストを除去して、レジストパターンを形成する現像工程、▲5▼必要に応じて、ディスカム処理、ベーキング処理を行い、レジストバターンに従い、露出した遮光層をエッチング(腐食)して遮光層からなるパターンの形成を行う工程、▲6▼レジスト膜を除去し、洗浄処理を施す工程、などを含んでいる。
また、前記遮光層としては単層膜のもの、表面に酸化クロム層を設けた2 層膜のもの、第1 層および第3 層に同様の酸化クロム層を設けた3 層膜などが用いられている。
【0003】
近年のフォトマスクの微細化、高精度要求のもと、化学増幅型レジストの開発が進み、このようなフォトマスクの製造において、化学増幅型レジストを使用するようになってきた。
そして、この化学増幅型レジストを使用した場合、描画後の潜像部分の架橋反応あるいは分解反応ならびにデガス操作を、ホットプレートを用いたべーキング処理により行なう方式が主流になってきている。
このように、描画後に、架橋反応あるいは分解反応ならびにデガス操作を行なうために、べーキングする処理を、一般には、PEB(Post Exposure Baking)と言う。
そして、PEBを行なうための装置は、通常、図2に示すような構成になっている。
図2において、21はホットプレート部、2 2は冷却プレート部、23 はアライナ部、24 はローダー部、25 はアンローダー部、26 は搬送ロボット、29は処理用基板(処理基板とも言う)、29aは処理済基板である。
尚、図2は連続的に処理用基板29を処理している場合の図である。
ローダー部24にセットされた処理基板は、搬送ロボット26によって取り出され、アライナー部23によるアライメント実施後、ホットプレート部21へと運ばれる。
ホットプレート部21で加温された処理基板は、引き続き冷却プレート部22に送られ、冷却後、アンローダー部25に収納される。
【0004】
PEBにおけるホットプレート部21上の処理基板の昇温特性が、そのまま、フォトマスクの品質、とりわけ面内寸法分布および異なる基板間の寸法分布に影響することは言うまでもないが、図2に示すような、従来のPEB装置装置においては、昇温特性の再現性が十分ではなく、ホットプレートの温度を均一に制御する試みと、ホットプレートの昇温特性の再現性をよくする試みがなされてきた。
大別すると、常にホツトプレート部を加温した状態に保ち、スタティックな昇温安定性を追求する動きと、面内の寸法差を是正するために敢えてホットプレート面を任意の格子状のブロックに分割し、各々を独立した発熱素子で加温して面内温度差を持たせて、積算エネルギーを面内で均一にしようとするダイナミックな昇温安定性を追求する動きの、2 種類の試みが成されている。
【0005】
そのー方で、面内の寸法分布が発生しても、再現性が良いのであれば、後続の現像工程やエッチング工程の面内分布と相殺させて、結果として面内分布を抑制したフォトマスクを得る方法も、上記試みと併行して検討されているのが現状である。
【0006】
また、このようなPEB装置を用いて処理を行った場合、長期的に観測すると、安定性の面で不十分である。
例えば、処理基板が流れるタクトがー定しないため、連続的に処理されている中の1枚の面内分布と、長時間待機状態になっていた次の1 枚目では、自ずと初期状態の装置状態、とりわけホットプレート温度に差異があり、得られる寸法分布も予測不能な状態になるという問題点を抱えていた。
特に、処理基板間の寸法ばらつきが顕著になり、長期的に安定した状態で運用することが困難であった。
この為、長時間処理が空いた場合は、処理前にダミー基板等の装置シーズニング用の基板を流して、装置状態を安定させ、装置の変動因子を是正する運用面の試みも行われているが、インターバルの設定などに配慮する必要があり、依然としてシーズニングある/ なしのデータを解析をする必要があった。
また、シーズニングを実施する際の判断は、人手で行っているのが現状であり、シーズニング忘れによる不良の発生などの危険因子をはらんでいる。
これらを是正する為に、製品を処理する前に、常に、装置シーズニングを実施することをルーチン化する運用面の改善も試みられてはいるが、スループットが悪化するばかりか、待機状態にあった時間があまりに長い場合は、必ずしも十分なシーズニングを得ることは難しく、依然として基板間の寸法ばらつきの懸念材料となっているのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来のPEB装置を用いた、PEB方法では、昇温特性の再現性が十分ではなく、特に、長期的に安定した状態でPEB装置を運用することが困難であり、この対応が求められていた。
本発明は、これに対応するもので、昇温特性の再現性を十分にして処理ができる、特に、長期的に安定した状態で処理ができる、PEB処理方法、およびPEB処理装置を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のフォトマスク製造用基板のべーキング方法は、フォトマスク製造用の処理基板を所定の昇温特性でベーキングするためのべーキング方法であって、正規の処理基板とは別にさらに1 枚あるいは複数枚のサイクルシーズニング用のダミー基板を準備しておき、正規の処理基板がベーキング処理されない待機時間には、所定の時間サイクルで、常にダミー基板を連続的に処理しておくことを特徴とするものである。
そして、上記において、フォトマスク作製におけるPEB(Post Exposure Baking)工程に用いられることを特徴とするものである。
。
【0009】
本発明のフォトマスク製造用基板のべーキング装置は、フォトマスク製造用の処理基板を所定の昇温特性でベーキングするためのホットプレート部を有するべーキング装置であって、処理基板を供給するためのローダー部と、処理基板ないしダミー基板に、所定の昇温特性で、ベーキング処理を施すためのホットプレート部と、処理基板ないしダミー基板を、1枚以上、置くための基板置き部と、処理基板ないしダミー基板を冷却するための冷却プレート部と、処理基板を排出するためのアンローダー部とを備え、正規の処理基板とは別にさらに1 枚あるいは複数枚のサイクルシーズニング用のダミー基板を基板置き部に準備しておき、正規の処理基板がベーキング処理されない待機時間には、所定の時間サイクルで、常にダミー基板を連続的に処理しておくものであることを特徴とするものである。
そして、上記において、ロボットの基板の掴み具合を調整するためのアライナー部を備えていることを特徴とするものである。
そしてまた、上記において、フォトマスク作製におけるPEB(Post Exposure Baking)工程に用いられることを特徴とするものである。
【0010】
【作用】
本発明のフォトマスク製造用基板のべーキング方法は、このような構成にすることにより、昇温特性の再現性を十分にして処理ができる、特に、長期的に安定した状態で処理ができる、PEB処理方法の提供を可能とするものである。
具体的には、正規の処理基板とは別にさらに1 枚あるいは複数枚のサイクルシーズニング用のダミー基板を準備しておき、正規の処理基板がベーキング処理されない待機時間には、所定の時間サイクルで、常にダミー基板を連続的に処理しておくことにより、これを達成している。
これにより、ホットプレートのイニシャル温度分布をー定に保つことができる。
ロボットの基板の掴み具合を調整するためのアライナー部を備えているにより、各部への搭載精度を確実なものとでき、処理も確実にできるものとしている。
【0011】
本発明のフォトマスク製造用基板のべーキング装置は、このような構成にすることにより、昇温特性の再現性を十分にしてPEB処理ができる、特に、長期的に安定した状態でPEB処理ができる、PEB処理装置の提供を可能とするものである。
具体的には、処理基板を供給するためのローダー部と、処理基板ないしダミー基板に、所定の昇温特性で、ベーキング処理を施すためのホットプレート部と、処理基板ないしダミー基板を、1枚以上、置くための基板置き部と、処理基板ないしダミー基板を冷却するための冷却プレート部と、処理基板を排出するためのアンローダー部とを備え、正規の処理基板とは別にさらに1 枚あるいは複数枚のサイクルシーズニング用のダミー基板を基板置き部に準備しておき、正規の処理基板がベーキング処理されない待機時間には、所定の時間サイクルで、常にダミー基板を連続的に処理しておくものであることにより、これを達成している。
即ち、処理基板が流れてくるタクトを全く気にする必要がなく、常に、装置がシーズニングされている状態で運用できる。
これによって、ホットプレートの昇温特性の再現性も飛躍的に安定し、処理タイミングに依らない安定した装置特性を維持できる。
ベーキング装置に予めシーズニング板を、常設しておき、処理待機中は、常にダミー板等の装置シーズニング用の基板をサイクル運転し、ホットプレートのイニシャル温度分布をー定に保つことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態例を、図1に基づいて説明する。
図1は、本発明のフォトマスク製造用基板のべーキング装置の実施の形態の1例を示した図である。
図1中、11はホットプレート部、12は冷却プレート部、13 はアライナー部、14 はローダー部、15 はアンローダー部、16 は搬送ロボット、17はシーズニング用基板(ダミー基板とも言う)、18はシーズニング用基板置き部(単に基板置き部とも言う)、19は処理用基板(処理基板とも言う)、19aは処理済基板である。
尚、図1は連続的に処理用基板19を処理している場合の図である。
本例は、フォトマスク作製におけるPEB処理工程に用いられる、PEB処理用のフォトマスク製造用べーキング装置で、化学増幅型レジストが塗布され、露光が行われ、潜像が形成された基板(処理基板19のこと)に、所定の昇温特性でベーキングするためのホットプレート部を有するべーキング装置である。
そして、処理基板19を供給するためのローダー部14と、処理基板19ないしダミー基板17に、所定の昇温特性で、ベーキング処理を施すためのホットプレート部11と、ダミー基板17を、1枚以上、置くためのシーズニング用基板置き部18と、処理基板19ないしダミー基板17を冷却するための冷却プレート部12と、処理基板19を排出するためのアンローダー部15とを備え、更に、ロボットの基板の掴み具合を調整するためのアライナー部13とを備えている。 本例のフォトマスク製造用べーキング装置では、正規の処理基板19とは別にさらに1 枚あるいは複数枚のサイクルシーズニング用のダミー基板17を基板置き部18に準備しておき、正規の処理基板19がベーキング処理されない待機時間には、所定の時間サイクルで、常にダミー基板17を連続的に処理するものである。
【0013】
以下、本例のフォトマスク製造用基板のべーキング装置の動作を、簡単に、説明する。
尚、これを以って、本発明のフォトマスク製造用基板のべーキング方法の説明に代える。
本例のフォトマスク製造用基板のべーキング装置では、主たる動作は従来のべーキング装置と全く同一であり、ローダー部14にセットされた処理基板19は、搬送ロボット16によって取り出され、アライナー部13によりアライメント実施後、ホットプレート部11へと運ばれる。
そして、ホットプレート部11で加温された処理基板19は、引き続き冷却プレート部12に送られ、冷却後、アンローダー部15に収納される。
本例のフォトマスク製造用基板のべーキング装置を特徴づける点は、装置に処理基板19が流れていない状態、即ち、装置が待機状態にある時に、基板置き部18に設置されたシーズニング用のダミー基板17を連続的に、ダミー処理し、装置の状態を常にー定に保っておく為に、サイクルシーズニング動作を実施することにある。
即ち、正規の処理基板19がベーキング処理されない待機時間には、所定の時間サイクルで、常にダミー基板17を連続的に処理するものである。
【0014】
本例では、待機時間は、基板置き部18に設置されたシーズニング用のダミー基板17を搬送ロボット16によって取り出し、アライナー部13によりアライメント実施後、ホットプレート部11に運び所定の昇温処理終了後、引き続き、搬送ロボット16にて、ダミー基板をホットプレート部11から冷却プレート部12に移送し、所定の冷却処理終了後、基板置き部18に返却する処理を、所定の時間サイクルで繰り替えす、サイクルシーズニング動作を行っている。
そして、サイクルシーズニング動作中に、正規の処理基板19を処理する場合は、その時点で実施されているサイクルのシーズニングが完了した後、処理基板19をローダー部14に取りに行く構成となっている。
勿論、ダミー基板の処理と処理基板の処理間隔を前記所定のサイクル時間に併せておく。
この時、処理すべき処理基板19が1枚である場合は、直ちにサイクルシーズニング動作に入り、複数枚存在する場合は、次の処理基板をローダー部14に取りに行き、全処理基板の処理が完了した時点で、サイクルシーズニング動作に入る。
【0015】
シーズニング用のダミー基板は1枚に限定されることない。
例えば、カセット状の基板置き部18に、複数枚のシーズニング用のダミー基板を設置し、順次シーズニング用のダミー基板を交換しながらサイクル動作を行ってもよい。
また、シーズニング用のダミー基板を設置する場所も、限定されない。
尚、アライナ部13は、必ずしも必要なものではなく、搬送ロボット16自体がアライメント機構を有する場合や、ホットプレート部11自体がアライメント機構を有する場合は、特に必要としない。
さらに、サイクルシーズニング動作の範囲として、本例ではホットプレート部11の処理と冷却プレート部12の処理の両方を含めたが、本発明はこれに限定されることない。
例えば、ホットプレート部11の処理のみを繰り返しサイクル運転する運用方法でもよい。
【0016】
【発明の効果】
本発明は、上記のように、昇温特性の再現性を十分にして処理ができる、特に、長期的に安定した状態で処理ができるPEB処理方法、および、PEB処理装置の提供を可能とした。
更に、詳述すると、本発明にかかるべーキング装置を用いると、装置の状態、特にホットプレートの状態が常にー定に保たれる為、製品処理をする時点の装置のイニシャル状態が安定する為、製品の昇温特性が安定する。
このため、長時間装置を待機させていた時の1枚目と、連続処理している1枚の昇温特性が異なると言った問題点を解決でき、安定した品質が得られる。
さらに制御系にアナログ機器を用いた場合でも、常に制御系に電流を供給している状態で運用する為、温度による素子の特性変動も抑えることができるという副次的効果ももたらす。
さらに.製品投入時に毎回シーズニング処理を実施する場合とは異なり、一般的にシーズニング処理途中での製品投入となる為、製品の滞留時間はシーズニング1 サイクルの残り時間となり、スループットの悪化も軽減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフォトマスク製造用基板のべーキング装置の実施の形態の1例を示した図である。
【図2】従来のフォトマスク製造用基板のべーキング装置の1例を示した図である。
【符号の説明】
11 ホットプレート部
12 冷却プレート部
13 アライナー部
14 ローダー部
15 アンローダー部
16 搬送ロボット
17 シーズニング用基板(ダミー基板とも言う)
18 シーズニング用基板置き部(単に基板置き部とも言う)
19 処理用基板(処理基板とも言う)
19a 処理済基板
Claims (5)
- フォトマスク製造用の処理基板を所定の昇温特性でベーキングするためのべーキング方法であって、正規の処理基板とは別にさらに1 枚あるいは複数枚のサイクルシーズニング用のダミー基板を準備しておき、正規の処理基板がベーキング処理されない待機時間には、所定の時間サイクルで、常にダミー基板を連続的に処理しておくことを特徴とするフォトマスク製造用基板のべーキング方法。
- 請求項1において、フォトマスク作製におけるPEB(Post Exposure Baking)工程に用いられることを特徴とするフォトマスク製造用基板のべーキング方法。
- フォトマスク製造用の処理基板を所定の昇温特性でベーキングするためのホットプレート部を有するべーキング装置であって、処理基板を供給するためのローダー部と、処理基板ないしダミー基板に、所定の昇温特性で、ベーキング処理を施すためのホットプレート部と、ダミー基板を、1枚以上、置くための基板置き部と、処理基板ないしダミー基板を冷却するための冷却プレート部と、処理基板を排出するためのアンローダー部とを備え、正規の処理基板とは別にさらに1 枚あるいは複数枚のサイクルシーズニング用のダミー基板を基板置き部に準備しておき、正規の処理基板がベーキング処理されない待機時間には、所定の時間サイクルで、常にダミー基板を連続的に処理しておくものであることを特徴とするフォトマスク製造用基板のべーキング装置。
- 請求項3において、ロボットの基板の掴み具合を調整するためのアライナー部を備えていることを特徴とするフォトマスク製造用基板のべーキング装置。
- 請求項3ないし4において、フォトマスク作製におけるPEB(Post Exposure Baking)工程に用いられることを特徴とするフォトマスク製造用べーキング装置。
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