JP4120303B2 - 洗浄給水装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、便器への洗浄水の供給を制御するトイレ用の洗浄給水装置に係り、特に通常時には商用電源によって給水動作を行わせ、停電時など商用電源からの電力供給が断になったときにはバックアップ用電源によって給水動作を行わせるようにした洗浄給水装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
便器に洗浄水を流して便鉢内の汚物を排水管へ流出させるフラッシュ動作を行うためのフラッシュ弁は、長い間、手動式のものが用いられてきたが、近年、温水洗浄装置(人体臀部を温水で洗浄する装置)の普及に伴って、リモコン操作可能な電動式フラッシュ弁機構も多く採用されるようになってきている。
【0003】
この電動式フラッシュ弁機構は、商用電源を主電源としているため、停電時には作動しない。そこで、手動でも開弁操作できるよう弁装置を構成することが多いが、専らリモコンのスイッチ操作によるフラッシュに慣れ親しんだ使用者には、使用法が俄には分からないことがある。
【0004】
停電時でも電動式フラッシュ弁機構を動作させ得るようにバックアップ用電源を設けることが特開平3−224919号に記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、電力事情は著しく改善され、余程の突発的事故でも生じない限り、停電は発生しない。このようなレアケースのためにバックアップ用電源を搭載することは、便器設備の原価を徒に高めるだけである。また、便器後部の便座ボックス等のケーシング内に、殆ど使用されないバックアップ用電源を配置することは、便座ボックスの小型化の障害ともなる。
【0006】
本発明は、かかる問題点を解消し、リモコンの電池を利用して、商用電源からの電力供給が断になったときにもリモコンのスイッチ操作により便器洗浄水を流すことができる洗浄給水装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の洗浄給水装置は、商用電源からの電力供給が断になったときに電力を供給するバックアップ用電源を備えたトイレ用洗浄給水装置において、該バックアップ用電源は、リモコンの電池であり、温水洗浄装置及び該洗浄給水装置の制御を行なう制御回路が設けられており、該制御回路は、商用電源からの電力供給が断のときには前記電池から給電されることにより、便器への洗浄給水動作のみをリモコンのスイッチ操作で実行させる洗浄給水装置であって、便器に設置される本体部と前記リモコンとにそれぞれ通電用の接続端子が設けられており、該接続端子を介してリモコンから該本体部に電力供給されることを特徴とするものである。
【0008】
かかる本発明の洗浄給水装置によると、停電時にあっても、リモコンの電池を利用してリモコンのスイッチ操作により便器洗浄を行うことができる。
【0009】
本発明にあっては、便座ボックス等に、停電時に備えた専用のバックアップ用電源を設けることが不要であり、洗浄給水装置の原価を低減でき、また、便座ボックス等のケーシングの小型化を図ることも可能である。
【0010】
本発明では、便器に設置される本体部と前記リモコンとにそれぞれ通電用の接続端子が設けられており、該接続端子を介してリモコンから該本体部に電力供給される。例えばリモコンを壁面から取り外し、リモコンの接続端子を本体部の接続端子に結合することにより、洗浄給水装置が停電時でも動作可能である。
【0011】
なお、リモコンの電池としては単3程度の小容量の乾電池が用いられることが多い。そのため、温水洗浄装置及び該洗浄給水装置の制御を行なう制御回路が設けられている本発明の給水洗浄装置において、商用電源からの電力供給が断のときには前記電池からの電力により便器への洗浄給水動作のみを実行させる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。図1は実施の形態に係る洗浄給水装置を有する洋風便器が設置されたトイレルーム内の斜視図、図2はこの洋風便器を反対側から見た斜視図、図3(a)、(b)はリモコン端部の斜視図、図4はこの洗浄給水装置のブロック図である。
【0013】
図1の通り、洋風便器10の後部上面に本体部としての便座ボックス12が設置され、この便座ボックス12に便座14及び便蓋16が起倒自在に枢支されている。この便座ボックス12の右側面(便器着座者にとっての右側面。以下、同様。)には手動式フラッシュハンドル18が設けられている。また、この便座ボックス12の右側の上角縁には赤外線透過材料よりなるセンサ配置部12aが設けられている。
【0014】
便座ボックス12内の電気回路はコード22、プラグ24を介して商用電源(AC100V)から給電される。
【0015】
この洋風便器10はホース26及び止水栓28を介して水道水が供給可能とされている。
【0016】
トイレルームの左側の壁面にはリモコン取付ブラケット(図示略)が取り付けられ、このリモコン取付ブラケットに対しリモコン30が着脱自在に掛止されている。
【0017】
この実施の形態では、リモコン30は方形の薄箱形状のものであり、その内部には電源として乾電池が複数本収容されている。リモコン30の前面には臀部を洗浄するためのシャワースイッチ30a及びビデスイッチ30b、温風を吹き出すための乾燥スイッチ30c、洗浄強さを調節する洗浄強さ調節ダイヤル30d、洗浄及び乾燥を停止させるストップスイッチ30s、及び液晶等よりなる表示画面30gが設けられている。リモコン30の上面には、洋風便器10に大量(例えば約8L)の洗浄水を供給する大用フラッシュスイッチ30e、同じく少量(例えば2L)の洗浄水を供給する男子小用フラッシュスイッチ30fが設けられている。
【0018】
さらに、図3の通り、このリモコン30の左側面と底面との角縁には、小円柱状の回転体32の外周縁が臨んでいる。該回転体32の外周面は凹凸面となっており、指先で触れて該回転体32を回転させることが可能となっている。この回転体32は、回転軸心をリモコン30の表裏方向としている。
【0019】
回転体32からは2本のプラグ状の接続端子34,34が放射方向に平行に突設されている。この接続端子34,34はリモコン30内の電池端子(図示略)に接続されている。
【0020】
リモコン30の底面には2条の溝34a,34aが回転体32から離反する方向に延設されている。図3(a)の状態では接続端子34,34は該溝34a,34a内に収容された状態となっている。図3(b)は、図3(a)の状態から矢印θ方向に回転体32を180°回転させた状態となっており、接続端子34,34はリモコン30の左側面から左側方へ突出している。
【0021】
なお、回転体32の軸部とリモコン30の軸支部とには、回転体32が図3(a),(b)に示す範囲内でのみ回動するように、回動範囲を上記180°に限定するためのストッパ部(図示略)が設けられている。
【0022】
便座ボックス12の左側面には、このプラグ状の接続端子34が差し込まれるコンセント状の接続端子36が設けられている。
【0023】
便座ボックス12の前記センサ配置部12aの内部には、このリモコン30からの赤外線信号光を受光する受光素子60(図4)が設けられ、この受光素子60から得られる受信信号が制御回路54(図4)に入力される。
【0024】
図4の通り、便座ボックス12内には、この制御回路54によって動作が制御される各機器が設置されており、それぞれリモコン30の各スイッチによって次のように作動する。
【0025】
シャワースイッチ30aを押すと、弁50が開弁し、便座ボックス12に設けられたシャワーノズル38Aが前進し、その先端から温水が噴出され、使用者臀部のシャワー洗浄(肛門洗浄)が行われる。ビデスイッチ30bを押すと、弁52が開弁し、同様に便座ボックス12の本体部に設けらているビデノズル38Bが作動され、その先端から温水が噴出されて人体臀部の温水洗浄(ビデ洗浄)が行われる。この洗浄に際しては、前記ホース26に連なる便座ボックス内の配管40からの水が、温水タンク42内においてヒータ44により加熱された後、配管46又は48を介してシャワーノズル38A又はビデノズル38Bへ送られる。なお、洗浄強さ調節ダイヤル30dを回すことにより、弁50,52の開度が制御され、洗浄強さ(温水噴出量)が調節される。
【0026】
乾燥スイッチ30cを押すと、便座ボックス12内のブロワ56及びエアヒータ58よりなる温風ファンが作動され、人体臀部に温風が吹き付けられて乾燥が行われる。
【0027】
ストップスイッチ30sを押すと、これらシャワーノズル、ビデノズルまたは温風ファンの作動が停止される。フラッシュスイッチ30e(大用)又は30f(小用)を操作することにより、弁74又は弁74,76が開弁し、洋風便器10の便鉢内に水が供給され、汚物が排出される。これらの弁74,76は、前記ホース26から水の供給を受ける配管70,72に設けられている。配管70は便器のリムに給水し、配管72は便器のトラップ部(ゼット孔部)に給水する。
【0028】
大用のフラッシュスイッチ30eを押したときには、まず弁74が所定時間開弁し、リム給水により鉢面が洗浄され、次いで弁76が所定時間開弁し、トラップ部にサイホンを発生させて汚物を排出する。この場合、合計で8L程度の水が供給される。
【0029】
小用のフラッシュスイッチ30fを押したときには、弁74のみが所要時間開弁し、2L程度の水で鉢面を洗浄すると共に、トラップ水を置換する。
【0030】
この実施の形態では、商用電源(AC100V)を変圧・整流回路80にて低電圧の直流(例えばDC24V)に降圧及び整流し、リレー44R,50R,52R,58Rを介してヒータ44、弁50,52、エアヒータ58に給電している。前記制御回路54からの制御信号はこれらのリレー44R,50R,52R,58Rに入力されている。この変圧・整流回路80からは制御回路54に直流電力が給電されている。
【0031】
商用電源に停電が生じた場合、変圧・整流回路80への給電は停止し、このままではリモコン30のスイッチを操作しても図4の各機器は動作しない。この場合、リモコン30を壁から取り外し、図3(b)のように接続端子34を突出させてこれを図2の矢印の如く接続端子36に差し込む。これにより、リモコン30の乾電池から制御回路54に給電される。ただし、この電流は少ないので、制御回路54はフラッシュスイッチ30e又は30fが押されたときにのみ弁74,76の開弁動作を行うものであり、他の温水洗浄機構や臀部乾燥機構は動作させない。
【0032】
このように、停電時にも、リモコン30のフラッシュスイッチ30e,30fを利用して便器に洗浄水を流すことができ、便鉢内に汚物が溜り放しになるという事態が回避される。
【0033】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は図示以外の形態をもとりうる。たとえば、上記実施の形態では温水タンク42が用いられているが、給湯設備がある場合には温水タンクを省略し、給湯設備からの湯を湯水混合弁を介して水と混合して適温とし、洗浄ノズル(シャワーノズル38A,ビデノズル38B)に供給しても良い。
【0034】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によると、リモコンの電池を利用して商用電源からの電力供給が断になったときにもリモコンのスイッチ操作により便器洗浄水を流すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る洗浄給水装置を有する洋風便器が設置されたトイレルーム内の斜視図である。
【図2】図1の洋風便器を反対側から見た斜視図である。
【図3】リモコン端部の斜視図である。
【図4】図1の洗浄給水装置のブロック図である。
【符号の説明】
10 洋風便器
12 便座ボックス
30 リモコン
30e,30f フラッシュスイッチ
32 回転体
34,36 接続端子
42 温水タンク
54 制御回路
60 受光素子
80 変圧・整流回路
Claims (1)
- 商用電源からの電力供給が断になったときに電力を供給するバックアップ用電源を備えたトイレ用洗浄給水装置において、
該バックアップ用電源は、リモコンの電池であり、
温水洗浄装置及び該洗浄給水装置の制御を行なう制御回路が設けられており、
該制御回路は、商用電源からの電力供給が断のときには前記電池から給電されることにより、便器への洗浄給水動作のみをリモコンのスイッチ操作で実行させる洗浄給水装置であって、
便器に設置される本体部と前記リモコンとにそれぞれ通電用の接続端子が設けられており、該接続端子を介してリモコンから該本体部に電力供給されることを特徴とする洗浄給水装置。
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