JP4120164B2 - 熱現像ハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

熱現像ハロゲン化銀写真感光材料 Download PDF

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    • Y10S430/151Matting or other surface reflectivity altering material

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱現像ハロゲン化銀写真感光材料に関し、更に詳しくは、下引層にキズが少なく、塗布故障のない熱現像ハロゲン化銀写真感光材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
昨今、環境に対する配慮が強く求められる社会的状況から、従来から広く用いられていたハロゲン化銀写真感光材料の湿式現像処理プロセスにおいては、廃液削減などの課題を克服しつつ、現在に至っている。例えば、現像処理廃液を極力少なくする試みとしては、例えば、補充液量を低減したり、処理用薬剤を固形化したり、処理液をリサイクルしたりして課題を解決してきた。このような環境下において、湿式法でなく乾式法の処理適性を有する熱現像ハロゲン化銀写真感光材料が開発されて来ている。例えば、ハロゲン化銀、還元剤、脂肪酸銀等を含有するドライシルバーと呼ばれる熱現像ハロゲン化銀写真感光材料は、水分を一切使用せず、しかも廃棄物がないということで、一部の写真感光材料の事業分野で使用されようとしている。
【0003】
上記熱現像ハロゲン化銀写真感光材料は、露光後80〜140℃という熱を加えることで現像がなされ、その後はほとんど何の処理を施さなくてもよい、環境に優しい写真感光材料である。
【0004】
熱現像ハロゲン化銀写真感光材料は簡易性から発展が期待されているが、湿式のハロゲン化銀写真感光材料では問題にならなかった欠陥があることがあり、これらの解決が不可欠とされていた。特に、医療用X線ハロゲン化銀写真感光材料においては、生体各部位の撮影にて病巣の誤診につながるような画像の欠陥、すり傷や付着物等がない熱現像ハロゲン化銀写真感光材料が求められていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、これらの問題の解決に鋭意とりくみ、上記の欠陥のうちある種のものが、下引層の製造時に関係することを見出した。それは、下引層を塗布乾燥している過程での問題が熱現像ハロゲン化銀感光層の熱現像すると現れる白ポチ(感光層が白っぽく抜ける欠陥)に関係あることがわかった。本発明者らは、下引層塗布後搬送している間に、下引層にキズが発生したり脱落するものがあり、それらの結果と思われる下引層の凹凸が発生し、また下引済みの支持体を巻き取った後巻きの圧力によって、熱現像ハロゲン化銀感光層塗布前に支持体に微細な凹凸が生じたり、下引層側から脱落したもの等が転写することによって、また熱現像ハロゲン化銀感光層塗布後に平面的に不均一な箇所を生じることにより、白ポチとなることをつきとめた。湿式の従来のハロゲン化銀写真感光材料においては何ら問題にならなかった下引層が、熱現像ハロゲン化銀写真感光材料では上述のようなトラブルを発現することが課題となり、このような欠陥のない熱現像ハロゲン化銀写真感光材料の改善改良技術の開発が切望されていた。
【0006】
従って、本発明の目的は、下引層が傷つきにくく、下引層からの脱落物がなく、塗布工程を汚染せず、画像に白ポチの発生ない熱現像ハロゲン化銀写真感光材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、下引層を支持体に塗布し、該支持体をロール搬送する際に、下引層に使用しているマット剤が崩れたり、脱落したりして、それらにより下引層が掘られ孔となったり、またそれらが工程内を汚し、更にそれらが下引層に付着したり、再び下引層を傷つけたり、これらの一連の故障が、熱現像ハロゲン化銀写真感光材料の白ポチやすり傷を発生させることを見出した。そこで本発明者らはこれらの欠陥を発生させず、熱現像ハロゲン化銀写真感光材料に適した下引層用の特定マット剤を見出し、それを使用した下引層を有する熱現像ハロゲン化銀写真感光材料の開発に成功した。なお、白ポチは熱現像ハロゲン化銀感光層が微少部分で薄く、正常な部分より画像濃度の低い部分をいう。
【0008】
本発明は、下記構成よりなる。
(1) 支持体上の少なくとも片面に、下記式で規定され、且つ平均一次粒径が0.01〜1.6μmの表面がアルコキシドで修飾されている無機微粒子のマット剤を含有する下引層を有し、該下引層の中心線平均表面粗さRaが15nm以下であり、且つ該下引層の100μm四方の面積中にマット剤が10〜100個存在することを特徴とする熱現像ハロゲン化銀写真感光材料。
【0010】
1≦(r2/r1)≦1.4
ここで、r1はマット剤の内接球の半径、r2は外接球の半径を表す。
【0013】
) 前記マット剤の平均1次粒径の変動係数が0.25以下であることを特徴とする(1)項に記載の熱現像ハロゲン化銀写真感光材料。
【0015】
) 前記マット剤が非多孔質のものであることを特徴とする(1)または)の何れか1項に記載の熱現像ハロゲン化銀写真感光材料。
【0016】
) 前記下引層が水性ポリエステル樹脂を含有していることを特徴とする(1)乃至()の何れか1項に記載の熱現像ハロゲン化銀写真感光材料。
【0017】
以下に本発明を更に詳しく説明する。
本発明の熱現像ハロゲン化銀写真感光材料は、支持体上の少なくとも片面に、少なくとも1層の下引層を有し、該下引層が本発明に係わるマット剤を含有する。
【0018】
まず、本発明に使用する支持体について述べる。
本発明の熱現像ハロゲン化銀写真感光材料に使用する支持体としては、グリコールとジカルボン酸とから縮重合によって得られる線状ポリエステルであり、ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸等を挙げることが出来、またグリコールとしては、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等を挙げることが出来る。中でも、ジカルボン酸として、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を、またグリコールとして、エチレングリコール、ブチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールを構成成分とするポリエステルを好ましく用いることが出来る。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが本発明の支持体として特に有用である。また、分子量の異なるこれらのポリエステルの溶融混合物、またはこれら異種のポリエステルの溶融混合物でもよい。更にポリエチレンテレフタル酸成分と他のポリエステル成分との共重合物も好ましい。本発明に有用なポリエステル支持体は、熱または湿度に対する寸法安定性、耐熱性、耐薬品性、透明性、機械的性質等優れた性質を有しており、熱現像時の加熱温度で変形、寸法変化等が起こらないものである。
【0019】
本発明に係るポリエステル支持体には、若干の滑り性を付与するために、炭酸カルシウム、非晶質ゼオライト粒子、アナターゼ型の二酸化チタン、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タルク、クレー等の微粒子を含有してもよく、これらの添加量は、ポリエステル組成物100質量部に対して0.0005〜25質量部とするのが好ましい。また、このような微粒子以外にも、ポリエステルの重縮合反応系で触媒残渣とリン化合物との反応により析出した微粒子があってもよい。析出微粒子としては、例えば、カルシウム、リチウム及びリン化合物から成るものまたはカルシウム、マグネシウム及びリン化合物から成るもの等を挙げることが出来る。これらの粒子のポリエステル中の含有量は、ポリエステル100質量部に対して0.05〜1.0質量部であることが好ましい。また、ポリエステル支持体には、公知の各種添加剤、例えば、酸化防止剤、染料等が添加されてもよい。
【0020】
なお、ポリエステル支持体の厚さは、10〜250μmであることが好ましく、更に好ましくは15〜200μmである。
【0021】
本発明において、ポリエステル支持体の加熱状態で、または長時間巻いておくことによって起こる巻ぐせカールを低減させるために、特開昭51−16358号公報等に記載があるように、ポリエステル支持体を製膜後に、ガラス転移温度以下の温度で、0.1〜1500時間のアニーリング処理を行って巻ぐせカールを付きにくくしてもよい。
【0022】
次に、本発明に有用なマット剤及びそれを含有する下引層について述べる。
本発明の構成(1)は、支持体上の少なくとも片面に、マット剤を含有する下引層を有し、該下引層の中心線平均表面粗さRaが15nm以下であり、且つ該下引層の100μm四方の面積中にマット剤を10〜100個存在させることにより、塗設後の下引層面の凹凸が極めて平坦で、しかも下引層に傷が付きにくいため、下引層からの脱落がほとんどないのが特徴である。
【0023】
上記の中心線平均粗さは、WYKO TOPO−3D(WYKO社製)により測定出来る。また、100μm四方面積中のマット剤の個数は光学顕微鏡により確認する。このような平坦に近い下引層面をマット剤を含有していて可能にするには、マット剤の粒径、形状、粒径の変動係数がかなり揃っていることが好ましい。これらについては後述する。
【0024】
図1はマット剤粒子の形状の内接円と外接円を描いた拡大図である。
本発明の構成(2)において、本発明に係わるマット剤は、図1に示したような球形に近い形をしたものであり、好ましくはより球形に近いものが好ましく、図中、外接円の半径r2と内接円の半径r1との比r2/r1が1〜1.4の範囲にあり、且つ平均粒径が0.01〜1.6μmのものである。該比は好ましくは1〜1.25である。また、マット剤の平均1次粒径は、好ましくは0.03〜1.6μm、より好ましくは0.1〜1.6μmである。r2/r1は、マット剤粒子を電子顕微鏡で数万倍程度に拡大して得られた画像から最小径の内接円及び最大径の外接円を描き、内接円の半径r1及び外接円の半径r2を測定して求める。本発明においては、前記式のr2/r1が1〜1.4にあるマット剤であれば、その製法、材質、形状(該比の範囲内での)等限定なく使用出来る。本発明における平均1次粒径は、マット剤の電子顕微鏡写真を撮影し、500個のマット剤の粒子の粒径を計ることによって知ることが出来る。このような形状及び平均粒径のマット剤を用いることにより、下引層から従来のマット剤のように異常に突出することもなく、傷が付きにくく脱落も起こりにくい。
【0025】
更に本発明の構成(2)の形状及び平均粒径のマット剤を用いることによって、中心線平均表面粗さRaを15nm以下にすることが出来る(本発明の構成(3))。
【0026】
本発明に係わるマット剤は、その平均1次粒径の変動係数が0.25以下のもの、つまり単分散性が高いものが好ましく、より好ましくは0.20以下、更に好ましくは0.15以下である(本発明の構成(4))。平均1次粒径の変動係数とは、全粒子の粒径の標準偏差を平均粒径で除したものである。マット剤の粒径は、出来るだけ揃っていた方がよい。このマット剤の粒径分布も、前記の電子顕微鏡を撮影したものから知ることが出来る。
【0027】
本発明に有用なマット剤は、無機微粒子でも有機高分子微粒子でもよいが、80〜140℃で熱現像する際に変形しないものが好ましく、無機微粒子がより好ましい。
【0028】
本発明に有用な無機微粒子のマット剤としては、化学大辞典9(共立出版)312頁(昭和43年縮刷版第4刷)に記載されている無機化合物の構造のものを使用することが出来るが、例えば、無機微粒子としてはCaCO3、CaSO4、ZnS、BaSO4、MgCO3、CaF2、ZnO、ZnCO3、TiO2、SnO2、SiO2、Al23等を挙げることが出来、これらの複合金属化合物であってもよい。例えば、SiO2はオルトケイ酸エチル(Si(OC254)を加水分解して含水シリカ(Si(OH)4)をつくり、更に含水シリカ単分散球とし、この含水シリカ単分散球を脱水化処理してシリカ結合を3次元的に成長させたものに形成することによって、シリカマット剤を作ることが出来る。本発明においては、特にシリカによるマット剤が好ましい。
【0029】
本発明のマット剤は、表面がアルコキシドで修飾されている無機微粒子であることが好ましい。このために、表面をアルコールで処理した無機微粒子が有用である。本発明の表面がアルコキシドが修飾されている無機微粒子は、水とアルコール中で合成後及び/または合成過程である粒径に達したところで中断させた後の乾燥工程で、例えば300℃程度の温度を経て形成されたものである。また、無機微粒子形成後にアルコールを加え、300℃程度で処理してもよい。このように本発明に有用なマット剤は湿式で形成された無機微粒子で、形成後マット剤表面にアルコールが残存するものである。例えば、市販品のマット剤として、シーホスターKE−P50、同KE−P20、同KE−P30、同KE−40、同KE−50、同KE−P70、同KE−80、同KE−90、同KE−P100、同KE−P150(何れも日本触媒(株)製)等を挙げることが出来る。また同KE−E20、同KE−E30、同KE−E40、同KE−E50、同KE−E70、同KE−E80、同KE−E90、同KE−E150等(何れも日本触媒(株)製)も挙げることが出来る。アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコール等を挙げることが出来るが、好ましくはメタノール及びエタノールであり、より好ましくはメタノールである。
【0030】
また、本発明において、前記無機微粒子(前記化学大辞典のもの)のマット剤の表面をメチル基、エチル基、プロピル基等が表面に存在するように表面処理したもの、テトラメチルシラン、テトラエチルシラン、テトラプロピルシラン等のカップリング剤、更にこれらの一部加水分解した化合物で、また、上記メチル基、オクチルシランあるいはトリチルシリル基等で、表面処理したもの、更に表面を化学修飾して疎水性基を表面に有するようにしてもよい。また、粒子製造時に、触媒等が微量粒子表面に吸着や結合をしていてもよく、有機物で処理する場合の処理剤としては特に制限なく使用出来る。
【0031】
また、上記マット剤は、非多孔質のものが好ましく、非多孔質のマット剤ならば制限なく使用出来るが、使用するバインダーとの相互作用が働くようなものを選ぶのがよい。しかも、吸水性の小さいものがよい。また、万が一搬送中に脱落した場合、あるいは、砕けた場合でも、それらのマット剤同士が凝集し難いものが好ましい。本発明に有用な所望の粒子径を得るために、従来から知られている粒子調整法を用いることも出来、例えば粉砕処理、分級操作等を施すことにより所望の平均粒経、粒度分布を調整出来る。また、多孔質、非多孔質粒子についても特開昭52−52876号公報の方法等、従来から知られている方法で得ることが出来る。
【0032】
また、マット剤として、有機高分子マット剤、特に架橋性高分子マット剤も好ましく使用出来る。架橋性高分子マット剤は、高弾性を有し、しかも砕け難いものであれば制限なく使用することが出来るが、硬い方が好ましい。例えば、メチルメタクリレート(主成分)/アルキルアクリレート/エチレングリコールジアクリレートの共重合体、あるいは、スチレン(主成分)/アルキルアクリレート/ジビニルベンゼン共重合体等を挙げることが出来る。
【0033】
次に、本発明に用いられる下引層について述べる。
本発明に係わる下引層は、支持体と熱現像ハロゲン化銀感光層またはバック層との間に有る層であり、熱現像ハロゲン化銀感光層側またはバック層側の少なくとも何れかの支持体面に塗設した層である。下引層は複数の層から構成されていてもよい。また、本発明の熱現像ハロゲン化銀写真感光材料の熱現像ハロゲン化銀感光層を、下引層を介さなくとも直接支持体上に塗設しても、また支持体を前処理(後述)した面に塗設してもよい。
【0034】
本発明に用いる下引層は水性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい(本発明の構成(7))。水性ポリエステルとは、二塩基酸またはそのエステル形成性誘導体とグリコールまたはそのエステル形成性誘導体とを重縮合反応して得られる実質的に線状のポリエステルであり、更に水性であるために、親水性基を有する成分、例えば、スルホン酸塩を有する成分、ジエチレングリコール成分、ポリアルキレングリコール成分、ポリアルキレングリコールジカルボン酸成分等をポリエステル中に共重合成分として導入されたポリエステルをいう。親水性基を有する成分としては、スルホン酸塩を有する芳香族ジカルボン酸が好ましい。
【0035】
上記の水性ポリエステルの二塩基酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等を用いることが出来る。また、上記スルホン酸塩を有するジカルボン酸としては、スルホン酸アルカリ金属塩の基を有するものが特に好ましく、例えば、4−スルホイソフタル酸、5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、5−(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸などのアルカリ金属塩を挙げることが出来るが、その中でも5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩が特に好ましい。これらのスルホン酸塩を有するジカルボン酸は、水溶性及び耐水性の点から全ジカルボン酸成分に対し5〜15mol%の範囲内、特に6〜10mol%の範囲内で用いることが好ましい。
【0036】
水性ポリエステルの主成分としてのジカルボン酸成分としては、テレフタル酸及びイソフタル酸を有するものが好ましく、テレフタル酸及びイソフタル酸の割合は、mol比で30/70〜70/30であることがポリエステル支持体への塗布性及び水に対する溶解性の点で特に好ましい。また、これらテレフタル酸成分及びイソフタル酸成分を全ジカルボン酸成分に対し50〜80mol%含むことが好ましく、更に共重合成分として脂環族ジカルボン酸を用いるのもよい。これら脂環族ジカルボン酸としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、4,4′−ビシクロヘキシルジカルボン酸を挙げることが出来る。主たるジカルボン酸成分としてテレフタル酸とイソフタル酸を用いた本発明の水性ポリエステルには、更に上記以外のジカルボン酸を共重合成分として用いることが出来る。これらジカルボン酸としては、例えば、芳香族ジカルボン酸、直鎖状脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。芳香族ジカルボン酸は、全ジカルボン酸成分の30mol%以下の範囲内で用いることが好ましい。これら芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸を挙げることが出来る。また、直鎖状脂肪族ジカルボン酸は、全ジカルボン酸成分の15mol%以下の範囲内で用いることが出来る。これら直鎖状脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸を挙げることが出来る。
【0037】
また、グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール、ポリエチレングリコール(ポリエチレンオキシドグリコール)、ポリテトラメチレンオキシドグリコールを挙げることが出来る。水性ポリエステルのグリコール成分としてエチレングリコールは全グリコール成分の50mol%以上含有させることが好ましい。
【0038】
上記、水性ポリエステルは、出発原料としてジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びグリコールまたはそのエステル形成性誘導体を用いて合成することが出来る。合成には種々の方法を用いることが出来、例えば、エステル交換法あるいは直接エステル化法でジカルボン酸とグリコールとの初期縮合物を形成し、これを溶融重合するという公知のポリエステルの製造法によって得ることが出来る。更に具体的に述べれば、例えば、ジカルボン酸のエステル、例えばジカルボン酸のジメチルエステルとグリコールとでエステル交換反応を行い、メタノールを留出せしめた後、徐々に減圧し、高真空下、重縮合を行う方法、ジカルボン酸とグリコールのエステル化反応を行い、生成した水を留出せしめた後、徐々に減圧し、高真空下、重縮合を行う方法、ジカルボン酸のエステルとグリコールとでエステル交換反応を行い、更に、ジカルボン酸を加えてエステル化反応を行った後、高真空下、重縮合を行う方法が挙げられる。エステル交換触媒及び重縮合触媒としては公知のものを使用することが出来、エステル交換触媒としては、酢酸マンガン、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛等を、重縮合触媒としては三酸化アンチモン、酸化ゲルマニウム、ジブチル錫オキシド、チタンテトラブトキシド等を用いることが出来る。しかし、重合方法、触媒等の種々条件は上述の例に限定されるものではない。
【0039】
また、本発明に有用な水性ポリエステル樹脂として、ビニル系重合体で変性した水性ポリエステルをより好ましく用いることが出来る。ビニル系重合体で変性した水性ポリエステルは、水性ポリエステルの水溶液中でビニル系単量体を重合させた水性分散液を熱水中に溶解させたもの、または、水性ポリエステルの水溶液にビニル系単量体を分散させ、乳化重合あるいは懸濁重合させることにより得ることが出来る。重合は乳化重合によることが好ましい。出来上がった変性水性ポリエステルの構造は定かではないが、水性ポリエステル液中でビニル単量体が重合中に水性ポリエステルにグラフト重合した構造をしているのではないかと発明者は考えている。
【0040】
ビニル系単量体としては、アクリル系単量体、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基またはフェニルエチル基等)、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートまたは2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシ基含有単量体、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミドまたはN−フェニルアクリルアミド等のアミド基含有単量体、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレートまたはN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基含有単量体、グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有アクリレート類、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等のカルボキシル基またはその塩を含む単量体等を挙げることが出来る。また、アクリル系単量体以外の単量体としては、例えば、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有単量体、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸及びそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等のスルホン酸基またはその塩を含有する単量体、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸及びそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等のカルボキシル基またはその塩を含有する単量体、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物を含有する単量体、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、スチレン、ビニルトリスアルコキシシラン、アルキルマレイン酸モノエステル、アルキルフマール酸モノエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アルキルイタコン酸モノエステル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、塩化ビニル等を挙げることが出来る。
【0041】
ビニル系単量体の使用量は、(水性ポリエステル)/(ビニル系重合体)が質量比で99/1〜5/95の範囲にあるのが好ましく、97/3〜50/50の範囲にあるのが更に好ましく、95/5〜80/20の範囲にあるのが特に好ましい。
【0042】
ビニル系単量体の重合には重合開始剤が用いられる。用いることが出来る重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化ベンゾイルを挙げることが出来る。この中で好ましいものは過硫酸アンモニウムである。重合は、界面活性剤を使用することなく行うことが出来るが、重合安定性を改良する目的で、界面活性剤を乳化剤として用いることも可能である。この場合、一般のノニオン型、アニオン型いずれの界面活性剤も使用することが出来る。
【0043】
本発明に係わる下引層には、必要に応じて、フィラーを添加してもよく、特に熱現像時の耐熱性向上に効果があるため望ましい。フィラーについては、すり傷、脱落を起こさず、更に白ポチを発生させない程度に本発明のマット剤の粒径及び形状に近いものが好ましい。フィラーとしては、無機化合物でも有機化合物でもよいが、例えば、カーボンブラック、グラファイト、TiO2、BaSO4、ZnS、MgCO3、CaCO3、ZnO、CaO、WS2、MoS2、MgO、SnO2、Al23、α−Fe23、α−FeOOH、SiC、CeO2、BN、SiN、MoC、BC、WC、チタンカーバイド、コランダム、人造ダイアモンド、ザクロ石、ガーネット、ケイ石、トリボリ、ケイソウ土、ドロマイト等の無機フィラーやポリエチレン樹脂粒子、フッ素樹脂粒子、グアナミン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、シリコン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子等の有機フィラーを挙げることが出来る。
【0044】
本発明に有用な下引層はポリエステル支持体に水性ポリエステルを含有する水性の下引層塗布液として塗布する。下引層塗布液には、適量の水に相溶性のある有機溶媒を混合してもよい。また塗布性を良好ならしめるために界面活性剤を添加してもよい。この他、下引層塗布液には、必要に応じて、支持体の膨潤剤、クロスオーバー用染料、アンチハレーション染料、顔料、カブリ防止剤、防腐剤、可塑剤、架橋剤、染料等を添加してもよい。膨潤剤としては、例えば、フェノール、レゾルシン、クレゾール、クロロフェノール等が用いてもよい。その添加量は下引層塗布液に対して1〜10g/l程度がよい。
【0045】
本発明に使用する下引層塗布液は、一般によく知られている塗布方法を用いて塗布することにより下引層を形成することが出来る。塗布方法としては、例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビヤコート法、あるいは米国特許第2,681,294号に記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法等を挙げることが出来る。また、必要に応じて、米国特許第2,761,791号、同第3,508,947号、同第2,941,898号及び同第3,526,528号、原崎勇次著「コーティング工学」253頁(1973年、朝倉書店発行)等に記載された2層以上の層を同時に塗布する方法も、好ましく用いることが出来る。
【0046】
本発明の下引層塗布液の乾燥条件は、一般的に120〜200℃で10秒〜10分程度であることが好ましい。
【0047】
本発明の下引層の固形分付量は1m2あたり0.01〜10g、特に0.05〜3gであることが好ましい。
【0048】
本発明において、下引層を塗設する前に、支持体に必要に応じて接着性を向上させるために公知の表面処理、薬品処理(特公昭34−11031号、同38−22148号、同40−2276号、同41−16423号、同44−5116号記載)、化学的機械的粗面化処理(特公昭47−19068号、同55−5104号記載)、コロナ放電処理(特公昭39−12838号、特開昭47−19824号、同48−28067号記載)、火炎処理(特公昭40−12384号、特開昭48−85126号記載)、紫外線処理(特公昭36−18915号、同37−14493号、同43−2603号、同43−2604号、同52−25726号記載)、高周波処理(特公昭49−10687号記載)、グロー放電(特公昭37−17682号記載)、更には、活性プラズマ処理、レーザー処理などを施してもよい。これらの処理により特公昭57−487号記載のように、支持体表面と水との接触角を58°以下にすることが好ましい。
【0049】
本発明に係わる下引層は、特に、熱現像ハロゲン化銀写真感光材料のバック層側の下引層として好ましく用いられる。
【0050】
また、本発明において、熱現像ハロゲン化銀感光層は、下引層を塗設することなく、直接支持体上に塗設される場合がある。また上記処理を行った後に塗設する場合もある。上記前処理の他、特願2000−066778号の支持体面を、ガス中放電プラズマ処理にて大気圧もしくはその近傍の圧力下、導入する不活性ガスの50圧力%以上をアルゴンガスとして、及び炭化水素ガス及び/またはフッ化炭化水素ガスの反応性ガスを含有させて連続搬送して支持体の疎水性化表面処理方法を好ましく用いることが出来、熱現像ハロゲン化銀感光層が疎水性樹脂を使用し、且つ有機溶媒系塗布液として支持体に塗布することから、支持体表面を他気圧近傍でのガス中放電プラズマ処理が好ましい。
【0051】
本発明の熱現像ハロゲン化銀写真感光材料は、熱現像ハロゲン化銀感光層の反対側の支持体上の下引層面に、有機溶媒系または水性系のバック層塗布液を塗布される。バック層は2層以上の構成であってもよい。
【0052】
本発明に係わるバック層はバインダー、各種添加剤を含有している。
バック層のバインダーとしては、層として透明または半透明で、一般に無色の天然高分子化合物や合成高分子化合物を使用する。例えば、天然高分子化合物としては、ゼラチン、カゼイン、アラビアゴム、アルギン酸、デンプン、アルブミン等を挙げることが出来、中でもゼラチンを好ましく用いられる。また、合成高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメチルメタクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリビニルアセタール類(例えば、ポリビニルホルマール及びポリビニルブチラール)、ポリエステル類、ポリウレタン類、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリ酢酸ビニル、ポリプロピン酸ビニル、ポリ吉草酸ビニル、ポリアミド類等を挙げることが出来る。これらのうち、有機溶媒系バック層のバインダーとしては、セルロースアセテートブチレートを、また水性系バック層のバインダーとしては、ポリビニルアルコール、ゼラチンを好ましく用いることが出来る。
【0053】
本発明に係わるバック層には、更に必要に応じて界面活性剤、架橋剤、スベリ剤、マット剤などを添加してもよい。また、米国特許第4,460,681号及び同第4,374,921号明細書に示されるような裏面抵抗性加熱層(backing resistive heating layer)を設けることも出来る。
【0054】
本発明の熱現像ハロゲン化銀写真感光材料のバック層の厚さは、0.1〜20μm程度が好ましく、より好ましくは0.5〜10μmである。
【0055】
本発明の熱現像ハロゲン化銀写真感光材料において、バック層の上に保護層を設けてもよい。バック層の保護層のバインダーには、特に制限はなく、上記バック層と同様のバインダーを用いることが出来、また、バック層の保護層塗布液も、同様に有機溶媒系または水性系塗布液を用いることが出来る。バック層の保護層にも必要に応じてマット剤、染料、スベリ剤、界面活性剤などを添加してもよい。バック層の保護層の厚みは、0.1〜10μm、より好ましくは0.5〜5μmである。
【0056】
更に、本発明の熱現像ハロゲン化銀写真感光材料の熱現像ハロゲン化銀感光層の一形態について述べる。
【0057】
本発明の熱現像ハロゲン化銀写真感光材料は例えば、米国特許第3,152,904号、同第3,457,075号、及びD.モーガン(Morgan)による「ドライシルバー写真材料(Dry Silver Photographic Material)」やD.H.クロスタベール(D.H.Klosterboer)による「熱によって処理される銀システム(Thermally Processed SilverSystems)」(イメージング・プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Processes andMaterials)Neblette 第8版、スタージ(Sturge)、V.ウォールワース(Walworth)、A.シェップ(Shepp)編集、第279頁、1989年)等に開示されている。
【0058】
本発明の熱現像ハロゲン化銀写真感光材料は、熱現像処理にて写真画像を形成するもので、還元可能な銀源(有機銀塩)、感光性ハロゲン化銀、還元剤及び必要に応じて銀の色調を抑制する色調剤を通常(有機)バインダー中に分散した状態で含有している熱現像ハロゲン化銀写真感光材料であることが好ましい。本発明の熱現像ハロゲン化銀写真感光材料は常温で安定であるが、露光後高温(例えば、80℃〜140℃)に加熱することで現像される。加熱することで有機銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応を通じて銀を生成する。この酸化還元反応は露光でハロゲン化銀に発生した潜像の触媒作用によって促進される。露光領域中の有機銀塩の反応によって生成した銀は黒色画像を提供し、これは非露光領域と対照をなし、画像の形成がなされる。この反応過程は、外部から水等の処理液を供給することなしで進行する。
【0059】
感光性ハロゲン化銀粒子は光センサーとして機能するものであり、画像形成後の白濁を低く抑えるため、及び良好な画質を得るために平均粒子サイズが小さい方が好ましく、平均粒子サイズが0.1μm以下、より好ましくは0.01μm〜0.1μm、特に0.02μm〜0.08μmが好ましい。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子が立方体或いは八面体のいわゆる正常晶である場合には、ハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。また、正常晶でない場合、例えば球状、棒状、或いは平板状の粒子の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。またハロゲン化銀は単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記式で求められる単分散度が40%以下をいう。更に好ましくは30%以下であり、特に好ましくは0.1%以上20%以下となる粒子である。
【0060】
単分散度=(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
ハロゲン化銀粒子の形状については、特に制限はないが、ミラー指数〔100〕面の占める割合が高いことが好ましく、この割合が50%以上、更には70%以上、特に80%以上であることが好ましい。ミラー指数〔100〕面の比率は感光色素の吸着における〔111〕面と〔100〕面との吸着依存性を利用したT.Tani,J.Imaging Sci.,29,165(1985)により求めることが出来る。
【0061】
また、もう一つの好ましいハロゲン化銀の形状は,平板粒子である。ここでいう平板粒子とは、投影面積の平方根を粒径rμmとして垂直方向の厚みhμmとした場合のアスペクト比=r/hが3以上のものをいう。その中でも好ましくはアスペクト比が3〜50である。また粒径は0.1μm以下であることが好ましく、更に、0.01〜0.08μmが好ましい。これらは米国特許第5,264,337号、第5,314,798号、第5,320,958号等明細書に記載されており、容易に目的の平板状粒子を得ることが出来る。本発明においてこれらの平板状粒子を用いた場合、更に画像の鮮鋭性も向上する。ハロゲン組成としては特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであってもよい。
【0062】
本発明に用いられる写真乳剤は、P.Glafkides著Chimie et Physique Photographique(Paul Montel社刊、1967年)、G.F.Duffin著 Photographic Emulsion Chemistry(The Focal Press刊、1966年)、V.L.Zelikman et al著Making andCoating Photographic Emulsion(The Focal Press刊、1964年)等に記載された方法を用いて調製することが出来る。即ち、酸性法、中性法、アンモニア法等のいずれでもよく、また可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる形成としては、片側混合法、同時混合法、それらの組合せ等のいずれを用いてもよい。このハロゲン化銀はいかなる方法で画像形成層に添加されてもよく、このときハロゲン化銀は還元可能な銀源に近接するように配置する。また、ハロゲン化銀は有機酸銀とハロゲンイオンとの反応による有機酸銀中の銀の一部または全部をハロゲン化銀に変換することによって調製してもよいし、ハロゲン化銀を予め調製しておき、これを有機銀塩を調製するための溶液に添加してもよく、またはこれらの方法の組み合わせも可能であるが、後者が好ましい。一般にハロゲン化銀は有機銀塩に対して0.75〜30質量%含有することが好ましい。
【0063】
本発明に用いられるハロゲン化銀には、照度不軌改良や改良調整のために、元素周期律表の6族から11族に属する遷移金属のイオンを含有することが好ましい。上記の金属としては、W、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Auが好ましく、これらの金属イオンは金属塩をそのままハロゲン化銀に導入してもよいが、金属錯体または錯体イオンの形でハロゲン化銀に導入出来る。これらの、移金属錯体及び金属錯体イオンとしては、下記一般式で表される6配位錯体イオンが好ましい。
【0064】
一般式〔ML6m
式中、Mは元素周期表の6〜11族の元素から選ばれる遷移金属、Lは架橋配位子、mは0、1−、2−、3−または4−を表す。Lで表される配位子の具体例としては、ハロゲン化物(弗化物、塩化物、臭化物及び沃化物)、シアン化物、シアナート、チオシアナート、セレノシアナート、テルロシアナート、アジド及びアコの各配位子、ニトロシル、チオニトロシル等が挙げられ、好ましくはアコ、ニトロシル及びチオニトロシル等である。アコ配位子が存在する場合には、配位子の一つまたは二つを占めることが好ましい。Lは同一でもよく、また異なっていてもよい。
【0065】
Mとして特に好ましい具体例は、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)及びオスミウム(Os)である。
【0066】
これらの金属錯体または錯体イオンは一種類でもよいし、同種の金属及び異種の金属を二種以上併用してもよい。
【0067】
これらの金属のイオン、金属錯体及び錯体イオンの含有量としては、一般的にはハロゲン化銀1mol当たり1×10-9〜1×10-2molが適当であり、好ましくは1×10-8〜1×10-4molである。これらの金属のイオンまたは錯体イオンを提供する化合物は、ハロゲン化銀粒子形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましく、ハロゲン化銀粒子の調製、つまり核形成、成長、物理熟成、化学増感の前後のどの段階で添加してもよいが、特に核形成、成長、物理熟成の段階で添加するのが好ましく、更には核形成、成長の段階で添加するのが好ましく、最も好ましくは核形成の段階で添加する。添加に際しては、数回に渡って分割して添加してもよく、ハロゲン化銀粒子中に均一に含有させることも出来るし、特開昭63−29603号、特開平2−306236号、同3−167545号、同4−76534号、同6−110146号、同5−273683号公報に記載されているように、粒子内に分布を持たせて含有させることも出来る。これらの金属化合物は、水或いは適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類)に溶解して添加することが出来るが、例えば金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を、粒子形成中の水溶性銀塩溶液または水溶性ハライド溶液中に添加しておく方法、或いは銀塩溶液とハライド溶液が同時に混合されるとき第3の水溶液として添加し、3液同時混合の方法でハロゲン化銀粒子を調製する方法、粒子形成中に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入する方法、或いはハロゲン化銀調製時に予め金属のイオンまたは錯体イオンをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させる方法等がある。特に、金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を水溶性ハライド溶液に添加する方法が好ましい。粒子表面に添加する時には、粒子形成直後または物理熟成時途中もしくは終了時または化学熟成時に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入することも出来る。
【0068】
感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フロキュレーション法等、当業界で知られている方法の水洗により脱塩することが出来るが、脱塩してもしなくてもよい。
【0069】
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は化学増感されていることが好ましい。好ましい化学増感法としては当業界でよく知られているように硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法、金化合物や白金、パラジウム、イリジウム化合物等の貴金属増感法や還元増感法を用いることが出来る。硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法に好ましく用いられる化合物としては公知の化合物を用いることが出来るが、特開平7−128768号公報に記載の化合物を使用することが出来る。貴金属増感法に好ましく用いられる化合物としては、例えば、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、金セレナイド、あるいは米国特許2,448,060号、英国特許618,061号明細書に記載されている化合物を好ましく用いることが出来る。還元増感法の具体的な化合物としてはアスコルビン酸、二酸化チオ尿素の他に例えば、塩化第一スズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることが出来る。また、乳剤のpHを7以上またはpAgを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感することが出来る。また、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分を導入することにより還元増感することが出来る。
【0070】
本発明において有機銀塩は還元可能な銀源であり、還元可能な銀イオン源を含有する有機酸及びヘテロ有機酸の銀塩、特に長鎖(10〜30、好ましくは15〜25の炭素原子数)の脂肪族カルボン酸及び含窒素複素環が好ましい。配位子が、4.0〜10.0の銀イオンに対する総安定定数を有する有機または無機の銀塩錯体も有用である。好適な銀塩の例は、Research Disclosure(以降、RDと略す)第17029及び29963に記載されている。好ましい銀源としてはベヘン酸銀、アラキジン酸銀および/またはステアリン酸銀である。
【0071】
有機銀塩化合物は、水溶性銀化合物と銀と塩或いは錯体を形成する化合物を混合することにより得られるが、正混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9−127643号公報に記載されているようなコントロールドダブルジェット法等が好ましく用いられる。例えば、有機酸にアルカリ金属塩(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)を加えて有機酸アルカリ金属塩ソープ(例えば,ベヘン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリウムなど)を作製した後に、コントロールダブルジェットにより、前記ソープと硝酸銀などを添加して有機銀塩の結晶を作製する。その際にハロゲン化銀粒子を混在させてもよい。
【0072】
本発明においては有機銀塩は平均粒径が2μm以下であり且つ単分散であることが好ましい。有機銀塩の平均粒径とは、有機銀塩の粒子が例えば球状、棒状、或いは平板状の粒子の場合には、有機銀塩粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。平均粒径は好ましくは0.05〜1.5μm、特に0.05〜1.0μmが好ましい。また単分散とは、ハロゲン化銀の場合と同義であり、好ましくは単分散度が1〜30である。
【0073】
また、本発明においては、有機銀塩は平板状粒子が全有機銀の60%以上有することが好ましい。本発明において平板状粒子とは平均粒径と厚さの比、いわゆる下記式で表されるアスペクト比(ARと略す)が3以上のものをいう。
【0074】
AR=平均粒径(μm)/厚さ(μm)
有機銀をこれらの形状にするためには、前記有機銀結晶をバインダーや界面活性剤などをボールミルなどで分散粉砕することで得られる。この範囲にすることで濃度の高く、且つ画像保存性に優れた熱現像ハロゲン化銀写真感光材料が得られる。
【0075】
本発明においては熱現像ハロゲン化銀写真感光材料の失透を防ぐためには、ハロゲン化銀及び有機銀塩の総量は、銀量に換算して1m2当たり0.5〜2.2gであることが好ましい。この範囲にすることで硬調な画像が得られる。また、銀総量に対するハロゲン化銀の量は質量比で50%以下、好ましくは25%以下、更に好ましくは0.1〜15%である。
【0076】
本発明の熱現像ハロゲン化銀写真感光材料には還元剤を内蔵させることが好ましい。好適な還元剤の例は、米国特許第3,770,448号、同第3,773,512号、同第3,593,863号明細書、及びRD第17029及び29963に記載されている。この中でも特に好ましい還元剤はビスフェノール類である。ビスフェノール類としては下記一般式(A)で表される化合物が挙げられる。
【0077】
【化1】
Figure 0004120164
【0078】
式中、Rは水素原子、または炭素原子数1〜10のアルキル基(例えば、−C4H9、2,4,4−トリメチルペンチル)を表し、R′及びR″は炭素原子数1〜5のアルキル基(例えば、メチル、エチル、t−ブチル)を表す。
【0079】
一般式(A)で表される化合物の具体例を以下に示す。ただし、本発明は、以下の化合物に限定されるものではない。
【0080】
【化2】
Figure 0004120164
【0081】
【化3】
Figure 0004120164
【0082】
前記一般式(A)で表される化合物を始めとする還元剤の使用量は好ましくは銀1mol当り1×10-2〜10mol、特に1×10-2〜1.5molである。
【0083】
本発明に用いられる好適な色調剤の例はRD第17029号に開示されている。好ましい色調剤としてはフタラジノンまたはフタラジンである。色調剤を用いる場合、その使用量は有機銀塩1mol当たり0.0001〜2mol、特に0.0005〜1molの範囲が好適である。
【0084】
本発明には、現像を抑制あるいは促進させて現像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、また現像前後の保存性を向上させるために、メルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させることが出来る。
【0085】
本発明に係わる熱現像ハロゲン化銀感光層にメルカプト化合物を使用するが、メルカプト化合物としてAr−SM、Ar−S−S−Arで表されるものが好ましい。式中、Mは水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個以上の窒素、イオウ、酸素、セレニウムまたはテルリウム原子を有する芳香環または複素芳香環である。好ましくは、複素芳香環はベンズイミダゾール、ナフスイミダゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベンズオキサゾール、ナフスオキサゾール、ベンゾセレナゾール、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プリン、キノリンまたはキナゾリノンである。この複素芳香環は、例えば、ハロゲン(例えば、BrおよびCl)、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、アルキル(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するもの)および、アルコキシ(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するもの)からなる置換基群から選択されるものを有してもよい。
【0086】
本発明の熱現像ハロゲン化銀写真感光材料中にはカブリ防止剤を含有することが好ましい。カブリ防止剤としては例えば米国特許第4,546,075号及び同第4,452,885号明細書及び特開昭59−57234号公報に開示されているようなカブリ防止剤が好ましい。特に好ましいカブリ防止剤は、米国特許第3,874,946号及び同第4,756,999号明細書に開示されているような化合物、−C(X1)(X2)(X3)(ここでX1及びX2はハロゲンでX3は水素またはハロゲン)で表される1以上の置換基を備えたヘテロ環状化合物である。好適なカブリ防止剤の例としては、特開平9−288328号段落番号〔0030〕〜〔0036〕に記載されている化合物等が好ましく用いられる。また、もう一つの好ましいカブリ防止剤の例としては、特開平9−90550号段落番号〔0062〕〜〔0063〕に記載されている化合物である。更に、その他の好適なカブリ防止剤は米国特許第5,028,523号及び欧州特許第600,587号、同第605,981号、同第631,176号明細書に開示されている。
【0087】
本発明の熱現像ハロゲン化銀写真感光材料には、例えば、特開昭63−159841号、同60−140335号、同63−231437号、同63−259651号、同63−304242号、同63−15245号公報、米国特許第4,639,414号、同第4,740,455号、同第4,741,966号、同第4,751,175号、同第4,835,096号明細書に記載されている増感色素を使用し得る。本発明に有用な増感色素は、例えば、RD17643IV−A項(1978年12月23頁)、同18431X項(1979年8月437頁)に記載もしくは引用文献に記載されている。特に各種スキャナー光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することが出来る。例えば特開平9−34078号、同9−54409号、同9−80679号公報記載の化合物が好ましく用いられる。
【0088】
本発明に係わる熱現像ハロゲン化銀感光層に好適なバインダーは透明または半透明で、一般に無色であり、天然高分子化合物や合成高分子化合物が用いることが出来、これらについては、前記バック層のバインダーと同様である。バインダーは親水性でも疎水性でもよいが、本発明においては、熱現像後のカブリを低減させるために、疎水性透明バインダーを使用することが好ましい。好ましいバインダーとしては、ポリビニルブチラール、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート、ポリアクリル酸、ポリウレタン樹脂等を挙げることが出来、その中でもポリビニルブチラール、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル樹脂は特に好ましく用いることが出来る。
【0089】
本発明に係わる熱現像ハロゲン化銀感光層は複数層を有する構成をなしても良く、また階調の調節のため感度を高感層を低感層の下側に、または低感層を高感層の下側に配置した構成としてもよい。
【0090】
また熱現像ハロゲン化銀写真感光材料の表面を保護したり擦り傷を防止するために、熱現像ハロゲン化銀感光層の外側に非感光性の保護層を有するが好ましい。これらの非感光性保護層に用いられるバインダーは熱現像ハロゲン化銀感光層に用いられるバインダーと同じ種類でも異なった種類でもよい。
【0091】
本発明においては、熱現像の速度を速めるために熱現像ハロゲン化銀感光層のバインダー量が1.5〜10g/m2であることが好ましい。更に好ましくは1.7〜8g/m2である。1.5g/m2未満では未露光部の濃度が大幅に上昇し、使用に耐えない場合がある。
【0092】
本発明においては、熱現像後の画像の傷つき防止のために、熱現像ハロゲン化銀感光層側の層にマット剤を含有することが好ましい。マット剤は熱現像ハロゲン化銀感光層側の全層の全バインダーに対し、質量比で0.5〜30%含有することが好ましい。また、熱現像ハロゲン化銀感光層側に使用するマット剤は熱現像ハロゲン化銀写真感光材料のすべり性や指紋付着防止のために、熱現像ハロゲン化銀写真感光材料の表面にマット剤を含有させることが好ましく、前記のごとく、バック層側にも同様なマット剤をバック層の全バインダーに対し、質量比で0.5〜40%含有することが好ましい。
【0093】
本発明において、熱現像ハロゲン化銀感光層側の層やバック層側の層に用いられるマット剤の材質は、有機物及び無機物のいずれでもよい。例えば、無機物としては、スイス特許第330,158号明細書に記載のシリカ、仏国特許第1,296,995号明細書に記載のガラス粉、英国特許第1,173,181号明細書に記載のアルカリ土類金属またはカドミウム、亜鉛等の炭酸塩等を挙げることが出来る。有機物としては、米国特許第2,322,037号明細書に記載の澱粉、ベルギー特許第625,451号や英国特許第981,198号明細書に記載された澱粉誘導体、特公昭44−3643号公報に記載のポリビニルアルコール、スイス特許第330,158号等に記載のポリスチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第3,079,257号明細書に記載のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号明細書に記載されたポリカーボネートのような有機マット剤を挙げることが出来る。マット剤の形状は、定形、不定形どちらでも良いが、好ましくは定形で、球形が好ましく用いられる。マット剤の大きさはマット剤の体積を球形に換算したときの直径で表される。本発明においてマット剤の粒径とはこの球形換算した直径のことを示すものとする。マット剤の平均粒径は0.5μm〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0μm〜8.0μmである。また、粒子サイズ分布の変動係数としては、50%以下であることが好ましく、更に、好ましくは40%以下であり、特に好ましくは30%以下となるマット剤である。マット剤の添加方法は、予め塗布液中に分散させて塗布する方法であってもよいし、塗布液を塗布した後、乾燥が終了する以前にマット剤を噴霧する方法を用いてもよい。また複数の種類のマット剤を添加する場合は、両方の方法を併用してもよい。
【0094】
本発明に係わる熱現像ハロゲン化銀感光層側に、該感光性層を通過する光の量または波長分布を制御するために、更に、フィルター染料層および/またはアンチハレーション染料層等を設けてもよい。熱現像ハロゲン化銀感光層にも染料や顔料を含ませてもよい。用いられる染料としては所望の波長範囲で目的の吸収を有するものであればいかなる化合物でも良いが、例えば特開昭59−6481号、同59−182436号公報、米国特許第4,271,263号、米国特許第4,594,312号、欧州特許公開第533,008号、欧州特許公開第652,473号明細書、特開平2−216140号、同4−348339号、同7−191432号、同7−301890号公報の記載の化合物が好ましく用いられる。
【0095】
また、保護層、フィルター染料層、ハレーション染料層等の非感光性層にポリシロキサン化合物やワックスや流動パラフィンのような滑り剤を含有してもよい。
【0096】
本発明の熱現像ハロゲン化銀写真感光材料には、例えば、界面活性剤、酸化防止剤、安定化剤、可塑剤、紫外線吸収剤、被覆助剤等を用いても良い。これらの添加剤及び上述したその他の添加剤はRD17029(1978年6月9〜15頁)に記載されている化合物を好ましく用いることが出来る。
【0097】
本発明においては帯電性を改良するために金属酸化物および/または導電性高分子化合物などの導電性化合物を構成層中に含ませることが出来る。これらは何れの層に含有させてもよい。導電性化合物として、米国特許5,244,773号明細書カラム〔14〕〜〔20〕に記載されているものを好ましく用いることが出来る。
【0098】
感光層、保護層及びバックコート層等本発明の熱現像ハロゲン化銀写真感光材料上に必要な各層を塗設する方法に特に制限はなく、従来知られている、エアナイフコーティング、ディップコーティング、バーコーティング、カーテンコーティング、ホッパーコーティングなどの方法を用いることが出来る。また、これらの層を2層以上同時に塗布してもよい。塗布液の有機溶媒としてはメチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエンのような有機溶媒が好ましく用いられる。
【0099】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0100】
実施例1
《水性ポリエステルA−1の合成》
重縮合用の反応容器に、テレフタル酸ジメチル35.4質量部、イソフタル酸ジメチル33.63質量部、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩17.92質量部、エチレングリコール62質量部、酢酸カルシウム一水塩0.065質量部、酢酸マンガン四水塩0.022質量部を投入し、窒素気流下において、170〜220℃でメタノールを留去しながらエステル交換反応を行った後、リン酸トリメチル0.04質量部、重縮合触媒とし三酸化アンチモン0.04質量部及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸6.8質量部を加え、220〜235℃の反応温度で、ほぼ理論量の水を留去しエステル化を行った。その後、更に反応系内を約1時間かけて減圧、昇温し最終的に280℃、133Pa以下で約1時間重縮合を行い、水性ポリエステルA−1を得た。水性ポリエステルA−1の固有粘度は0.33であった。
【0101】
《水性ポリエステルA−1溶液の調製》
攪拌翼、環流冷却管、温度計を付した2lの三つ口フラスコに、純水850mlを入れ、攪拌翼を回転させながら、150gの上記水性ポリエステルA−1を徐々に添加した。室温でこのまま30分間攪拌した後、1.5時間かけて内温が98℃になるように加熱し、この温度で3時間加熱溶解した。加熱終了後、1時間かけて室温まで冷却し、一夜放置して、15質量%の水性ポリエステルA−1溶液を調製した。
【0102】
《変性水性ポリエステルB−1溶液の調製》
攪拌翼、環流冷却管、温度計、滴下ロートを付した3lの四つ口フラスコに、前記水性ポリエステルA−1溶液1900mlを入れ、攪拌翼を回転させながら、内温度を80℃まで加熱する。この中に、過酸化アンモニウムの24%水溶液を6.52ml加え、単量体混合液(メタクリル酸グリシジル28.5g、アクリル酸エチル21.4g、メタクリル酸メチル21.4g)を30分間かけて滴下し、更に3時間反応を続ける。その後、30℃以下まで冷却、濾過して、固形分濃度が18質量%の変性水性ポリエステルB−1溶液を調製した。
【0103】
《アクリル系ポリマーラテックスC−1の合成》
攪拌翼、環流冷却管、温度計、滴下ロートを付した3lの四つ口フラスコに、純水1900mlを入れ、攪拌翼を回転させながら、内温度を80℃まで加熱する。この中に、過酸化アンモニウムの24%水溶液を6.52ml加え、単量体混合液(スチレン14.3g、グリシジルメタクリレート28.5g、n−ブチルアクリレート26.5g)を30分間かけて滴下し、更に3時間反応を続ける。その後、30℃以下まで冷却、濾過して、固形分濃度30質量%のアクリル系ポリマーラテックスC−1を得た。
【0104】
《アクリル系ポリマーラテックスC−2の合成》
攪拌翼、環流冷却管、温度計、滴下ロートを付した3lの四つ口フラスコに、純水1900mlを入れ、攪拌翼を回転させながら、内温度を80℃まで加熱する。この中に、過酸化アンモニウムの24%水溶液を6.52ml加え、単量体混合液(スチレン19.3g、n−ブチルアクリレート7.1g、t−ブチルアクリレート25.0g、2−ヒドロキシメタクリレート20.0g)を30分間かけて滴下し、更に3時間反応を続ける。その後、30℃以下まで冷却、濾過して、固形分濃度30質量%のアクリル系ポリマーラテックスC−2を得た。
《下引層塗布液の調製》
〈下引層下層塗布液b−1〉
アクリル系ポリマーラテックスC−1(固形分30%) 25.6g
アクリル系ポリマーラテックスC−2(固形分30%) 6.4g
SnO2ゾル(固形分10%) 154g
界面活性剤(A) 0.5g
蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液とした。
なお、SnO2ゾルは、特開平10−59720号公報に記載の方法で合成したものである。
【0105】
〈下引層上層塗布液b−2〉
変性水性ポリエステルB−1(固形分濃度が18質量%) 56.0g
界面活性剤(A) 0.1g
マット剤(表1に記載のマット剤種類) 0.3g
蒸留水を加えて1000mlとし、塗布液とした。
【0106】
【化4】
Figure 0004120164
【0107】
【表1】
Figure 0004120164
【0108】
《下引層済み支持体の作製》
表1に記載のマット剤の種類及び感光層側の支持体面種類に応じた本数の二軸延伸済みのポリエチレンテレフタレートフィルム(コニカ(株)製、厚さ175μm、長さ1000m、青色着色)の片面に12W/m2・minの条件でコロナ放電処理を施し、この面に上記の下引層下層塗布液b−1を乾燥膜厚0.10μmになるように塗布した後、140℃で乾燥し、続いて下引層上層塗布液b−2を乾燥膜厚0.05μmになるように塗布した後、ガイドロールで搬送しながら140℃で乾燥した。これを更にガイドロールで搬送しながら125℃で2分間熱処理し、室温に冷却してそれぞれを巻き取り、下記のごとくマット剤の種類の異なった下引層塗布済み支持体を作製した。
【0109】
〈マット剤の準備〉
市販品のマット剤を多数用意し、分級により分け、更に平均粒径、粒子分布の変動係数、r2/r1、多孔質あるいは非多孔質か、更にアルコールで処理の有無等を測定し、もしくは調べ表1のようにマット剤1〜10を用意し、下引層上層に添加した。
【0110】
《熱現像ハロゲン化銀写真感光材料バック層塗布液の調製》
メチルエチルケトン830gを攪拌しながら、CAB381−20(セルロースアセテートブチレート、Eastman Chemical社製)84.2g及びVitel−PE2200B(ポリエステル樹脂、Bostic社製)4.5gを添加し、溶解した。この溶解液に、0.30gの赤外染料−1を添加し、更にメタノール43.2gに溶解したサーフロンKH40(フッ素系活性剤、旭硝子(株)製)4.5gとメガファッグF120K(フッ素系活性剤、大日本インク(株)製)2.3gを添加して、溶解するまで十分に攪拌を行った。最後に、メチルエチルケトンに1質量%の濃度でディゾルバー型ホモジナイザにて分散したシリカ(W.R.Grace社製 シロイド64X6000)を75g添加、攪拌して、バック層塗布液を調製した。
【0111】
【化5】
Figure 0004120164
【0112】
上記下引層上層塗布済み支持体の上層面に、バック層塗布液を乾燥膜厚が3.5μmになるように押し出しコーターにて塗布し、乾燥温度100℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて5分間かけて乾燥し、巻き取った。
【0113】
《熱現像ハロゲン化銀感光層の塗布》
支持体の感光層面(バック層の反対側面)には何の前処理も下引層塗布も行わないポリエチレンテレフタレートフィルム面のままとし、熱現像ハロゲン化銀感光層を直接この面に塗布する。
【0114】
《熱現像ハロゲン化銀感光層塗布液の調製》
〈感光性ハロゲン化銀乳剤Aの調製〉
溶液A1
フェニルカルバモイル化ゼラチン 88.3g
HO(CH2CH2O)n−(CH(CH3)CH2O)17−(CH2CH2O)m
(m+n=5〜7)(10%メタノール水溶液) 10ml
臭化カリウム 0.32g
水で5429mlに仕上げる
溶液B1
0.67mol/l硝酸銀水溶液 2635ml
溶液C1
臭化カリウム 51.55g
沃化カリウム 1.47g
水で660mlに仕上げる
溶液D1
臭化カリウム 154.9g
沃化カリウム 4.41g
塩化イリジウム(1%溶液) 0.93ml
水で1982mlに仕上げる
溶液E1
0.4mol/l臭化カリウム水溶液 下記銀電位制御量
溶液F1
水酸化カリウム 0.71g
水で20mlに仕上げる
溶液G1
56%酢酸水溶液 18.0ml
溶液H1
無水炭酸ナトリウム 1.72g
水で151mlに仕上げる。
【0115】
特公昭58−58288号に記載の混合攪拌機を用いて、溶液A1に溶液B1の1/4量及び溶液C1全量を、温度45℃、pAg8.09に制御しながら、同時混合法により4分45秒を要して添加し、核形成を行った。1分後、溶液F1の全量を添加した。この間、pAgの調整を溶液E1を用いて適宜行った。6分間経過後、溶液B1の3/4量及び溶液D1の全量を、温度45℃、pAg8.09に制御しながら、同時混合法により14分15秒かけて添加した。5分間攪拌した後、40℃に降温し、溶液G1を全量添加し、ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分2000mlを残して上澄み液を取り除き、水10lを加え、攪拌後、再度ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分1500mlを残し、上澄み液を取り除き、更に水を10l加え、攪拌後、ハロゲン化銀乳剤を沈降させた。沈降部分1500mlを残し、上澄み液を取り除いた後、溶液H1を加え、60℃に昇温し、更に120分攪拌した。最後に、pHが5.8になるように調整し、銀量1mol当たり1161gになるように水を添加し、感光性ハロゲン化銀乳剤Aを得た。
【0116】
この感光性ハロゲン化銀乳剤Aのハロゲン化銀粒子は、平均粒子サイズ0.058μm、粒子サイズの変動係数12%、〔100〕面比率92%の単分散立方体沃臭化銀粒子であった。
【0117】
〈粉末有機銀塩Aの調製〉
4720mlの純水に、ベヘン酸130.8g、アラキジン酸67.7g、ステアリン酸43.6g、パルミチン酸2.3gを80℃で溶解した。次に、1.5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液540.2mlを添加し、濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して脂肪酸ナトリウム溶液を得た。上記の脂肪酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、45.3gの感光性ハロゲン化銀乳剤Aと純水450mlを添加し、5分間攪拌した。
【0118】
次に1mol/lの硝酸銀溶液702.6mlを2分間かけて添加し、10分間攪拌し有機銀塩分散物を得た。その後、得られた有機銀塩分散物を水洗容器に移し、脱イオン水を加えて攪拌後、静置させて有機銀塩分散物を浮上分離させ、下方の水溶性塩類を除去した。その後、排水の電導度が2μS/cmになるまで脱イオン水による水洗、排水を繰り返し、遠心脱水を実施した後、得られたケーキ状の有機銀塩を、気流式乾燥機フラッシュジェットドライヤー(株式会社セイシン企業製)を用いて、窒素ガス雰囲気及び乾燥機入り口熱風温度の運転条件により含水率が0.1%になるまで乾燥して、有機銀塩の乾燥済み粉末有機銀塩Aを得た。なお、有機銀塩組成物の含水率測定には赤外線水分計を使用した。
【0119】
〈予備分散液Aの調製〉
ポリビニルブチラール粉末(Monsanto社製 Butvar B−79)14.57gをメチルエチルケトン1457gに溶解し、VMA−GETZMANN社製ディゾルバー(DISPERMAT CA−40M型)にて攪拌しながら、粉末有機銀塩A500gを徐々に添加して、十分に混合することにより予備分散液Aを調製した。
【0120】
〈感光性乳剤分散液の調製〉
上記予備分散液Aを、ポンプを用いてミル内滞留時間が1.5分間となるように、0.5mm径のジルコニアビーズ(東レ社製、トレセラム)を、内容積の80%充填したメディア型分散機DISPERMAT SL−C12EX型(VMA−GETZMANN社製)に供給し、ミル周速8m/secにて分散を行ない、感光性乳剤分散液を調製した。
【0121】
〈安定剤液の調製〉
1.0gの安定剤−1、0.31gの酢酸カリウムをメタノール4.97gに溶解し、安定剤液を調製した。
【0122】
〈赤外増感色素液Aの調製〉
19.2mgの赤外増感色素1、1.488gの2−クロロ−安息香酸、2.779gの安定剤−2及び365mgの5−メチル−2−メルカプトベンズイミダゾールを31.3mlのメチルエチルケトンに暗所にて溶解し、赤外増感色素液Aを調製した。
【0123】
【化6】
Figure 0004120164
【0124】
〈添加液aの調製〉
現像剤としての1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−メチルプロパンを27.98gと1.54gの4−メチルフタル酸、0.48gの前記赤外染料−1をメチルエチルケトン110gに溶解し、添加液aとした。
【0125】
〈添加液bの調製〉
3.56gのカブリ防止剤−2、3.43gのフタラジンをメチルエチルケトン40.9gに溶解し添加液bとした。
【0126】
【化7】
Figure 0004120164
【0127】
〈熱現像ハロゲン化銀感光層塗布液の調製〉
不活性気体雰囲気下(窒素97%)において、前記感光性乳剤分散液を50g及びメチルエチルケトン15.11gとを、攪拌しながら21℃に保温し、S−5(化学増感剤、0.5%メタノール溶液)1000μlを加え、2分後にカブリ防止剤−1(10%メタノール溶液)390μlを加え、1時間攪拌した。更に、臭化カルシウム(10%メタノール溶液)494μlを添加して10分撹拌した後、上記のS−5の1/20mol相当のAu−5(金増感剤)を添加し、更に20分攪拌した。続いて、前記安定剤液167mlを添加して10分間攪拌した後、1.32gの前記赤外増感色素液Aを添加して1時間攪拌した。その後、温度を13℃まで降温して更に30分攪拌した。13℃に保温したまま、ポリビニルブチラール(Monsanto社製、Butvar B−79)13.31gを添加して30分攪拌した後、テトラクロロフタル酸(9.4質量%メチルエチルケトン溶液)1.084gを添加して15分間攪拌した。更に攪拌を続けながら、12.43gの前記添加液a、1.6mlのDesmodurN3300(モーベイ社社製、脂肪族イソシアネートの10%メチルエチルケトン溶液)、4.27gの前記添加液bを順次添加、攪拌して、熱現像ハロゲン化銀感光層塗布液を調製した。
【0128】
【化8】
Figure 0004120164
【0129】
《表面保護層塗布液の調製》
〈マット剤分散液の調製〉
セルロースアセテートブチレート(Eastman Chemical社製、CAB171−15)7.5gをメチルエチルケトン42.5gに溶解し、その中に、炭酸カルシウム(Speciality Minerals社製、Super−Pflex200)5gを添加し、ディゾルバー型ホモジナイザにて、8000rpmで30分分散し、マット剤分散液を調製した。
【0130】
〈表面保護層塗布液の調製〉
メチルエチルケトン865gを攪拌しながら、セルロースアセテートブチレート(Eastman Chemical社製、CAB171−15)を96g、ポリメチルメタクリル酸(ローム&ハース社製、パラロイドA−21)を4.5g、VSC(ビニルスルホン化合物)を1.5g、ベンズトリアゾールを1.0g、サーフロンKH40(旭硝子社製、フッ素系活性剤)を1.0g、添加し溶解した。次に上記マット剤分散液30gを添加して攪拌し、表面保護層塗布液を調製した。
【0131】
【化9】
Figure 0004120164
【0132】
《熱現像ハロゲン化銀感光層及び表面保護層の塗布》
バック層塗布済み支持体の感光層側面に熱現像ハロゲン化銀感光層塗布液と表面保護層塗布液を押し出し型コーター(エクストルージョンコーター)を用いて、同時重層塗布することにより、熱現像ハロゲン化銀写真感光材料試料を作製した。塗布は、熱現像ハロゲン化銀感光層として塗布銀量1.9g/m2、表面保護層は乾燥膜厚で2.5μmになる様に行った。その後、乾燥温度75℃、露点温度10℃の乾燥風を用いて、10分間乾燥を行った。
【0133】
〔評価〕
《摩擦傷(すり傷)の評価》
下引層上下層塗布済み支持体の下引層面(試験面)について、下記の方法にてすり傷の試験を行い摩擦傷発生度合いの評価を行った。
【0134】
長さ15cm、幅6cmの大きさに試料を切りだし、あらかじめ試料を23℃、55%RHの雰囲気下に24時間調湿し、試験面に500gの錘の底面に黒いラシャ紙(1×2cm)を貼り付けたものを置き、これら試料の上で引っ張り、摩擦係数が最大になった位置及びその付近の試料面を光学顕微鏡で観察し、キズの方向に長さ100μm以上のキズの個数を下記のランクで評価を行った。なお、1試験ごとに黒ラシャ紙を取り替えた。
【0135】
5:発生なし
4:1〜5個
3:6〜15個
2:16〜40個
1:41個以上。
【0136】
《白ポチの評価》
先ず、以下のような露光と熱現像を各試料に行った。露光及び現像は23℃、50%RHに調湿した部屋で、試料に発光波長810nmの半導体レーザーを有するイメージャーを用いて露光を施した。その後、ヒートドラムを有する自動現像機を用いて、110℃で15秒熱現像処理した。熱現像済み試料の露光部分を光学ルーペを用いて目視観察し、直径0.5〜3mmの大きさで、その周囲より光学濃度が低い点状のものを白ポチといい、10m2の面積中にある個数を数え、また光学濃度の差の大きいものの個数を数え、下記のランクに従い評価した。白ポチの発生頻度を計測し、下記基準により白ポチの評価を行った。
【0137】
5:発生なし
4:周囲との光学濃度差が0.05以内の白ポチが1個ある
3:周囲との光学濃度差が0.05以内の白ポチが2〜3個ある
2:周囲との光学濃度差が0.06以上の白ポチが多数発生している
1:周囲との光学濃度差が0.1以上ある白ポチが多数発生している。
【0138】
《下引層上層中のマット剤の個数の測定》
下引層上層塗布済みの試料を切り出し、光学顕微鏡で100μm四方の中にあるマット剤の個数を数えた。
【0139】
《下引層上層の中心線平均表面粗さの測定》
下引層上層の表面をWYKO TOPO−3D(WYKO社製)により中心線平均表面粗さRaを測定した。
【0140】
以上により、得られた結果を、中心線平均表面粗さとマット剤の個数については前記表1に、また、摩擦傷と白ポチについては表2に示した。
【0141】
【表2】
Figure 0004120164
【0142】
(結果)
表1からわかるように、本発明に係るマット剤を有する下引済み支持体試料は、比較試料に対して、表面粗さが小さく、マット剤の個数が多いことが判った。また、表2からわかるように本発明の熱現像用ハロゲン化銀写真感光材料試料は、比較試料に対して、下引層上層塗布後の搬送時などに起こるすり傷が少なく、白ポチの発生がないか、またはほとんどないことが判った。これに対して、比較例の大きなマット剤ではマット剤が崩れたり、それにより下引層に孔が空いたりしたと思われる摩擦によるすり傷が出来、白ポチが多数発生していることが判った。
【0143】
【発明の効果】
本発明により、画像の誤診につながるような欠陥がなく、高い耐すり傷性を有し、且つ高温下での熱現像処理においても白ポチの発生のほとんどない熱現像ハロゲン化銀写真感光材料を提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】マット剤粒子の形状の内接円と外接円を描いた拡大図である。
【符号の説明】
1 内接円の半径
2 外接円の半径

Claims (4)

  1. 支持体上の少なくとも片面に、下記式で規定され、且つ平均一次粒径が0.01〜1.6μmの表面がアルコキシドで修飾されている無機微粒子のマット剤を含有する下引層を有し、該下引層の中心線平均表面粗さRaが15nm以下であり、且つ該下引層の100μm四方の面積中にマット剤が10〜100個存在することを特徴とする熱現像ハロゲン化銀写真感光材料。
    1≦(r2/r1)≦1.4
    ここで、r1はマット剤の内接球の半径、r2は外接球の半径を表す。
  2. 前記マット剤の平均1次粒径の変動係数が0.25以下であることを特徴とする請求項1項に記載の熱現像ハロゲン化銀写真感光材料。
  3. 前記マット剤が非多孔質のものであることを特徴とする請求項1または2項に記載の熱現像ハロゲン化銀写真感光材料。
  4. 前記下引層が水性ポリエステル樹脂を含有していることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の熱現像ハロゲン化銀写真感光材料。
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