JP4120108B2 - 固体撮像素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体撮像素子に関し、特に電源およびグランド(以下、GNDと記す)間に接続されて動作し、電源電圧またはGNDレベルを両者間の所定レベルにシフトするレベルシフト回路をクロックパルスドライバとして用いた固体撮像素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体撮像素子として、MOS型撮像素子に代表されるXYアドレス型撮像素子や、CCD(Charge Coupled Device) 型撮像素子に代表される電荷転送型撮像素子が知られている。これら固体撮像素子のうち、例えばCMOS型撮像素子を従来例としてその構成の一例を図14に示す。
【0003】
図14において、単位画素101がフォトダイオード111、読み出しトランジスタ112、増幅トランジスタ113、リセットトランジスタ114およびXYアドレストランジスタ115によって構成され、行列状に2次元配置されて撮像領域を形成している。ここでは、図面の簡略化のために、m行n列目の単位画素のみを示している。
【0004】
この単位画素101では、増幅トランジスタ113のソースが垂直信号ライン121に直結され、この増幅トランジスタ113が選択トランジスタの機能を兼ねた4トランジスタ構成となっている。リセットトランジスタ114のゲートは、水平リセットライン122に接続されている。リセットトランジスタ114のドレインは、垂直リセットライン123に接続されている。また、XYアドレストランジスタ115のゲートが垂直読み出しライン124に、そのドレインが水平読み出しライン125にそれぞれ接続されている。
【0005】
撮像領域の外には、垂直走査回路102、垂直走査パルスドライバ103、水平選択トランジスタ104、水平走査回路105および電圧源106が配置されている。垂直走査回路102からは、垂直読み出し走査パルスφVR m (φVR 1 ,φVR 2 ,…,φVR m …,φVR M )および垂直リセット走査パルスφVS m (φVS 1 ,φVS 2 ,…,φVS m …,φVS M )が順次出力される。そして、垂直読み出し走査パルスφVR m は、対応する行の垂直読み出しライン123に印加され、垂直リセット走査パルスφVS m は、垂直走査パルスドライバ103を介して対応する行の垂直リセットライン123に印加される。
【0006】
水平走査回路105からは、水平読み出し走査パルスφHR n (φHR 1 ,φHR 2 ,…,φHR n …,φHR N )、水平選択走査パルスφHn (φH1 ,φH2 ,…,φHn …,φHN )および水平リセット走査パルスφHS n (φHS 1 ,φHS 2 ,…,φHS n …,φHS N )が順次出力される。そして、水平読み出し走査パルスφHR n が対応する列の水平リセットライン122に、水平リセット走査パルスφHS n が対応する列の水平読み出しライン125にそれぞれ印加される。また、水平選択走査パルスφHn は、対応する列の水平選択トランジスタ104のゲートに印加される。
【0007】
上記の構成において、単位画素101では、読み出しトランジスタ112のドレインと増幅トランジスタ113のゲートとの接続部分であるFD(フローティングディフュージョン)の電位を、リセットトランジスタ114によるリセット動作によって電源電圧VDDとGNDレベル付近との間でスイングさせることにより、ソースが垂直信号ライン121に直結された増幅トランジスタ113に選択性(選択トランジスタの機能)を持たせている。
【0008】
ここで、増幅トランジスタ121を動作させない非選択状態とするとき、FDの電位をGNDレベルにすると、FDの電荷(ここでは、電子)が読み出しトランジスタ112を通してフォトダイオード111側に逆流することになる。そのため、FDをリセットするバイアス電位(垂直リセットライン123の電位)をGNDレベルよりも若干高めの電位、例えば0.5V〜0.8V程度に設定する必要がある。
【0009】
このような観点から、垂直リセットライン123と垂直走査回路102との間に、GNDレベルを0.5V〜0.8V程度にレベルシフトして垂直リセットライン123に与えるための垂直走査パルスドライバ103が設けられている。この垂直走査パルスドライバ103としては、図15に示す如き一般的なCMOS論理回路で使われるCMOSインバータ構成のものが用いられている。そして、その電源側回路端が電源電圧VDDの電源ライン107に、GND側回路端が電圧源106の出力ライン108にそれぞれ接続されている。
【0010】
図16に、電圧源106の具体的な回路構成を示す。同図から明らかなように、電圧源106は、オペアンプ131、電圧制御用のMOSトランジスタ132およびアイドリング電流を流す抵抗133からなるボルテージレギュレータ構成となっている。かかる構成の電圧源106では、オペアンプ131による帰還回路があるために、電圧が振られたときの収束性が悪く、振動し易かったり、あるいは高速に応答するためにアイドリング電流を流す抵抗133が小さくなり、無駄に電力を消費してしまうことがある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の固体撮像素子、例えばCMOS型撮像素子では、走査パルスのうち、電源電圧VDDとGNDレベル以外の電圧を必要とするパルスを生成するために、レベルシフト回路である垂直走査パルスドライバ103以外に電流供給能力の高い電圧源106を用いた構成を採っていたので、電圧源106としての回路規模が大きくなったり、電圧源106で消費される分だけ消費電力が増大するという問題があった。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電流供給能力の高いボルテージレギュレータを用いることなく、所望のレベルシフト動作が可能なレベルシフト回路をクロックパルスドライバとして用いた固体撮像素子を提供することにある。
【0014】
本発明による固体撮像素子は
入力パルスに基づいてその出力ラインを駆動するドライバ回路と、
ドレインおよびゲートが共通に接続され、前記ドライバ回路とグランドまたは電源との間に直列に接続された少なくとも1個のMOSトランジスタとを備え、
前記ドライバ回路が行単位で設けられ、
これら複数行分のドライバ回路に対してグランドまたは電源との間に前記少なくとも1個のMOSトランジスタが少なくとも1組設けられている
レベルシフト回路をクロックパルスドライバ、例えば単位画素が行列状に2次元配置されてなる撮像領域に行単位で配線されたリセットラインを駆動するリセットドライバとして用いた構成を採っている。
【0015】
上記構成の固体撮像素子において、ダイオード接続構成のMOSトランジスタに対してその閾値電圧を超えるドレイン電圧が印加されると、当該MOSトランジスタにはドレイン電圧の2乗に比例したドレイン電流が流れる。これにより、ドライバ回路のGND側回路端または電源側回路端の電位が、MOSトランジスタの閾値電圧付近に安定する。その結果、MOSトランジスタを1個接続した場合には、ドライバ回路からは、低レベル(以下、“L”レベルと記す)側がGNDレベルよりもMOSトランジスタの閾値電圧分だけ高い、または高レベル(以下、“H”レベルと記す)が電源レベルよりもMOSトランジスタの閾値電圧分だけ低いパルスが出力される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る固体撮像素子、例えばCMOS型撮像素子を示す概略構成図である。
【0017】
図1において、本実施形態に係るCMOS型撮像素子10は、行列状に2次元配置されて撮像領域を形成する単位画素11と、撮像領域外に設けられた垂直走査回路12、垂直走査パルスドライバ13、水平選択トランジスタ14および水平走査回路15とを有する構成となっている。
【0018】
単位画素11は、フォトダイオード21、読み出しトランジスタ22、増幅トランジスタ23、リセットトランジスタ24およびXYアドレストランジスタ25を有する4トランジスタ構成となっている。各画素トランジスタ22〜25としては、例えばN‐ch.MOSトランジスタが用いられている。なお、ここでは、図面の簡略化のために、m行n列目の単位画素のみを示している。
【0019】
この単位画素11において、読み出しトランジスタ22はソースがフォトダイオード11のカソードに、ドレインが増幅トランジスタ23のゲートにそれぞれ接続されている。この読み出しトランジスタ22のドレインと増幅トランジスタ23のゲートとの接続部分がFD(Floating Diffusion Amplifier)となっている。増幅トランジスタ23はドレインが電源VDDに、ソースが垂直信号ライン26にそれぞれ接続されている。
【0020】
リセットトランジスタ24は、ドレインが垂直リセットライン27に、ソースが読み出しトランジスタ22のドレインと増幅トランジスタ23のゲートとの接続部(FD)に、ゲートが水平リセットライン28にそれぞれ接続されている。XYアドレストランジスタ25は、ゲートが垂直読み出しライン29に、ドレインが水平読み出しライン30に、ソースが読み出しトランジスタ25のゲートにそれぞれ接続されている。
【0021】
撮像領域外において、垂直走査回路12からは、垂直読み出し走査パルスφVR m (φVR 1 ,φVR 2 ,…,φVR m …,φVR M )および垂直リセット走査パルスφVS m (φVS 1 ,φVS 2 ,…,φVS m …,φVS M )が順次出力される。そして、垂直読み出し走査パルスφVR m は、対応する行の垂直読み出しライン29に印加され、垂直リセット走査パルスφVS m は、垂直走査パルスドライバ13を介して対応する行の垂直リセットライン27に印加される。
【0022】
垂直走査パルスドライバ13は、電源側回路端が電源電圧VDDの電源ライン31に、GND側回路端がGNDライン32にそれぞれ接続され、垂直走査回路12から与えられる垂直リセット走査パルスφVS m に基づいて垂直リセットライン27を駆動する。この垂直走査パルスドライバ13は、垂直リセット走査パルスφVS m が“L”レベルのときに、GNDライン32のGNDレベルを0.5V〜0.8V程度にレベルシフトして垂直リセットライン27に与える。垂直走査パルスドライバ13の具体的な回路構成等の詳細については後述する。
【0023】
水平走査回路15からは、水平読み出し走査パルスφHR n (φHR 1 ,φHR 2 ,…,φHR n …,φHR N )、水平選択走査パルスφHn (φH1 ,φH2 ,…,φHn …,φHN )および水平リセット走査パルスφHS n (φHS 1 ,φHS 2 ,…,φHS n …,φHS N )が順次出力される。そして、水平読み出し走査パルスφHR n が対応する列の水平リセットライン30に、水平リセット走査パルスφHS n が対応する列の水平読み出しライン28にそれぞれ印加される。
【0024】
また、水平選択走査パルスφHn は、対応する列の水平選択トランジスタ14のゲートに印加される。水平選択トランジスタ14は、各列ごとに垂直信号ライン26の一端と水平信号ライン31との間に接続されている。
【0025】
次に、上記構成のCMOS型撮像素子10の動作について、図2のタイミングチャートを用いて説明する。
【0026】
垂直走査回路12によってm行目が選択されると、垂直読み出し走査パルスφVR m-1 および垂直リセット走査パルスφVS m-1 が立ち下がり、代わって垂直読み出し走査パルスφVR m および垂直リセット走査パルスφVS m が立ち上がる。このとき、垂直読み出し走査パルスφVR m-1 ,φVR m はGNDレベルと電源レベル(VDD)との間で変化(スイング)するが、垂直リセット走査パルスφVS m-1 ,φVS m は中間レベル(0.5V〜0.8V程度)と電源レベルとの間で変化する。
【0027】
m行目が選択されると、続いて水平走査回路15によって水平走査が開始される。これにより、m行目の1画素目(1列目)から順次走査が行われ、n列目が選択されると、その1画素期間中に、水平選択走査パルスφHn 、水平読み出し走査パルスφHR n および水平リセット走査パルスφHS n が、図2に示す位相関係をもって発生する。すなわち、水平選択走査パルスφHn は1画素期間中電源レベルを維持し、水平リセット走査パルスφHS n は1画素期間の最初に、水平読み出し走査パルスφHR n は1画素期間の中頃にそれぞれ発生する。
【0028】
このようにして、垂直走査回路12によってm行目が、水平走査回路15によってn列目がそれぞれ選択されると、その1画素期間中の最初に水平リセット走査パルスφHS n が発生するので、この水平リセット走査パルスφHS n に応答してリセットトランジスタ24が導通状態となる。これにより、単位画素11中における読み出しトランジスタ22のドレインと増幅トランジスタ23のゲートの接続部にあたるFDが、垂直リセット走査パルスφVS m のレベル、即ち電源レベルにリセットされる。FDのリセットが完了すると、その直後に画素のリセットレベル信号が出力される。
【0029】
1画素期間の中程では、水平読み出し走査パルスφHR n が発生するので、垂直読み出し走査パルスφVR m によって導通状態になっているXYアドレストランジスタ25を通して水平読み出し走査パルスφHR n が読み出しトランジスタ22のゲートに与えられる。これにより、読み出しトランジスタ22が導通状態となってフォトダイオード21からFDに信号電荷を読み出す。その結果、FDの電位がリセットレベルから信号電荷の電荷量に応じて変化する。このFDの電位は増幅トランジスタ23によって増幅されて信号電流として垂直信号ライン26に出力される。
【0030】
次に、本発明によるレベルシフト回路である垂直走査パルスドライバ13の具体的な回路例について説明する。
【0031】
図3は、垂直走査パルスドライバ13の第1実施例を示す回路図である。この第1実施例に係る垂直走査パルスドライバ13は、例えばP‐ch.MOSトランジスタ31およびN‐ch.MOSトランジスタ32からなり、電源側回路端が電源VDDに接続された一般的なCMOSインバータ回路33と、このCMOSインバータ回路33のGND側回路端とGNDとの間に接続されたN‐ch.MOSトランジスタ34とを有する構成となっている。
【0032】
上記構成の垂直走査パルスドライバ13において、CMOSインバータ回路33のゲート共通接続点Gが、垂直リセット走査パルスφVS m が入力される回路入力端となり、ドレイン共通接続点Dには垂直リセットライン27が接続されることになる。N‐ch.MOSトランジスタ34は、ゲートおよびドレインが共通に接続されたダイオード接続構成となっている。P‐ch.MOSトランジスタ31のバックゲートは電源VDDに、N‐ch.MOSトランジスタ32,34の各バックゲートはGNDにそれぞれ接続されている。
【0033】
ここで、垂直走査パルスドライバ13の回路動作について説明する。N‐ch.MOSトランジスタ34に対してその閾値電圧VT を超えるドレイン電圧VD が印加されたとすると、当該トランジスタ34にはドレイン電圧VD の2乗に比例したドレイン電流ID が流れる。すなわち、MOSトランジスタ34のチャネル長をL、チャネル幅をW、ゲート酸化膜厚をtox、その誘電率をεox、比誘電率をεo 、電子の移動度をμとすると、ドレイン電流ID は次式で表される。
【0034】
D =〔μ・εox・εo ・W/tox・L〕
・〔(VD −VT 2 /2〕
【0035】
このように、N‐ch.MOSトランジスタ34にはそのドレイン電圧VD が閾値電圧VT を超えると、ドレイン電圧VD の2乗に比例したドレイン電流ID が流れるので、CMOSインバータ回路33のGND側回路端の電位は、N‐ch.MOSトランジスタ34の閾値電圧VT 付近に安定し易い。その結果、CMOSインバータ回路33からは、“L”レベルがN‐ch.MOSトランジスタ34の閾値電圧VT に近い値になり、“H”レベルが電源電圧VDDとなる走査パルスが出力されることになる。
【0036】
上述したように、図1における垂直走査パルスドライバ13を、その基本回路とする例えばCMOSインバータ回路33に対して、そのGND側回路端とGNDとの間にゲートおよびドレインが共通に接続されたN‐ch.MOSトランジスタ34を接続した回路構成としたことにより、従来のようにボルテージレギュレータを用いなくても、“L”レベルがN‐ch.MOSトランジスタ34の閾値電圧VT に近い値の走査パルスを生成できる。因みに、MOSトランジスタの閾値電圧VT は、0.6V〜0.7V程度である。
【0037】
以上説明した第1実施例では、CMOSインバータ回路33のGND側回路端とGNDとの間にN‐ch.MOSトランジスタ34を接続した回路構成としたが、図5(A)に示すように、CMOSインバータ回路33のGND側回路端とGNDとの間にP‐ch.MOSトランジスタ35を接続した回路構成とすることも可能である。
【0038】
図5(A)に示す垂直走査パルスドライバ13Aの場合には、P‐ch.MOSトランジスタ35のソースがCMOSインバータ回路33のGND側回路端に接続される一方、ゲートおよびドレインがGNDに共通に接続され、さらにバックゲートが電源VDDに接続された回路構成となっている。
【0039】
この回路例の場合には、図3の回路例に対してMOSトランジスタの極性が異なるのみであることから、当該回路例の場合と同様の動作が行われ、その結果、“L”レベルがP‐ch.MOSトランジスタ35の閾値電圧VT に近い値になり、“H”レベルが電源電圧VDDとなる走査パルスを生成できる。
【0040】
垂直走査パルスドライバ13Aの変形例として、図5(B)に示すように、P‐ch.MOSトランジスタ35のバックゲートに相当するN‐Wellを電源VDDではなく自身のソースに接続した回路構成とすることも可能である。この垂直走査パルスドライバ13Bの場合にも、基本動作は図3および図5(A)の回路例の場合と全く同じである。
【0041】
ただし、垂直走査パルスドライバ13Bの場合は、P‐ch.MOSトランジスタ35のバックゲート効果により、図5(A)の回路例の場合と比べてMOSトランジスタ35の閾値電圧が低くなる。その結果、垂直走査パルスドライバ13Bから出力される走査パルスの“L”レベルが、垂直走査パルスドライバ13Aから出力される走査パルスの“L”レベルよりも低くなる。したがって、走査パルスの“L”レベルを低く設定したい場合に有効な回路例となる。
【0042】
なお、上記実施形態では、単位画素11を構成する4つの画素トランジスタ22〜25としてN‐ch.MOSトランジスタを用いたCMOS型撮像素子10に適用した場合を例にとって説明したが、画素トランジスタとしてP‐ch.MOSトランジスタを用いたCMOS型撮像素子にも同様に適用可能である。
【0043】
この場合は、走査パルスの“L”レベルをGNDレベルよりも少し高い電圧に設定する場合の図3および図5(A),(B)の回路構成と対称的に、走査パルスの“H”レベルを電源電圧VDDよりも少し低く設定する回路構成となる。具体的には、図6(A)〜(C)に示すように、ゲートおよびドレインが共通に接続されたN‐ch.あるいはP‐ch.のMOSトランジスタを、電源VDDとCMOSインバータ回路33の電源側回路端との間に接続する構成となる。
【0044】
図6(A),(B)は、N‐ch.のMOSトランジスタ36を接続した場合の回路例を、図6(C)は、P‐ch.のMOSトランジスタ37を接続した場合の回路例をそれぞれ示している。
【0045】
N‐ch.のMOSトランジスタ36を接続する垂直走査パルスドライバ13C(A),13D(B)の場合は、ゲートおよびドレインを電源VDDに共通に接続し、ソースをCMOSインバータ回路33の電源側回路端に接続する。この場合、N‐ch.MOSトランジスタ36のバックゲートに相当するP‐Wellをそれ自身のソースに接続する(A)か、あるいはGNDに接続する(B)かにより、閾値電圧を細かく制御することが可能となる。
【0046】
一方、P‐ch.のMOSトランジスタ37を接続する垂直走査パルスドライバ13E(C)の場合は、ソースを電源VDDに接続するとともに、ゲートおよびドレインをCMOSインバータ回路33の電源側回路端に共通に接続する回路構成となる。
【0047】
以上説明した第1実施例およびその変形例のうち、走査パルスの“L”レベルをGNDレベルよりも少し高くする場合、即ち図3および図5(A),(B)の回路例の場合の入出力波形を図7に示す。なお、図6(A)〜(C)の回路例の場合には、出力パルスの“H”レベルが電源電圧VDDよりもMOSトランジスタの閾値電圧VT に近い値だけ低くなる波形となる。
【0048】
図3および図5(A),(B)の回路例の場合には、入力パルスに対して出力パルスが通常のインバータと同じ位相関係を保ちつつ、“L”レベルがGNDレベルよりも、CMOSインバータ回路33のGND側回路端とGNDとの間に接続したMOSトランジスタの閾値電圧VT に近い値だけ高くなる、目的とする走査パルスを生成できる。
【0049】
ここで、図7の波形図から明らかなように、出力パルスの立ち下がりが少し遅くなっているのは、出力波形が立ち下がって“L”レベルに近づくと、CMOSインバータ回路33のGND側回路端とGNDとの間に接続したMOSトランジスタの動作点がサブスレッシュホールド領域に入って、MOSトランジスタのソース・ドレイン間抵抗が極めて高くなるためである。
【0050】
図8は、垂直走査パルスドライバの第2実施例を示す回路図である。この第2実施例に係る垂直走査パルスドライバ13′は、例えばP‐ch.MOSトランジスタ41およびN‐ch.MOSトランジスタ42からなり、電源側回路端が電源VDDに接続された一般的なCMOSインバータ回路43と、このCMOSインバータ回路43のGND側回路端とGNDとの間に接続されたN‐ch.MOSトランジスタ44と、CMOSインバータ回路43およびN‐ch.MOSトランジスタ44の接続点と電源VDDとの間に接続されたN‐ch.MOSトランジスタ45とを有する構成となっている。
【0051】
上記構成の垂直走査パルスドライバ13′において、N‐ch.MOSトランジスタ45は電流源として動作し、N‐ch.MOSトランジスタ44の動作点が、そのサブスレッシュホールド領域に入ってソース・ドレイン間抵抗が高くならない程度のバイアス電流を、当該MOSトランジスタ44に供給する。これにより、N‐ch.MOSトランジスタ44の動作点がサブスレッシュホールド領域外のリニア領域になるため、N‐ch.MOSトランジスタ44のソース・ドレイン間抵抗が高くならない。
【0052】
その結果、CMOSインバータ回路43の負荷に大きな容量が付加されたとしても、CMOSインバータ回路43の出力が“H”レベルから“L”レベルに変化する時点で、ソース・ドレイン間抵抗が低いN‐ch.MOSトランジスタ44によってCMOSインバータ回路43のGND側電圧が大きく振られることがなく、したがって安定な電圧に保たれる。
【0053】
この垂直走査パルスドライバ13′の入出力波形を図9に示す。入力パルスに対して出力パルスが通常のインバータと同じ位相関係を保ちつつ、“L”レベルがGNDレベルよりも、CMOSインバータ回路43のGND側回路端とGNDとの間に接続したN‐ch.MOSトランジスタ44の閾値電圧VT に近い値だけ高くなる、目的とする走査パルスを生成できる。
【0054】
しかも、電流源としてのN‐ch.MOSトランジスタ45の作用により、N‐ch.MOSトランジスタ44の動作点がサブスレッシュホールド領域外のリニア領域になり、N‐ch.MOSトランジスタ44のソース・ドレイン間抵抗が高くならないため、図7および図9の波形図の比較から明らかなように、パルス応答の遅さを大幅に改善できる。その結果、通常のインバータだけのドライバと同等の立ち上がり、立ち下がりスピードを実現できる。
【0055】
なお、上述した第2実施例に係る垂直走査パルスドライバ13′は、第1実施例における図3の回路例に対応した回路構成であるが、上記と同様の動作原理のもとに、図5(A),(B)の各回路例に対応した回路構成とすることも可能であることは勿論である。
【0056】
また、本実施例では、CMOSインバータ回路43のGND側回路端とGNDとの間に単一のN‐ch.MOSトランジスタ44を接続する構成としたが、図10に示すように、2個のN‐ch.MOSトランジスタ441 ,442 、又はそれ以上接続した構成の垂直走査パルスドライバ13′Aとすることも可能である。
【0057】
図11は、第2実施例に係る垂直走査パルスドライバの他の変形例を示す回路図である。この他の変形例に係る垂直走査パルスドライバ13′Bは、画素トランジスタとしてP‐ch.MOSトランジスタを用いたCMOS型撮像素子に適用した場合の回路構成を採っている。この垂直走査パルスドライバ13′Aでは、出力パルス(走査パルス)の“L”レベルがGNDレベルに、“H”レベル側が電源電圧VDDよりも少し低い電圧に設定することになる。
【0058】
具体的には、CMOSインバータ回路43に対して、その電源側回路端と電源VDDとの間に、ゲートおよびドレインが共通に接続されたP‐ch.MOSトランジスタ46を接続し、さらにCMOSインバータ回路43およびP‐ch.MOSトランジスタ46の接続点とGNDとの間にP‐ch.MOSトランジスタ47を接続した回路構成となっている。
【0059】
上記構成の垂直走査パルスドライバ13′Bにおいて、P‐ch.MOSトランジスタ47は電流源として動作し、P‐ch.MOSトランジスタ46の動作点が、そのサブスレッシュホールド領域に入ってソース・ドレイン間抵抗が高くならないように、当該MOSトランジスタ46にバイアス電流を供給する。これにより、出力パルスの応答の遅さを大幅に改善できるため、通常のインバータだけのドライバと同等の立ち上がり、立ち下がりスピードを実現できる。
【0060】
なお、本変形例に係る垂直走査パルスドライバ13′Bは、第1実施例における図6(C)の回路例に対応した回路構成であるが、上記と同様の動作原理のもとに、図6(A),(B)の各回路例に対応した回路構成とすることも可能であることは勿論である。
【0061】
以上説明した第1,第2実施例およびその変形例では、図1に示す構成のCMOS型撮像素子10において、行単位で配線された垂直リセットライン27ごとに垂直走査パルスドライバ13の回路全体を配置するとしたが、必ずしもこの構成に限られるものではない。
【0062】
一例として、垂直走査パルスドライバ13として図8の回路構成を例にとった場合には、図12に示すように、垂直リセットライン271 ,272 ,……,27M ごとにCMOSインバータ回路431 ,432 ,……,43M を配置する一方、これらCMOSインバータ回路の各GND側回路端とGNDとの間に、ゲートおよびドレインが共通に接続されたN‐ch.MOSトランジスタ44を接続し、さらにCMOSインバータ回路431 ,432 ,……,43M およびN‐ch.MOSトランジスタ44の接続点と電源VDDとの間に、電流源として動作するN‐ch.MOSトランジスタ45を接続するようにする。
【0063】
すなわち、特にCMOS型撮像素子に代表されるXYアドレス型撮像素子においては、走査パルスは順次出力されるものであることから、M個のドライバのうちの1〜2個程度にしか印加されず、ドライバもM個のうちの1〜2個しか同時に動作しない。したがって、走査パルスの“L”レベルを決めるN‐ch.MOSトランジスタ44と、これにバイアス電流を供給するN‐ch.MOSトランジスタ45として、それに見合った数だけまたはサイズのものを配置しておけば良い。
【0064】
上記の構成によれば、M個のCMOSインバータ回路431 ,432 ,……,43M に対して、N‐ch.MOSトランジスタ44,45をそれぞれ1個だけ接続すれば良いため、回路構成を大幅に簡素化でき、したがって回路規模の増大を抑えることができる。
【0065】
なお、本例では、N‐ch.MOSトランジスタ44,45をそれぞれ1個だけ接続した構成としているが、M個のCMOSインバータ回路431 ,432 ,……,43M を複数のブロックに分割し、各ブロックごとにN‐ch.MOSトランジスタ44,45を接続する構成をとることも可能である。
【0066】
また、垂直走査パルスドライバ13として図8の回路構成を例にとった場合について説明したが、図11の回路構成、さらには電流源として動作するMOSトランジスタを持たない図3、図5(A),(B)、図6(A)〜(C)の各回路構成の垂直走査パルスドライバの場合にも、同様に適用可能であることは言うまでもない。
【0067】
ここまでは、本発明に係るレベルシフト回路を、CMOS型撮像素子において、“H”レベルが電源電圧VDDで、“L”レベル側がGNDレベルよりも少し高いレベルとなる走査パルス、あるいは“L”レベルがGNDレベルで、“H”レベル側が電源電圧VDDよりも少し低いレベルとなる走査パルスを生成する垂直走査パルスドライバ13として用いた場合を例にとって説明してきたが、この適用例に限られるものではない。
【0068】
すなわち、2値の入力パルスに基づいて、電源電圧VDDとGNDレベルとの間の所定のレベルをとる出力パルスを生成するクロックパルスドライバ全般に適用可能である。
【0069】
例えば、ここまでの例では、レベルシフトを担うダイオード接続構成のMOSトランジスタを1個だけ接続し、GNDレベルよりもMOSトランジスタの閾値電圧VT だけ高い、あるいは電源電圧VDDよりもMOSトランジスタの閾値電圧VT だけ低いレベルのパルスを生成するとしたが、レベルシフトを担うMOSトランジスタを複数個直列に接続することで、MOSトランジスタの閾値電圧VT の整数倍のレベルシフト、あるいは電源電圧VDDとGNDレベルとの間の略1/2の中間レベルの設定も可能となる。
【0070】
また、“L”レベル側/“H”レベル側の一方のみのレベルシフトを行うだけでなく、“L”レベル側/“H”レベル側の両方を同時にレベルシフトすることも可能である。これを第3実施例として図13に示す。
【0071】
図13から明らかなように、P‐ch.MOSトランジスタ51およびN‐ch.MOSトランジスタ52からなる一般的なCMOSインバータ回路53に対して、その電源側回路端と電源VDDとの間にダイオード接続構成のP‐ch.MOSトランジスタ54を、そのGND側回路端とGNDとの間にダイオード接続構成のN‐ch.MOSトランジスタ55をそれぞれ接続した構成をとるようにする。
【0072】
これにより、“H”レベル側が電源電圧VDDよりもMOSトランジスタ54の閾値電圧だけ低いレベルで、“L”レベル側がGNDレベルよりもMOSトランジスタ55の閾値電圧だけ高いレベルのパルスを生成できる。この場合にも、図8および図11において説明した技術、即ちMOSトランジスタ54,55に対して電流源からバイアス電流を供給する技術を適用することで、出力パルスの過渡応答の速度を速めることができる。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、入力パルスに基づいてその出力ラインを駆動するドライバ回路に対して、GNDまたは電源との間にダイオード接続構成の少なくとも1個のMOSトランジスタを直列に接続したことにより、電流供給能力の大きいボルテージレギュレータを用いることなく、きわめて簡単な回路構成で所望のレベルシフト動作を実現できるため、低消費電力化に寄与できるとともに、回路規模の増大を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るCMOS型撮像素子を示す概略構成図である。
【図2】一実施形態に係るCMOS型撮像素子の動作説明のためのタイミングチャートである。
【図3】第1実施例に係るレベルシフト回路を示す回路図である。
【図4】第1実施例に係るレベルシフト回路における電流源の説明図である。
【図5】第1実施例の変形例に係るレベルシフト回路を示す回路図である。
【図6】第1実施例のさらに他の変形例に係るレベルシフト回路を示す回路図である。
【図7】第1実施例に係るレベルシフト回路の入出力波形図である。
【図8】第2実施例に係るレベルシフト回路を示す回路図である。
【図9】第2実施例に係るレベルシフト回路の入出力波形図である。
【図10】第2実施例の変形例に係るレベルシフト回路を示す回路図である。
【図11】第2実施例の他の変形例に係るレベルシフト回路を示す回路図である。
【図12】第2実施例に係るレベルシフト回路を用いる場合の構成の一例を示す回路図である。
【図13】第3実施例に係るレベルシフト回路を示す回路図である。
【図14】従来技術が適用されたCMOS型撮像素子を示す概略構成図である。
【図15】CMOSインバータ構成のドライバの回路図である。
【図16】電圧源(ボルテージレギュレータ)の回路構成を示す回路図である。
【符号の説明】
10…CMOS型撮像素子、11…単位画素、12…垂直走査回路、13,13A〜13E,13′,13′…垂直走査パルスドライバ、14…水平選択トランジスタ、15…水平走査回路、21…フォトダイオード、22…読み出しトランジスタ、23…増幅トランジスタ、24…リセットトランジスタ、25…XYアドレストランジスタ、33,43,53…CMOSインバータ回路

Claims (4)

  1. 入力パルスに基づいてその出力ラインを駆動するドライバ回路と、
    ドレインおよびゲートが共通に接続され、前記ドライバ回路とグランドまたは電源との間に直列に接続された少なくとも1個のMOSトランジスタとを備え
    前記ドライバ回路が行単位で設けられ、
    これら複数行分のドライバ回路に対してグランドまたは電源との間に前記少なくとも1個のMOSトランジスタが少なくとも1組設けられている
    レベルシフト回路をクロックパルスドライバとして用いた
    ことを特徴とする固体撮像素子。
  2. 前記出力ラインが、行列状に2次元配置された単位画素を行単位でリセットするための垂直リセットラインであり、
    前記入力パルスが、前記単位画素を行単位で選択する垂直走査回路から順次出力される垂直リセット走査パルスである
    ことを特徴とする請求項記載の固体撮像素子。
  3. 前記ドライバ回路と前記MOSトランジスタとの接続点に接続され、前記MOSトランジスタに対してその動作点がサブスレッシュホールド領域に入らない程度のバイアス電流を供給する電流源を有する
    ことを特徴とする請求項記載の固体撮像素子。
  4. 前記ドライバ回路と前記MOSトランジスタとの接続点に接続され、前記MOSトランジスタに対してその動作点がサブスレッシュホールド領域に入らない程度のバイアス電流を供給する電流源を有する
    ことを特徴とする請求項記載の固体撮像素子。
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