JP4119144B2 - 多孔質無機酸化物の製造方法 - Google Patents

多孔質無機酸化物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、触媒担体等として有用な多孔質無機酸化物の製造方法に係り、より詳しくは、必要な大きさにより厳密に制御された細孔径を有する多孔質無機酸化物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリカ、アルミナ、シリカ-アルミナ、チタニア、ジルコニア等の多孔質無機酸化物は、その多孔質構造を利用して、触媒担体、乾燥剤、吸着剤、充填剤等の多くの分野で利用されており、特に石油精製プロセスにおいてはその種々の工程で使用される接触分解触媒や水素化処理触媒等の触媒担体として不可欠なものである。
【0003】
そして、このような多孔質無機酸化物を触媒担体として用いる場合、その細孔構造は反応活性や触媒寿命を左右する重要な因子であるとされており、特に細孔径は、反応に関与する分子が触媒細孔内の活性点へ拡散して行くための通路を与えるものであり、小さ過ぎると反応分子が触媒細孔内の活性点へ拡散して行くのが阻害され、また、大き過ぎると比表面積が低下して反応活性が低下するため、反応の種類や目的、用途等に応じて最適な細孔径が存在する。
【0004】
例えば、石油の減圧軽油や残油等の高沸点留分を分解して高オクタン化ガソリンを製造する流動接触分解法において用いられるシリカ-アルミナ、ゼオライト等の固体酸触媒については、原料油の分子量分布にもよるが、反応温度(約500℃)で重質油が触媒の細孔内に拡散するために必要な細孔径は一般的には100〜1000Åであるとされているほか、硫黄、窒素、金属等の不純物を除去する水素化脱硫や脱メタル、不飽和炭化水素を水素化して製品性状を改善する水素化精製、製品の軽質化を目的とする水素化分解等の反応に用いる水素化処理触媒については、触媒担体にニッケル(Ni)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等の水素化能を有する活性金属を含浸等の手段で担持させているが、原料油の性状や分子量分布に応じて、脱メタル触媒については約350Å前後、残油脱硫触媒については約180Å前後、留出油脱硫触媒については約90Å前後のものが用いられており〔株式会社フジ・テクノシステム発行「多孔質体の性質とその応用技術」第542-544頁(2001年)〕、更に、軽油の深度脱硫触媒としては対象とする軽油中の硫黄化合物の分子サイズとその動的分子運動径から考えて約80Å程度で細孔径分布のシャープなものがよいと考えられている。
【0005】
そこで、従来においても、触媒担体として用いる多孔質無機酸化物に対して最適な細孔径を持たせるために種々の方法が試みられており、例えば、ヒドロゾル又はヒドロゲルを形成する金属含水酸化物の沈殿pH領域と溶解pH領域との間を交互に複数回以上スイングさせるpHスイングを行うことにより、凝集防止剤等を用いることなく、また、複雑な製造工程を経ることなく、シャープな細孔径分布を有する多孔質無機酸化物を製造する方法が提案されている(特公昭60-50,721号公報)。
【0006】
しかしながら、このpHスイングによれば、シャープな細孔径分布を有し、均一な粒子径で高比表面積を有する多孔質無機酸化物を製造することが可能ではあるが、その際に細孔径は通常は40〜50Å/回の範囲で移行するため、多孔質無機酸化物に対して要求される細孔径(目標細孔径)を高い精度で制御することができず、また、この目標細孔径を達成するために粒子径制御剤の添加を併用した場合には、必然的に多孔質無機酸化物それ自体の純度が低下するという別の問題が生じる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは、純度低下の原因となる粒子径制御剤を添加することなく、pHスイングでは達成し得ないような細かな細孔径制御を可能にする方法について鋭意検討した結果、焼成時にその焼成温度を調整することにより細孔径の微調整が可能であり、pHスイングにより目標細孔径より小さくかつこの目標細孔径に近い値の近似細孔径にまで細孔径制御を行い、焼成時にその焼成温度を調整することにより上記目標細孔径の値と近似細孔径の値の差分に対する微調整が可能であることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
従って、本発明の目的は、細孔径を任意の大きさに精度良く制御することができ、制御された細孔径を有する多孔質無機酸化物を迅速にかつ容易に製造することができる多孔質無機酸化物の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、金属含水酸化物のヒドロゾル又はヒドロゲルをその沈殿pH領域と溶解pH領域との間で交互に複数回以上スイングさせるpHスイングにより合成し、得られた金属含水酸化物のヒドロゾル又はヒドロゲルを乾燥させ、次いで所定の焼成温度で焼成して多孔質無機酸化物を製造するに際し、上記pHスイングにより多孔質無機酸化物に要求される目標細孔径より小さくかつこの目標細孔径に近い値の近似細孔径に制御し、上記目標細孔径の値とこの近似細孔径の値の差分に応じて多孔質無機酸化物に要求される必要焼成温度より高い焼成温度に設定して焼成する高温域焼成操作を行うことにより、目標細孔径に制御された細孔を有する多孔質無機酸化物を製造することを特徴とする多孔質無機酸化物の製造方法である。
【0010】
本発明において、金属含水酸化物のヒドロゾル又はヒドロゲルを合成するために原料として用いる金属化合物としては、周期律表第2族、第3族、及び第4族の金属元素の化合物を挙げることができ、好ましくは第2族元素のマグネシウム(Mg)、第3族元素のアルミニウム(Al)、ホウ素(B)、第4族元素のシリコン(Si)、チタン(Ti)、及びジルコニウム(Zr)の塩化物、弗化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩、燐酸塩、ホウ酸塩、シュウ酸塩、フッ酸塩、ケイ酸塩、ヨウ素酸塩等の塩類や、オキソ酸塩やアルコキシド類等を挙げることができ、これらはその1種のみを単独で用いることができるほか、2種以上の混合物として使用することもできる。
【0011】
そして、上記マグネシウム化合物としては、例えば、水酸化マグネシウム〔Mg(OH)2〕、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3, MgCO3・3H2O)、硝酸マグネシウム〔Mg(NO3)2・6H2O〕、塩化マグネシウム(MgCl2・6H2O)、硫酸マグネシウム(MgSO4・7H2O)等を挙げることができる。
【0012】
また、アルミニウム化合物としては、例えば、金属アルミニウム(Al)、塩化アルミニウム(AlCl3, AlCl3・6H2O)、硝酸アルミニウム〔Al(NO3)3・9H2O〕、硫酸アルミニウム〔Al2(SO4)3, Al2(SO4)3・18H2O〕、ポリ塩化アルミニウム〔(Al2(OH)nCl6-n)m(1<n<5, m<10)〕、アンモニウムミョウバン〔NH4Al (SO4)2・12H2O〕、アルミン酸ソーダ(NaAlO2)、アルミン酸カリ(KAlO2)、アルミニウムイソプロポキシド[Al[OCH(CH3)2]3]、アルミニウムエトキシド〔Al(OC2H5)3〕、アルミニウム-t-ブトキシド[Al[OC(CH3)3]3]、水酸化アルミニウム〔Al(OH)3〕等を挙げることができる。
【0013】
更に、ホウ素化合物としては、例えば、ボウ酸(H3BO3)ホウ酸アンモニウム(NH4B5O3・4H2O)、ホウ酸ソーダ(Na2B4O7・10H2O)、過ホウ酸ナトリウム(NaBO3・4H2O)等を挙げることができる。
【0014】
更に、シリコン化合物としては、例えば、コロイダルシリカ(SiO2・XH2O)、超微粒子無水シリカ(SiO2)、ケイ酸ソーダ〔Na2O・XSiO2・YH2O(X=1-4)〕、四塩化ケイ素(SiCl4)、ケイ酸エステル〔Si(OCH3)4, Si(OC2H5)4〕等を挙げることができる。
【0015】
そして、チタン化合物としては、例えば、四塩化チタン(TiCl4)、硫酸チタン〔Ti2(SO43, Ti(SO42〕、オキシ硫酸チタン(TiOSO4)、三塩化チタン(TiCl3)、臭化チタン(TiBr4)、弗化チタン(TiF4, TiF3)、酸化チタン(TiO2)、オルトチタン酸(H4TiO4)、メタチタン酸(H2TiO3)、チタンメトキシド〔Ti(OCH3)4〕、チタンエトキシド〔Ti(OC2H5)4〕、チタンプロポキシド〔Ti(OC3H7)4〕、チタンイソプロポキシド{Ti〔OCH(CH3)24}、チタンブトキシド〔Ti(OC4H9)4〕等を挙げることができる。
【0016】
また、ジルコニウム化合物としては、例えば、四塩化ジルコニウム(ZrCl4)、オキシ塩化ジルコニウム(ZrCl2O・8H2O)、硫酸ジルコニウム〔ZrO(SO4)〕、硝酸ジルコニウム〔ZrO(NO32〕、炭酸ジルコニウム〔ZrO(CO3)〕、酢酸ジルコニウム〔ZrO(C2H3O22〕、ジルコニウムアセチルアセナート{Zr[CH2(COCH3)2]2}、ジルコニウムプロポキシド〔Zr(OC3H7)4〕、ジルコニウムt-ブトキシド{Zr〔OC(CH3)34}等を挙げることができる。
【0017】
そして、種子生成工程とヒドロゾル合成工程とを有する金属含水酸化物のヒドロゾル又はヒドロゲルの合成方法については、具体的には特公昭60-50,721号公報に記載された方法を例示することができる。すなわち、種子生成工程については、不均一沈殿法、均一沈殿法、共沈法、イオン交換法、加水分解法、及び金属溶解法等の慣用の方法を採用することができる。また、ヒドロゾル合成工程については、上記種子生成工程で得られた金属含水酸化物のヒドロゾルに原料金属化合物の水溶液及び/又はpH調整剤を添加し、ヒドロゾルの沈殿pH領域と溶解pH領域との間で交互に複数回以上スイングさせるpHスイングにより合成する。ここで、ヒドロゾルの沈殿pH領域とはヒドロゾル粒子の成長及び凝集を生起させるpH領域をいい、また、ヒドロゾルの溶解pH領域とは微細粒子のヒドロゾルを可溶化し得るpH領域をいう。更に、このヒドロゾル合成工程においては、必要により、熟成、洗浄、固形分含量調節等の処理が行われ、所望の性状を有する金属含水酸化物のヒドロゾルあるいはヒドロゲルとされる。
【0018】
このヒドロゾル合成工程でのpHスイングの操作条件については、合成される金属含水酸化物のヒドロゾルの種類によっても異なるが、沈殿pH領域におけるpH値が0.5〜11、濃度が0.1〜20重量%、温度が常温から300℃、保持時間が0.01〜0.5時間、好ましくは0.02〜0.3時間であり、また、溶解pH領域におけるpH値が0〜3、濃度が0.1〜20重量%、温度が常温から300℃、保持時間が0.02〜5時間の範囲が好適であり、更に、沈殿pH領域と溶解pH領域との間を交互に保持する操作回数は2回から20回の範囲が好適である。
【0019】
例えば、多孔質酸化チタンを製造する際の含水酸化チタンのヒドロゾル合成工程でのpHスイングの操作条件は、沈殿pH領域のpH値が1.0〜10、濃度が0.1〜15重量%、温度が常温から180℃、保持時間が0.01〜0.5時間、好ましくは0.02〜0.3時間であり、また、溶解pH領域のpH値が0〜2、濃度が0.1〜15重量%、温度が常温から180℃、保持時間が0.02〜5時間の範囲が好適であり、更に、沈殿pH領域と溶解pH領域との間を交互に保持する操作回数は2回から10回の範囲が好適である。
【0020】
ここで、上記ヒドロゾル合成工程で用いる原料金属化合物の水溶液以外のpH調整剤としては、例えば、硝酸、塩酸、硫酸等の酸や、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリを挙げることができ、これらはその1種のみを単独で用いることができるほか、原料金属化合物の水溶液と共に使用したり、更には、2種以上の混合物として使用することもできる。
【0021】
更に、金属含水酸化物のヒドロゾル又はヒドロゲルを合成する際に用いる水系溶剤としては、特に制限されるものではないが、好適には、水のほかに、メタノール、エタノール、プロパノール、テトラヒドロフラン、アセトン、ジオキサン等の水溶性有機溶剤の水溶液等を用いることができる。
【0022】
なお、この金属含水酸化物のヒドロゾル又はヒドロゲルを合成する際には、必要により、粒子成長抑制剤として、微量のケイ素、燐、マグネシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、アルミニウム、ジルコニウム、硫黄、モリブデン、タングステン等の元素の化合物から選ばれた1種又は2種以上を存在させてもよい。
【0023】
このようにして合成された金属含水酸化物のヒドロゾル又はヒドロゲルは、次に洗浄・ろ過し、乾燥してから、触媒担体としての用途や目的、使用条件、触媒金属の固定化等に応じて多孔質無機酸化物に要求される必要な焼成温度(必要焼成温度)を基準に焼成して多孔質無機酸化物とされるが、この際に、金属含水酸化物を固形分基準で含水量200〜900重量%、好ましくは250〜800重量%にまで脱水しあるいは乾燥し、所要の形状に成形した後、更に50〜300℃、好ましくは100〜200℃で1〜6時間、好ましくは2〜4時間乾燥し、その後に200〜800℃、好ましくは300〜700℃で1〜6時間、好ましくは2〜4時間焼成する。
【0024】
本発明においては、上記pHスイングによって触媒担体としての用途や目的、使用条件、触媒金属の固定化等に応じて多孔質無機酸化物に要求される目標細孔径より小さく、かつ、この目標細孔径に近い値の近似細孔径まで制御し、そして、上記目標細孔径の値とこの近似細孔径の値の差分に応じて多孔質無機酸化物に要求される必要焼成温度より高い焼成温度に設定して焼成する高温域焼成操作を行い、目標細孔径に制御された細孔を有する多孔質無機酸化物を製造する。
【0025】
そして、この際に、pHスイングによる近似細孔径までの制御においては、あくまでも多孔質無機酸化物に要求される目標細孔径より小さい近似細孔径に制御する必要があり、この目標細孔径を超えた近似細孔径に制御すると精度良く制御された細孔を有する多孔質無機酸化物を製造することが難しくなる。また、高温域焼成操作による目標細孔径までの制御においては、必ず必要焼成温度より高い焼成温度で実施する必要があり、必要焼成温度より低い焼成温度では触媒金属の固定化及び使用条件で目標細孔径からずれるため実質的な細孔径制御はできない。
【0026】
これらpHスイングによる近似細孔径までの制御や高温域焼成操作による目標細孔径までの制御は、好ましくは、予め製造される多孔質無機酸化物の種類や目的、用途、使用条件、触媒金属の固定化等に応じて、pHスイングの操作回数と細孔径との関係、及び、高温域焼成操作の焼成温度と細孔径との関係をそれぞれ求めておき、これらの関係に基いて目標細孔径に至るまでのpHスイングの操作回数と高温域焼成操作の焼成温度とを決定するのがよい。
【0027】
例えば、多孔質無機酸化物が多孔質酸化チタンであって金属含水酸化物が含水酸化チタンである場合には、好ましくはpHスイングにより30Å/回以上の範囲で細孔径制御を行うのがよく、また、高温域焼成操作により10Å/10℃以下の範囲で細孔径制御を行うことができ、最終的に製造される多孔質無機酸化物の細孔径を極めて精度良く制御することができる。なお、pHスイングによる細孔径制御を30Å/回以下にするためには、粒子成長速度を低くする合成条件、例えば、酸側のpHを低くしたり、酸側の保持時間を長くすることによって粒子の溶解を高めたり、あるいは、1回当りのチタニア原料投入量を少なくすることによって可能ではあるが、いずれも操作が煩雑になって不経済である。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、実験例及び実施例に基いて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。
【0029】
実験例1
[ヒドロゲルの調製]
(四塩化チタン水溶液の調製)
氷を加えた水に冷却した四塩化チタン(TiCl4)を徐々に添加し、酸化チタン換算濃度210g/lの四塩化チタン水溶液を調製した。
(14wt%NH4OH水溶液の調製)
28wt%NH4OHを2倍に希釈し、14wt%NH4OH水溶液を調製した。
【0030】
(含水酸化チタンのヒドロゲルの合成)
30リットルの撹拌機付きベッセルに水10リットルを入れ、攪拌下に60℃に維持しながら、上記四塩化チタン水溶液を添加して0.5以下まで低下させ、次にこの溶液に上記14wt%NH4OH水溶液を添加してpH値を7まで上昇させ、約5分間放置した。
その後、四塩化チタン水溶液と14wt%NH4OH水溶液を用いてpH値を0.5以下に低下させ、続いてpH値を7に上昇させて5分間保持するpHスイングを2回、3回、及び4回と繰り返した。
このヒドロゲル合成工程終了後、濾過し、得られたケーキを水にて洗浄し、pHスイングの操作回数がそれぞれ2回、3回、及び4回のチタニアヒドロゲルを得た。
【0031】
(チタニア乾燥成形物の調製)
このようにして得られた各チタニアヒドロゲルについて、吸引濾過して含水量が約70重量%になるまで脱水し、次いで穴径1.5mmφのダイスを用いて成形し、得られた成形物を120℃で3時間乾燥し、各チタニア乾燥成形物を得た。
【0032】
(多孔質酸化チタンの調製)
上記各チタニア乾燥成形物を500℃で3時間の条件で焼成し、得られた各多孔質酸化チタンの細孔径を水銀圧入法により測定し、pHスイングの操作回数と細孔径との関係を求めた。
結果を図1に示す。
【0033】
この図1に示すpHスイングの操作回数(PHS回数)と細孔径との関係から明らかなように、この実験例1の場合には、pHスイングの操作回数1回当り細孔径を約60Åの割合で制御できることが判明した。
【0034】
実験例2
含水酸化チタンのヒドロゲルを合成する際のpHスイングの回数を2回に固定し、また、チタニア乾燥成形物の焼成をそれぞれ▲1▼300℃で3時間、▲2▼500℃で3時間、及び▲3▼700℃で3時間の条件で行った以外は、上記実験例1と同様にして多孔質酸化チタンを調製し、得られた各多孔質酸化チタンの細孔径を測定し、焼成温度と細孔径との関係を求めた。
結果を図2に示す。
【0035】
図2に示す焼成温度と細孔径との関係から明らかなように、この実験例2の場合には、焼成温度10℃当り細孔径を2Åの割合で制御できることが判明した。
【0036】
実施例1
上記実験例2の結果を基に、多孔質酸化チタンの目標細孔径を100Åとし、この多孔質酸化チタンに含浸法によりコバルト(Co)とモリブデン(Mo)を担持させて細孔径80Åの軽油脱硫工業用触媒(CoMo/TiO2)の調製を試みた。
すなわち、実験例2で得られた図2の結果から、多孔質酸化チタンの目標細孔径100Åを達成できる焼成温度として600℃を選定し、実験例2で得られたチタニア乾燥成形物を600℃で3時間焼成し、実施例1の多孔質酸化チタンを得た。この実施例1の多孔質酸化チタンの細孔径は102Åであった。
【0037】
次に、この実施例1の多孔質酸化チタンに、パラモリブデン酸アンモンと硝酸コバルトを用いてアンモニア水溶液に溶解しポアフィリング法により触媒金属を多孔質酸化チタンに担持し120℃、3時間乾燥後、500℃、3時間焼成することにより、酸化コバルト(Co)4重量%及びモリブデン(Mo)28重量%が担持された軽油脱硫工業用触媒(CoMo/TiO2)を調製した。この軽油脱硫工業用触媒(CoMo/TiO2)の細孔径は82Åであった。
【0038】
このようにして得られた軽油脱硫工業用触媒(CoMo/TiO2)を用い、温度350℃、液空間速度(LHSV)2.01/h、及び水素/原料比250N1/1の条件で、硫黄分1.5重量%の軽油の脱硫試験を行った。
得られて軽油の硫黄分は50ppmまで脱硫されていた。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、強度低下の原因となる粒子径制御剤を必ずしも添加することなく、細孔径を任意の大きさに精度良く制御することができ、制御された細孔径を有して触媒担体等の用途に有用な多孔質無機酸化物を迅速にかつ容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、実験例1に係るpHスイングの操作回数(PHS回数)と細孔径との関係を示すグラフ図である。
【図2】 図2は、実験例2に係る焼成温度と細孔径との関係を示すグラフ図である。

Claims (3)

  1. 金属含水酸化物のヒドロゾル又はヒドロゲルをその沈殿pH領域と溶解pH領域との間で交互に複数回以上スイングさせるpHスイングにより合成し、得られた金属含水酸化物のヒドロゾル又はヒドロゲルを乾燥させ、次いで所定の焼成温度で焼成して多孔質無機酸化物を製造するに際し、上記pHスイングにより多孔質無機酸化物に要求される目標細孔径より小さくかつこの目標細孔径に近い値の近似細孔径に制御し、上記目標細孔径の値とこの近似細孔径の値の差分に応じて多孔質無機酸化物に要求される必要焼成温度より高い焼成温度に設定して焼成する高温域焼成操作を行うことにより、目標細孔径に制御された細孔を有する多孔質無機酸化物を製造することを特徴とする多孔質無機酸化物の製造方法。
  2. 金属含水酸化物が、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、シリコン(Si)、ジルコニウム(Zr)及びマグネシウム(Mg)から選ばれた1種又は2種以上の金属の含水酸化物である請求項1に記載の多孔質無機酸化物の製造方法。
  3. 金属含水酸化物が含水酸化チタンであり、pHスイングにより30Å/回以上の範囲で細孔径制御を行うと共に、高温域焼成操作により10Å/10℃以下の範囲で細孔径制御を行う請求項1に記載の多孔質無機酸化物の製造方法。
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