JP3755732B2 - 多孔質4族金属酸化物の製造方法 - Google Patents

多孔質4族金属酸化物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、触媒担体、触媒、乾燥剤、吸着剤、充填剤等の用途に有用な多孔質4族金属酸化物とそれらを製造するための方法及びその用途に係るもので、特に、高比表面積でかつ熱安定性にも優れた多孔質4族金属酸化物水素化処理用触媒担体と触媒、及びそれらの製造方法並びにその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、多孔質4族金属酸化物は、例えば、液相における水酸化チタンの一般的な合成方法である硫酸チタン(硫酸チタニル)溶液を加水分解する方法、四塩化チタンあるいは硫酸チタン(硫酸チタニル)等の水溶液をアルカリで中和する方法、チタンアルコキシドを加水分解するゾル・ゲル化方法等で生成させた4族金属含水酸化物を乾燥・焼成して製造されている。
【0003】
しかしながら、このような従来法で製造されるチタニアについては、熱安定性が悪く、図1の比表面積と焼成温度の関係に示す如く、焼成温度が高くなるにつれて、その比表面積が急激に低下し、高比表面積を維持することが困難であった。これは、この高温焼成の過程で、いわゆるシンタリングや脱水縮合により粒子の成長が起こるためである。例えば、含水酸化チタンの場合は、シンタリングや脱水縮合により無定形からアナタース、ルチル等への結晶化や結晶転移が起こり、図1のように比表面積が激減してしまう。
【0004】
このため、例えば、従来技術によって製造されるチタニア担体あるいはチタニア触媒は、炭化水素の水素化処理用触媒として単位比表面積当たりの水素化処理活性が非常に優れているにも拘わらず、アルミナやシリカ系の触媒担体或いは触媒のようには工業的に利用されることがなかった。また、例えば、アルキレーション用触媒として用いる場合には、超強酸としての酸性質を発現させるために高温処理する必要があるが、従来の担体では熱安定性が悪く低比表面積になるため、その酸の絶対量が少なくなり触媒としての必要性能を確保することができなかった。また、排煙脱硝用触媒として用いる場合にも、単位比表面積当たりの脱硝活性が非常に優れているにも拘わらず、熱安定性の問題から通常40〜50m2/gの低比表面積でしか使用できないため、多量の触媒を必要としているのが現状である。更に、この熱安定性の問題のため適用の温度範囲が狭いという問題もあった。また、チタニアについては、その摩耗強度が高いにもかかわらず、フィシャー・トロプシュ(FT)反応用触媒として用いる場合は、低比表面積のものしか得られないため性能的に満足の行く触媒が得られていないのが現状である。そのため、従来技術によって製造されるチタニア担体及び触媒は、その使用目的や使用条件等によって要求される性能を十分満足させることができない。すなわち、熱安定性が悪いために高温において高比表面積が維持できず性能が悪いものとなっているという問題があった。
【0005】
また、上述した従来法ではシャープな細孔径分布を有するチタニアを製造することは困難であった。一般的に、高性能を有する触媒の細孔径の範囲は、対象とする反応物質に適した細孔径に制御することが必要である。すなわち反応物質の拡散抵抗がなく、かつ反応に有効でない小さなあるいは大きすぎる無駄な細孔を持たないことが重要である。このため、反応の目的に合わせて細孔径が制御された触媒であることが理想的である。例えば、反応に有効な触媒細孔径は、軽油の脱硫を目的とした場合には6〜10nmであり、重質油の脱硫を目的とした場合には8〜15nmであり、脱メタルを目的とした場合には15〜30nmであり、脱アスファルテンを目的とした場合には20〜40nmの範囲にある。しかし、従来法によって製造されるチタニア触媒については、反応に最適な触媒細孔径が少ないために、反応の選択性や活性及び触媒寿命の点で十分な性能が得られないという問題等もあった。
【0006】
そこで、このような問題を解決し、細孔径分布をシャープにし細孔径の範囲を制御するための方法として、例えば特公昭60−50,721号公報において、種子となるヒドロゾルを得る工程と、このヒドロゾルのpHを、ヒドロゾル溶解領域とヒドロゾル沈殿領域との間で交互に変動させ、これによって結晶を成長させて疎凝集体を形成したヒドロゾルを得る工程と、この疎凝集体を形成したヒドロゾルを乾燥し、焼成して金属酸化物を得る工程とを有する多孔質無機酸化物の製造方法が提案されている。
【0007】
しかしながら、単にこの方法のみでは、例えば、チタニアについて制御されたシャープな細孔径分布を有することはできるが、触媒の焼成や反応系での反応熱等による熱履歴に対しても活性低下を起こさないようなチタニア触媒を製造することは困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは、熱安定性にも優れ比表面積が大きい、多孔質4族金属酸化物とそれを製造する方法について鋭意検討した結果、一般式MO2・nH2O(但し、Mは4族金属を示し、nは0.02以上である)で表される4族金属含水酸化物のヒドロゾル又はヒドロゲル若しくはそれらの乾燥物に、粒子成長抑制剤として1種又は2種以上のアニオン、又はカチオン、若しくはこれらアニオン及びカチオンを添加したのち、乾燥、焼成することにより、熱安定性に優れ、80m2/g以上の高い比表面積を有し、かつ触媒金属が高分散している多孔質4族金属酸化物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
従って、本発明の目的は、熱安定性に優れ比表面積が大きく、触媒金属が高分散されている多孔質4族金属酸化物とその製造方法及びその用途を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、熱安定性に優れ比表面積が大きく、かつ触媒金属の高分散に加え、制御されたシャープな細孔径分布を持ち優れた反応選択性を有する触媒又は触媒担体として有用な多孔質4族金属酸化物とその製造方法及びその用途を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、一般式MO2・nH2O(但し、Mは4族金属を示し、nは0.02以上である)で表される4族金属含水酸化物のヒドロゾル又はヒドロゲル若しくはそれらの乾燥物に、焼成時の粒子成長を抑制する粒子成長抑制剤としてP、S、Mo、W、V、B、Al、及びSiから選ばれた1種又は2種以上の金属を含むオキシアニオン及び/又は金属カルボニルアニオン、又は、Fe、Ni、Co、Mg、Mn、Pt、Pd、Rh、及びRuから選ばれた1種又は2種以上の金属カチオン、若しくは、これらオキシアニオン及び/又は金属カルボニルアニオンと金属カチオンとを添加したのち、乾燥、焼成することを特徴とする多孔質4族金属酸化物の製造方法である。
【0012】
本発明の多孔質4族金属酸化物の製造方法において、アニオンの添加は4族金属酸化物の等電点未満のpHで、カチオンの添加は4族金属酸化物の等電点以上のpHで、アニオン及びカチオンを同時に添加する場合は4族金属酸化物の等電点未満のpHで行われることが好ましく、4族金属含水酸化物のヒドロゾル又はヒドロゲルは、4族金属含水酸化物の沈殿領域pHと溶解領域pHとの間を交互に複数回以上スイングすることにより製造することが好ましい。
【0013】
本発明方法において、4族金属含水酸化物のヒドロゾル又はヒドロゲル又はその乾燥物は、MO2・nH2Oとして表される当該4族金属含水酸化物のnが0.02以上のものであればよい。ここで規定するnが0.02以上である意味は、4族金属含水酸化物のヒドロゾル又はヒドロゲル又はその乾燥物がもつOH基の下限値を規定するものである。4族金属含水酸化物のヒドロゾル又はヒドロゲル又はその乾燥物が有するOH基が熱履歴ではずれていくことでシンタリングや脱水縮合による粒子成長が起こる。この際、置換可能なOH基を他の官能基等と置換することによって、熱安定性を増し、高比表面積を得ることができる。従って、従来より汎用されている加水分解法、中和反応法、ゾルゲル法等の方法で製造したものを用いることができる。また、制御されたシャープな細孔径分布を持ち、優れた反応活性・選択性を有する触媒を製造するのに好適な多孔質4族金属酸化物を得るために、4族金属含水酸化物のヒドロゾルあるいはヒドロゲル又はその乾燥物の製造を、ヒドロゾルのpHをその沈殿領域と溶解領域に交互に複数回以上スイングすることによって行うことができる。
【0014】
ここで、4族金属含水酸化物のヒドロゾル又はヒドロゲル又はその乾燥物を製造するために用いる4族金属化合物としては、具体的には、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)又はハフニウム(Hf)の塩化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩、燐酸塩、ホウ酸塩、蓚酸塩、フッ酸塩、珪酸塩、ヨウ素酸塩等の4族金属塩や、チタン酸、ジルコニウム酸、ハフニウム酸等の4族金属オキソ酸塩等及び4族金属のアルコキシド類であり、これらの1種のみを単独で使用できるほか、2種以上の混合物として使用することもできる。これらの4族金属化合物のうち、チタンの場合に特に好ましいものとしては、例えば、四塩化チタン、硫酸チタン、硫酸チタニル、三塩化チタン、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンプロポキシド、チタンイソプロポキシド、チタンブトキシド等を挙げることができる。また、ジルコニウムの場合に特に好ましいものとしては、例えば、四塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、ジルコニウムアセチルアセナート、ジルコニウムプロポキシド、ジルコニウム t-ブトキシド等を挙げることができる。又はフニウムの場合に特に好ましいものとしては、例えば、塩化ハフニウム、硫酸ハフニウム、オキシ塩化ハフニウム等を挙げることができる。
【0015】
また、本発明に用いる粒子成長抑制剤は、P、S、Mo、W、V、B、Al、Si等から選択されるオキシアニオン、金属カルボニルアニオン、及びFe、Ni、Co、Mg、Mn、Pt、Pd、Rh、Ru等の金属カチオンを用いることができる。更に詳しくは、PO4 3-、NbO4 3-、SO4 2-、MoO4 2-、WO4 2-、CrO4 2-、BO3 3-、AlO3 3-、SiO4 4-、GeO4 4-等のイオンの形を有するオキシアニオン、金属カルボニルアニオンFe2+、Fe3+、Ni2+、Co2+、Ca2+、Mg2+、Mn2+、Y3+、Pt2+、Pd2+、Rh3+、Ru3+等の金属カチオンである。
【0016】
特に好適なオキシアニオンを提供する化合物としては、モリブデン酸アンモニウム{(NH4)6Mo7O24・4H2O、(NH42MoO4、(NH4)Mo2O7}、モリブデン酸ソーダ(Na2MoO4・2H2O)、モリブデン酸(H2MoO4、H2MoO3・H2O)、五塩化モリブデン(MoCl5)、ケイモリブデン酸(H4SiMo12O40・nH2O)、タングステン酸(H2WO4)、タングステン酸アンモニウム{5(NH4)2O・12WO3・H2O、3(NH4)2O・12WO3・nH2O}、タングステン酸ナトリウム(Na2WO4・2H2O)、メタバナジン酸(HVO3)、オルトバナジン酸(H3VO4)、ピロバナジン酸(H2V2O7)、ペルオキソバナジン酸(HVO4)、ポリバナジウム酸、H2CrO4、クロム酸アンモニウム{(NH4)2CrO4}、H3PO4、HPO3、H4P2O7、P2O5、NH4H2PO4、(NH4)2HPO4、(NH4)3PO4・H2O、Nb2O5・nH2O、Ca3NbO4、Ca4Nb2O7、H3BO3、NH4B5O8、H2SO4、(NH4)2SO4、更にH3[PO4W12O36]・5H2OやMo、W、Vをポリ酸とするヘテロポリ酸塩等を挙げることができる。これらは、その1種のみを単独で使用できるほか、2種以上の混合物として使用することもできる。
【0017】
また、金属カルボニルアニオンを供給する多価金属塩の好適な化合物としては、例えば(NEt4)[Mo(CO)5(OOCCH3)]、Mo(CO)6-NEt3-EtSH、Ru3(CO)12-NEt3-EtSH、(η-C5H4Me)2Mo2Co2S3(CO)4、W(CO)6、W(CO)6-NEt3-EtSH、Cr(CO)6-NEt3-EtSH等で表される金属カルボニルアニオンである。
【0018】
また、多価金属カチオンを供給する多価金属塩の好適な化合物としては、二価以上の金属の塩をいい、例えば、硫酸第1鉄(FeSO4・H2O)、硫酸第2鉄{4{Fe2(SO4)3}、塩化第1鉄、塩化第2鉄(FeCl3)、硝酸第1鉄、硝酸第2鉄{Fe(NO3)3・9H2O}、硝酸ニッケル{Ni(NO3)2・6H2O}、硫酸ニッケル(NiSO4・6H2O)、塩化ニッケル(NiCl2)、酢酸ニッケル{Ni(CH3CO2)2・4H2O}、酢酸コバルト{Co(CH3CO2)2・4H2O}、硝酸コバルト{Co(NO3)2・6H2O}、硫酸コバルト(CoSO4・7H2O)、塩化コバルト(CoCl2・6H2O)、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、硝酸マグネシウム(Mg(NO3)2・6H2O)、硫酸マグネシウム(MgSO4・7H2O)、塩化マグネシウム(MgCl2・H2O)、炭酸マグネシウム(MgCO3)硝酸マンガン{Mn(NO3)2}、硫酸マンガン(MnSO4・7H2O)、塩化マンガン、燐酸マンガン(MnPO4)、炭酸マンガン(MnCO3)、硼酸マンガン(MnB4O7・8H2O)、硝酸イットリウム{Y(NO3)3・6H2O}、硫酸イットリウム{Y(SO4)3・8H2O}、炭酸イットリウム{Y(CO3)3・3H2O}、塩化イットリウム(YCl3・6H2O)、燐酸イットリウム(YPO4)、硝酸パラジウム(Pd(NO3)2)、硫酸パラジウム(PdSO4)、塩化パラジウム(PdCl2)、パラジウム塩化カルボニル{Pd(CO)Cl}等である。
【0019】
本発明に用いる前記粒子成長抑制剤はその1種のみを単独で使用できるほか、2種以上の混合物として使用することもできる。
【0020】
また、これら粒子成長抑制剤で水素化処理触媒活性を有するものとしては、Mo、W、Ni、Co、Fe、P、B、Pt、Pd、Rh、Ruが挙げられる。
【0021】
また、ヒドロゾルのpHを沈殿領域と溶解領域の間を交互に複数回変動させるpH調整剤として好適な化合物は、原料となる四塩化チタン、硫酸チタン、硫酸チタニル、四塩化チタン、三塩化チタン、硫酸第1鉄、硫酸第2鉄、塩化第1鉄、塩化第2鉄、硝酸第1鉄、硝酸第2鉄、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、硝酸コバルト、硫酸コバルト、塩化コバルト、硝酸マンガン、硫酸マンガン、塩化マンガン、硝酸イットリウム、硫酸イットリウム、塩化イットリウムのほか硝酸(HNO3)、塩酸(HCl)、硫酸(H2SO4)、炭酸(H2CO3)、蟻酸(HCOOH)、酢酸(CH3COOH)等の酸と、アンモニア(NH3)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、炭酸水素カリウム(KHCO3)、炭酸水素ナトリウムカリウム(KNaCO3)等のアルカリを挙げることができる。また、これらはその1種のみを単独で使用できるほか、2種以上の混合物として使用することもできる。
【0022】
[多孔質4族金属酸化物の製造方法]
(4族金属含水酸化物の製造)
4族金属含水酸化物のヒドロゾル、ヒドロゲル又はそれらの乾燥物で、MO2・nH2Oとして表される当該4族金属含水酸化物のnが0.02以上のものを製造する条件は、該多孔質4族金属酸化物(MO2)濃度は1〜20重量%、好ましくは3〜15重量%、反応温度は常温から300℃、好ましくは常温から180℃、更に好ましくは常温から100℃、反応圧力は常圧から3.0MPaで、好ましくは常圧から0.9MPaで、更に好ましくは常圧から0.1MPa、pHは0.5〜11、好ましくは1.0〜10の範囲でアルカリによる中和反応あるいは加水分解反応によって4族金属含水酸化物を生成する。
【0023】
(粒子成長抑制剤の添加)
上記一般式MO2・nH2O(但し、Mは4族金属を示し、nは0.02以上である)で表される4族金属含水酸化物のヒドロゾル又はヒドロゲル若しくはそれらの乾燥物に、粒子成長抑制剤として1種又は2種以上のアニオン、又はカチオン、若しくはこれらアニオン及びカチオンを添加するが、この際に、粒子成長抑制剤がアニオンの場合には好ましくは4族金属酸化物の等電点未満のpHで添加するのがよく、また、粒子成長抑制剤がカチオンの場合には好ましくは4族金属酸化物の等電点以上のpHで添加するのがよく、更に、粒子成長抑制剤がアニオン及びカチオンの場合には好ましくは4族金属酸化物の等電点未満のpHで同時に添加するのがよい。これは、イオン交換等による置換がより効果的に進むことによる。そして、これら粒子成長抑制剤の添加量については、4族金属酸化物100g当たり0.06〜6g当量、好ましくは0.1〜5g当量添加し、温度常温から100℃で、熟成時間0.1〜5時間、好ましくは0.2〜3時間保持する。
なお、上記ヒドロゾルはその生成段階のもの、ヒドロゲルはその生成後のものに粒子成長抑制剤を添加するのが効果的である。
【0024】
例えば、酸化チタンの場合は、含水酸化チタンを洗浄し、粒子成長抑制剤として酸化チタンのアナターゼの等電点である6.1未満でのpHで一種類以上のアニオンを添加あるいは等電点以上のpHで一種類以上のカチオンを添加、アニオンとカチオンを同時に添加する場合は等電点未満のpHで、酸化チタン100g当たり0.06〜6g当量、好ましくは0.1〜5g当量添加し、常温から100℃で、熟成時間0.1〜5時間、好ましくは0.2〜3時間保持する。
【0025】
また、粒子成長抑制剤の添加法としては、直接混練法も使用することができる。この方法においては、粒子成長抑制剤をゲルあるいは乾燥物に4族金属酸化物100g当たり0.05〜5g当量、好ましくは0.1〜4g当量粒子成長抑制剤を直接添加し、常温から100℃の温度範囲で、熟成時間0.1〜5時間、好ましくは0.2〜3時間混練する。
【0026】
(乾燥・焼成条件)
4族金属酸化物基準での含水量を30〜900重量%、好ましくは50〜700重量%にろ過・脱水し、所要の形状に成型し、乾燥温度40〜350℃、好ましくは80〜200℃で、乾燥時間0.5〜24時間、好ましくは80〜200℃で乾燥し、温度350〜1200℃、好ましくは400〜700℃で焼成する。
【0027】
また、種子生成工程とヒドロゾル合成工程とを有する4族金属含水酸化物のヒドロゾルの製造方法については、具体的には特公昭60−50,721号公報に記載された方法を例示することができる。
すなわち、種子生成工程については、不均一沈殿法、均一沈殿法、共沈法、イオン交換法、加水分解法、及び金属溶解法等の慣用の方法を採用することができる。また、ヒドロゾル合成工程については、上記種子生成工程で得られた4族金属含水酸化物のヒドロゾルに4族金属化合物の水溶液、及び/又はpH調整剤とを交互に添加し、ヒドロゾル溶解pH領域とヒドロゾル析出pH領域との間を交互に複数回変動させるものであり、ヒドロゾル溶解pH領域とは微細粒子のヒドロゾルを可溶化し得るpH領域をいい、また、ヒドロゾル析出pH領域とはヒドロゾル粒子の成長及び凝集を生起させるpH領域をいう。更に、このヒドロゾル合成工程においては、必要により、熟成、洗浄、固形分含量調節等の処理が行われ、所望の性状を有する4族金属含水酸化物のヒドロゾルあるいはヒドロゲルとされる。
【0028】
上記4族金属酸化物の製造において、該4族金属含水酸化物の製造条件は、pHをスイングする各段階の沈殿領域のpHを0.5〜11、濃度を0.1〜20重量%、温度を常温から300℃、保持時間を0.01〜0.5時間、好ましくは0.02〜0.3時間とする。また、4族金属含水酸化物の溶解領域のpHは0〜3、濃度は0.1〜20重量%、温度は常温から300℃、保持時間は0.02〜5時間の範囲が好適である。また、沈殿領域と溶解領域に交互に保持する回数は2回から20回の範囲が好適である。
【0029】
例えば、酸化チタンの場合は、該含水酸化チタンのpHをスイングする各段階の製造条件は、沈殿領域のpHを1.0〜10、濃度を0.1〜15重量%、温度を常温から180℃、保持時間を0.01〜0.5時間、好ましくは0.02〜0.3時間、溶解領域のpHを0〜2、濃度を0.1〜15重量%、温度を常温から180℃、保持時間を0.02〜5時間の範囲が好適である。また、沈殿領域と溶解領域に交互に保持する回数は2回から10回の範囲が好適である。
【0030】
本発明方法により得られた多孔質4族金属酸化物は、触媒担体、触媒、乾燥剤、吸着剤、充填剤等の用途に有用であるが、特に、本発明方法により得られた多孔質4族金属酸化物は、80m2/g以上の高比表面積を持ち、細孔シャープネス度(定義を後述)が30%以上等の特徴を持つため水素化処理(脱硫、脱窒素、脱メタル、アスファルテン分解、芳香族の水素化)、水素化分解、アルキレーション、フィッシャートロプシュ、排煙脱硝、光反応等の高性能触媒担体又は触媒として使用することができる。なお、80m2/g以下の高比表面積では、所望の反応活性を発揮しにくくなる。また、細孔シャープネス度が30%以下であると反応の選択性が低下することになる。
【0031】
[物理性状の測定について]
(細孔シャープネス度)
水銀ポロシメータにより測定された累積細孔分布曲線に関し、先ず累積細孔容積を示す縦軸と細孔直径(Å)を表す横軸において、全細孔容積(PVT)の(1/2)PVにおける細孔径(メデアン直径)を求める。次に、メディアン直径の対数値における±5%の細孔径範囲内に有する細孔容積(PVM)を求め、その細孔容積(PVM)と全細孔容積(PVT)から以下の式により、細孔分布のシャープ度を表わす細孔シャープネス度を求める。
細孔シャープネス度={細孔容積(PVM)/全細孔容積(PVT)}*100
ここで定義する細孔シャープネス度は、全細孔容積に対する反応に最適な細孔の度合いを評価するための因子であり、細孔シャープネス度が大きい程、シャープな細孔分布を有することになり、好ましいものとなる。
【0032】
(比表面積の測定法)
触媒及び担体の比表面積は、BETの三点法により測定し、測定機器にはマウンテック社製Macsorb Model-1201を使用した。
【0033】
(細孔分布の測定法)
触媒及び担体の細孔容積と細孔分布は、測定圧力414MPaで水銀圧入法により測定し、測定機器には島津製作所製オートポア9200形を使用した。
【0034】
(結晶構造の測定法)
触媒及び担体の結晶構造はX線回折法により測定し、測定機器にはPHILIPS社製PW3710を使用した。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。
【0036】
実施例1
[ヒドロゾルの調製]
(四塩化チタン水溶液の調製)
氷を加えた純水に冷却した四塩化チタン(TiCl4)1kgを徐々に添加し酸化チタン換算濃度210g/リットルの四塩化チタン水溶液を調製した。
(14wt%NH4OH水溶液の調製)
28wt%NH4OHを2倍に希釈し、14wt%NH4OH水溶液を調製した。
【0037】
(ヒドロゾル合成工程)
次に、30リットルの撹拌機付きベッセルに純水10リットルを入れ、攪拌しながら前記四塩化チタン水溶液1.5リットルを添加し、pHを0.5以下まで低下させた。
この溶液に上記14wt%NH4OH水溶液2.3リットルを添加し、pHを7まで上昇させ、約5分間放置した。
【0038】
(濾過、洗浄)
上記ヒドロゾル合成工程終了後、濾過し、得られたケーキを純水にて洗浄し、硝酸銀滴定により濾液中に塩素(Cl-)が確認されなくなるまで洗浄操作を繰り返し、チタニアヒドロゾルを得た。
【0039】
(乾燥物の調製)
以上のようにして得られたチタニアヒドロゾルを吸引濾過し、含水量約50重量%になるまで脱水し、次いで穴径1.5mmφのダイスを用いて成形し、得られた成形物を120℃にて3時間乾燥し、チタニア乾燥成形物を得た。
【0040】
(粒子成長抑制剤添加工程)
上記で得られたチタニア乾燥成型物を、酸化チタン当たり酸化物基準で16.3重量%のパラモリブデン酸アンモニウムを含有する水溶液に浸漬し、室温下に2時間放置したのち、5Cの濾紙で濾過し、モリブデン担持物を得た。
【0041】
(乾燥焼成工程)
得られたモリブデン担持物を120℃で3時間乾燥した後、500℃で3時間焼成し、モリブデン担持チタニア触媒を得た。
得られたモリブデン担持チタニア触媒の物性を表1に示す。
【0042】
実施例2
実施例1と同じ方法でヒドロゾルを合成し、更に撹拌しながら前記四塩化チタン水溶液1.5リットルを添加してpHを再び0.5まで低下させ、次いで5分間放置した後、14wt%NH4OH水溶液2.8リットルを添加して再びpHを7まで上昇させ、更に5分間放置した。
これらの操作を更に3回繰り返し、ヒドロゾル溶解pH領域(pH0.5)とヒドロゾル析出pH領域(pH7)との間を交互に合計5回変動させた。
これ以降の洗浄・濾過・成形・乾燥・粒子成長抑制剤添加工程・乾燥焼成工程は実施例1と同様とした。
得られたモリブデン担持チタニア触媒の物性を表1に示す。
【0043】
実施例3
粒子成長抑制剤として、酸化チタン当たり酸化物基準で8重量%の燐酸を用いた以外は、実施例2と同様にしてリン担持チタニア触媒を得た。
得られた触媒の物性を表1に示す。
【0044】
【表1】
Figure 0003755732
【0045】
実施例4
実施例2の洗浄後のヒドロゾルを、酸化チタン当たり酸化物基準で16.3重量%のパラモリブデン酸アンモニウムを含有する水溶液に浸漬し、室温下に2時間放置した後、吸引濾過し、含水量50重量%になるまで脱水した。次いで、穴径1.5mmφのダイスを用いて成形し、得られた成形物を120℃で3時間乾燥した後、500℃で3時間焼成してモリブデン担持チタニア触媒を得た。
得られた触媒の物性を表2に示す。
【0046】
実施例5
実施例2の濾過後のヒドロゲルを、酸化チタン当たり酸化物基準で8重量%の燐酸を含有する水溶液に浸漬し、室温下に2時間放置した後、吸引濾過し、含水量50重量%になるまで脱水した。次いで、穴径1.5mmφのダイスを用いて成形し、得られた成形物を120℃で3時間乾燥した後、500℃で3時間焼成してリン担持チタニア触媒を得た。
得られた触媒の物性を表2に示す。
【0047】
実施例6
粒子成長抑制剤として、酸化チタン当たり酸化物基準で20.6重量%のメタタングステン酸アンモニウムを用いた以外は、実施例4と同様にしてタングステン担持チタニア触媒を得た。
得られた触媒の物性を表2に示す。
【0048】
【表2】
Figure 0003755732
【0049】
実施例7
実施例5と同様の方法で原料を硫酸チタンにした濾過後のヒドロゲルに、粒子成長抑制剤として硫酸を、酸化チタン当たりSO3基準で9重量%加えた以外は、実施例5と同様にして硫酸担持チタニア触媒を得た。
得られた触媒の物性を表3に示す。
【0050】
実施例8
粒子成長抑制剤として、酸化チタン当たり酸化物基準で3.9重量%の硼酸を用いた以外は、実施例4と同様にしてボリア担持チタニア触媒を得た。
得られた触媒の物性を表3に示す。
【0051】
実施例9
粒子成長抑制剤として、酸化チタン当たり金属酸化物基準で9.0重量%の硫酸第1鉄を用いた以外は、実施例5と同様にして鉄担持チタニア触媒を得た。
得られた触媒の物性を表3に示す。
【0052】
【表3】
Figure 0003755732
【0053】
実施例10
粒子成長抑制剤として、酸化チタン当たり酸化物基準で8.4重量%の硝酸ニッケルを用いた以外は、実施例5と同様にしてニッケル担持チタニア触媒を得た。
得られた触媒の物性を表4に示す。
【0054】
実施例11
粒子成長抑制剤として、酸化チタン当たり酸化物基準で3.0重量%の燐酸と10.0重量%のパラモリブデン酸アンモニウムを同時に用いた以外は、実施例5と同様にしてリン・モリブデン担持チタニア触媒を得た。
得られた触媒の物性を表4に示す。
【0055】
実施例12
粒子成長抑制剤として、酸化チタン当たり酸化物基準で3.0重量%の硝酸コバルトと10.0重量%のパラモリブデン酸アンモニウムを同時に用いた以外は、実施例4と同様にしてコバルト・モリブデン担持チタニア触媒を得た。
得られた触媒の物性を表4に示す。
【0056】
【表4】
Figure 0003755732
【0057】
実施例13
粒子成長抑制剤として、酸化チタン当たり酸化物基準で3.0重量%の硝酸ニッケルと10.0重量%のパラモリブデン酸アンモニウムを同時に用いた以外は、実施例4と同様にしてニッケル・モリブデン担持チタニア触媒を得た。
得られた触媒の物性を表5に示す。
【0058】
実施例14
粒子成長抑制剤として、酸化チタン当たり酸化物基準で2.0重量%の燐酸と8.0重量%のパラモリブデン酸アンモニウムと2.0重量%の硝酸コバルトを同時に用いた以外は、実施例5と同様にしてリン・モリブデン・コバルト担持チタニア触媒を得た。
得られた触媒の物性を表5に示す。
【0059】
実施例15
粒子成長抑制剤として、酸化チタン当たり酸化物基準で2.0重量%の燐酸と8.0重量%のパラモリブデン酸アンモニウムと2.0重量%の硝酸ニッケルとを同時に用いた以外は、実施例5と同様にしてリン・モリブデン・ニッケル担持チタニア触媒を得た。
得られた触媒の物性を表5に示す。
【0060】
【表5】
Figure 0003755732
【0061】
実施例16
粒子成長抑制剤として、酸化チタン当たり酸化物基準で2.0重量%の硝酸ニッケルと8.0重量%のパラモリブデン酸アンモニウムと2.0重量%の硝酸コバルトとを同時に用いた以外は、実施例5と同様にしてニッケル・モリブデン・コバルト担持チタニア触媒を得た。
得られた触媒の物性を表6に示す。
【0062】
実施例17
粒子成長抑制剤として、酸化チタン当たりSO3基準で5重量%の硫酸と金属酸化物基準で8.0重量%のパラモリブデン酸アンモニウムと金属酸化物基準で2.0重量%の硝酸ニッケルとを用いた以外は、実施例7と同様にして硫酸・モリブデン・ニッケル担持チタニア触媒を得た。
得られた触媒の物性を表6に示す。
【0063】
実施例18
粒子成長抑制剤として、酸化チタン当たり酸化物基準で2.0重量%の燐酸と8.0重量%のメタタングステン酸アンモニウムと2.0重量%の硝酸ニッケルとを同時に用いた以外は、実施例4と同様にしてリン・タングステン・ニッケル担持チタニア触媒を得た。
得られた触媒の物性を表6に示す。
【0064】
【表6】
Figure 0003755732
【0065】
実施例19
粒子成長抑制剤の添加方法を浸漬からポアフィリング法による含浸に変えた以外は、実施例3と同様にしてリン担持チタニア触媒を得た。
得られた触媒の物性を表7に示す。
【0066】
実施例20
粒子成長抑制剤の添加方法を浸漬から直接混練に変えた以外は、実施例5と同様にしてリン担持チタニア触媒を得た。
得られた触媒の物性を表7に示す。
【0067】
実施例21
粒子成長抑制剤として、酸化チタン当たり酸化物基準で8重量%の燐酸を用いた以外は、実施例4と同様にしてリン担持チタニア触媒を得た。
得られた触媒の物性を表7に示す。
【0068】
【表7】
Figure 0003755732
【0069】
実施例22
粒子成長抑制剤として、酸化チタン当たり酸化物基準で30.3重量%のパラモリブデン酸アンモニウムを用いた以外は、実施例4と同様にしてモリブデン担持チタニア触媒を得た。
得られた触媒の物性を表8に示す。
【0070】
実施例23
焼成温度を350℃に変えた以外は、実施例5と同様にしてリン担持チタニア触媒を得た。
得られた触媒の物性を表8に示す。
【0071】
実施例24
粒子成長抑制剤として、酸化チタン当たり酸化物基準で16.3重量%のパラモリブデン酸アンモニウムを用いて、焼成温度を600℃に変えた以外は、実施例5と同様にしてモリブデン担持チタニア触媒を得た。
得られた触媒の物性を表8に示す。
【0072】
【表8】
Figure 0003755732
【0073】
実施例25
焼成温度を200℃に変えた以外は、実施例5と同様にしてリン担持チタニア触媒を得た。
得られた触媒の物性を表9に示す。
【0074】
実施例26
実施例24のゾル合成温度条件を95℃に変えた以外は、実施例24と同様にしてモリブデン担持チタニア触媒を得た。
得られた触媒の物性を表9に示す。
【0075】
実施例27
実施例24のゾル合成温度条件を200℃に変えた以外は、実施例24と同様にしてモリブデン担持チタニア触媒を得た。
得られた触媒の物性を表9に示す。
【0076】
実施例28
実施例2と同様の方法で原料をオキシ塩化ジルコニウムにした濾過後のジルコニアヒドロゲルを、酸化ジルコニウム当たり酸化物基準で16.3重量%のパラモリブデン酸アンモニウムを含有する水溶液に浸漬し、室温下に2時間放置した後、吸引濾過し、含水量50重量%になるまで脱水した。次いで、穴径1.5mmφのダイスを用いて成形し、得られた成形物を120℃で3時間乾燥した後、500℃で3時間焼成してモリブデン担持ジルコニア触媒を得た。
得られた触媒の物性を表9に示す。
【0077】
【表9】
Figure 0003755732
【0078】
比較例1
四塩化チタン水溶液と14wt%NH4OH水溶液を95℃の合成温度条件にて連続で混合し、チタニアヒドロゾルを得た。得られたチタニアヒドロゾルを濾過し、水で3回洗浄し、次いで成形した後、500℃で3時間焼成してチタニア担体を製造した。
得られたチタニア担体の物性を表10に示す。
【0079】
比較例2
実施例2で得られた粒子成長抑制剤添加前のチタニア成形乾燥物を500℃で焼成し、チタニア担体を製造した。
得られたチタニア担体の物性を表10に示す。
【0080】
比較例3
実施例2で得られた粒子成長抑制剤添加前のチタニア成形物を370℃で乾燥し、含水酸化物水分量(n)を0.01に調整したのち、粒子成長抑制剤として、酸化チタン当たり酸化物基準で16.3重量%のパラモリブデン酸アンモニウムを加えた以外は実施例2と同様にしてモリブデン担持チタニア触媒を得た。
得られた触媒の物性を表10に示す。
【0081】
【表10】
Figure 0003755732
【0082】
実施例29
小型の流通式反応装置を用いて、減圧軽油(窒素濃度0.2重量%)を原料とし、反応温度370℃、反応圧力(水素分圧)8.0MPa、LHSV2-1、H2/oil比500Nm3/Klの反応条件で、触媒として実施例15のリン・モリブデン・ニッケル担持チタニア触媒(BET比表面積は167m2/g)を用いて水素化処理を行った。得られた生成油の窒素濃度は0.022重量%であった。
【0083】
比較例4
触媒として市販のチタニアを触媒化し、BET比表面積42m2/gのNi/Mo担持チタニア触媒(Ni:2.4wt%/Mo:16.7wt%)を用いた以外は、上記実施例29と同様にして水素化処理を行った。この水素化処理の結果、生成油の窒素濃度は0.10重量%となった。
脱窒素反応を1次反応として脱窒素反応速度を求めると、実施例15の触媒は、比較例4の触媒と比較して、約3.5倍の脱窒素活性を示した。
【0084】
実施例30
小型の流通式反応装置を用いて、常圧軽油(硫黄濃度1.3重量%)を原料とし、反応温度350℃、反応圧力(水素分圧)5.0MPa、LHSV2-1、H2/oil比200Nm3/Klの反応条件で、触媒として実施例14のリン・モリブデン・コバルト担持チタニア触媒(BET比表面積は149m2/g)を用いて水素化処理を行った。得られた生成油の硫黄濃度は80ppmであった。
【0085】
比較例5
触媒として、市販のチタニアを触媒化し、BET比表面積40m2/gのCo・Mo担持チタニア触媒(Co:3.9wt%/Mo:13.3wt%)を用いた以外は、上記実施例30と同様にして水素化処理を行った。この水素化処理の結果、生成油の硫黄濃度は450ppmとなった。
脱硫反応を1.5次反応として脱硫反応速度を求めると、実施例14の触媒は、比較例5の触媒と比較して、約3.8倍の脱硫活性を示した。
【0086】
【発明の効果】
本発明によれば、単に比表面積が大きいだけでなく、同時に熱安定性にも優れた多孔質4族金属酸化物を容易に製造することができる。また、制御されたシャープな細孔径分布を有する4族金属含水酸化物のヒドロゾルを用いることにより、優れた反応選択性を有し、しかも、比表面積が大きくて触媒活性に優れているだけでなく、同時に熱安定性にも優れており、4族金属の触媒又は触媒担体として有用な多孔質4族金属酸化物を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、比較例2の熱処理温度と比表面積の関係を示すグラフ図である。
【図2】 図2は、実施例23の焼成時間と比表面積の関係を示すグラフ図である。
【図3】 図3は、比較例と実施例の焼成物のX線回折図である。

Claims (5)

  1. 一般式MO2・nH2O(但し、Mは4族金属を示し、nは0.02以上である)で表される4族金属含水酸化物のヒドロゾル又はヒドロゲル若しくはそれらの乾燥物に、焼成時の粒子成長を抑制する粒子成長抑制剤としてP、S、Mo、W、V、B、Al、及びSiから選ばれた1種又は2種以上の金属を含むオキシアニオン及び/又は金属カルボニルアニオン、又は、Fe、Ni、Co、Mg、Mn、Pt、Pd、Rh、及びRuから選ばれた1種又は2種以上の金属カチオン、若しくは、これらオキシアニオン及び/又は金属カルボニルアニオンと金属カチオンとを添加したのち、乾燥、焼成することを特徴とする多孔質4族金属酸化物の製造方法。
  2. アニオンの添加は4族金属酸化物の等電点未満のpHで、カチオンの添加は4族金属酸化物の等電点以上のpHで、アニオン及びカチオンを同時に添加する場合は4族金属酸化物の等電点未満のpHで行われる請求項1に記載の多孔質4族金属酸化物の製造方法。
  3. 4族金属含水酸化物のヒドロゾル又はヒドロゲルは、4族金属含水酸化物の沈殿領域pHと溶解領域pHとの間を交互に複数回以上スイングすることにより製造する請求項1又は2に記載の多孔質4族金属酸化物の製造方法。
  4. 粒子成長抑制剤は、4族金属酸化物100g当たり0.06〜6g当量の割合で添加される請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質4族金属酸化物の製造方法。
  5. 粒子成長抑制剤が、水素化処理触媒活性を有する金属のオキシアニオン及び/又は金属カルボニルアニオン、又は金属カチオンである請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質4族金属酸化物の製造方法。
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