JP4117811B2 - フルタミド製剤及びその製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はフルタミド製剤及びその製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フルタミド製剤は抗ガン剤として使用されている。たとえば、その製剤例としては、USP4474813号公報に記載がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
フルタミドは疎水性であり、フルタミド自身の再凝集性のために速やかに再凝集し溶解速度はさらに低下するとされている。本発明の目的はフルタミド含量が少なくても従来のフルタミド製剤と同等の効果を示す製剤及びその製法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成した。すなわち本発明は、
(1)第13改正日本薬局方溶出試験法第2法(パドル法)により溶出試験を行った場合、試験開始後30分におけるフルタミドの溶出量が製剤中のフルタミドの50%以上である、フルタミドを含む固形製剤。(なお、第13改正日本薬局方溶出試験法第2法による上記溶出試験法は以下の通りである。すなわち、装置は半円球の底を持つ容器(1000ml)、パドル、恒温水槽及びモーターからなる。パドルの回転翼は、半径41.5mm,厚さ4.0±1.0mmの円盤を、下弦42.0mm、高さ19.0±0.5mmとなるように平行な弦で切ったもので、翼の左右上端の丸みは半径1.2mmとする。回転軸は幅9.4±1.0mmとする。翼は下弦が回転軸の下端と同一面で水平になるよう回転軸の中心を貫通して、回転軸と垂直になるように固定する。パドルの回転軸上端は電動機によって回転運動させるようにした受軸に取り付ける。パドルをあらかじめ温度を調節した(37±0.5℃)容器の試験液(1%SDS溶液、900mL)に浸し、パドルを50回転/分にて回転させる。操作中、パドルの下端と容器内底との距離は25±2mm以上隔たらないように回転軸を固定する。試験は、試料1個(散剤の場合は試料220mg)を容器内底の中心部に沈めた後、直ちに所定の位置でパドルを回転させる。30分経過後溶出液を採取し、薬物の溶出率を算出する。)
【0005】
(2)フルタミドの溶出量が製剤中のフルタミドの75%以上である上記(1)記載の固形製剤。
(3)フルタミドの溶出量が製剤中のフルタミドの85%以上である上記(1)記載の固形製剤。
(4)フルタミド及び医薬用添加剤を含む上記(1)−(3)いずれかに記載の固形製剤。
(5)医薬用添加剤として結晶セルロースを含む上記(4)記載の固形製剤。
(6)フルタミド含量が1回投与量あたり30−200mgである上記(1)−(5)いずれか記載の固形製剤。
(7)フルタミド含量が1回投与量あたり50−90mgである上記(1)−(5)いずれかに記載の固形製剤。
【0006】
(8)固形製剤が錠剤である上記(1)−(7)のいずれかに記載の製剤。
(9)製剤全体に対しフルタミド20〜40重量%含み、残部が医薬用添加剤からなる上記(4)記載の固形製剤。
(10)フルタミドと賦形剤及び/又は溶解補助剤からなる共粉砕混合物を製剤化した上記(1)記載の固形製剤。
(11)共粉砕混合物が、日本薬局方の散剤の粒度試験法に従う48メッシュの篩通過試験で全体の90%以上が通過する、上記(10)に記載のフルタミド固形製剤。
(12)共粉砕混合物が、フルタミド1重量部に対し賦形剤0.3〜2.0重量部であり、溶解補助剤0.005〜0.5重量部である上記(10)に記載の固形製剤。
(13)賦形剤として結晶セルロース、溶解補助剤としてラウリル硫酸ナトリウムを含む前記(1)〜(12)いずれかに記載の固型製剤。
(14))フルタミドおよび賦形剤及び/または溶解補助剤を粉砕機を用いて共粉砕し、共粉砕混合物を製剤化する事を特徴とするフルタミド製剤の製法。
(15)共粉砕をボールミルを用いて行う前記(14)記載の製法。
(16)共粉砕を表面改質機を用いて行う上記(14)記載の製法。
(17)あらかじめ溶解補助剤をボールミルを用いて粉砕し、ついでボールミルにフルタミド及び賦形剤を加え共粉砕し、製剤化する事を特徴とする上記(14)記載のフルタミド製剤の製法。
(18)あらかじめフルタミド、賦形剤及び溶解補助剤を混合後、表面改質機を用いて共粉剤し、製剤化する事を特徴とする上記(14)記載のフルタミド製剤の製法。
(19)賦形剤として結晶セルロース、溶解補助剤としてラウリル硫酸ナトリウムを含む前記(14)〜(18)いずれかに記載のフルタミド製剤の製法。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において、固形製剤としては特に限定されず、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤などが挙げられ、特に錠剤が好ましい。
本発明における固形製剤からのフルタミドの溶出量は前記溶出試験法によって測定した場合に、試験開始後30分において50%以上であり、好ましくは60%以上であり、更に好ましくは70%以上であり、特に好ましくは85%以上であり、中でも90%以上であることが好ましい。
【0008】
本発明において、医薬用添加剤とは賦形剤(崩壊剤、結合剤としての作用をするものも含む),溶解補助剤、滑沢剤等の固形製剤に通常使用できる添加剤を示す。
本発明において製剤中に含まれる賦形剤の種類は特に限定されず、前記フルタミド溶出量となるような製剤とすることができる賦形剤(下記する崩壊剤または結合剤としての作用をかねるものも含む)であればいずれも使用でき、2種以上併用して用いてもさしつかえない。例えば、ブドウ糖,果糖、乳糖、無水乳糖、しょ糖、麦芽糖、マンニトール、キシリトール、ソルビトールなどの糖類、コーンスターチ、部分アルファー化デンプン、バレイショデンプン、コムギデンプンなどのデンプン類、結晶セルロースなどのセルロース類などが挙げられる。
【0009】
更に、本発明の製剤は溶解補助剤、その他成分として崩壊剤、滑沢剤、結合剤などの通常使用される添加剤を含むことができる。溶解補助剤としては例えば、ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート,レシチン等の種々の界面活性剤などが挙げられる。本願では特に、ラウリル硫酸ナトリウムを用いるのが好ましい。崩壊剤としては例えば、セルロース及びその誘導体である、結晶セルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、デンプン及びその誘導体である、クロスカルメロース、ヒドロキシプロピルスターチ、カルメロース、部分アルファー化デンプンなどが挙げられる。結合剤としては例えば、結晶セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、部分アルファー化デンプン、ポリビニルピロリドンポリビニルアルコールなどがあげられる。滑沢剤としては例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルクなどが挙げられる。
【0010】
本発明において、製剤中に含まれるフルタミドの量は約5−約80重量%であることが好ましく、特に約20−約40重量%であることが好ましい。製剤中に含まれる医薬用添加剤の量は約20−約95重量%であることが好ましく、特に約60−約80重量%であることが好ましい。
【0011】
本発明において好ましい製剤は、製剤全体に対しフルタミド約15〜約50重量%、好ましくは約20〜約40重量%および残部が医薬用添加剤とからなるものであり、より好ましくは医薬用添加剤が賦形剤及び/又は溶解補助剤を含み、それらの製剤全体に対する割合が賦形剤約50〜約85重量%、より好ましくは約60〜約80重量%であり、溶解補助剤は特に使用する必要はないが、好ましくは約0.01〜約50重量%、より好ましくは約0.1〜約5重量%含むものが好ましい。 製剤1回の投与量中に含まれるフルタミドの含量は通常30〜300mgで投与できるが、本発明の製剤は後述のとおり従来の製剤と比べフルタミド投与量を30−80%に減じても同等の血中濃度を示すので、1回の投与量中に含まれるフルタミドの量を例えば、30−200mg、好ましくは30−100mg、より好ましくは50−90mgとすることもできる。
【0012】
本発明の製剤の具体例としては、例えば次の処方の製剤(1回投与量あたり)が挙げられる。
フルタミド 50−180mg
結晶セルロース 40−240mg
SDS 0.1−20mg
無水乳糖 30−140mg
部分アルファー化デンプン 10−80mg
HPC 1−20mg
カルメロース 5−80mg
滑沢剤 0.1−10mg
【0013】
本発明の製剤は、フルタミドと賦形剤または溶解補助剤による共粉砕混合物、好ましくはフルタミドと賦形剤及び溶解補助剤による共粉砕混合物を必要により造粒する方法、あるいはフルタミド、賦形剤及び溶解補助剤を混合して加熱処理を行い、これを加熱造粒して製造する方法が挙げられる。本願においては、好ましくは共粉砕混合物を作成し、これに製剤化に必要な添加剤を加え造粒する方法が好ましい。造粒法としては湿式造粒、乾式造粒、加熱造粒が用いられるが、特に本願においては湿式造粒が好ましい。
【0014】
共粉砕する際に使用する粉砕機としてはボールミル、スピードミル、ピンミル、ハンマーミル、表面改質機(ハイブリダイザーR 、奈良機械製作所、東京)などをあげることができるが、特にボールミル及び表面改質機を用いるのが好ましい。また、ボールミルを用いてフルタミドと賦形剤を共粉砕(回転数:60回転/分、30〜60分間)する際に、あらかじめボールミル中で溶解補助剤を粉砕(回転数:60回転/分、3〜10分間)しておくことが好ましい。表面改質機を用いてフルタミドと賦形剤を共粉砕する際に、あらかじめフルタミドと賦形剤と、溶解補助剤を混合しておくことが好ましい。共粉砕組成物の成分割合は、フルタミド1重量部に対し、賦形剤は0.3〜2.0重量部好ましくは0.6〜1.2重量部程度であり、溶解補助剤は0.005〜0.5重量部好ましくは0.01〜0.3重量部程度が好ましい。本願で共粉砕混合物を作成する場合の賦形剤、溶解補助剤としては前記したものが適用されるが、特に賦形剤として結晶セルロース、マンニトールを、溶解補助剤としてSDSを含む場合が好ましい。
【0015】
例えば、共粉砕混合物の組成として以下のもの挙げられる。
組成物 配合比
フルタミド 60部
結晶セルロース 48部
SDS 1.8部
共粉砕を行う前の上記組成物の混合品は、日局製剤総則の散剤の粒度試験法に従い試験を行うと、48meshのふるいを通過する割合は全体の80%以下である。しかしながら、共粉砕を行うことで、フルタミド自身の凝集性は改善され、それに伴い流動性も改善される。48meshのふるいを通過する共粉砕品の全体に対する割合は90%以上であり、好ましくは95%以上、更に好ましくは97.5%以上である。
粒度試験法は、試料を10.0g正確に量り、48meshのふるいに入れ、上ふたした後、3分間水平に揺り動かしながら、時々軽くたたいてふるった後、ふるいの残留物の重量を量る。この試験に用いるふるいの枠の内径は75mmとする。
フルタミドは疎水性であり、フルタミド自身の再凝集性のために速やかに再凝集し溶解速度はさらに低下するとされている。本発明の共粉砕混合品を用いることで溶解速度が改善された製剤を得ることが可能となった。
【0016】
本発明の製剤は、経口剤として投与される。日本国内では1回フルタミド125mg(オダイン錠 1錠)、諸外国では250mg(例えば米国ではEULEXINカプセルを2カプセル:1カプセル中フルタミド125mg含有)が1日3回経口投与されている(1日総投与量:日本375mg、諸外国750mg)。本発明品の製剤は従来の製法にて製造された製剤と比べて、1回のフルタミド投与量を30%から80%に低減しても同等の血中濃度を示すので、より少ない投与量で同等の効果が期待される。
【0017】
本発明の製剤は、溶解速度が速く、1回投与量中のフルタミドの含量が従来のフルタミド製剤とくらべて少なくても、従来のフルタミド製剤と同等の血中濃度を得ることができる。また本発明の製剤を用いた場合、個体間のばらつきを抑えることが可能である。
【0018】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0019】
実施例1
先ず、ボールミルでSDSを1.8g粉砕した(回転数:60回転/分、5分間)。続いて、結晶セルロース48g及びフルタミド60gを加えて、共粉砕を行った(回転数:60回転/分、40分間)。得られた共粉砕物に無水乳糖56.65g、部分アルファー化デンプン24.3g、HPC5g、カルメロース23.25gを混合し湿式造粒を行い、整粒し、ステアリン酸マグネシウム1gを混合した後、打錠機を用いて圧縮成形し、1錠あたり全量が220mg下記処方の錠剤となし本発明品を得た。
原材料名 組成(mg)
フルタミド 60mg
結晶セルロース 48mg
SDS 1.8mg
無水乳糖 56.65mg
部分アルファー化デンプン 24.3mg
HPC 5mg
カルメロース 23.25mg
ステアリン酸マグネシウム 1mg
【0020】
実施例2
先ず、ボールミルでSDSを2.4g粉砕した(回転数:60回転/分、5分間)。続いて、結晶セルロース64g及びフルタミド80gを加えて、共粉砕を行った(回転数:60回転/分、40分間)。得られた共粉砕物に無水乳糖45.05g、部分アルファー化デンプン19.3g、HPC5g、カルメロース23.25gを混合し湿式造粒を行い、整粒し、ステアリン酸マグネシウム1gを混合した後、打錠機を用いて圧縮成形し、1錠あたり全量が240mgの下記処方の錠剤となし本発明品を得た。
原材料名 組成(mg)
フルタミド 80mg
結晶セルロース 64mg
SDS 2.4mg
無水乳糖 45.05mg
部分アルファー化デンプン 19.3mg
HPC 5mg
カルメロース 23.25mg
ステアリン酸マグネシウム 1mg
【0021】
実施例3
先ず、SDSを1.8g、結晶セルロース48g及びフルタミド60gを加えて混合し、表面改質機(ハイブリダイザー、奈良機械製作所、東京)で共粉砕を行った(回転数:4800回転/分、1分間)。得られた共粉砕物に無水乳糖56.65g、部分アルファー化デンプン24.3g、HPC5g、カルメロース23.25gを混合し湿式造粒を行い、整粒し、ステアリン酸マグネシウム1gを混合した後、打錠機を用いて圧縮成形し、1錠あたり全量が220mgの下記処分の錠剤となし本発明品を得た。
原材料名 組成(mg)
フルタミド 60mg
結晶セルロース 48mg
SDS 1.8mg
無水乳糖 56.65mg
部分アルファー化デンプン 24.3mg
HPC 5mg
カルメロース 23.25mg
ステアリン酸マグネシウム 1mg
【0022】
実施例4
先ず、ボールミルでSDSを12.5g粉砕した(回転数:60回転/分、5分間)。続いて、結晶セルロース50g及びフルタミド62.5gを加えて、共粉砕を行った(回転数:60回転/分、40分間)。得られた共粉砕物に無水乳糖56.5g、部分アルファー化デンプン24.25g、HPC5g、カルメロース23.25gを混合し湿式造粒を行い、整粒し、ステアリン酸マグネシウム1gを混合した後、打錠機を用いて圧縮成形し、1錠あたり全量が235mgの下記処方の錠剤となし本発明品を得た。
原材料名 組成(mg)
フルタミド 62.5mg
結晶セルロース 50mg
SDS 12.5mg
無水乳糖 56.5mg
部分アルファー化デンプン 24.25mg
HPC 5mg
カルメロース 23.25mg
ステアリン酸マグネシウム 1mg
【0023】
実施例5
先ず、ボールミルで結晶セルロース62.5g及びフルタミド62.5gを加えて、共粉砕を行った(回転数:60回転/分、40分間)。得られた共粉砕物に無水乳糖56.5g、部分アルファー化デンプン24.25g、HPC5g、カルメロース23.25gを混合し湿式造粒を行い、整粒し、ステアリン酸マグネシウム1gを混合した後、打錠機を用いて圧縮成形し、1錠あたり全量が235mgの下記処方の錠剤となし本発明品を得た。
原材料名 組成(mg)
フルタミド 62.5mg
結晶セルロース 62.5mg
無水乳糖 56.5mg
部分アルファー化デンプン 24.25mg
HPC 5mg
カルメロース 23.25mg
ステアリン酸マグネシウム 1mg
【0024】
実施例6
先ず、ボールミルでSDSを6.25g粉砕した(回転数:60回転/分、5分間)。続いて、結晶セルロース56.25g及びフルタミド62.5gを加えて、共粉砕を行った(回転数:60回転/分、40分間)。得られた共粉砕物に無水乳糖56.5g、部分アルファー化デンプン24.25g、HPC5g、カルメロース23.25gを混合し湿式造粒を行い、整粒し、ステアリン酸マグネシウム1gを混合した後、打錠機を用いて圧縮成形し、1錠あたり全量が235mgの下記処方の錠剤となし本発明品を得た。
原材料名 組成(mg)
フルタミド 62.5mg
結晶セルロース 56.25mg
SDS 6.25mg
無水乳糖 56.5mg
部分アルファー化デンプン 24.25mg
HPC 5mg
カルメロース 23.25mg
ステアリン酸マグネシウム 1mg
【0025】
実施例7
先ず、ボールミルでSDSを1.9g粉砕した(回転数:60回転/分、5分間)。続いて、結晶セルロース37.1g及びフルタミド60gを加えて、共粉砕を行った(回転数:60回転/分、40分間)。得られた共粉砕物に無水乳糖28.1g、トウモロコシデンプン38.2g、部分アルファー化デンプン5gを混合し湿式造粒を行い、整粒し、ステアリン酸マグネシウム0.7gを混合した後、打錠機を用いて圧縮成形し、1錠あたり全量が171mgの下記処方の錠剤となし本発明品を得た。
原材料名 組成(mg)
フルタミド 60mg
結晶セルロース 37.1mg
SDS 1.9mg
無水乳糖 28.1mg
トウモロコシデンプン 38.2mg
部分アルファー化デンプン 5mg
ステアリン酸マグネシウム 0.7mg
【0026】
実施例8
先ず、ボールミルでSDSを2g粉砕した(回転数:60回転/分、5分間)。続いて、結晶セルロース48g及びフルタミド60gを加えて、共粉砕を行った(回転数:60回転/分、40分間)。得られた共粉砕物に無水乳糖28g、部分アルファー化デンプン13g、HPC3g、カルメロース20gを混合し湿式造粒を行い、整粒し、ステアリン酸マグネシウム1gを混合した後、打錠機を用いて圧縮成形し、1錠あたり全量が175mg下記処方の錠剤となし本発明品を得た。
原材料名 組成(mg)
フルタミド 60mg
結晶セルロース 48mg
SDS 2mg
無水乳糖 28mg
部分アルファー化デンプン 13mg
HPC 3mg
カルメロース 20mg
ステアリン酸マグネシウム 1mg
【0027】
実施例9
先ず、ボールミルでSDSを1.8g粉砕した(回転数:60回転/分、5分間)。続いて、マンニトール48g及びフルタミド60gを加えて、共粉砕を行った(回転数:60回転/分、40分間)。得られた共粉砕物に無水乳糖56.65g、部分アルファー化デンプン24.3g、HPC5g、カルメロース23.25gを混合し湿式造粒を行い、整粒し、ステアリン酸マグネシウム1gを混合した後、打錠機を用いて圧縮成形し、1錠あたり全量が220mgの下記処方の錠剤となし本発明品を得た。
原材料名 組成(mg)
フルタミド 60mg
マンニトール 48mg
SDS 1.8mg
無水乳糖 56.65mg
部分アルファー化デンプン 24.3mg
HPC 5mg
カルメロース 23.25mg
ステアリン酸マグネシウム 1mg
【0028】
実施例10
先ず、フルタミド62.5g、無水乳糖92g、ポリエチレングリコール(4000)20g、SDS20g、クロスカルメロースナトリウムl40gを加えて、混合し加熱処理(65℃、15分)を行い、加熱造粒を行い、整粒し、ステアリン酸マグネシウム0.5gを混合した後、打錠機を用いて圧縮成形し、1錠あたり全量が235mg下記処方の錠剤となし本発明品を得た。
原材料名 組成(mg)
フルタミド 62.5mg
無水乳糖 92mg
ポリエチレングリコール4000 20mg
SDS 20mg
クロスカルメロースナトリウム 40mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
【0029】
実施例11
先ず、ボールミルでSDSを20g粉砕した(回転数:60回転/分、5分間)。続いて、フルタミド62.5gを加えて、共粉砕を行った(回転数:60回転/分、40分間)。得られた共粉砕物に、無水乳糖92g、ポリエチレングリコール(4000)20g、クロスカルメロースナトリウム40gを加えて混合し加熱処理(65℃、15分)を行い、加熱造粒を行い、整粒し、ステアリン酸マグネシウム0.5gを混合した後、打錠機を用いて圧縮成形し、1錠あたり全量が235mg下記処方の錠剤となし本発明品を得た。
原材料名 組成(mg)
フルタミド 62.5mg
無水乳糖 92mg
ポリエチレングリコール4000 20mg
SDS 20mg
クロスカルメロースナトリウム 40mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
【0030】
実施例12
先ず、ボールミルでSDSを25g粉砕した(回転数:60回転/分、5分間)。続いて、フルタミド125gを加えて、共粉砕を行った(回転数:60回転/分、40分間)。得られた共粉砕物に、α−乳糖−水和物/結晶セルロース物理混合物(マイクロセラック、メグレ社)285.3g、ポリエチレングリコール(4000)20g、クロスカルメロースナトリウム10gを加えて、混合し加熱処理(65℃、15分)を行い、加熱造粒を行い、整粒し、軽質無水ケイ酸2.35g,ステアリン酸マグネシウム2.35gを混合した後、打錠機を用いて圧縮成形し、1錠あたり全量が235mgの下記処方の錠剤となし本発明品を得た。
原材料名 組成(mg)
フルタミド 62.5mg
マイクロセラック 142.65mg
ポリエチレングリコール4000 10mg
SDS 12.5mg
クロスカルメロースナトリウム 5mg
軽質無水ケイ酸 1.175mg
ステアリン酸マグネシウム 1.175mg
【0031】
次に、本発明品の溶出試験および動物試験結果を具体的に示す。
試験例1. 溶出試験
1. 試料
対照:オダイン錠(フルタミド含有125mg製剤:日本化薬(株))
本発明品:実施例1の錠剤
【0032】
2. 試験方法及び試験結果
各試料について第13改正日本薬局法溶出試験法第2法(パドル法)により溶出試験を行った。試験条件は前記のとおりであり、パドルの回転数は50回転/分,試験液は1%SDS水溶液、900mLである。溶出したフルタミドの量から、溶出率を算出した。得られた結果を図1に示す。図1から明らかなように本発明品の溶出速度の方が著しく速い。
溶出率(%)=(溶出したフルタミドの量/試料に含まれるフルタミドの量)×100
【0033】
試験例2. 本発明品の動物試験結果
1. 試料
対照:オダイン錠製剤(フルタミド含有125mg製剤:日本化薬(株))本発明品:実施例1の錠剤
【0034】
2. 試験方法及び試験結果
製剤投与前18時間以上絶食したビーグル犬9匹に、各々試験製剤1錠を水50mLと共に投与し、経時的に前肢静脈から5mLずつ採血した。血漿を取り出し、高速液体クロマトグラフィーにて代謝物の2−ヒドロキシ−2−メチル−N−[4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミド(OH−フルタミド)を測定した。その結果を図2に示した。さらに、その結果の血漿中濃度時間曲線下面積(AUC)と最高血中濃度(Cmax)を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
対照群と本発明品の血中動態がほぼ同等であることが示された。また、AUCのばらつきも本発明品の方が小さいことが示された。従って、本発明品は125mgのフルタミドを含有するオダイン錠よりも、少ない含量の製剤であるが、ほぼ同等のバイオアベィラビリティーを示す製剤であり、しかもバイオアベィラビリティーのバラツキが小さい製剤であることが示された。
【0037】
試験例3.本発明品の臨床試験結果
1.試料
対照:オダイン錠(フルタミド含有125mg製剤:日本化薬(株))
本発明品:実施例1、2(フルタミド含量60、80mg)の錠剤
【0038】
2.試験方法及び試験結果
製剤投与前12時間以上絶食した9名の健康成人男性に、各々試験製剤1錠を水100mLと共に投与し、経時的に7mLずつ採血した。血漿を取り出し、高速液体クロマトグラフィーにて代謝物のOH−フルタミドを測定した。その結果の血中濃度推移を図3に示した。さらに、その結果のAUCとCmaxを表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】
ヒトにおいても対照群と比較し本発明品の血中動態がほぼ同等であることが示された。従って、本発明品は比較例に対し、少ない含量の製剤でほぼ同等のバイオアベィラビリティーを示す製剤であることが示された。
【0041】
【本発明の効果】
本発明の製剤は、溶出速度が速く、経口吸収性が向上した製剤である。すなわち、少ないフルタミド含量で高いバイオアベィラビリティーを示す製剤である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1に本発明品とオダイン錠の溶出試験を示す。
【図2】図2に本発明品とオダイン錠の犬での吸収実験の結果を示す。
【図3】図3に本発明品とオダイン錠のヒトでの吸収実験を示す。
Claims (9)
- フルタミド、賦形剤として糖類、デンプン類およびセルロース類からなる群から選択される1種以上、及び溶解補助剤としてラウリル硫酸ナトリウムを粉砕機を用いて共粉砕し、共粉砕混合物を製剤化する事を特徴とするフルタミド固形製剤の製法。
- 共粉砕をボールミルを用いて行う請求項1記載の製法。
- 共粉砕を表面改質機を用いて行う請求項1記載の製法。
- あらかじめ溶解補助剤をボールミルを用いて粉砕し、ついでボールミルにフルタミド及び賦形剤を加え共粉砕し、製剤化する事を特徴とする請求項1記載のフルタミド固形製剤の製法。
- あらかじめフルタミド、賦形剤及び溶解補助剤を混合後、表面改質機を用いて共粉砕し、製剤化する事を特徴とする請求項1記載のフルタミド固形製剤の製法。
- 賦形剤として結晶セルロース、溶解補助剤としてラウリル硫酸ナトリウムを含む請求項1〜5のいずれか一項に記載のフルタミド固形製剤の製法。
- 共粉砕混合物が、フルタミド1重量部に対し賦形剤0.3〜2.0重量部であり、溶解補助剤0.005〜0.5重量部である請求項1〜6のいずれか一項に記載のフルタミド固形製剤の製法。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の製法により得られたフルタミド固形製剤。
- 錠剤である請求項8に記載のフルタミド固形製剤。
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