JP4116623B2 - 直交周波数マルチキャリア送信装置及び送信方法 - Google Patents

直交周波数マルチキャリア送信装置及び送信方法 Download PDF

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Description

この発明は、移動通信システムにおける例えば直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)や直交周波数符号分割多重(OFCDM:Orthogonal Frequency Code Division Multiplexing)のような直交周波数マルチキャリアを用いた送信装置及びその送信方法に関する。
地上波伝搬路による通信においては、周波数帯域利用効率を高めるとともにマルチパスの影響を少なくすることが望まれる。その実現方法の1つとしてマルチキャリアを用いたOFDM変調方式が使用されている。図18に従来のOFDMを用いた送信装置の例を示す。OFDM信号送信装置は一般に、直並列変換部12と、逆フーリエ変換部(図18においてIFFTの場合を示す)13と、並直列変換部14と、ガードインタバル挿入回路15と、主キャリア発生器16と、アップコンバータ17と、高周波電力増幅器18とを含むように構成されている。
入力端子6に入力されたシンボルレート1/T(Tはシンボル周期)のシンボル系列x0, x1, …は直並列変換部12でNシンボルごとに直並列変換され、N個ごとの並列シンボルx0(i), x1(i), …, xN-1(i)を得る。整数iはi回目の直並列変換を表すパラメータである。これら並列シンボルを図19にスペクトルで示すように周波数間隔1/TのN個のサブキャリア信号として扱い、逆フーリエ変換部13で逆フーリエ変換(例えばIFFT)してN個の時間領域信号に変換することによりN個の変調されたサブキャリアを周波数成分とするベースバンド信号st0(i), st1(i), …, stN-1(i)が得られる。
この並列信号を並直列変換部14により直列信号列(時系列信号)に変換し、例えばパケットごとにガードインタバルGIをガードインタバル挿入部15で挿入し、その出力をキャリア発生器16からの周波数fcの主キャリア信号とアップコンバータ17において混合してアップコンバートし、更に高周波電力増幅器18で増幅して端子19に出力する。
このようにOFDM信号ではサブキャリア信号の周波数間隔を1/T(Tはシンボル周期)とすることにより、サブキャリア信号が互いに直交するため、受信側でFFTにより容易に分離できる。
OFDM信号は基本的にマルチキャリア信号であるため、各サブキャリア信号の位相に応じて大きなピーク電力が発生する可能性がある。例えば、N個の全てのサブキャリア信号が同相で加算された場合には、平均電力のN倍のピーク電力が発生する。このピーク電力が高周波電力増幅器18の線形動作入力範囲を超えると歪が生じるので、予想されるピーク電力が増幅器の最大電力以下となるように増幅器の最大電力に対し動作平均電力を低く設定する(バックオフを大きくする)と、増幅器の電力増幅効率が低下する問題がある。そこで、マルチキャリア信号のピーク電力を低減することが望まれる。
OFDM信号ではないが、このようなマルチキャリア信号のピーク電力を低減する技術が例えば特許文献1に示されている。この特許文献1においては、マルチキャリア信号の出力から、システムとして許容できる送信ピークレベルである許容ピークレベルを超えるピーク成分を検出し、このピーク成分を各送信サブキャリア周波数成分に変換し、この変換後の信号を各サブキャリアの変調信号から差し引くことによりピーク低減を実現している。
特許第3235769号公報
しかしながら、この日本国特許に記載の技術では、送信マルチキャリア信号の形態としてOFDM信号やOFCDM信号は仮定していないため、サブキャリアの周波数間隔が1/Tの場合は想定しておらず、IFFTやFFTを用いる構成は示されていない。また、OFDM信号の帯域内に他のユーザが使用しているなどにより使用できないサブキャリアがある場合、上記特許文献1の技術では十分なピーク電力低減効果が期待できない。
従って、この発明の目的は、OFDM信号やOFCDM信号などのマルチキャリア送信信号のピーク電力を低減可能な直交周波数マルチキャリア送信装置及びそれを使用した送信方法を提供することである。
この発明によれば、送信する複数のシンボルを周波数軸上にシンボルレートと等しい周波数間隔の複数のサブキャリア信号成分として配列し、それらを時間領域信号に変換し、アップコンバートし、電力増幅して送信する直交周波数マルチキャリア送信装置及び送信方法において、上記複数のサブキャリア信号成分を複数の時間領域信号成分に逆フーリエ変換し、上記複数の時間領域信号成分のそれぞれと所定の許容ピークレベルを比較し、上記許容ピークレベルを超えるピーク成分を検出し、上記ピーク成分を上記サブキャリア信号成分と対応する周波数領域成分にフーリエ変換し、上記周波数領域成分を、上記複数のサブキャリア信号成分から減算し、それによって送信出力のピーク成分を抑制することを特徴としている。これにより、直交周波数マルチキャリア送信による高い周波数利用効率を実現するとともに、ピーク電力の低減が可能となるので、高周波電力増幅器における電力効率を高めることができる。
この発明によれば、更に、上記時間領域信号成分のレベルが上記許容ピークレベル以下の場合は上記ピーク成分を0と設定し、上記時間領域信号成分のレベルが上記許容ピークレベルより大の場合は、上記時間領域信号成分と上記許容ピークレベルの差を上記ピーク成分とすることにより時間領域のピーク成分を検出している。
この発明によれば、更に、上記フーリエ変換部からの上記周波数領域成分の各レベルを予め決めたピーク低減信号許容レベルと比較し、上記周波数領域成分のレベルが上記ピーク低減信号許容レベル以下となるよう制御するフーリエ変換出力信号制御部を設けることにより受信特性の劣化を低減することができる。
この発明によれば、更に、電力増幅された送信信号のレベルに応じて上記許容ピークレベルを決めることにより、より電力効率を高めることができる。
この発明によれば更に、上記複数のシンボルのそれぞれを拡散率SF個ずつコピーし、上記コピー結果を拡散符号で拡散し、拡散結果を上記複数のサブキャリア信号成分として出力することにより、他の送信装置が同じサブキャリアのセットを使用可能にしている。
この発明によれば、更に、それぞれシンボルが入力される複数系統の各系統において複数のシンボルのそれぞれを拡散率SFずつコピーし、各系統の上記複数のコピー結果を異なる拡散符号で拡散し、上記複数系統のそれぞれの拡散出力の対応する成分を合成して上記複数のサブキャリア信号成分として出力することにより、同一送信装置上で異なる複数のユーザが同じサブキャリアセットを使用可能となり、更に周波数の利用効率を高めることができる。
この発明によれば、更に、ロングコードにより上記合成出力を拡散し、拡散結果を上記複数のサブキャリア信号成分として出力することにより複数の基地局における送信装置が同じサブキャリアセットを使用可能とするので、周波数利用効率を高めることができる。
この発明によれば、全ての上記複数の時間領域信号成分のレベルが上記許容ピークレベルより以下となるまでピーク低減処理を繰り返し実行することにより、受信特性の劣化を許容範囲に抑えてピーク電力を規定値以下に抑圧することを実現可能とする。
この発明によれば、それぞれのサブキャリア成分の可能な各組み合わせに対し、予めピーク成分が上記許容ピークレベル以下となるまで上記逆フーリエ変換と上記ピーク成分検出と上記フーリエ変換と上記減算とによるピーク抑圧処理を実行したときに得られる時間領域信号成分を格納したメモリから上記サブキャリア信号成分に対応した時間領域信号成分を読み出すことにより、構成を簡単にし、かつ処理速度を高めることができる。
図16Aのグラフは図1の実施例においてサブキャリア数Nを128とし、各サブキャリアにより107シンボルを送信した場合に電力/平均電力比に対する累積度数分布を示している。曲線A-1はピーク抑圧を行わない場合であり、曲線A-2は許容ピークレベルCthを平均電力の3dBに設定してピーク抑圧を行った場合を示している。このグラフから、この発明によるピーク抑圧により、電力/平均電力比が3dBを超えるシンボルは0%となっている。
図16Bは許容ピークレベルCthが3dBと6dBの場合の受信信号のEb/No(ビット当たりエネルギー/雑音レベル)対BER(ビット誤り率)特性を曲線B-3とB-2で示し、ピーク抑圧を行わない場合のBER特性を曲線B-1で示している。この図から、この発明のピーク電力低減処理による受信特性の劣化量は小さく、許容ピークレベルCthが3dBの場合でも、BER=10-3で1dB程度の許容範囲の劣化であることがわかる。
図17にこの発明による図1の実施例の効果を表すグラフを示す。ここでは128個のサブキャリア中、第7,8,9,51,52,53番目の6個が使用できない場合の例を示している。平均電力に対する許容ピークレベルCthは3dBとしている。ピーク低減処理が1回では、曲線7-2に示すように許容ピークレベル以下にならないが、ピーク低減処理を2回、3回と繰り返すことにより、曲線7-3, 7-4で示すようにほぼ許容ピークレベル以下になることがわかる。曲線7-1はピーク低減処理を行わない場合である。
以上説明したように、OFDM信号あるいはOFCDM信号のピーク電力を効果的に低減できるため、送信電力増幅器18の最大出力を低減でき、電力効率の改善及び低コスト化を実現することができる。
第1実施例
図1はこの発明による移動通信システムの送信装置の第1実施例を示す。図18に示した従来の構成と比較し、パイロットを生成するパイロット生成部9と、パイロットと端子6に与えられた送信シンボルを多重化し、直並列変換部12に与える多重化部11と、許容ピークレベルCthを設定する許容ピークレベル設定部21と、逆フーリエ変換部13の出力から許容ピークレベルCthを超えるピーク成分を検出するピーク成分検出部22と、ピーク成分をフーリエ変換(ここではFFTの場合を示す)するフーリエ変換部23と、及びフーリエ変換部23の出力を逆フーリエ変換部13への入力信号から減算する減算器240〜24N-1を更に備えている点が異なる。パイロットは例えば各フレームの先頭に配置されるように多重化され、受信側において伝送路特性を推定するために使用される。
まず、ピーク成分検出部22では、許容ピークレベル設定部21から許容ピークレベルCthが与えられ、逆フーリエ変換部13の出力の各時間領域信号成分st0(i)〜stN-1(i)のレベルから許容ピークレベルの値Cthを減算し、ピーク成分ut0(i)〜utN-1(i)を生成する。ただし、時間領域信号成分stk(i)のレベルが許容ピークレベルCth以下の場合には、対応するピーク成分utk(k)を0に設定する。これらピーク成分ut0(i)〜utN-1(i)はフーリエ変換部23で周波数領域成分uf0(i)〜ufN-1(i)に変換され、得られた周波数領域成分を減算器240〜24N-1で逆フーリエ変換部13への入力信号sf0(i)〜sfN-1(i)から減算する。減算後の信号は再び逆フーリエ変換部13で逆フーリエ変換(ここではIFFTの場合を示す)され、その出力について再度ピーク成分がピーク成分検出部22で検出される。
上記のピーク成分検出と、その結果生成したピーク成分を逆フーリエ変換部13の入力から減算する処理を、全ての逆フーリエ変換出力レベル(時間領域信号成分レベル)が許容ピークレベルCth以下となるまで繰り返す。全てのピーク成分のレベルが許容ピークレベルCth以下となった時点でピーク低減処理を停止し、このときの逆フーリエ変換部13の出力を、以下、図18の場合と同様に並直列変換部14で1つの時系列に変換してOFDM信号として出力する。通常は、この変換出力に図18で説明したと同様にガードインタバル挿入部15でガードインタバルGIを挿入してOFDM信号を生成する。OFDM信号はアップコンバータ17で無線周波信号に変換され、高周波電力増幅器18で増幅されて出力される。
図2はピーク成分検出部22の構成例を示す。ピーク成分検出部22はN個のピーク成分生成器220〜22N-1により構成されている。図1における直並列変換部12によるi回目の変換出力に対する逆フーリエ変換部13の入力信号Sf(i)と出力信号St(i)を
Sf(i)=(sf0(i), sf1(i), …, sfN-1(i)) (1)
St(i)=(st0(i), st1(i), …, stN-1(i)) (2)
で表すと、逆フーリエ変換部13の出力信号の各要素stk(i)は入力信号Sf(i)の各要素sfn(i)を用いて次式で表すことができる。
Figure 0004116623
ただし k=0, 1, ..., N-1
ピーク成分検出部22が生成するピーク成分Ut(i)を
Ut(i)=(ut0(i), ut1(i), …, utN-1(i)) (4)
と表すと、各ピーク成分生成器22kは、許容ピークレベル設定部21から設定された許容ピークレベルCthを使って以下のように定義されるピーク成分utk(i)を生成する。
Figure 0004116623
ピーク成分Ut(i)をフーリエ変換部23でフーリエ変換して得た周波数領域信号Uf(i)=(uf0(i), uf1(i), …, ufN-1(i))の各成分ufn(i)は次式
Figure 0004116623
で表される。従って、減算器240〜24N-1で生成されるピーク低減後の逆フーリエ変換部13の入力信号S'f(i)の各要素s'fn(i)は
s'fn(i)=sfn(i)−ufn(i) (7)
で表される。前述のように、逆フーリエ変換部13へのこの更新された入力信号S'f(i)に対し、式(5)で規定するピーク成分Ut(i)が全て0になるまで式(3), (5), (6)及び(7)を繰り返し実行する。
OFDM方式においては、例えば帯域内に他のユーザが使用する信号が混在する場合、その周波数に相当する直並列変換部12の出力端には信号出力を行わず、逆フーリエ変換部13への対応入力を0にすることにより干渉を回避することができる。この場合、すべてのサブキャリア成分は使用できないので、ピーク低減処理を1度行っただけでは許容ピークレベルを超えるピーク成分が残留する場合がある。しかしながら、この発明のようにピーク低減処理を繰り返すことにより、許容ピークレベル以下にピーク電力を低減することが可能となる。また、上記のピーク低減処理手順から明らかなように、OFDMにおけるサブキャリア数について制限を受けることはない。
図3は図1の実施例においてピーク低減処理を行う送信方法の処理手順を示す。
ステップS1:シンボル周期Tの送信すべき入力シンボル系列を直並列変換して周波数間隔が1/TのN個のサブキャリア信号成分sf0(i), sf1(i), …, sfN-1(i)とする。
ステップS2:サブキャリア信号成分sf0(i), sf1(i), …, sfN-1(i)を逆フーリエ変換して時間領域信号成分st0(i), st1(i), …, stN-1(i)を得る。
ステップS3:全ての時間領域信号成分のレベル|stk(i)|, k=0, 1, …, N-1が許容ピークレベルCth以下か判定する。
ステップS4:1つでもCthより大の|stk(i)|が有ればピーク成分utk(i)を前述の式(5) に従って求める。
ステップS5:得られたピーク成分ut0(i), ut1(i), …, utN-1(i)をフーリエ変換し、ピーク成分の周波数領域成分uf0(i), uf1(i), …, ufN-1(i)を得る。
ステップS6:サブキャリア信号成分sf0(i), sf1(i), …, sfN-1(i)からピーク成分の周波数領域成分uf0(i), uf1(i), …, ufN-1(i)を減算し、減算結果を更新されたサブキャリア信号成分sf0(i), sf1(i), …, sfN-1(i)としてステップS2に戻る。
ステップS7:ステップS3で全ての|stk(i)|がCth以下と判定されると、そのときの時間領域信号成分st0(i), st1(i), …, stN-1(i)を並直列変換して時系列信号とする。
ステップS8:時系列信号を周波数fcのキャリアでアップコンバートして高周波信号を生成する。
ステップS9:高周波信号を電力増幅して送信する。
このように、この発明の重要で特徴的なことは、逆フーリエ変換により得られた時間領域信号の許容ピークレベルを超えるピーク成分を検出し、それをフーリエ変換して周波数領域の成分に変換し、対応する周波数のサブキャリア信号成分から減算するループを1回以上必要なだけ繰り返すことである。
図4に図1の第1実施例に対する変形実施例を示す。この変形実施例は、電力増幅器18の送信出力に応じて、平均送信電力に対する相対的な許容ピークレベルCthを変える点が第1実施例と異なる。その他の構成は図1の構成と同様である。
この発明のピーク電力低減処理方法は、通常はベースバンド処理により行う。このため、ピーク電力低減処理に用いる許容ピークレベルCthは実際に送信電力増幅器18から出力される絶対的な値ではなく、平均送信電力に対する相対的な値として設定することになる。移動通信では、通常、移動の位置などによる受信レベルの変化に応じて送信出力を変えている。このため、上記のように許容ピークレベルCthを相対的な値として設定した場合には、許容ピークレベルの絶対的な値は送信出力に応じて変化することになる。
一方、送信出力の大きさが送信電力増幅器18の最大出力より十分小さいときには、OFDMを用いることにより大きなピーク電力が発生しても、消費電力はあまり大きくない場合がある。ピーク電力を低減させた場合、通常は受信特性の劣化を招くため、上記のように送信出力が小さい場合には、ピーク電力低減量を抑制したほうがシステム全体から見た場合、有利なときがある。
図4の変形実施例では、このような点を考慮して、許容ピークレベル設定部21により、送信電力が大きい場合には、平均送信電力に対する相対的な許容ピークレベルCthを小さく設定し、送信電力が小さい場合には、平均送信電力に対する相対的な許容ピークレベルを比較的大きく設定することにより、効率的なシステムを構築している。
第2実施例
図5にこの発明の第2実施例を示す。図1及び4の実施例とは、ピーク低減信号許容レベルに応じてフーリエ変換出力信号の大きさを制御するフーリエ変換出力制御部31と、そのフーリエ変換出力制御部31にピーク低減信号許容レベルPLthを設定する許容レベル設定部32を備えている点が異なる。フーリエ変換出力制御部31は図6に示すように加算器31Aと、比較レベル低減処理部31Bと、蓄積部31Cとを有している。
この発明において、フーリエ変換部23の各出力uf0(i), …, ufN-1(i)は、各サブキャリアの信号に挿入するピーク低減信号に相当する。この実施例では、フーリエ変換出力制御部31によりこのピーク低減信号の大きさをサブキャリアごとに制御することにより受信特性への影響を小さくしている。
この発明のピーク電力低減手法をOFDM信号に適用した場合、生成されたピーク低減信号uf0(i), …, ufN-1(i)の大きさは、図7Aに示すようにサブキャリアごとで異なる。このとき、信号電力に比べて大きなピーク低減信号が生成された場合、そのサブキャリアの受信特性が劣化する。この実施例では図6に示すように許容レベル設定部32でピーク低減信号許容レベルPLthを設定し、比較・レベル低減部31においてサブキャリアごとにピーク低減信号許容レベルPLthと生成されたピーク低減信号uf0(i), …, ufN-1(i)を比較し、ピーク低減信号の大きさがピーク低減信号許容レベルPLthを超える場合は、そのサブキャリアのピーク低減信号を0又はピーク低減信号許容レベルPLth以下の値にする。このときのピーク低減信号の例を図7Bに示す。この処理を行った後のピーク低減信号u'f0(i), …, u'fN-1(i)は図6の蓄積部31に蓄積されるが、この信号を減算部240, …, 24N-1で逆フーリエ変換部13の入力信号から引き算することにより逆フーリエ変換部13の出力信号のピーク電力を抑える。
このとき、一部のサブキャリアのピーク低減信号を0にしたため、再び許容ピークレベルを超えるピーク成分が発生する。そこで、この残留するピーク成分をピーク成分検出部22で検出して再度フーリエ変換し、このフーリエ変換出力信号を蓄積部31Cに蓄積されているピーク低減信号に加算する。この加算後のピーク低減信号とピーク低減信号許容レベルPLthを比較・レベル低減部31Bにおいて再度サブキャリアごとに比較し、そのサブキャリアのピーク低減信号を0又はピーク低減信号許容レベルPLth以下の値にする。
以上の信号処理を繰り返すことにより、図7Cに示すように、サブキャリアごとに挿入されるピーク低減信号の大きさを抑え、かつ送信信号のピーク電力を抑えることが可能となる。
上記の説明では、ピーク低減信号許容レベルを全てのサブキャリアに対し一定としたが、これをサブキャリアごとに変えて設定することも可能であり、以下のような例があげられる。
移動通信では、受信特性の改善とシステム容量の増大を目的として、送信電力制御を行っているが、OFDM伝送においてもサブキャリアごとの送信電力を伝送路の条件に合わせて変えることが研究されている。このように送信電力がサブキャリアごとに異なる場合、送信電力の小さいサブキャリアのピーク低減信号許容レベルを小さくすることにより受信特性の劣化を防ぐことが可能となる。例えば、図8Aに示すように、送信信号のS/Nが一定となるようにピーク低減信号許容レベルPLth0, …, PLthN-1を設定してもよい。
一方、OFDM伝送の送信電力制御については、図8Bに示すように、OFDM信号をNs(2≦Ns≦N-1)個のセグメントSG1, …, SGNsに分解し、セグメントごとに送信電力を制御するという方法も可能である。この場合、伝送路の条件の悪い例えばセグメントSGkについては信号を伝送せず、その分の送信電力を伝送路条件のよい他のセグメントに割り当てるという手法が有効である。このような伝送形態においては、信号を伝送しないセグメントの周波数帯域におけるピーク低減信号許容レベルPLthkを大きくし、ピーク低減信号をこの帯域に集中させることにより、信号伝送を行う帯域のピーク低減信号の大きさを小さくでき、受信特性の劣化をより一層抑えることが可能となる。
第3実施例
上述の実施例ではOFDMを使った送信装置にこの発明を適用した場合を示したが、次にこの発明をOFCDMに適用した場合の第3実施例を図9に示す。この実施例は、図1の実施例において、更に直並列変換部12のJ=N/SF個の並列出力にコピー部251〜25Jを接続し、各コピー部25j(1≦j≦J, J×SF=N)のSF個のコピー出力に拡散符号生成部26からの拡散符号を乗算器270〜27N-1で乗算して加算器240〜24N-1に与えるように構成したものであり、その他の構成は図1の場合とほぼ同様である。ただし、この実施例ではパイロット生成部9と多重部11が設けられ、多重部11において送信シンボル系列にパイロットシンボルを挿入して直並列変換部12に与えている。SFは拡散率と呼ばれ、1以上の整数である。
OFCDM方式においてはコピー部251〜25Jの出力は、ユーザ固有のショートコードと、送信装置が使用される基地局が属するセルに固有なロングコードにより拡散される。図9の実施例では拡散符号生成部26においてショートコードとロングコードの乗算結果を拡散符号として生成し、NチップごとにN個の乗算器270〜27N-1に1チップずつ与えてコピー部251〜25JのN個の出力と乗算し、乗算結果は加算器240〜24N-1の対応するものに与えられる。以降のピーク低減処理は図1の実施例と同様であり、また破線で示すように、図4の実施例と同様に高周波電力増幅器18の平均電力に応じて許容ピークレベル設定部21における許容ピークレベルCthの設定値を変更してもよい。
図9の実施例においても、コピー部251〜25Jの全出力数はN=J・SFであり、直並列変換部12への入力シンボル周期Tに対しこれらのコピー部のN個の出力は周波数間隔1/Tのサブキャリア信号成分として扱われる。この実施例においては拡散率SFを1以上N以下の整数とすると、直並列変換部12において入力シンボル列をJ=N/SF個の並列シンボルに変換し、それらJ個の各出力をコピー部25jでSF個コピーしてSF個のサブキャリア信号成分として送信することになる。従って、SFが2以上であれば受信側においてダイバーシティ効果が得られる利点があるが、それだけ信号の送信速度は低下する。
図9の実施例の送信装置による送信処理手順は図3に示した処理手順においてステップS1の直並列変換の後に、各シンボルをSF個にコピーする処理と、それにより生成された全N個のシンボルを拡散符号で拡散する処理を追加すればよい。拡散されたN個のシンボルをN個のサブキャリア信号成分sf0(i), sf1(i), …, sfN-1(i)として使用し、以下、図3のステップS2以降を実行する。
図10の実施例は、図9の実施例においてデータ入力端子6から直並列変換部12までの系統を複数設け、それら複数系統の出力を異なる拡散符号で拡散することにより同じサブキャリアセットを複数使用可能とするOFCDMを使用した信装置の実施例を示す。
図10に示すように、この実施例では図9におけるパイロット生成部9、多重部11、直並列変換部12、コピー部251〜25J、乗算器270〜27N-1を含む同様の構成のM個のサブキャリア生成部101〜10Mが設けられている。Mは2以上の整数である。更に、各サブキャリア生成部10m(1≦m≦M)は、この例ではショートコード生成部26Aを有し、それぞれのサブキャリア生成部101〜10Mのショートコード生成部26Aはコード長が同じ互いに異なるショートコードSC1〜SCMを生成する。各ショートコード生成部26AはショートコードSCmを乗算器270〜27N-1に1チップずつ与える。
M個のサブキャリア生成部101〜10Mのそれぞれの乗算器270〜27N-1の出力は合成部28に与えられ、対応するサブキャリア信号成分がそれぞれ合成され、N個の合成サブキャリア信号成分を出力し、乗算器290〜29N-1に与えられる。ロングコード生成部26BはロングコードLCを生成し、Nチップごとに1チップずつ乗算器290〜29N-1に与えて合成部28からのN個の出力と乗算され、その乗算結果はN個の減算器240〜24N-1に与えられる。以降のピーク低減処理は図1の実施例の場合と同様であり、また、破線で示すように、許容ピークレベルは図4の実施例と同様に電力増幅器18の平均電力に応じて変化させてもよい。
更に、図10の実施例において、ショートコード生成部26Aの代わりにショートコードとロングコードを乗算して出力する拡散符号生成部26を使用し、ロングコード生成部26Bと乗算器290〜29N-1を省略してもよい。
図10の実施例に拠れば、同じセットのN個のサブキャリアを複数のユーザが使用できるので、周波数利用効率が高い利点がある。また、上記実施例において、拡散率SFの値を、マルチパスによる遅延スプレッドの大きさに応じて変更してもよく、従って、この発明のピーク低減手法を第4世代移動通信方式として検討されているVSF-OFCDM(可変拡散・直交周波数符号分割多重)方式に適用できることを示している。
図10の実施例による送信処理手順の場合、図3の処理手順のステップS1において複数系統の入力シンボルを系統ごとに直並列変換し、コピー処理を行い、得られたN個のシンボルを拡散符号により拡散してから複数系統の拡散されたシンボルの対応するものを合成してN個の合成拡散シンボルをN個のサブキャリア信号成分sf0(i), sf1(i), …, sfN-1(i)として得る。以降の処理は図3のステップS2以降を実行すればよい。
上述した図1、4、9及び10の各実施例において、各シンボルの取り得る値は予め決められているので、その取り得る値の数をKとすれば、直並列変換部12のN個の並列出力の組み合わせはKN通りある。これらの組み合わせは予め決まっているので、それらの各組に対し予め逆フーリエ変換を計算してメモリに格納しておき、逆フーリエ変換部13のN個の入力信号に対応する逆フーリエ変換結果をメモリから読み出して使用してもよい。その場合、逆フーリエ変換部13自体がメモリで構成されることになる。フーリエ変換部23についても同様にメモリで構成してもよい。
更に、逆フーリエ変換出力の取り得る値の組み合わせも決まっているので、許容ピークレベルCthが予め決められていれば、式(5) によるピーク成分を予め計算することが可能であり、従って、直並列変換部12のN個の出力の組(または逆フーリエ変換部13のN個の入力の組)が与えられれば、検出ピークが許容ピークレベルCth以下となるまでピーク低減処理を繰り返し実行した場合の逆フーリエ変換部13の最終出力を予め求めることができる。
そこで、直並列変換部12の出力(または逆フーリエ変換部13の入力)の各組に対応して、ピーク低減処理を行った場合の逆フーリエ変換部13の出力を予めメモリに格納しておき、送信装置の動作状態において直並列変換部12の出力(図9及び10の場合は乗算器240〜24N-1の出力)に対応するピーク低減処理後の逆フーリエ変換結果をメモリから読み出して並直列変換部14に与えてもよい。その場合、図1、4、9及び10における逆フーリエ変換部13、ピーク成分検出部22、フーリエ変換部23及び減算器240〜24N-1の全体が1つのメモリで構成されることになる。
受信装置の第1実施例
図11にこの発明による送信装置に適応した受信装置の構成例を示す。この受信装置は、通常のOFDM信号受信機と同様に局部発振器42、ダウンコンバートミキサ43、ガードインタバル除去回路44、直並列変換部45、フーリエ変換部46、フィルタ処理部47、並直列変換部48、誤り訂正復号部49、参照パイロット生成部51、及びチャネル推定部53を備えている。この実施例では更に、参照パイロット生成部51とチャネル推定部53の間にピーク低減部52が設けられている。
端子41に与えられたOFDM信号はダウンコンバートミキサ43で局部発振器42からの局部信号によりベースバンド信号(又は中間周波信号)に変換され、ガードインタバル除去回路44でガードインタバルが除去され、直並列変換部45で並列信号に変換後、フーリエ変換部46でフーリエ変換される。フーリエ変換部46の出力信号はサブキャリアごとの受信信号となっている。これらサブキャリア受信信号からフィルタ処理部47でチャネル伝送路歪を除去して並直列変換部48で直列信号に変換し、誤り訂正復号部49で誤り訂正復号を行って元の信号を復調する。
チャネル推定部53では、受信側で既知の信号パターンが送信されるパイロット区間において、参照パイロット生成部51からの参照パイロット信号とサブキャリア受信信号を用いてチャネル推定を行う。このとき、チャネル推定法としては、例えば、サブキャリアごとの受信信号と参照パイロット信号間の相関を取り、その相関から各チャネルの伝送路特性の逆特性を表すフィルタ係数、例えばFIRフィルタ係数をチャネル推定値として計算により求める。
図1、図4及び図5で説明したように、送信側ではピーク低減処理を行っているので、各サブキャリアの受信パイロット信号はチャネル伝送路特性による影響だけでなく、ピーク低減処理による影響も受けている。そこで図11の受信装置では、受信側で発生する参照パイロット信号にも送信側と同様のピーク低減処理を行うことにより、チャネル推定部53におけるチャネル推定の精度を高めている。
図12はピーク低減部52の構成例を示す。この例は図5の送信装置における逆フーリエ変換部13、ピーク成分検出部22、フーリエ変換部23、フーリエ変換出力信号制御部31、減算器240, ..., 24N-1の構成及び動作と同様であり、参照パイロット生成部51からの参照パイロット信号は逆フーリエ変換部52Aで逆フーリエ変換され、ピーク成分検出部52Bでその変換出力のピーク成分を検出し、許容ピークレベルCth以下の成分は全て0に設定される。ピーク成分検出部52Bの出力はフーリエ変換部52Cでフーリエ変換され、その変換出力はフーリエ変換出力信号制御部52Dでピーク低減信号許容レベルPLthと比較され、それを超す成分はPLthより小さい予め決めた値(送信側と同じ値)に置き換えられる。フーリエ変換出力信号制御部52Dの出力は減算器52E0, ..., 52EN-1で参照パイロット信号から引き算される。ピーク成分検出部52Bによる全ての成分の検出レベルが許容ピークレベルCthより小さくなるまで以上の処理が繰り返され、これによって送信側においてパイロット信号が受けるピーク低減処理と同じピーク低減処理が受信側においても参照パイロット信号に対し行われる。従って、図11のチャネル推定部53に与えられるサブキャリア受信パイロット信号とピーク低減部52から与えらるピーク低減された参照パイロット信号との差異は受信パイロットが伝送路で受けた歪だけであり、チャネル推定部53におけるチャネル推定精度を高めることができる。
チャネル推定部53はN個の各チャネルについてサブキャリア受信パイロット信号と、ピーク低減部52でピーク低減処理された参照パイロット信号との間の相関を計算し、その相関から伝送路特性を表す例えばFIRフィルタ係数をチャネル推定値として計算する。フィルタ処理部47はこの各チャネルのフィルタ係数から伝送路特性の逆特性を表す係数を計算し、その逆特性係数を使って対応するチャネルのサブキャリア受信信号に対しFIRフィルタ処理を行うことにより、受信信号から伝送路歪を除去する。フィルタ処理部47の出力は並直列変換部48で直列信号に変換され、誤り訂正復号部49で誤り訂正復号される。
この受信装置によれば、チャネル推定時に受信パイロット信号が送信側で受けたピーク低減処理の影響を除去して精度よくチャネル推定を行うことができるので、それだけ送信側においてピーク許容レベルPLthを高く設定できる。従って、送信装置においてピーク低減量を大きくすることができるので、それだけ高周波電力増幅器18におけるバックオフを小さくし、高能率の電力増幅が可能になる。
送信側でフーリエ変換出力であるピーク低減信号に各種制御処理を行っている場合には、図12に示したフーリエ変換出力信号制御部52Dにより送信側と同様の処理を行えばよい。
受信装置の第2実施例
図11ではチャネル推定を精度よく行うために参照パイロット信号に対し送信側と同じピーク低減処理を行う構成を示したが、図1、図4及び図5の送信装置においては送信信号全区間に渡ってピーク低減処理を行っているので、受信信号はピーク低減処理を受けた信号、即ち、受信特性がそれだけ劣化した信号となっている。特性の劣化が許容範囲であれば、そのまま使用することができるが、図13に示す受信装置の第2実施例では、送信側におけるピーク低減処理に起因する特性の劣化を補償するように構成している。即ち、図13に示すように、図11の構成に対し、更にピーク低減信号生成部54と、加算器550, ..., 55N-1と、硬判定/直列変換部56が設けられる。硬判定/直列変換部56は、フィルタ処理部47の出力を硬判定し、並直列変換して送信信号推定値を出力する。この送信信号推定値からピーク低減信号生成部54で生成したピーク低減信号を加算器550, ..., 55N-1でフーリエ変換部46の出力である各サブキャリア受信信号に加算する。
ピーク低減信号生成部54の構成例を図14に示す。この構成における直並列変換部54A、逆フーリエ変換部54B、ピーク成分検出部54C、フーリエ変換部54D、フーリエ変換出力信号制御部54Eは、図5に示した送信装置における直並列変換部12、逆フーリエ変換部13、ピーク成分検出部22、フーリエ変換部23、フーリエ変換出力信号制御部31の構成及び動作と同様である。即ち、直並列変換部54Aで送信信号推定値を並列信号に変換し、得られた並列信号を逆フーリエ変換部54Bで逆フーリエ変換してからピーク成分検出部54Cで許容ピークレベルCthより低い成分を0に設定し、その出力をフーリエ変換部54Dでフーリエ変換してピーク低減信号を生成する。更にフーリエ変換出力信号制御部54Eでピーク低減信号中のピーク低減信号許容レベルPLthを超える成分をPLthより小さい予め決めたレベル(送信側と同じ値)に設定する。
フーリエ変換出力信号制御部54Eの出力は、例えばFIRフィルタで構成された伝送路推定フィルタ部54Fでそれぞれチャネル推定部53からの伝送路特性を表すチャネル推定値(FIRフィルタ係数)を使ってフィルタ処理され、伝送路特性の影響が与えられたピーク低減信号が生成される。これらピーク低減信号は図13におけるそれぞれのサブキャリア受信信号に加算器550, ..., 55N-1で加算され、送信側で与えられたピーク低減処理が相殺される。従って、フィルタ処理部47の出力には送信装置の直並列変換部12の出力であるNチャネルのサブキャリア信号により近い信号が得られる。
送信側でフーリエ変換出力であるピーク低減信号に各種制御処理を行っている場合には、図14に示したフーリエ変換出力信号制御部54Eにより送信側と同様の処理を行えばよい。
受信装置の第3実施例
図15はこの発明の送信装置に適応した受信装置の第3実施例を示す。この受信装置は図13の受信装置において、硬判定/並直列変換部56による送信信号推定値の代わりに誤り訂正復号部49からの復調信号を使用するように構成したものであり、その他は図13の場合と同じである。
この受信装置では、最初の復調時には、ピーク低減信号を加算しないでサブキャリア受信信号を用いてフィルタ処理、並直列変換及び誤り訂正復号を行い、得られた復調信号を用いてピーク低減信号生成部54によりピーク低減信号を生成する。次に、これらのピーク低減信号を加算器550, ..., 55N-1でそれぞれサブキャリア受信信号に加算して送信側で減算したピーク低減信号を相殺し、再度フィルタ処理、並直列変換、誤り訂正復号処理を行う。
ここで、復調信号として、誤り訂正復号処理後の信号を用いることにより、ピーク低減信号を生成するための復調信号の品質が向上し、より精度よくピーク低減信号を生成できるため効果的である。
また、必要であれば、上記の復調信号からピーク低減信号を生成し、これらのピーク低減信号を加算したサブキャリア受信信号を用いて再度フィルタ処理と復号処理を行うという一連の処理を繰り返すことにより、ピーク低減信号の生成精度が向上し、更に受信特性を改善することが可能となる。
上記繰り返し処理の回数については、信号処理量や処理時間による遅延を考慮して、予め上限を設定しておいてもよいし、CRC等を用いて受信信号の品質を評価し、その品質に応じて繰り返すか否かを判定してもよい。
図11、図13、図15におけるピーク低減部52の構成を示す図12において、参照パイロット信号のパターンは予め決まっているので、逆フーリエ変換部52Aに与えられる入力の取り得る値の全ての組は決まっている。各組の値に対し、予め逆フーリエ変換を計算可能であり、その計算結果を使ってピーク成分検出部52Bの出力を計算可能であり、その出力を使ってフーリエ変換部52Cの計算が可能であり、そのフーリエ変換出力を使ってフーリエ変換出力信号制御部52Dの出力を計算可能であり、更に、その出力を使って減算器52E, ..., 52E N-1 による参照パイロット信号との減算が可能である。即ち、入力された参照パイロット信号に対し、予めピーク低減参照パイロット信号を計算しておくことができる。そこで、ピーク低減部52をメモリで構成し、そのメモリに予め計算した参照パイロット信号に対応してピーク低減参照パイロット信号を格納しておくことにより、逆フーリエ変換、フーリエ変換等の演算を実時間で行う必要はなく、処理速度を高めることができる。
OFDMを使用した場合のこの発明による送信装置の第1の実施例を示すブロック図。 図1の実施例におけるピーク成分検出部22の構成例を示すブロック図。 図1の送信装置による送信処理手順を示すフロー図。 図1の実施例の変形実施例を示すブロック図。 この発明の第2の実施例を示すブロック図。 図5の実施例におけるFFT出力制御部の構成を示すブロック図。 Aはピーク低減信号の例を示す図。Bはピークレベル制限後のピーク低減信号の例を示す図。Cは繰り返し処理後のピーク低減信号の例を示す図。 Aはピークレベル低減信号に対する異なる複数の許容レベルを示す図。Bはセグメントごとに設定したピーク低減信号許容レベルの例を示す図。 OFCDMを使用した場合のこの発明による送信装置の実施例を示すブロック図。 図9の実施例の変形実施例を示すブロック図。 この発明の送信装置に適応した受信装置の第1実施例を示すブロック図。 図11におけるピーク低減部52の構成例を示すブロック図。 この発明の送信装置に適応した受信装置の第2実施例を示すブロック図。 図13におけるピーク低減信号生成部54の構成例を示すブロック図。 この発明の送信装置に適応した受信装置の第3実施例を示すブロック図。 Aは図1の実施例における送信シンボルに対するピーク低減効果を示すグラフ。Bは図1の実施例により送信した場合の受信信号の特性を示すグラフ。 図1の実施例による効果を示すグラフ。 従来のOFDMを使用した送信装置を説明するためのブロック図。 OFDMにおけるサブキャリアの帯域を説明するための図。

Claims (11)

  1. 送信する複数のシンボルを周波数軸上にシンボルレートと等しい周波数間隔の複数のサブキャリア信号成分として配列し、それらを時間領域信号に変換し、アップコンバートし、電力増幅して送信する直交周波数マルチキャリア送信装置において、
    上記複数のサブキャリア信号成分を複数の時間領域信号成分に変換する逆フーリエ変換部と、
    上記複数の時間領域信号成分のそれぞれと所定の許容ピークレベルを比較し、上記許容ピークレベルを超えるピーク成分を検出するピーク成分検出部と、
    上記ピーク成分を上記サブキャリア信号成分と対応する周波数領域成分に変換するフーリエ変換部と、
    上記周波数領域成分を、上記逆フーリエ変換部へ入力する上記複数のサブキャリア信号成分から減算し、それによって送信出力のピーク成分を抑制する減算手段、
    とを含む。
  2. 請求項1に記載の直交周波数マルチキャリア送信装置において、上記ピーク成分検出部は、上記減算手段から出力された各時間領域信号成分のレベルが上記許容ピークレベル以下の場合は上記ピーク成分を0と設定し、上記時間領域信号成分のレベルが上記許容ピークレベルより大の場合は、上記時間領域信号成分と上記許容ピークレベルの差を上記ピーク成分とする。
  3. 請求項1に記載の直交周波数マルチキャリア送信装置において、電力増幅された送信信号のレベルに応じて上記許容ピークレベルを決定する許容ピークレベル設定部が設けられている。
  4. 請求項1又は3に記載の直交周波数マルチキャリア送信装置において、上記フーリエ変換部からの上記周波数領域成分の各レベルを予め決めたピーク低減信号許容レベルと比較し、上記周波数領域成分のレベルが上記ピーク低減信号許容レベル以下となるよう制御するフーリエ変換出力信号制御部を更に含む。
  5. 請求項1に記載の直交周波数マルチキャリア送信装置において、
    上記複数のシンボルのそれぞれを拡散率SF個ずつコピーする複数のコピー部と、SFは1以上の整数であり、
    拡散符号を生成する拡散符号生成部と、
    上記複数のコピー部の出力を上記拡散符号で拡散し、拡散結果を上記複数のサブキャリア信号成分として出力する乗算手段、
    とを更に含む。
  6. 請求項1に記載の直交周波数マルチキャリア送信装置において、
    それぞれシンボルが入力される複数系統の各系統において複数のシンボルのそれぞれを拡散率SFずつコピーする複数のコピー部と、SFは1以上の整数であり、
    各系統の拡散符号を生成する拡散符号生成部と、
    各系統の上記複数のコピー部の出力を上記拡散符号で拡散する乗算手段と、
    上記複数系統のそれぞれの乗算手段の出力の対応する成分を合成して上記複数のサブキャリア信号成分として出力する合成部、
    とを更に含む。
  7. 請求項6に記載の直交周波数マルチキャリア送信装置において、各系統の上記拡散符号生成部はショートコードを上記拡散符号として生成し、上記送信装置は更に、
    ロングコードを生成するロングコード生成部と、
    上記ロングコードを上記合成部の出力に乗算して乗算結果を上記複数のサブキャリア信号成分として出力する第2の乗算手段とを含む。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の直交周波数マルチキャリア送信装置において、それぞれのサブキャリア成分の可能な各組み合わせに対し、予めピーク成分が上記許容ピークレベル以下となるまで上記逆フーリエ変換部と上記ピーク成分検出部と上記フーリエ変換部と上記減算手段によるピーク抑圧処理を実行したときに得られる時間領域信号成分を格納したメモリにより上記逆フーリエ変換部と上記ピーク成分検出部と上記フーリエ変換部と上記減算手段の組が構成されている。
  9. 送信する複数のシンボルを周波数軸上にシンボルレートと等しい周波数間隔の複数のサブキャリア信号成分として配列し、それらを時間領域信号に変換し、アップコンバートし、電力増幅して送信する直交周波数マルチキャリア送信方法において、
    (a) 上記複数のサブキャリア信号成分を複数の時間領域信号成分に逆フーリエ変換するステップと、
    (b) 上記複数の時間領域信号成分のそれぞれと所定の許容ピークレベルを比較し、上記許容ピークレベルを超えるピーク成分を検出するステップと、
    (c) 上記ピーク成分を上記サブキャリア信号成分と対応する周波数領域成分にフーリエ変換するステップと、
    (d) 上記周波数領域成分を、上記複数のサブキャリア信号成分から減算し、それによって送信出力のピーク成分を抑制するステップ、
    とを含む。
  10. 請求項9に記載の直交周波数マルチキャリア送信方法において、上記ステップ(b) において全ての上記複数の時間領域信号成分のレベルが上記許容ピークレベルより以下となるまで上記ステップ(a), (b) 及び(c) を繰り返し実行する。
  11. 請求項9に記載の直交周波数マルチキャリア送信方法において、それぞれのサブキャリア成分の可能な各組み合わせに対し、予めピーク成分が上記許容ピークレベル以下となるまで上記ステップ(a), (b), (c) 及び(d) によるピーク抑圧処理を実行したときに得られる時間領域信号成分を格納したメモリから上記サブキャリア信号成分に対応した時間領域信号成分を読み出す。
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