JP4116623B2 - 直交周波数マルチキャリア送信装置及び送信方法 - Google Patents
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Description
このようにOFDM信号ではサブキャリア信号の周波数間隔を1/T(Tはシンボル周期)とすることにより、サブキャリア信号が互いに直交するため、受信側でFFTにより容易に分離できる。
OFDM信号ではないが、このようなマルチキャリア信号のピーク電力を低減する技術が例えば特許文献1に示されている。この特許文献1においては、マルチキャリア信号の出力から、システムとして許容できる送信ピークレベルである許容ピークレベルを超えるピーク成分を検出し、このピーク成分を各送信サブキャリア周波数成分に変換し、この変換後の信号を各サブキャリアの変調信号から差し引くことによりピーク低減を実現している。
従って、この発明の目的は、OFDM信号やOFCDM信号などのマルチキャリア送信信号のピーク電力を低減可能な直交周波数マルチキャリア送信装置及びそれを使用した送信方法を提供することである。
この発明によれば、更に、上記フーリエ変換部からの上記周波数領域成分の各レベルを予め決めたピーク低減信号許容レベルと比較し、上記周波数領域成分のレベルが上記ピーク低減信号許容レベル以下となるよう制御するフーリエ変換出力信号制御部を設けることにより受信特性の劣化を低減することができる。
この発明によれば更に、上記複数のシンボルのそれぞれを拡散率SF個ずつコピーし、上記コピー結果を拡散符号で拡散し、拡散結果を上記複数のサブキャリア信号成分として出力することにより、他の送信装置が同じサブキャリアのセットを使用可能にしている。
この発明によれば、更に、それぞれシンボルが入力される複数系統の各系統において複数のシンボルのそれぞれを拡散率SFずつコピーし、各系統の上記複数のコピー結果を異なる拡散符号で拡散し、上記複数系統のそれぞれの拡散出力の対応する成分を合成して上記複数のサブキャリア信号成分として出力することにより、同一送信装置上で異なる複数のユーザが同じサブキャリアセットを使用可能となり、更に周波数の利用効率を高めることができる。
この発明によれば、全ての上記複数の時間領域信号成分のレベルが上記許容ピークレベルより以下となるまでピーク低減処理を繰り返し実行することにより、受信特性の劣化を許容範囲に抑えてピーク電力を規定値以下に抑圧することを実現可能とする。
この発明によれば、それぞれのサブキャリア成分の可能な各組み合わせに対し、予めピーク成分が上記許容ピークレベル以下となるまで上記逆フーリエ変換と上記ピーク成分検出と上記フーリエ変換と上記減算とによるピーク抑圧処理を実行したときに得られる時間領域信号成分を格納したメモリから上記サブキャリア信号成分に対応した時間領域信号成分を読み出すことにより、構成を簡単にし、かつ処理速度を高めることができる。
図16Bは許容ピークレベルCthが3dBと6dBの場合の受信信号のEb/No(ビット当たりエネルギー/雑音レベル)対BER(ビット誤り率)特性を曲線B-3とB-2で示し、ピーク抑圧を行わない場合のBER特性を曲線B-1で示している。この図から、この発明のピーク電力低減処理による受信特性の劣化量は小さく、許容ピークレベルCthが3dBの場合でも、BER=10-3で1dB程度の許容範囲の劣化であることがわかる。
図1はこの発明による移動通信システムの送信装置の第1実施例を示す。図18に示した従来の構成と比較し、パイロットを生成するパイロット生成部9と、パイロットと端子6に与えられた送信シンボルを多重化し、直並列変換部12に与える多重化部11と、許容ピークレベルCthを設定する許容ピークレベル設定部21と、逆フーリエ変換部13の出力から許容ピークレベルCthを超えるピーク成分を検出するピーク成分検出部22と、ピーク成分をフーリエ変換(ここではFFTの場合を示す)するフーリエ変換部23と、及びフーリエ変換部23の出力を逆フーリエ変換部13への入力信号から減算する減算器240〜24N-1を更に備えている点が異なる。パイロットは例えば各フレームの先頭に配置されるように多重化され、受信側において伝送路特性を推定するために使用される。
Sf(i)=(sf0(i), sf1(i), …, sfN-1(i)) (1)
St(i)=(st0(i), st1(i), …, stN-1(i)) (2)
で表すと、逆フーリエ変換部13の出力信号の各要素stk(i)は入力信号Sf(i)の各要素sfn(i)を用いて次式で表すことができる。
ピーク成分検出部22が生成するピーク成分Ut(i)を
Ut(i)=(ut0(i), ut1(i), …, utN-1(i)) (4)
と表すと、各ピーク成分生成器22kは、許容ピークレベル設定部21から設定された許容ピークレベルCthを使って以下のように定義されるピーク成分utk(i)を生成する。
s'fn(i)=sfn(i)−ufn(i) (7)
で表される。前述のように、逆フーリエ変換部13へのこの更新された入力信号S'f(i)に対し、式(5)で規定するピーク成分Ut(i)が全て0になるまで式(3), (5), (6)及び(7)を繰り返し実行する。
ステップS1:シンボル周期Tの送信すべき入力シンボル系列を直並列変換して周波数間隔が1/TのN個のサブキャリア信号成分sf0(i), sf1(i), …, sfN-1(i)とする。
ステップS2:サブキャリア信号成分sf0(i), sf1(i), …, sfN-1(i)を逆フーリエ変換して時間領域信号成分st0(i), st1(i), …, stN-1(i)を得る。
ステップS3:全ての時間領域信号成分のレベル|stk(i)|, k=0, 1, …, N-1が許容ピークレベルCth以下か判定する。
ステップS4:1つでもCthより大の|stk(i)|が有ればピーク成分utk(i)を前述の式(5) に従って求める。
ステップS5:得られたピーク成分ut0(i), ut1(i), …, utN-1(i)をフーリエ変換し、ピーク成分の周波数領域成分uf0(i), uf1(i), …, ufN-1(i)を得る。
ステップS6:サブキャリア信号成分sf0(i), sf1(i), …, sfN-1(i)からピーク成分の周波数領域成分uf0(i), uf1(i), …, ufN-1(i)を減算し、減算結果を更新されたサブキャリア信号成分sf0(i), sf1(i), …, sfN-1(i)としてステップS2に戻る。
ステップS7:ステップS3で全ての|stk(i)|がCth以下と判定されると、そのときの時間領域信号成分st0(i), st1(i), …, stN-1(i)を並直列変換して時系列信号とする。
ステップS8:時系列信号を周波数fcのキャリアでアップコンバートして高周波信号を生成する。
ステップS9:高周波信号を電力増幅して送信する。
この発明のピーク電力低減処理方法は、通常はベースバンド処理により行う。このため、ピーク電力低減処理に用いる許容ピークレベルCthは実際に送信電力増幅器18から出力される絶対的な値ではなく、平均送信電力に対する相対的な値として設定することになる。移動通信では、通常、移動局の位置などによる受信レベルの変化に応じて送信出力を変えている。このため、上記のように許容ピークレベルCthを相対的な値として設定した場合には、許容ピークレベルの絶対的な値は送信出力に応じて変化することになる。
図4の変形実施例では、このような点を考慮して、許容ピークレベル設定部21により、送信電力が大きい場合には、平均送信電力に対する相対的な許容ピークレベルCthを小さく設定し、送信電力が小さい場合には、平均送信電力に対する相対的な許容ピークレベルを比較的大きく設定することにより、効率的なシステムを構築している。
図5にこの発明の第2実施例を示す。図1及び4の実施例とは、ピーク低減信号許容レベルに応じてフーリエ変換出力信号の大きさを制御するフーリエ変換出力制御部31と、そのフーリエ変換出力制御部31にピーク低減信号許容レベルPLthを設定する許容レベル設定部32を備えている点が異なる。フーリエ変換出力制御部31は図6に示すように加算器31Aと、比較レベル低減処理部31Bと、蓄積部31Cとを有している。
この発明において、フーリエ変換部23の各出力uf0(i), …, ufN-1(i)は、各サブキャリアの信号に挿入するピーク低減信号に相当する。この実施例では、フーリエ変換出力制御部31によりこのピーク低減信号の大きさをサブキャリアごとに制御することにより受信特性への影響を小さくしている。
以上の信号処理を繰り返すことにより、図7Cに示すように、サブキャリアごとに挿入されるピーク低減信号の大きさを抑え、かつ送信信号のピーク電力を抑えることが可能となる。
上記の説明では、ピーク低減信号許容レベルを全てのサブキャリアに対し一定としたが、これをサブキャリアごとに変えて設定することも可能であり、以下のような例があげられる。
上述の実施例ではOFDMを使った送信装置にこの発明を適用した場合を示したが、次にこの発明をOFCDMに適用した場合の第3実施例を図9に示す。この実施例は、図1の実施例において、更に直並列変換部12のJ=N/SF個の並列出力にコピー部251〜25Jを接続し、各コピー部25j(1≦j≦J, J×SF=N)のSF個のコピー出力に拡散符号生成部26からの拡散符号を乗算器270〜27N-1で乗算して加算器240〜24N-1に与えるように構成したものであり、その他の構成は図1の場合とほぼ同様である。ただし、この実施例ではパイロット生成部9と多重部11が設けられ、多重部11において送信シンボル系列にパイロットシンボルを挿入して直並列変換部12に与えている。SFは拡散率と呼ばれ、1以上の整数である。
図10に示すように、この実施例では図9におけるパイロット生成部9、多重部11、直並列変換部12、コピー部251〜25J、乗算器270〜27N-1を含む同様の構成のM個のサブキャリア生成部101〜10Mが設けられている。Mは2以上の整数である。更に、各サブキャリア生成部10m(1≦m≦M)は、この例ではショートコード生成部26Aを有し、それぞれのサブキャリア生成部101〜10Mのショートコード生成部26Aはコード長が同じ互いに異なるショートコードSC1〜SCMを生成する。各ショートコード生成部26AはショートコードSCmを乗算器270〜27N-1に1チップずつ与える。
図10の実施例に拠れば、同じセットのN個のサブキャリアを複数のユーザが使用できるので、周波数利用効率が高い利点がある。また、上記実施例において、拡散率SFの値を、マルチパスによる遅延スプレッドの大きさに応じて変更してもよく、従って、この発明のピーク低減手法を第4世代移動通信方式として検討されているVSF-OFCDM(可変拡散・直交周波数符号分割多重)方式に適用できることを示している。
図11にこの発明による送信装置に適応した受信装置の構成例を示す。この受信装置は、通常のOFDM信号受信機と同様に局部発振器42、ダウンコンバートミキサ43、ガードインタバル除去回路44、直並列変換部45、フーリエ変換部46、フィルタ処理部47、並直列変換部48、誤り訂正復号部49、参照パイロット生成部51、及びチャネル推定部53を備えている。この実施例では更に、参照パイロット生成部51とチャネル推定部53の間にピーク低減部52が設けられている。
送信側でフーリエ変換出力であるピーク低減信号に各種制御処理を行っている場合には、図12に示したフーリエ変換出力信号制御部52Dにより送信側と同様の処理を行えばよい。
図11ではチャネル推定を精度よく行うために参照パイロット信号に対し送信側と同じピーク低減処理を行う構成を示したが、図1、図4及び図5の送信装置においては送信信号全区間に渡ってピーク低減処理を行っているので、受信信号はピーク低減処理を受けた信号、即ち、受信特性がそれだけ劣化した信号となっている。特性の劣化が許容範囲であれば、そのまま使用することができるが、図13に示す受信装置の第2実施例では、送信側におけるピーク低減処理に起因する特性の劣化を補償するように構成している。即ち、図13に示すように、図11の構成に対し、更にピーク低減信号生成部54と、加算器550, ..., 55N-1と、硬判定/並直列変換部56が設けられる。硬判定/並直列変換部56は、フィルタ処理部47の出力を硬判定し、並直列変換して送信信号推定値を出力する。この送信信号推定値からピーク低減信号生成部54で生成したピーク低減信号を加算器550, ..., 55N-1でフーリエ変換部46の出力である各サブキャリア受信信号に加算する。
送信側でフーリエ変換出力であるピーク低減信号に各種制御処理を行っている場合には、図14に示したフーリエ変換出力信号制御部54Eにより送信側と同様の処理を行えばよい。
図15はこの発明の送信装置に適応した受信装置の第3実施例を示す。この受信装置は図13の受信装置において、硬判定/並直列変換部56による送信信号推定値の代わりに誤り訂正復号部49からの復調信号を使用するように構成したものであり、その他は図13の場合と同じである。
また、必要であれば、上記の復調信号からピーク低減信号を生成し、これらのピーク低減信号を加算したサブキャリア受信信号を用いて再度フィルタ処理と復号処理を行うという一連の処理を繰り返すことにより、ピーク低減信号の生成精度が向上し、更に受信特性を改善することが可能となる。
上記繰り返し処理の回数については、信号処理量や処理時間による遅延を考慮して、予め上限を設定しておいてもよいし、CRC等を用いて受信信号の品質を評価し、その品質に応じて繰り返すか否かを判定してもよい。
Claims (11)
- 送信する複数のシンボルを周波数軸上にシンボルレートと等しい周波数間隔の複数のサブキャリア信号成分として配列し、それらを時間領域信号に変換し、アップコンバートし、電力増幅して送信する直交周波数マルチキャリア送信装置において、
上記複数のサブキャリア信号成分を複数の時間領域信号成分に変換する逆フーリエ変換部と、
上記複数の時間領域信号成分のそれぞれと所定の許容ピークレベルを比較し、上記許容ピークレベルを超えるピーク成分を検出するピーク成分検出部と、
上記ピーク成分を上記サブキャリア信号成分と対応する周波数領域成分に変換するフーリエ変換部と、
上記周波数領域成分を、上記逆フーリエ変換部へ入力する上記複数のサブキャリア信号成分から減算し、それによって送信出力のピーク成分を抑制する減算手段、
とを含む。 - 請求項1に記載の直交周波数マルチキャリア送信装置において、上記ピーク成分検出部は、上記減算手段から出力された各時間領域信号成分のレベルが上記許容ピークレベル以下の場合は上記ピーク成分を0と設定し、上記時間領域信号成分のレベルが上記許容ピークレベルより大の場合は、上記時間領域信号成分と上記許容ピークレベルの差を上記ピーク成分とする。
- 請求項1に記載の直交周波数マルチキャリア送信装置において、電力増幅された送信信号のレベルに応じて上記許容ピークレベルを決定する許容ピークレベル設定部が設けられている。
- 請求項1又は3に記載の直交周波数マルチキャリア送信装置において、上記フーリエ変換部からの上記周波数領域成分の各レベルを予め決めたピーク低減信号許容レベルと比較し、上記周波数領域成分のレベルが上記ピーク低減信号許容レベル以下となるよう制御するフーリエ変換出力信号制御部を更に含む。
- 請求項1に記載の直交周波数マルチキャリア送信装置において、
上記複数のシンボルのそれぞれを拡散率SF個ずつコピーする複数のコピー部と、SFは1以上の整数であり、
拡散符号を生成する拡散符号生成部と、
上記複数のコピー部の出力を上記拡散符号で拡散し、拡散結果を上記複数のサブキャリア信号成分として出力する乗算手段、
とを更に含む。 - 請求項1に記載の直交周波数マルチキャリア送信装置において、
それぞれシンボルが入力される複数系統の各系統において複数のシンボルのそれぞれを拡散率SFずつコピーする複数のコピー部と、SFは1以上の整数であり、
各系統の拡散符号を生成する拡散符号生成部と、
各系統の上記複数のコピー部の出力を上記拡散符号で拡散する乗算手段と、
上記複数系統のそれぞれの乗算手段の出力の対応する成分を合成して上記複数のサブキャリア信号成分として出力する合成部、
とを更に含む。 - 請求項6に記載の直交周波数マルチキャリア送信装置において、各系統の上記拡散符号生成部はショートコードを上記拡散符号として生成し、上記送信装置は更に、
ロングコードを生成するロングコード生成部と、
上記ロングコードを上記合成部の出力に乗算して乗算結果を上記複数のサブキャリア信号成分として出力する第2の乗算手段とを含む。 - 請求項1乃至7のいずれかに記載の直交周波数マルチキャリア送信装置において、それぞれのサブキャリア成分の可能な各組み合わせに対し、予めピーク成分が上記許容ピークレベル以下となるまで上記逆フーリエ変換部と上記ピーク成分検出部と上記フーリエ変換部と上記減算手段によるピーク抑圧処理を実行したときに得られる時間領域信号成分を格納したメモリにより上記逆フーリエ変換部と上記ピーク成分検出部と上記フーリエ変換部と上記減算手段の組が構成されている。
- 送信する複数のシンボルを周波数軸上にシンボルレートと等しい周波数間隔の複数のサブキャリア信号成分として配列し、それらを時間領域信号に変換し、アップコンバートし、電力増幅して送信する直交周波数マルチキャリア送信方法において、
(a) 上記複数のサブキャリア信号成分を複数の時間領域信号成分に逆フーリエ変換するステップと、
(b) 上記複数の時間領域信号成分のそれぞれと所定の許容ピークレベルを比較し、上記許容ピークレベルを超えるピーク成分を検出するステップと、
(c) 上記ピーク成分を上記サブキャリア信号成分と対応する周波数領域成分にフーリエ変換するステップと、
(d) 上記周波数領域成分を、上記複数のサブキャリア信号成分から減算し、それによって送信出力のピーク成分を抑制するステップ、
とを含む。 - 請求項9に記載の直交周波数マルチキャリア送信方法において、上記ステップ(b) において全ての上記複数の時間領域信号成分のレベルが上記許容ピークレベルより以下となるまで上記ステップ(a), (b) 及び(c) を繰り返し実行する。
- 請求項9に記載の直交周波数マルチキャリア送信方法において、それぞれのサブキャリア成分の可能な各組み合わせに対し、予めピーク成分が上記許容ピークレベル以下となるまで上記ステップ(a), (b), (c) 及び(d) によるピーク抑圧処理を実行したときに得られる時間領域信号成分を格納したメモリから上記サブキャリア信号成分に対応した時間領域信号成分を読み出す。
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