JP4809279B2 - 無線送信装置 - Google Patents

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本発明は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式を採用する無線通信システムにおける無線送信装置に関するものであり、特に、ピーク抑圧を行う無線送信装置に関するものである。
近年、周波数効率の高い通信方式としてOFDM方式が注目されている。また、多元接続を行う方式として、複数のチャネルを周波数軸上にマッピングしてOFDM方式によって送信するOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access:直交周波数分割多元接続)と呼ばれる多重方式がある。
OFDM方式では、多数のシンボルが多重されるため、送信波形はガウス分布となり、ピーク対平均電力比が大きい。このため、送信アンプの入出力特性による歪みが生じる可能性が高くなる。送信アンプの入出力特性による歪みが生じると隣接チャネル漏洩電力が発生し、また、変調精度も劣化する。このため、送信アンプのバックオフを大きくとる必要があり、送信アンプの効率が低下していた。
この問題を解決するために、たとえば、下記特許文献1〜3に記載されているような技術が開示されている。下記特許文献1に記載の無線送信機では、S/P(シリアルパラレル変換部)によって周波軸上にマッピングされた送信信号をIFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆フーリエ変換)し、時間領域の送信信号S(t)に変換する。そして、ピーク抽出部が、送信信号S(t)を所定のピーク閾値Ethと比較し、送信信号S(t)がEthを上回る場合はEthとの差分を出力し、下回る場合はゼロを出力する。すなわち、ピーク検出部は、ピーク閾値Ethを超える信号部分(時間部分)については(S(t)−Eth)exp[j{arg(S(t))}]を出力し、ピーク閾値Ethを超えない信号部分についてはゼロを出力する。ピーク抽出部の出力は、時間領域の送信信号S(t)のうち、ピーク閾値Ethを超える信号成分を表す。なお、arg(z)は、複素数zの位相角を表す。
そして、高速フーリエ変換部は、ピーク抽出部から出力された信号を高速フーリエ変換し、周波数領域の複数の信号に変換する。この変換はOFDM復調とも呼ばれる。高速フーリエ変換部による信号変換によって、時間領域で閾値Ethを超えることとなる信号が、周波数領域の信号に変換される。このようにして導出された周波数領域の信号を、減算部が各送信信号から減算することにより、時間領域での信号の振幅を抑制する。
また、下記特許文献2に記載の技術では、アンプの出力をフィードバックし送信アンプの特性による歪をIFFT前の信号に乗算することで補正する。この技術では、アンプの出力の非線形性を補正するために、出力が飽和する部分においては入力信号を大きくする方向に補正し、アンプの特性を理想に近づける。すなわち、ピーク抑圧とは反対向きの制御が行うことにより非線形性の歪みを補正している。
また、下記特許文献3に記載の技術では、フィルタを用いて、伝送品質の低い周波数においてピーク電力の抑圧信号を行い、伝送品質の高い周波数においてはピーク電力の抑圧を行わない。このようにすることにより、送信信号の品質の低下を防いだ上で、ピーク対平均電力比を抑制している。
特開2005−322998号公報 特開2005−86440号公報 特開2006−115096号公報
OFDMにおいてはパイロット信号,ユーザデータ,制御情報等の種別のデータがサブキャリアにマッピングされるが、このうちパイロット信号は復調の基準となる信号であり、データ部分とくらべて高精度に送信する必要がある。また、制御情報はBPSK(Binary Phase Shift Keying)などの送信の誤差に耐性がある変調で伝送されるため、ユーザデータおよびパイロット信号に比べ送信の誤差に対する許容範囲は広い。
さらに、OFDMAにおいては複数のユーザのチャネルが周波数にマッピングされて伝送される。ユーザごとに変調方式,誤り訂正の符号化率,送信電力等が異なるため、チャネルごとに要求される変調精度も異なる。
しかしながら、上記従来の技術によれば、データ種別,ユーザごとに異なる送信電力,符号化率,変調方式などを考慮せずにピーク抑圧等を行っているため、不必要に高品質なチャネルや、品質が不足するチャネルが発生するという問題があった。
また、上記特許文献1に示されるようなピーク抑圧信号の生成方法によれば、送信アンプの歪特性によらない単なる閾値で行っており、送信アンプの特性を正しく補正できるとは限らず、本来の目的である帯域外電力の低減を必ずしも達成できなかった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、サブキャリアごとに、要求される品質に基づいてピーク抑圧信号を計算し、品質を確保しつつ、隣接チャネル漏洩電力を抑えることができる無線送信装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、チャネルごとに変調方式を選択して変調した変調信号をサブキャリアごとにマッピングし、マッピングした信号を逆フーリエ変換した後に送信アンプで増幅して送信する無線送信装置であって、チャネルごとの送信電力に基づき、サブキャリアごとに電力の許容誤差値を算出する制御手段と、前記逆フーリエ変換後の信号に基づいて前記送信アンプの入出力特性を補正するための補正信号を生成する補正信号生成手段と、前記許容誤差値に基づきサブキャリアごとに前記補正信号に重み付けを行い、重み付け後の信号を用いて前記送信アンプの入出力特性を補正する補正手段と、を備えることを特徴とする。
この発明によれば、サブキャリアごとに許容誤差値を求めて、補正信号の大きさをサブキャリアごとに調整できるようにし、さらに、送信アンプの入力出力特性に基づいて補正信号を生成するようにしたので、サブキャリアごとに、ピーク抑圧信号の電力比率を最適化し、高精度に補正を行い、隣接チャネル漏洩電力を抑えることができるという効果を奏する。
以下に、本発明にかかる無線送信装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、本発明にかかる無線送信装置の実施の形態の機能構成例を示す図である。本実施の形態では、基地局装置を本発明にかかる無線送信装置の一例として説明する。図1に示すように、本実施の形態の基地局装置は、送信情報が格納されるデータバッファ1と、送信データにターボ符号や畳み込み符号などの誤り訂正符号化を行う誤り訂正符号化部2と、誤り訂正符号化部2の出力のユーザ毎のbit列,報知情報のbit列を変調するシンボル変調部3と、シンボル変調部3の出力である各シンボルおよびパイロットシンボルをサブキャリアにマッピングするサブキャリアマッピング部4と、サブキャリアにマッピングされた各シンボルを補正し、ピークを抑圧する補正部5と、を備えている。
さらに、本実施の形態の基地局装置は、補正部5の出力をIDFT(逆離散フーリエ変換)し時間領域の信号に変換するIDFT部6と、IDFT部6の出力をパラレルシリアル変換するパラレルシリアル変換部(P/S)7と、P/S7の出力にガードインターバルを挿入するGI(ガードインターバル)挿入部8と、GI挿入部8の出力をデジタルアナログ変換するDAC(Digital to Analog Converter)9と、DAC9の出力をキャリア周波数にアップコンバートするミキサー10と、アップコンバートした信号を増幅する送信アンプ11と、送信アンプ出力を空中に放射するアンテナ12と、を備えている。
さらに、本実施の形態の基地局装置は、送信アンプ11の出力をモニタするためのカプラー13と、カプラー13の出力をダウンコンバートするミキサー14と、ミキサーに供給する正弦波を発生する発振器15と、ダウンコンバートした信号をアナログデジタル変換するADC(Analog to Digital Converter)16と、ADC16の出力とDAC9への入力信号から送信アンプの特性を同定する送信アンプ誤差特性同定部17と、同定した送信アンプの特性とIDFT部6の出力から、サブキャリアごとの補正信号を生成する補正信号生成部18と、復調時の基準信号となるパイロット信号を生成するパイロット信号生成部19と、データバッファから送信するデータを選択し、送信データのサブキャリアへのマッピング,変調方式,送信電力,誤り訂正符号化の符号化率,チャネルごとの許容される誤差などを選択しスケジューリングするスケジューラ(制御手段)20と、を備える。
本実施の形態の基地局装置は、OFDMA方式を採用する通信システムを構成するものとし、多数のチャネル(チャネル数をnとする)を収容する。以下、本実施の形態の基地局装置の動作について説明する。
まず、スケジューラ20の動作について説明する。スケジューラ20は、あるタイムスロットで送信するチャネル1〜nの送信情報をデータバッファ1に格納されている送信情報のなかからそれぞれ選択し、データバッファ1に選択した送信情報を指示する。また、スケジューラ20は、チャネルごとに、送信するbit数,変調方式,誤り訂正符号化率,送信電力値,サブキャリアスケジュール(サブキャリアへの各チャネルの割り当てなど)などを決定する。このとき、変調方式と符号化率の組み合わせについては、後述のように、受信側の端末の受信C/N比に基づいて決定する。
そして、スケジューラ20は、誤り訂正符号化率を誤り訂正符号化部2へ、変調方式,送信電力値をシンボル変調部3へ、サブキャリアスケジュールをサブキャリアマッピング部へそれぞれ出力する。変調方式としては、たとえば、BPSK,QPSK(Quadrature Phase Shift Keying),8PSK(8 Phase Shift Keying),16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation),64QAM(64 Quadrature Amplitude Modulation)などの変調方式が選択される。
また、スケジューラ20は、決定した変調方式、誤り訂正の符号化率および送信電力値に基づいて各チャネルの許容誤差値を算出する。たとえば、変調方式と符号化率の組み合わせごとに許容される送信C/N(Carrier to Noise)比(許容送信C/N比)をテーブルとして保持することする。許容誤差値は復調時の劣化が十分抑えられるように設定しておく。そして、決定した変調方式と符号化率に対応する許容送信C/N比をテーブルを用いてもとめ、送信電力値[dBm]からその許容送信C/N比を減算した値を、許容される誤差電力(許容誤差値)として算出する。
ここで、スケジューラ20における変調方式、誤り訂正の符号化率の決定方法について説明する。図2は、端末の受信C/N比の範囲に対応する変調方式と符号化率の組み合わせと、その組み合わせに対応する許容送信C/N比を示すテーブルの一例を示す図である。このテーブルは、端末の受信C/N比に応じて変調方式,誤り訂正の符号化率を定め、また、その変調方式と符号化率に対応する許容送信C/N比を示したものである。変調方式と符号化率に対応する許容送信C/N比については、前述の許容誤差値を求めるための許容送信C/N比であり、この数値は復調時の劣化を十分抑えられるように設定しておく。なお、ここでは受信C/N比に基づいて変調方式と符号化率を決定するようにしたが、受信C/N比以外の受信品質を示す情報(受信品質情報)を取得して、取得した情報に基づいて変調方式と符号化率を決定するようにしてもよい。
図2は一例であり、これに限らず、変調方式ごとの端末受信C/Nに対する感受性などを考慮して決定すればどのように定めてもよい。一般には、端末受信C/N比が低い場合には、変調方式は受信C/N比への要求値が低い変調方式を対応させ(たとえば、QPSK,16QAM,64QAMの順に受信C/N比に対する要求値が低い)る。また、端末受信C/N比が低い場合には、低い符号化率を対応させるようにする。なお、本実施の形態では、端末の受信C/N比に基づいて変調方式と符号化率を決定するようにしたが、端末の受信C/N比に依存せずにあらかじめ変調方式と符号化率を決定し、決定した変調方式と符号化率に基づいて許容送信C/N比を求めるようにしてもよい。また、変調方式または符号化率をあらかじめ決定し、決定した変調方式または符号化率に基づいて許容送信C/N比を求めるようにしてもよい。また、端末の受信C/N比のみに基づいて許容送信C/N比を求めるようにしてもよい。
スケジューラ20は、受信側の端末の受信C/N比を端末からのフィードバック情報等(受信側が求めたパイロット信号の受信S/N比など)を用いて推定し、それに合わせた変調方式と符号化率を、上述のテーブルに従って選択する。
たとえば、本実施の形態の基地局装置が、パイロット信号を送信電力20[dBm]で送信しているとする。そして、基地局装置のデータを受信した端末からのフィードバック情報により、パイロット信号の受信C/N比が10[dB]と通知されたとする。この場合に、7[dBm]の電力でその端末向けの伝送を行うとするとする。このとき、7[dBm]は、パイロット信号の受信C/N比である10[dB]より−3[dB]となる電力であるから、端末受信のC/N比は7[dB]になると推定される。
したがって、この場合は、図2に示したテーブルに基づいて、端末受信のC/N比が7[dB]に対応する変調方式,符号化率として、それぞれ16QAM,0.5を選択する。また、図2に示したテーブルにより、そのときの許容送信C/N比は19[dB]である。よって許容される誤差電力を、7−19=-12[dBm]と求めることができる。スケジューラ20は、この−12[dBm]を振幅真値に変換した10-12/20=0.25をサブキャリアスケジュールに含めてサブキャリアマッピング部4に出力する。このとき、許容誤差値は、パイロット信号,空きチャネル,帯域外のサブキャリアについても出力する。一般に、パイロット信号については許容誤差電力を小さくし、空きチャネルおよび帯域外サブキャリについては許容誤差電力を大きく設定する。
以下、スケジューラ20以外の動作について説明する。データバッファ1は、スケジューラ20に指示されたチャネルごとの送信情報を誤り訂正符号部2に出力する。誤り訂正符号部2は、チャネルごとの送信情報を、それぞれスケジューラ20から指示されたチャネルごとの誤り訂正符号化率に従って誤り訂正符号化を行う。誤り訂正符号としてはターボ符号や畳み込み符号が用いられる。
なお、スケジューラ20が、誤り訂正符号化率の他にこれらの符号化の種別(符号化方法)を指定するようにしてもよい。この場合、前述の図2に一例を示した表に、符号化方式の欄を設けて符号化方式についても変調方式,誤り訂正符号化率と同様に選択するようにすればよい。または、テーブルとは別に、符号化方式の変更指示を行うようにしてもよい。ターボ符号や畳み込み符号化においてはパンクチャと呼ばれる符号化後のbit列を間引く操作や、リピティションと呼ばれる符号化後のbitを繰り返す操作により符号化率を変更する。
シンボル変調部3は、誤り訂正符号化されたチャネルごとの送信情報(bit列)を、スケジューラ20から指示された変調方式で変調する。さらに、このときチャネルごとのスケジューラ20から指示された送信電力値に基づいて振幅の大きさを調整する。具体的には、シンボル変調部3は、誤り訂正符号化されたbit列を1シンボルのbit数ごとに複素数で表されるシンボルに変換する。図3〜図5は、bit列と変換シンボルの対応(シンボルマッピング)の例を示す図である。図3はQPSK,図4は16QAM,図5は64QAMの変調方式に基づいてシンボルマッピングを行った例である。図中のPはスケジューラ20より指示される送信電力値である。
また、パイロット信号生成部19は、端末などの受信側で同期検波や品質測定を行うためのパイロット信号を生成する。サブキャリアマッピング部4は、シンボル変調部3で変調された各チャネルのシンボルとパイロット信号生成部19で生成されたパイロット信号を、スケジューラ20から指示されたサブキャリアスケジュールに従ってサブキャリアにマッピングする。このとき、空きチャネルのマッピングも行われる。
図6は、サブキャリアマッピングの一例を示す図である。図中のPiはパイロット信号を表す。この例においては、各チャネルは時間方向に12シンボル単位、周波数方向に4サブキャリア単位で割り当てを行っているが、割り当ての単位は、これに限らずシステムに応じて適切に設定すればよい。たとえば、1つのチャネルを周波数方向に分割して割り当てるシステムも提案されており、その場合には周波数方向に分割した割り当てを行うようにすればよい。
図6の例では12シンボル時間の同一チャネルの一塊が1つのパケットに相当する。ここでは、一例としてパイロット信号は時間方向と周波数方向に分散的に配置されている場合を示している。パイロット信号のマッピングはシステムによって異なるが、どのような配置であっても、本実施の形態の動作は同様に適用できる。
サブキャリアマッピング部4は、シンボル間隔(シンボル間隔時間)でマッピング処理を行いマッピング後のシンボルを補正部5に出力する。このとき、サブキャリアごとの許容誤差値も同時に出力する。なお、図6において、チャネルの番号は便宜的に付けられたものであり、12シンボルを超えた同一のチャネル番号は、同一ユーザを意味するわけではない。
つづいて、本実施の形態の補正部5について説明する。図7は、補正部5の機能構成例を示す図である。補正部5は、サブチャネルごとに、サブキャリアマッピング部4から出力されるシンボルと、乗算部54の乗算結果と、の2つのいずれかを選択するセレクタ51と、サブキャリアごとに、サブキャリアマッピング部4から出力されたシンボルに記録部53に記録された値を加算する加算部52と、チャネル数分のD−FF(Delay Flip-Flop)で構成され、加算部52の出力を記録する記録部53と、サブキャリアごとに、サブキャリアマッピング部4の出力の許容誤差値と、補正信号生成部18の出力である補正信号と、を乗算する乗算部54と、で構成される。
以下に動作を1ステップずつ説明する。まず、ステップ1として、記録部53はCLR信号により記録内容を0に初期化する。CLR信号は、たとえば、サブキャリアマッピング部4から処理開始のタイミングで送信されるようにする。ステップ2として、セレクタ51が、補正部5に入力されたサブキャリアマッピング部4の出力のうちサブチャネルごとのシンボルを選択し、加算部52を経由して記録部53に記録し、IDFT部6へ出力する。
つぎに、ステップ3として、補正信号生成部18が、IDFT部6の出力と送信アンプ誤差特性同定部16の出力に基づき生成した補正信号を補正部5に出力する。補正信号生成部18の動作については後述するが、この補正信号は送信アンプ11非線形歪を補正するための信号である。
つぎに、ステップ4として、乗算部54は、補正部5に入力された補正信号と、サブキャリアマッピング部4より入力された許容誤差値と、を乗算し、セレクタ51が、その乗算出力を選択する。そして、加算部52は、セレクタ51で選択された乗算出力に記録部53に記録された値を加算するとともに、加算結果を記録部53へ出力する。記録部53は、加算結果を記録するとともに、IDFT部6へ出力する。
以上のステップ3およびステップ4を繰り返すことにより、徐々にピークが抑圧される。ステップ3およびステップ4を所定の回数繰り返した後にP/S7へ信号を出力する。処理の繰り返し数(所定の回数)は、特に制約はないが、たとえば、処理の収束条件を決めておいて収束するまでを繰り返し数とするようにしてもよい。または、変調方式などの条件に応じてあらかじめ決めておくようにしてもよい。
なお、本実施の形態の記録部53は、D−FFで構成したが、記録の機能をもてばD−FFに限らずどのようなものを用いてもよい。この場合にも、ステップ1においては、値の初期化(“0”にする)を行うようにする。
図7に示した補正部5の構成例1ではサブキャリア毎の許容誤差値が大きいとステップ3とステップ4の繰り返し処理の過程で発振することがある。そこで、補正部5に、発振を抑える機能を追加してもよい。図8は、このようにした補正部5の第2の構成例を示す図である。図8に示す補正部5の第2の構成例では、フィードバックされる信号の電力和が“1”以上の場合は電力和を“1”に規格化することで発振を抑えるように構成している。第2の構成例では、図7の構成例に電力和計算部55と、逆数計算部56と、クリップ部57と、第2の乗算部58が付加されている。それ以外は、図7の構成例と同様であり、図7と同様の機能のものは、同一の符号を付して説明を省略する。なお、ここでは“1”に規格化したが、“1”以外の数値に規格化するようにしてもよい。
電力和計算部55は、乗算部54の出力の電力の総和を計算し逆数計算部56に出力する。逆数計算部56は、その総和の逆数を算出してクリップ部57に出力する。そして、クリップ部57は、出力された逆数が“1”未満(電力の総和が“1”以上)の場合は、電力和を“1”にクリップするために、出力された逆数を第2の乗算部58に出力する。そして、第2の乗算部58が、クリップ部57から出力された値を乗算部54に乗算する。このようにして、電力和が“1”以上の場合は“1”にクリップされることになり、発振を抑えることができる。
また、図8に示した補正部5の第2の構成例に、さらに、補正信号自体が誤差となる影響を調整できる機能を付加するようにしてもよい。図9は、このような調整を可能とする補正部5の第3の構成例を示す図である。図9に示す第3の構成例では、図8に示した第2の構成例に係数乗算部59と加算部60を付加している。それ以外は、図8の構成例と同様であり、図8と同様の機能のものは、同一の符号を付して説明を省略する。
図7および図8に示した構成例では、補正信号生成部18から出力される補正信号(後述のように誤差関数の勾配)に基づいて、送信アンプの非直線性歪による誤差を低減するように動作する。しかし、本来の送信信号(サブキャリアマッピング部の出力)に手を加えることになり、補正信号自体が一種の誤差となり、補正信号の電力を大きくして補正の効果を高めると補正信号自体の誤差を増加させる場合もある。したがって、補正信号による非直線性歪による誤差低減効果と、補正信号自体による誤差の低減と、のバランスを調整ができるような構成であることがより望ましい。したがって、図9の第3の構成例では、補正信号を含まないサブキャリアマッピング部4の出力(シンボル)を補正信号に重み付け加算することで、上記のバランスを調整することができるようにしている。
図9に示す第3の構成例では、係数乗算部59が係数乗算を行う係数と、後述する補正信号生成部18の係数乗算器84に設定される所定の係数と、の比率により非直線性歪みによる誤差の低減と、補正信号自体の低減と、の比率を調整することができる。具体的な動作としては、係数乗算部59が、サブキャリアマッピング部4の出力(シンボル)と補正信号に設定された係数を乗算し、加算部60は、係数乗算部59の乗算結果と乗算部54の乗算結果を加算する。係数乗算部59の係数の、係数乗算器84の係数に対する比を係数相対比とよぶことにすると、たとえば、非直線性歪みによる誤差の低減を重視する場合には係数相対比を小さくし、補正信号自体による誤差の低減を重視する場合には、係数相対比を大きくする。なお、乗算部59の係数は、たとえば、サブキャリアごとに設定しておく。なお、ここでは図8の構成例に係数乗算部59と加算部60を付加したが、図7の構成例に係数乗算部59と加算部60を付加して同様の調整を行うようにしてもよい。
つづいて、補正信号生成部18について説明する。図10は、本実施の形態の補正信号生成部18の構成例を示す図である。図10に示すように補正信号生成部18は、IDFT部6の出力のパラレルの信号を時系列のシリアル信号に変換するパラレルシリアル変換部(P/S)81と、P/S81の出力の複素数の実数部と虚数部の2乗和の平方根を計算する振幅変換部82と、送信アンプ11の特性に基づいて瞬時振幅に対応する勾配を算出するための勾配係数を算出する送信アンプ誤差勾配テーブル管理部83と、係数乗算器84と、P/S81の出力と係数乗算器84の出力を乗算する乗算器85と、乗算器85の出力をパラレル信号に変換するシリアルパラレル変換部(S/P)86と、変換されたパラレル信号にDFT(離散フーリエ変換)を行うDFT部87と、で構成される。
補正信号生成部18の動作について説明する。まず、P/S81は、IDFT部6のパラレル出力を、つぎに、振幅変換部82は、シリアル信号(複素数)の実数部と虚数部の2乗和の平方根を瞬時振幅として算出する。送信アンプ誤差勾配テーブル管理部83は、送信アンプ11の特性(勾配係数)を送信アンプ誤差勾配テーブルとして保持しており、送信アンプ誤差特性同定部17の出力に基づいて逐次更新している。送信アンプ誤差勾配テーブルは、瞬時振幅とその瞬時振幅に対応する勾配係数が格納されている。勾配係数については、後述する。そして、送信アンプ誤差勾配テーブル管理部83は、振幅変換部82が算出した瞬時振幅に対応する勾配係数を読み出す。
つぎに、係数乗算器84は、その勾配係数に所定の重み付け係数で重み付けを行う。係数乗算器84の重み付け係数を大きくすると補正部5の動作で説明したステップ3およびステップ4の繰り返しにおける収束は早くなるが動作が不安定となる可能性があり、小さくすると動作は安定するが、収束が遅くなる。
乗算器85は、P/S81の出力と係数乗算器84の出力を乗算することにより勾配を求める。そして、S/P86は、乗算器85のシリアル出力をパラレル信号に変換する。DFT部87は、勾配をサブキャリア毎の補正信号に変換するために、そのパラレル信号にDFTを行い、DFTの結果を補正信号として補正部5に出力する。
補正部5の乗算部54は、上述のとおり、補正信号生成部18から出力される補正信号と、サブキャリアマッピング部4より入力された許容誤差値と、を乗算する。したがって、補正信号に対してサブキャリアごとに重み付けを行って補正を行っていることになる。たとえば、許容誤差値が小さい64QAMの場合は補正する電力値を小さくして高精度に補正を行い、許容誤差値が大きいQPSKの場合は補正する電力値を大きくしてピーク抑圧性能を改善させることができる。
図11は、サブキャリアごとに重み付けを行わない従来のピーク抑圧による補正信号のスペクトル例を示す図である。図12は、本実施の形態の重み付けを行った補正信号のスペクトルの例を示す図である。図11に示すように、重み付けを行わないピーク抑圧では、誤差信号電力はサブキャリアによらず同じ特性となる。本発明による重みつきの補正部を用いた場合のスペクトルは、図12に示すように補正信号のスペクトルは変調方式や符号化率に依存する許容誤差値に応じたレベルとなるため、サブキャリアごとに値が異なっている。
さらに本実施の形態では、帯域外では、送信規定が許す範囲で補正信号を大きくする(サブキャリアマッピング部が出力する許容誤差値を大きくする)ことにより、ピーク抑圧性能を改善させる。このように本実施の形態では、補正信号をサブキャリアごとにコントロールすることができ、変調方式や符号化率に応じた誤差で送信することでより高品質な通信を行うことができる。
つづいて、IDFT部6,P/S7,GI挿入部8,DAC9,ミキサー10,送信アンプ11,カプラー13,ミキサー14,発信器15,ADC16,送信アンプ誤差特性同定部17の動作について説明する。IDFT部6は、補正部5から出力されるサブキャリアごとの信号にIDFTを行い、IDFT後の信号を補正信号生成部18とP/S7に出力する。そして、P/S7は、IDFT後の信号をシリアル信号に変換してGI挿入部に出力する。
つぎに、GI挿入部8は、シリアル信号にガードインターバルを挿入してDACと送信アンプ誤差特性同定部17に出力する。DAC9は、ガードインターバル挿入後のデータをアナログ信号に変換してミキサー10に出力する。ミキサー10は、発振器15から供給される正弦波に基づいてアナログ信号をアップコンバートする。そして、送信アンプ11は、アップコンバートされた信号を増幅し、アンテナ12が増幅した信号を空中に放射する。
また、カプラー13は、送信アンプ11の出力を取得してミキサーに出力する。そして、ミキサー14は、カプラー13からの出力を発振器15から供給される正弦波に基づいてDAC9の処理前の信号と同じ周波数にダウンコンバートして、送信アンプ誤差特性同定部17に出力する。そして、送信アンプ誤差特性同定部17は、GI挿入部8から出力された信号とADC16から出力された信号に基づいて送信アンプ11の入出力特性を取得し、取得した特性に基づき勾配係数を求めて補正信号生成部18に出力する。送信アンプ誤差特性同定部17は、GI挿入部8から出力された信号を送信アンプ11への入力、ADC16から出力された信号を送信アンプ11からの出力として送信アンプ11の入出力特性を取得することができる。
つづいて、本実施の形態の送信アンプ誤差勾配テーブルに格納される勾配係数について説明する。本実施の形態では、補正信号生成部18の送信アンプ誤差勾配テーブル管理部83は、送信アンプ誤差特性同定部17が出力した勾配係数を用いて、送信アンプ誤差勾配テーブルを更新する。ここでは、送信アンプ誤差勾配テーブルは、振幅xの値と勾配係数の対応が格納されているとする。そして、補正信号生成部18が振幅xと対応する勾配係数を出力するようにしてもよいし、テーブルのxの刻みを固定として、補正信号生成部18は勾配係数のみを出力して、送信アンプ誤差勾配テーブル管理部83が、対応するxの勾配係数を更新するようにしてもよい。
本実施の形態では、送信アンプ11の誤差電力の勾配を補正信号としているが、これは最急降下法を用いて補正を実施するためである。最急降下法では、パラメータの値をその微分値と逆の方向に少量変化させ、それを繰り返すことにより徐々に最適なパラメータに収束させる。
アンプの特性は一般にAM−AM特性とAM−PM特性があり、それぞれの一例を図13,図14に一例を示す。図13は、AM−AM特性の一例と示し、図14はAM−PM特性の一例を示す。図13に示すように、入力電力が大きくなると出力は飽和する。図13,図14において、実線はアンプの特性であり、破線は理想的なアンプの特性である。したがって、この実線と破線の差分が誤差である。
ここで、本実施の形態の送信アンプ11の入力信号の振幅をxとしAM−AM誤差(誤差特性)を電力真値で表す関数をf1(x)、AM−PM誤差(誤差特性)をラジアンで表す関数をf2(x)とすると両方を合わせた誤差関数f3(x)は、以下の式(1)であらわすことができる。
f3(x)=(f1(x)cos(f2(x))−G・x)2
+(f1(x)sin(f2(x)))2 …(1)
ここでGは、振幅真値のゲインを表す。図15は、f3(x)をグラフに表した一例を示す図である。図15に示すように、誤差特性は振幅xが小さい領域ではほぼ“0“となるが、振幅が大きくなると急激に増大する。IDFT部6の出力である複素数のシリアル信号y(x=|y|)を用いて誤差関数を表すと図16に示すようにコップのような形状となる。この誤差関数について、最急降下法のための勾配を求めるとf3(x)の微分を用いて以下の式(2)の様に表すことができる。
勾配=―y/x・(df(3)/dx) ・・・(2)
係数乗算器84において、勾配係数zとyが乗算される。したがって、送信アンプ誤差勾配テーブルには以下の式(3)で表される勾配係数zが、xと対応して書き込まれていれば良いことになる。
z=−1/x・(df3(x)/dx) ・・・(3)
f3(x)で表される誤差関数は非線形歪に起因する誤差でありそのスペクトルは、たとえば図17に示す形状となる。このような送信アンプ11の非線形歪に起因する誤差を低減すると、隣接チャネル漏洩電力を低減することが可能となる。
以上のように、本実施の形態では、サブキャリアごとに許容誤差値を求めて、補正を行うための補正信号の大きさをサブキャリアごとに調整できるようにした。また、さらに送信アンプ11の入力出力特性を送信アンプ誤差特性同定部17が取得し、その特性に基づいて補正信号を生成するようにした。このため、サブキャリアごとの品質を調整した上で、ピーク抑圧を行うことができる。また、従来方式にくらべ、ピーク抑圧性能が改善するため、送信アンプの効率を高め、送信アンプをより小型化することが可能となる。さらに、送信アンプ11の入出力特性を反映しているため、精度の良い補正を行うことができ、確実に隣接チャネル漏洩電力を低減できる。
以上のように、本発明にかかる無線送信装置は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式を採用する無線通信システムに有用であり、特に、ピーク抑圧を行う無線通信システムに適している。
本発明にかかる無線送信装置の実施の形態1の機能構成例を示す図である。 端末の受信C/N比の範囲に対応する変調方式と符号化率の組み合わせと、その組み合わせに対応する許容送信C/N比を示すテーブルの一例を示す図である。 bit列とQPSKのシンボルマッピングの例を示す図である。 bit列と16QAMのシンボルマッピングの例を示す図である。 bit列と64QAMのシンボルマッピングの例を示す図である。 サブキャリアマッピングの一例を示す図である。 補正部の構成例を示す図である。 補正部の第2の構成例を示す図である。 補正部の第3の構成例を示す図である。 補正信号生成部の構成例を示す図である。 サブキャリアごとに重み付けを行わない従来のピーク抑圧による補正信号を示す図である。 重み付けを行った補正信号のスペクトルの例を示す図である。 アンプのAM−AM特性の一例を示す図である。 アンプのAM−PM特性の一例を示す図である。 送信アンプの誤差関数の一例を示す図である。 複素数のシリアル信号yを用いて誤差関数を表した一例を示す図である。 送信アンプの誤差関数のスペクトルの一例を示す図である。
符号の説明
1 データバッファ
2 誤り訂正符号化部
3 シンボル変調部
4 サブキャリアマッピング部
5 補正部
6 IDFT部
7,81 P/S
8 GI挿入部
9 DAC
10,14 ミキサー
11 送信アンプ
12 アンテナ
13 カプラー
15 発振器
16 ADC
17 送信アンプ誤差特性同定部
18 補正信号生成部
19 パイロット信号生成部
20 スケジューラ
51 セレクタ
52,60 加算部
53 記録部
54,58 乗算部
55 電力和計算部
56 逆数計算部
57 クリップ部
58 第2の乗算部
59 係数乗算部
82 振幅変換部
83 送信アンプ誤差勾配テーブル管理部
84 係数乗算器
85 乗算器
86 S/P
87 DFT部

Claims (11)

  1. チャネルごとに変調方式を選択して変調した変調信号をサブキャリアごとにマッピングし、マッピングした信号を逆フーリエ変換した後に送信アンプで増幅して送信する無線送信装置であって、
    チャネルごとの送信電力に基づき、サブキャリアごとに電力の許容誤差値を算出する制御手段と、
    前記逆フーリエ変換後の信号に基づいて前記送信アンプの入出力特性を補正するための補正信号を生成する補正信号生成手段と、
    前記許容誤差値に基づきサブキャリアごとに前記補正信号に重み付けを行い、重み付け後の信号を用いて前記送信アンプの入出力特性を補正する補正手段と、
    を備えることを特徴とする無線送信装置。
  2. 前記制御手段は、受信装置の受信品質情報を取得し、前記許容誤差値をさらに前記受信品質情報に基づいて算出することを特徴とする請求項1に記載の無線送信装置。
  3. 前記制御手段は、前記許容誤差値をさらに前記変調信号の変調方式に基づいて算出することを特徴とする請求項1または2に記載の無線送信装置。
  4. 前記変調信号を誤り訂正符号化後の変調信号とし、
    前記制御手段は、前記許容誤差値をさらに前記誤り訂正符号化における符号化率に基づいて算出することを特徴とする請求項1、2または3に記載の無線送信装置。
  5. 前記制御手段は、前記許容誤差値をさらにチャネル種別に基づいて算出することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の無線送信装置。
  6. 前記送信アンプの入力信号と出力信号を取得し、前記送信アンプの入出力特性を求める送信アンプ特性同定手段、
    をさらに備え、
    前記補正信号生成手段は、前記送信アンプ特性同定手段によって求められた入出力特性に基づいて補正信号を生成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の無線送信装置。
  7. 前記入出力特性を、送信アンプの非直線性誤差の勾配とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の無線送信装置。
  8. 前記補正信号生成手段は、前記入出力特性を逐次更新することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の無線送信装置。
  9. 前記補正手段は、全サブチャネルの前記重み付け後の補正信号の電力和を算出し、前記電力和が所定の数値を超える場合には、前記重み付け後の補正信号を所定の数値に規格化することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の無線送信装置。
  10. 前記補正手段は、前記マッピングされた変調信号に所定の係数を乗算し、前記重み付け後の信号と前記乗算結果を加算した結果を用いて前記送信アンプの入出力特性を補正することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の無線送信装置。
  11. 前記補正手段は、全サブチャネルの前記加算した結果の電力和を算出し、前記電力和が所定の数値を超える場合には、前記加算した結果を所定の数値に規格化することを特徴とする請求項10に記載の無線送信装置。
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