JP4115791B2 - 表面保護シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は表面保護シートに関する。本発明の表面保護シートは、たとえば、金属板、塗装した金属板、アルミサッシ、樹脂板、化粧鋼板、塩化ビニルラミネート鋼板、ガラス板等の部材を運搬、加工または養生する際等に、それら部材表面に貼り付け保護する用途等に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
表面保護シートに必要な特性としては、被着体に貼り付けた後に保護シートの浮きや剥がれがなく、剥離除去に際しては粘着層が被着体へ残留しないことが要求される。特に、保護シートを被着体に貼り付けたものが、保護シートを剥離するまでの間に高温下や屋外暴露下等の過酷な条件下におかれる場合には、上記保護シートの特性にも、より一層高度なものが求められる。
【0003】
従来より、一般に用いられてきた表面保護シートの粘着層には、天然ゴムまたは変性天然ゴムに、適量の粘着付与剤等を配合した天然ゴム系粘着剤が使用されている。このような表面保護シートは、屋内での使用に関しては、特に問題はない。しかしながら、天然ゴム系粘着剤は、その構造中に不飽和二重結合を有するために、屋外暴露された場合に紫外線により分子切断が引き起こされ、表面保護シートを剥離する際に被着体に粘着剤が残留する場合があった。そのため、耐侯性の良好な表面保護シートが望まれていた。
【0004】
上記問題点を解決するために、前記粘着層の形成に、アクリル系共重合体を粘着性を失わない程度にイソシアネート化合物やメチロール化合物で架橋三次元化して凝集力を高めたアクリル系粘着剤やポリイソブチレン等の合成ゴム系粘着剤が提案されている。しかしながら、これらの粘着剤は溶剤系であるために、表面保護シートの安全衛生上、公害、経済性などに問題があった。
【0005】
近年、これらの問題点を改善するために粘着剤の無溶剤化が要望されている。その有力な手段として、熱可塑性エラストマーからなる粘着層とポリオレフィン系樹脂からなる基材層を共押出しによって製膜し、表面保護シートを製造する方法が検討されている。
【0006】
一般的に共押出し成形可能な熱可塑性エラストマーとしては、スチレン・エチレン−ブチレン共重合体・スチレンのブロックポリマー(SEBS)、スチレン・エチレン−プロピレン共重合体・スチレンのブロックポリマー(SEPS)などが知られている。これらのスチレン系ブロック共重合体は、比較的平滑な被着体面を有するステンレス板や樹脂板等の被着体面に対しては充分な接着性を有する。一方、これらのスチレン系ブロック共重合体は、研磨処理されたステンレス板(ヘアーライン板)や粗面樹脂板等の被着体面に対しては接着性に乏しい。そのため、かかる粗面樹脂板等の被着体面に適用する保護シートの粘着層には、スチレン系ブロック共重合体に、多量の粘着付与剤や軟化剤等を加えて、粘着層の接着力を調節することが一般的である(たとえば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0007】
しかし、粘着付与剤等を多量に使用した粘着剤層を有する表面保護シートは、夏場の倉庫中やコンテナ中のように高温下で保存した場合には、比較的短時間にその接着力が増加してしまう。このような接着力の増加は、剥離不良を起こすなどの問題があった。また、接着力を上昇させた当該表面保護シートを平滑板等に使用した場合には、粘着付与剤等の影響により、剥離不良となる。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−194923号公報(第2頁)
【0009】
【特許文献2】
特開昭61−103975号公報(第1頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂を含有する基材層とスチレン系熱可塑性エラストマーを含有する粘着層が共押出しによって成膜されている表面保護シートであって、各種被着体への接着力が良好であり、かつ屋外での使用や高温下で保存した場合であっても、その接着力の増加が少なく、被着体から剥離する際の剥離性が良好な表面保護シートを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下に示す表面保護シートを見出し本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、ポリオレフィン系樹脂を含有する基材層とスチレン系熱可塑性エラストマーを含有する粘着層が共押出しによって成膜されている表面保護シートであって、ポリオレフィン系樹脂が、密度0.88〜0.93g/cm 3 の低密度ポリエチレンであり、スチレン系熱可塑性エラストマーが、−60〜100℃の測定温度範囲における動的粘弾性測定のtanδ値の最大となる温度が−40〜−25℃であるスチレン系ブロック共重合体またはその水添物であることを特徴とする表面保護シート、に関する。
【0013】
上記本発明は、粘着層の形成に用いるスチレン系熱可塑性エラストマーとして、従来より用いられているものよりも、高い温度にて、前記動的粘弾性測定の最大のtanδ値を示すスチレン系ブロック共重合体を用いている。最大のtanδ値を示す温度が上昇することによって接着性が増大する。また最大のtanδ値を示す温度を−40〜−25℃に調節することで適度な濡れ性も得ることができる。そのため、本発明の粘着層は多量に粘着付与剤等を添加しなくても、十分な濡れ性と接着性を有する。したがって、粘着付与剤等の添加を少量に押さえることができ剥離不良、糊残りが発生しない。かかる粘着層を有する本発明の表面保護シートは、粘着層の物性を調節することで粗面に対しても良好に接着し、平面に適用した場合でも剥離不良を発生しない。良好な濡れ性と接着性を得るためには、前記動的粘弾性測定のtanδ値の最大となる温度は、−40℃〜−30℃であるのが好ましい。前記動的粘弾性測定は詳しくは実施例の記載による。
【0014】
前記表面保護シートにおいて、粘着層の20℃における貯蔵弾性率が、1.0×105 〜8.0×105 Paであることが好ましい。粗面への接着性の観点から、実用温度領域である20℃における貯蔵弾性率は1.5×105 〜7.5×105 Paであるのがより好ましく、さらには2.0×105 〜7.0×105 Paであるのがより好ましい。
【0015】
前記表面保護シートにおいて、基材層を形成するポリオレフィン系樹脂が、密度0.88〜0.93g/cm3 の低密度ポリエチレンである。基材層を形成するポリオレフィン系樹脂は、基材の柔軟性、被着体に対する保護機能、金属板の曲げ加工時の基材破れ防止等の観点から直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。特に、0.895〜0.92g/cm3の範囲のものは曲げ加工時の浮き防止の点から好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の表面保護シートは、ポリオレフィン系樹脂を含有する基材層とスチレン系熱可塑性エラストマーを含有する粘着層が共押出しによって成膜されている。前記粘着層を形成するスチレン系熱可塑性エラストマーには、−60〜100℃の測定温度範囲における動的粘弾性測定のtanδ値の最大となる温度が−40〜−25℃であるスチレン系ブロック共重合体またはその水添物が用いられる。
【0017】
スチレン系ブロック共重合体としては、例えばスチレン・ブタジエン・スチレン(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレン(SIS)等のスチレン系ABA型ブロック共重合体(トリブロック共重合体);スチレン・ブタジエン・スチレン・ブタジエン(SBSB)、スチレン・イソプレン・スチレン・イソプレン(SISI)等のスチレン系ABAB型ブロック共重合体(テトラブロック共重合体);スチレン・ブタジエン・スチレン・ブタジエン・スチレン(SBSBS)、スチレン・イソプレン・スチレン・イソプレン・スチレン(SISIS)等のスチレン系ABABA型ブロック共重合体(ペンタブロック共重合体)、さらには、これ以上のAB繰り返し単位を有するスチレン系ブロック共重合体があげられる。またスチレン系ブロック共重合体としては、エチレン性二重結合を水添した水添物を用いるのが好ましい。たとえば、スチレン・エチレン−ブチレン共重合体・スチレン(SEBS)、スチレン・エチレン−プロピレン共重合体・スチレン(SEPS)、スチレン・エチレン−ブチレン共重合体・スチレン・エチレン−ブチレン共重合体(SEBSEB)等があげられる。これらスチレン系ブロック共重合体は1種を単独でまたは2種以上を用いることができる。
【0018】
これらスチレン系ブロック共重合体におけるスチレンブロック含量は、特に制限されないが、前記動的粘弾性測定のtanδ値の最大となる温度が前記範囲のものを用いる。通常、スチレンブロック含量が少なくなると、粘着層の凝集力不足による糊残りが発生しやすくなる。一方、スチレンブロック含量が多くなると、スチレン系ブロック共重合体単独で形成した粘着層が硬くなり、粗面に対して良好な接着性を得ることはできない。かかる観点から、スチレン系ブロック共重合体におけるスチレンブロック含量は5〜40重量%程度のものが好ましい。より好ましくは7〜30重量%、特に9〜20重量%のものが好ましく用いられる。
【0019】
前記スチレン系ブロック共重合体のなかでも、スチレン(A)とブタジエン(B)からなるトリブロック共重合体以上の繰り返し構造(ABA型、ABAB型、ABABA型等)を有するスチレン系ブロック共重合体の水添物(SEBS、SEBSEB、SEBSEBS等)が好適である。良好な濡れ性と接着性を得るためには、スチレン系ブロック共重合体の水添物中のエチレン−ブチレン共重合体ブロックに占めるブチレン構造の割合が60重量%以上、好ましくは70重量%以上、特に75重量%以上が好ましい。ブチレン構造が60重量%以上の場合には濡れ性が良好である。特に接着性も良好であり、粗面に対しても良好に接着する。なお、ブチレン構造の割合は、通常、90重量%以下の範囲とするのが好ましい。
【0020】
前記本発明のスチレン系ブロック共重合体は、接着性の調節等を目的に、本発明の目的を損なわない範囲内で、他のスチレン系熱可塑性エラストマーを混合することができる。他のスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、前記以外のスチレン系ブロック共重合体;スチレン・ブタジエン(SB)、スチレン・イソプレン(SI)、スチレン・エチレン−ブチレン共重合体(SEB)、スチレン・エチレン−プロピレン共重合体(SEP)等のAB型ブロックポリマー、スチレン・ブタジエンラバー(SBR)等のスチレン系ランダム共重合体、スチレン・エチレン−ブチレン共重合体・オレフィン結晶(SEBC)等のA−B−C型のスチレン・オレフィン結晶系ブロックポリマー、さらには、これらの水添物があげられる。
【0021】
粘着層の形成に際しては、粘着特性の制御等を目的に、必要に応じて、例えば軟化剤、オレフィン系樹脂、シリコーン系ポリマー、液状アクリル系共重合体、粘着付与剤、老化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、ポリエチレンイミン、脂肪酸アミド、リン酸エステル、その他に、例えば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、シリカや酸化亜鉛、酸化チタンの等の充填剤や顔料などの添加剤を適宜に添加することができる。なお、粘着層表面には、例えばコロナ放電処理、紫外線照射処理、火炎処理、プラズマ処理やスパッタエッチング処理などの、粘着性の制御や貼付作業性等を目的とした表面処理を必要に応じて施すこともできる。
【0022】
粘着付与剤の配合は接着力の向上に有効である。ただし、その配合量は凝集力の低下による糊残り問題の発生を回避するため、表面保護シートが適用される被着体に応じて適宜に決定される。通常、スチレン系ブロック共重合体を含むスチレン系熱可塑性エラストマー100重量部に対し、0〜40重量部、さらには0〜30重量部、特に0〜10重量部が好ましい。なお、表面保護シートが適用される被着体が金属板の場合には、粘着層の形成にあたり粘着付与剤を添加しない方が好ましい。
【0023】
粘着付与剤としては、例えば、脂肪族系共重合体、芳香族系共重合体、脂肪族・芳香族系共重合体系や脂環式系共重合体等の石油系樹脂、クマロン−インデン系樹脂、テルぺン系樹脂、テルぺンフェノール系樹脂、重合ロジン等のロジン系樹脂、(アルキル)フェノール系樹脂、キシレン系樹脂またはこれらの水添物などの、一般的に粘着剤に使用されるものを特に制限なく使用できる。これら粘着付与剤は1種を単独でまたは2種以上を用いることができる。剥離性や耐候性などの点から水添系の粘着付与剤が好ましい。なお、粘着付与剤は、オレフィン樹脂とのブレンド物として市販されているものを使用することもできる。
【0024】
軟化剤の配合は、通例、接着力の向上に有効である。軟化剤としては、例えば、低分子量のジエン系ポリマー、ポリイソブチレン、水添ポリイソプレン、水添ポリブタジエンやそれらの誘導体があげられる。前記誘導体としては、たとえば、片末端または両末端にOH基やCOOH基を有するものを例示でき、具体的には水添ポリブタジエンジオール、水添ポリブタジエンモノオール、水添ポリイソプレンジオール、水添ポリイソプレンモノオールなどがあげられる。特に、被着体に対する接着性の向上を抑制する目的からは、水添ポリブタジエンや水添ポリイソプレン等のジエン系ポリマーの水添物やオレフィン系軟化剤等が好ましい。具体的には(株)クラレ製の商品名「クラプレンLIR−200」等が入手可能である。これら軟化剤は1種を単独でまたは2種以上を用いることができる。
【0025】
なお、軟化剤の分子量は特に制限されず適宣に設定できるが、分子量が小さくなると粘着層からの被着体への物質移行や重剥離化等の原因となるおそれがあり、一方、分子量が大きくなると接着力の向上効果に乏しくなる傾向があることから、軟化剤の数平均分子量は5000〜10万程度、特に1万〜5万のものが好ましい。
【0026】
軟化剤を使用する場合、その添加量は特に制限されないが、添加量が多くなると、高温や屋外暴露時での糊残りが増加する傾向にあることから、スチレン系型ブロック共重合体を含むスチレン系熱可塑性エラストマーおよび軟化剤を含む粘着剤組成物100重量部に対して、40重量部以下、さらには20重量部以下、特に10重量部以下であるのが好ましい。なお、表面保護シートが適用される被着体が金属板の場合には、粘着層の形成にあたり粘着付与剤を添加しない方が好ましい。
【0027】
粘着層の厚さは、特に制限されず、要求される接着力などに応じて適宜に決定すればよい。粘着層の厚さは、通常1〜50μm程度であり、好ましくは2〜40μm、さらに好ましく5〜20μmである。
【0028】
前記基材層を形成するポリオレフィン系樹脂は低密度、リニア低密度ポリエチレン等のエチレン系ポリマーを成膜安定性や焼却等の問題から用いられ、これらポリオレフィン系樹脂は1種を単独でまたは2種以上を用いることができる。これらのなかでも前述の密度0.88〜0.93g/cm 3 の低密度ポリエチレンが用いられ、直鎖状低密度ポリエチレンを用いることが好ましい。
【0029】
前記基材層には、劣化防止等を目的に、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等の光安定剤、帯電防止剤、その他に、例えば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン等の充填剤、顔料、目ヤニ防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、発泡剤、ポリエチレンイミン等の添加剤を適宜に添加することができる。
【0030】
基材層の厚さは、特に制限されないが、通常20〜300μm程度であり、好ましくは30〜250μm、さらに好ましく40〜200μmである。また、基材層は、単層でもよく二層以上の多層からなっていてもよい。基材層の背面側には、耐スリップ性やハンディカット性の付与を目的として凹凸加工を施してもよい。
【0031】
本発明の表面保護シートは、前記ポリオレフィン系樹脂を含有する基材層形成材とスチレン系熱可塑性エラストマーとしてスチレン系ブロック共重合体を含有する粘着層形成材を用いて、基材層と粘着層を共押出し法によって成膜することにより得られる。共押出し法としては、フィルム製造などに一般的に用いられるインフレーション法、Tダイ法等に準じて行うことができる。なお、基材層と粘着層は、二層または多層にて共押出しされる。基材層と粘着層には必要に応じて前記表面処理を施すことができる。
【0032】
さらに、粘着層には必要に応じて、実用に供されるまでの間、セパレータなどを仮着して保護することもできる。なお支持基材の粘着層を付設しない面に対しては、巻戻しが容易な巻回体の形成などを目的に例えば基材層への脂肪酸アミドやポリエチレンイミン等の添加による離型処理やシリコーン系や長鎖アルキル系やフッ素系などの適宜な剥離剤からなるコート層を設けることもできる。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0034】
実施例1
直鎖状低密度ポリエチレン(三井化学社製,エボリュ−SP2020)100重量部に対してエチレンビスステアリルアミド(日本化成社製)0.5重量部を添加した基材層形成材と、スチレン・エチレン−ブチレン共重合体・スチレンのブロックポリマー(旭化成社製,タフテックH1221、最大tanδ温度=−32℃)からなる粘着層形成材を、インフレーション方法によりダイス温度240℃にて成膜し、表面保護シートを得た。この時、基材層は110μm、粘着層を5μmとした。なお、直鎖状低密度ポリエチレン(三井化学社製,エボリュ−SP2020)は、密度0.916g/cm3 である。スチレン・エチレン−ブチレン共重合・スチレンのブロックポリマー(旭化成社製,タフテックH1221)は、スチレン含量12重量%、エチレン−ブチレン共重合体ブロックに占めるブチレン構造の割合が76重量%である。
【0035】
実施例2
低密度ポリエチレン(東ソー社製,ペトロセン173)100重量部に対してエチレンビスステアリルアミド(日本化成社製)0.5重量部および酸化チタン(大日精化社製,HCM2035W)を添加した基材層形成材と、スチレン・エチレン−ブチレン共重合体・スチレンのブロックポリマー(旭化成社製,タフテックH1221,最大tanδ温度=−32℃)100重量部に対して石油樹脂(荒川化学社製,アルコンP−100)5重量部を添加した粘着層形成材を、Tダイ法によりダイス温度230℃にて成膜し、表面保護シートを得た。この時、基材層は60μm、粘着層を10μmとした。なお、低密度ポリエチレン(東ソー社製,ペトロセン173)は、密度0.924g/cm3 である。
【0036】
実施例3
直鎖状低密度ポリエチレン(三井化学社製,エボリュ−SP2020)100重量部に対してエチレンビスステアリルアミド(日本化成社製)0.5重量部を添加した基材層形成材と、スチレン・エチレン−ブチレン共重合体・スチレンのブロックポリマー(JSR社製,ダイナロン8600P,最大tanδ温度=−39℃)からなる粘着層形成材を、Tダイ方法によりダイス温度220℃にて成膜し、表面保護シートを得た。この時、基材層は110μm、粘着層を10μmとした。なお、スチレン・エチレン−ブチレン共重合・スチレンのブロックポリマー(JSR社製,ダイナロン8600P)は、スチレン含量15重量%、エチレン−ブチレン共重合体ブロックに占めるブチレン構造の割合が67重量%である。
【0037】
比較例1
実施例1において、粘着層形成材として、スチレン・エチレン−ブチレン共重合体・スチレンのブロックポリマー(旭化成社製,タフテックH1221,最大tanδ温度=−32℃)に代えて、スチレン・エチレン−ブチレン共重合体・スチレンのブロックポリマー(シェルエラストマー社製,クレイトンG1657,最大tanδ温度=−50℃)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により表面保護シートを作成した。なお、スチレン・エチレン−ブチレン共重合体・スチレンのブロックポリマー(シェルエラストマー社製,クレイトンG1657)は、スチレン含量13重量%である。
【0038】
比較例2
実施例1において、粘着層形成材として、スチレン・エチレン−ブチレン共重合体・スチレンのブロックポリマー(旭化成社製,タフテックH1221,最大tanδ温度=−32℃)に代えて、スチレン・エチレン−ブチレン共重合体・スチレンのブロックポリマー(シェルエラストマー社製,クレイトンG1657,最大tanδ温度=−50℃)100重量部に対して石油樹脂(荒川化学社製,アルコンP−100)5重量部を添加した粘着組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により表面保護シートを作成した。
【0039】
比較例3
実施例2において、粘着層形成材として、スチレン・エチレン−ブチレン共重合体・スチレンのブロックポリマー(旭化成社製,タフテックH1221,最大tanδ温度=−32℃)に代えて、スチレン・エチレン−プロピレン共重合体・スチレンのブロックポリマー( (株)クラレ製,セプトン2063,最大tanδ温度=−51℃)100重量部に対して石油樹脂(荒川化学社製,アルコンP−100)5重量部を添加した粘着組成物を用いたこと以外は、実施例2と同様の方法により表面保護シートを作成した。なお、スチレン・エチレン−プロピレン共重合体・スチレンのブロックポリマー( (株)クラレ製,セプトン2063)は、スチレン含量13重量%である。
【0040】
評価試験
(最大tanδ温度および貯蔵弾性率の測定)
前記表面保護シートの粘着層に用いた各スチレン系ブロック共重合体の−60〜100℃の測定温度範囲における動的粘弾性測定のtanδ値の最大となる温度、および粘着層の20℃における貯蔵弾性率は、レオメトリックサイエンティフィック社製ARESを用いて1Hzの周波数のせん断ひずみを与えながら、−60〜150℃の温度変化(昇温速度5℃/min)を与え、測定した。測定試料は厚さ5mm程度の粘着層を作成し、測定した。当該粘着層の作成方法は有機溶剤によるキャスト法や熱プレス法によって行なった。なお、粘着層の貯蔵弾性率は、これらの手法が行なえない場合には表面保護シートの貯蔵弾性率と支持基材の貯蔵弾性率の差により求める方法などでも測定可能である。結果を表1に示す。
【0041】
(粘着力の測定)
実施例および比較例で得られた表面保護シートの粘着力をJIS Z 0237に準拠して測定した。具体的には被着体としてSUS304BA板(平滑表面)、SUS304HL板(研磨処理表面)を用いた。トルエンにてSUS板表面を洗浄後、2kgローラーにて圧着し、30分間経過後にインストロン型引張試験機(島津製作所社製、オートグラフ)にて引張速度300mm/分、180度ピールにて測定した。この時、測定環境及び保存環境は23℃/50%にて行なった。耐熱後の粘着力として、23℃/50%にて貼付したSUS304BA板を80℃に設定された乾燥機にて14日間放置後、23℃/50%にて2時間放置し、23℃/50%にて前記と同様に測定した。結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
表1より、本発明の表面保護シートは、研磨処理された被着体に対しても接着力が良好であり、かつ耐熱下においても接着力の上昇が少なく、経時的な剥離性が良好であると認められる。
Claims (3)
- ポリオレフィン系樹脂を含有する基材層とスチレン系熱可塑性エラストマーを含有する粘着層が共押出しによって成膜されている表面保護シートであって、
ポリオレフィン系樹脂が、密度0.88〜0.93g/cm 3 の低密度ポリエチレンであり、
スチレン系熱可塑性エラストマーが、−60〜100℃の測定温度範囲における動的粘弾性測定のtanδ値の最大となる温度が−40〜−25℃であるスチレン系ブロック共重合体またはその水添物であることを特徴とする表面保護シート。 - 粘着層の20℃における貯蔵弾性率が、1.0×105〜8.0×105Paであることを特徴とする請求項1記載の表面保護シート。
- 更に、前記粘着層が軟化剤を含有し、
前記軟化剤の数平均分子量が5000〜10万であることを特徴とする請求項1又は2記載の表面保護シート。
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