JP4113889B2 - 液圧式減衰軸受 - Google Patents

Description

本発明は液圧式減衰軸受に関する。より詳細には、本発明は、弾性支持体を介して第２取付部に支持されている第１取付部を備えている液圧式減衰軸受であって、減衰流体で満たされている作用室を有し、この作用室が、隔壁内に設けられている減衰流路を介して、ベローズによって密閉されている補償室と減衰流体が導通するように接続され、ベローズを覆う軸受カバーを備え、その軸受カバーの縁部が、ベローズ、隔壁、弾性支持体と形状嵌合又は摩擦係合により結合されている液圧式減衰軸受に関する。

上記のような形式の液圧式減衰軸受は、例えば自動車のエンジン軸受として使用されている。このような軸受は、走行路によりもたらされる低い周波数の振動及び、エンジンからもたらされるより高い周波数の振動を良好に減衰させることができる。

上記のような形式の上位概念の軸受は公知である（例えば特許文献１及び２参照）。特許文献１及び２に記載の軸受の場合、弾性支持体内の、減衰流体で満たされている作用室は、減衰流路を介して補償室と接続され、この補償室は断面略Ｕ字形のベローズによって密閉されている。減衰流路を有するとともに隔壁を形成する開口体が作用室と補償室の間に配置され、この開口体又は隔壁に設けられている少なくとも１つの貫通口が可動膜によって塞がれている。

上記のような形式の軸受の場合、第２取付部はベローズを覆っている軸受カバーによって形成されている。Ｕ字形のベローズ、開口体及び弾性支持体と、軸受カバーのカバー縁部との形状嵌合、同様の形状を有することによって互いに嵌め合わされることによってもたらされる結合は、弾性支持体に結合されている金属製の外側環が軸受カバーのカバー縁部の周りでふちを折り曲げられることにより実施されている。

ふちを折り曲げることによるこの結合方法では、弾性支持体の外側環及び軸受カバーを金属で製造する必要がある。このような材料選択及びふちを折り曲げる工程は、比較的高い製造コストの原因となっている。また相互にふちを折り曲げることにより結合された部材を破損することなく分解することは不可能である。
独国特許出願公開第3721881号 独国特許出願公開第19861063号

したがって本発明は、先に記載した形式の液圧式減衰軸受において、部材を簡単に嵌合させ、かつ相互に結合し得るように改良、発展させることを課題とする。その際、液圧式減衰軸受は、破損することなく分解可能でなければならず、またプラスチック材料を使用することができなければならない。

上記課題は、本発明によれば、軸受カバー、ベローズ、隔壁、弾性支持体の間の結合が、軸受カバーと弾性支持体とのクリップ式固定又は引掛け係合によって行なわれることにより解決される。上記課題は、第１取付部が弾性支持体を介して第２取付部に支持されてなる液圧式減衰軸受であって、減衰流体で満たされている作用室を有し、この作用室が、隔壁内に設けられている減衰流路を介して、ベローズにより密閉されている補償室と減衰流体が導通するように接続され、ベローズが軸受カバーにより覆われ、この軸受カバーの縁部が、ベローズ、隔壁、弾性支持体と形状嵌合により結合されているものにおいて、軸受カバー、ベローズ、隔壁、弾性支持体の間の結合が、軸受カバーと弾性支持体との引掛け係合によりもたらされていることを特徴とする液圧式減衰軸受により解決される。

クリップ式固定又は引掛け係合による、互いの形状が嵌り合うことによってもたらされる形状嵌合により結合を実施することにより、金属の代わりにプラスチックを軸受カバー及び外側環の材料として使用することができるという利点が生じる。クリップ式固定又は引掛け係合に伴う製造コスト及び組立コストは、ふちを折り曲げることによる結合工程に伴うものよりも少ない。

クリップ式固定又は引掛け係合を解除することにより、各部材を損傷することも破損することもなく、弾性支持体、開口体又は隔壁、ベローズを再利用可能に回収することができる。

本発明の有利な実施形態には、弾性支持体に対してクリップ式固定により結合されている軸受カバーのカバー縁部が、弾性支持体を取り囲み、かつそのカバー縁部が、第２取付部を形成する軸受ケースのふちを折り曲げられ形成されているケース縁部によって覆われていることが含まれている。

この実施形態において、クリップ式固定又は引掛け係合と比較してコストのかかるふちを折り曲げることによる結合方法は、強度上の理由のみから、金属製の軸受ケースとその中に収容されている部材との結合にのみ利用され、軸受ケース内に収容されている部材相互間の結合、すなわち軸受カバー、ベローズ、隔壁、弾性支持体の間の結合は、簡単にもっぱらクリップ式固定又は引掛け結合による形状嵌合よって実施されている。部材相互の間の結合がクリップ式固定又は引掛け結合による形状嵌合よってもたらされている液圧式減衰軸受は、高価な軸受ケースを必要とすることなく、静的かつ動的に位置合わせを行なうことができる。万一液圧式減衰軸受に不具合が生じた場合には、高価で製造技術的に費用のかかる軸受ケースを廃棄することなく、交換の必要とされる他の部材のみを廃棄することができる。軸受の個々の部材、例えば弾性支持体、開口体又は隔壁、ベローズは、クリップ式固定又は引掛け係合を解除することにより回収し、再利用することができる。

本発明の有利な実施形態では、軸受カバーのカバー縁部に、周方向に分散して配置されている複数の鉤状部材が設けられ、これらの鉤状部材が、弾性支持体の下縁部で半径方向に突出して設けられている外周縁部を取り囲み、外周縁部に引っ掛かりかつ外周縁部と係合して、クリップ式固定により外周縁部と形状嵌合していることが好ましい。この突出した外周縁部は、弾性支持体内へ力を伝達導入するための、この外周縁部に係合する鉤状部材に対する高い応力を受容可能な箇所を形成する。

代替的な実施形態では、弾性支持体に埋め込まれている外側環が、その周方向に分散して配置されている複数の鉤状部材と結合し、すなわち外側環に複数の鉤状部材が設けられ、鉤状部材が軸受カバーのカバー縁部を取り囲み、カバー縁部に引っ掛かりかつカバー縁部と係合して、クリップ式固定によりカバー縁部と形状嵌合している。

本発明は、第１取付部が弾性支持体を介して第２取付部に支持されてなる液圧式減衰軸受であって、減衰流体で満たされている作用室を有し、この作用室が、隔壁内に設けられている減衰流路を介して、ベローズにより密閉されている補償室と減衰流体が導通するように接続され、ベローズが軸受カバーにより覆われ、この軸受カバーの縁部が、ベローズ、隔壁、弾性支持体と形状嵌合により結合されているものにおいて、軸受カバー（９）、ベローズ（８）、隔壁（６）、弾性支持体（３）の間の結合が、軸受カバー（９）と弾性支持体（３）との引掛け係合によりもたらされていることを特徴とする液圧式減衰軸受である。軸受カバー（９）のカバー縁部（15）は、弾性支持体（３）を取り囲み、かつそのカバー縁部（15）は、第２取付部を形成する軸受ケース（19）のふちを折り曲げられ形成されているケース縁部（18）によって覆われている。本発明の構成により、低コストで製造することができ、また各部材を破損することなく分解することができる液圧式減衰軸受を提供することが可能となる。

さらに本発明を図面に示す実施例に基づき詳説する。

図１〜４に示す液圧式減衰軸受、例えば自動車を組み立てる際に使用されるエンジン軸受は、力を伝達し導入するように機能する第１取付部１を有し、この第１取付部は、押圧体２を介して、ゴム弾性材料からなる実質上略釣り鐘形状の弾性支持体３に接続されている。

弾性支持体３の下縁部には、例えばプラスチックからなる外側環４が埋め込まれている。

弾性支持体３は、減衰流体で満たされている作用室５を取り囲み、この作用室の、弾性支持体３とは反対側である下面に隔壁又は開口体６が設けられている。

隔壁６の、作用室５とは反対側の面、すなわち隔壁の下方に補償室７が設けられ、補償室はゴム弾性体製の断面略Ｕ字形のベローズ８によって密閉されている。例えばプラスチック材料からなる軸受カバー９がベローズ８の周囲を覆っている。

隔壁６内には、減衰流路10が形成され、この減衰流路は、減衰流体を導通させるように作用室５と補償室７との間を接続する。作用室５と補償室７との間の隔壁又は開口体６には凹部又は貫通口11が設けられ、この凹部又は貫通口11は可動膜12によって塞がれている。

隔壁６の周囲縁部13は、弾性支持体３の縁部とベローズ８のビード状縁部14により挟まれている。図１〜４に示す実施形態の場合に、軸受カバー９の外周部を形成するカバー縁部15には、その周方向に分散して配置されている複数の鉤状部材16が設けられ（図３、４）、一方弾性支持体３の下縁部に埋め込まれている外側環４には、半径方向外側に突出する外周縁部17が設けられている。鉤状部材16は、外周縁部17を取り囲み、外周縁部17に引っ掛かりかつ外周縁部17と係合して、クリップ式固定により外周縁部17と形状嵌合している。このような構成により、容易に組み立てることができ、そして同じく容易にかつ部材を破損することなく分解することができる軸受カバー９と弾性支持体３の間のクリップ式固定又は引掛け係合による結合がもたらされる。この際、同時に隔壁６の周囲縁部13とベローズ８のビード状縁部14とが密閉され、それらは所定の位置で保持される。

図１及び２に示すように、弾性支持体３とクリップ式固定又は引掛け係合により結合されている軸受カバー９のカバー縁部15は、弾性支持体３を取り囲む軸受ケース19の部分であるふちを折り曲げられた又はフランジを形成されたケース縁部18により覆われている。この軸受ケース19は側方の締付部20を有し、液圧式減衰軸受の第２取付部を形成する（図１）。

図５〜６は、図１〜４に示す実施例と異なり、弾性支持体３の下縁部に埋め込まれている外側環４に、その周方向に分散して配置されている複数の鉤状部材21が結合されている実施例を示す。この実施例の場合には、鉤状部材21が、軸受カバー９のカバー縁部15′を取り囲み、縁部15′に引っ掛かりかつ縁部15′と係合して、クリップ式固定により縁部15′と形状嵌合している。

本発明の一実施形態による液圧式減衰軸受の縦断面を示す。 図１のII-II線に沿った断面を示す。 軸受ケースが取り除かれている状態の、軸受カバーと弾性支持体の間のクリップ式固定による結合部分の部分的な断面の拡大図を示す。 軸受ケースが取り除かれている状態の、軸受カバーと弾性支持体の間のクリップ式固定による結合部分の部分的な断面の拡大図を示す。 図３及び４に対応する一部変更を加えた実施形態の断面図を示す。 図３及び４に対応する一部変更を加えた実施形態の断面図を示す。

符号の説明

１ 第１取付部
２ 押圧体
３ 弾性支持体
４ 外側環
５ 作用室
６ 隔壁
７ 補償室
８ ベローズ
９ 軸受カバー
１０ 減衰流路
１１ 凹部
１２ 可動膜
１３ 周囲縁部
１４ ビード状縁部
１５ カバー縁部
１５' カバー縁部
１６ 鉤状部材
１７ 外周縁部
１８ ケース縁部
１９ 軸受ケース
２０ 締付部

Claims (4)

1. 第１取付部が弾性支持体を介して第２取付部に支持されてなる液圧式減衰軸受であって、減衰流体で満たされている作用室を有し、この作用室が、隔壁内に設けられている減衰流路を介して、ベローズにより密閉されている補償室と前記減衰流体が導通するように接続され、前記ベローズが軸受カバーにより覆われ、この軸受カバーの縁部が、前記ベローズ、前記隔壁、前記弾性支持体と形状嵌合により結合されているものにおいて、
   前記軸受カバー（９）、前記ベローズ（８）、前記隔壁（６）、前記弾性支持体（３）の間の結合が、前記軸受カバー（９）と前記弾性支持体（３）との間の引掛け係合によりもたらされ、
   前記弾性支持体（３）に引掛け係合により結合されている前記軸受カバー（９）のカバー縁部（15、15′）が、前記弾性支持体（３）を取り囲み、かつ当該カバー縁部（15、15′）が、前記第２取付部を形成する軸受ケース（19）のふちを曲げられ形成されているケース縁部（18）によって覆われていることを特徴とする液圧式減衰軸受。
2. 前記軸受カバー（９）のカバー縁部（15）が、その周方向に分散して配置されている複数の鉤状部材（16）を有し、該鉤状部材（16）が、前記弾性支持体（３）の半径方向に突出している外周縁部（17）を取り囲み、その外周縁部（17）と形状嵌合により結合していることを特徴とする請求項１に記載の液圧式減衰軸受。
3. 前記外周縁部（17）が、前記弾性支持体（３）に埋め込まれている外側環（４）と結合していることを特徴とする請求項２に記載の液圧式減衰軸受。
4. 前記弾性支持体（３）に外側環（４）が埋め込まれ、その外側環（４）が、その周方向に分散して配置されている複数の鉤状部材（21）と結合しており、該鉤状部材（21）が前記軸受カバー（９）のカバー縁部（15′）を取り囲み、そのカバー縁部（15′）と形状嵌合により結合していることを特徴とする請求項１に記載の液圧式減衰軸受。

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