JP4112953B2 - 食器洗浄機及びその温度検出方法 - Google Patents

食器洗浄機及びその温度検出方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、温水により食器の洗浄及び濯ぎを行う食器洗浄機、及び食器に接する温水の温度を検出する食器洗浄機の温度検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来におけるこの種の技術としては、例えば、特許文献1に記載された洗浄機がある。この洗浄機は、食器が収容される洗浄槽を有しており、この洗浄槽内には、食器に向けて温水を噴射する一対のノズルが上下から食器を挟むように配置されている。この洗浄機においては、洗浄用又は濯ぎ用の温水が外部給湯部から給湯管を介して洗浄槽内に供給されるが、このとき、給湯管に取り付けられた感温部によって温水の温度が検知される。
【0003】
この検知により、給湯管内に残留していた温水が排出される供給初期など、温水の温度が所定温度より低い場合には、洗浄槽内に供給された温水は洗浄槽内から排水管を介して外部に排出される。そして、温水の温度が所定温度に達した場合には、温水は洗浄槽内の底部に貯留された後、貯留された温水はポンプによってノズルから食器に向けて噴射され、食器の洗浄又は濯ぎが行われる。このように所定温度に達した温水で洗浄又は濯ぎを行うのは、温水の温度が低いと洗浄工程では洗浄力が低下し、濯ぎ工程では殺菌力が低下してしまうので、このような事態を防止するためである。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−166844号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した洗浄力や殺菌力を十分に発揮させるためには、食器に接する温水の温度が重要であるが、特許文献1記載の洗浄機にあっては、給湯管内の温水の温度を検知しているため、食器に接する温水の温度とにズレが生じるおそれがある。つまり、給湯管から流出した温水は、食器に接触するまでに洗浄槽、ポンプ、ノズル等を経由するため、その間における放熱によって温水の温度が低下する場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、食器に接する温水の温度を正確に検出することのできる食器洗浄機及びその温度検出方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る食器洗浄機は、食器が収容された洗浄室内に供給するための温水を貯留するタンクを備えた食器洗浄機において、外気温を検知する外気温検知手段と、タンク内に貯留された温水の温度を検知する水温検知手段と、基準となる外気温においてタンクから流出した温水が食器に接するまでに低下する温水の固有低下温度に、外気温検知手段により検知された実測外気温に応じた補正係数を乗じることで、実測外気温においてタンクから流出した温水が食器に接するまでに低下する温水の低下温度を算出し、水温検知手段により検知された温水の温度から低下温度を減じることで、実測外気温において食器に接する温水の温度を算出する算出手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
この食器洗浄機においては、基準となる外気温における温水の固有低下温度と、外気温に応じて変化する補正係数とを、例えば予め取得して記憶しておけば、外気温検知手段により検知された実測外気温に応じた補正係数を固有低下温度に乗じることで、実測外気温における温水の低下温度を算出することできる。そして、水温検知手段により検知されたタンク内の温水の温度から、算出した低下温度を減じることで、食器に接する温水の温度を算出することができる。したがって、外気温の変化に伴って、タンクと洗浄室とを結ぶ配管等からの放熱量が変化するような場合にも、食器に接する温水の温度を常に正確に検出することが可能になる。
【0009】
なお、「固有低下温度」とは、例えば30℃といった基準となる外気温下における機種固有の低下温度をいい、主に、タンクと洗浄室とを結ぶ配管の表面積により決定される。タンクから流出した温水の食器に接するまでの温度低下は、タンクと洗浄室とを結ぶ配管からの放熱を主原因として生じるからである。
【0010】
また、算出手段は、外気温に応じて変化する補正係数を異なる外気温ごとに記憶する記憶部を有し、補正係数は、実測外気温に応じて記憶部から読み出されることが好ましい。このように、異なる外気温それぞれに対応付けて補正係数を予め記憶部に保存しておき、実測外気温に対応する補正係数を記憶部から読み出すようにすれば、そのような補正係数を用いずに実測外気温に基づいて低下温度を算出していくような場合に比べ、算出手段による算出処理の単純化を図ることができる。
【0011】
また、タンクは、洗浄水を貯留する洗浄水タンク又は濯ぎ水を貯留する濯ぎ水タンクであることが好ましい。タンクが洗浄水タンクの場合には、食器に接触する洗浄水の温度を検出することができるため、この温度が所定温度以上になるようにヒータ等で洗浄水タンク内の洗浄水の温度を調節すれば、洗浄工程において洗浄力を十分に発揮させることが可能になる。一方、タンクが濯ぎ水タンクの場合には、食器に接触する濯ぎ水の温度を検出することができるため、この温度が所定温度以上となるようにヒータ等で濯ぎ水タンク内の濯ぎ水の温度を調節すれば、濯ぎ工程での殺菌力を十分に発揮させることが可能になる。
【0012】
さらに、上記目的を達成するために、本発明は食器洗浄機の温度検出方法にも係り、食器が収容された洗浄室内に供給するための温水を貯留するタンクを備えた食器洗浄機において、食器に接する温水の温度を検出する温度検出方法において、外気温を検知する外気温検知工程と、タンク内に貯留された温水の温度を検知する水温検知工程と、基準となる外気温においてタンクから流出した温水が食器に接するまでに低下する温水の固有低下温度に、外気温検知工程にて検知された実測外気温に応じた補正係数を乗じることで、実測外気温においてタンクから流出した温水が食器に接するまでに低下する温水の低下温度を算出し、水温検知工程にて検知された温水の温度から低下温度を減じることで、実測外気温において食器に接する温水の温度を算出する算出工程とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る食器洗浄機は、食器が収容された洗浄室内に供給するための温水を貯留するタンクを備えた食器洗浄機において、タンクから洗浄室内に温水供給を行ってからの経過時間を計測する時間計測手段と、タンク内に貯留された温水の温度を検知する水温検知手段と、基準となる経過時間をもって行われた温水供給においてタンクから流出した温水が食器に接するまでに低下する温水の固有低下温度に、時間計測手段により計測された実測経過時間に応じた補正係数を乗じることで、実測経過時間をもって行われる温水供給においてタンクから流出した温水が食器に接するまでに低下する温水の低下温度を算出し、水温検知手段により検知された温水の温度から低下温度を減じることで、実測経過時間をもって行われる温水供給において食器に接する温水の温度を算出する算出手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
この食器洗浄機においては、基準となる経過時間(すなわち、前回の温水供給を行ってから経過した時間であって、基準として設定した時間)をもって行われた温水供給における温水の固有低下温度と、経過時間に応じて変化する補正係数とを、例えば予め取得して記憶しておけば、時間計測手段により計測された実測経過時間に応じた補正係数を固有低下温度に乗じることで、実測経過時間をもって行われた温水供給における温水の低下温度を算出することできる。そして、水温検知手段により検知されたタンク内の温水の温度から、算出した低下温度を減じることで、食器に接する温水の温度を算出することができる。したがって、経過時間の増加に伴って、タンクと洗浄室とを結ぶ配管等の温度が低下し、これにより配管からの放熱量が増加するような場合にも、食器に接する温水の温度を常に正確に検出することが可能になる。
【0015】
なお、「固有低下温度」とは、例えば2分といった基準となる経過時間をもって行われた温水供給における機種固有の低下温度をいい、主に、タンクと洗浄室とを結ぶ配管の表面積により決定される。タンクから流出した温水の食器に接するまでの温度低下は、タンクと洗浄室とを結ぶ配管からの放熱を主原因として生じるからである。また、「基準となる経過時間」には、経過時間「0」の場合、すなわち、連続して温水供給を行うような場合も含まれ、この場合における温水の低下温度を固有低下温度とすることもできる。
【0016】
また、算出手段は、経過時間に応じて変化する補正係数を異なる経過時間ごとに記憶する記憶部を有し、補正係数は、実測経過時間に応じて記憶部から読み出されることが好ましい。このように、異なる経過時間それぞれに対応付けて補正係数を予め記憶部に保存しておき、実測経過時間に対応する補正係数を記憶部から読み出すようにすれば、そのような補正係数を用いずに実測経過時間に基づいて低下温度を算出していくような場合に比べ、算出手段による算出処理の単純化を図ることができる。
【0017】
また、時間計測手段は、タンクから洗浄室内への温水供給が終了した時点から経過時間を計測することが好ましい。タンクと洗浄室とを結ぶ配管等の温度低下は、温水供給が終了した時点から始まるため、この時点から経過時間を計測すれば、食器に接触する温水の温度をより一層正確に検出することができる。しかも、温水供給が終了した時点には、温水供給を停止させるための制御信号などが送出されるため、このような制御信号を経過時間の計測開始信号として利用することもできる。
【0018】
また、算出手段は、実測経過時間温が所定の閾値を超えた場合に、低下温度を算出することが好ましい。例えば、食器洗浄機が連続運転されたときのように経過時間が数十秒といった場合などには、タンクと洗浄室とを結ぶ配管等の温度低下がほとんどないため、温水の低下温度も極めて小さいものとなる。このような場合に所定の閾値を定めて低下温度の算出を行わないようにすれば、算出手段の処理負担を軽減することが可能になる。
【0019】
また、タンクは、洗浄水を貯留する洗浄水タンク又は濯ぎ水を貯留する濯ぎ水タンクであることが好ましい。上述したように、タンクが洗浄水タンクの場合には、洗浄工程での洗浄力の十分な発揮が可能になり、タンクが濯ぎ水タンクの場合には、濯ぎ工程での殺菌力の十分な発揮が可能になる。
【0020】
さらに、上記目的を達成するために、本発明は食器洗浄機の温度検出方法にも係り、食器が収容された洗浄室内に供給するための温水を貯留するタンクを備えた食器洗浄機において、食器に接する温水の温度を検出する温度検出方法において、タンクから洗浄室内に温水供給を行ってからの経過時間を計測する時間計測工程と、タンク内に貯留された温水の温度を検知する水温検知工程と、基準となる経過時間をもって行われた温水供給においてタンクから流出した温水が食器に接するまでに低下する温水の固有低下温度に、時間計測工程にて計測された実測経過時間に応じた補正係数を乗じることで、実測経過時間をもって行われる温水供給においてタンクから流出した温水が食器に接するまでに低下する温水の低下温度を算出し、水温検知工程にて検知された温水の温度から低下温度を減じることで、実測経過時間をもって行われる温水供給において食器に接する温水の温度を算出する算出工程とを備えたことを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る食器洗浄機及びその温度検出方法について、図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
[第1の実施形態]
図1に示すように、第1の実施形態に係る食器洗浄機1は、上下に仕切られたステンレス製の本体ケース2を有している。この本体ケース2の下部には機械室3が形成され、この機械室3内には、食器洗浄機1の動作全般を制御するマイクロコンピュータ(算出手段)4が内蔵された電装ボックス6等が収容されている。一方、本体ケース2の上部には、洗浄室7が形成されると共に、この洗浄室7の開閉を行うために上下動するドア(図示せず)が取り付けられている。
【0023】
この洗浄室7内には、ラックレール(図示せず)が着脱自在に配置されており、このラックレール上に、飲食後の皿や茶碗等の食器Pが並べられた格子状の食器ラック8が載置される。さらに、洗浄室7の上部には、放射状に延びる3本のアームからなる上側洗浄ノズル9と、一直線状に延びる上側濯ぎノズル11とが同一軸線上において回転自在に配置されている。同様に、洗浄室7の下部には、放射状に延びる3本のアームからなる下側洗浄ノズル12と、一直線状に延びる下側濯ぎノズル13とが同一軸線上において回転自在に配置されている。したがって、食器ラック8に並べられた食器Pには、洗浄ノズル9,12によって上下から洗浄水が噴射され、また、濯ぎノズル11,13によって上下から濯ぎ水が噴射されるため、食器Pの洗浄及び濯ぎが効率良く行われる。
【0024】
このように構成された洗浄室7の底面7aには、第1のフィルタ14が着脱自在に配置されており、この第1のフィルタ14の下方には、洗浄水を貯留するための洗浄水タンク15が形成されている。この洗浄水タンク15内には、温水である洗浄水を所定温度に維持するための洗浄水ヒータ16と、この洗浄水の温度を検知するための洗浄水温センサ(水温検知手段)17とが設置されている。
【0025】
さらに、洗浄水タンク15の底面15aには、第1のフィルタ14より目の細かい第2のフィルタ18が着脱自在に配置されており、この第2のフィルタ18の下方には、底面15aの一部が落ち込むようにして落込部19が形成されている。この落込部19の底面19aには排水管20が接続されており、この排水管20には、第2のフィルタ18の筒状部18aを貫通して上端部が洗浄水タンク15内に位置するオーバーフロー管21の下端部が嵌め込まれている。したがって、余剰な洗浄水は、オーバーフロー管21の上端部に形成された流入孔から管内に流れ込み、排水管20を介して外部に排出されるため、洗浄水タンク15内の洗浄水が一定水位に保たれる。
【0026】
この洗浄水タンク15の落込部19には、洗浄水吸込管22を介して洗浄水供給ポンプ23が接続されている。この洗浄水供給ポンプ23の吐出口には洗浄水吐出管24が接続され、この洗浄水吐出管24は、第1の洗浄水吐出管25と第2の洗浄水吐出管26とに分岐して、第1の洗浄水吐出管25は上側洗浄ノズル9に接続され、第2の洗浄水吐出管26は下側洗浄ノズル12に接続されている。
【0027】
また、機械室3内には、外部の給湯器(図示せず)から給湯管27を介して濯ぎ水が供給される濯ぎ水タンク28が配置されている。この濯ぎ水タンク28内には、温水である濯ぎ水を所定温度に維持するための濯ぎ水ヒータ29と、この濯ぎ水の温度を検知するための濯ぎ水温センサ(水温検知手段)31とが設置されている。さらに、濯ぎ水タンク28内には、余剰な濯ぎ水を外部に排出して一定水位に保つためのオーバーフロー管32が設置されており、その上端部から管内に流入した濯ぎ水は、排水管20を介して外部に排出される。
【0028】
この濯ぎ水タンク28には、濯ぎ水吸込管33を介して濯ぎ水供給ポンプ34が接続されている。この濯ぎ水供給ポンプ34の吐出口には濯ぎ水吐出管36が接続され、この濯ぎ水吐出管36は、第1の濯ぎ水吐出管37と第2の濯ぎ水吐出管38とに分岐して、第1の濯ぎ水吐出管37は上側濯ぎノズル11に接続され、第2の濯ぎ水吐出管38は下側濯ぎノズル13に接続されている。
【0029】
さらに、機械室3内には、洗浄水タンク15内に貯留された洗浄水に混入させるための液状の洗剤を貯留した洗剤タンク39が配置されている。この洗浄タンク39内の洗剤は、洗剤吸込管41、洗剤供給ポンプ42及び洗剤吐出管43を介して、洗浄室7内から洗浄水タンク15内の洗浄水に向けて滴下される。
【0030】
ここで、上述した食器洗浄機1の動作について説明する。運転開始ボタンがONされると、マイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)4から洗浄開始信号が送出されて洗浄水供給ポンプ23が始動する。これにより、洗浄水タンク15内に貯留された洗浄水は、洗浄水吐出管24等を介して上下の洗浄ノズル9,12に圧送されて、各洗浄ノズル9,12から食器Pに向けて噴射される。このとき、各洗浄ノズル9,12は噴射力の反力によって回転し続けるため、洗浄水が食器Pに満遍なく当てられて、食器Pの汚れが効率良く洗い落とされる。
【0031】
この食器Pに噴射された洗浄水は、食器Pから洗い落とされた残菜などの汚損物が第1のフィルタ14によって取り除かれつつ洗浄水タンク15内に回収される。さらに、第2のフィルタ18によって細かい汚損物が取り除かれた後、洗浄水供給ポンプ23により再び洗浄室7内に循環供給される。
【0032】
このような洗浄工程が所定時間行われると、マイコン4から洗浄終了信号が送出されて洗浄水供給ポンプ23が停止し、マイコン4から濯ぎ開始信号が送出されて濯ぎ水供給ポンプ34が始動する。これにより、濯ぎ水タンク28内に貯留された濯ぎ水は、濯ぎ水吐出管36等を介して上下の濯ぎノズル11,13に圧送されて、各濯ぎノズル11,13から食器Pに向けて噴射される。このとき、各濯ぎノズル11,13もまた、噴射力の反力によって回転し続けるため、濯ぎ水が食器Pに満遍なく当てられて、食器Pの濯ぎが効率良く行われる。
【0033】
この食器Pに噴射された濯ぎ水は、第1のフィルタ14を介して洗浄水タンク15内に回収され、次回の洗浄工程における洗浄水として利用される。このような濯ぎ工程が所定時間行われると、マイコン4から濯ぎ終了信号が送出されて濯ぎ水ポンプ23が停止し、食器洗浄機1の1サイクルの動作が完了する。
【0034】
以上のような食器洗浄機1の動作において、食器Pに接する洗浄水の温度(以下「接触洗浄水温」という)を所定温度(例えば65℃)に維持することは、洗浄工程での洗浄力を十分に発揮させる上で極めて重要である。また、食器Pに接する濯ぎ水の温度(以下「接触濯ぎ水温」という)を所定温度(例えば80℃)に維持することは、濯ぎ工程での殺菌力を十分に発揮させる上で極めて重要である。
【0035】
そのため、食器洗浄機1においては、接触洗浄水温及び接触濯ぎ水温の検出が必要となる。以下、接触濯ぎ水温の検出について説明するが、その説明に先立って接触濯ぎ水温検出のための初期設定について説明する。この初期設定は、基準となる外気温(例えば30℃)下における食器洗浄機1固有の低下温度(濯ぎ水タンク28から流出した濯ぎ水が食器Pに接触するまでに低下する濯ぎ水の温度)を固有低下温度Ypとして設定するためのものであり、食器洗浄機1の工場出荷前に行われる。
【0036】
この初期設定の前提として、マイコン4の記憶部44(図2参照)には、次のような各種データが予め保存される。すなわち、機種の異なる複数の食器洗浄機から標準機を1つ定め、その標準機において、基準外気温(例えば30℃)下で濯ぎ水タンク28から流出した濯ぎ水が食器Pに接触するまでに低下する濯ぎ水の基準低下温度tを実験により取得し、この基準低下温度tを記憶部44に保存する。
【0037】
また、この基準低下温度tは、濯ぎ水吸込管33や濯ぎ水吐出管36等、濯ぎ水タンク28と洗浄室7内の各濯ぎノズル11,13とを結ぶ配管の表面積(以下「配管表面積」という)に応じて変化するため、異なる配管表面積ごとに基準低下温度tを補正するための補正係数αを実験により取得し、異なる配管表面積それぞれに補正係数αを対応付けたデータテーブルを記憶部44に保存する。このデータテーブルの一例としては、標準機の配管表面積より小さい配管表面積には「1」より小さい補正係数α(<1)が対応し、標準機の配管表面積と等しい配管表面積には「1」と等しい補正係数α(=1)が対応し、標準機の配管表面積より大きい配管表面積には「1」より大きい補正係数α(>1)が対応する。
【0038】
さらに、基準低下温度tは外気温に応じても変化するため、異なる外気温ごとに基準低下温度tを補正するための補正係数βを実験により取得し、異なる外気温それぞれに補正係数βを対応付けたデータテーブルを記憶部44に保存する。このデータテーブルの一例としては、基準外気温より低い外気温には「1」より大きい補正係数β(>1)が対応し、基準外気温と等しい外気温には「1」と等しい補正係数β(=1)が対応し、基準外気温より高い外気温には「1」より小さい補正係数β(<1)が対応する。
【0039】
このような各種データが記憶部44に保存されていることを前提として、接触濯ぎ水温検出のための初期設定を開始する。まず、図3に示すように、食器洗浄機1の配管表面積を入力すると(ステップS302)、マイコン4は、基準低下温度tと、入力された配管表面積に対応する補正係数αとを記憶部44から読み出す(ステップS304)。そして、マイコン4は、読み出した補正係数αを基準低下温度tに乗じることで固有低下温度Yp(=t×α)を算出し(ステップS306)、算出した固有低下温度Ypを記憶部44に保存して(ステップS308)、接触濯ぎ水温検出のための初期設定が終了となる。
【0040】
これにより、食器洗浄機1の配管表面積が標準機より小さい場合には、補正係数αが「1」より小さくなるため、食器洗浄機1の固有低下温度Ypは標準機の基準低下温度tより小さくなる。一方、食器洗浄機1の配管表面積が標準機より大きい場合には、補正係数αが「1」より大きくなるため、食器洗浄機1の固有低下温度Ypは標準機の基準低下温度tより大きくなる。さらに、食器洗浄機1の配管表面積が標準機と等しい場合には、補正係数αが「1」となるため、食器洗浄機1の固有低下温度Ypは標準機の基準低下温度tと等しくなる。
【0041】
このように、食器洗浄機1においては、異なる配管表面積それぞれに補正係数αを対応付けたデータテーブルが記憶部44に保存されているため、食器洗浄機1の配管表面積を入力することによって、機種固有の低下温度である固有低下温度Ypを設定することができる。したがって、新たな機種の食器洗浄機を開発した場合にも、その機種の配管表面積さえ把握しておけば、共通のデータテーブルを用いてその機種の固有低下温度Ypを設定することが可能になる。
【0042】
次に、第1の実施形態に係る食器洗浄機1における接触濯ぎ水温の検出について説明する。図2及び図4に示すように、食器洗浄機1の電源をONすると、マイコン4は、外気温センサ(外気温検知手段)46により検知された実測外気温のデータを外気温センサ46から取得する(ステップS402)。この外気温センサ46は、本体ケース2に取り付けられており、食器洗浄機1が設置された場所の雰囲気温度を検知する。
【0043】
ステップS402に続いて、マイコン4は、固有低下温度Ypと、取得した実測外気温に対応する補正係数βとを記憶部44から読み出す(ステップS404)。そして、マイコン4は、読み出した補正係数βを固有低下温度Ypに乗じることで、実測外気温において濯ぎ水タンク28から流出した濯ぎ水が食器Pに接触するまでに低下する濯ぎ水の低下温度Y(=Yp×β)を算出する(ステップS406)。
【0044】
この算出によって、実測外気温が基準外気温より低い場合には、補正係数βが「1」より大きくなるため、実測外気温における低下温度Yは固有低下温度Ypより大きくなる。一方、実測外気温が基準外気温より高い場合には、補正係数βが「1」より小さくなるため、実測外気温における低下温度Yは固有低下温度Ypより小さくなる。さらに、実測外気温が基準外気温と等しい場合には、補正係数βが「1」となるため、実測外気温における低下温度Yは固有低下温度Ypと等しくなる。
【0045】
ステップS406に続いて、マイコン4は、濯ぎ水温センサ31により検知された濯ぎ水タンク28内の濯ぎ水の温度Zのデータを濯ぎ水温センサ31から取得する(ステップS408)。これにより、マイコン4は、濯ぎ水タンク28内の濯ぎ水の温度Zから、ステップS406にて算出した濯ぎ水の低下温度Yを減じることで、実測外気温下において食器Pに接する濯ぎ水の温度である接触濯ぎ水温A(=Z−Y)を算出する(ステップS410)。そして、マイコン4は、本体ケース2に設けられた表示部47に接触濯ぎ水温Aを表示させる(ステップS412)。
【0046】
以上のように、第1の実施形態に係る食器洗浄機1においては、外気温センサ46により検知された実測外気温に対応する補正係数βを固有低下温度Ypに乗じることで、実測外気温における濯ぎ水の低下温度Yを算出することができる。そして、濯ぎ水温センサ31により検知された濯ぎ水タンク28内の濯ぎ水の温度Zから、算出した低下温度Yを減じることで、食器Pに接する濯ぎ水の温度である接触濯ぎ水温Aを算出することができる。したがって、外気温の変化に伴って各配管からの放熱量が変化するような場合にも、接触濯ぎ水温Aを常に正確に検出することが可能になる。
【0047】
さらに、図2に示すように、マイコン4が、接触濯ぎ水温が所定温度(例えば80℃)以上となるように濯ぎ水ヒータ29で濯ぎ水タンク28内の濯ぎ水の温度を調節すれば、濯ぎ工程での殺菌力を十分に発揮させることが可能になる。
【0048】
また、第1の実施形態に係る食器洗浄機1においては、異なる外気温それぞれに補正係数βを対応付けたデータテーブルが記憶部44に保存されているため、マイコン4は、実測外気温下における低下温度Yの算出に際し、その実測外気温に対応する補正係数βを読み出すことで低下温度Yを算出することができる。したがって、そのような補正係数βのデータテーブルを用いずに実測外気温に基づいて低下温度Yを算出していくような場合に比べ、マイコン4による算出処理の単純化を図ることができる。
【0049】
なお、第1の実施形態に係る食器洗浄機1における「接触洗浄水温の検出」は、上述した「接触濯ぎ水温の検出」と同一原理に基づいて行われるため、原則として、接触濯ぎ水温の検出の説明において「濯ぎ」を「洗浄」と読み替えればよい。つまり、外気温センサ46により検知された実測外気温に対応する補正係数を洗浄水の固有低下温度に乗じることで、実測外気温における洗浄水の低下温度を算出し、これを洗浄水温センサ17により検知された洗浄水タンク15内の洗浄水の温度から減じることで、食器Pに接する洗浄水の温度である接触洗浄水温を算出することができる。
【0050】
これにより、外気温の変化に伴って各配管からの放熱量が変化するような場合にも、接触洗浄水温を常に正確に検出することが可能になる。そして、図2に示すように、マイコン4が、接触洗浄水温が所定温度(例えば65℃)以上となるように洗浄水ヒータ16で洗浄水タンク15内の洗浄水の温度を調節すれば、洗浄工程での洗浄力を十分に発揮させることが可能になる。
【0051】
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係る食器洗浄機1は、図1に示す第1の実施形態に係る食器洗浄機1と主な装置構成については共通するが、洗浄工程後の経過時間に基づいて接触洗浄水温を検出し、濯ぎ工程後の経過時間に基づいて接触濯ぎ水温を検出する点で、第1の実施形態に係る食器洗浄機1と相違する。
【0052】
そこで、以下、第2の実施形態に係る食器洗浄機1における接触濯ぎ水温の検出について説明するが、その説明に先立って接触濯ぎ水温検出のための初期設定について説明する。この初期設定は、前回の濯ぎ工程から基準となる経過時間(例えば2分)をもって濯ぎ工程を実施した際の食器洗浄機1固有の低下温度(濯ぎ水タンク28から流出した濯ぎ水が食器Pに接触するまでに低下する濯ぎ水の温度)を固有低下温度Ypとして設定するものであり、食器洗浄機1の工場出荷前に行われる。
【0053】
この初期設定の前提として、マイコン4の記憶部44(図5参照)に、次のような各種データが予め保存される。すなわち、機種の異なる複数の食器洗浄機から標準機を1つ定め、その標準機において、前回の濯ぎ工程から基準経過時間(例えば2分)をもって濯ぎ工程を実施した際に、濯ぎ水タンク28から流出した濯ぎ水が食器Pに接触するまでに低下する濯ぎ水の基準低下温度tを実験により取得し、この基準低下温度tを記憶部44に保存する。
【0054】
また、この基準低下温度tは、濯ぎ水吸込管33や濯ぎ水吐出管36等、濯ぎ水タンク28と洗浄室7内の各濯ぎノズル11,13とを結ぶ配管の表面積、すなわち配管表面積に応じて変化する。そのため、第1の実施形態に係る食器洗浄機1と同様に、異なる配管表面積ごとに基準低下温度tを補正するための補正係数αを実験により取得し、異なる配管表面積それぞれに補正係数αを対応付けたデータテーブルを記憶部44に保存する。
【0055】
さらに、基準低下温度tは、濯ぎ工程後の経過時間に応じても変化するため、異なる経過時間ごとに基準低下温度tを補正するための補正係数γを実験により取得し、異なる経過時間それぞれに補正係数γを対応付けたデータテーブルを記憶部44に保存する。このデータテーブルの一例としては、基準経過時間より短い経過時間には「1」より小さい補正係数γ(<1)が対応し、基準経過時間と等しい経過時間には「1」と等しい補正係数γ(=1)が対応し、基準経過時間より長い経過時間には「1」より大きい補正係数γ(>1)が対応する。なお、濯ぎ工程後の経過時間が所定時間をオーバーした場合には、経過時間に応じた低下温度の変化がなくなるため、補正係数γは固定値となる。
【0056】
このような各種データが記憶部44に保存されていることを前提として、第2の実施形態に係る食器洗浄機1においても、上述した第1の実施形態に係る食器洗浄機1と同様の初期設定(図3のステップS302〜S308)が行われる。
【0057】
次に、第2の実施形態に係る食器洗浄機1における接触濯ぎ水温の検出について説明する。図5及び図6に示すように、食器洗浄機1の電源をONすると、マイコン4は、タイマー(時間計測手段)48により計測された実測経過時間のデータをタイマー48から取得する(ステップS602)。このタイマー48は、電装ボックス6内に収容されており、濯ぎ水ポンプ23を停止させるためにマイコン4から送出される濯ぎ終了信号を捉えることで、前回の濯ぎ工程が終了した時点からの経過時間を計測する。このように濯ぎ工程終了時点に経過時間の計測を開始するのは、濯ぎ工程終了時点から、濯ぎ水タンク28と洗浄室7内の各濯ぎノズル11,13とを結ぶ配管の温度低下が始まるからであり、これにより、接触濯ぎ水温をより一層正確に検出することが可能になる。なお、濯ぎ工程終了時には、運転終了を知らせるブザーを鳴らすための制御信号がマイコン4から送出されるため、この制御信号を経過時間の計測開始信号として利用してもよい。
【0058】
ステップS602に続いて、マイコン4は、固有低下温度Ypと、取得した実測経過時間に対応する補正係数γとを記憶部44から読み出す(ステップS604)。そして、マイコン4は、読み出した補正係数γを固有低下温度Ypに乗じることで、実測経過時間をもって行われる濯ぎ水供給において濯ぎ水タンク28から流出した濯ぎ水が食器Pに接触するまでに低下する濯ぎ水の低下温度Y(=Yp×γ)を算出する(ステップS606)。
【0059】
この算出によって、実測経過時間が基準経過時間より短い場合には、補正係数γが「1」より小さくなるため、実測経過時間をもって行われる濯ぎ水供給における低下温度Yは固有低下温度Ypより小さく。一方、実測経過時間が基準経過時間より長い場合には、補正係数γが「1」より大きくなるため、低下温度Yは固有低下温度Ypより大きくなる。さらに、実測経過時間が基準経過時間と等しい場合には、補正係数γが「1」となるため、低下温度Yは固有低下温度Ypと等しくなる。
【0060】
ステップS606に続いて、マイコン4は、濯ぎ水温センサ31により検知された濯ぎ水タンク28内の濯ぎ水の温度Zのデータを濯ぎ水温センサ31から取得する(ステップS608)。これにより、マイコン4は、濯ぎ水タンク28内の濯ぎ水の温度Zから、ステップS606にて算出した濯ぎ水の低下温度Yを減じることで、実測経過時間をもって行われる濯ぎ水供給において食器Pに接する濯ぎ水の温度である接触濯ぎ水温A(=Z−Y)を算出する(ステップS610)。そして、マイコン4は、表示部47に接触濯ぎ水温Aを表示させる(ステップS612)。
【0061】
以上のように、第2の実施形態に係る食器洗浄機1においては、タイマー48により計測された実測経過時間に対応する補正係数γを固有低下温度Ypに乗じることで、実測経過時間をもって行われる濯ぎ水供給における濯ぎ水の低下温度Yを算出することができる。そして、濯ぎ水温センサ31により検知された濯ぎ水タンク28内の濯ぎ水の温度Zから、算出した低下温度Yを減じることで、食器Pに接する濯ぎ水の温度である接触濯ぎ水温Aを算出することができる。したがって、経過時間の増加に伴って各配管の温度が低下し、これにより各配管からの放熱量が増加するような場合にも、接触濯ぎ水温を常に正確に検出することが可能になる。
【0062】
さらに、図5に示すように、マイコン4が、接触濯ぎ水温が所定温度(例えば80℃)以上となるように濯ぎ水ヒータ29で濯ぎ水タンク28内の濯ぎ水の温度を調節すれば、濯ぎ工程での殺菌力を十分に発揮させることが可能になる。
【0063】
また、第2の実施形態に係る食器洗浄機1においては、異なる経過時間それぞれに補正係数γを対応付けたデータテーブルが記憶部44に保存されているため、マイコン4は、実測経過時間をもって行われる濯ぎ水供給における低下温度Yの算出に際し、その実測経過時間に対応する補正係数γを読み出すことで低下温度Yを算出することができる。したがって、そのような補正係数γのデータテーブルを用いずに実測経過時間に基づいて低下温度Yを算出していくような場合に比べ、マイコン4による算出処理の単純化を図ることができる。
【0064】
なお、第2の実施形態に係る食器洗浄機1における「接触洗浄水温の検出」は、上述した「接触濯ぎ水温の検出」と同一原理に基づいて行われるため、原則として、接触濯ぎ水温の検出の説明において「濯ぎ」を「洗浄」と読み替えればよい。つまり、タイマー48により計測された実測経過時間に対応する補正係数を洗浄水の固有低下温度に乗じることで、実測経過時間をもって行われる洗浄水供給における洗浄水の低下温度を算出し、これを洗浄水温センサ17により検知された洗浄水タンク15内の洗浄水の温度から減じることで、食器Pに接する洗浄水の温度である接触洗浄水温を算出することができる。
【0065】
したがって、経過時間の増加に伴って各配管の温度が低下し、これにより各配管からの放熱量が増加するような場合にも、接触洗浄水温を常に正確に検出することが可能になる。そして、図5に示すように、マイコン4が、接触洗浄水温が所定温度(例えば65℃)以上となるように洗浄水ヒータ16で洗浄水タンク15内の洗浄水の温度を調節すれば、洗浄工程での洗浄力を十分に発揮させることが可能になる。
【0066】
[第3の実施形態]
第3の実施形態に係る食器洗浄機1は、図1に示す第1の実施形態に係る食器洗浄機1と主な装置構成については共通するが、外気温と洗浄工程後の経過時間とに基づいて接触洗浄水温を検出し、外気温と濯ぎ工程後の経過時間とに基づいて接触濯ぎ水温を検出する点で、第1の実施形態に係る食器洗浄機1と相違する。
【0067】
そこで、以下、第3の実施形態に係る食器洗浄機1における接触濯ぎ水温の検出について説明するが、その説明に先立って接触濯ぎ水温検出のための初期設定について説明する。この初期設定は、基準となる外気温(例えば25℃)下において連続して(すなわち、前回の濯ぎ工程から基準となる経過時間「0」をもって)濯ぎ工程を実施した際の食器洗浄機1固有の低下温度(濯ぎ水タンク28から流出した濯ぎ水が食器Pに接触するまでに低下する濯ぎ水の温度)を固有低下温度Ypとして設定するものであり、食器洗浄機1の工場出荷前に行われる。
【0068】
この初期設定の前提として、マイコン4の記憶部44(図2参照)に、次のような各種データが予め保存される。すなわち、機種の異なる複数の食器洗浄機から標準機を1つ定め、その標準機において、基準となる外気温(例えば25℃)下において連続して濯ぎ工程を実施した際に、濯ぎ水タンク28から流出した濯ぎ水が食器Pに接触するまでに低下する濯ぎ水の基準低下温度tを実験により取得し、この基準低下温度tを記憶部44に保存する。
【0069】
この基準低下温度tは、濯ぎ水吸込管33や濯ぎ水吐出管36等、濯ぎ水タンク28と洗浄室7内の各濯ぎノズル11,13とを結ぶ配管の表面積、すなわち配管表面積に応じて変化する。そのため、第1の実施形態に係る食器洗浄機1と同様に、異なる配管表面積ごとに基準低下温度tを補正するための補正係数αを実験により取得し、異なる配管表面積それぞれに補正係数αを対応付けたデータテーブルを記憶部44に保存する。
【0070】
また、基準低下温度tは外気温に応じても変化するため、異なる外気温ごとに基準低下温度tを補正するための補正係数βを実験により取得し、異なる外気温それぞれに補正係数βを対応付けたデータテーブルを記憶部44に保存する。このデータテーブルの一例としては、基準外気温より低い外気温には「1」より大きい補正係数β(>1)が対応し、基準外気温と等しい外気温には「1」と等しい補正係数β(=1)が対応し、基準外気温より高い外気温には「1」より小さい補正係数β(<1)が対応する。
【0071】
さらに、基準低下温度tは、濯ぎ工程後の経過時間に応じても変化するため、異なる経過時間ごとに基準低下温度tを補正するための補正係数γを実験により取得し、異なる経過時間それぞれに補正係数γを対応付けたデータテーブルを記憶部44に保存する。このデータテーブルの一例としては、基準経過時間が「0」であるから、経過時間の増加に伴って補正係数γは「1」より大きくなり、経過時間が所定時間をオーバーすると、経過時間に応じた低下温度の変化がなくなるため、補正係数γは固定値となる。
【0072】
このような各種データが記憶部44に保存されていることを前提として、第3の実施形態に係る食器洗浄機1においても、上述した第1の実施形態に係る食器洗浄機1と同様の初期設定(図3のステップS302〜S308)が行われる。
【0073】
次に、第3の実施形態に係る食器洗浄機1における接触濯ぎ水温の検出について説明する。図7に示すように、食器洗浄機1の電源をONすると、マイコン4は、外気温センサ46(図2参照)により検知された実測外気温のデータを取得し(ステップS702)、取得した実測外気温に対応する補正係数βを記憶部44から読み出す(ステップS704)。さらに、マイコン4は、タイマー48(図5参照)により計測された実測経過時間のデータを取得し(ステップS706)、取得した実測経過時間に対応する補正係数γを記憶部44から読み出す(ステップS708)。
【0074】
続いて、マイコン4は、読み出した補正係数β,γを固有低下温度Ypに乗じることで、実測外気温下で実測経過時間をもって行われる濯ぎ水供給において濯ぎ水タンク28から流出した濯ぎ水が食器Pに接触するまでに低下する濯ぎ水の低下温度Y(=Yp×β×γ)を算出する(ステップS710)。
【0075】
続いて、マイコン4は、濯ぎ水温センサ31により検知された濯ぎ水タンク28内の濯ぎ水の温度Zのデータを濯ぎ水温センサ31から取得する(ステップS712)。これにより、マイコン4は、濯ぎ水タンク28内の濯ぎ水の温度Zから、ステップS710にて算出した濯ぎ水の低下温度Yを減じることで、実測外気温下で実測経過時間をもって行われる濯ぎ水供給において食器Pに接する濯ぎ水の温度である接触濯ぎ水温A(=Z−Y)を算出する(ステップS714)。そして、マイコン4は、表示部47(図2参照)に接触濯ぎ水温Aを表示させる(ステップS716)。
【0076】
以上のように、第3の実施形態に係る食器洗浄機1においては、外気温センサ46により検知された実測外気温に対応する補正係数βと、タイマー48により計測された実測経過時間に対応する補正係数γとを固有低下温度Ypに乗じることで、実測外気温下で実測経過時間をもって行われる濯ぎ水供給における濯ぎ水の低下温度Yを算出することができる。そして、濯ぎ水温センサ31により検知された濯ぎ水タンク28内の濯ぎ水の温度Zから、算出した低下温度Yを減じることで、食器Pに接する濯ぎ水の温度である接触濯ぎ水温Aを算出することができる。したがって、外気温や経過時間の変化に伴って各配管からの放熱量が変化するような場合にも、接触濯ぎ水温を常に正確に検出することが可能になる。
【0077】
そして、マイコン4が、接触濯ぎ水温が所定温度(例えば80℃)以上となるように濯ぎ水ヒータ29で濯ぎ水タンク28内の濯ぎ水の温度を調節すれば、濯ぎ工程での殺菌力を十分に発揮させることが可能になる。
【0078】
なお、第3の実施形態に係る食器洗浄機1における「接触洗浄水温の検出」は、上述した「接触濯ぎ水温の検出」と同一原理に基づいて行われるため、原則として、接触濯ぎ水温の検出の説明において「濯ぎ」を「洗浄」と読み替えればよい。つまり、外気温センサ46により検知された実測外気温に対応する補正係数と、タイマー48により計測された実測経過時間に対応する補正係数とを洗浄水の固有低下温度に乗じることで、実測外気温下で実測経過時間をもって行われる洗浄水供給における洗浄水の低下温度を算出し、これを洗浄水温センサ17により検知された洗浄水タンク15内の洗浄水の温度から減じることで、食器Pに接する洗浄水の温度である接触洗浄水温を算出することができる。
【0079】
したがって、外気温や経過時間の変化に伴って各配管からの放熱量が変化するような場合にも、接触洗浄水温を常に正確に検出することが可能になる。そして、マイコン4が、接触洗浄水温が所定温度(例えば65℃)以上となるように洗浄水ヒータ16で洗浄水タンク15内の洗浄水の温度を調節すれば、洗浄工程での洗浄力を十分に発揮させることが可能になる。
【0080】
本発明は、上記実施形態に限定されない。例えば、第2の実施形態において、マイコン4は、タイマー48により計測された実測経過時間が所定の閾値を超えた場合に低下温度Yを算出するようにしてもよい。食器洗浄機1が連続運転されたときのように実測経過時間が数十秒といった場合には、各配管の温度低下がほとんどないため、洗浄水及び濯ぎ水の低下温度も極めて小さいものとなるからである。このような場合に所定の閾値を定めて低下温度の算出を行わないようにすれば、マイコン4の処理負担を軽減することが可能になる。
【0081】
また、各実施形態においては、実測外気温に応じた補正係数β及び実測経過時間に応じた補正係数γの少なくとも一方を固有低下温度Ypに乗じることで、温水である濯ぎ水の低下温度を算出したが、本発明には、補正係数β又は補正係数γに加え、他の要因に基づく補正係数を固有低下温度に更に乗じることで低下温度を算出するものも含まれる。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る食器洗浄機及びその温度検出方法によれば、食器に接する温水(洗浄水や濯ぎ水)の温度を正確に検出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る食器洗浄機の一実施形態を示す断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る食器洗浄機のマイコンとその関連構成とを示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態に係る食器洗浄機における接触濯ぎ水温検出のための初期設定手順を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施形態に係る食器洗浄機における接触濯ぎ水温の検出手順を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態に係る食器洗浄機のマイコンとその関連構成とを示すブロック図である。
【図6】第2の実施形態に係る食器洗浄機における接触濯ぎ水温の検出手順を示すフローチャートである。
【図7】第3の実施形態に係る食器洗浄機における接触濯ぎ水温の検出手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…食器洗浄機、4…マイクロコンピュータ(算出手段)、7…洗浄室、15…洗浄水タンク、17…洗浄水温センサ(水温検知手段)、28…濯ぎ水タンク、31…濯ぎ水温センサ(水温検知手段)、44…記憶部、46…外気温センサ(外気温検知手段)、48…タイマー(時間計測手段)、P…食器。

Claims (10)

  1. 食器が収容された洗浄室内に供給するための温水を貯留するタンクを備えた食器洗浄機において、
    外気温を検知する外気温検知手段と、
    前記タンク内に貯留された温水の温度を検知する水温検知手段と、
    基準となる外気温において前記タンクから流出した温水が前記食器に接するまでに低下する温水の固有低下温度に、前記外気温検知手段により検知された実測外気温に応じた補正係数を乗じることで、前記実測外気温において前記タンクから流出した温水が前記食器に接するまでに低下する温水の低下温度を算出し、前記水温検知手段により検知された温水の温度から前記低下温度を減じることで、前記実測外気温において前記食器に接する温水の温度を算出する算出手段とを備えたことを特徴とする食器洗浄機。
  2. 前記算出手段は、外気温に応じて変化する前記補正係数を異なる外気温ごとに記憶する記憶部を有し、
    前記補正係数は、前記実測外気温に応じて前記記憶部から読み出されることを特徴とする請求項1記載の食器洗浄機。
  3. 前記タンクは、洗浄水を貯留する洗浄水タンク又は濯ぎ水を貯留する濯ぎ水タンクであることを特徴とする請求項1又は2記載の食器洗浄機。
  4. 食器が収容された洗浄室内に供給するための温水を貯留するタンクを備えた食器洗浄機において、前記食器に接する温水の温度を検出する温度検出方法において、
    外気温を検知する外気温検知工程と、
    前記タンク内に貯留された温水の温度を検知する水温検知工程と、
    基準となる外気温において前記タンクから流出した温水が前記食器に接するまでに低下する温水の固有低下温度に、前記外気温検知工程にて検知された実測外気温に応じた補正係数を乗じることで、前記実測外気温において前記タンクから流出した温水が前記食器に接するまでに低下する温水の低下温度を算出し、前記水温検知工程にて検知された温水の温度から前記低下温度を減じることで、前記実測外気温において前記食器に接する温水の温度を算出する算出工程とを備えたことを特徴とする食器洗浄機の温度検出方法。
  5. 食器が収容された洗浄室内に供給するための温水を貯留するタンクを備えた食器洗浄機において、
    前記タンクから前記洗浄室内に温水供給を行ってからの経過時間を計測する時間計測手段と、
    前記タンク内に貯留された温水の温度を検知する水温検知手段と、
    基準となる前記経過時間をもって行われた温水供給において前記タンクから流出した温水が前記食器に接するまでに低下する温水の固有低下温度に、前記時間計測手段により計測された実測経過時間に応じた補正係数を乗じることで、前記実測経過時間をもって行われる温水供給において前記タンクから流出した温水が前記食器に接するまでに低下する温水の低下温度を算出し、前記水温検知手段により検知された温水の温度から前記低下温度を減じることで、前記実測経過時間をもって行われる温水供給において前記食器に接する温水の温度を算出する算出手段とを備えたことを特徴とする食器洗浄機。
  6. 前記算出手段は、前記経過時間に応じて変化する前記補正係数を異なる前記経過時間ごとに記憶する記憶部を有し、
    前記補正係数は、前記実測経過時間に応じて前記記憶部から読み出されることを特徴とする請求項5記載の食器洗浄機。
  7. 前記時間計測手段は、前記タンクから前記洗浄室内への温水供給が終了した時点から前記経過時間を計測することを特徴とする請求項5又は6記載の食器洗浄機。
  8. 前記算出手段は、前記実測経過時間が所定の閾値を超えた場合に、前記低下温度を算出することを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項記載の食器洗浄機。
  9. 前記タンクは、洗浄水を貯留する洗浄水タンク又は濯ぎ水を貯留する濯ぎ水タンクであることを特徴とする請求項5〜8のいずれか一項記載の食器洗浄機。
  10. 食器が収容された洗浄室内に供給するための温水を貯留するタンクを備えた食器洗浄機において、前記食器に接する温水の温度を検出する温度検出方法において、
    前記タンクから前記洗浄室内に温水供給を行ってからの経過時間を計測する時間計測工程と、
    前記タンク内に貯留された温水の温度を検知する水温検知工程と、
    基準となる前記経過時間をもって行われた温水供給において前記タンクから流出した温水が前記食器に接するまでに低下する温水の固有低下温度に、前記時間計測工程にて計測された実測経過時間に応じた補正係数を乗じることで、前記実測経過時間をもって行われる温水供給において前記タンクから流出した温水が前記食器に接するまでに低下する温水の低下温度を算出し、前記水温検知工程にて検知された温水の温度から前記低下温度を減じることで、前記実測経過時間をもって行われる温水供給において前記食器に接する温水の温度を算出する算出工程とを備えたことを特徴とする食器洗浄機の温度検出方法。
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