JP4112305B2 - 車両用灯具 - Google Patents
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Description
本発明は、ランプボディと前面カバーで画成した灯室内に光源とリフレクターとを配置した車両用灯具に係り、特に、前面カバーを通して灯室内が透けて見える車両用灯具に関する。
【0002】
【従来の技術】
クリアランスランプのような標識灯では、容器状のランプボディとその前面開口部に組み付けた前面カバーで画成された灯室内に、光源とリフレクターが配置された構造で、光源直射光やリフレクターで反射された光が前面カバーを透過することで発光する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の前記した灯具では、光源近傍の前面カバー中央部領域では光量が多く、光源から離間する周縁部領域では光量が少ない。このため、前面カバーの中央部では明るく発光するが、周縁部では中央部ほど明るく発光せず、どうしても遠方からの視認性が悪いという問題があった。
【0004】
また、クリアランスランプのように前面カバーが無色透明な灯具では、灯室内が透けて見えて見栄えが悪いという問題もあった。
【0005】
本発明は前記従来技術の問題点に鑑みなされたもので、その目的は、車両用灯具の点灯時における遠方からの視認性と非点灯時における見栄えの双方を改善することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1に係る発明の車両用灯具においては、容器状のランプボディと前面カバーで画成されて車輌前面側から側方に湾曲する灯室内に、リフレクターと光源によって構成された標識灯用の灯体と、リフレクターと光源とを備えたすれ違いビーム形成用の灯体と、リフレクターと光源とを備えた走行ビーム形成用の灯体とが一体に収容された車両用灯具において、
車輌幅方向外側に配置された前記標識灯用の灯体の車輌幅方向内側に前記走行ビーム形成用灯体を隣接配置し、
前記前面カバーの内側に沿ってインナーレンズを配置し、
前記すれ違いビーム形成用の灯体に対応する領域を除いた前記インナーレンズの前面側または裏面側のほぼ全域に、その界面が光源光に対し臨界角以上となる凹部で構成された上下に延びる縦溝を左右方向ほぼ等ピッチに形成して、前記インナーレンズが、その裏面側の縦溝を介して入射した光源光、または、その裏面側から入射しその前面側の縦溝で内面反射した光源光を前記光源から左右に離れた領域に導く導光作用を営むように構成した。
【0007】
(作用)光源の直射光またはリフレクターでの反射光の大半はインナーレンズをほぼ透過直進して前面カバーに導かれるので、前面カバーの光源に正対する領域に比べて光源から離れた前面カバー周縁部領域では発光量が少ない。しかし、インナーレンズの前面側に凹部(例えば、断面くさび型のスリット)を設けた構造では、インナーレンズに入射した光のうち、光源近傍の凹部(例えば、断面くさび型のスリット)から出射しようとする光で、凹部の界面(例えば、断面くさび型スリットの界面)に対し臨界角以上の入射角度となる光は、凹部の界面で反射してインナーレンズ内で全反射を繰り返して光源から離れた領域に導かれる。また、前面カバーの裏面側に凹部(例えば、断面くさび型のスリット)を設けた構造では、光源近傍の凹部(例えば、断面くさび型のスリット)からインナーレンズに入射しようとする光のうち、凹部の界面(例えば、断面くさび型スリットの界面)に対し臨界角以上の入射角度となる光は、界面で反射した後、凹部内における対向する界面からインナーレンズに入射し、インナーレンズ内で全反射を繰り返して光源から離れた領域に導かれる。即ち、インナーレンズの導光作用によって、光源近傍領域の光の一部が光源から離れた領域に導かれるので、光源近傍の前面カバー中央部と光源から離れた周縁部における発光量の格差が減じる。
【0008】
また、非点灯時には、インナーレンズに設けたスリットが模様として前面カバーを通して見えるので、前面カバーを通して灯室内がそのまま透けて見える状態が回避される。
また、走行ビーム用の前照灯では、インナーレンズの導光作用によって前面カバーの走行ビーム用前照灯対応領域の周縁部からの出射光量が増し、走行ビームの照射エリアが左右側方に拡大される。
また、すれ違いビーム用の前照灯としては、クリアカットラインをもつ所定の配光パターンであることが不可欠で、すれ違いビーム形成用の灯体の前方に配置したインナーレンズに前記凹部を設けた場合には、グレア光が発生するおそれがあり、好ましくない。そこで、インナーレンズのすれ違いビーム形成用の灯体に対応する領域に前記凹部の非形成部を設けて、グレア光の発生しない適正なすれ違いビームの配光パターンを形成できるようにした。
さらに、標識灯の光源近傍領域の光の一部はインナーレンズの左右方向に導かれて、前面カバーの左右方向側縁部からの出射光量が増えて、標識灯としては配光エリアが左右方向広範囲となる。
【0009】
請求項2に係る発明においては、請求項1に記載の車両用灯具において、前記前面カバーおよびインナーレンズが無色透明で、前記標識灯がクリアランスランプを構成するようにした。
【0010】
(作用)点灯時には、インナーレンズの導光作用によって、クリアランスランプの前面カバーの周縁部からの出射光量が増し、それだけ広範囲に配光される。また、非点灯時には、インナーレンズに設けたスリットが模様として無色透明な前面カバーを通して鮮明に見えるので、前面カバーを通して灯室内がそのまま透けて見える状態が確実に回避される。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
【0019】
図1〜図5は本発明の一実施例を示すもので、図1は本発明の一実施例である自動車用前照灯の正面図、図2は同前照灯の水平断面図(図1に示す線II−IIに沿う断面図)、図3は同前照灯の水平断面図(図1に示す線III−IIIに沿う断面図)、図4はインナーレンズの正面図、図5はインナーレンズの導光作用を説明する説明図である。
【0020】
これらの図において、符号10は、前方から斜め側方に開口する容器状のランプボディで、ランプボディ10の前面開口部には、側面側が後方に湾曲する無色透明な光学作用を有する前面カバー11が組付けられて、前面側から側方に湾曲する灯室が画成されている。灯室内には、ヘッドランプを構成するすれ違いビーム形成用の灯体20と走行ビーム形成用の灯体30に加えて、標識灯であるターンシグナルランプ用の灯体40、クリアランスランプ用の灯体50およびコーナリングランプ用の灯体60が一体に収容されている。
【0021】
図1に示すように、前照灯を正面視して、すれ違いビーム形成用の灯体20は車両幅方向外側(図1左側)寄りの上隅に、一方、走行ビーム形成用の灯体30は車両幅方向内側(図1右側)の下隅に設けられている。また、車両幅方向外側の下隅(すれ違いビーム形成用の灯体20の下方)には、クリアランスランプ用の灯体50とコーナリングランプ用の灯体60が設けられ、車両幅方向内側の上隅(走行ビーム形成用の灯体30の上方)にはターンシグナルランプ用の灯体40が設けられている。
【0022】
すれ違いビーム形成用の灯体20は、図2に示すように、ほぼ楕円体形状のリフレクター22と、光源である放電バルブ24と、クリアカットライン形成用シェード26と、凸レンズ28とを一体化した構造で、図1に示すように、オートレベリング機構ALを構成する左右一対のエイミング支点e20,e21と前後方向に進退動作可能な1個のエイミング点e22の3点で支持されて、灯体20の光軸L20が路面に対して上下方向に常に一定の傾斜状態となるように保持されている。即ち、灯体20は、左右一対のエイミング支点e20,e21を通る水平傾動軸Lx2周りに傾動可能に支持されており、車両前後軸の走行路面に対する傾斜は傾斜センサ(図示せず)により常に検出されている。そして、この傾斜センサの検出値が一定となるように、エイミング点e22を進退動作させるアクチュエータ(図示せず)の駆動が制御されて、灯体20の光軸L20が上下方向に自動的に傾動調整(オートレベリング)される。
【0023】
一方、走行ビーム形成用の灯体30は、図3に示すように、アルミ蒸着処理した放物面形状のリフレクター32と光源であるハロゲンバルブ34とが一体化された構造で、図1に示すように、水平に配置された左右エイミング点e31およびエイミング支点e30と、エイミング支点e30上方の上下エイミング点e32で構成したエイミング機構Eによって、左右エイミング点e31とエイミング支点e30を通る水平傾動軸Lx3、およびエイミング支点e30と上下エイミング点e32を通る垂直傾動軸Ly3周りに傾動可能に支持されている。そして、左右エイミング点e31(上下エイミング点e32)を進退動作させることで、灯体30の光軸L30を左右(上下)方向に傾動調整(エイミング)できる。
【0024】
また、ターンシグナルランプ用の灯体40,クリアランスランプ用の灯体50およびコーナリングランプ用の灯体60は、いずれもアルミ蒸着処理した放物面形状のリフレクター42,52,62と、リフレクター42,52,62の前方に配置された光源であるバルブ44,54,64で構成されており、いずれのリフレクター42,52,62も、ランプボディ10の内側に係合することで位置決め固定されたリフレクターユニットRUに一体的に形成されている。即ち、バルブ44,54,64は、ランプボディ10に設けた挿着孔10a,10b,10cに挿着されて、バルブの発光部であるそれぞれのガラス球がリフレクター42,52,62の後頂部に設けた貫通孔43,53,63を貫通して前方に突出した構造となっている。なお、バルブ54,64はクリアランスランプ,コーナリングランプの機能色である白色光を出射する白色バルブ、バルブ64はターンシグナルランプの機能色であるアンバー色を出射するアンバー色バルブで構成されている。
【0025】
また、符号27,37は、すれ違いビーム形成用の灯体20,走行ビーム形成用の灯体30の外周をそれぞれ取り囲むように延在するエクステンションリフレクターで、いずれもリフレクターユニットRUに一体的に形成されている。符号27aは、エクステンションリフレクター27に設けられた円形開口部で、この円形開口部27aから凸レンズ28を含むすれ違いビーム形成用の灯体20の前端部が突出している。また、エクステンションリフレクター27,37の表面には、リフレクター42,52,62の表面処理と同様のアルミ蒸着処理が施されており、非点灯時の灯室内のほぼ全域がリフレクター32,42,52,62と同様の明るい鏡面色に見えて、見栄えが非常によい。
【0026】
また、前面カバー11の裏面側には、すれ違いビーム形成用の灯体20に対応する領域11Aを除いた全域に、出射光を左右方向に拡散する曲率の小さなシリンドリカルステップ11aが設けられており、走行ビーム形成用の灯体30では、前面カバー11から出射された光によって走行ビームとしての適正な配光が形成され、コーナリングランプ用の灯体60では、前面カバー11から出射された光によって車両側方を照明するに適正な配光が形成される。また、ターンシグナルランプ用の灯体40およびクリアランスランプ用の灯体50では、それぞれの前面カバー11から左右に拡散された光によってそれぞれの標識灯として適正な配光が形成される。
【0027】
符号100は、前面カバー11の内側に沿って配置された無色透明なインナーレンズで、ランプボディ10内に収容されたリフレクターユニットRUとランプボディ10の前面開口部に組み付けられた前面カバー11に前後方向から挟持されることで、ランプボディ10に対して位置決め固定されている。
【0028】
インナーレンズ100の前面側には、すれ違いビーム形成用の灯体20に対応する領域100Aを除いた全域に、凹部である断面くさび型の縦スリット102が左右方向等間隔に設けられて、点灯時にはインナーレンズ100が光源に正対する領域の光の一部を光源から離れた領域に導く導光部材として機能するとともに、非点灯時には左右方向に連続する縦スリット102がつくる縦ストライプ模様が前照灯の見栄えを改善するべく作用する。
【0029】
即ち、クリアランスランプを例にとって説明すると、図5に示すように、クリアランスランプ用の灯体50(リフレクター52とバルブ54)とインナーレンズ100と前面カバー11で構成されたクリアランスランプでは、バルブ54の直射光またはリフレクター52での反射光の大半は、符号L50に示すように、インナーレンズ100をほぼ透過直進して前面カバー11に導かれるので、前面カバー11のバルブ54に近い中央部領域では光量が多く、バルブ54から離れる左右方向側縁部領域では光量が少ない。しかし、インナーレンズ100に入射した光のうち、バルブ54近傍領域に設けた断面くさび型スリット102から出射しようとする光L102は、くさび型スリット面(界面)102aに対し臨界角以上の入射角度となるため、スリット面(界面)102aで反射してインナーレンズ100内で全反射を繰り返してバルブ54から離れた左右方向側縁部領域に導かれて、前面カバー11の中央部領域に比べて光量の少ない左右方向側縁部領域の光量を高めるべく作用し、前面カバー11の左右方向側縁部までの全体がクリアランスランプの機能色である白色に明るく発光する。
【0030】
また、非点灯時のクリアランスランプでは、インナーレンズ100が無色透明で、しかもシリンドリカルステップ11aの曲率が小さいため、インナーレンズ100を通して灯室内のリフレクター52やバルブ54が透けて見えるものの、縦スリット102がつくる縦ストライプ模様のついたインナーレンズ100を通して灯室内が見えるにとどまり、縦ストライプ模様があるためリフレクター52やバルブ54がそのまま透けて見えず、それだけ非点灯時のクリアランスランプの見栄えが良好となっている。
【0031】
また、ターンシグナルランプ用の灯体40(リフレクター42とバルブ44)とインナーレンズ100と前面カバー11で構成されたターンシグナルランプにおいても、点灯時には断面くさび型縦スリット102を設けたインナーレンズ100の導光作用により、前面カバー11のターンシグナルランプ対応領域全体が周縁部まで明るく発光するとともに、非点灯時にはインナーレンズ100の縦ストライプ模様によって、ターンシグナルランプの見栄えが良好となる点については、前記したクリアランスランプの場合と同様である。
【0032】
また、コーナリングランプ用の灯体60(リフレクター62とバルブ64)とインナーレンズ100と前面カバー11で構成されたコーナリングランプでは、点灯時には断面くさび型縦スリット102を設けたインナーレンズ100の導光作用により、前面カバー11のコーナリングランプ対応領域における左右の側縁部からの出射光量が増えて、左右方向への配光量が増える分、車両側方への照射エリアが左右方向に拡大されてドライバーからの車両側方の視認性が向上する。また、非点灯時における見栄えについては、前記したクリアランスランプやターンシグナルランプと同様、縦ストライプ模様によって灯室内がそのまま透けて見えない分、見栄えが良好となる。
【0033】
また、走行ビーム形成用の灯体30(リフレクター32とバルブ34)とインナーレンズ100と前面カバー11で構成された走行ビーム用ヘッドランプにおいても、点灯時には断面くさび型縦スリット102を設けたインナーレンズ100の導光作用により、前面カバー11における走行ビーム用の灯体30に対応する領域の左右の側縁部からの出射光量が増えて、左右方向への配光量が増える分、走行ビームの照射エリアが左右方向に拡大されてドライバーからの車両前方の視認性が向上する。また、非点灯時にはインナーレンズ100の縦ストライプ模様によって、走行ビーム用ヘッドランプの見栄えが良好となる点については、前記したクリアランスランプ等の場合と同様である。
【0034】
なお、インナーレンズ100のすれ違いビーム用の灯体20に対応する領域100Aに縦スリット102を設けた場合には、インナーレンズ100の導光作用によって、クリアカットラインより上方に向かう予期せぬグレア光が発生するおそれがあるので、インナーレンズ100のすれ違いビーム用の灯体20に対応する領域100Aには、縦スリット102が全く設けられていない、即ち、縦スリット102を形成しない非スリット形成部が設けられている。また、すれ違いビーム用の灯体20が略楕円体形状のリフレクター22と凸レンズ28を備えた投射式灯体構造として構成されているが、すれ違いビーム用の灯体が配光形成用の自由曲面リフレクターまたはステップリフレクターを備えた反射式灯体構造の場合も、すれ違いビーム用の灯体に対応する領域に縦スリットを設けないことは同様である。
【0035】
また、本実施例に係る前照灯では、インナーレンズ100のすれ違いビーム用ヘッドランプ対応領域を除いた全域にわたって縦スリット102が左右方向等間隔に設けられているため、前照灯の非点灯時にはインナーレンズ100の縦ストライプ模様によって灯室内がそのまま透けて見えることがなく、むしろ前面カバー11のほぼ全域に現れる縦ストライプ模様によって灯具全体に統一された一体感が生じて、見栄えが良好となっている。
【0036】
また、前記した実施例では、インナーレンズ100の前面に断面くさび型の縦スリット102を設けた構造であるが、インナーレンズ100の裏面に、あるいは前面および裏面の双方に設けてもよい。
【0037】
図6は、インナーレンズ100の裏面に凹部である断面くさび型の縦スリット102を設けた構造で、バルブ54の近傍に設けた断面くさび型スリット102からインナーレンズ100に入射しようとする光は、断面くさび型スリットの界面102b,102cに対し臨界角以上の入射角度となるため、一方の界面102b(102c)で反射した後、対向する界面102b(102c)からインナーレンズ100に入射し、インナーレンズ100内で全反射を繰り返して光源から離れた領域に導かれる。
【0038】
また、前記した実施例では、インナーレンズ100の前面または/および裏面に断面くさび型の縦スリット102を設けた構造であるが、図7(a),(b)に示すように、断面半円型の縦スリット104や断面五角形型の縦スリット106等、光源光に対し界面が臨界角以上となるスリットであればよい。
【0039】
また、前記した実施例では、インナーレンズ100に断面くさび型や断面半円型や断面五角形型の縦スリット102,104,106を左右方向に並設しているが、断面くさび型や断面半円型や断面五角形型の横スリットを上下方向に並設したり、断面くさび型や断面半円型や断面五角形型の縦横のスリットを碁盤目状に設けたり、断面くさび型や断面半円型や断面五角形型の円形スリットを同心円状に設けてもよい。
【0040】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1に係る発明の車両用灯具によれば、インナーレンズの導光作用によって前面カバーの左右方向側縁部からの出射光量が増えるため、前面カバーの中央部と周縁部における発光量の格差が減じ、前面カバーの周縁部までが明るく発光するので、点灯時における灯具の遠方広範囲からの視認性が向上する。これにより、走行ビーム用の前照灯として、適正な配光が得られるとともに照射エリアが側方に拡大されて車両前方の視認性が向上する。また、標識灯として遠方広範囲からの視認性に優れる。
【0041】
また、インナーレンズに設けた凹部がつくる模様によって灯室内がそのまま透けて見える状態が回避されるので、非点灯時における見栄えが向上する。特に、非点灯時には、標識灯を内蔵する前照灯の前面カバーほぼ全体に現れる凹部模様によって灯具全体に統一感が生じ、それだけ見栄えが向上する。
さらに、インナーレンズのすれ違いビーム形成用の灯体に対応する領域には凹部を設けず、すれ違いビーム用の前照灯としてクリアカットラインをもつ所定の配光パターンを形成できる。
【0042】
請求項2に係る発明によれば、クリアランスランプの点灯時には、配光の範囲が拡大されるので、それだけ遠方からのクリアランスランプの視認性が向上する。また、インナーレンズに設けた凹部がつくる模様によって灯室内がそのまま透けて見える状態が確実に回避されるので、非点灯時におけるクリアランスランプの見栄えが向上する。
【0043】
また、クリアランスランプは、スモールランプスイッチONにより点灯し、夜間に限らず夕方や明け方など薄暗い状況下において必ず使用される、標識灯の中では最も使用頻度が高い灯具で、また非点灯時には無色透明の前面カバーを介して灯室内が透けて見えることからも、本発明を適用することで、点灯時の視認性および非点灯時の見栄えの向上という効果を最も顕著に期待できる灯具(標識灯)であるといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である自動車用前照灯の正面図である。
【図2】同前照灯の水平断面図(図1に示す線II−IIに沿う断面図)である。
【図3】同前照灯の水平断面図(図1に示す線III−IIIに沿う断面図)である。
【図4】インナーレンズの正面図である。
【図5】インナーレンズの導光作用を説明する説明図である。
【図6】本発明の他の実施例である自動車用前照灯の要部であるクリアランスランプにおけるインナーレンズの導光作用を説明する説明図である。
【図7】(a),(b)
本発明のさらに他の実施例である自動車用前照灯の要部であるクリアランスランプにおけるインナーレンズの部分拡大断面図である。
【符号の説明】
10 ランプボディ
11 前面カバー
11a シリンドリカルステップ
20 すれ違いビーム形成用の灯体
22、32、42、52、62 リフレクター
24、34、44、54、64 光源であるバルブ
30 走行ビーム形成用の灯体
40 ターンシグナルランプ用の灯体
50 クリアランスランプ用の灯体
60 コーナリングランプ用の灯体
100 インナーレンズ
102 凹部である断面くさび型の縦スリット
104 凹部である断面半円型の縦スリット
106 凹部である断面五角形型の縦スリット
Claims (2)
- 容器状のランプボディと前面カバーで画成されて車輌前面側から側方に湾曲する灯室内に、リフレクターと光源によって構成された標識灯用の灯体と、リフレクターと光源とを備えたすれ違いビーム形成用の灯体と、リフレクターと光源とを備えた走行ビーム形成用の灯体とが一体に収容された車両用灯具において、
車輌幅方向外側に配置された前記標識灯用の灯体の車輌幅方向内側には、前記走行ビーム形成用の灯体が隣接配置され、
前記前面カバーの内側に沿ってインナーレンズが配置され、
前記すれ違いビーム形成用の灯体に対応する領域を除いた前記インナーレンズの前面側または裏面側のほぼ全域に、その界面が光源光に対し臨界角以上となる凹部で構成された上下に延びる縦溝が左右方向ほぼ等ピッチに形成されて、前記インナーレンズが、その裏面側の縦溝を介して入射した光源光、または、その裏面側から入射しその前面側の縦溝で内面反射した光源光を前記光源から左右に離れた領域に導く導光作用を営むように構成されたことを特徴とする車両用灯具。 - 前記前面カバーおよびインナーレンズは無色透明で、前記標識灯がクリアランスランプを構成することを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
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