JP4112044B2 - 人体局部洗浄装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は温水で人体局部を洗浄するとともに血流増加洗浄を行う人体局部洗浄装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来この種の人体局部洗浄装置には、図8に示すようなものがあった(例えば特開平5−33377号公報)。
【0003】
図8は洗浄水の供給系を示す概略図であるが、1はポンプであり、ポンプ1の上流側には給水配管2が接続され、下流側には空気混入部3が接続されている。空気混入部3はセラミックを素材とした円筒状の吸引ヘッド4を有しており、コンプレッサー5から送られる空気をここで水に混入している。この構成により、給水配管2から供給された洗浄水はポンプ1によって加圧され空気混入部3へと至る。空気混入部3ではコンプレッサー5から供給された空気が、吸引ヘッド4により微細化されて洗浄水中に流入する。さらに空気混入部3を経た洗浄水は熱交換器6へと至り、この熱交換器6で適温になるまで加熱された洗浄水が、ノズル装置7に供給され人体局部に向けて噴出される。この作用により、ノズル装置7から噴出される洗浄水は空気を含み、人体局部の洗浄時に柔らかな体感が得られるものとなっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記したような従来の人体局部洗浄装置では、洗浄温水は供給できても、血流量増加に対しては何ら考慮されていなかったため、使用者は的確にこの人体局部洗浄装置を使用し、痔疾の予防や治療などの目的で血流量の増加を図った洗浄を行うことができなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本願発明は上記した課題を解決するものであり、加熱手段と、洗浄対象に洗浄水を吐出する吐出手段と、洗浄水の供給制御を行う給水制御手段と、人体局部の血流量増加条件での洗浄水吐出を設定する血流増加洗浄設定手段と、血流増加洗浄設定手段の設定により所定の血流量増加条件に従って加熱手段と給水制御手段を制御する制御を備え、血流増加洗浄設定手段の設定に従って加熱手段の制御による温度制御や給水制御手段の制御による洗浄時間や給水量の制御により的確に人体の血流量増加を図るものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
請求項1記載の発明は、給水管と温水管が接続された加熱手段と、前記温水管に接続され人体局部に洗浄水を吐出する吐出手段と、前記洗浄水の供給制御を行う給水制御手段と、人体局部の血流量増加条件での洗浄水吐出を指示する血流増加洗浄設定手段と、人体局部の通常洗浄を指示する通常洗浄設定手段と、前記加熱手段と前記給水制御手段を制御する制御を備え、前記制御器には、前記血流増加洗浄設定手段で血流増加洗浄が指示されると、前記通常洗浄設定手段で通常洗浄が指示された場合の洗浄時間より長い人体局部血流の増加が認められる時間で洗浄するように洗浄時間を制御する洗浄時間制限部を有したものである。そして、洗浄時間制限部は血流増加洗浄設定手段の指示に従って人体局部の洗浄とともに通常洗浄よりも長い時間洗浄して温水を局部に当てて人体局部の血流量増加を加熱手段と給水制御手段を制御して的確に図り、痔疾の予防や治療に役立てるものである。
【0007】
また、請求項2記載の発明は請求項1記載の発明の構成に加え、制御器は、血流増加洗浄設定手段により血流増加洗浄が指示されると、洗浄水温度が通常洗浄設定手段により通常洗浄が指示された場合に設定可能な温度帯よりも狭い温度帯で洗浄するように加熱手段を制御するものである。
また、本発明の第3の発明における洗浄装置は請求項1または2記載の発明の構成に加え、制御器は、血流増加洗浄設定手段により血流増加洗浄が指示されると、洗浄水温度が37℃〜41℃の範囲となるように加熱手段を制御するものである。
【0008】
また、請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか記載の発明の構成に加え、洗浄時間制限部は、血流増加洗浄設定手段により血流増加洗浄が指示されると、洗浄時間を2分よりも長くするものである。
【0009】
また、請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれか記載の発明の構成に加え、制御器は、血流増加洗浄設定手段により血流増加洗浄が指示されると、通常洗浄設定手段により通常洗浄が指示された場合の洗浄温度よりも低い洗浄水温度になるように加熱手段を制御するものである。そして、通常洗浄よりも長い時間洗浄するので、省電力化を図れる。
【0010】
また、請求項6記載の発明は請求項1から5のいずれか記載の発明の構成に加え、加熱手段を瞬間型の加熱手段で構成し連続的な出湯を可能として構成するものである。そして、通常の洗浄よりも時間を要する血流増加洗浄に対応し、湯切れすることなく連続的な温水の供給を実現しているものである。
【0011】
また、請求項7記載の発明は、請求項1から6のいずれか記載の発明の構成に加え、制御器は、血流増加洗浄設定手段により血流増加洗浄が指示された場合と、通常洗浄設定手段により通常洗浄が指示された場合とで、洗浄流量異なるように給水制御手段を制御するものである。そして、血流量増加に関係の深い流量を的確に制御して血流量増加の効果を増進させるものである。
【0012】
また、請求項8記載の発明は請求項1から7のいずれか記載の発明に加え、制御器は、血流増加洗浄設定手段により血流増加洗浄が指示された場合と、通常洗浄設定手段により通常洗浄が指示された場合とで、洗浄水を吐出する吐出条件を異ならせて制御するものである。そして、血流増加洗浄設定手段の設定された洗浄の場合、例えばスポット的な集中噴流で吐出し特に治療を行いたい人体局部に対して洗浄水を供給したり、吐出手段を前後に駆動して噴流を前後に揺動させマッサージ効果を高めるなど、血流増加洗浄に合った吐出条件で洗浄水の吐出を行うものである。
【0013】
また、請求項9記載の発明は、請求項1から8のいずれか記載の発明に加え、洗浄水に空気を混入する空気混入手段を備え、制御器により空気混入手段を制御するものである。そして、空気混入による節水効果と気泡の破裂による洗浄促進効果およびマッサージ効果を促進させ、特に痔の予防に役立てるものである。
【0014】
また、請求項10記載の発明は、請求項9記載の発明に加え、制御器は、血流増加洗浄設定手段により血流増加洗浄が指示されると、空気混入手段による空気混入を止めて構成するものである。そして、特に痔疾の進行した状態での治療に用いる場合、気泡が大量に混入している場合に起こる痛感を防ぎ、ソフト感をもって使用できるものである。
【0015】
また、請求項11記載の発明は、請求項9記載の発明に加え、制御器は、血流増加洗浄設定手段により血流増加洗浄が指示されると、空気混入手段による空気混入量を通常洗浄の場合と変えて構成するものである。そして、血流増加洗浄を行う場合、空気混入手段による空気混入量を通常洗浄の場合と変え、例えば通常の洗浄時に大量の空気を混入して使用している場合は空気混入量を落としたり、また全く気泡混入を行っていない時にはマイルド感のでる範囲で少流量の気泡を混入し、血流増加洗浄を行う場合に痛感を伴わないで使用できるものに成すものである。
【0016】
また、請求項12記載の発明は、請求項1から11のいずれか記載の発明に加え、制御器は、血流増加洗浄設定手段により血流増加洗浄が指示されると、給水制御手段を制御して、洗浄流量を連続的に変化させて供給するものである。そして、洗浄水温度を変化させてることによる冷温効果により血流量の増加を一層増すものである。
【0017】
また、請求項13記載の発明は、請求項1から11のいずれか記載の発明に加え、制御器は、血流増加洗浄設定手段により血流増加洗浄が指示されると、給水制御手段を制御して、洗浄流量を連続的に変化させて供給するものである。そして、血流増加洗浄設定手段が設定された場合、洗浄流量を変化させて供給することによるマッサージ効果により、血流量の増加を一層増すものである。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0019】
(実施例1)
図1において、給水管8から供給された水は、洗浄水の供給開始と供給停止を行う給水制御手段である元電磁弁9と、洗浄水の流量を調節する同じく給水制御手段である流量制御弁10、また、水の流量を検出する流量センサ11を経て、瞬間型の加熱手段である熱交換器12に至る。熱交換器12には温度の異常上昇を検出し通電を絶つハイリミットスイッチ13、熱交換器12内の水の有無を検出する空気検出サーミスタ14を備えている。熱交換器12の出口近傍の温水管15には、洗浄水を検出する温水サーミスタ16が設けられている。温水管15の端末には、先端に吐出手段である洗浄ノズル17が設けられ洗浄ノズルユニット18を成している。洗浄ノズル17はモータ18aにより突出や引込みが制御される形式のものである。洗浄ノズル17と熱交換器12の間で、内部空気管19と外部空気管20を介して、外部に設けた空気混入手段であるモータ駆動の空気ポンプ21から温水に空気が混入される。そして洗浄ノズル17から供給された温水は、便座22に着座した使用者の局部を洗浄するために利用される。便座22には、使用者の着座を検出する着座スイッチ23が設けられている。
【0020】
洗浄ノズル17からの温水の吐出の指示はリモコン24からなされる。リモコン24には、通常洗浄設定手段である肛門洗浄スイッチ25、ビデ洗浄スイッチ26、洗浄の停止スイッチ27、流量と温度の調節部28、血流増加洗浄設定手段である血流スイッチ29が設けられている。
【0021】
また、リモコン24からの無線の信号の受信や図1で点線で連絡を表現された構成要素との制御を行うとともに、内部に血流増加条件制御部30と洗浄時間制限部31を有した制御器32が設けられている。さらに制御器32には、血流スイッチ29が設定された場合と肛門洗浄スイッチ25により通常洗浄が設定され場合で温度、流量、空気混入量などの血流増加制御条件を変更する制御条件変更部33が設けられている。
【0022】
なお、図1においては、洗浄ノズルユニット18は肛門用のみを示しているが、ビデ用の洗浄ノズルユニットは、類似構成で別に設けてあり、図の上での表現は割愛している。
【0023】
図2に熱交換器12の詳細を示す。
【0024】
電気的に加熱を行うセラミックヒータ34が両側に設けた銅板35、36で挟持され、その外側に内部に流路37を有した樹脂製のケース38、39が設けられ、これらのケース38、39はシール材40にて銅板35、36に押圧されて構成されている。また、銅板35の表面にはハイリミットスイッチ13が、またケース38の上部には空気検出サーミスタ14が取りつけられている。
【0025】
図3、図4に洗浄ノズル17の詳細を示す。
【0026】
図3は洗浄ノズル17を上部から見た上面図であり、図4は側面から見た切り欠き断面図である。洗浄ノズル17内の流路は、洗浄ノズルユニット18に形成された流路41から、洗浄ノズル17内の流路42、43に至るに従って流路断面積が次第に減り、ノズル口44近傍で並行部45を経て拡大部46でややラッパ状に拡大する構成となっている。この構成により、空気を混入した温水が供給された時は、空気混入による作用と拡大部46の作用により、洗浄水が比較的広い範囲に揺動された状態で人体局部に供給される。空気の混入を止めると、並行部45の作用により温水は直噴状態で比較的狭い範囲にスポット的に吐出される。
【0027】
図5に空気を混入した場合と、空気の混入を停止した場合の、洗浄噴流の形状を示す。空気を混入した場合は空気の混入効果により、ノズルの拡大部46において、気泡混じりの温水が内癖面に付着離脱をランダムに行う結果、吐出される噴流は広い範囲に拡散される。空気の混入を停止した場合は、このような効果が発生しないため、並行部45で案内された温水がスポット的に供給される。また、血流増加洗浄が設定さた場合、洗浄噴流には空気が混入されていない状態で、ノズルが前後に繰り返し駆動される。
【0028】
図6に洗浄開始後の血流量増加の概念図を示す。洗浄ノズル17から供給される温水の温度として適している温度は、37℃〜41℃である。温度が低すぎると人体の体温よりも低くなり、人体局部の毛細血管が拡大されなくなり、温熱による血流量増加の効果は少なくなる。また、温度が高すぎると人体の温感からして、特に通常の洗浄よりも長い時間当てねばならない温熱治療目的の洗浄の場合、熱すぎて長時間の温水を当てるにはふさわしくなく、また高温による不快感からの局部周辺筋肉の収縮により血流量は若干低下する傾向にある。人体の局部の特性から、洗浄温水を当て出してから平均的に2分過ぎから血流量の増加が見られ出し、5分程度までは増加するがそれ以上当てても血流量の増加は大幅には期待できない。通常洗浄の場合の洗浄温度は34℃〜42℃であり、血流増加洗浄が設定された場合、前述の37℃〜41℃の範囲に入るように自動的に制御条件変更部33で設定が変更される。
【0029】
また、流量は通常洗浄の場合、空気を混入し洗浄ノズル17からの吐出される流速を上げ、温水の流量を200〜500cc/分としているが、血流量増加洗浄の場合、空気の混入をなくしているため流量を240〜600cc/分程度として、血流増加洗浄が設定された場合、制御条件変更部33で自動的に温水の流量を2割増している。また、制御条件変更部33では血流量増加洗浄が設定された場合、自動的に空気ポンプ21の駆動を止めている。他の実施例として、この空気混入量を血流増加洗浄が設定された場合、血流増加洗浄時にソフト感を得られる適度の少量混入させるように切り替える方法もあるなお、血流量の増加と痔疾の治療効果の相関については、各種の文献から周知の事実である。
【0030】
さて、通常の汚れを落とす洗浄においては、平均的洗浄時間は30秒程度であり、長く当てる人でも1分1O秒程度であるので、この実施例では2分で通常洗浄を自動的にも終了するようにしており、いたずらに長時間洗浄水が供給されることを防止している。また、血流増加洗浄の場合は、上述のように2分過ぎから血流量増加がみられるところから血流増加の効果が見られなくなる10分間まで洗浄時間制限部31が連続して洗浄水の吐出を指示し、10分間経過後、自動的に元電磁弁を止め洗浄水の供給を停止する。この時、タイムアップの表示をリモコン24に行う。
【0031】
次にこの実施例の動作について図6に基づいて説明する。
【0032】
まず、通常洗浄時の動作について述べる。電源が投入され、空気検出サーミスタ14で熱交換器12に空気が介在されていないと判別された状態で待機が行われる。肛門洗浄スイッチ25が操作され通常洗浄が指示されると、使用者が便座22に着座し着座スイッチ23がオンとなっている状態で、空気ポンプ21を起動し、元電磁弁9を「開」とし、モータ18aで洗浄ノズル17を徐々に突出させる。しばらく時間をおいて、流量センサ11の値を読み込み流量が0.2l/分以上になると水の流れがあると制御器32が判断し、熱交換器12への通電を始めて、セラミックヒータ34を発熱させて洗浄水の加熱を行う。
【0033】
そして、リモコン24で設定された流量値を読み込み、流量センサ11で検出される値とこの設定値を比較し流量制御弁10を制御して設定通りの値を得る流量制御動作が行われる。そして、読み込んだ流量センサ11の値に基づき空気ポンプ21を制御し、予め定めた洗浄水量と空気の混入量の比が所定値になるように、空気ポンプ21に印可される電圧を制御する。空気ポンプ21は電圧によってモータの回転数が変化し、吐出される空気量が変化する。洗浄流量と空気の混入量の関係は、洗浄流量にほぼ比例している。
【0034】
この後、所望の洗浄水温度が得られるようにリモコン24で設定された温度と温水サーミスタ16の温度が制御器32で比較され、熱交換器12の加熱量の調節が行われる。設定温度を変更したい場合は、リモコン24の流量と温度の調節を切り替える切替スイッチ(図示せず)を温度側に切り替え、調節部28で温度の調節をする。また、流量設定を変更したい場合は、切替スイッチを流量側に切り替え、調節部28で流量設定の調節を行う。流量設定が変えられると前述したように、洗浄流量に応じて自動的に空気の混入量を変える動作を行う。
【0035】
流量制御弁10で設定流量に調節され、熱交換器12で設定温度に調節された温水は洗浄ノズルユニット18に至るが、ここで空気ポンプ21から外部空気管20と内部空気管19を経て供給される空気と混入され、洗浄ノズル17から人体局部に吐出される。この空気が混入された温水での洗浄の場合、洗浄ノズル17の作用で洗浄水は、図に示すように人体局部の比較的広い範囲を揺動して洗浄する。そして空気の混入による洗浄ノズル17部の噴出流速の向上と気泡のはじける作用により、従来の温水だけで洗浄する場合と比較して洗浄効果や使用者の体感を損なう事なく、流量が半分以下で洗浄ができる。
【0036】
また、瞬間型の熱交換器12を用いることにより、従来の貯湯式の加熱手段と比較して、貯湯時の放熱損失が無くなるため、これも約半分の電力使用量で済むことになり、洗浄水の流量が半分で済むこととあいまって、大幅な電力使用量の低減が実現できる。熱交換器12による洗浄水の加熱や洗浄の供給は、所定時間(2分)が経過すると時間制限部31の働きで自動的に停止され、空気ポンプ21による空気混入動作も停止される。そして、洗浄水の停止忘れや長時間使い過ぎて人体局部の洗浄効果が飽和状態となった場合の消費電力の節約手段として機能している。上記の所定時間内、また所定流量内においては、停止スイッチ27が操作されるまで洗浄は続行する。停止スイッチ27が操作され停止が指示された場合は、まず熱交換器12への通電が停止され、セラミックヒータ34への通電が絶たれる。この停止動作の場合、流量センサ11が停止側の所定値0.18cc/分以下なる以前に、停止スイッチ27の停止指示に従ってセラミックヒータ34への通電を止め、安全を確保している。続いて、元電磁弁9を止め、洗浄ノズル17の引込み動作がモータ18aで行われる。
【0037】
次に血流増加洗浄時の動作について述べる。血流スイッチ29が押された場合は、上述した通常洗浄の場合と空気ポンプ21を駆動しない点と、温度流量条件が異なる他、動作は類似している。血流スイッチ29が操作され血流増加洗浄が指示されると、使用者が便座22に着座し着座スイッチ23がオンとなっている状態で、元電磁弁9を「開」とし、モータ18で洗浄ノズル17を突出させる。流量センサ11の値が0.2l/分以上になるとセラミックヒータ3を発熱させて洗浄水の加熱を行う。そして、リモコン24で設定された通常洗浄の流量値を読み込み、これに空気が混入されない分の補償として1.2をかけ通常洗浄時よりも多い流量で洗浄を行う。すなわち通常洗浄と血流増加洗浄において、流量の値は同じ「強」「中」「弱」であっても血流増加洗浄の方が多くの洗浄水を供給する。ただし、体感的には空気混入を行う通常洗浄時よりも、弱目に感じる洗浄水量に設定されている。
【0038】
また、リモコン24で設定された温度と温水サーミスタ16の温度が制御器32で比較され、熱交換器12の加熱量の調節が行われるが、この時の洗浄水の温度は、図6に示すように、通常洗浄時の温度よりもやや低く自動設定される。これは、通常洗浄よりも長時間血流増加洗浄を行うため、省電力化を血流量増加の効果を落さない範囲で低減しているものである。
【0039】
設定温度を変更したい場合は、通常洗浄時と同様にリモコン24の流量と温度の調節を切り替える切替スイッチを温度側に切り替え、調節部28で温度の調節をする。また、流量設定を変更したい場合は、切替スイッチを流量側に切り替え、調節部28で流量設定の調節を行う。これら設定温度変更、設定流量変更時においては前述したように、通常洗浄時とは温度、流量とも異なった値を取る。
【0040】
流量制御弁10で設定流量に調節され、熱交換器12で設定温度に調節された温水は洗浄ノズルユニット18に至り、洗浄ノズル17から人体局部に吐出される。この時、血流スイッチ29が押された洗浄においては図6に示すように、洗浄ノズル17がモータ18aにより人体に対して前後に繰り返し駆動されながら供給され。これは、空気が混入されず比較的狭い範囲で供給される血流量増加洗浄の場合においても、広い範囲に温水を供給し温熱効果を高めるためである。血流スイッチ29が押されてから10分経過した時点で、血流洗浄は自動的に停止される。これは。血流増加効果が認められる10分前後を過ぎて温水を供給してもいたずらに電力を消費することとなり、省エネルギーに反するものとなることを防止するためである。
【0041】
上記の所定時間内においては、停止スイッチ27が操作さた場合の動作は、通常洗浄の場合と同様である。
【0042】
これら、通常洗浄から血流量増加洗浄への移行、またその逆は停止状態からの起動は無論、一方が使用中から他方への移行は肛門洗浄スイッチ25、血流スイッチ29の操作によりただちに移行できるものである。この時、洗浄条件は洗浄時間も含て新たに指示された条件に移行するものである。また、いかなる使用条件においても、停止スイッチ27が操作された時は、直ちにセラミックヒータ34への通電を止め、温水の供給を停止する。なお、瞬間型の熱交換器12を用いることにより、従来の貯湯式の加熱手段と比較して、通常洗浄と血流量増加洗浄で、ただちに温度を変えられる利点を有している。
【0043】
この実施例で、加熱手段として、セラミックヒータ34を有した熱交換器12を例にとったが、ヒータはシーズヒータやリボンヒータをマイカで絶縁したヒータなど他の電気的加熱手段も有り得る。また、電気的な加熱でなく燃焼熱を利用する方法も有り得る。
【0044】
また、吐出手段として空気混入によって揺動する洗浄ノズル17を例に取ったが、揺動しない形式であったり、単に空気混じりの温水を吐出するシャワーなどであってもよい。
【0045】
また、血流増加洗浄設定手段としてスイッチを例に取ったが、ボリュウームや機械的に血流増加洗浄を設定できる手段であってもよい。
【0046】
また、空気混入手段として空気ポンプ21を例にとったが、コンプレッサーやブロワー、また遠隔部に集中して設けた圧縮空気供給機などであってもよい。
【0047】
(実施例2)
図7に実施例2を示す。実施例2において、主要部の構成は実施例1と同一であるので、割愛している。実施例2は、血流スイッチが押された血流量増加洗浄の場合において、流量あるいは温度のいずれか、あるいはその双方を時間の経過とともに連続して変化させているものであり、流量や温度の高低の繰り返しによる人体的マッサージ効果を利用し、より積極的に温熱効果を高めているものである。これら場合、この実施例においては通常洗浄よりもその流量や温度は平均的レベルを下げ、電力消費量の低減を血流増加効果を落とさない範囲で図っているが、こういった効果をねらわない場合や、特に短時間で血流増加効果を出したいときは、すべてこれに従わなくてもよい。また、流量や温度の変化のさせ方は、規則正しくサイクル的にくり返さなくても、1/fゆらぎでゆらがせたり、他の任意の変化であってもよい。
【0048】
以上のように本発明の洗浄装置によれば次のような効果が得られる。
【0049】
(1)血流増加洗浄設定手段の指示に従って人体局部の洗浄とともに人体局部の血流量増加を加熱手段と給水制御手段を制御して的確に図ることができ、痔の予防や治療を使用者が自己判断で行うのでなく、自動的に的確に行える。
【0050】
(2)加熱手段を瞬間型の加熱手段で構成し連続的な出湯を可能として構成するため、従来の貯湯式でできなかった連続出湯が行え、通常の洗浄よりも時間を要する血流増加洗浄に対応可能となるとともに、貯湯式では不可能であった即座の温度変更を行え、血流量増加のための温度変更に対応することができる。
【0051】
(3)所定の血流量増加条件は洗浄水の温度と給水時間としているため、特に洗浄温度と時間の影響を受けやすい血流増加洗浄に的確に対応できる。
【0052】
(4)制御手段は洗浄時間を制限する洗浄時間制限部を備え、血流増加洗浄を所定時間以内に制限しているため、血流増加効果が期待できる時間を越えて血流増加洗浄を行うことによる、電力などのエネルギーの無駄使いや、装置の耐久寿命の低下を防げる。
【0053】
(5)血流増加洗浄設定手段の他に通常洗浄を指示する通常洗浄設定手段を備えているため、洗浄条件の異なる血流増加洗浄と通常洗浄を別々の設定で指示でき、使用時における条件の的確化と使い勝手の向上が図れる。
【0054】
(6)血流増加洗浄設定手段により血流増加洗浄が指示された場合と通常洗浄設定手段により通常洗浄が指示された場合で制御器が加熱手段を制御して洗浄温度を異ならせて供給しているため、特に血流量増加に関係の深い温度条件に基づいて的確な制御ができ血流量増加の効果を増進させ得る。
【0055】
(7)血流増加洗浄設定手段により血流増加洗浄が指示された場合と通常洗浄設定手段により通常洗浄が指示された場合で制御器が給水制御手段を制御して洗浄流量を異ならせて供給するため、血流量増加に関係の深い流量に基づいて的確な制御ができ血流量増加の効果を増進させ得る。
【0056】
(8)血流増加洗浄設定手段により血流増加洗浄が指示された場合と通常洗浄設定手段により通常洗浄が指示された場合で制御器が洗浄水を吐出する吐出条件を異ならせて制御しているため、血流増加洗浄設定手段の設定された洗浄の場合、スポット的な集中噴流で吐出し特に治療を行いたい人体局部に対して洗浄水を供給したり、吐出手段を前後に駆動して吐出する噴流を前後に揺動させマッサージ効果を高めるなど、血流増加洗浄に合った吐出を行うことができる。
(9)洗浄水に空気を混入する空気混入手段を備え、制御器より空気混入手段を制御しているため、空気混入による節水効果と気泡の破裂による洗浄効果およびマッサージ効果を促進させ、特に痔の予防に役立てることができる。
【0057】
(10)血流増加洗浄を行う場合、空気混入手段による空気混入を止めて構成しているため、特に痔疾の進行した状態での治療に用いる場合、気泡が大量に混入していると起こる痛感を防ぎ、ソフト感をもって使用できるものとなる。
【0058】
(11)血流増加洗浄を行う場合、空気混入手段による空気混入量を通常洗浄の場合と変えることにより、例えば通常の洗浄時に大量の空気を混入して使用している場合は血流増加洗浄では空気混入量を落としたり、また全く気泡混入を行っていない時には、マイルド感のでる範囲で少流量の気泡を混入し特に痔疾の進行した状態での治療に用いる場合、痛感を伴わないで使用できるものとなる。
【0059】
(12)血流増加洗浄設定手段により血流増加洗浄が指示された場合、制御器が加熱手段を制御して洗浄水温度を変化させて供給することにより、冷温効果により血流量の増加を一層増すことができる。
【0060】
(13)血流増加洗浄設定手段により血流増加洗浄が指示された場合、空気混入手段による空気混入量を通常洗浄の場合と変え、洗浄流量を変化させて供給することによるマッサージ効果により、血流量の増加を一層増すことができる。
【0061】
【発明の効果】
以上のように本発明の洗浄装置によれば次のような効果が得られる。血流増加洗浄設定手段の指示に従って通常洗浄よりも長い時間洗浄水を局部に当てるので、人体局部の洗浄とともに人体局部の血流量増加を加熱手段と給水制御手段を制御して的確に図ることができ、痔の予防や治療を使用者が自己判断で行うのでなく、自動的に的確に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1における人体局部洗浄装置の構成図
【図2】 同装置に用いた熱交換器要部の分解斜視図
【図3】 同装置に用いた洗浄ノズルの部分上面図
【図4】 同装置に用いた洗浄ノズルの部分側面断面図
【図5】 同装置に用いた洗浄ノズルの動作を説明する部分側面断面図
【図6】 同装置の動作と血流量との関係を示す特性図
【図7】 本発明の実施例2における人体局部洗浄装置の連続的変化を説明する図
【図8】 従来の人体局部洗浄装置の構成図
【符号の説明】
8 給水管
9 元電磁弁(給水制御手段)
10 流量制御弁(給水制御手段)
12 熱交換器(加熱手段)
15 温水管
17 洗浄ノズル(吐出手段)
21 空気ポンプ(空気混入手段)
30 血流増加条件制御部
31 洗浄時間制限部
32 制御器

Claims (13)

  1. 給水管と温水管が接続された加熱手段と、前記温水管に接続され人体局部に洗浄水を吐出する吐出手段と、前記洗浄水の供給制御を行う給水制御手段と、人体局部の血流量増加条件での洗浄水吐出を指示する血流増加洗浄設定手段と、人体局部の通常洗浄を指示する通常洗浄設定手段と、前記加熱手段と前記給水制御手段を制御する制御を備え、前記制御器には、前記血流増加洗浄設定手段で血流増加洗浄が指示されると、前記通常洗浄設定手段で通常洗浄が指示された場合の洗浄時間より長い人体局部血流の増加が認められる時間で洗浄するように洗浄時間を制御する洗浄時間制限部を有した人体局部洗浄装置。
  2. 制御器は、血流増加洗浄設定手段により血流増加洗浄が指示されると、洗浄水温度が通常洗浄設定手段により通常洗浄が指示された場合に設定可能な温度帯よりも狭い温度帯で洗浄するように加熱手段を制御する請求項1記載の人体局部洗浄装置。
  3. 制御器は、血流増加洗浄設定手段により血流増加洗浄が指示されると、洗浄水温度が37℃〜41℃の範囲となるように加熱手段を制御する請求項1または2記載の人体局部洗浄装置。
  4. 洗浄時間制限部は、血流増加洗浄設定手段により血流増加洗浄が指示されると、洗浄時間を2分よりも長くする請求項1から3のいずれか1項記載の人体局部洗浄装置。
  5. 制御器は、血流増加洗浄設定手段により血流増加洗浄が指示されると、通常洗浄設定手段により通常洗浄が指示された場合の洗浄温度よりも低い洗浄水温度になるように加熱手段を制御する請求項1から4のいずれか1項記載の人体局部洗浄装置。
  6. 加熱手段を瞬間型の加熱手段で構成し連続的な出湯を可能とした請求項1から5のいずれか1項記載の人体局部洗浄装置。
  7. 制御器は、血流増加洗浄設定手段により血流増加洗浄が指示された場合と、通常洗浄設定手段により通常洗浄が指示された場合とで、洗浄流量異なるように給水制御手段を制御する請求項1から6のいずれか1項記載の人体局部洗浄装置。
  8. 制御器は、血流増加洗浄設定手段により血流増加洗浄が指示された場合と、通常洗浄設定手段により通常洗浄が指示された場合とで、洗浄水を吐出する吐出条件を異ならせて制御する請求項1から7のいずれか1項記載の人体局部洗浄装置。
  9. 洗浄水に空気を混入する空気混入手段を備え、制御器により空気混入手段を制御する請求項1から8のいずれか1項記載の人体局部洗浄装置。
  10. 制御器は、血流増加洗浄設定手段により血流増加洗浄が指示されると、空気混入手段による空気混入を止めた請求項9記載の人体局部洗浄装置。
  11. 制御器は、血流増加洗浄設定手段により血流増加洗浄が指示されると、空気混入手段による空気混入量を通常洗浄の場合と変えた請求項9記載の人体局部洗浄装置。
  12. 制御器は、血流増加洗浄設定手段により血流増加洗浄が指示されると、加熱手段を制御して、洗浄水温度を連続的に変化させて供給する請求項1から11のいずれか記載の人体局部洗浄装置。
  13. 制御器は、血流増加洗浄設定手段により血流増加洗浄が指示されると、給水制御手段を制御して、洗浄流量を連続的に変化させて供給する請求項1から11のいずれか記載の人体局部洗浄装置。
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