JP4111997B1 - ナノインプリント方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】レジストとモールドの離型性を改善するナノインプリント方法を提供する。
【解決手段】ナノインプリント方法は、加圧気体又は超臨界流体に、低分子の撥水剤を溶解する工程と、前記撥水剤が溶解した加圧気体又は超臨界流体を加圧浸透させて、前記樹脂薄膜が塗布された基板からなる被処理体の前記樹脂薄膜を柔軟にする工程と、前記被処理体の前記樹脂薄膜側に、ナノオーダーのパターンが形成されたモールドを押し付けて前記パターンを前記柔軟化された樹脂薄膜に転写する工程と、該転写後に前記加圧気体又は前記超臨界流体を減圧することにより前記樹脂薄膜を固化する工程と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明はナノインプリント方法に関する。
半導体製造における微細パターン形成技術の進歩は目覚しいものがある。現在は100nm以下レベルでの線幅加工精度が要求されており、これが現実のものになってきている。シリコンウエハー上のレジストに微細パターンを形成する技術としては、光リソグラフィー、電子ビームによる直接描画等がある。光リソグラフィーに関しては光源波長の短波長化によって解像度を向上してきたが、これらの装置は非常に高価となる上、100nm以下の転写が困難である。一方電子線の直接描画では、解像度は優れるものの量産性に乏しい。
これら微細パターンを有するデバイスにおける量産技術の課題を克服する技術として、ナノインプリントリソグラフィー(Nanoimprintlithography;NIL)が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。かかるNILはナノスケールの微細構造を有するモールド(型)をシリコンウエハー上におけるレジストに圧力印加することで、該レジスト上に微細パターンを設けるものである。
NILの工程について図9を用いて説明する。モールド3には、例えば、シリコンの熱酸化膜を電子線直接描画にてパターニングしたもの等を用いる。まず、図9(a)に示すように、シリコンウエハー4上に熱可塑性樹脂であるPMMA(ポリメタクリル酸メチル)等によりレジストとしての薄膜5を形成する。次に、図9(b)に示すように、モールド支持台20によって保持されたモールド3をレジスト5に押し付けることによって、モールド3の微細パターンをレジスト5へ転写する。レジスト5は、ガラス転移温度(Tg)以上に加熱され軟化された状態で加圧転写され、転写完了後は冷却固化してモールド3をレジスト5より剥離させる。次に、図9(c)に示すように、残膜を酸素リアクティブエッチング(Reactive Ion Etching;RIE)21等で除去し、図9(d)に示すように、シリコンの表面を露出させる。これにAl等の金属膜を蒸着、スパッタ等で成膜し、リフトオフすることで微細配線として利用することができる。更に、図9(e)に示すように、レジストもエッチング除去してシリコン単体のデバイスとして用いることもできる。
この製法によれば10nm以下の転写が可能とされる。つまりモールドさえ時間をかけて加工して入手することができれば、従来プロセスに比較して非常に安価な装置を用いて微細パターンが形成できかつ大量生産可能とのことから、次世代の微細加工方法として注目されている。
また、レジストを軟化させ転写率を向上させるために、超臨界流体を用いたナノインプリント法(例えば特許文献2を参照。)や、常温にて低いプレス圧にてパターンを転写するナノインプリント法(例えば特許文献3を参照。)も提案されている。
一方、近年パターンドメディアと呼ばれる磁気記録媒体についても提案されている(例えば特許文献4を参照。)。この特許文献4には、トラックに沿って等間隔に強磁気微粒子を配列させ強磁気微粒子一個に1ビットを記録するというパターンドメディアの基本構造が開示されている。このパターンドメディアを応用したものも提案されている(例えば特許文献5を参照。)。この製造フローを図10および図11を用いて説明する。
まず図10(a)に示すように、基板1000とレジスト2000間にスパッタ法による非晶質炭素マトリックス薄膜5600を介在させる。次に図10(b)に示すように、電子線レジスト2000を電子線描画した後、図10(c)に示すように、酸素ガス用いた反応性イオンエッチング法にて、レジストをマスクとして非晶質炭素マトリックス薄膜5600をパターン化する。さらに、図10(d)のように磁性体層5700を真空蒸着した後、図10(e)に示すようにレジストマスク2000を溶解除去させるリフトオフ工程を行い、さらに図10(f)に示すようにスパッタ法にて非晶質炭素層による潤滑層5800を形成する。
さらに特許文献5に開示されている製法プロセスについて、図11を用いて説明する。まず図11(a)のようにガラス基板1000上にレジスト2000を形成する。そして図11(b)に示すように、電子線露光および現像を行い、ついで図11(c)に示すように反応性エッチングによりマスクパターン2000を形成する。さらに図11(d)に示すように、磁性体薄膜5700を真空蒸着し、次いで図11(e)に示すようにリフトオフを行って、図11(f)に示す表面潤滑層5800を形成してパターンドメディアが完成する。
米国特許第5772905号明細書 特開2002−270540号公報 特開2002−184718号公報 特許第1888363号明細書 特開2001−110050号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示の製法はレジストをTg以上に加熱しつつ高圧プレスすることが必要となる。例えば、特許文献1の発明者らが行った実験では、Tg105℃のレジストを200℃に加熱し、印加圧力を13Mpaにしている。また、線幅2μm、高さ340nmのPMMAレジスト凸パターンを転写するのに、170℃にて87MPaの加圧力が必要であったという報告事例がある。こうした従来法においては高い加圧力が必要なため、モールドに上述のSiOや石英等を用いた場合、モールドおよびモールド上におけるパターンが破壊されてしまうという問題があった。
モールドに高強度のダイヤモンドやSiCを用い、上記問題を解決する手法が提案されているが、モールド作製にコストがかかるという問題があった。
また、従来のNIL法においてはモールドが光を透過しないため、シリコンウエハーとのアライメントが困難であった。よって多層化におけるパターンニングのための位置あわせが不可能であり半導体プロセスに適用困難であった。モールドを石英等、透明な基材にすると上述のようにすぐに破壊されてしまうので実用不可能であった。
また、従来の半導体プロセスにおいては微細なパターンが形成されたレジスト上に主に有機物質の微小欠陥が残存するため、レジスト表面を洗浄する必要があった。この洗浄工程においてリンス液等の有機溶媒を洗浄液に用いた場合、気相、液相の境界面における表面張力によりレジストのパターンが崩壊してしまうという恐れがあった。パターンの微細化及び高アスペクト比化が進行するに伴い、上記問題はより顕著になった。
プレス時のウエハー基板温度を高くすると、レジストと基板の密着力が弱くなりプレス後の高分子薄膜の一部が基板から剥離する等の問題が生じ、大面積の細密パターンを形成することが困難となるという問題も生じる。また、レジストをモールドから剥離する際には、基板の温度をレジストのTg以下に冷却しなければならないためスループットを低下させる要因となっていた。
上記特許文献2によれば、超臨界流体を流したチャンバー内にて、軟化剤を含むレジストにモールドをプレスさせ転写を行っている。この方法によればレジストの固化はレジスト内の軟化剤を超臨界流体で抽出することで行うため、抽出完了まではプレスを保持する必要があった。そして、超臨界流体はモールドと基板との間のレジスト厚さに相当する極僅かな隙間から浸透して軟化剤を抽出する必要があるためレジスト内部に浸透するまでは時間がかかる。よって大面積のパターンを量産するのは困難であった。
特許文献3によれば、レジストに化学増幅レジストを選択し、モールドの凸部に酸の薬液を保持させてプレスした後に基板を熱処理する。それにより、酸が染み込んだ部分のみレジストが不溶化反応もしくは可溶化反応を生じる。その後、レジストを現像することでモールドパターンに対応した凹凸が形成される。しかしながらこの方法によれば、大面積のモールドパターンの凸部にのみ選択的に酸を浸透させるのは困難であろうと予想される。特に200nm以下の微細パターンの場合、パターンの凸部にのみ薬液を浸透させて精密にパターン形成するのは困難であると思われる。
また、上記特許文献5に開示の方法によれば、磁気ディスクの大容量化を図ることができるが、電子線描画のスループットが低いという問題がある。量産性の高いナノインプリント製法によりパターンドメディアを製造するプロセスについても提案されており(例えば特開2003−157520号公報)、それによればモールドパターンと基板とのいずれか一方と上下プレス面との間に基板やモールド面積より狭く記録領域に相当する面積を有するバッファー層を介在させることにより、プレス圧の均等化、効率化が図れるとされている。そして、500bar以上のプレス圧を加えることによりレジストのガラス転移温度以下にてパターン形成可能となり、高スループットが実現できるとされるが、プレス圧が高圧になればモールドや基板のダメージが大きくなって、1つのモールドから大量のパターンドメディアを製造することが困難となるという問題が生じる。
本発明は、レジストとモールドの離型性を改善するナノインプリント方法を提供することも例示的目的とする。
本発明の一側面としてのナノインプリント方法は、加圧気体又は超臨界流体に、低分子の撥水剤を溶解する工程と、前記撥水剤が溶解した加圧気体又は超臨界流体を加圧浸透させて、前記樹脂薄膜が塗布された基板からなる被処理体の前記樹脂薄膜を柔軟にする工程と、前記被処理体の前記樹脂薄膜側に、ナノオーダーのパターンが形成されたモールドを押し付けて前記パターンを前記柔軟化された樹脂薄膜に転写する工程と、該転写後に前記加圧気体又は前記超臨界流体を減圧することにより前記樹脂薄膜を固化する工程と、を有することを特徴とする。
超臨界COはn−ヘキサン並の溶媒としての特徴を有し、ある種の低分子ポリマーを溶解させることができる。かかる構成によれば、超臨界COに撥水機能を有する有機材料を溶解させ、レジスト内に浸透させることでレジストのガラス転移温度を低下させるとともに表面を撥水性に改質できる。通常、モールド表面が撥水性である場合は表面張力が大きくなり、レジスト(溶融樹脂)等がモールドの微細パターン(微細構造体)を転写しにくくなるが、この構成によれば、撥水剤が超臨界流体に溶解している状態においてはその撥水機能は発現しないので、減圧するまでは低表面張力を維持できる。プレスによって転写した後に減圧するとレジストが固化するとともに撥水剤が析出して表面に撥水機能が発現する。それによって、レジストとモールドの密着性が低下するため容易に剥離でき、レジストと基板の剥離を抑制できる。また、表面張力がゼロで浸透力が強い超臨界COを溶媒として用いることにより短時間でレジスト表面に機能剤を均一に配向させることができる。
撥水剤の分子量が100から10000の範囲であり、かつ、前記撥水剤はシリコンオイル又はフッ素(例えば低分子PTFE(ポリテトラフルオロエチレン))を含有するように構成することも可能である。また溶解度を向上させるためにエタノールやアセトン等のエントレーナと呼ばれる助剤を用いることもできる。より濃度を均一にするためには攪拌機構をエントレーナと超臨界流体との混合槽に設けることが望ましい。この構成によれば撥水剤の分子量が100〜10000の範囲であるが、分子量がこの範囲より大きくなると溶解度を維持するのが困難となり、分子量がこの範囲より小さくなるとレジストから撥水剤が脱離しやすくなる。
本発明によれば、レジストとモールドの離型性を改善するナノインプリント方法を提供することができる。
以下に、本発明にかかる実施例を説明する。
本実施例1に用いたNIL装置を図1に示す。本実施例においては、シリコンウエハー、石英ガラス等の基板4上におけるレジストとしての高分子薄膜5に高圧COもしくは超臨界COを接触させながら、微細な凹凸パターンを有するモールド3を加圧プレスすることで微細パターンを高分子薄膜5に転写するものである。
本実施例においては、密閉チャンバー6内を超臨界COで充満させ、チャンバー6内でプレスする装置を用いた。COボンベ2より超臨界発生装置1に供給されたCOガスは超臨界状態になり、内蔵された電磁弁の開閉により外部に供給される。超臨界COの圧力、温度は任意であるが、圧力の高い程、固体高分子内により多く浸透し、Tg、粘性、表面張力を低下させる効果があるので望ましい。しかし圧力が高すぎると密閉及びシールするのが困難になり、装置が高価になるので、より望ましい圧力範囲は10〜30MPaである。本実施例においては40℃、15MPaの超臨界COを用いた。
超臨界COが満たされるチャンバー6は上ブロック9と下部本体7が閉鎖されOリング19でシールされることで形成される。上ブロック9には基板支持プレート8が固定されており、基板支持プレート8には基板4及びそれに積層された高分子薄膜5が保持されている。基板4は支持プレート8上におけるリング状のバキューム溝16及びそれに通じる吸引孔14より、図示しない真空ポンプによって支持体8表面に真空吸着されている。
本実施例において使用する基板4及び高分子薄膜5の材料は任意であるが、本実施例において基板4には厚さ2mmのシリコンウエハー、高分子薄膜5にはガラス転移温度100℃のPMMAを用いた。高分子薄膜の膜厚は2μmとした。
また、基板支持プレート8には円周状の温調回路13が設けられており、温調回路13は配管15および図示しない温調機に通じているので、水を媒体にした温調機によって30℃〜145℃の範囲で温度制御できる。ピストンブロック17上に保持されているモールド3も基板4と同様にバキューム溝16からの排気によって真空吸着されている。ピストンブロック17は下部本体7内に内蔵されており、シリンダー18内に図示しない油が任意の圧力で出入りすることで上下する。ピストンブロック17が油圧力で駆動する際、基板支持プレート8に押し付けられるが、本実施例は位置決めリング12を設け、ピストンブロック17が上昇した際における、基板4とモールド3の距離を調整している。
図2に示すように、ピストンブロックの上昇時、基板とモールド間の距離が0.5μmになるように調整した。つまり基板4上に高分子薄膜がない状態においては、基板4とモールド3が接触することはない。
本実施例におけるモールド3の材料やその加工方法等は任意であるが、本実施例においては、厚さ5mmの石英ガラスを用い表面に電子ビームによる直接描画により線幅0.1μm深さ0.5μm、ピッチ0.2μmのラインアンドスペースを形成した。該モールド3表面の微細パターンの転写は下記のように行った。モールド3をこのように透明な材料から構成すると、基板4及びレジスト5からなる被処理体とモールド3とのアライメントを、モールド3を介して図示しない光センサなどで行うことができ、位置合わせ、重ね合わせ後に高品位な処理を被処理体に施すことができる。
まず、電磁弁11を閉鎖した状態にて電磁弁10を開放し、超臨界流体発生装置1より密閉されたチャンバー6内に超臨界COを導入した。チャンバー6内の圧力が安定したところで、ピストンブロック17を上昇させた。このとき基板支持プレート8及びピストンブロック17は共に140℃になるように温度制御した。転写時は高分子薄膜にかかるプレス圧力が17MPaになるようにシリンダー18の油圧力を制御した。つまり超臨界流体の圧力である15MPaがピストンブロックにかかる圧力を差し引くと2MPaの圧力が高分子薄膜に印加されることになる。
本実施例においては超臨界流体状態のCOが含浸することによって高分子のTgおよび粘性が著しく下がりまた表面張力も低下することで、超低圧でナノスケールの微細構造体に高分子粘性体は浸透することができる。また、超臨界流体自身および高分子は著しく低硬度なのでモールドにダメージを与えにくい。
転写完了した後、基板支持プレート8及びピストンブロック17を温調制御する温調回路の温度を80℃に降温した。次に高分子薄膜が十分に固化したところで、ピストンブロック17を下降させモールド3と基板4を剥離させた。
更に、チャンバー6内を超臨界状態に維持し、高分子薄膜の表面を超臨界COを利用して洗浄した。超臨界CO2は表面張力ゼロで、溶解力もn−ヘキサン並であるためパターン変形及び崩壊なくレジストの洗浄及び乾燥を行うことができるために好ましい。このとき図示しない配管を通じチャンバー6内に滞留した超臨界COおよびそれに溶解した有機物質をチャンバー外部に送った。そして、超臨界流体発生装置1より超臨界COの供給を停止した後、電磁弁10、11を開放しチャンバー6内の雰囲気を大気に開放した。
上ブロック9を下部本体7より外し基板4を取り出した。本実施例における高分子薄膜のパターンの断面をSEMにて観察したところモールドパターンをほぼ忠実に再現していることがわかった。
本実施例の方法にて、同一のモールド3を用い複数の基板4にて転写を1万回行ったところ、モールド3及びその表面のパターンが破壊されることはなかった。
[比較例]
超臨界COをチャンバー6内に導入しない以外は実施例と同様な装置を用いて同様な条件でモールド3のパターンの高分子薄膜への転写を試みた。なお、このとき、大気中でプレスを行ったので、高分子薄膜にかかる面圧力が2MPaになるようにシリンダー18の油圧力を制御した。すると深さ0.5μmのモールド3における溝深さに対して0.1μm深さ程度の転写性しか得られなかった。大気中にてモールド3の溝深さをほぼ完全に転写するための条件は、モールド3及び基板4の温度は200℃、高分子薄膜5にかかる面圧力は40MPaであった。この条件にて同一のモールド3を用い、複数の基板4にて転写を繰り返した所数回でモールド3の表面に破損が見られた。
本実施例2に用いたNIL装置を図3に示す。本実施例においては、シリコンウエハー、石英ガラス等の基板100上におけるレジスト(高分子薄膜)200に高圧CO又は超臨界COを接触させてレジスト200を軟化させた後、微細な凹凸パターンを有するモールド300を加圧プレスすることによって微細パターンを高分子薄膜に転写するものである。
本発明においては、加圧COや超臨界COが充填される高圧チャンバーの容積は、必要最小限であることが耐圧容器としての設計が容易になるので望ましい。本実施例においては、高圧チャンバーはガラス基板100の外側に配置された外周リング110がピストン270に突き当たることによって形成される。外周リング110は流路320より導入される高圧COにより上昇する。基板100とスタンパ等のモールド300が接していなくてもOリング120がピストン270表面に突き当たることでチャンバー内部に高圧ガスが保持されるようになっている。
本実施例のプレス機構について説明する。上シリンダー590に内蔵されたピストン270と下プレート610とは、ヒーター420,430及び熱電対290,302によるフィードバック制御により加熱、保温されるようになっている。このヒーター420,430を用いるのは基板100やモールド300を150℃以上に加温するときである。例えば、ガラス転移温度が180℃以上の熱可塑性ポリイミド等をレジストとして用いる場合にこれらヒーター420,430を使用する。PMMA等ガラス転移温度が180℃未満のレジスト200を用いる場合は、温調回路400,410を流れ、図示しない温調機によって制御される温調水によって加温される。上シリンダー590は油圧式であり最大25トンのプレス力を発生させる。本実施例においては、上シリンダー590は加圧COや超臨界COの圧力に対抗できればよく、加圧COや超臨界COの圧力に10MPaを加えた圧力程度のプレス圧が実現できればよい。本実施例においてはレジスト200を有する基板100には外径3.5インチ(=8.89cm)のガラス基板を用い、外周リング110のOリング120より内周側の空間部(すなわち高圧チャンバー)内に20MPaのガス圧を保持する際に、その高圧チャンバーが開放されないように保持するための必要プレス力は約15トンである。
本実施例における加圧COや超臨界COの導入装置について図3を用いて説明する。COボンベ402をブースターポンプ等よりなる加圧CO又は超臨界流体発生装置304で昇圧及び加温する。COの圧力は1〜35MPa、温度は25〜55℃の範囲で制御可能となっている。減圧弁210,220,230でCOのプレス装置への導入圧P1〜P3が制御される。また自動弁160,190,202により導入タイミングが制御されるようになっている。
本実施例に係る装置においては、リザーブタンク240,250に溜められた圧力P1,P2の高圧COをモールド300とレジスト200との間隙(スペース)に導入する。リザーブタンク240,250よりプレス装置までの配管の温度は、図示しないヒーターにより45〜50℃に維持できるようになっている。圧力P3のCOは外周リング110の下部より導入されるようになっている。本実施例においてP1は5MPa、P2は20MPa、P3は10MPaとした。
高圧チャンバー内からのCOの排出は、自動弁180,380の開放によって行われ、排出されたそのCOは回収容器260に貯留される。回収容器内の圧力P4は1MPaに維持されており、余剰COはリリーフ弁280により自動排出されるように構成されている。
次に本実施例のナノインプリントプロセスについて説明する。本実施例においては、レジスト200にガラス転移温度100℃のポリメチルメタクリレート(PMMA)を用いた。温調回路400,410の設定温度を70℃とし、モールド300及び基板100の温度が同温度になるように制御している。レジスト200の膜厚はスピンコートにより0.5μmに調整してある。
モールドであるNiスタンパ300の凹凸形状は図7に示すようにレジスト200の溝幅900が100nm、溝深さ902が50nmになるように設計されている。Niスタンパ300はシリコンウエハー上のレジスト200を電子線描画法によりスパイラル状にパターンニングした後、Niの電鋳プロセスによって作製されたものである。
上記基板100を図示しない搬送装置によってこのNIL装置にセットした後、図4に示すようにピストン270を下降させてプレス転写を行う。図4におけるA部拡大図である図5及び図6を用いて転写工程を説明する。
図5に示すように基板100上のレジスト200とNiで作製されたスタンパであるモールド300との間のスペースが0.2μmとなるようにプレス力を調整する。その状態でバルブ202を開放し、レジスト200とスタンパ300とのスペースに流路150から矢印の方向にCOを導入する。このとき、基板100は機械的に固定されておらず、高圧COを急激に導入するとチャンバー内部で基板100があばれて破損する恐れがあるため、低圧の5MPaに調整されたCOを導入する。
バルブ202を1秒開放後、ただちにバルブ190及びバルブ380を2秒開放し、チャンバー内を25MPaの高圧COにて置換する。その後、バルブ190,380を閉鎖し、COをチャンバー内で2秒保持した後、プレス圧をかけてモールド300のパターンを転写させる。このときのプレス力は20トンである。プレスに伴いスタンパ300とレジスト200とのスペースに介在した余剰のCOは図示しない滞留スペースに押し出されるため、チャンバー内の圧力を維持しつつ高速でプレス可能である。本実施例においてはプレス時間を5秒としている。その後、バルブ180,380を開放し、次いでバルブ170を開放し、チャンバー内を減圧してレジスト200を固化させた。減圧に要する時間は約2秒である。その後ピストン270を上昇させて基板100を取り出す。
基板100のパターンをAFM(原子間力顕微鏡)にて観察したところ、図7に示すレジストパターン溝900の底部700の厚さは10nmであった。底部700の膜厚が薄い方が、後工程である酸素プラズマアッシングによる除去時間を短くできるので望ましいが、50nm以下、さらには20nm以下に制御することがより望ましい。本実施例に基づいてパターン転写したレジスト200を内・中・外周において観察したところ、良好なパターンが形成されていることが確認された。
また、1枚の基板100の加工に要する時間は、基板の取り出し時間を含めて約20秒であった。100枚の基板100について連続してパターン転写を行ったところ、モールド300に基板100が貼り付く現象が1枚だけ発生した。
この実施例2に係るナノインプリント方法に基づいてパターン転写した基板100を基に、図8に示す後工程によって磁気記録媒体としてのパターンドメディアの基板を作製した。図8(a),(b)に示すように、基板100上に形成されたレジスト膜200(膜厚約100nm)に、CO加圧下でスタンパ300を押しあてることによってパターン形成した。ここにおいて、パターンサイズは溝幅100nm、溝深さ120nm、溝底部のレジスト厚さは前述したように10nmであった。
図8(c),(d)に示すように、モールド300によってレジストパターンが形成された基板100に対して酸素プラズマアッシングを行うことにより、レジスト200の厚さを全体に20nm薄膜化し、レジストパターン底部の基板を露出させた。ここにおいて、アッシング条件は、投入パワー100W、酸素ガス圧1Pa、処理時間15secとした。
次に、ガスを酸素からC等のフルオロカーボンガスに置換し、ガラス基板100を反応性イオンエッチングにより、深さ100nmにエッチングした。ここにおいて、エッチング条件は、投入パワー300W、Cガス圧1Pa、処理時間90secとした。エッチングに用いるフルオロカーボンガスは、前記C以外に、CF、CHF等のガスが利用可能である。
次に、再びガスをフルオロカーボンガスから酸素に置換し、残存レジストを除去した。その結果、図8(e)に示すようなパターン付き基板100を作製することができた。なお、このときのアッシング条件は、投入パワー100W、酸素ガス圧1Pa、処理時間100secとした。その後、図示しない公知の成膜方法により磁性薄膜、保護膜を形成し、パターンドメディアを作成した。
上記により作製された基板100はパターンの全面に磁性膜が形成されている。この基板100に基づいて作製されたパターンドメディアを浮上型磁気ヘッドで記録再生した場合、パターンの溝の底部と磁気ヘッドとの距離が長くなるため(すなわちパターンの溝の底部に対する磁気ヘッドの相体的な浮上高さが高くなるため)、溝の底部への磁気ヘッドからの到達磁場が充分小さくなる。したがって、溝の底部は磁気ヘッドにより磁化されず、記録マークが溝間ランド部の幅によって制限されるので、クロストークが低減できて媒体の狭トラック化が可能となった。
なお、本発明の要旨は、CO加圧下において高速でレジストのパターニングを行うことにあり、その後の工程は従来のプロセスを適用することができる。すなわち、この実施例2と同一の方法によって図8(d)に示すレジストパターンを形成した後に、上述の図11(d)以降の従来プロセスと組み合わせることによっても、効率よくパターンドメディアの作成が可能となる。
実施例1と同様のナノインプリント方法において、リザーブタンク250内に撥水剤としてのシリコンオイル(分子量1000)を導入し超臨界COに溶解させてレジスト200に浸透させた。本実施例3においてはモールド300とレジスト200の剥離性が向上し、基板100がモールド200に貼り付くことがなく、さらに転写性にも弊害は生じなかった。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はその要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、本実施例では加圧CO又は超臨界COを使用したが、本発明は、加圧He又は超臨界Heなど加圧気体及び超臨界流体をCOに限定するものではない。
本発明の実施例1に係るナノインプリント装置のプレス前の概略断面図である。 図1に示すナノインプリント装置のプレス後の概略断面図である。 本発明の実施例2に係るナノインプリント装置のプレス前の概略断面図である。 図3に示すナノインプリント装置のプレス後の概略断面図である。 図4に示すナノインプリント装置のA部拡大図であり、COを導入する様子を示す図である。 図4に示すナノインプリント装置のA部拡大図であり、モールドをレジストに押し付けた状態を示す図である。 基板上のレジストパターンを説明する拡大断面図である。 後工程によって基板からパターンドメディアを作製する様子を説明するための概略断面図である。 従来のナノインプリント方法を説明するための概略断面図である。 従来のパターンドメディアの製造方法の手順を説明する流れ図である。 従来のパターンドメディアの製造方法の手順を説明する流れ図である。
符号の説明
1,304:超臨界発生装置
2,402:COボンベ
3,300:モールド(Niスタンパ)
4,100:基板(シリコンウエハー)
5,200:レジスト(高分子薄膜)
900:溝幅
902:溝深さ

Claims (2)

  1. 加圧気体又は超臨界流体に、低分子の撥水剤を溶解する工程と、
    前記撥水剤が溶解した加圧気体又は超臨界流体を加圧浸透させて、樹脂薄膜が塗布された基板からなる被処理体の前記樹脂薄膜を柔軟にする工程と、
    前記被処理体の前記樹脂薄膜側に、ナノオーダーのパターンが形成されたモールドを押し付けて前記パターンを前記柔軟化された樹脂薄膜に転写する工程と、
    該転写後に前記加圧気体又は前記超臨界流体を減圧することにより前記樹脂薄膜を固化する工程と、
    を有することを特徴とするナノインプリント方法。
  2. 前記撥水剤の分子量が100から10000の範囲であり、かつ、前記撥水剤はシリコンオイル又はフッ素を包含することを特徴とする請求項1記載のナノインプリント方法。
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