JP3895127B2 - 高圧処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高圧処理装置に係り、特に超臨界流体により半導体基板やマイクロマシンなど超微細な構造を有する試料(被処理体)の洗浄、乾燥、現像等の処理に利用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体の集積回路は大規模化し、その集積度の増加に伴って半導体ウェハに刻まれる回路パターンの線幅はサブミクロンにまで微細化が進んでいる。
このような微細な線幅になると、種々薬液による洗浄後、穴や溝の内部の液を乾燥させる時に常圧乾燥では気液界面での毛細管応力が働き、収縮やクラックが発生するおそれがある。
一方、超臨界乾燥法は、物質に固有の臨界点(臨界温度、臨界圧力)を超えた状態の持つ「密度は液体に近く、拡散係数や粘度は気体に近い」という気体と液体の略中間状態の特性を応用したものであり、この超臨界乾燥では気液界面が生じず、収縮やクラックによる溝部などの倒壊を生じることなく乾燥できる。
【0003】
ただし、超臨界領域には物理的に厳密な境界領域はなく、例えば温度が臨界点より低い高圧流体でも超臨界流体と同様の性質が得られる領域がある。このような領域は、亜臨界領域と呼ばれている。
特開平11−87306号公報には、「基板を収容する反応槽と、薬液を貯留する液体タンクと、超臨界液体を前記反応槽に供給する超臨界液体供給装置と、前記反応槽に設けられ前記液体タンクからの薬液を導入する少なくとも1つの薬液導入手段と、前記反応槽に設けられた薬液の排出手段と、前記超臨界液体の排出口と、前記反応槽の液体を撹拌する撹拌手段を備えていることを特徴とする超臨界乾燥装置。」が提案されている。
【0004】
また、超臨界CO2 により半導体表面から残留物を除去する方法が特開平10−125644号公報で提案され、更に、レジストの除去に関する方法が特開昭60−192333号公報で提案されている。
このような用途において前述の従来例では、撹拌装置により効率よく、あるいは均一な処理をおこなうことが可能であることが示唆されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、撹拌装置の動力(回転させるモータなど)は圧力容器の外でおこない、回転軸を高圧シールしながら容器内で回転・撹拌させるものが多数である。しかしながら、高圧シール部は軸の回転による摩耗により発塵する(パーティクルが発生する)。
また、軸シール部を無くすために圧力容器内(処理室)にこれら撹拌のための回転用動力(モータなど)を設置すれば、揺動部分やコンタミネーションを生じさせるような部材の多数が処理室にはいるためにパーティクル、メタル・コンタミネーション発生源を多数持ち込むことになり、ひいてはウェハのメタル汚染やパーティクル汚染の問題が生じる。
【0006】
特に、半導体分野においては、微小なゴミ(パーティクル)や金属汚染(メタル・コンタミネーション)はその製品品質確保のために排除する必要がある。
また、洗浄用高圧処理装置などでは腐食性の流体を使用する場合があり、この場合、圧力容器内に回転用動力(モータなど)を設置すれば、洗浄液などで回転用動力(モータなど)の使用材料が腐食を起こし、装置が安定に動かないだけでなく、その腐食によるメタル・コンタミネーションやパーティクルの問題が生じることになる。
【0007】
このように、超臨界流体を利用した例えば半導体の洗浄等の処理においては処理時間の短縮、品質の均一性の観点から撹拌することが望ましい。
しかしながら、前述の通りパーティクルによる被処理体(ウェハ)の汚染が問題であり、撹拌の効果は非常にあるけれども、パーティクルなどの発生が超臨界処理方法及び装置として大きな問題となるのである。
本発明は、超臨界流体等の高圧流体を用いて半導体基板等の被処理体を処理室において撹拌して効率よく均一に処理するとともに、圧力容器の処理室に供給する高圧流体(ガス、液体)の供給と処理室外への当該流体を排出する供給・排出手段を工夫することによって、軸シール部等から発生するパーティクル等を流体の流れによって被処理体に付着しないようにした処理装置を提供することが目的である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内部に処理室2を有する処理容器1と、前記処理室2に収容されていて被処理体3を有する支持体4と、この支持体4を処理室2内で回転する回転駆動体6と、前記処理室2に高圧流体を供給する供給手段8および処理室2外に排出する排出手段9と、を備えている高圧処理装置において、前述の目的を達成するために、次の技術的手段を講じている。
すなわち、本発明に係る高圧処理装置は、前記支持体4と前記回転駆動体6とを連結する軸部5を備え、この軸部5をシールする軸シール部7を備え、この軸シール部7を介して前記処理室2と回転駆動体6とが隔離されており、前記処理室2と軸シール部7との間の連通路11を介して前記排出手段9の排出口9Aを備えていることを特徴とするものである。
【0009】
このような構成を採用したことにより、処理室2にて支持体4が回転(撹拌)されることによって被処理体3は効率よく均質に所定の処理(洗浄、乾燥、現像等)がなされる。
また、処理室2と回転駆動体6とが軸シール部7で隔離されているので、パーティクル、メタル・コンタミ等の発生源を処理室2に持ち込むこともないのである。
更に、軸シール部7の摩耗、軸部5の倒れ等によってパーティクル等が発生したとしても処理室2の圧力又は連通路11を介して排出口9Aに向って流動する流体によって発生したパーティクル等が処理室2に侵入することが抑えられるので、延いては被処理体3に付着させることもないのである。
【0010】
そして、前記軸シール部7と排出口9Aとの間の連通路11に、ラビリンス構造12を備えている。
このラビリンス構造12を備えことによって軸シール部7等で発生するパーティクル等の処理室2への侵入が更に強化され、被処理体3への付着機会は増々少なくなるのである。
すなわち、本発明に係る高圧処理装置は、内部に処理室を有する処理容器と、前記処理室に収容されていて被処理体を有する支持体と、この支持体を処理室内で回転する回転駆動体と、前記処理室に高圧流体を供給する供給手段および処理室外に排出する排出手段と、を備えている高圧処理装置において、前記支持体と前記回転駆動体とを連結する軸部と、前記軸部をシールして前記処理室と回転駆動体とを隔離する軸シール部と、前記処理室と軸シール部との間の連通路を介して備えられた前記排出手段の排出口と、前記軸シール部と排出口との間の連通路に備えられたラビリンス構造と、を有していて、前記処理室からみて、前記ラビリンス構造が排出口より外側であって且つ軸シール部よりも内側に位置づけられていることを特徴とする。
【0011】
さらに、前記軸シール部7と排出口9Aとの間の連通路11に、処理用流体と同種又は異種の流体を連通路11に導入する導入路13を設け、この導入路13から導入された流体を前記排出口9Aから排出するように構成されていることが推奨される。
このような構成を採用したことにより、パーティクル等の処理室2への侵入が防止されるだけでなく導入路13から流入された流体によって、軸シール部7の腐食等を防止できる。
【0012】
また好ましくは、前記軸シール部7と導入路13との間の連通路11および/又は導入路13と排出口9Aとの間の連通路11にラビリンス構造12A、12Bを備えていることが推奨される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施の形態のいくつかを説明する。
第1の実施の形態を示している図1および図2において、圧力容器1の内部には処理室2が画成されており、この処理室2には半導体基板(ウェハ)等の被処理体3を載置している支持体4が回転自在として収容されている。
なお、被処理体3はハンドリングロボット等の搬送手段によって処理室2内に挿脱(出入れ)自在であり、このため圧力容器1は容器本体と蓋体、上・下容器等による開閉自在な構造又は一体容器のときはその胴部等に被処理体3の挿脱窓が形成され、この挿脱窓が開閉ドア等で開閉されるものとされ、処理中においては、処理圧は二酸化炭素の場合例えば70〜200kg・f/cm2(約7〜20MPa)を維持乃至保持するように処理室2が密閉されている。
【0014】
被処理体3を有する支持体(撹拌体)4は処理室2内において回転自在(撹拌自在)であり、このため軸部5を介して回転駆動体6が連結されている。
回転駆動体6は電動又は流体等のモータであり、この回転駆動体6と処理室2はこれを隔離するための軸シール部7が軸部5に装着され、ここに、回転駆動体6によって発生するパーティクル等は軸シール部7によって閉塞され、駆動体6を処理室2内に持込むことがないことから、パーティクル、メタル・コンタミネーション発生源が処理室2外に位置しているのである。
【0015】
処理室2には、高圧流体(ガス、液体、亜臨界、超臨界)、例えば二酸化炭素流体が供給可能であるとともに、処理室2外に排出可能であり、このため供給手段8と排出手段9がそれぞれ接続されている。
供給手段8は、供給口8Aを有し、この供給口8Aに、ボンベ、ポンプ、開閉弁等を有する供給ライン8Bが接続されて構成され、図では容器軸心上部に供給口8Aを有し、雰囲気制御体10のボス部10Aの通孔を介して供給可能である。
【0016】
排出手段9は前記処理室2と軸シール7との間の連通路11を介して処理室2内の流体が流動して排出口9Aから排気ライン9Bを介して排出可能であり、このような流体の流れによって軸シール部7から発生するパーティクル等が連通路11を介して処理室2内に侵入するのが抑えられるのである。
従って、処理中において供給手段8から排出口9Aに向って流体を流しつづけておくことがパーティクル等の上昇を抑え得ることから有効であるが、供給ライン8B、排気ライン9Bにそれぞれ開閉弁を設けて、処理室2を処理圧に開閉弁を閉止動作して保持乃至維持しておいても良い。
【0017】
前述した第1の実施の形態の作用(操作)について概説する。
圧力容器1の処理室2にハンドリングロボット等を利用して被処理体3を支持体4上に載置して後、処理室2を密閉(密封)状態に保持乃至維持して供給手段8を通じて高圧流体を供給するとともに処理圧を保持する(処理圧に保持乃至維持しながら排出口9Aから排出する)。
この処理中において、回転駆動体6を例えば50〜1000rpmで回転することにより支持体4を処理室2内にて回転させることにより、微細化された回路パターンを効率の良い(時間的に早く)また、均質な処理(洗浄、乾燥、現像)ができるのである。
【0018】
この処理中において、軸シール7等から発生したパーティクル等が連通路11を通じて処理室2に至るのは処理流体の圧力および/または図1および図2の矢印のように流れる流体によって抑制され、ここに、被処理体3に付着することがないのである。
なお、軸シール部7と排出口9Aとの間の連通路11には、ラビリンス構造12が備えられている。すなわち、処理室2からみて、ラビリンス構造12が排出口9Aより外側であって且つ軸シール部7よりも内側に位置づけられている。このラビリンス構造12は、連通路11の壁面および軸部5の外周面に、軸方向の間隔を有して喰い違い状にリング形邪魔板を設けることによって迷路とすることにより、軸シール部7等から上昇しようとするパーティクルの上昇を確実に抑制するのである。
【0019】
以上は、本発明に係る高圧(亜臨界、超臨界等を含む)処理装置(加圧処理装置)の第1の実施の形態であるが、図3,図4で例示する第2の実施形態とすることもでき、図3,図4において基本構成と作用は前述の第1の実施形態と同じであることから共通部分は共通符号を付し、以下、相違点について説明する。
第2の実施の形態を示している図3および図4において、軸シール部7と排出口9Aとの間には連通路11に通じる導入路13が形成されており、この導入路13から導入した流体(ガス、液体)により、軸シール部7から発生したパーティクル等は上方へ運びつつ排出口9Aから排出するのである。
【0020】
この導入路13から導入する流体は、処理用流体と同じ(同種)か又は処理流体とは異なる(異種)流体、例えばアルゴン、窒素等の不活性ガスであっても良い。
加えて、本実施形態の高圧処理装置は、前記軸シール部7と導入路13との間の連通路11および/又は導入路13と排出口9Aとの間の連通路11にラビリンス構造12A、12Bを備えている。図では双方にラビリンス構造12A、12Bを備えているが、上下いずれか一方に備えたものでも良い。
【0021】
の実施の形態によれば、軸シール部7等から発生したパーティクル等が処理室2に侵入して被処理体3に付着するのは確実に抑えることができる。
なお、以上の第1,2の実施の形態において、処理流体は、超臨界CO2であるが、洗浄などの場合はCO2に薬液等を溶かし込んだり、薬液を別途処理室2に送るようにしても良い。
このように、薬液等を溶かし込んだ場合、上記第3および第4の実施例において次のような効果もある。すなわち、軸シール部7に対する腐食性を有する薬液を使用したとしても、導入路13から導入される流体によって薬液が軸シール部7へ到ることが確実に防止される。そのため、軸シール部7や周辺のチャンバーを必要以上に耐食性を考慮して構成する必要がない。
【0022】
また、供給手段8の供給口8Aは、圧力容器1の胴部(側面)に備えても良いし、支持体4に羽根等を付設して流体の流れでより一層の撹拌作用をするようにしても良い。
更に、排出手段9における排出口9Aは、これを処理室2外の主排気口と併用(兼用)することも可能であるし、主排気口を別に備えて図示の排出口9Aは、パーティクル抑制の専用としても良い。
また、パーティクルは軸シール部7で主に発生するが軸部5の芯ズレ等に起因する接触等によっても発生するので、これらのパーティクルについても、被処理体3の表面に到達しづらくできて清浄な処理を可能とするのである。
【0023】
さらに、上記実施例においては、支持体3上に1枚の被処理体3を載置する形態で説明しているが、支持体3上に複数の被処理体3を載置できるよう構成する形態においても本発明を適用できることは言うまでもない。
【0024】
【発明の効果】
以上詳述したように、撹拌による処理効率の向上および処理品質の均一化を図りながら、軸シール部等から発生するパーティクル等の被処理体への付着を簡単な構成によって防止できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態の要部断面図である。
【図2】 第1の実施の形態の圧力容器の断面図である。
【図3】 第2の実施の形態の要部断面図である。
【図4】 第2の実施の形態の圧力容器の断面図である。
【符号の説明】
1 圧力容器
2 処理室
3 被処理体
4 支持体(撹拌体)
5 軸部
6 回転駆動体
7 軸シール部
8 供給手段
9 排出手段
9A 排出口
11 連通路

Claims (3)

  1. 内部に処理室(2)を有する処理容器(1)と、前記処理室(2)に収容されていて被処理体(3)を有する支持体(4)と、この支持体(4)を処理室(2)内で回転する回転駆動体(6)と、前記処理室(2)に高圧流体を供給する供給手段(8)および処理室(2)外に排出する排出手段(9)と、を備えている高圧処理装置において、
    前記支持体(4)と前記回転駆動体(6)とを連結する軸部(5)と、前記軸部(5)をシールして前記処理室(2)と回転駆動体(6)とを隔離する軸シール部(7)と、前記処理室(2)と軸シール部(7)との間の連通路(11)を介して備えられた前記排出手段(9)の排出口(9A)と、前記軸シール部(7)と排出口(9A)との間の連通路(11)に備えられたラビリンス構造(12)と、を有していて、
    前記処理室(2)からみて、前記ラビリンス構造(12)が排出口(9A)より外側であって且つ軸シール部(7)よりも内側に位置づけられていることを特徴とする高圧処理装置。
  2. 前記軸シール部(7)と排出口(9A)との間の連通路(11)に、処理用流体と同種又は異種の流体を連通路(11)に導入する導入路(13)を設け、この導入路(13)から導入された流体を前記排出口(9A)から排出するように構成されている請求項1に記載の高圧処理装置。
  3. 前記軸シール部(7)と導入路(13)との間の連通路(11)および/又は導入路(13)と排出口(9A)との間の連通路(11)にラビリンス構造(12A)(12B)を備えていることを特徴とする請求項2に記載の高圧処理装置。
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