JP4111798B2 - 2段動作シーソースイッチ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のパワーウィンドウ用スイッチなどとして好適で、揺動可能に支持された操作ノブの傾倒角度に応じて1段目および2段目の電気信号を出力する2段動作シーソースイッチ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の2段動作シーソースイッチ装置としては、従来、揺動可能に支持された操作ノブと、駆動部を介して操作ノブからの押圧力が付与される一対の作動板と、各作動板を支持する2個1組、計4個のプッシュスイッチとを備え、操作ノブの傾倒方向に応じていずれか一方の作動板が押圧駆動されて傾倒し、その傾倒した作動板によってプッシュスイッチが作動されるという構成のものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。かかる従来のシーソースイッチ装置は、操作ノブの揺動中心線までの距離が異なる位置に2個1組のプッシュスイッチを配設して、両プッシュスイッチを結ぶ直線を該揺動中心線に対して斜めに交差させると共に、平面視略平行四辺形の作動板の相対向する隅部2箇所を両プッシュスイッチにて支持することにより、操作ノブの傾倒角度に応じてこれら2個のプッシュスイッチが順次作動されるようになっている。
【0003】
すなわち、操作者が操作ノブを傾倒操作して片側を下降させると、その下方に位置する駆動部が押し込まれて下降していき、対応する作動板が操作ノブの揺動中心線に近いプッシュスイッチを支点として傾倒するため、該揺動中心線から遠いプッシュスイッチが該作動板に押し込まれてオン動作する。この状態で操作ノブをさらに傾倒させて駆動部をさらに下降させると、今度は、該揺動中心線から遠いオン状態のプッシュスイッチを支点として作動板が傾倒するため、該揺動中心線に近いプッシュスイッチが該作動板に押し込まれてオン動作する。また、任意のプッシュスイッチをオン動作させた後、操作ノブに対する操作力を取り除くと、作動板に押し込まれていた該プッシュスイッチの復帰力によって該作動板が押し上げられるため、操作ノブは中立位置へ押し戻され、該プッシュスイッチはオフ状態に復帰する。なお、この従来提案では各プッシュスイッチを、基板上に配設した固定接点と、この固定接点に接離する可動接点を設けて座屈変形可能なクリックゴムとによって構成しており、このクリックゴムの頂部で作動板を支持し、操作時にクリックゴムが作動板に押し込まれて座屈変形するとクリック感を生起して可動接点と固定接点とが接触するようになっている。
【0004】
かかる従来の2段動作シーソースイッチ装置は、4個のプッシュスイッチを比較的コンパクトに配設することができて操作感触も良好なため、自動車のパワーウィンドウ用スイッチなどとして好適である。その場合、一方の作動板によって作動される2個のプッシュスイッチが窓を開ける電気信号を出力し、他方の作動板によって作動される残り2個のプッシュスイッチが窓を閉める電気信号を出力することとし、かつ、操作ノブの揺動中心線から遠いプッシュスイッチはオン動作している間だけ開信号または閉信号を出力し、該揺動中心線に近いプッシュスイッチはオン動作すると窓を全開または全閉させる信号を出力するように設定しておけばよい。これにより、操作者は、操作ノブを浅い角度で傾倒させることによって窓を任意量だけ開閉するマニュアル操作が行え、操作ノブを深い角度で傾倒させることによって窓を自動的に全開全閉するオート操作が行える。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−111142号公報(第3〜5頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の2段動作シーソースイッチ装置は、2個1組のプッシュスイッチを結ぶ直線を操作ノブの揺動中心線に対して斜めに交差させる等の工夫を施すことにより、ある程度のコンパクト化を実現してはいるが、さらなるコンパクト化や部品点数削減による低コスト化の要望に応えることは困難であった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、コンパクト化および低コスト化が促進しやすい2段動作シーソースイッチ装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するため、本発明の2段動作シーソースイッチ装置では、揺動可能に支持された操作ノブと、この操作ノブの傾倒方向に対応して一対設けられた昇降可能な駆動部と、この駆動部を介して前記操作ノブに押圧駆動される作動板と、この作動板の両端部を支持する第1のプッシュスイッチおよび第2のプッシュスイッチと、これら両プッシュスイッチを結ぶ直線からずらした位置に配設されて前記作動板の中間部を支持する第3のプッシュスイッチとを備え、一方の前記駆動部、前記作動板のうち前記第1のプッシュスイッチと前記第3のプッシュスイッチとを結ぶ直線上でかつ前記第3のプッシュスイッチよりも前記第1のプッシュスイッチに近い部分に前記操作ノブからの押圧力を付与し、該駆動部の下降量に応じて前記作動板が前記第1のプッシュスイッチと前記第3のプッシュスイッチを順次作動させると共に、他方の前記駆動部、前記作動板のうち前記第2のプッシュスイッチと前記第3のプッシュスイッチとを結ぶ直線上でかつ前記第3のプッシュスイッチよりも前記第2のプッシュスイッチに近い部分に前記操作ノブからの押圧力を付与し、該駆動部の下降量に応じて前記作動板が前記第2のプッシュスイッチと前記第3のプッシュスイッチを順次作動させるように構成した。
【0009】
このように構成されるシーソースイッチ装置は、操作ノブを傾倒操作するといずれか一方の駆動部が下降して、作動板の一端または他端に近い部分に操作ノブからの押圧力を付与する。例えば、操作ノブの傾倒操作によって、一方の駆動部が作動板のうち第3のプッシュスイッチよりも第1のプッシュスイッチに近い部分に操作ノブからの押圧力を付与する場合、作動板はまず第3のプッシュスイッチを支点として傾倒するため第1のプッシュスイッチがオン動作し、この状態で操作ノブをさらに傾倒させると、今度はオン状態の第1のプッシュスイッチを支点として作動板が傾倒するため第3のプッシュスイッチがオン動作する。そしてこのとき第3のプッシュスイッチが第1のプッシュスイッチと第2のプッシュスイッチとを結ぶ直線からずらした位置に配設されているので、操作ノブからの押圧力は第2のプッシュスイッチにはほとんど加わらず、第2のプッシュスイッチはオン動作することがない。また、操作ノブを逆向きに傾倒操作して、他方の駆動部が作動板のうち第3のプッシュスイッチよりも第2のプッシュスイッチに近い部分に操作ノブからの押圧力を付与する場合にも同様に、まず第3のプッシュスイッチを支点として作動板が傾倒して第2のプッシュスイッチがオン動作し、この状態で操作ノブをさらに傾倒させると第2のプッシュスイッチを支点として作動板が傾倒して第3のプッシュスイッチがオン動作する。このときには、前記と同様の理由により、操作ノブからの押圧力は第1のプッシュスイッチにほとんど加わらず、第1のプッシュスイッチはオン動作することがない。したがって、共通の作動板に押圧駆動される3個のプッシュスイッチによって、第1のプッシュスイッチだけがオン状態のときに出力される信号と、第1および第3のプッシュスイッチが共にオン状態のときに出力される信号と、第2のプッシュスイッチだけがオン状態のときに出力される信号と、第2および第3のプッシュスイッチが共にオン状態のときに出力される信号という計4種類の電気信号を取り出すことができる。つまり、操作ノブの傾倒方向および傾倒角度に応じた4種類の電気信号が出力可能なシーソースイッチ装置を、少ない部品点数で実現することができ、プッシュスイッチおよび作動板の数が減らせるためコンパクト化も図りやすくなる。
【0010】
本発明の2段動作シーソースイッチ装置では、上記構成に加えて、作動板が平面視略く字形で、第3のプッシュスイッチに支持される屈曲部と、この屈曲部から略ハ字形に延びる第1の延出部および第2の延出部とを有し、第1の延出部の先端部を第1のプッシュスイッチにて支持している。この場合、作動板の第1の延出部と第2の延出部との間に、操作ノブの底面と対向するスペースが容易に確保できるため、第3のプッシュスイッチの側方に該スペースに臨出する照光体を設けることによって、照光タイプの2段動作シーソースイッチ装置が無理なく実現できる。
【0011】
また、平面視略く字形の作動板が、前記屈曲部と前記第1の延出部とを連結する第1の弾性部と、第1の延出部から屈曲部側へ突設されて、操作ノブの押圧力で該第1の延出部が第1のプッシュスイッチを支点として傾倒されるときに該屈曲部を押し込む第1の押圧力伝達部と、屈曲部と前記第2の延出部とを連結する第2の弾性部と、第2の延出部から屈曲部側へ突設されて、操作ノブの押圧力で該第2の延出部が第2のプッシュスイッチを支点として傾倒されるときに該屈曲部を押し込む第2の押圧力伝達部とを有している場合には、一枚板の作動板を用いる場合に比べて、各プッシュスイッチを誤作動させてしまう危険性が大幅に低減する。すなわち、操作ノブからの押圧力によって第1の延出部が第3のプッシュスイッチを支点として傾倒されるときには、第1の弾性部が弾性変形するので屈曲部には操作ノブからの押圧力が伝達されにくく、それゆえ第1のプッシュスイッチを作動させるときに第3のプッシュスイッチを誤作動させてしまう心配はない。また、オン動作させた第1のプッシュスイッチを支点として第1の延出部が傾倒されるときには、第1の押圧力伝達部によって屈曲部を確実に押し込んで第3のプッシュスイッチを作動させることができると共に、第2の弾性部が弾性変形するので第2の延出部の先端部には操作ノブからの押圧力が伝達されにくく、それゆえ第2のプッシュスイッチを誤作動させてしまう心配はない。なお、この一連の動作は第2の延出部を傾倒させるときにも基本的に同等である。
【0012】
また、作動板を一枚板をもって形成すれば、部品点数の減少による低コスト化を図ることができる。さらに、各プッシュスイッチが、固定接点と、この固定接点に接離する可動接点を設けて座屈変形可能なクリックゴムとを有し、このクリックゴムの頂部を作動板に係合させる構成とすれば、明瞭なクリック感と十分な復帰力が得られる安価なプッシュスイッチとなり、組立性も良好となるため好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1は本発明の一実施形態例に係る2段動作シーソースイッチ装置の斜視図、図2は該スイッチ装置の側面図、図3は該スイッチ装置の平面図、図4は該スイッチ装置に用いた作動板を示す図であり、図4(a)は斜視図、図4(b)は平面図である。また、図5は該スイッチ装置の1段目のスイッチオン状態を示す動作説明図、図6は該スイッチ装置の2段目のスイッチオン状態を示す動作説明図である。
【0014】
これらの図に示す2段動作シーソースイッチ装置は、自動車のパワーウィンドウ用スイッチとして使用されるものである。このシーソースイッチ装置は、外殻を形成するケーシング1と、このケーシング1上で図示せぬ支軸に揺動可能に支持され、上面に表示部2aを備えた操作ノブ2と、この操作ノブ2の傾倒方向に対応して一対設けられた昇降可能な駆動部3,4と、駆動部3または駆動部4を介して操作ノブ2に押圧駆動される平面視略く字形の作動板5と、クリックゴム6a〜6cが突設されているゴムシート6と、このゴムシート6を載置している基板7とによって主に構成されている。
【0015】
図2に示すように、各クリックゴム6a〜6cの天井面には可動接点8が設けられており、基板7上には各可動接点8と対向する位置に固定接点9が設けられている。各可動接点8は、保持体であるクリックゴムが座屈変形すると下方の固定接点9と接触するので、対応する可動接点8と固定接点9とによってプッシュスイッチの接点部が構成されている。つまり、クリックゴム6aを保持体とする第1のプッシュスイッチ10aと、クリックゴム6bを保持体とする第2のプッシュスイッチ10bと、クリックゴム6cを保持体とする第3のプッシュスイッチ10cとが、基板7上に配置されて、各クリックゴム6a〜6cの頂部が、作動板5の3箇所に設けられた係合孔11内に挿入されて係合している。
【0016】
この作動板5は、中間部である屈曲部5cと、この屈曲部5cから略ハ字形に延びる第1の延出部5aおよび第2の延出部5bとを有する。そして、第1の延出部5aの先端部が第1のプッシュスイッチ10aの頂部と係合して支持され、かつ第2の延出部5bの先端部が第2のプッシュスイッチ10bの頂部と係合して支持され、屈曲部5cが第3のプッシュスイッチ10cの頂部と係合して支持されている。なお、作動板5は平面視略く字形なので、第3のプッシュスイッチ10cは、第1および第2のプッシュスイッチ10a,10bを結ぶ直線からずらした位置に配置されている。また、基板7上には第3のプッシュスイッチ10cの側方に、ゴムシート6の開口部12内に露出する照光体(LED)13が実装してあり、この照光体13は作動板5の第1の延出部5aと第2の延出部5bとの間に臨出している。
【0017】
操作ノブ2は、前記支軸の軸心である揺動中心線Lを中心に揺動可能であり、図2の時計回り方向と反時計回り方向へ回転操作されて傾倒する。そして、操作ノブ2が時計回り方向へ回転操作されて傾倒すると一方の駆動部3が押し込まれて下降し、操作ノブ2が反時計回り方向へ回転操作されて傾倒すると他方の駆動部4が押し込まれて下降するようになっている。ここで、一方の駆動部3の下端は、作動板5のうち第1のプッシュスイッチ10aと第3のプッシュスイッチ10cとを結ぶ直線上でかつ第3のプッシュスイッチ10cよりも第1のプッシュスイッチ10aに近い部分に当接しており、他方の駆動部4の下端は、作動板5のうち第3のプッシュスイッチ10cと第2のプッシュスイッチ10bとを結ぶ直線上でかつ第3のプッシュスイッチ10cよりも第2のプッシュスイッチ10bに近い部分に当接している。したがって、操作ノブ2が傾倒操作されて駆動部3が下降すると、作動板5のうち第1のプッシュスイッチ10aに近い部分に操作ノブ2からの押圧力が付与され、また、操作ノブ2が逆向きに傾倒操作されて駆動部4が下降すると、作動板5のうち第2のプッシュスイッチ10bに近い部分に操作ノブ2からの押圧力が付与されることになる。
【0018】
次に、このように構成される2段動作シーソースイッチ装置の動作について説明する。操作ノブ2に対して図2の時計回りに回転する傾倒操作が行われると、駆動部3が操作ノブ2に押し込まれて下降するのに伴い、作動板5はまず、モーメント力の差により第3のプッシュスイッチ10cを支点として傾倒し、図5に示すようにクリックゴム6aが第1の延出部5aの先端部に押し込まれて座屈変形するため、第1のプッシュスイッチ10aがオン動作する。また、こうして第1のプッシュスイッチ10aをオン動作させた後、操作ノブ2に対する操作力を取り除けば、座屈変形していたクリックゴム6aが自身の弾性で元の形状に戻るので、作動板5および駆動部3が押し上げられて操作ノブ2は図2に示す中立位置に復帰し、第1のプッシュスイッチ10aはオフ状態となる。本実施形態例においては、第1のプッシュスイッチ10aがオン状態のとき、窓を開ける電気信号が出力されるようにしてあるので、第1のプッシュスイッチ10aをオン/オフさせることによって操作者は任意量だけ窓を開けるマニュアル操作が行える。
【0019】
また、第1のプッシュスイッチ10aをオン動作させた状態で、操作ノブ2をさらに傾倒させた場合には、オン状態の第1のプッシュスイッチ10aを支点として作動板5が傾倒するようになるので、図6に示すようにクリックゴム6cが屈曲部5cに押し込まれて座屈変形し、第3のプッシュスイッチ10cがオン動作する。このとき、第2のプッシュスイッチ10bは、第1のプッシュスイッチ10aと第2のプッシュスイッチ10bとを結ぶ直線とは角度を成して第1のプッシュスイッチ10aがある側とは反対側に配設されているので、駆動部3が第1のプッシュスイッチ10aに近い側を押圧すると、作動板5は第1のプッシュスイッチ10aと第3のプッシュスイッチ10cとを結ぶ直線の付近を軸として傾き、第2のプッシュスイッチ10bには駆動部3の押圧力がほとんど伝達されず、したがってオン動作をしない。本実施形態例においては、第1および第3のプッシュスイッチ10a,10cが共にオン状態になると、窓を全開させる電気信号が出力されるようにしてあるので、操作者は操作ノブ2を図2の時計回り方向へ大きく回転させて第3のプッシュスイッチ10cをオン動作させることにより、自動的に窓を全開させるオート操作が行える。なお、第3のプッシュスイッチ10cをオン動作させた後に操作ノブ2に対する操作力を取り除けば、座屈変形していたクリックゴム6a,6cが自身の弾性で元の形状に戻るので、作動板5および駆動部3が押し上げられて操作ノブ2は図2に示す中立位置に復帰し、第1および第3のプッシュスイッチ10a,10cは共にオフ状態となる。
【0020】
操作ノブ2に対して図2の反時計回りに回転する傾倒操作が行われた場合の動作も基本的に同等であり、操作ノブ2に押し込まれた駆動部4が所定量下降する過程で、第3のプッシュスイッチ10cを支点として作動板5が傾倒して第2のプッシュスイッチ10bがオン動作するので、操作者は任意量だけ窓を閉めるマニュアル操作が行える。また、この状態で操作ノブ2をさらに傾倒させると、第2のプッシュスイッチ10bを支点として作動板5が傾倒し、第3のプッシュスイッチ10cがオン動作するので、操作者は自動的に窓を全閉させるオート操作が行える。
【0021】
上述したように本実施形態例に係る2段動作シーソースイッチ装置は、共通の作動板5に押圧駆動される3個のプッシュスイッチ10a〜10cによって、第1のプッシュスイッチ10aだけがオン状態のときに出力される信号と、第1および第3のプッシュスイッチ10a,10cが共にオン状態のときに出力される信号と、第2のプッシュスイッチ10bだけがオン状態のときに出力される信号と、第2および第3のプッシュスイッチ10b,10cが共にオン状態のときに出力される信号という計4種類の電気信号を取り出すことができる。つまり、操作ノブ2の傾倒方向および傾倒角度に応じた4種類の電気信号が出力可能なシーソースイッチ装置を、少ない部品点数で実現することができるため、低コスト化が図りやすい。しかも、作動板5が平面視略く字形で、3個のプッシュスイッチ10a〜10cを狭い領域内に配設できるため、コンパクト化も図りやすい。また、第3のプッシュスイッチ10cの側方に、作動板5の第1の延出部5aと第2の延出部5bとの間のスペースに臨出する照光体13が設けてあるので、コンパクト化を損なうことなく、操作ノブ2の表示部2aを照光可能な照光タイプの2段動作シーソースイッチ装置が無理なく実現されている。
【0022】
なお、本実施形態例のようにプッシュスイッチ10a〜10cとして、可動接点8を設けたクリックゴム6a〜6cを採用し、各クリックゴム6a〜6cの頂部を作動板5の係合孔11に係合させる構成とすれば、明瞭なクリック感と十分な復帰力が得られる安価なプッシュスイッチとなり、組立性も良好となるため好ましい。
【0023】
図7は本発明の他の実施形態例に係る2段動作シーソースイッチ装置の斜視図、図8は該スイッチ装置に用いた作動板を示す図であり、図8(a)は斜視図、図8(b)は平面図、図8(c)は側面図である。また、図9〜図11は該スイッチ装置の動作説明図であり、図9は非操作時の状態、図10は1段目のスイッチオン状態、図11は2段目のスイッチオン状態をそれぞれ示している。なお、これらの図7〜図11において、前記実施形態例に係る図1〜図6と対応する部分には同一符号が付してあるので、重複する説明は適宜省略する。
【0024】
図7〜図11に示す2段動作シーソースイッチ装置は、各プッシュスイッチ10a〜10cを作動させる作動板15の構成が前記実施形態例と異なっている。すなわち、本実施形態例に係る作動板15は、平面視略く字形ではあるが前記作動板5のような一枚板ではなく、中間部である屈曲部15cと、その両側に延出する第1の延出部15aおよび第2の延出部15bとが、半円筒形状の肉薄な第1の弾性部15dや第2の弾性部15eによって弾性的に連結されている。また、この作動板15には、第1の延出部15aから屈曲部15c側へ突設され屈曲部15cの上面に接する下面を備えて、操作ノブ2の押圧力で第1の延出部15aが第1のプッシュスイッチ10aを支点として傾倒されるときに屈曲部15cを押圧駆動する第1の押圧力伝達部15fと、第2の延出部15bから屈曲部15c側へ突設され屈曲部15cの上面に接する下面を備えて、操作ノブ2の押圧力で第2の延出部15bが第2のプッシュスイッチ10bを支点として傾倒されるときに屈曲部15cを押圧駆動する第2の押圧力伝達部15gとが形成されている。ただし、この作動板15は一体成形品であり、第1および第2の延出部15a,15bの各先端部と屈曲部15cの計3箇所に、各クリックゴム6a〜6cの頂部を挿入して係合させるための係合孔11が設けられている。
【0025】
本実施形態例のそのほかの構成は前記実施形態例と同様であり、一方の駆動部3の下端が、第1の延出部15aのうち第3のプッシュスイッチ10cよりも第1のプッシュスイッチ10aに近い部分に当接し、他方の駆動部4の下端が、第2の延出部15bのうち第3のプッシュスイッチ10cよりも第2のプッシュスイッチ10bに近い部分に当接している。
【0026】
この2段動作シーソースイッチ装置の動作について説明すると、操作ノブ2に対して図9の時計回りに回転する傾倒操作が行われた場合、駆動部3が操作ノブ2に押し込まれて下降するので、作動板15の第1の延出部15aが、モーメント力の差により第3のプッシュスイッチ10cを支点として図10に示すように傾倒していく。このとき、第1の弾性部15dが弾性変形するので、屈曲部15cには操作ノブ2の押圧力は伝達されにくい。そして、駆動部3が所定量下降するとクリックゴム6aが第1の延出部15aの先端部に押し込まれて座屈変形し、第1のプッシュスイッチ10aがオン動作する。また、この状態で操作ノブ2をさらに傾倒させると、駆動部3がさらに下降するため、第1の延出部15aはオン状態の第1のプッシュスイッチ10aを支点として横臥するように傾倒していき、その過程で第1の押圧力伝達部15fが屈曲部15cを上から押し込んでいく。それゆえ、操作ノブ2を所定角度以上傾倒させることによって、図11に示すように、第1の押圧力伝達部15fが屈曲部15cを介してクリックゴム6cを座屈変形させ、第3のプッシュスイッチ10cがオン動作する。このとき、第2の弾性部15eが弾性変形するので、第2の延出部15bには操作ノブ2の押圧力が伝達されにくい。また、こうして第1のプッシュスイッチ10aや第3のプッシュスイッチ10cをオン動作させた後、操作力を取り除けば、クリックゴム6aやクリックゴム6cの弾発力で第1の延出部15aや屈曲部15cは押し上げられるので、操作ノブ2は図9に示す中立位置に復帰し、第1のプッシュスイッチ10aや第3のプッシュスイッチ10cはオフ状態となる。
【0027】
操作ノブ2に対して図9の反時計回りに回転する傾倒操作が行われた場合の動作も基本的に同等であり、操作ノブ2に押し込まれた駆動部4が下降する過程で、第2の弾性部15eを弾性変形させながら第2の延出部15bが第3のプッシュスイッチ10cを支点として傾倒していき、該延出部15bの先端部によって第2のプッシュスイッチ10bがオン動作される。また、この状態で操作ノブ2をさらに傾倒させると、第2のプッシュスイッチ10bを支点として第2の延出部15bが横臥するように傾倒していくので、第1の弾性部15dを弾性変形させながら第2の押圧力伝達部15gが屈曲部15cを上から押し込んでいき、それゆえ第3のプッシュスイッチ10cがオン動作される。
【0028】
このように一枚板でない作動板15を用いた2段動作シーソースイッチ装置にあっては、操作ノブ2からの押圧力によって第1の延出部15aや第2の延出部15bが第3のプッシュスイッチ10cを支点として傾倒されるときに、第1の弾性部15dや第2の弾性部15eが弾性変形するので屈曲部15cには操作ノブ2からの押圧力が伝達されにくく、それゆえ第1のプッシュスイッチ10aや第2のプッシュスイッチ10bを作動させるときに第3のプッシュスイッチ10cを誤作動させてしまう心配がない。また、オン動作させた第1のプッシュスイッチ10aや第2のプッシュスイッチ10bを支点として第1の延出部15aや第2の延出部15bが傾倒されるときには、第1の押圧力伝達部15fや第2の押圧力伝達部15gによって屈曲部15cを確実に押し込んで第3のプッシュスイッチ10cを作動させることができると共に、弾性部15eまたは15dが弾性変形するため、残余のプッシュスイッチ10bまたは10aには操作ノブ2からの押圧力が伝達されにくくて誤作動の心配がない。
【0029】
なお、前記実施形態においては、プッシュスイッチがクリックゴムを保持体とする例を説明したが、プッシュスイッチはこれに限定されるものではなく、クリック感触を付与できるものであれば公知に属する任意のプッシュスイッチを用いることができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0031】
共通の作動板に押圧駆動される3個のプッシュスイッチによって4種類の電気信号を取り出すことができるので、操作ノブの傾倒方向および傾倒角度に応じた4種類の電気信号が出力可能な2段動作シーソースイッチ装置を少ない部品点数で実現することができて低コスト化に有利となり、プッシュスイッチおよび作動板の数が減らせるためコンパクト化も促進しやすくなる。
【0032】
また、作動板を、屈曲部の両側から第1の延出部と第2の延出部を延出した平面視略く字形とすれば、該作動板の一端側を押圧駆動することで第1および第3のプッシュスイッチを順次作動させ、該作動板の他端側を押圧駆動することで第2および第3のプッシュスイッチを順次作動させるという構成が容易に実現できると共に、第1および第2の延出部の間に臨出する照光体を第3のプッシュスイッチの側方に設けることによって、照光タイプの2段動作シーソースイッチ装置が無理なく実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例に係る2段動作シーソースイッチ装置を示す斜視図である。
【図2】図1のシーソースイッチ装置の側面図である。
【図3】図1のシーソースイッチ装置の平面図である。
【図4】図1のシーソースイッチ装置に用いた作動板を示す図である。
【図5】図1のシーソースイッチ装置の1段目のスイッチオン状態を示す動作説明図である。
【図6】図1のシーソースイッチ装置の2段目のスイッチオン状態を示す動作説明図である。
【図7】本発明の他の実施形態例に係る2段動作シーソースイッチ装置を示す斜視図である。
【図8】図7のシーソースイッチ装置に用いた作動板を示す図である。
【図9】図7のシーソースイッチ装置の非操作時の状態を示す動作説明図である。
【図10】図7のシーソースイッチ装置の1段目のスイッチオン状態を示す動作説明図である。
【図11】図7のシーソースイッチ装置の2段目のスイッチオン状態を示す動作説明図である。
【符号の説明】
1 ケーシング
2 操作ノブ
3,4 駆動部
5,15 作動板
5a,15a 第1の延出部
5b,15b 第2の延出部
5c,15c 屈曲部
6a〜6c クリックゴム
7 基板
8 可動接点
9 固定接点
10a 第1のプッシュスイッチ
10b 第2のプッシュスイッチ
10c 第3のプッシュスイッチ
11 係合孔
13 照光体
15d 第1の弾性部
15e 第2の弾性部
15f 第1の押圧力伝達部
15g 第2の押圧力伝達部

Claims (6)

  1. 揺動可能に支持された操作ノブと、この操作ノブの傾倒方向に対応して一対設けられた昇降可能な駆動部と、この駆動部を介して前記操作ノブに押圧駆動される作動板と、この作動板の両端部を支持する第1のプッシュスイッチおよび第2のプッシュスイッチと、これら両プッシュスイッチを結ぶ直線からずらした位置に配設されて前記作動板の中間部を支持する第3のプッシュスイッチとを備え、
    一方の前記駆動部、前記作動板のうち前記第1のプッシュスイッチと前記第3のプッシュスイッチとを結ぶ直線上でかつ前記第3のプッシュスイッチよりも前記第1のプッシュスイッチに近い部分に前記操作ノブからの押圧力を付与し、該駆動部の下降量に応じて前記作動板が前記第1のプッシュスイッチと前記第3のプッシュスイッチを順次作動させると共に、
    他方の前記駆動部、前記作動板のうち前記第2のプッシュスイッチと前記第3のプッシュスイッチとを結ぶ直線上でかつ前記第3のプッシュスイッチよりも前記第2のプッシュスイッチに近い部分に前記操作ノブからの押圧力を付与し、該駆動部の下降量に応じて前記作動板が前記第2のプッシュスイッチと前記第3のプッシュスイッチを順次作動させるように構成したことを特徴とする2段動作シーソースイッチ装置。
  2. 請求項1の記載において、前記作動板が、前記第3のプッシュスイッチに支持される屈曲部と、この屈曲部から略ハ字形に延びる第1の延出
    部および第2の延出部とを有し、前記第1の延出部の先端部が前記第1のプッシュスイッチに支持され、かつ前記第2の延出部の先端部が前記第2のプッシュスイッチに支持されることを特徴とする2段動作シーソースイッチ装置。
  3. 請求項2の記載において、前記第3のプッシュスイッチの側方に、前記作動板の前記第1の延出部と前記第2の延出部との間に臨出する照光体を設けたことを特徴とする2段動作シーソースイッチ装置。
  4. 請求項2または3の記載において、前記作動板が、前記屈曲部と前記第1の延出部とを連結する第1の弾性部と、前記第1の延出部から前記屈曲部側へ突設されて、前記操作ノブの押圧力で該第1の延出部が前記第1のプッシュスイッチを支点として傾倒されるときに該屈曲部を押圧駆動する第1の押圧力伝達部と、前記屈曲部と前記第2の延出部とを連結する第2の弾性部と、前記第2の延出部から前記屈曲部側へ突設されて、前記操作ノブの押圧力で該第2の延出部が前記第2のプッシュスイッチを支点として傾倒されるときに該屈曲部を押圧駆動する第2の押圧力伝達部とを有することを特徴とする2段動作シーソースイッチ装置。
  5. 請求項の記載において、前記作動板が、一枚板をもって形成されていることを特徴とする2段動作シーソースイッチ装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかの記載において、前記各プッシュスイッチが、固定接点と、この固定接点に接離する可動接点を設けて座屈変形可能なクリックゴムとを有し、このクリックゴムの頂部を前記作動板に係合させたことを特徴とする2段動作シーソースイッチ装置。
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