JP4111254B2 - アルキル(メタ)アクリレートの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明はアルキル(メタ)アクリレートの製造方法に関する。特に、本発明方法は1つの反応器内での、アルキル(メタ)アクリレートの合成、製造過程で生ずる不純物の出発原料への加水分解、および反応生成物および出発原料の分離を提供する。
【0002】
アルキル(メタ)アクリレートは商業的重合プロセスにおける重要な単量体である。従来は、ブチルアクリレート(BA)のようなアルキル(メタ)アクリレートは直接エステル化方法によって商業的に調製されていた。典型的には、ブタノール(BuOH)およびアクリル酸(AA)は酸触媒存在下で反応され、それによりブチルアクリレートおよび水が生じる。直接エステル化は概して高温かつ減圧下で行われる。反応の間に、ジブチルエーテル(DBE)、ブチル−β−ブトキシ プロピオネート(BBBP)、ブチル−β−ヒドロキシ プロピオネート(BBHP)、ブチル−アクリルオキシプロピオネート(BAOPA)、およびアクリルオキシプロピオン酸(AOPA)の様な不純物が生成される。これらの不純物を出発原料に戻さなければ、結果として低収量となる。
そのような不純物は大抵、反応器から除去され、さらに再利用されうる出発原料を生成するため処理される。その結果、該方法は効率が悪く、そして別の反応器のための追加の資本投資を要求する。さらに、従来のBA調製方法は、より大きなサイズの装置を必要とする減圧下で行われる。従って、より効果的で低コストのブチルアクリレート製造方法であって、BAが生成されるものと同じ反応器内で、製造過程で生ずる不純物を出発原料に戻す製造方法であって、雰囲気圧で行われうる製造方法の必要性がある。
【0003】
米国特許出願No.08/797,380は、別個の反応器内において、製造過程で生ずる不純物が加水分解されるBAの製造方法を開示する。さらに、AA/BA分離は別個の減圧蒸留カラムで行われる。該特許出願は不純物の出発原料への変換を扱うが、(1)雰囲気圧下での実施、(2)反応器内でのAA/BAの分離、(3)1ユニット内で製造過程で生ずる不純物から出発原料の回収を可能とするような、高含水反応媒体内でBAが作成されるBA製造方法を提供しない。
【0004】
本発明は製造過程で生じた不純物を出発原料に変換し、さらに該材料を1つの反応器内で反応させる、アルキル(メタ)アクリレートの製造方法を開示する。直接エステル化反応中の水の添加は、減圧を必要とせず、および製造過程で生じた不純物から出発原料の回収を容易にするようなアルキル(メタ)アクリレート調製方法を提供する。さらに、BAのような反応生成物およびAAのような出発(メタ)アクリル酸の分離は反応器内で行われうる。従って、本発明は従来の公知のアルキル(メタ)アクリレート製造方法より効果的かつ経済的な製造方法を提供する。
【0005】
本発明の1つの態様は(A)C−Cアルコール、(メタ)アクリル酸、強酸触媒および少なくとも5重量%の水を反応器に充填し、反応混合物を生成し、(B)反応混合物を反応し、C−Cアルキル(メタ)アクリレートおよび製造過程で生ずる不純物を生成し、該不純物を反応器内で加水分解し、さらに(C)反応の間に生成されるC−Cアルキル(メタ)アクリレートおよび水を反応混合物から分離すること、を含む方法を提供する。
本発明の他の態様は(A)ブタノール、アクリル酸、強酸触媒および少なくとも5重量%の水を反応器に充填し、反応混合物を生成し、(B)反応混合物を反応し、ブチルアクリレートおよび製造過程で生ずる不純物を生成し、該不純物を反応器内で加水分解し、さらに(C)反応の間に生成されるブチルアクリレートおよび水を反応混合物から分離すること、を含む方法を提供する。
さらなる本発明の態様は(A)ブタノール、アクリル酸、3.5重量%から15重量%の硫酸、6重量%から18重量%の水、および少なくとも1つの禁止剤を反応器に充填し、該ブタノールおよびアクリル酸のモル比が1:1から1:1.7で反応容器に充填し、反応混合物を生成し、(B)反応混合物を反応し、ブチルアクリレートおよび製造過程で生ずる不純物を生成し、該不純物を反応器内で加水分解し、さらに(C)反応の間に生成されるブチルアクリレートおよび水を反応混合物から共沸蒸留によって分離すること、を含む方法を提供する。
【0006】
ここで使用される「(メタ)アクリル」酸の用語はアクリル酸およびメタアクリル酸の双方を含む意味である。同様に、「(メタ)アクリレート」の用語はアクリレートおよびメタアクリレートの双方を含む意味である。
ここで使用されるBuOHはn−ブタノール、換言すると、1−ブタノールを指し、さらに「ブタノール」の用語はすべてのブタノールのアイソマーおよびそれらの混合物をその範囲内に含む。
「アルキル」の用語は分岐鎖、直鎖または環状アルキルグループを含む意味である。ここで使用される「(C−C)」または「(C−C10)」の用語は1グループあたり1から4または1から10の炭素数を持つグループを意味する。
ここで使用される「AAリッチ」または「BAリッチ」の用語はAAまたはBAが組成物の主要な(50重量%より大きい)有機成分であるフラクションまたは構成要素を意味すると理解される。
この明細書を通じて、他に示される以外は、パーセントは重量パーセントであり、すべて摂氏による温度であり、すべての圧力は気圧である。
【0007】
図1は、本発明の方法の1態様において利用される装置およびフローラインを示し、反応器の頂部に蒸留カラムを有する撹拌反応器である、直接のエステル化/加水分解反応器1;BAを含む、気化留出混合物を反応器1から相分離装置3へ運ぶライン2、相分離装置3は気化留出物をBAリッチの有機相と水性留出物相に分ける;3で分離されるBAリッチ有機留出物を分離セクションへ運ぶライン11;3で分離される水性留出物を、1にリサイクルするライン9、および一般的に水性排出物から材料を回収するための処理に運ぶライン10へ運ぶライン8;1から、クラッキング反応器であるブリードストリッパー(bleed stripper)5へAAリッチのボトムを運ぶライン4;回収されたBuOHおよびAAを含む留出物を、5からライン22を通じてリサイクルするため1へ運び、さらに留出物を、5から一般的に廃棄物として処理される方へ運ぶライン7へ運ぶライン6;5からのボトムを一般的に廃棄物として処理される方へ、および任意に、5から1へボトムをリサイクルするライン17へ運ぶライン12;禁止剤を反応器に供給できるライン13;反応器に触媒を供給するライン14;反応器にフレッシュなAAおよびBuOHを供給するライン15;任意のプラグフローリアクター(plug flow reactor)16;AA、BuOHおよび触媒を16へ供給するための任意のライン18;16から1へ材料を移すための任意のライン19;分離セクションで回収されたBuOH、BA、AAをライン10および11から反応器1へ戻すライン20;回収された材料を反応器1の異なる添加位置へ戻す任意のライン21、を含む。
【0008】
上述したように、本発明のステップ(A)では、C−Cアルコール、(メタ)アクリル酸、強酸触媒、および水が充填され、反応混合物が作成される。
一般に、C−Cアルコールは分岐鎖または直鎖の1から4の炭素原子を有するアルカノールまたはこれらの混合物である。具体的な例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノールまたはこれらの混合物を含むが、これらに限定されるものではない。さらに、C−Cアルコールは例えば、ハロゲン、水酸基、アルコキシド、シアノ、ニトロなどで置換され得ることが企図される。1つの態様では、アルコールはブタノールである。好ましい態様はアルコールはn−ブタノールである。
【0009】
また、反応混合物中に存在するものは、(メタ)アクリル酸、または、例えば、ハロゲン、水酸基、アルコキシド、シアノ、ニトロなどで置換された(メタ)アクリル酸がある。1つの態様では、アクリル酸またはメタアクリル酸またはこれらの混合物が存在する。好ましい態様では、不飽和酸はアクリル酸である。(メタ)アクリル酸およびアルコールは、モル比1:1から1:1.7で、好ましくは1:1.1から1:1.6で、より好ましくは1:1.25から1:1.45で存在する。アルコールとエステル交換反応をすることのできるクロトン酸、桂皮酸、マレイン酸、フマル酸などのような他の不飽和酸を本発明において使用することもまた企図される。
【0010】
強酸触媒も反応混合物の中に存在する。そのような酸触媒に適した例は、硫酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、これらの混合物、またはAMBERLYST(商標)15樹脂またはNAFION−H(商標)樹脂のような、重合体に支持されたアルキルスルホン酸が含まれるが、これらに限定されるものではない。一般的に、アルキルスルホン酸はCからC10アルキルスルホン酸である。1つの態様では、強酸触媒はイオウ含有酸または重合体に支持されるイオウ含有酸である。好ましい態様では、強酸触媒は硫酸である。直接エステル化/加水分解反応器中の反応混合物の全重量に対する強酸触媒の濃度は、典型的には3.5重量%から15重量%、好ましくは3重量%から12重量%そして、より好ましくは5重量%から8重量%である。
【0011】
水もステップ(A)で提供される反応混合物中に存在する。一般的に、水道水、蒸留水または脱イオン水のような如何なる水も直接エステル交換反応での使用に適しており、使用されうる。さらに、少なくとも提供される水の一部は、出発原料から反応生成物の分離の間に除去される反応水がリサイクルされたものであり得る。水の添加は、反応容器に水性反応媒体を提供し、該反応媒体は雰囲気条件下での操作および1つの反応器における出発原料から反応生成物の分離だけでなく、出発原料を回収するために反応副生成物を加水分解することも可能にした。
【0012】
少なくとも1つの禁止剤がステップ(A)の反応器に充填されうる。使用される場合には、典型的には、反応混合物の全重量に対する少なくとも1つの禁止剤の量は、0.001重量%から1.0重量%、好ましくは0.001重量%から0.5重量%、さらにより好ましくは0.001重量%から0.1重量%で、直接エステル化方法の間に重合を妨げるために存在する。適する禁止剤は、ヒドロキノン、ヒドロキノンのモノメチルエーテル、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ、ブチル化ヒドロキシアニソール、ナフトキノン、アントロキサンおよびこれらの組み合わせである。これらの禁止剤の誘導体もまた使用されうる。そのような誘導体は、4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルフリーラジカル、および4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルN−ヒドロキシピペリジンが含まれるが、これらに限定されるものではない。好ましい態様では、少なくとも1つの禁止剤が2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシである。他の態様では、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ、およびヒドロキノンのメチルエーテルのような他の禁止剤が使用される。
【0013】
1つの態様では、アルコールはブタノール、(メタ)アクリル酸はアクリル酸、酸触媒は硫酸、および禁止剤は2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシである。さらなる態様では、反応混合物の全重量に基づいて、水が6重量%から18重量%存在し、強酸触媒が3.5重量%から15重量%存在する。
【0014】
上述したように、本発明は1つの反応器を利用し、該反応器中ではAAおよびBuOHの直接エステル化;BBBP、BBHP、およびBAOPAを含む反応副生成物の加水分解;BAおよびAAの分離が達成される。一般に、直接エステル化反応、エステル交換反応の間に生成される反応副生成物の加水分解、および出発原料から反応生成物の分離が反応器内で起こるような方法に適しており、または適合できる如何なる反応器も使用できる。1つの態様では、反応器は蒸留カラムを装備される撹拌タンクである。好ましい態様では、図1に示したように蒸留カラムを反応器の頂部に直接配置することができ、さらに分別蒸留カラムであり得る。一般的に、蒸留カラムは20から100トレイを有する。好ましくは、カラムは20から70トレイを有する。より好ましくはカラムは40から50トレイを有する。カラムはAA,BuOH、強酸触媒、水および少なくとも1つの禁止剤を供給する手段を有する。反応器はまたボトムを回収するための手段を有する。
【0015】
ステップ(B)において、反応混合物は反応し、C−Cアルキル(メタ)アクリレートおよび反応副生成物を生成する。反応中に形成される反応副生成物は同じ反応器内で加水分解される。
直接エステル化反応は、ライン15、20および22を通じて、直接エステル化/加水分解反応器1へAA:BuOHのモル比が1:1から1:1.7、好ましくは1:1.25から1:1.45の範囲内でAAおよびBuOHを供給することによって進行する。AAおよびBuOHはまた硫酸と共にプラグフロー反応器16に供給され、次に直接エステル化/加水分解反応器1に供給されうる。禁止剤は、使用されるならば、ライン13を使用して反応器に供給される。AA、BuOH、禁止剤、強酸触媒および水は直接エステル化/加水分解反応器内で反応混合物を構成する。AAの転化率が50重量%から95重量%、好ましくは60重量%から95重量%、より好ましくは70重量%から95重量%となるよう、AAおよびBuOHは反応される。
【0016】
直接エステル化反応の間、効果的な加水分解遂行のために、反応器は少なくとも、反応混合物の全量に基づいて5重量%の水を有しなければならない。好ましくは、直接エステル化反応の間、反応器は6重量%から18重量%の水を有する。より好ましくは、直接エステル化反応の間、反応器は8重量%から12重量%の水を有する。水の含有量は、反応器から凝縮されそして分離される水性留出物をライン9を通じて反応器に戻すことによって維持されうる。水はまた、必要に応じ如何なる供給ラインを通じても添加されうる。反応器内の水は反応の間に生成される反応副生成物を加水分解する。加水分解反応の具体例としては、BBBPが2BuOHおよび1AAに加水分解され、BBHPが1BuOHおよび1AAに加水分解され、および、BAOPAが1BuOHおよび2AAに加水分解される反応があげられるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
直接エステル化反応および加水分解は、100℃から140℃の温度で、好ましくは105℃から135℃、そして、より好ましくは115℃から130℃で行われる。直接エステル化反応および加水分解は100mmHgから760mmHgの圧力で行われる。雰囲気圧が好ましい。直接エステル化/加水分解反応器内の滞留時間は典型的には0.5から5時間であり、好ましくは1から4時間、より好ましくは2から3時間である。
【0018】
ステップ(C)において、アルコールと(メタ)アクリル酸の反応の間に生成されたC−Cアルキル(メタ)アクリレートおよび水は、蒸留、相分離などの様な公知の方法によって反応混合物から分離される。好ましい態様では、反応の間に生成されたC−Cアルキル(メタ)アクリレートおよび水は共沸蒸留によって反応混合物から分離される。より好ましい態様では、C−Cアルキル(メタ)アクリレートは、上述した条件下で水(水性還流)およびBuOHと共に共沸的に蒸留される。それ故に、AAおよびBuOHのエステル交換反応から生ずる水だけでなく、反応媒体に添加される水も反応器内でAAおよびBA の分離を良くする水性媒体を提供する。留出物は次にライン2を通じて相分離装置3に送られる。相分離装置においては、BAリッチかつBuOHを含む有機相、および、水およびAAを含む水相が分離する。有機相はライン11を通じて分離セクションに送られ、該セクションで純粋なBAが得られる。BuOHは分離セクションから回収され、さらにリサイクルされうる。水相の一部はライン8を通じてライン9へ送られ、反応器内の適切な水量を維持するために反応器へ戻される。水相の残りはライン8を通じて、一般的に廃棄物として回収され処理される方へ運ぶため、ライン10へ送られる。
【0019】
直接エステル化反応器のボトムは強酸触媒、BA、AA、BuOH、AOPA、BBPAおよびBHPAを含む。ブリードストリッパー5はAAのダイマーであるアクリルオキシプロピオン酸(AOPA)、beta−n−ブトキシプロピオン酸(BBPA)およびbeta−ヒドロキシプロピオン酸(BHPA)を分解するために利用されうる。 それ故に、ボトムはライン4を通じてブリードストリッパー5(クラッキング反応器)に送られ、そこで、AOPAは2AAに分解され、BBPAは1BuOHと1AAに分解され、さらにBHPAは1AAに分解される。クラッキング反応器は連続撹拌タンク反応器であり得る。クラッキング反応器は方法に組み込まれ、クラッキング反応器内の液体は5重量%から25重量%の強酸、好ましくは硫酸に維持される。クラッキング反応は90℃から140℃、好ましくは110℃から140℃の範囲の温度で行われる。クラッキング反応は20mmHgから200mmHgの範囲の圧力で行われるが、800mmHgまでの高圧も使用されうる。クラッキング反応器内の滞留時間は典型的には0.5時間から10時間、好ましくは0.5時間から6時間、より好ましくは0.5から3時間である。
【0020】
クラッキング反応器内で生成されるBA、AA、BuOHおよび水の一部は頂部から回収され、ライン6からライン22を通じて直接エステル化/加水分解反応器へリサイクルされうる。クラッキング反応器内で生成されるBA、AA、BuOHおよび水の残りは、一般的に廃棄物として処理される方へ運ぶため、頂部のライン6を通じてライン7へ送られうる。クラッキング反応器のボトムは一般的に廃棄物として処理される方へ運ばれるためにライン12を通じて移され、またはライン17を通じて直接エステル化/加水分解反応器1にリサイクルされうる。
【0021】
本明細書全体にわたって以下の略語を用いる。
%=パーセント、℃=摂氏、BA=ブチルアクリレート、mm=ミリメータ、ml=ミリリットル、ml/min=ミリリットル/分、AA=アクリル酸、BuOH=ブタノール、AOPA=アクリルオキシプロピオン酸、BBPA=beta−n−ブトキシプロピオン酸、BHPA=beta−ヒドロキシプロピオン酸、BBBP=ブチル−β−ブトキシプロピオネート、BBHP=ブチル−β−ヒドロキシプロピオネート、BAOPA=ブチル−アクリルオキシプロピオネート、cm=センチメートル、Hg=水銀、g/hr=グラム/時間
【0022】
次の実施例は本発明の方法を示す。
材料:AA、BAおよびBuOHはプラントプロダクションストリームから得られる。禁止剤は商業的に入手できる。
分析:水、単量体、BuOHおよび残留不純物の測定には標準の方法が使用される。AOPA、BBBP、BBHPおよびBAOPAのレベルはフレームイオン化検出器を用いたガス/液体クロマトグラフィーによって決定される。硫酸量はpHプローブおよびアルコール性テトラブチルアンモニウムヒドロオキサイド滴定剤を用いて決定される。
【0023】
実施例1
ブチルアクリレートの製造
直接エステル化/加水分解反応は、マルチチューブHastalloy C−276スチームジャケット付リボイラーを取り付けた5000ml丸底フラスコを使用してセットアップされた。45トレイ、5.08cmオールダーショウ分別蒸留カラムをガラス反応器の頂部に直接設置し、反応器の一部とされた、直列に連結された2つの標準的なガラス製の水冷凝縮器を分別蒸留カラムの頂部に結合された。2000mlのガラス製分別カッターが第2凝縮器に結合された。電気加熱マントル、温度調節器、スターラ、および125ml分別カッターに導く取り出し口を有する水冷蒸留ヘッドを装備された500mlのフラスコを用いて、ブリードストリッパー(クラッキング反応器)はセットアップされた。ペリスタルティックポンプはリボイラーから直接にボトムストリームをポンプ移送するために提供された。容易なサンプル回収のためのテフロンバルブを装備された目盛り付きシリンダーがボトムストリームを回収するために使用された。
【0024】
AA、BuOHおよび硫酸は直接エステル化反応器に添加された。直接エステル化反応器は128℃および760mmHgにセットされた。ブリードストリッパーは130℃、35mmHgおよび硫酸量26重量%にセットされた。次にBA中0.25%の2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシおよび0.018%のヒドロキノンのメチルエーテル溶液をポンプ移送するため、禁止剤ポンプは動かされた。分別蒸留カラムのトップトレイが禁止剤溶液で湿った後、蒸気がリボイラーへ導入された。リボイラーが所望の温度に到達し、さらに留出物が頂部システム内に観察された時、次のものが反応器内にポンプ移送された:ポジティブディスプレイスメントFMIピストンポンプ(positivedisplacement FMI piston pump)を経由した禁止剤3.7g/hr、ポジティブディスプレイスメントFMIピストンポンプを経由した全AA(リサイクルを含む)234.4g/hr、ポジティブディスプレイスメントFMIピストンポンプを経由した全BuOH(リサイクルを含む)382.5g/hr、および強鉱酸と化学反応しない適当なチューブを利用するペリスタルティックポンプを経由した硫酸4.5g/hr。461.8g/hrの還流供給速度とするために、頂部から回収される水の一部は反応器に戻された。反応器中の滞留時間は180分であった。留出物およびボトムストリームは1時間ごとに集められ、定常状態がいつ達成されたかを決定するために、強酸、AAおよび水が分析された。定常状態に達した後、すべてのプロセスストリームは入念に分析された。
【0025】
留出物がブリードストリッパー水冷蒸留ヘッドに観察された後、フィードポンプが動かされ、さらに留出物およびボトムストリームが集められた。直接エステル化反応器からブリードストリッパーへ66.3g/hrのボトムがポンプ移送された。所望の滞留時間を示すような、特定の容量にオーバーフローポイントがセットされたオーバーフローシステムを経由して、ボトムストリームは集められた。定常状態が達成された後、留出物ストリームは入念に分析された。ブリードストリッパー内の滞留時間は235分であった。頂部から回収された留出物は47.1g/hrの速度で直接エステル化反応器へポンプで戻された。BAの収率はAAに基づいて108%であった。BAの収率はBuOHに基づいて95%であった。BAはAA供給物中に存在するAOPAから回収されるため、100%を越える収率が可能である。
【0026】
実施例2
プラグフロー反応器を利用したブチルアクリレートの製造
この実施例では、プラグフロー反応器が直接エステル化反応器の前に挿入された。残りの装置および方法は実施例1と同じであった。直接エステル化反応器は115℃および760mmHgにセットされた。AA219g/hr、BuOH201.3g/hrおよび硫酸2.2g/hrがプラグフロー反応器へポンプ移送された。禁止剤3.6g/hr、プラグフロー反応器からの流出物422.5g/hr、および硫酸2g/hrが直接エステル化反応器へポンプ移送された。頂部から回収された水の一部は還流速度477.7g/hrで反応器に戻された。反応器内の滞留時間は180分であった。ブリードストリッパーは130℃、35mmHgおよび硫酸量17.5重量%で操作された。直接エステル化反応器からボトム96.8g/hrがブリードストリッパーへポンプ移送された。ブリードストリッパー内の滞留時間は195分であった。頂部からポンプ移送された留出物は直接エステル化反応器に72.1g/hrの速度で戻された。BAの収率はAAに基づいて98%であった。BAの収率はBuOHに基づいて100%であった。
【0027】
実施例3
クラッキング反応器ボトムリサイクルを有するブチルアクリレートの製造
この実施例では、クラッキング反応器から直接エステル化反応器へボトムがリサイクルされた。残りの装置および方法は実施例1と同じであった。直接エステル化反応器は130℃および760mmHgにセットされた。禁止剤3.8g/hr、AA230.8g/hr、BuOH377.4g/hrおよび硫酸3.2g/hrが直接エステル化反応器へポンプ移送された。頂部から回収された水の一部は還流速度468.7g/hrで反応器に戻された。反応器内の滞留時間は154分であった。ブリードストリッパーは130℃、35mmHgおよび硫酸量22.2重量%で操作された。直接エステル化反応器からボトム65g/hrがブリードストリッパーへポンプ移送された。ブリードストリッパー内の滞留時間は195分であった。頂部から回収された留出物は直接エステル化反応器に36.4g/hrの速度で戻された。ブリードストリッパーのボトムは直接エステル化反応器へ10.5g/hrの速度でリサイクルされた。BAの収率はAAに基づいて98%であった。BAの収率はBuOHに基づいて100%であった。
【0028】
実施例4
メタンスルホン酸触媒を使用するブチルアクリレートの製造
この実施例では、触媒として硫酸の代わりにメタンスルホン酸が使用された。残りの装置および方法は実施例1と同じであった。直接エステル化反応器は119℃および760mmHgにセットされた。禁止剤3.8g/hr、AA212.1g/hr、BuOH383.9g/hrおよびメタンスルホン酸5.2g/hrが直接エステル化反応器へポンプ移送された。頂部から回収された水の一部は還流速度470.5g/hrで反応器に戻された。反応器内の滞留時間は131分であった。ブリードストリッパーは130℃、35mmHgおよびメタンスルホン酸量28重量%で操作された。直接エステル化反応器からボトム73g/hrがブリードストリッパーへポンプ移送された。ブリードストリッパー内の滞留時間は278分であった。頂部からポンプ移送された留出物は直接エステル化反応器に57.3g/hrの速度で戻された。BAの収率はAAに基づいて98%であった。BAの収率はBuOHに基づいて100%であった。
【0029】
上記実施例は、本発明の方法が直接エステル化によって高収量で効率よくかつ経済的なアルキル(メタ)アクリレートの製造に有効であることを示している。即ち、方法は高含水媒体中で行われ、
(1)反応圧力が雰囲気圧であり、減圧の必要がなく
(2)AAおよびBA、すなわち、出発原料および反応生成物は反応器内で分離され、さらに
(3)エステル交換反応および副生成物加水分解反応が同一反応器内で起こる。
【0030】
従って、副生成物の加水分解、および/または、反応生成物と出発原料の分離のための、追加のおよび別個の装置および製造工程は不要であり、より低い反応圧力のために、より大きな装置も不要である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の1態様である装置およびフローラインである。

Claims (10)

  1. (A)C−Cアルコール、(メタ)アクリル酸、強酸触媒および少なくとも5重量%の水を反応器に充填し、反応混合物を生成し、
    (B)反応混合物を反応し、C−Cアルキル(メタ)アクリレートおよび製造過程で生ずる不純物を生成し、該不純物を反応器内で加水分解し、さらに、
    (C)反応の間に生成されるC−Cアルキル(メタ)アクリレートおよび水を反応混合物から分離すること、
    を含む方法。
  2. 強酸触媒が硫酸、アルキルスルホン酸またはポリマーに支持されたアルキルスルホン酸である請求項1記載の方法。
  3. 反応器に少なくとも1つの禁止剤がさらに充填される請求項1記載の方法。
  4. 禁止剤がヒドロキノン、ヒドロキノンのモノメチルエーテル、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ、4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルフリーラジカル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルN−ヒドロキシピペリジン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ナフトキノン、アントロキサンおよびこれらの組み合わせから選択される請求項3記載の方法。
  5. 反応混合物からのC−Cアルキル(メタ)アクリレートおよび水の分離が、反応混合物から直接に共沸蒸留により達成される請求項1記載の方法。
  6. 20から100のトレイを有する蒸留カラム内の水性還流を使用する反応器内で、共沸蒸留が行われる請求項5記載の方法。
  7. 共沸蒸留が雰囲気圧で行われる請求項6記載の方法。
  8. −Cアルコールがブタノール、(メタ)アクリル酸がアクリル酸、強酸触媒が硫酸さらに禁止剤が2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシである請求項3記載の方法。
  9. ブタノールおよびアクリル酸のモル比が1:1から1:1.7で反応器に充填される請求項8記載の方法。
  10. 水が6重量%から18重量%存在し、さらに強酸触媒が3.5重量%から15重量%存在する請求項1記載の方法。
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