JP4111105B2 - エッチング装置 - Google Patents
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また、エッチング槽に誘電体分離シリコン基体を浸漬するときはIPAの浮遊層を補給タンクに一旦排出し、エッチングする前にIPAの浮遊層をエッチング槽に戻さなければならないため、作業に時間がかかり、コストが高くなるという問題があった。
このように主剤に添加剤を加えることにより、主剤が水酸化カリウム水溶液で、添加剤がIPAであり、ボロン拡散層を形成した被エッチング基板である単結晶シリコンをエッチングする場合には、ボロン拡散層のエッチングストップの効果を向上させることができ、さらにエッチングマスクの下がエッチングされてしまういわゆるアンダーカットが発生するのを抑制したり、エッチング面を滑らかにする効果をえることができる。
また、被エッチング基板が単結晶シリコン基板で、主剤が水酸化カリウム水溶液である場合にはエッチング速度も速く、エッチングの異方性も高い。
また、エッチング液中の主剤濃度を一定に調整する主剤濃度調整手段を備えているので、エッチング液中の主剤の濃度は水分の揮発や、被エッチング基板と主剤との化学反応等によって変化しても、主剤濃度調整手段がエッチング液中の主剤濃度を一定に調整することにより、エッチングのバラツキを抑制する。
その主剤濃度調整手段は主剤供給手段及び水供給手段からなるので、エッチング液中の主剤の濃度が薄くなった場合には、主剤供給手段から高い濃度の主剤を供給するようにし、水分の揮発などにより主剤の濃度が濃くなった場合には、水供給手段から水を供給するようにすれば、高精度に主剤の濃度を調整することができる。
さらに、添加剤供給手段は、エッチング中に前記添加剤を供給するようにしたので、エッチング中に添加剤が揮発等により減少した場合でも、エッチング液中の添加剤の濃度を一定に保つことができる。また、その添加剤供給手段が備える添加剤濃度調整手段は、エッチング中の前記添加剤の濃度を過飽和濃度以下で一定に調整するので、主剤の表面に添加剤の浮遊層ができることがない。このため、被エッチング基板に添加剤が付着してエッチングにバラツキが生じるのを防ぐことができる。
主剤濃度検出手段が主剤の濃度を検出し、この主剤濃度検出手段の検出濃度に基づいて、主剤濃度調整手段が主剤の濃度を調整するため、高い精度で主剤の濃度を調整することができる。
添加剤供給手段が、エッチング液中の添加剤の濃度を一定に調整するため、エッチングのバラツキが低減され、高精度のエッチングが可能となる。
添加剤濃度検出手段が添加剤の濃度を検出し、この添加剤濃度検出手段の検出濃度に基づいて、添加剤添加手段が添加剤の濃度を調整するため、高い精度で添加剤の濃度を調整することができる。
加熱手段によってエッチング液の温度を一定に調整することにより、エッチング速度が安定する。またこれにより、エッチング液の乱流の発生を防止できるため、エッチングのバラツキが低減されることとなる。
温度検知手段がエッチング液の温度を検出し、この温度検知手段の検知温度に基づいて加熱手段がエッチング液の温度を調整するため、的確にエッチング液の温度調節を行うことができる。
エッチング槽の上部に、揮発した主剤及び添加剤を液化する冷却器を備えることにより、揮発した主剤及び添加剤がエッチング槽に還流され、水分の蒸発による主剤の濃度変化を抑制し、添加剤の損失を低下させることができる。
被エッチング基板が、エッチング液中で鉛直方向に保持されることにより、例えばエッチング槽の下側からエッチング液が供給された場合に、エッチング液が複数の被エッチング基板間をスムーズに流れ、エッチングのバラツキが低減される。また被エッチング基板の表面を鉛直方向に保った状態で回転させることによってもエッチングのバラツキが低減される。
攪拌手段によってエッチング液が攪拌されることにより、エッチング液中の主剤及び添加剤の濃度と温度のムラがなくなり、エッチングのバラツキが低減される。
図1は、本発明の実施形態1に係るエッチング装置の構成を示す模式図であり、図2は、図1からエッチング槽1とオーバーフロー槽2を抽出して示した斜視図である。
テフロン(登録商標)樹脂等で形成されたエッチング槽1には、エッチング液の主剤として水酸化カリウム水溶液と、添加剤としてIPA(Isopropyl Alcohol、イソプロピルアルコール)が入れられており、エッチング液はこれらの混合液となっている。図2に示すように、エッチング槽1の周囲にはオーバーフロー槽2が設けられており、エッチング槽1から溢れたエッチング液がオーバーフロー槽2に溜まるようになっている。
なお基板ホルダ4は、エッチング液にすべて浸漬する必要はなく、図1に示すように一部がエッチング液から出るようにしてもよい。また、回転機構(回転モーター等)をエッチング槽内や基板ホルダ4自体に設けてもよい。
なお、載置台8は網状等でもよく、また載置台8を設けずに基板ホルダ4を上側から保持するようにしてもよい。
まず、エッチング液の循環システムについて説明する。エッチング液の循環システムは、循環配管9、循環ポンプ10、ヒーター11、フィルタ12、流量計13、温度センサア14及び温度調整器15から構成されている。エッチング液は、オーバーフロー槽2の底部から循環配管9を通って循環ポンプ10に吸入される。循環ポンプ10に吸入されたエッチング液は、ヒーター11、フィルタ12、流量計13を経由して循環配管9aからエッチング槽1の底部に戻される。
なお循環ポンプ10が、流量計13からの信号に基づいてエッチング液の吸入量を調整するようにし、エッチング槽1内のエッチング液の流速を一定に保つようにするのが望ましい。また本実施形態1では、オーバーフロー槽2の底部に連通した循環配管9からエッチング液を排出するようにしているが、オーバーフロー槽2を設けずに、エッチング槽1に循環配管9を直接繋いでエッチング液を循環させるようにしてもよい。さらに、エッチング液をエッチング槽1に戻す循環配管9aは、必ずしもエッチング槽1の底部に繋げる必要はない。
なお、図1ではオーバーフロー槽2と蓋部16が一体に形成されたものが示されているが、オーバーフロー槽2と蓋部16は別体で形成してもよい。
オーバーフロー槽2の底部から吸引され循環配管9に入ったエッチング液は、一部が分岐されてエッチング液中の主剤の成分である水酸化カリウムの濃度を検出する濃度検出器18へと送られる。この濃度検出器18で水酸化カリウムの濃度が検出されたエッチング液は循環ポンプ10へ戻される。濃度検出器18の検出濃度に基づいて、濃度調整器19によって水酸化カリウム水溶液供給装置20及び水供給装置21を制御する。ここで、エッチング液中の水酸化カリウムの濃度が薄くなりすぎた場合には、水酸化カリウム水溶液のタンク22から水酸化カリウム水溶液供給装置20を介して必要量の水酸化カリウムを供給し、水分の揮発によりエッチング液中の水酸化カリウムの濃度が濃くなりすぎた場合には、水供給装置21から水を供給するようにする。
なお、タンク22内の水酸化カリウム水溶液を水酸化カリウムの原液として、それをエッチング槽1に供給するようにしてもよい。また、本実施形態1のように主剤が水酸化カリウム水溶液の場合には、例えば75℃のエッチング温度では水酸化カリウムはほとんど揮発しないため、水供給装置21のみを制御して揮発した水分だけを供給するようにしてもよい。なお、高精度のエッチングを行うためには、水供給装置21から純水を供給するようにするのが望ましい。
なお、本実施形態1では濃度調整器19が水酸化カリウム水溶液とIPAの濃度を両方制御するようになっているが、濃度調整器を別々に設けてもよい。また図1では、水酸化カリウム水溶液及びIPAのエッチング槽1への供給が、エッチング槽1の側面側から行われているが、エッチング槽の底部等から供給するようにしてもよい。
また本実施形態1では、エッチング液の添加剤としてIPAを使用しているが、添加剤としてIPA以外のプロパノール系のアルコールを使用することができる。水酸化カリウム水溶液にプロパノール系のアルコールを添加することにより、IPAの場合と同様に、単結晶シリコン基板3のアンダーカットやエッチング面の荒れを低減することができる。また、単結晶シリコン基板4にボロン拡散層が形成されている場合には、ボロン拡散層によるエッチングストップの効果を向上させることができる。
なお本実施形態1では、エッチング液の添加剤であるIPAの濃度を過飽和濃度以下に調整するようにしている。IPAが過飽和濃度以上である場合には、エッチング槽1のエッチング液の表面にIPAの浮遊層ができ、単結晶シリコン基板3をエッチング液に浸漬する際にIPAが単結晶シリコン基板3に付着する。単結晶シリコン基板3にIPAが付着した状態でエッチングを行うと、エッチングのバラツキが生じるためIPAの濃度を過飽和濃度以下にするようにしたものである。
また、エッチング槽1内の載置台8の下部にはエッチング液を攪拌する攪拌装置26が設けられている。この攪拌装置26は、突起の付いた棒状のものを回転する等してエッチング槽1内のエッチング液を攪拌する。これにより、エッチング液中の水酸化カリウム水溶液及びIPAの濃度と温度が均一となり、エッチングのバラツキが低減される。なお、攪拌装置26は、エッチング槽1内の他の場所に設けてもよく、形状が違うものであってもよい。
また、加熱手段(ヒーター11)及び温度検知手段(温度センサ14)を備えているため、エッチング速度が安定し、さらに高精度のエッチングが可能となる。
図4は、実施形態1のエッチング装置を使用して作成されたインクジェットヘッドを示した横断面図である。このインクジェットヘッドのキャビティ基板41は、実施形態1に示すエッチング装置によりエッチングされることにより作成されている。なお、本実施形態2では、インクジェットヘッドの表面側から液滴を吐出するフェイスインクジェットタイプのものを示している。
振動板42を有するキャビティ基板41の上側には、ノズル穴43が開口し、インクの通路となるオリフィス44となる凹部が形成されたノズルプレート45が接合されている。キャビティ基板41及びノズルプレート45は、単結晶シリコン基板をエッチングして作成されており、接着剤等で接合されているものとする。またキャビティ基板41の下側には、電極46が設けられ、リザーバー47にインクを供給するインク供給穴48が形成された電極ガラス基板49が接合されている。キャビティ基板41に形成された貫通穴50は、電極46にパルス電圧等を印加する発信回路(図示せず)を接続するために形成されている。なお、キャビティ基板41にはリザーバー47及び吐出室51となる凹部が形成されている。
まず、両面を鏡面研磨した単結晶シリコン基板41aを準備する(図5(a))。この単結晶シリコン基板41aは、例えば厚さが180μmのものである。そして単結晶シリコン基板41aの下面にボロン拡散層60を形成する(図5(b))。このボロン拡散層60は、例えばボロン拡散板を使用して、温度1050℃で6時間加熱処理を行って形成する。その後、単結晶シリコン基板41aを水蒸気を含んだ酸素雰囲気中で熱酸化処理を行い、両面に熱酸化膜61を形成する(図5(c))。この熱酸化処理は、例えば温度1075℃で4時間行い、約1.1μmの厚さの熱酸化膜61を形成するようにする。
それからもう一度、単結晶シリコン基板41aの両面にレジストをパターニングして、単結晶シリコン基板41aの上側表面のリザーバー47となる部分の熱酸化膜61をハーフエッチングする。そして、このレジストをすべて剥離する(図6(f))。
最後に、熱酸化膜61をすべて除去し、単結晶シリコン基板41aの下面に熱酸化処理によって絶縁膜63を形成してインクジェットヘッドが完成する(図6(h))。
Claims (8)
- 主剤供給手段により供給された主剤に添加剤供給手段により供給された添加剤を加えてエッチング液を生成し、該エッチング液により被エッチング基板にエッチングを行うエッチング装置であって、
前記主剤が水酸化カリウム水溶液であり、前記添加剤がイソプロピルアルコールであり、前記被エッチング基板が単結晶シリコン基板であり、
前記エッチング液中の主剤濃度を一定に調整する前記主剤供給手段及び水供給手段からなる主剤濃度調整手段を備え、
前記添加剤供給手段は、エッチング中に前記添加剤を供給して、前記エッチング液中の前記添加剤の濃度を過飽和濃度以下で一定に調整する添加剤濃度調整手段を備えていることを特徴とするエッチング装置。 - 前記エッチング液中の主剤の濃度を検出する主剤濃度検出手段を備え、前記主剤濃度調整手段は、前記主剤濃度検出手段の検出濃度に基づいて主剤の濃度を調整することを特徴とする請求項1記載のエッチング装置。
- 前記添加剤の濃度を検出する添加剤濃度検出手段を備え、前記添加剤濃度調整手段は、前記添加剤濃度検出手段の検出濃度に基づいて添加剤の濃度を調整することを特徴とする請求項1記載のエッチング装置。
- 前記エッチング液の温度を一定に調整する加熱手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエッチング装置。
- 前記エッチング液の温度を検知する温度検知手段を備え、前記加熱手段は前記温度検知手段の検知温度に基づいてエッチング液の温度を調整することを特徴とする請求項4記載のエッチング装置。
- 前記エッチングを行うエッチング槽の上部に、揮発した主剤及び添加剤を液化する冷却器を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のエッチング装置。
- 前記被エッチング基板が、前記エッチング液中で鉛直方向に保持され、前記被エッチング基板の表面を鉛直方向に保った状態で回転させる機構を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のエッチング装置。
- 前記エッチング液を撹拌する撹拌手段を備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のエッチング装置。
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