JP4111105B2 - エッチング装置 - Google Patents

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Description

本発明はエッチング装置に関し、特にインクジェットヘッドの製造、半導体デバイスの製造、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスの製造、微細なガラス加工等のエッチングの際に使用されるエッチング装置に関する。
従来の液滴吐出ヘッドの製造方法では、ボロン拡散層を形成したシリコン基板を、IPA(Isopropyl Alcohol、イソプロピルアルコール)が過飽和状態で混合された水酸化カリウム水溶液によってエッチングすることにより、振動板の厚み精度を向上させていた(例えば、特許文献1参照)。
また従来の半導体基体のエッチング装置およびエッチング方法では、誘電体分離シリコン基体の異方性エッチング時に、IPAを過飽和状態にして、IPAの浮遊層を水酸化カリウム水溶液の表面に形成し、エッチング時には水酸化カリウム水溶液の濃度が変化しないようにしていた。また、誘電体分離シリコン基体をエッチング槽に浸漬する際は、IPAの浮遊層を除去し、IPAが誘電体分離シリコン基体に付着しないようにして、エッチングのバラツキを防止するようにしていた(例えば、特許文献2参照)。
特開2000−260367号公報(図7、図8) 特開平5−198555号公報(図1、図2、図3)
従来の液滴吐出ヘッドの製造方法では(例えば、特許文献1参照)、過飽和状態のIPAが水酸化カリウム水溶液の表面に浮いているため、シリコン基板を水酸化カリウム水溶液に浸漬するときに、シリコン基板にIPAが付着しエッチング反応にバラツキが生じるという問題点があった。また、水分の揮発等による水酸化カリウム濃度の変化によりエッチングレートにバラツキが生じるという問題点もあった。
また、従来の半導体基体のエッチング装置およびエッチング方法では(例えば、特許文献2参照)、過飽和状態のIPAの浮遊層を形成していても、水分の揮発や、シリコンと水酸化カリウムの化学反応等により、水酸化カリウム水溶液の濃度が微妙に変化してしまうという問題点があった。
また、エッチング槽に誘電体分離シリコン基体を浸漬するときはIPAの浮遊層を補給タンクに一旦排出し、エッチングする前にIPAの浮遊層をエッチング槽に戻さなければならないため、作業に時間がかかり、コストが高くなるという問題があった。
本発明は、被エッチング基板を高精度にエッチングできるエッチング装置を提供することを目的とする。
本発明に係るエッチング装置は、主剤供給手段により供給された主剤に添加剤供給手段により供給された添加剤を加えてエッチング液を生成し、該エッチング液により被エッチング基板にエッチングを行うエッチング装置であって、前記主剤が水酸化カリウム水溶液であり、前記添加剤がイソプロピルアルコールであり、前記被エッチング基板が単結晶シリコン基板であり、前記エッチング液中の主剤濃度を一定に調整する前記主剤供給手段及び水供給手段からなる主剤濃度調整手段を備え、前記添加剤供給手段は、エッチング中に前記添加剤を供給して、前記エッチング中の前記添加剤の濃度を過飽和濃度以下で一定に調整する添加剤濃度調整手段を備えているものである。
このように主剤に添加剤を加えることにより、主剤が水酸化カリウム水溶液で、添加剤がIPAであり、ボロン拡散層を形成した被エッチング基板である単結晶シリコンをエッチングする場合には、ボロン拡散層のエッチングストップの効果を向上させることができ、さらにエッチングマスクの下がエッチングされてしまういわゆるアンダーカットが発生するのを抑制したり、エッチング面を滑らかにする効果をえることができる。
また、被エッチング基板が単結晶シリコン基板で、主剤が水酸化カリウム水溶液である場合にはエッチング速度も速く、エッチングの異方性も高い。
また、エッチング液中の主剤濃度を一定に調整する主剤濃度調整手段を備えているので、エッチング液中の主剤の濃度は水分の揮発や、被エッチング基板と主剤との化学反応等によって変化しても、主剤濃度調整手段がエッチング液中の主剤濃度を一定に調整することにより、エッチングのバラツキを抑制する。
その主剤濃度調整手段は主剤供給手段及び水供給手段からなるので、エッチング液中の主剤の濃度が薄くなった場合には、主剤供給手段から高い濃度の主剤を供給するようにし、水分の揮発などにより主剤の濃度が濃くなった場合には、水供給手段から水を供給するようにすれば、高精度に主剤の濃度を調整することができる。
さらに、添加剤供給手段は、エッチング中に前記添加剤を供給するようにしたので、エッチング中に添加剤が揮発等により減少した場合でも、エッチング液中の添加剤の濃度を一定に保つことができる。また、その添加剤供給手段が備える添加剤濃度調整手段は、エッチング中の前記添加剤の濃度を過飽和濃度以下で一定に調整するので、主剤の表面に添加剤の浮遊層ができることがない。このため、被エッチング基板に添加剤が付着してエッチングにバラツキが生じるのを防ぐことができる。
また本発明に係るエッチング装置は、エッチング液中の主剤の濃度を検出する主剤濃度検出手段を備え、上記の主剤濃度調整手段は、主剤濃度検出手段の検出濃度に基づいて主剤の濃度を調整するものである。
主剤濃度検出手段が主剤の濃度を検出し、この主剤濃度検出手段の検出濃度に基づいて、主剤濃度調整手段が主剤の濃度を調整するため、高い精度で主剤の濃度を調整することができる。
また本発明に係るエッチング装置は、上記の添加剤供給手段が、エッチング液中の添加剤の濃度を一定に調整するものである。
添加剤供給手段が、エッチング液中の添加剤の濃度を一定に調整するため、エッチングのバラツキが低減され、高精度のエッチングが可能となる。
また本発明に係るエッチング装置は、添加剤の濃度を検出する添加剤濃度検出手段を備え、上記の添加剤供給手段が、添加剤濃度検出手段の検出濃度に基づいて添加剤の濃度を調整するものである。
添加剤濃度検出手段が添加剤の濃度を検出し、この添加剤濃度検出手段の検出濃度に基づいて、添加剤添加手段が添加剤の濃度を調整するため、高い精度で添加剤の濃度を調整することができる。
また本発明に係るエッチング装置は、エッチング液の温度を一定に調整する加熱手段を備えたものである。
加熱手段によってエッチング液の温度を一定に調整することにより、エッチング速度が安定する。またこれにより、エッチング液の乱流の発生を防止できるため、エッチングのバラツキが低減されることとなる。
また本発明に係るエッチング装置は、エッチング液の温度を検知する温度検知手段を備え、上記の加熱手段は、温度検知手段の検知温度に基づいてエッチング液の温度を調整するものである。
温度検知手段がエッチング液の温度を検出し、この温度検知手段の検知温度に基づいて加熱手段がエッチング液の温度を調整するため、的確にエッチング液の温度調節を行うことができる。
また本発明に係るエッチング装置は、エッチングを行うエッチング槽の上部に、揮発した主剤及び添加剤を液化する冷却器を備えたものである。
エッチング槽の上部に、揮発した主剤及び添加剤を液化する冷却器を備えることにより、揮発した主剤及び添加剤がエッチング槽に還流され、水分の蒸発による主剤の濃度変化を抑制し、添加剤の損失を低下させることができる。
また本発明に係るエッチング装置は、被エッチング基板が、エッチング液中で鉛直方向に保持され、被エッチング基板の表面を鉛直方向に保った状態で回転させる機構を備えたものである。
被エッチング基板が、エッチング液中で鉛直方向に保持されることにより、例えばエッチング槽の下側からエッチング液が供給された場合に、エッチング液が複数の被エッチング基板間をスムーズに流れ、エッチングのバラツキが低減される。また被エッチング基板の表面を鉛直方向に保った状態で回転させることによってもエッチングのバラツキが低減される。
また本発明に係るエッチング装置は、エッチング液を攪拌する攪拌手段を備えたものである。
攪拌手段によってエッチング液が攪拌されることにより、エッチング液中の主剤及び添加剤の濃度と温度のムラがなくなり、エッチングのバラツキが低減される。
実施形態1.
図1は、本発明の実施形態1に係るエッチング装置の構成を示す模式図であり、図2は、図1からエッチング槽1とオーバーフロー槽2を抽出して示した斜視図である。
テフロン(登録商標)樹脂等で形成されたエッチング槽1には、エッチング液の主剤として水酸化カリウム水溶液と、添加剤としてIPA(Isopropyl Alcohol、イソプロピルアルコール)が入れられており、エッチング液はこれらの混合液となっている。図2に示すように、エッチング槽1の周囲にはオーバーフロー槽2が設けられており、エッチング槽1から溢れたエッチング液がオーバーフロー槽2に溜まるようになっている。
図3は、エッチング槽1内に入れられる単結晶シリコン基板3の状態を示す図である。エッチング槽1には、被エッチング基板である単結晶シリコン基板3が複数取付けられた基板ホルダ4(図3において図示せず)が入れられ、単結晶シリコン基板3がエッチング液によってエッチングされる。基板ホルダ4は、図3に示すように単結晶シリコン基板3をエッチング液中で鉛直方向に保持するようになっており、単結晶シリコン基板3の表面を鉛直方向に保った状態で回転させる回転機構を有している。この回転機構は、エッチング槽1の外部の回転モーター5の回転動力を回転シャフト6、ギア7を介して基板ホルダ4に伝え、単結晶シリコン基板3をエッチング液中でその表面を鉛直方向に保った状態で回転させる。
なお基板ホルダ4は、エッチング液にすべて浸漬する必要はなく、図1に示すように一部がエッチング液から出るようにしてもよい。また、回転機構(回転モーター等)をエッチング槽内や基板ホルダ4自体に設けてもよい。
エッチング槽1内には、多数の穴が開口している板状の載置台8が設けられており、その上に基板ホルダ4が載せられるようになっている。エッチング槽1の下部から供給されたエッチング液が載置台8の多数の穴を通過することにより、エッチング液が層流状態となり、単結晶シリコン基板3の間を均一に流れる。エッチング液のエッチング槽1への供給(循環)については後に詳述する。
なお、載置台8は網状等でもよく、また載置台8を設けずに基板ホルダ4を上側から保持するようにしてもよい。
本実施形態1のエッチング装置は、エッチング液の循環システムと、主剤及び添加剤の各々の濃度を調節する濃度調整システムを有している。
まず、エッチング液の循環システムについて説明する。エッチング液の循環システムは、循環配管9、循環ポンプ10、ヒーター11、フィルタ12、流量計13、温度センサア14及び温度調整器15から構成されている。エッチング液は、オーバーフロー槽2の底部から循環配管9を通って循環ポンプ10に吸入される。循環ポンプ10に吸入されたエッチング液は、ヒーター11、フィルタ12、流量計13を経由して循環配管9aからエッチング槽1の底部に戻される。
なお循環ポンプ10が、流量計13からの信号に基づいてエッチング液の吸入量を調整するようにし、エッチング槽1内のエッチング液の流速を一定に保つようにするのが望ましい。また本実施形態1では、オーバーフロー槽2の底部に連通した循環配管9からエッチング液を排出するようにしているが、オーバーフロー槽2を設けずに、エッチング槽1に循環配管9を直接繋いでエッチング液を循環させるようにしてもよい。さらに、エッチング液をエッチング槽1に戻す循環配管9aは、必ずしもエッチング槽1の底部に繋げる必要はない。
ヒーター11は、エッチング槽1内のエッチング液の温度を検出する温度センサ14が検出した温度に基づいて温度調整器15により制御され、エッチング液を例えば75℃に保つ。なお、エッチング槽1の上部には、蓋部16が設けられており、揮発した水分やIPAが外部に拡散するのを防止するようになっている。またこの蓋部16には、揮発した水分やIPAを冷却して液化する冷却器17が設けられている。この冷却器17は、例えば螺旋状の管の周囲に冷却水を流すことにより、この管を通過する水分やIPAを冷却して液化し、エッチング槽1に還流するようになっている。本実施形態1では、冷却器17で液化されなかった水分やIPAの一部が、冷却器17の上部から外部へ排出されるようになっている。蓋部16に設けられた冷却器17が、揮発した水分やIPAを液化してエッチング槽1へ還流することにより、エッチング液中の水酸化カリウム水溶液の濃度変化を抑制し、添加剤(ここではIPA)の揮発による損失を低下させることができる。
なお、図1ではオーバーフロー槽2と蓋部16が一体に形成されたものが示されているが、オーバーフロー槽2と蓋部16は別体で形成してもよい。
次に、主剤及び添加剤の各々の濃度を調節する濃度調整システムについて説明する。主剤の濃度調整システムは、循環配管9、水酸化カリウム水溶液の濃度検出器18、濃度調整器19、水酸化カリウム水溶液供給装置20、水供給装置21、水酸化カリウム水溶液のタンク22から構成されている。また、添加剤の濃度調整システムは、循環配管9、IPAの濃度検出器23、濃度調整器19、IPA供給装置24及びIPAのタンク25から構成されている。
オーバーフロー槽2の底部から吸引され循環配管9に入ったエッチング液は、一部が分岐されてエッチング液中の主剤の成分である水酸化カリウムの濃度を検出する濃度検出器18へと送られる。この濃度検出器18で水酸化カリウムの濃度が検出されたエッチング液は循環ポンプ10へ戻される。濃度検出器18の検出濃度に基づいて、濃度調整器19によって水酸化カリウム水溶液供給装置20及び水供給装置21を制御する。ここで、エッチング液中の水酸化カリウムの濃度が薄くなりすぎた場合には、水酸化カリウム水溶液のタンク22から水酸化カリウム水溶液供給装置20を介して必要量の水酸化カリウムを供給し、水分の揮発によりエッチング液中の水酸化カリウムの濃度が濃くなりすぎた場合には、水供給装置21から水を供給するようにする。
ここで、濃度検出器18によるエッチング液中の水酸化カリウム濃度の検出には、屈折率の変化や吸光係数の変化を測定する検出器を使用することができる。また、水酸化カリウム水溶液供給装置20は、濃度調整器19からの信号により密閉されたタンク22を窒素加圧することにより水酸化カリウム水溶液を必要量だけ供給するようにする。なおタンク22は、窒素加圧によって水酸化カリウム水溶液を供給するのではなく、別途秤量槽を設けてもよい。この秤量槽は、タンク22内の水酸化カリウム水溶液を必要量だけ重量測定し、水酸化カリウム水溶液供給装置20に水酸化カリウム水溶液を送るものである。
なお、タンク22内の水酸化カリウム水溶液を水酸化カリウムの原液として、それをエッチング槽1に供給するようにしてもよい。また、本実施形態1のように主剤が水酸化カリウム水溶液の場合には、例えば75℃のエッチング温度では水酸化カリウムはほとんど揮発しないため、水供給装置21のみを制御して揮発した水分だけを供給するようにしてもよい。なお、高精度のエッチングを行うためには、水供給装置21から純水を供給するようにするのが望ましい。
また、添加剤としてのエッチング液中のIPAの濃度調整も、水酸化カリウム水溶液と同様のシステムを用いることができる。具体的には、オーバーフロー槽2の底部から吸引され循環配管9に入ったエッチング液は、一部が分岐されてエッチング液中の添加剤であるIPAの濃度を検出する濃度検出器23へと送られる。この濃度検出器23でIPAの濃度が検出されたエッチング液は循環ポンプ10へ戻される。濃度検出器23の検出濃度に基づいて、濃度調整器19によってIPA供給装置24を制御する。なお、この際、水酸化カリウム水溶液の場合と同様に、水供給装置21も制御することができる。IPA供給装置24は、タンク25からIPA供給装置24へのIPAの供給は、上述の水酸化カリウムす溶液の場合と同様である。また、IPAの濃度を検出する濃度検出器23は、赤外線吸収を測定する検出器を使用することができる。
IPAは沸点が82.4℃であるため、例えばエッチング温度が75℃である場合にはIPAの揮発が多くなる。よって、一般的に添加剤としてのIPAはエッチングと共に濃度が薄くなるため、エッチング液中のIPAの濃度を調整するために水を供給する必要はない。
なお、本実施形態1では濃度調整器19が水酸化カリウム水溶液とIPAの濃度を両方制御するようになっているが、濃度調整器を別々に設けてもよい。また図1では、水酸化カリウム水溶液及びIPAのエッチング槽1への供給が、エッチング槽1の側面側から行われているが、エッチング槽の底部等から供給するようにしてもよい。
本実施形態1では、エッチング液の主剤として水酸化カリウム水溶液を使用しているが、水酸化カリウム水溶液の代わりに水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を使用することもできる。TMAHによる単結晶シリコン基板のエッチングでも、異方性エッチングが可能である。また、制御回路等の半導体素子をデバイスに組み込んだ状態で水酸化カリウム水溶液を用いてエッチングした場合、カリウムイオンによる半導体素子の汚染による特性劣化が懸念されるが、TMAHは有機物であるためこのような問題は無い。
また本実施形態1では、エッチング液の添加剤としてIPAを使用しているが、添加剤としてIPA以外のプロパノール系のアルコールを使用することができる。水酸化カリウム水溶液にプロパノール系のアルコールを添加することにより、IPAの場合と同様に、単結晶シリコン基板3のアンダーカットやエッチング面の荒れを低減することができる。また、単結晶シリコン基板4にボロン拡散層が形成されている場合には、ボロン拡散層によるエッチングストップの効果を向上させることができる。
上記の水酸化カリウム水溶液供給装置20及びIPA供給装置24は、濃度調整器19によって制御され、エッチング槽1のエッチング液中の水酸化カリウム及びIPAの濃度を調整するが、一般的にこれらの濃度は一般的に一定濃度に調整するのが望ましい。エッチング液中の主剤及び添加剤の濃度が一定に保たれることにより、エッチング速度が安定し、エッチングのバラツキが低減されるからである。また、エッチング液の温度の調整も同様の理由により、ヒーター11によって一定に調整するのが望ましい。
なお本実施形態1では、エッチング液の添加剤であるIPAの濃度を過飽和濃度以下に調整するようにしている。IPAが過飽和濃度以上である場合には、エッチング槽1のエッチング液の表面にIPAの浮遊層ができ、単結晶シリコン基板3をエッチング液に浸漬する際にIPAが単結晶シリコン基板3に付着する。単結晶シリコン基板3にIPAが付着した状態でエッチングを行うと、エッチングのバラツキが生じるためIPAの濃度を過飽和濃度以下にするようにしたものである。
また、エッチング槽1内の載置台8の下部にはエッチング液を攪拌する攪拌装置26が設けられている。この攪拌装置26は、突起の付いた棒状のものを回転する等してエッチング槽1内のエッチング液を攪拌する。これにより、エッチング液中の水酸化カリウム水溶液及びIPAの濃度と温度が均一となり、エッチングのバラツキが低減される。なお、攪拌装置26は、エッチング槽1内の他の場所に設けてもよく、形状が違うものであってもよい。
本実施形態1では、エッチング中に添加剤を供給する添加剤供給手段(IPA供給装置24、タンク25)、添加剤濃度検出手段(濃度検出器23)、主剤濃度調整手段(水酸化カリウム水溶液供給装置20,水供給装置21、タンク22)、主剤濃度検出手段(濃度検出器18)を備えているため、エッチング液中の主剤及び添加剤の濃度を調整することができ高精度のエッチングが可能となる。
また、加熱手段(ヒーター11)及び温度検知手段(温度センサ14)を備えているため、エッチング速度が安定し、さらに高精度のエッチングが可能となる。
本実施形態1では、主剤が水酸化カリウム水溶液で添加剤がIPAであり、被エッチング基板が単結晶シリコン基板であるエッチング装置を示したが、主剤に添加剤を加えてエッチング液を生成し、このエッチング液によってエッチングを行うエッチング装置に広く応用することができ、単結晶シリコン基板以外のものでも高精度のエッチングを行うことができる。
実施形態2.
図4は、実施形態1のエッチング装置を使用して作成されたインクジェットヘッドを示した横断面図である。このインクジェットヘッドのキャビティ基板41は、実施形態1に示すエッチング装置によりエッチングされることにより作成されている。なお、本実施形態2では、インクジェットヘッドの表面側から液滴を吐出するフェイスインクジェットタイプのものを示している。
振動板42を有するキャビティ基板41の上側には、ノズル穴43が開口し、インクの通路となるオリフィス44となる凹部が形成されたノズルプレート45が接合されている。キャビティ基板41及びノズルプレート45は、単結晶シリコン基板をエッチングして作成されており、接着剤等で接合されているものとする。またキャビティ基板41の下側には、電極46が設けられ、リザーバー47にインクを供給するインク供給穴48が形成された電極ガラス基板49が接合されている。キャビティ基板41に形成された貫通穴50は、電極46にパルス電圧等を印加する発信回路(図示せず)を接続するために形成されている。なお、キャビティ基板41にはリザーバー47及び吐出室51となる凹部が形成されている。
図5及び図6は、キャビティ基板41の製造工程を示す横断面図である。なお図6は、図5の製造工程の続きの製造工程を示している。
まず、両面を鏡面研磨した単結晶シリコン基板41aを準備する(図5(a))。この単結晶シリコン基板41aは、例えば厚さが180μmのものである。そして単結晶シリコン基板41aの下面にボロン拡散層60を形成する(図5(b))。このボロン拡散層60は、例えばボロン拡散板を使用して、温度1050℃で6時間加熱処理を行って形成する。その後、単結晶シリコン基板41aを水蒸気を含んだ酸素雰囲気中で熱酸化処理を行い、両面に熱酸化膜61を形成する(図5(c))。この熱酸化処理は、例えば温度1075℃で4時間行い、約1.1μmの厚さの熱酸化膜61を形成するようにする。
そして、単結晶シリコン基板41aの上側表面には、吐出室51と貫通穴50となる部分以外にレジスト62をパターニングし、下側表面には貫通穴50となる部分以外にレジスト62aをパターニングする(図5(d))。この後、フッ酸水溶液で熱酸化膜61をエッチングした後、レジスト62及びレジスト62aを剥離する(図5(e))。
それからもう一度、単結晶シリコン基板41aの両面にレジストをパターニングして、単結晶シリコン基板41aの上側表面のリザーバー47となる部分の熱酸化膜61をハーフエッチングする。そして、このレジストをすべて剥離する(図6(f))。
その後、実施形態1に示すエッチング装置を用いて、単結晶シリコン基板41aを異方性エッチングする。ここでは、エッチング液の主剤として35重量%の水酸化カリウム水溶液を使用し、ボロン拡散層60以外のシリコンの厚みが、例えば10μmになるまでエッチングを行う。このとき、熱酸化膜61がない部分から異方性エッチングが進む。そして、単結晶シリコン基板41aをIPAが飽和濃度に添加された3重量%の水酸化カリウム水溶液でエッチングして、振動板42がボロン拡散層60のみになるようにする(図6(g))。ここでは、ボロン拡散層60がエッチングストップ層となって、厚さ2μmの振動板42が形成される。
最後に、熱酸化膜61をすべて除去し、単結晶シリコン基板41aの下面に熱酸化処理によって絶縁膜63を形成してインクジェットヘッドが完成する(図6(h))。
本実施形態2では、実施形態1のエッチング装置を用いてキャビティ基板41を形成し、エッチング液中の主剤及び添加剤の濃度が高精度に調整しているため、寸法精度の高いインクジェットヘッドを製造することができる。
本発明の実施形態2では、本発明のエッチング装置をインクジェットヘッドの製造に使用する場合を示したが、主剤に添加剤を加えてエッチング液を生成し、このエッチング液によってエッチングをする場合に広く応用することができる。例えばインクジェットヘッドの製造の他に、半導体デバイスの製造、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスの製造、微細なガラス加工等などが挙げられる。
本発明の実施形態1に係るエッチング装置の構成を示す模式図。 図1からエッチング槽1とオーバーフロー槽2を抽出して示した斜視図。 エッチング槽1内に入れられる単結晶シリコン基板3の状態を示す図。 実施形態1のエッチング装置を使用して作成されたインクジェットヘッドを示した横断面図。 キャビティ基板41の製造工程を示す横断面図。 図5の製造工程の続きを示す横断面図。
符号の説明
1 エッチング槽、2 オーバーフロー槽、3 単結晶シリコン基板、4 基板ホルダ、5 回転モーター、6 回転シャフト、7 ギヤ、8 載置台、9 循環配管、9a 循環配管、10 循環ポンプ、11 ヒーター、12 フィルタ、13 流量計、14 温度センサ、15 温度調整器、16 蓋部、17 冷却器、18 濃度検出器(水酸化カリウム水溶液用)、19 濃度調整器、20 水酸化カリウム水溶液供給装置、21 水供給装置、22 タンク(水酸化カリウム水溶液用)、23 濃度検出器(IPA用)、24 IPA供給装置、25 タンク(IPA用)、26 攪拌装置、41 キャビティ基板、42 振動板、43 ノズル穴、44 オリフィス、45 ノズルプレート、46 電極、47 リザーバー、48 インク供給穴、49 電極ガラス基板、50 貫通穴、51 吐出室。

Claims (8)

  1. 主剤供給手段により供給された主剤に添加剤供給手段により供給された添加剤を加えてエッチング液を生成し、該エッチング液により被エッチング基板にエッチングを行うエッチング装置であって、
    前記主剤が水酸化カリウム水溶液であり、前記添加剤がイソプロピルアルコールであり、前記被エッチング基板が単結晶シリコン基板であり、
    前記エッチング液中の主剤濃度を一定に調整する前記主剤供給手段及び水供給手段からなる主剤濃度調整手段を備え、
    前記添加剤供給手段は、エッチング中に前記添加剤を供給して、前記エッチング液中の前記添加剤の濃度を過飽和濃度以下で一定に調整する添加剤濃度調整手段を備えていることを特徴とするエッチング装置。
  2. 前記エッチング液中の主剤の濃度を検出する主剤濃度検出手段を備え、前記主剤濃度調整手段は、前記主剤濃度検出手段の検出濃度に基づいて主剤の濃度を調整することを特徴とする請求項1記載のエッチング装置。
  3. 前記添加剤の濃度を検出する添加剤濃度検出手段を備え、前記添加剤濃度調整手段は、前記添加剤濃度検出手段の検出濃度に基づいて添加剤の濃度を調整することを特徴とする請求項記載のエッチング装置。
  4. 前記エッチング液の温度を一定に調整する加熱手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエッチング装置。
  5. 前記エッチング液の温度を検知する温度検知手段を備え、前記加熱手段は前記温度検知手段の検知温度に基づいてエッチング液の温度を調整することを特徴とする請求項4記載のエッチング装置。
  6. 前記エッチングを行うエッチング槽の上部に、揮発した主剤及び添加剤を液化する冷却器を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のエッチング装置。
  7. 前記被エッチング基板が、前記エッチング液中で鉛直方向に保持され、前記被エッチング基板の表面を鉛直方向に保った状態で回転させる機構を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のエッチング装置。
  8. 前記エッチング液を撹拌する撹拌手段を備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のエッチング装置。
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