JP2006040925A - エッチング方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 塩基性エッチング液を用いてシリコンの異方性エッチングを行うに際して、エッチング液を繰り返し使用してもエッチング速度が変動せず、上記のような対策を採ることなく安定してエッチングを行うことのできる方法を提供すること。
【解決手段】 内部に塩基性エッチング液が導入されるエッチング槽を有するエッチング装置を用い、TMAH等の塩基性エッチング液を当該装置内に滞在させて繰り返し使用することによりシリコンの異方性エッチングを行なう方法において、該エッチング装置内に導入された当初の塩基性エッチング液に含まれる炭酸イオンの濃度をC0(mol/l)としたときに、該塩基性エッチング液中に含まれる炭酸イオンの濃度C(mol/l)をC0±0.1(mol/l)(但しCは0以上の実数である)の範囲内に制御して、塩基性エッチング液をエッチング装置内に72時間以上滞在させて使用する。
【選択図】 なし
【解決手段】 内部に塩基性エッチング液が導入されるエッチング槽を有するエッチング装置を用い、TMAH等の塩基性エッチング液を当該装置内に滞在させて繰り返し使用することによりシリコンの異方性エッチングを行なう方法において、該エッチング装置内に導入された当初の塩基性エッチング液に含まれる炭酸イオンの濃度をC0(mol/l)としたときに、該塩基性エッチング液中に含まれる炭酸イオンの濃度C(mol/l)をC0±0.1(mol/l)(但しCは0以上の実数である)の範囲内に制御して、塩基性エッチング液をエッチング装置内に72時間以上滞在させて使用する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、各種シリコンデバイスを製造する際の表面加工工程として採用されているシリコンのエッチング方法に関する。
近年シリコンウェハの機械的特性が注目され、理想的な弾性材料としてバルブ、ノズル、プリンタ用ヘッド、並びに流量、圧力及び加速度等の各種半導体センサ(例えば半導体圧力センサのダイヤフラムや半導体加速度センサの感知レバーなど)等の種々のデバイスに応用されている。このような各種シリコンデバイスには用途に応じて高集積化、微細化、高感度化、高機能化が要求されており、これら要求を満足するためにこれらシリコンデバイスの製造に当たってはマイクロマシニング技術とよばれる微細加工技術が用いられている。マイクロマシニング技術においては、目的とするデバイスの立体的な構造を形成するためにシリコンの湿式異方性エッチング技術が用いられている。
湿式異方性エッチングとは、エッチング液を充填したエッチング槽にシリコンウェハを投入し、エッチング液との化学反応を利用してシリコンウェハの不要部分を溶解させる加工方法である。シリコンにおいては結晶方位によってエッチング速度が100倍も異なり異方性を示すので、この異方性を利用して複雑な3次元構造を作ることができる。塩基性エッチング液としてはKOH、テトラメチルハイドロオキシド(以下、TMAHと略記する)などの一般的なアルカリ薬品の水溶液が使用されている(特許文献1及び2参照)。
シリコンの湿式異方性エッチングによりデバイスの立体構造を形成する場合、数〜数十ミクロンオーダーの厚みでのエッチングを制御することが要求されることもあり、そのためエッチング速度制御は重要な管理項目となっている。一般的には、シリコンエッチング速度管理としては、新液の塩基性エッチング液を用いたときのエッチング速度を基準として、±5%の公差以内が目標とされる場合が多い。
しかしながら、エッチング装置にて塩基性エッチング液によるシリコンの異方性エッチングを行なう場合、新液を用いた場合には所期のエッチング速度が得られるものの、エッチング装置で繰り返し使用した塩基性エッチング液を用いた場合にはエッチング速度が増加するという問題がある。このため、工業的に所定の加工度の製品を得るためには、頻繁にエッチング液を新液に交換する、或いはエッチング速度に応じて処理時間を制御するという煩雑なプロセス管理を行うといった対策をとる必要がある。前者は製造コストの上昇をもたらし、後者の方法は、現実的には困難であり製品歩留まりが低下するという問題が生じる。
そこで、本発明は、塩基性エッチング液を用いてシリコンの異方性エッチングを行うに際して、エッチング液を繰り返し使用してもエッチング速度が変動せず、上記のような対策を採ることなく安定してエッチングを行うことのできる方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記に示されるエッチング速度増加の原因を突き止めるべく長期間使用した塩基性エッチング液を分析したところ、使用後のエッチング液には炭酸ガスが例えば8wt%といった高濃度で溶解しているという知見を得るに至った。本発明者らは、該知見に基づき塩基性エッチング液に含まれる炭酸ガス濃度とエッチング速度との関係について検討を行ったところ、塩基性エッチング液中の炭酸ガス濃度(炭酸イオン濃度に対応する)が特定の範囲を越えて高くなるとエッチング速度が有意に増加することを見出すと共に、エッチング液をエッチング中及び保存中の雰囲気を、炭酸ガスを含まない雰囲気とした場合には所期の目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、第一の本発明は、内部に塩基性エッチング液が導入されるエッチング槽を有するエッチング装置を用い、塩基性エッチング液を当該装置内に滞在させて繰り返し使用することによりシリコンの異方性エッチングを行なう方法において、該エッチング装置内に導入された当初の塩基性エッチング液に含まれる炭酸イオンの濃度をC0(mol/l)としたときに、該塩基性エッチング液中に含まれる炭酸イオンの濃度C(mol/l)をC0±0.1(mol/l)(但しCは0以上の実数である)の範囲内に制御して、塩基性エッチング液をエッチング装置内に72時間以上滞在させて使用することを特徴とする前記方法である。
また、第二の本発明は、シリコン製構成部材を含む材料を上記本発明のエッチング方法によりエッチングする工程を含むことを特徴とするシリコン製物品の製造方法である。
更に、第三の本発明は、内部にエッチング液が導入されるエッチング槽と、当該エッチング槽内に導入されたエッチング液の温度を制御する温度制御手段と、前記エッチング槽に導入されたエッチング液を攪拌する攪拌手段とを有するシリコン異方性エッチングを行なうためのエッチング装置において、当該エッチング装置内に導入されたエッチング液が接触する雰囲気を制御する雰囲気制御手段を有することを特徴とする前記エッチング装置である。
なお、従来のエッチング方法において、工程管理としてエッチング液の濃度をモニターし、その濃度を所定の範囲に制御することは行なわれていたが、濃度検出に使用する濃度計が超音波濃度計であったため、その検出原理からして炭酸ガスの吸収に伴うエッチング液の濃度変化は検出できなかった。そのため、当該技術分野においてエッチング液中に例えば8wt%といった高濃度で炭酸ガスが溶解していることはこれまで全く認識されていなかった。本発明者等は、長期間使用したエッチング液について化学的な分析を行うことによって、エッチング速度に溶存炭酸ガス濃度が影響を与えることを始めて見出し、本発明を完成したものである。
エッチングを大気のような炭酸ガスを含む雰囲気下で行った場合には雰囲気中の炭酸ガスがエッチング液に吸収されて溶解し、炭酸塩を形成するためエッチング液のアルカリ性が低下してシリコンエッチング速度が不安定となってしまう。これに対し、本発明の方法では炭酸ガスがエッチング液に溶解しないためエッチング液を繰り返し使用してもエッチング速度が安定している。したがって、本発明のエッチング方法を採用することにより、エッチングプロセスの管理が簡便化されるばかりでなく、エッチング液の寿命を長くすることができる。
また、本発明の製造方法によれば、低コストで効率よく、各種シリコンデバイス等の微細加工されたシリコン製物品を製造することができる。
更に本発明のエッチング装置を使用することにより、本発明のエッチング方法及び本発明の製造方法を簡単に行なうことができる。
本発明のエッチング方法では、内部に塩基性エッチング液が導入されるエッチング槽を有するエッチング装置を用い、塩基性エッチング液を当該装置内に滞在させて繰り返し使用することによりシリコンの異方性エッチングを行なう。“内部に塩基性エッチング液が導入されるエッチング槽を有するエッチング装置”は、シリコンの湿式異方性エッチング一般的に使用されているものであり、通常は、経済性の観点から装置内に導入されたエッチング液を長期間装置内に滞在させて繰り返し使用することが行なわれている。本発明に於いても同様の方式が採用される。なお、エッチング液を使い捨てにし、常に新液のエッチング液を使用する場合には、本発明の課題となるような“エッチング速度が経時的に変化する”という問題は起こらない。即ち、本発明は上記のような条件でエッチングを行なうときに特有の課題を解決するものであるといえる。
本発明の方法においては、シリコンの異方性エッチングが行なわれる。被エッチング材料としては、エッチングされる部分としてシリコンで構成される部分を少なくとも含む材料(シリコン製構成部材を含む材料)であれば特に限定されないが、通常は、前記した各種シリコンデバイスの材料となるシリコンウェハ、具体的には目的とする立体構造を得るために所定の形状のパターンを有するエッチングマスク(例えば熱酸化膜)で表面を被覆されたシリコンウェハが使用される。
また、エッチング液としては、TMAH(テトラメチルハイドロオキシド)水溶液、KOH水溶液、NaOH水溶液、EDP液(エチレンジアミンとピロカテコールの混合物)、ヒドラジン等の従来のシリコン湿式異方性エッチングで使用されている塩基性エッチング液(通常、濃度は5〜60%)が使用できる。これらエッチング液の中でも、半導体製造工程にてアルカリ金属汚染物質となるNa、Kなどの金属成分含有量が少ないという理由からTMAH水溶液を用いるのが好適である。さらに、塩基性エッチング液として使用されるTMAH水溶液の最も一般的な濃度は5〜25重量%、より好ましくは15〜25重量%であるという理由から、塩基性エッチング液としてこのような濃度のTMAH水溶液を用いたエッチングに対して本発明方法を適用することのメリットが特に大きい。このため、本発明においてはエッチング液として濃度5〜25重量%、特に15〜25重量%のTMAH水溶液を用いるのが特に好適である。
本発明は、上記のような塩基性エッチング液を用いたシリコンの異方性エッチングにおいて、エッチング装置内に導入された当初の塩基性エッチング液(以下、初期エッチング液ともいう。)に含まれる炭酸イオンの濃度(以下、初期濃度ともいう。)をC0(mol/l)としたときに、該塩基性エッチング液中に含まれる炭酸イオンの濃度C(mol/l)をC0±0.1(mol/l)の範囲内に制御して、塩基性エッチング液をエッチング装置内に72時間以上滞在させて使用することを最大の特徴とする。塩基性エッチング液中の炭酸イオン濃度の初期濃度からの変動量が0.1mol/lを越えると(液組成以外のエッチング条件を同一とした場合)エッチング速度が初期エッチング液を用いたときのエッチング速度を基準として公差が±5%を越えてしまう。本発明に於いては、効果の観点から、エッチング液中に含まれる炭酸イオン濃度の初期濃度からの変動量が0.05mol/l以下に制御しながらエッチング液をエッチング装置内に150時間以上、特に200時間以上滞在させて使用するのが好適である。なお、塩基性エッチング液中の炭酸イオン濃度は、次のような方法により測定することができる。即ち、酸塩基滴定、または、電位差滴定等の滴定による測定、イオンクロマトグラフィー等により測定することができる。
試薬又は工業的に入手可能な塩基性エッチング液においては出荷時の液組成は厳重管理されており、開封直後のエッチング液(新液)についても炭酸イオンは殆ど含まれていない。しかしながら、前記特許文献1(特開平9−213676号公報)の図2及び図4に示されるように、従来のシリコンの異方性エッチングでは大気解放されたエッチング槽が使用されている。このため、一度使用した後に長期にわたって繰り返し使用したり、あるいは使用しなくても長期間槽内にエッチング液を保存したりするとその間にエッチング液に大気中の炭酸ガスが吸収され、液中の炭酸イオン濃度は増大する。その結果、特に制御手段を講じないで72時間以上エッチング装置内に滞在させて使用した場合(エッチング処理を行い、又はエッチング処理を行わずに槽内に貯留した場合)には、滞在させる条件によっては液中の炭酸イオンが初期の濃度からの変動量が0.1mol/lを超えてしまう。初期エッチング液として新液を使用しない場合(例えば再処理品を用いたり、開封後しばらくタンク等に貯留したものを使用したりした場合)においても最初の使用時において所定のエッチング速度が得られるような条件設定を行なうので、エッチング液中に含まれる炭酸イオン濃度がC0±0.1(mol/l)の範囲を越えてしまう場合にはエッチング速度が変化してしまう。
本発明のエッチング方法において、エッチング装置内に滞在するエッチング液中に含まれる炭酸イオン濃度をC0±0.1(mol/l)の範囲内、好ましくはC0±0.05(mol/l)の範囲内に制御する方法としては、(1)炭酸ガスを実質的に含まない雰囲気下でエッチング液をエッチング装置内に滞在させる方法、より具体的には、炭酸ガスを実質的に含まない雰囲気下でエッチング及び貯留を行う方法及び(2)エッチング液に溶解した炭酸イオンを除去する方法が採用できるが、簡便性の観点から前記(1)の方法を採用するのが好適である。
前記(1)の方法を採用した本発明のエッチング方法は、例えば“内部にエッチング液が導入されるエッチング槽と、当該エッチング槽内に導入されたエッチング液の温度を制御する温度制御手段と、前記エッチング槽に導入されたエッチング液を攪拌する攪拌手段とを有するシリコン異方性エッチングを行なうためのエッチング装置において、当該エッチング装置内に導入されたエッチング液が接触する雰囲気を制御する雰囲気制御手段を有することを特徴とする前記エッチング装置”(本発明のエッチング装置)を用いることにより好適に行なうことができる。
以下に、図面を参照して本発明のエッチング装置を用いた本発明のエッチング方法について説明する。
図1は、代表的な本発明のエッチング装置1の概略図である。該エッチング装置1は箱状の装置本体2と開閉可能な蓋3を有し、該蓋3は閉状態においてシール材4により装置本体内部を密封できるようになっている。また、蓋3には保持用治具23に保持された被エッチング材料22を出し入れするための孔が設けられると共に、該孔は蓋3’により密閉可能に塞ぐことができるようになっている。
さらに、蓋3にはガス導入孔5が設けられると共に、装置本体にはガス排出孔6が設けられ、蓋を閉にした状態において、図示しない不活性ガス供給装置から供給された不活性ガス(好適には窒素ガス或いはアルゴンガス)、または、アルカリ水溶液の炭酸ガス吸収塔に通す等の処理を行なった炭酸ガスを実質的に含まない空気等を前記ガス導入孔5から装置内部に導入すると共に内部ガスを前記ガス排出孔6から排出することにより、装置本体内部の雰囲気を炭酸ガスを実質的に含まない雰囲気とすることができるようになっている。即ち、エッチング装置1においては、このようなシール構造及びガス置換手段(図示しない不活性ガス供給手段、または、アルカリ水溶液の炭酸ガス吸収塔に通す等の処理を行なった実質的に炭酸ガスを含まない空気等の供給手段、ガス導入孔5及びガス排出孔6)が“エッチング液が接触する雰囲気を制御する雰囲気制御手段”を構成している。後述するようにして新液のエッチング液を導入後、さらには蓋3を開けて被エッチング材料を装置本体内に導入したりエッチング済みの製品(又は半製品)を装置外に取り出したりした後に上記のようにして装置本体の内部を不活性ガス雰囲気、またはアルカリ水溶液の炭酸ガス吸収塔に通す等の処理を行なった実質的に炭酸ガスを含まない雰囲気に置換することにより、エッチング液が接触する雰囲気を炭酸ガスを実質的に含まない雰囲気とすることができる。なお、炭酸ガスを実質的に含まないとは、蓋を開状態にしたときに措置内に導入された大気を置換するまでの短い期間エッチング液が炭酸ガスを含む雰囲気と接触することを除くと共に、置換後に不可避的に混入する極僅かな炭酸ガスを除いて炭酸ガス濃度が50ppm以下、好ましくは10ppm以下の雰囲気とすることを意味する。
このような置換を行なった後、特にエッチングを実施せずにエッチング液を単に装置内に滞在させる場合は、連続的に不活性ガス等の実質的に炭酸ガスを含まないガスを流通させておいてもよいが、経済性の観点からは、ガス導入孔5及びガス排出孔6にそれぞれバルブ(図示しない)を設置し、装置本体内部が不活性ガス雰囲気に置換された場合にこれらバルブを閉状態にすることにより内部を完全密封状態とするのが好適である。なお、エッチングを行なう場合には後述する温度制御手段を作動させてエッチング液を加温するため、バルブを閉状態にしたまま加温すると温度の上昇に伴い、或いはエッチングにより発生するガスにより装置内の圧力が上昇する。装置を耐圧構造としておけばこのような圧力上昇が起こっても問題ないが、装置が耐圧構造でない場合には、エッチングの前後及びエッチング操作中等、少なくとも圧力変動がある間は不活性ガス等の実質的に炭酸ガスを含まないガスを僅かに流通させて系内を大気圧(若しくは微加圧状態)に保つのが好適である。
エッチング槽を密閉構造とせずに、大気開放系で液面近傍に窒素ガス等の不活性ガスを流通させて所謂窒素カーテン等を形成することによりエッチング液に大気中に含まれる炭酸ガスが吸収されるのをある程度抑制することは可能であるが、高い抑制効果を得るためには大量の不活性ガスを高速で流す必要があるため現実的ではない。エッチング装置1では密閉構造を採用しているため、少量の不活性ガスで確実な置換を行なうことができ、炭酸ガスの吸収を実質的に防止することができる。
また、前記装置本体2の内部には隔壁7が設けられ、エッチング槽8および液貯留空間9が形成されている。該エッチング槽8には、エッチング液10が装置外部から新液供給ライン11からポンプ12及び液戻りライン13を通って、エッチング槽8に供給されると共に、エッチング槽からオーバーフローた所定量のエッチング液10が液貯留空間9に供給される。エッチング槽8及び液貯留空間9に導入されたエッチング液10は、貯留空間9の底部に接続する液吸入ライン14、ポンプ12及びエッチング槽の底部に接続する液戻りライン13を通って循環される。なお、新液供給ライン11はポンプ12の上流側で液吸入ライン14と合流しているが3方バルブ15を切替えることにより、該バルブの下流に流れる液が切り替えられるようになっている。エッチング装置1においては上記のようにしてエッチング液を循環することによりエッチング槽内のエッチング液が攪拌される。別言すれば、上記のようなエッチング液循環システムが攪拌手段となっている。なお、エッチング液を交換するに際して、エッチング槽8内のエッチング液を排出する必要がある場合には、エッチング槽の低部に連結する液抜出しライン16に連結するバルブ17(通常は閉状態である)を開けばよい。
また、エッチング槽内8に導入されたエッチング液10の温度を制御する温度制御手段として、エッチング槽8の内部に温度計18およびヒーター19が設置されていると共に、装置本体外部に液温に応じてヒーター19の出力を制御するためのコントロールユニット20が設置されている。さらに、エッチング槽と連結するライン内には、エッチング液の濃度管理を行なうための超音波濃度計21が設置されているのが好適である。不活性ガスの流通を行なった場合には、エッチング液に由来する水蒸気が同伴されて反応装置外に排出されるため、エッチング液の濃度が高くなってしまう。超音波温度計によりエッチング液の濃度をモニターし、測定された濃度に応じて図示しない純水供給ラインから必要量の純水を補給することによりエッチング液の濃度をほぼ一定に保つことができる。
エッチング装置1の材質は特に限定されず、ステンレススチール等の金属材料、塩化ビニル等の樹脂材料が使用できるが、被エッチング材料の汚染防止のため、少なくともエッチング液と接触する部分はフッ素樹脂であるのが好適である。
エッチングに際しては、上記温度制御手段によりエッチング液の温度を所定の温度に調節した後に蓋3’を開けてエッチング槽8内に、被エッチング材料22を網籠状の保持用治具23に保持して浸漬し、その後に蓋3’を閉じて装置内の雰囲気を不活性ガス、または、アルカリ水溶液の炭酸ガス吸収塔に通す等の処理を行なった実質的に炭酸ガスを含まない空気等に置換してからエッチング液を循環させればよい。なお、エッチング液が室温の状態で被エッチング材料を浸漬してからエッチング液を加温することも可能である。また、本発明のエッチング方法におけるエッチング操作は、雰囲気を制御する他は従来のシリコン異方性エッチング方法と特に変わる点は無い。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
エッチング液として10.0質量%TMAH水溶液を使用し、図1に示すエッチング装置を用いて次のような手順でシリコンウェハのエッチングを行なった。即ち、先ず装置内を密閉状態にした後、ガス導入孔5から高純度窒素を導入すると共にガス排出孔6から押出されたガスを排出することにより装置内を十分に窒素置換した。その後、窒素を流通させながらエッチング槽8内及び液貯留空間9に新液供給ラインから新液のエッチング液(炭酸イオン濃度:C0=0.14×10−3mol/l)を導入し、窒素を流通させながらエッチング液を80℃まで過熱し、この温度に保持した。エッチングを加熱した後、窒素流通下において蓋3’を開けてエッチング槽内に保持用治具23に保持された被エッチング材料22(シリコンウェハ)を導入し、エッチング液に浸漬させてから蓋3’を閉じ、12時間エッチング(第1回エッチング)を行なった。なお、シリコンウェハは、エッチング速度を決定するためにその表面の一部に熱酸化膜を形成しておいた。エッチング速度は、エッチング終了後におけるエッチング部分と非エッチング部分の高低差をエッチング時間で除することにより求められる。
エッチング液として10.0質量%TMAH水溶液を使用し、図1に示すエッチング装置を用いて次のような手順でシリコンウェハのエッチングを行なった。即ち、先ず装置内を密閉状態にした後、ガス導入孔5から高純度窒素を導入すると共にガス排出孔6から押出されたガスを排出することにより装置内を十分に窒素置換した。その後、窒素を流通させながらエッチング槽8内及び液貯留空間9に新液供給ラインから新液のエッチング液(炭酸イオン濃度:C0=0.14×10−3mol/l)を導入し、窒素を流通させながらエッチング液を80℃まで過熱し、この温度に保持した。エッチングを加熱した後、窒素流通下において蓋3’を開けてエッチング槽内に保持用治具23に保持された被エッチング材料22(シリコンウェハ)を導入し、エッチング液に浸漬させてから蓋3’を閉じ、12時間エッチング(第1回エッチング)を行なった。なお、シリコンウェハは、エッチング速度を決定するためにその表面の一部に熱酸化膜を形成しておいた。エッチング速度は、エッチング終了後におけるエッチング部分と非エッチング部分の高低差をエッチング時間で除することにより求められる。
エッチング終了後、装置内から保持用治具及びシリコンウェハを取り出し、シリコンウェハを純水で洗浄後、上記のようにしてSi(100)面のエッチング速度を求めたところ、0.78μm/分であった。このエッチング速度を基準エッチング速度とした。シリコンウェアーを取り出した後、蓋3’を閉じた状態で窒素置換を行い、エッチング液の過熱を停止し、室温まで冷却した。エッチング液の温度が室温に達した後、窒素の流通を止め、ガス導入孔及びガス排出孔を塞ぐ(これらに連結するラインのバルブを閉じる)ことにより装置内を完全密封状態とし、そのままの状態で5日間放置した。5日間放置後、エッチング液の一部をサンプリングし、エッチング液中の炭酸イオン濃度を測定したところ、0.005mol/lであった。
再び窒素流通下にエッチング液を80℃に過熱し、前記と同様にして新たなシリコンウェハのエッチング(第2回エッチング)を行い、エッチング速度を求めたところ、エッチング速度は同じであった。第2回エッチング終了後、上記と同様にして窒素雰囲気下で更に5日間放置した後、第1回目及び第2回目と同一条件で第3回目のエッチングを行い、エッチング速度を求めたところやはり変化は無かった。なお、第三回めのエッチング開始時のエッチング液中の炭酸イオン濃度は0.009mol/lであった。なお、各エッチング操作中及び保管中にはTMAH濃度をモニターし、自動的に蒸発分の水分を補給し、TMAH濃度が10質量%になるように調節した。
比較例1
実施例1において窒素置換を行なわずに全ての処理を大気開放下で行なう他は同様にして第1〜第3回目のエッチングを行なった。その結果を表1に示す。なお、表1におけるエッチング速度(r1〜r3)は、実施例1の第1回目のエッチング速度(r1)を1.00として表している。
実施例1において窒素置換を行なわずに全ての処理を大気開放下で行なう他は同様にして第1〜第3回目のエッチングを行なった。その結果を表1に示す。なお、表1におけるエッチング速度(r1〜r3)は、実施例1の第1回目のエッチング速度(r1)を1.00として表している。
1:エッチング装置
2:装置本体
3:蓋
4:シール材
5:ガス導入孔
6:ガス排出孔
7:隔壁
8:エッチング槽
9:液貯留空間
10:エッチング液
11:新液供給ライン
12:ポンプ
13:液戻りライン
14:液吸入ライン
15:3方バルブ
16:液抜出しライン
17:バルブ
18:温度計
19:ヒーター
20:コントロールユニット
21:超音波濃度計
22:被エッチング材料
23:保持用治具
2:装置本体
3:蓋
4:シール材
5:ガス導入孔
6:ガス排出孔
7:隔壁
8:エッチング槽
9:液貯留空間
10:エッチング液
11:新液供給ライン
12:ポンプ
13:液戻りライン
14:液吸入ライン
15:3方バルブ
16:液抜出しライン
17:バルブ
18:温度計
19:ヒーター
20:コントロールユニット
21:超音波濃度計
22:被エッチング材料
23:保持用治具
Claims (4)
- 内部に塩基性エッチング液が導入されるエッチング槽を有するエッチング装置を用い、塩基性エッチング液を当該装置内に滞在させて繰り返し使用することによりシリコンの異方性エッチングを行なう方法において、該エッチング装置内に導入された当初の塩基性エッチング液に含まれる炭酸イオンの濃度をC0(mol/l)としたときに、該塩基性エッチング液中に含まれる炭酸イオンの濃度C(mol/l)をC0±0.1(mol/l)(但しCは0以上の実数である)の範囲内に制御して、塩基性エッチング液をエッチング装置内に72時間以上滞在させて使用することを特徴とする前記方法。
- 塩基性エッチング液中に含まれる炭酸イオンの濃度CをC0±0.1(mol/l)以下に制御する方法が、炭酸ガスを実質的に含まない雰囲気下でエッチング液をエッチング装置内に滞在させる方法である請求項1に記載の方法。
- シリコン製構成部材を含む材料を請求項1又は2に記載のエッチング方法によりエッチングする工程を含むことを特徴とするシリコン製物品の製造方法。
- 内部にエッチング液が導入されるエッチング槽と、当該エッチング槽内に導入されたエッチング液の温度を制御する温度制御手段と、前記エッチング槽に導入されたエッチング液を攪拌する攪拌手段とを有するシリコン異方性エッチングを行なうためのエッチング装置において、当該エッチング装置内に導入されたエッチング液が接触する雰囲気を制御する雰囲気制御手段を有することを特徴とする前記エッチング装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2004
- 2004-07-22 JP JP2004214086A patent/JP2006040925A/ja active Pending
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