JP2021136438A - 基板処理装置 - Google Patents

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将也 神谷
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Abstract

【課題】表面性状が異なる基板であっても適切な洗浄処理を行う基板処理装置を提供する。【解決手段】基板処理装置は、基板を回転可能な載置台と、冷却ガスを供給可能な冷却部と、基板の載置台側とは反対の面に液体を供給可能な液体供給部と、基板の回転、冷却ガスの流量及び液体の供給量を制御する制御部と、を備える。制御部は、基板の上にある液体を過冷却状態にする過冷却工程と、液体の一部を凍結させる固液相工程と、液体を凍結させ、凍結膜の温度を低下させて凍結膜にひび割れを生じさせる凍結工程と、を含む第1の凍結洗浄工程と、基板の上にある液体を過冷却状態にする過冷却工程と、液体の一部を凍結させる固液相工程と、液体の解凍を開始する解凍工程と、を含む第2の凍結洗浄工程とのうち、第1の凍結洗浄工程又は第2の凍結洗浄工程に応じて、液体の供給量を制御して、基板の上に形成される液体の液膜の厚みを変更する。【選択図】図4

Description

本発明の実施形態は、基板処理装置に関する。
インプリント用テンプレート、フォトリソグラフィ用マスク、半導体ウェーハなどの基板の表面に付着したパーティクルなどの汚染物を除去する方法として、凍結洗浄法が提案されている。
凍結洗浄法においては、例えば、洗浄に用いる液体として純水を用いる場合、まず、回転させた基板の表面に純水と冷却ガスを供給する。次に、純水の供給を止め、供給した純水の一部を排出して基板の表面に水膜を形成する。水膜は、基板に供給された冷却ガスによって凍結される。水膜が凍結して氷膜が形成される際に、パーティクルなどの汚染物が氷膜に取り込まれることで基板の表面から分離される。次に、氷膜に純水を供給して氷膜を溶融し、純水とともに汚染物を基板の表面から除去する。
ここで、基板には表面性状が異なるものがある。例えば、表面にパターンである凹凸部が形成されている基板と、凹凸部が形成されていない基板とがある。表面性状が異なる基板を同じ工程で洗浄処理すると、汚染物の除去が不充分となったり、凹凸部が破損したりするおそれがある。
そこで、表面性状が異なる基板であっても適切な洗浄処理を行うことができる基板処理装置の開発が望まれていた。
特開2018−026436号公報
本発明が解決しようとする課題は、表面性状が異なる基板であっても適切な洗浄処理を行うことができる基板処理装置を提供することである。
実施形態に係る基板処理装置は、基板を回転可能な載置台と、前記載置台と、前記基板と、の間の空間に、冷却ガスを供給可能な冷却部と、前記基板の、前記載置台側とは反対の面に液体を供給可能な液体供給部と、前記基板の回転、前記冷却ガスの流量、および、前記液体の供給量を制御する制御部と、を備えている。
実施形態に係る基板処理装置は、基板を回転可能な載置台と、前記載置台と、前記基板と、の間の空間に、冷却ガスを供給可能な冷却部と、前記基板の、前記載置台側とは反対の面に液体を供給可能な液体供給部と、前記基板の回転、前記冷却ガスの流量、および、前記液体の供給量を制御する制御部と、を備えている。
前記制御部は、前記基板の前記面の上にある前記液体を過冷却状態にする過冷却工程と、前記液体の一部を凍結させる固液相工程と、記液体を凍結させて凍結膜を生成し、前記凍結膜の温度を低下させて前記凍結膜にひび割れを生じさせる凍結工程と、を含む第1の凍結洗浄工程と、前記基板の前記面の上にある前記液体を過冷却状態にする過冷却工程と、前記液体の一部を凍結させる固液相工程と、固液相の状態となった前記液体の解凍を開始する解凍工程と、を含む第2の凍結洗浄工程とのうち、選択された、前記第1の凍結洗浄工程、または、前記第2の凍結洗浄工程に応じて、前記液体の供給量を制御して、前記基板の前記面の上に形成される前記液体の液膜の厚みを変更する。
本発明の実施形態によれば、表面性状が異なる基板であっても適切な洗浄処理を行うことができる基板処理装置が提供される。
本実施の形態に係る基板処理装置を例示するための模式図である。 本実施の形態に係る基板処理装置の制御部を例示するための模式図である。 基板処理装置の作用を例示するためのタイミングチャートである。 第1の凍結洗浄工程における基板100に供給された液体101の温度変化を例示するためのグラフである。 液体の水の、温度と密度との関係、および、固体の水の、温度と密度との関係を例示するためのグラフである。 水の、過冷却状態からの凍結開始時の温度と、膨張率との関係を例示するためのグラフである。 (a)、(b)は、汚染物の分離メカニズムを例示するための模式図である。 液膜の厚みと、第1の凍結洗浄工程の繰り返し数との関係を例示するためのグラフである。 基板処理装置の作用を例示するためのタイミングチャートである。 第2の凍結洗浄工程における温度変化を例示するためのグラフである。 凍結開始時の温度と、液体と固体の割合との関係を例示するためのグラフである。 凍結開始時の温度と、第2の凍結洗浄工程の回数との関係を例示するための表である。 凍結洗浄工程のフローチャートである。 凍結洗浄工程を繰り返し行う場合の冷却工程および解凍工程のフローチャートである。 凍結洗浄工程を繰り返し行う場合の冷却工程および解凍工程のフローチャートである。 凍結洗浄工程を繰り返し行う場合の冷却工程および解凍工程のフローチャートである。 凍結開始時の温度と、凍結工程(固液相)における液体と固体を含めた膜の膨張率との関係を例示するためのグラフである。 凍結洗浄工程の繰り返しと汚染物の除去率を例示するためのグラフである。 他の実施形態に係る基板処理装置を例示するための模式図である。 他の実施形態に係る基板処理装置の制御部を例示するための模式図である。
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
以下に例示をする基板100は、例えば、半導体ウェーハ、インプリント用テンプレート、フォトリソグラフィ用マスク、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)に用いられる板状体などとすることができる。
なお、基板100の表面には、パターンである凹凸部が形成されていてもよいし、凹凸部が形成される前の基板(例えば、いわゆるバルク基板)であってもよい。ただし、基板処理装置1の用途は、例示をした基板100に限定されるわけではない。
また、以下においては、一例として、基板100が、フォトリソグラフィ用マスクである場合を説明する。基板100が、フォトリソグラフィ用マスクである場合には、基板100の平面形状は、略四角形とすることができる。
図1は、本実施の形態に係る基板処理装置1を例示するための模式図である。
図2は、本実施の形態に係る基板処理装置の制御部9を例示するための模式図である。
図1に示すように、基板処理装置1には、載置部2、冷却部3、第1液体供給部4、第2液体供給部5、筐体6、送風部7、検出部8、制御部9、および排気部11が設けられている。また、図2に示すように、制御部9には、機構制御部9a、設定部9b、記憶部9c、除去率算出部9d(処理回数算出部)が設けられている。
載置部2は、載置台2a、回転軸2b、および駆動部2cを有する。
載置台2aは、筐体6の内部に回転可能に設けられている。載置台2aは、板状を呈している。載置台2aの一方の主面には、基板100を支持する複数の支持部2a1が設けられている。基板100を複数の支持部2a1に支持させる際には、基板100の表面100b(洗浄を行う側の面)が、載置台2a側とは反対の方を向くようにする。
複数の支持部2a1には、基板100の裏面100aの縁(エッジ)が接触する。支持部2a1の、基板100の裏面100aの縁と接触する部分は、テーパ面または傾斜面とすることができる。支持部2a1の、基板100の裏面100aの縁と接触する部分が、テーパ面となっていれば、支持部2a1と、基板100の裏面100aの縁とを点接触させることができる。支持部2a1の、基板100の裏面100aの縁と接触する部分が、傾斜面となっていれば、支持部2a1と、基板100の裏面100aの縁とを線接触させることができる。支持部2a1と、基板100の裏面100aの縁とを点接触または線接触させれば、基板100に汚れや損傷などが発生するのを抑制することができる。
また、載置台2aの中央部分には、載置台2aの厚み方向を貫通する孔2aaが設けられている。
回転軸2bの一方の端部は、載置台2aの孔2aaに嵌合されている。回転軸2bの他方の端部は、筐体6の外部に設けられている。回転軸2bは、筐体6の外部において駆動部2cと接続されている。
回転軸2bは、筒状を呈している。回転軸2bの載置台2a側の端部には、吹き出し部2b1が設けられている。吹き出し部2b1は、載置台2aの、複数の支持部2a1が設けられる面に開口している。吹き出し部2b1の開口側の端部は、孔2aaの内壁に接続されている。吹き出し部2b1の開口は、載置台2aに載置された基板100の裏面100aに対向している。
吹き出し部2b1は、載置台2a側(開口側)になるに従い断面積が大きくなる形状を有している。そのため、吹き出し部2b1の内部の孔は、載置台2a側(開口側)になるに従い断面積が大きくなる。なお、回転軸2bの先端に吹き出し部2b1を設ける場合を例示したが、吹き出し部2b1は、後述の冷却ノズル3dの先端に設けることもできる。また、載置台2aの孔2aaを吹き出し部2b1とすることもできる。
吹き出し部2b1を設ければ、放出された冷却ガス3a1を、基板100の裏面100aのより広い領域に供給することができる。また、冷却ガス3a1の放出速度を低下させることができる。そのため、基板100が部分的に冷却されたり、基板100の冷却速度が速くなりすぎたりするのを抑制することができる。その結果、後述する液体101の過冷却状態を生じさせることが容易となる。また、基板100の表面100bのより広い領域において、液体101の過冷却状態を生じさせることができる。そのため、汚染物の除去率を向上させることができる。
回転軸2bの、載置台2a側とは反対側の端部には、冷却ノズル3dが取り付けられている。回転軸2bの、載置台2a側とは反対側の端部と、冷却ノズル3dとの間には、図示しない回転軸シールが設けられている。そのため、回転軸2bの、載置台2a側とは反対側の端部は、気密となるように封止されている。
駆動部2cは、筐体6の外部に設けられている。駆動部2cは、回転軸2bと接続されている。駆動部2cは、モータなどの回転機器を有することができる。駆動部2cの回転力は、回転軸2bを介して載置台2aに伝達される。そのため、駆動部2cにより載置台2a、ひいては載置台2aに載置された基板100を回転させることができる。
また、駆動部2cは、回転の開始と回転の停止のみならず、回転数(回転速度)を変化させることができる。駆動部2cは、例えば、サーボモータなどの制御モータを備えたものとすることができる。
冷却部3は、載置台2aと、基板100の裏面100aと、の間の空間に、冷却ガス3a1を供給する。冷却部3は、冷却液部3a、フィルタ3b、流量制御部3c、および冷却ノズル3dを有する。冷却液部3a、フィルタ3b、および流量制御部3cは、筐体6の外部に設けられている。
冷却液部3aは、冷却液の収納、および冷却ガス3a1の生成を行う。冷却液は、冷却ガス3a1を液化したものである。冷却ガス3a1は、基板100の材料と反応し難いガスであれば特に限定はない。冷却ガス3a1は、例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどの不活性ガスとすることができる。
この場合、比熱の高いガスを用いれば基板100の冷却時間を短縮することができる。例えば、ヘリウムガスを用いれば基板100の冷却時間を短縮することができる。また、窒素ガスを用いれば基板100の処理費用を低減させることができる。
冷却液部3aは、冷却液を収納するタンクと、タンクに収納された冷却液を気化させる気化部とを有する。タンクには、冷却液の温度を維持するための冷却装置が設けられている。気化部は、冷却液の温度を上昇させて、冷却液から冷却ガス3a1を生成する。気化部は、例えば、外気温度を利用したり、熱媒体による加熱を用いたりすることができる。冷却ガス3a1の温度は、液体101の凝固点以下の温度であればよく、例えば、−170℃とすることができる。
なお、冷却液部3aが、タンクに収納された冷却液を気化させることで冷却ガス3a1を生成する場合を例示したが、窒素ガス等をチラーなどで冷却し、冷却ガス3a1とすることもできる。この様にすれば、冷却液部を簡素化できる。
フィルタ3bは、配管を介して、冷却液部3aに接続されている。フィルタ3bは、冷却液に含まれていたパーティクルなどの汚染物が、基板100側に流出するのを抑制する。
流量制御部3cは、配管を介して、フィルタ3bに接続されている。流量制御部3cは、冷却ガス3a1の流量を制御する。流量制御部3cは、例えば、MFC(Mass Flow Controller)などとすることができる。また、流量制御部3cは、冷却ガス3a1の供給圧力を制御することで冷却ガス3a1の流量を間接的に制御するものであってもよい。この場合、流量制御部3cは、例えば、APC(Auto Pressure Controller)などとすることができる。
冷却液部3aにおいて冷却液から生成された冷却ガス3a1の温度は、ほぼ所定の温度となっている。そのため、流量制御部3cにより、冷却ガス3a1の流量を制御することで基板100の温度、ひいては基板100の表面100bにある液体101の温度を制御することができる。この場合、流量制御部3cにより、冷却ガス3a1の流量を制御することで、後述する第1の冷却工程および第2の冷却工程において液体101の過冷却状態を生じさせることができる。
冷却ノズル3dは、筒状を呈している。冷却ノズル3dの一方の端部は、流量制御部3cに接続されている。冷却ノズル3dの他方の端部は、回転軸2bの内部に設けられている。冷却ノズル3dの他方の端部は、吹き出し部2b1の、載置台2a側(開口側)とは反対の端部の近傍に位置している。
冷却ノズル3dは、流量制御部3cにより流量が制御された冷却ガス3a1を基板100に供給する。冷却ノズル3dから放出された冷却ガス3a1は、吹き出し部2b1を介して、基板100の裏面100aに直接供給される。
第1液体供給部4は、基板100の表面100bに液体101を供給する。後述する凍結工程(固液相)において、液体101は、固体に変化する際に汚染物を凍結の起点とする。また、液体101が凍結時に体積膨張することで、凍結の起点となった汚染物に基板100の表面から引き離す力が生じる。また、液体101が固体に変化すると体積が変化するので圧力波が生じる。この圧力波により、基板100の表面100bに付着している汚染物が分離されると考えられる。そのため、液体101は、基板100の材料と反応し難いものであれば特に限定はない。なお、過冷却状態の液体101は、液膜の温度不均一による密度変化、パーティクルなどの汚染物の存在、振動などが凍結開始の起点となる性質も有する。つまり、凍結開始の起点の何割かは、汚染物となる性質も有する。
なお、液体101を凍結した際に体積が増える液体とすれば、体積増加に伴う物理力を利用して、基板100の表面に付着している汚染物を分離できるとも考えられる。そのため、液体101は、基板100の材料と反応し難く、且つ、凍結した際に体積が増える液体とすることが好ましい。例えば、液体101は、水(例えば、純水や超純水など)や、水を主成分とする液体などとすることができる。
水を主成分とする液体は、例えば、水とアルコールの混合液、水と酸性溶液の混合液、水とアルカリ溶液の混合液などとすることができる。
水とアルコールの混合液とすれば表面張力を低下させることができるので、基板100の表面100bに形成された微細な凹凸部の内部に液体101を供給するのが容易となる。
水と酸性溶液の混合液とすれば、基板100の表面に付着したパーティクルやレジスト残渣などの汚染物を溶解することができる。例えば、水と硫酸などの混合液とすれば、レジストや金属からなる汚染物を溶解することができる。
水とアルカリ溶液の混合液とすれば、ゼータ電位を低下させることができるので、基板100の表面100bから分離させた汚染物が基板100の表面100bに再付着するのを抑制することができる。
ただし、水以外の成分が余り多くなると、体積増加に伴う物理力を利用することが難しくなるので、汚染物の除去率が低下するおそれがある。そのため、水以外の成分の濃度は、5wt%以上、30wt%以下とすることが好ましい。
また、液体101にはガスを溶存させることができる。ガスは、例えば、炭酸ガス、オゾンガス、水素ガスなどとすることができる。液体101に炭酸ガスを溶存させれば、液体101の導電率を高めることができるので、基板100の除電や帯電防止を行うことができる。液体101にオゾンガスを溶存させれば、有機物からなる汚染物を溶解することができる。
第1液体供給部4は、液体収納部4a、供給部4b、流量制御部4c、および液体ノズル4dを有する。液体収納部4a、供給部4b、および流量制御部4cは、筐体6の外部に設けられている。
液体収納部4aは、前述した液体101を収納する。液体101は、凝固点よりも高い温度で液体収納部4aに収納される。液体101は、例えば、常温(20℃)で収納される。
供給部4bは、配管を介して、液体収納部4aに接続されている。供給部4bは、液体収納部4aに収納されている液体101を液体ノズル4dに向けて供給する。供給部4bは、例えば、液体101に対する耐性を有するポンプなどとすることができる。なお、供給部4bがポンプである場合を例示したが、供給部4bはポンプに限定されるわけではない。例えば、供給部4bは、液体収納部4aの内部にガスを供給し、液体収納部4aに収納されている液体101を圧送するものとしてもよい。
流量制御部4cは、配管を介して、供給部4bに接続されている。流量制御部4cは、供給部4bにより供給された液体101の流量を制御する。流量制御部4cは、例えば、流量制御弁とすることができる。また、流量制御部4cは、液体101の供給の開始と供給の停止をも行うことができる。
液体ノズル4dは、筐体6の内部に設けられている。液体ノズル4dは、筒状を呈している。液体ノズル4dの一方の端部は、配管を介して、流量制御部4cに接続されている。液体ノズル4dの他方の端部は、載置台2aに載置された基板100の表面100bに対向している。そのため、液体ノズル4dから吐出した液体101は、基板100の表面100bに供給される。
また、液体ノズル4dの他方の端部(液体101の吐出口)は、基板100の表面100bの略中央に位置している。液体ノズル4dから吐出した液体101は、基板100の表面100bの略中央から拡がり、基板100の表面100bで略一定の厚みを有する液膜が形成される。なお、以下においては、基板100の表面100bに形成された液体101の膜を液膜と称する。
第2液体供給部5は、基板100の表面100bに液体102を供給する。第2液体供給部5は、液体収納部5a、供給部5b、流量制御部5c、および液体ノズル4dを有する。
液体102は、後述する解凍工程において用いることができる。そのため、液体102は、基板100の材料と反応し難く、且つ、後述する乾燥工程において基板100の表面100bに残留し難いものであれば特に限定はない。液体102は、例えば、水(例えば、純水や超純水など)や、水とアルコールの混合液などとすることができる。
液体収納部5aは、前述した液体収納部4aと同様とすることができる。供給部5bは、前述した供給部4bと同様とすることができる。流量制御部5cは、前述した流量制御部4cと同様とすることができる。
なお、液体102と液体101が同じである場合には、第2液体供給部5を省くことができる。また、液体ノズル4dを兼用する場合を例示したが、液体101を吐出する液体ノズルと、液体102を吐出する液体ノズルを別々に設けることもできる。
また、液体102の温度は、液体101の凝固点よりも高い温度とすることができる。また、液体102の温度は、凍結した液体101を解凍できる温度とすることもできる。液体102の温度は、例えば、常温(20℃)程度とすることができる。
なお、第2液体供給部5が省かれる場合には、解凍工程において、第1液体供給部4を用いる。つまり、液体101を用いる。液体101の温度は、凍結した液体101を解凍できる温度とすることもできる。液体101の温度は、例えば、常温(20℃)程度とすることができる。
筐体6は、箱状を呈している。筐体6の内部にはカバー6aが設けられている。カバー6aは、基板100に供給され、基板100が回転することで基板100の外部に排出された液体101、102を受け止める。カバー6aは、筒状を呈している。カバー6aの、載置台2a側とは反対側の端部の近傍(カバー6aの上端近傍)は、カバー6aの中心に向けて屈曲している。そのため、基板100の上方に飛び散る液体101、102の捕捉を容易とすることができる。
また、筐体6の内部には仕切り板6bが設けられている。仕切り板6bは、カバー6aの外面と、筐体6の内面との間に設けられている。
筐体6の底面側の側面には複数の排出口6cが設けられている。図1に例示をした筐体6の場合には、排出口6cが2つ設けられている。使用済みの冷却ガス3a1、空気7a、液体101、および液体102は、排出口6cから筐体6の外部に排出される。排出口6cには排気管6c1が接続され、排気管6c1には使用済みの冷却ガス3a1、空気7aを排気する排気部(ポンプ)11が接続されている。また、排出口6cには液体101、102を排出する排出管6c2が接続されている。
排出口6cは基板100よりも下方に設けられている。そのため、冷却ガス3a1が排出口6cから排気されることでダウンフローの流れが作りだされる。その結果、パーティクルの舞い上がりを防ぐことができる。
平面視において、複数の排出口6cは、筐体6の中心に対して対称となるように設けられている。この様にすれば、筐体6の中心に対して、冷却ガス3a1の排気方向が対称となる。冷却ガス3a1の排気方向が対称となれば、冷却ガス3a1の排気が円滑となる。
送風部7は、筐体6の天井面に設けられている。なお、送風部7は、天井側であれば、筐体6の側面に設けることもできる。送風部7は、ファンなどの送風機とフィルタを備えることができる。フィルタは、例えば、HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)などとすることができる。
送風部7は、仕切り板6bと筐体6の天井との間の空間に空気7a(外気)を供給する。そのため、仕切り板6bと筐体6の天井との間の空間の圧力が外部の圧力より高くなる。その結果、送風部7により供給された空気7aを排出口6cに導くことが容易となる。また、パーティクルなどの汚染物が、排出口6cから筐体6の内部に侵入するのを抑制することができる。
また、送風部7は、基板100の表面100bに室温の空気7aを供給する。そのため、送風部7は、空気7aの供給量を制御することによって基板100の上の液体101、102の温度を変化させることができる。そのため、送風部7は、後述する過冷却工程において液体101の過冷却状態を制御したり、解凍工程において液体101の解凍を促進させたり、乾燥工程において液体102の乾燥を促進させたりすることもできる。
検出部8は、仕切り板6bと筐体6の天井との間の空間に設けられている。検出部8は、液膜や、液体101が凍結した凍結膜の温度を検出する。この場合、検出部8は、例えば、放射温度計、サーモビューア、熱電対、測温抵抗体とすることができる。また、検出部8は、液膜の厚みや、凍結膜の表面位置を検出するものとしてもよい。この場合、検出部8は、例えば、レーザ変位計、超音波変位計などとすることができる。また、検出部8は、過冷却状態の液体101の白濁状態や、凍結膜の表面状態(例えば、ひび割れの発生)を検出するセンサなどとしてもよい。例えば、検出部8は、屈折率計、レーザ変位計、画像センサなどとすることができる。
検出された液膜の温度、厚み、表面状態は、後述する過冷却工程において液体101の過冷却状態を制御するのに用いることができる。なお、過冷却状態を制御するとは、過冷却状態にある液体101の温度変化のカーブを制御して、液体101が急激に冷却されることで凍結しないようにすること、すなわち、過冷却状態が維持されるようにすることである。
また、検出された凍結膜の温度、厚み、表面状態は、後述する凍結工程(固相)において、「ひび割れの発生」を検出するのに用いることができる。例えば、検出部8が温度を検出するものである場合には、後述する凍結工程(固相)において、凍結膜の温度から「ひび割れの発生」を間接的に検出することができる。検出部8が厚みを検出するものである場合には、後述する凍結工程(固相)において、凍結膜の表面位置の変化から「ひび割れの発生」を検出することができる。検出部8が表面状態を検出するものである場合には、後述する凍結工程(固相)において、凍結膜の表面状態から「ひび割れの発生」を検出することができる。
入出力画面(装置)12は、操作者が後述の制御部9を介して基板処理装置1を操作するための入力手段と、基板処理装置1の状態を確認するための情報を操作者が視認できるようにする出力手段とを備える。入力手段は、例えば、スイッチ、タッチパネル、キーボード、マウス等である。出力手段は、例えば、ディスプレイ、ランプ、メータ等である。
制御部9は、基板処理装置1に設けられた各要素の動作を制御する。図2に、制御部9の構成の一例を例示する。制御部9は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの演算素子と、半導体メモリなどの記憶部9cを有することができる。制御部9は、例えば、コンピュータとすることができる。例えば、図2に例示した機構制御部9a、設定部9b、および除去率算出部(処理回数算出部)9dは、演算素子とすることができる。記憶部9cには、基板処理装置1に設けられた各要素の動作を制御する制御プログラムや、凍結開始時の温度と汚染物の除去率との関係に関するデータなどを格納することができる。演算素子は、記憶部9cに格納されている制御プログラム、入出力画面(装置)12を介して操作者により入力されたデータ、凍結開始時の温度と汚染物の除去率との関係に関するデータ、カウンターによってカウントされた冷却工程の回数のデータ、検出部8からのデータなどを用いて、基板処理装置1に設けられた各要素の動作を制御する。
なお、凍結開始時の温度と汚染物の除去率との関係に関するデータの詳細については後述する。
制御プログラムおよび操作者により入力されたデータは、設定部9bにより記憶部9c(記憶素子)に記憶されるのに最適な状態に設定された後、記憶素子に記憶される。また、設定部9bは、操作者により出力を求められたデータを入出力画面に表示させるのに最適な状態へと再変換し、入出力画面(装置)12に表示させる。
また、設定部9bは、操作者により入力された基板8の品種情報を含むデータから実行する凍結洗浄工程を選択する。その後、選択された結果を信号として出力する。設定部9bから出力された信号は、記憶部9cに記憶される。記憶部9cは、選択された凍結洗浄工程に必要な情報を機構制御部9aに出力する。
本実施の形態に係る基板処理装置1においては、基板100の表面性状(例えば、凹凸部の有無)に応じて、後述する第1の凍結洗浄工程、または、第2の凍結洗浄工程を選択して実行することができる。この選択は、作業者が基板処理装置1にデータを入力することで行うことができる。
例えば、制御部9は、選択された、第1の凍結洗浄工程、または、第2の凍結洗浄工程に応じて、液体101の供給量を制御して、基板100の表面100bの上に形成される液体101の液膜の厚みを変更する。
例えば、制御部9は、基板100の回転、および冷却ガス3a1の流量の少なくともいずれかを制御することで、前述の液膜を過冷却状態にする過冷却工程と、液膜の一部を凍結させる凍結工程(固液相)と、液膜を凍結させて凍結膜を生成し、凍結膜の温度を低下させて凍結膜にひび割れを生じさせる凍結工程(固相)と、を含む第1の凍結洗浄工程を実行する。この際、制御部9は、液体101の供給量を制御して、液体101の液膜の厚みを300〜1300μm程度にする。
例えば、制御部9は、基板100の回転、および冷却ガス3a1の流量の少なくともいずれかを制御することで、基板100の表面100bの上にある液体101を過冷却状態にする過冷却工程と、液体101の液膜の一部を凍結させる凍結工程(固液相)と、凍結開始から所定の時間経過後に固液相の状態となった液体101の解凍を開始する解凍工程と、を含む第2の凍結洗浄工程を実行する。なお、固液相に関する詳細は後述する。
また、制御部9は、液膜の形成工程において、基板100の表面100bに液体101の液膜を形成する際に、基板100の回転を停止させる。
あるいは、制御部9は、基板100の表面100bに液体101の液膜を形成する際に、基板100の回転数を50rpm以下とすることもできる。この際、制御部9は、液体101の供給量を制御して、液体101の液膜の厚みを100μm以上にする。
ところで、液体101の冷却速度は、液膜の厚みと相関関係がある。例えば、液膜の厚みが薄くなる程、液体101の冷却速度が速くなる。逆に、液膜の厚みが厚くなる程、液体101の冷却速度が遅くなる。そのため、制御部9は、検出部8により検出された液体101の厚み(液膜の厚み)に基づいて、冷却ガス3a1の流量、ひいては液体101の冷却速度を制御することができる。なお、液体101の温度や冷却速度の制御は、後述する過冷却工程において液体101の過冷却状態を制御する際に行われる。そのため、例えば、制御部9は、基板100の回転、冷却ガス3a1の流量、および、液体101の供給量を制御することができる。
次に、基板処理装置1の作用について例示をする。
図3は、基板処理装置1の作用を例示するためのタイミングチャートである。
図4は、第1の凍結洗浄工程における基板100に供給された液体101の温度変化を例示するためのグラフである。
なお、図3および図4は、基板100が6025クオーツ(Qz)基板(152mm×152mm×6.35mm)、液体101が純水の場合である。
まず、筐体6の図示しない搬入搬出口を介して、基板100が筐体6の内部に搬入される。搬入された基板100は、載置台2aの複数の支持部2a1の上に載置、支持される。
基板100が載置台2aに支持された後に、図3に示すように予備工程、液膜の形成工程、第1の冷却工程、解凍工程、乾燥工程を含む第1の凍結洗浄工程が行われる。
まず、図3および図4に示すように予備工程が実行される。予備工程においては、制御部9が、供給部4bおよび流量制御部4cを制御して、基板100の表面100bに、所定の流量の液体101を供給する。また、制御部9が、流量制御部3cを制御して、基板100の裏面100aに、所定の流量の冷却ガス3a1を供給する。また、制御部9が、駆動部2cを制御して、基板100を第2の回転数で回転させる。
ここで、冷却部3による冷却ガス3a1の供給により筐体6内の雰囲気が冷やされると、雰囲気中のダストを含んだ霜が基板100に付着し、汚染の原因となる可能性がある。予備工程においては、基板100の表面100bに液体101を供給し続けているので、基板100を均一に冷却しつつ、基板100の表面100bへの霜の付着を防止することができる。
例えば、図3に例示したものの場合には、基板100の回転数は、第2の回転数として、例えば、50rpm〜500rpm程度とできる。また、液体101の流量は、0.1L/min〜1.0L/min程度とできる。また、冷却ガス3a1の流量は、40NL/min〜200NL/min程度とできる。また、予備工程の工程時間を1800秒程度とすることができる。なお、予備工程の工程時間は、基板100の面内温度が略均一となる時間であればよく、予め実験やシミュレーションを行うことで求めることができる。
予備工程における液膜の温度は、液体101がかけ流し状態であるため、供給される液体101の温度とほぼ同じとなる。例えば、供給される液体101の温度が常温(20℃)程度である場合、液膜の温度は常温(20℃)程度となる。
次に、図3および図4に示すように液膜の形成工程が実行される。液膜の形成工程においては、予備工程において供給されていた液体101の供給を停止する。すると、基板100の回転が維持されているので、基板100の表面100bにある液体101が排出される。そして、遠心力により液膜の厚みがばらつくのを抑制することができる回転数(第1の回転数)まで基板100の回転数を減速させる。第1の回転数は、例えば、0〜50rpmの範囲とすればよい。基板100の回転数を第1の回転数とした後に、所定の量の液体101を基板100に供給して液膜を形成する。このとき、前述の通り振動などにより凍結が開始されてしまうので、液体101の供給は、凍結が開始されない範囲とすればよい。なお、液膜の形成工程の間、冷却ガス3a1の流量は、予備工程と同じ供給量に維持されている。前述の通り、予備工程において基板100の面内温度を略均一とした状態としている。液膜の形成工程において、冷却ガス3a1の流量を予備工程と同じ供給量に維持することで、基板100の状態を面内温度が略均一となった状態に維持することができる。
基板100の回転数を50rpm以下とすれば、遠心力による液膜の厚みがばらつくのを抑制できるので、均一な厚みの液膜が形成され易くなる。また、基板100の回転を停止させれば、遠心力により液膜の厚みがばらつくのを抑制することができる。
後述するように、液膜の形成工程において形成される液膜の厚み(冷却工程を行う際の液膜の厚み)は、300μm〜1300μm程度とすることができる。例えば、制御部9は、液体101の供給量および基板100の回転数を制御して、基板100の表面100bの上にある液膜の厚みを300μm〜1300μm程度にする。
なお、液膜の厚みに関する詳細は後述する。
次に、図3および図4に示すように第1の冷却工程が実行される。なお、本実施の形態では、第1の冷却工程のうち、過冷却状態となった液体101の凍結が始まる前までの間を「過冷却工程」、過冷却状態の液体101の凍結が開始し、凍結が完全に完了する前までの間を「凍結工程(固液相)」、凍結した液体101をさらに冷却してひび割れを生じさせるまでの間を「凍結工程(固相)」と呼称する。過冷却工程では、基板100の表面100bに液体101のみが存在する。凍結工程(固液相)では、基板100の表面100bに、液体101と液体101が凍結したものが存在する。凍結工程(固相)では、基板100の表面100bに、液体101が凍結したもののみが存在する。なお、固液相とは、液体101と液体101が凍結したものとが、全体的に存在している状態を意味する。また、液体101が凍結したもののみとなった状態を凍結膜101aと呼ぶ。
まず、過冷却工程では、基板100の裏面100aに供給され続けている冷却ガス3a1により、基板100上の液膜の温度が、液膜の形成工程における液膜の温度よりもさらに下がり、過冷却状態となる。
ここで、液体101の冷却速度が余り速くなると液体101が過冷却状態とならず、すぐに凍結してしまう。そのため、制御部9は、基板100の回転数、冷却ガス3a1の流量、および、液体101の供給量の少なくともいずれかを制御することで、基板100の表面100bの液体101が過冷却状態となるようにする。
液体101が過冷却状態となる制御条件は、基板100の大きさ、液体101の粘度、冷却ガス3a1の比熱などの影響を受ける。そのため、液体101が過冷却状態となる制御条件は、実験やシミュレーションを行うことで適宜決定することが好ましい。
過冷却状態においては、例えば、液膜の温度、パーティクルなどの汚染物や気泡の存在、振動などにより、液体101の凍結が開始する。例えば、パーティクルなどの汚染物が存在する場合、液体101の温度Tが、−35℃以上、−20℃以下になると液体101の凍結が開始する。また、基板100の回転を変動させるなどして液体101に振動を加えることで、液体101の凍結を開始させることもできる。
過冷却状態の液体101の凍結が開始すると、過冷却工程から凍結工程(固液相)に移行する。凍結工程(固液相)においては、基板100の表面100bに、液体101と液体101が凍結したものが全体的に存在する。前述したように、過冷却状態の液体101は、凍結開始の起点の何割かが汚染物となる性質を持つ。この性質や、液体101が固体に変化した際の体積変化に伴う圧力波や、体積増加に伴う物理力などにより、基板100の表面100bに付着している汚染物が分離されると考えられている。そのため、液体101の一部が凍結した際に生じた圧力波や物理力などにより、基板100の表面100bに付着している汚染物を分離することができる。
基板100の表面100bの液膜が完全に凍結すると、凍結工程(固液相)から凍結工程(固相)に移行する。凍結工程(固相)においては、基板100の表面100bの凍結膜101aの温度がさらに低下する。ここで、液体101には、主に、水が含まれている。そのため、基板100の表面100bの液膜が完全に凍結して凍結膜101aが形成され、凍結膜101aの温度がさらに低下すると、凍結膜101aの体積が縮小して凍結膜101aに応力が発生する。
この場合、例えば、凍結膜101aの温度が−50℃以下になると、凍結膜101aにひび割れが発生する。凍結膜101aにひび割れが発生すると、基板100の表面100bに付着していた汚染物103が基板100の表面100bから分離される。汚染物103が基板100の表面100bから分離されるメカニズムは必ずしも明らかではないが、以下の様に考えることができる。
図7(a)、(b)は、汚染物103の分離メカニズムを例示するための模式図である。
図7(a)に示すように、凍結工程(固相)において、凍結膜101aの温度が低下すると、凍結膜101aの熱膨張係数と、基板100の熱膨張係数との差に応じた応力Fが発生する。
そして、図7(b)に示すように、凍結膜101aの温度がさらに低下する(例えば、−50℃以下になる)と、増大した応力Fに耐えきれずに凍結膜101aにひび割れが発生する。この場合、一般的に、水を主成分とする凍結膜101aの熱膨張係数は、基板100の熱膨張係数よりも大きいので、図7(b)に示すように、凍結膜101aが外部に向けて凸状に変形してひび割れが発生する。
凍結膜101aには汚染物103が取り込まれているので、凍結膜101aが外部に向けて凸状に変形した際(ひび割れが発生した際)に、図7(b)に示すように、汚染物103が基板100の表面100bから分離される。
また、本発明者の得た知見によれば、過冷却工程を行う際の液膜の厚みを厚くすると、凍結工程(固相)において汚染物103の除去率が向上することが判明した。この場合、凍結工程(固相)において汚染物103の除去率が向上すれば、第1の凍結洗浄工程を複数回繰り返して行う際に実行回数を低減させることができる。そのため、凍結洗浄作業の時間の短縮、ひいては生産性の向上を図ることができる。
図8は、液膜の厚みと、第1の凍結洗浄工程の繰り返し数との関係を例示するためのグラフである。なお、図中の回数は、第1の凍結洗浄工程の繰返し回数である。また、遠心力の影響を除くため、第1の回転数を0rpmとした。このため、基板100の表面100b上に均一に液膜を形成できる厚みは、300μmであった。
図8から分かるように、繰り返し回数が同じ場合、第1の冷却工程を行う際の液膜の厚みを300μm以上とすれば、汚染物103の除去率を向上させることができる。また、液膜の厚みを600μm以上とすれば、汚染物103の除去率をさらに向上させることができる。この場合、液膜の最大厚みは、1300μm程度とできる。しかし、1300μm程度まで厚くすると、50rpm以下の回転数としても、液膜の一部が基板100からこぼれてしまうおそれがある。そのため、液膜の最大厚みは、1200μm程度とすることができる。そのため、第1の冷却工程を行う際の液膜の厚みは、300μm以上、1200μm以下とすることが好ましく、600μm以上、1200μm以下とすることがさらに好ましい。
この様な厚みを有する液膜は、前述した液膜の形成工程において容易に形成することができる。また、液膜の厚みをこの様にすれば、汚染物103の除去率が向上するので、第1の凍結洗浄工程の実行回数を減らすことが可能となる。そのため、凍結洗浄作業の時間の短縮、ひいては生産性の向上を図ることができる。
次に、凍結膜101aにひび割れが発生した後に、図3および図4に示すように解凍工程が実行される。ひび割れの発生は、検出部8により検出することができる。例えば、検出部8が温度を検出するものである場合には、凍結工程(固相)において、凍結膜101aの温度(例えば、−50℃以下)から「ひび割れの発生」を間接的に検出することができる。検出部8が厚みを検出するものである場合には、凍結工程(固相)において、凍結膜101aの表面位置の変化から「ひび割れの発生」を検出することができる。検出部8が画像センサである場合には、凍結工程(固相)において、画像処理により「ひび割れの発生」を検出することができる。
なお、図3および図4に例示をしたものは、液体101と液体102が同じ液体の場合である。そのため、図3および図4では液体101と記載している。解凍工程においては、制御部9が、供給部4bおよび流量制御部4cを制御して、基板100の表面100bに、所定の流量の液体101を供給する。なお、液体101と液体102が異なる場合には、制御部9が、供給部5bおよび流量制御部5cを制御して、基板100の表面100bに、所定の流量の液体102を供給する。
また、制御部9が、流量制御部3cを制御して、冷却ガス3a1の供給を停止させる。また、制御部9が、駆動部2cを制御して、基板100の回転数を第3の回転数に増加させる。第3の回転数は、例えば、200rpm〜700rpm程度とすることができる。基板100の回転が速くなれば、液体101と液体101が凍結したものとを遠心力で振り切ることができる。そのため、液体101と液体101が凍結したものとを基板100の表面100bから排出することができる。この際、基板100の表面100bから分離された汚染物103も液体101と液体101が凍結したものとともに排出される。
なお、液体101または液体102の供給量は、解凍ができるのであれば特に限定はない。また、基板100の第3の回転数は、液体101、液体101が凍結したもの、および汚染物103が排出できるのであれば特に限定はない。
次に、図3および図4に示すように乾燥工程が実行される。乾燥工程においては、制御部9が、供給部4bおよび流量制御部4cを制御して、液体101の供給を停止させる。なお、液体101と液体102が異なる液体の場合には、制御部9が、供給部5bおよび流量制御部5cを制御して、液体102の供給を停止させる。
また、制御部9が、駆動部2cを制御して、基板100の回転数を第3の回転数よりも速い第4の回転数に増加させる。基板100の回転が速くなれば、基板100の乾燥を迅速に行うことができる。なお、基板100の第4の回転数は、乾燥ができるのであれば特に限定はない。
凍結洗浄が終了した基板100は、筐体6の図示しない搬入搬出口を介して、筐体6の外部に搬出される。
以上の様にすることで、1回の凍結洗浄工程を行うことができる。
なお、前述のように、第1の凍結洗浄工程は複数回行われる場合がある。そのため、次の第1の凍結洗浄工程が実施されるのであれば、当該第1の凍結洗浄工程の乾燥工程においては、基板100の表面100bを完全に乾燥させる必要はない。また、解凍工程において液体101および汚染物が排出されるので、次の第1の凍結洗浄工程が実施されるのであれば、当該第1の凍結洗浄工程の乾燥工程を省くこともできる。
例えば、第1の凍結洗浄工程は、基板100の表面100bに所定の厚みを有する液膜を形成する液膜の形成工程と、液膜を過冷却状態にする過冷却工程と、液体101の一部を凍結させる凍結工程(固液相)と、液体101を完全に凍結して凍結膜101aを形成し、凍結膜101aの温度を低下させて凍結膜101aにひび割れを発生させる凍結工程(固相)と、解凍工程と、を含むことができる。
第1の凍結洗浄工程では、凍結工程(固液相)において、液体101が固体に変化した際の体積変化に伴う圧力波や、体積増加に伴う物理力などにより、基板100の表面に付着している汚染物103を分離する。
さらに、凍結工程(固相)において、凍結膜101aにひび割れを発生させることで、基板100の表面に付着している汚染物103を分離する。
すなわち、第1の凍結洗浄工程では、凍結工程(固液相)および凍結工程(固相)において、それぞれ異なるメカニズムにより汚染物103を分離する。そのため、汚染物103の除去率を向上させることができる。
また、第1の冷却工程を行う際の液膜の厚みを、300μm以上、1200μm以下とすれば、汚染物103の除去率をさらに向上させることができる。また、液膜の厚みを、600μm以上、1200μm以下とすれば、汚染物103の除去率をさらに効果的に向上させることができる。
また、本実施の形態に係る基板処理装置1においては、冷却工程において、遠心力により液膜の厚みがばらつくのを抑制することができる第1の回転数としている。冷却工程において、所定の厚みとなる第2の回転数を維持した場合、第2の回転数による遠心力が基板100の表面100b上の液体101に加わる。遠心力は、回転中心から離れるほど大きくなる。このため、基板100の外縁に液体101が集まる。このとき、液体101の粘性や表面張力といった力が基板100の外縁の液体101に働くので、基板100の外縁の液膜の厚みが厚くなる。つまり、相対的に基板100の中央部分の液膜の厚みが薄くなる。
前述の通り、過冷却工程を行う際の液膜の厚みを厚くすると、凍結工程(固相)において汚染物103の除去率が向上する。つまり、冷却工程において、所定の厚みとなる第2の回転数を維持した場合、基板100の中央部分の除去率が低下するおそれがある。
また、本実施の形態では、冷却ガス3a1は、載置台2aの中央部分にある吹き出し部2b1から供給される。このため、基板100の中央部分の温度と比べると、基板100の外縁の温度は高くなる。前述の通り、冷却工程において、第2の回転数を維持した場合、基板100の外縁の液膜の厚みが厚くなる。このため、基板100の中央部分の液膜よりも厚い基板100の外縁の液膜を基板100の中央部分よりも冷却効率が劣る状態で冷却しなくてはいけない。このため、基板100の外縁の液膜は、基板100の中央部分と比べると冷却速度が低下する。つまり、基板100の外縁部でひび割れが発生するのが遅れる。
凍結工程(固相)は、基板100の全ての面内において、ひび割れが発生したことが確認できたら処理を終了する。したがって、遠心力により液膜の厚みがばらついた状態で凍結工程(固相)を行うと、凍結工程(固相)の処理時間が長くなってしまう。
つまり、遠心力により液膜の厚みがばらついた状態で凍結工程(固相)を行うと、処理時間が長くなり、かつ、期待通りの除去率が得られないおそれがある。したがって、冷却工程において、遠心力により液膜の厚みがばらつくのを抑制することができる第1の回転数とすることが好ましい。
また、基板100の回転を停止させる(0rpmとする)と、基板100の中央部分の液膜の厚みが基板100の外縁の液膜の厚みに比べて厚くなる。液膜の厚みの勾配は、前述の基板100の温度勾配と反対である。つまり、基板100の中央部分と外縁部分で冷却速度が一定となる。基板100の中央部分と外縁部分で冷却速度が一定となると、基板100の中央部分と外縁部分で同時にひび割れが発生するようになるので、凍結工程(固相)の処理時間が長くなることを抑制することができる。したがって、基板100の回転を停止させる(0rpmとする)ことが好ましい。
ここで、基板100は、表面100bに凹凸部が形成される前の状態の場合もあるが(例えば、いわゆるバルク基板)、表面100bに凹凸部が形成されている場合もある。凹凸部は微細な構造体であるため剛性が低くなる。また、近年においては、凹凸部の微細化が進み、凹凸部の剛性がさらに低くなる傾向にある。
そのため、図7(a)において例示をしたように、凍結工程(固相)を実行すると凍結膜101aにおいて発生した応力Fにより凹凸部が破損するおそれがある。一方、凍結工程(固液相)においては、液体101が存在するので、応力Fがほとんど発生しない。
そこで、基板処理装置1は、凹凸部が破損しやすい場合には、凍結工程(固相)を含む第1の凍結洗浄工程に替えて、予備工程、液膜の形成工程、第2の冷却工程、解凍工程、乾燥工程を含む第2の凍結洗浄工程を実行することができる。すなわち、凍結工程(固相)を含まない第2の凍結洗浄工程を実行することができる。
図9は、基板処理装置1の作用を例示するためのタイミングチャートである。
図10は、第2の凍結洗浄工程における温度変化を例示するためのグラフである。
図9および図10に示すように、第2の凍結洗浄工程において実行される第2の冷却工程には、前述した過冷却工程と凍結工程(固液相)は含まれているが、凍結工程(固相)は含まれていない。そのため、第2の凍結洗浄工程では、凍結工程(固液相)に続いて、解凍工程と乾燥工程が順次実行される。前述したように、凍結工程(固液相)においては、液体101が凍結したものの周囲に液体101が存在するので、液体101が凍結したものの体積変化は液体101の流動に吸収される。そのため、相凍結工程(固液相)に続いて解凍工程を実行すれば、汚染物の除去ができるとともに、基板100の表面100bに形成された微細な凹凸部が破損されにくい。
第2の凍結洗浄工程では、汚染物が分離されるのは、凍結工程(固液相)となる。凍結工程(固液相)においては、液体が固体に変化した際の体積変化に伴う圧力波や、体積増加に伴う物理力などにより、汚染物が分離されると考えられている。具体的には、過冷却状態の液体101において、基板100の表面に付着している汚染物を起点として凍結を開始していると考えられる。その際に、汚染物の周囲の液体101が凍結する。このとき、液体101が凍結したもので覆われた汚染物の周囲がまだ液体のままであるので、基板100と汚染物との間の液体101が凍結して体積膨張することにより得られる物理力が、汚染物を基板から引き離す力となって働く。
したがって、過冷却状態から凍結が始まった凍結工程においては、液体101が凍結したものの割合と汚染物の除去率とは比例すると考えられる。つまり、液体が固体に変化する割合が多くなるほど汚染物が分離されると考えられる。
図5は、液体の水の、温度と密度との関係、および、固体の水の、温度と密度との関係を例示するためのグラフである。
図5は、20℃〜−50℃までの水と氷の密度変化を示したものである。これは、J. R. Rumble, [CRC Handbook of Chemistry and Physics], Tayler & Francis, London, 99th ed., 6-7, 6-12(2018)の値をもとにプロットしたものである。
水の密度は、4℃で最大になりそれよりも高温側でも低温側でも低くなる。氷は0℃から温度が低くなるに従って密度が大きくなる。0℃以下の水は過冷却水であるが、図5から分かる通り密度は、水から過冷却水で滑らかに変化している。また0℃から−40℃の体積変化は、水で3.4%程度、氷では0.5%程度である。
図6は、水の、過冷却状態からの凍結開始時の温度と、膨張率との関係を例示するためのグラフである。
過冷却水が0℃の氷になると考えた際の体積変化を見積もった結果を図6に示す。図6から分かる通り、過冷却水が0℃の氷になる際、元の水と比べて5.3%〜9.1%程度体積が増加する。この体積変化が、汚染物を持ち上げるように働く。過冷却が低いほど、体積変化は減少するがそれでも5%を超える変化を維持しており、汚染物を持ち上げるには充分な量であると考えられる。
ここで、前述した第1の凍結洗浄工程では、液膜の形成工程において、液膜の厚みを、300μm〜1300μm程度としている。ところが、凍結工程(固相)を行わない第2の凍結洗浄工程では、液膜の形成工程において、液膜の厚みを、100μm以上とした方が汚染物の除去率が高くなることが判明した。そのため、第2の凍結洗浄工程における液膜の形成工程では、液膜の厚みを100μm以上とすることが好ましい。前述したように、液膜の厚みは、液膜の形成工程において基板100の表面100bに供給する液体101の量により制御することができる。
また、本発明者の得た知見によれば、凍結工程(固液相)において、液体が固体に変化する割合が変動することが判明した。液体が固体に変化する割合が多くなるほど、汚染物が分離されやすくなるので、液体が固体に変化する割合が変動すると、汚染物の分離量が変化するので汚染物の除去率が変動すると考えられる。そのため、第2の凍結洗浄工程を繰り返して行う場合、液体が固体に変化する割合の変動を考慮せずに、第2の凍結洗浄工程を予め定められた回数行うと、汚染物が残留したり、過剰な洗浄が行われたりするおそれがある。
本発明者は、凍結工程(固液相)において、液体が固体に変化する割合が変動する原因について調査研究を行った。その結果、過冷却状態の液体101の凍結開始時の温度T(図7を参照)が変動すると、凍結工程(固液相)において、液体が固体に変化する割合が変動することが判明した。この場合、過冷却状態の液体101の凍結開始時の温度Tを安定させることができれば、凍結洗浄工程を予め定められた回数行うことが可能となる。しかしながら、過冷却状態の液体101の凍結が開始するのは、液膜の温度不均一による密度変化、パーティクルなどの汚染物や気泡の存在、振動などが影響する。そのため、過冷却状態の液体101の凍結開始時の温度Tを安定させるのは困難である。
そこで、本発明者は、過冷却状態の液体101の凍結開始時の温度Tと、液体が固体に変化する割合に相関があることから、過冷却状態の液体101の凍結開始時の温度Tを検出することができれば、凍結工程(固液相)において、液体が固体に変化する割合を求められることを見出した。
ここで、過冷却状態の液体101の凍結が開始すると、潜熱により温度が上昇する。そのため、凍結開始時の温度Tは、図7に示すように、過冷却状態の液体101の温度が上昇し始めた温度とすることができる。また、過冷却状態の液体101の温度が上昇し始めたときが過冷却状態の液体101の凍結が開始されるタイミングである。
なお、過冷却状態の液体101の凍結が開始すると、基板100表面の全面でほとんど同時に凍結が開始される。けれども、凍結の開始時刻がわずかな時間ずれている可能性がある。このため、潜熱により温度が上昇したのと同時に解凍を始めてしまうと、汚染物を起点とした凍結が始まっていない箇所が発生してしまう可能性がある。そこで、解凍は、凍結が始まっていない箇所が凍結開始するであろうわずかな時間経過してから行なうのが好ましい。例えば、潜熱により温度が上昇してから0.2〜2.0秒程度遅れて行うようにするとよい。しかし、液膜が薄い場合には、凍結工程の時間がほとんどなく、すぐにすべてが凍結した氷膜となってしまうことがある。この時、前述のように氷膜と基板100の表面との間に応力が生じてしまい、微細な凹凸を破損してしまうこともある。本発明者の得た知見によれば、液膜の厚みを100μm以上とすれば、凍結が開始されるタイミングから氷膜となるまでの時間を必要な時間保つことができる。
ところで、検出部8が温度センサであれば凍結開始時の温度Tを直接検出することができる。また、過冷却状態の液体101から固液相状態の液体101へと相変化することで、液体101は白濁化する。したがって、基板100上の液体101の反射率や屈折率などが変化する。そのため、検出部8として、屈折率計、レーザ変位計、画像処理装置などを用いることができる。検出部8が屈折率計、レーザ変位計、画像処理装置などの場合には、予め求められた凍結開始温度との相関関係により、検出された値を凍結開始時の温度Tに変換すればよい。
次に、凍結開始時の温度Tと、液体と固体の割合と、汚染物の除去との相関を説明する。
過冷却状態から液体が凍る温度(凍結開始時の温度T)は条件によって様々であるが、あるきっかけで凍り始めると一気に系全体が凍る。凍る際は系全体が0℃の水と氷になるので、元の水に対する氷の量(液体と固体の割合)は、この変化を断熱過程と仮定すると、0℃の水が過冷却の終了する温度になるまでに奪われた熱量と、0℃で氷が生成して放出される熱量に等しいと考えることで予測できる。
図11は、凍結開始時の温度Tと、液体と固体の割合との関係を例示するためのグラフである。
図11から分かるように、凍結開始時の温度Tが低くなるに従い、凍結工程(固液相)における固体の割合が多くなる。前述したように、凍結工程(固液相)における固体の割合と、汚染物の除去率との間には、正の相関関係がある。例えば、固体の割合が多くなれば、より多くの汚染物が除去できると考えられるので、汚染物の除去率は高くなる。凍結の起点は、汚染物の他にも、温度不均一による密度変化や、表面の微小な振動による変化、液体101中の気泡などが考えられる。したがって、固体の割合と汚染物の除去率は同じとは限らない。固体の割合と汚染物の除去率との関係は、予め実験やシミュレーションを行うことで求めることができる。
そのため、凍結開始時の温度Tが分かれば、凍結工程(固液相)における固体の割合、ひいては、当該第2の凍結洗浄工程における汚染物の除去率(PRE)を求めることができる。当該第2の凍結洗浄工程における汚染物の除去率が分かれば、基板100の汚染物の除去率が所定の値となるまで、第2の凍結洗浄工程を繰り返し行うようにすればよい。例えば、基板100の汚染物の除去率を90%となるまで、凍結洗浄工程を繰り返し行うとすることができる。目標とする除去率(所定の除去率)は、基板100の洗浄における歩留まりが許容値となるように設定すればよい。
ここで、汚染物の除去率(PRE)は、洗浄処理前の汚染物の数をNI、洗浄処理後の汚染物の数をNPとした場合に以下の式で表すことができる。
PRE(%)=((NI−NP)/NI)×100 −(1)
図12は、凍結開始時の温度Tと、第2の凍結洗浄工程の回数との関係を例示するための表である。
なお、図12においては、一例として、図11に例示をした凍結工程(固液相)における固体の割合と、汚染物の除去率とを等しくしている。つまり、液体101の凍結がすべて汚染物を核としているとしたものである。また、繰り返される各凍結洗浄工程において、凍結開始時の温度Tが一定であるとした場合である。
図12は、表の横列に液体101が過冷却状態から凍結開始した温度、その下に、各凍結温度での汚染物の除去率、その下に、洗浄処理の繰り返し毎の初期状態からの汚染物の除去率を示している。
例えば、凍結開始温度を−30℃とした場合、除去率は39.3%であり、1回の洗浄処理で汚染物が39.3%除去されることを示している。2回の洗浄処理で、(100−39.3)×0.393+39.3=63.2(%)、3回の洗浄処理で、(100−63.2)×0.393+63.2=77.6(%)となる。
図12から分かるように、凍結開始時の温度Tが変わると液体が固体に変化する割合から予め求めた除去率が変化する。そのため、検出部8により検出された温度Tに基づいて、温度Tにおける除去率を記憶部9cから取出し、所定の汚染物の除去率となるまでの第2の凍結洗浄工程の回数を求めることができる。例えば、図12に例示をしたものの場合には、凍結開始時の温度Tが−25℃の場合には、第2の凍結洗浄工程の回数は、20回以上とすることができる。凍結開始時の温度Tが−30℃の場合には、第2の凍結洗浄工程の回数は、16回以上とすることができる。この回数は、前述のように、許容される洗浄での歩留まりが得られる範囲で適宜決定されればよい。
このように、予め凍結洗浄工程を行う回数を決定して洗浄処理を行うことができる。比較的短い期間においては、液膜の温度、パーティクルなどの汚染物や気泡の存在、振動などが安定し、凍結開始時の温度Tが安定する場合がある。この様な場合には、最初の凍結洗浄工程の際に凍結開始時の温度Tを検出し、凍結洗浄工程の回数を設定することができる。
なお、制御部9の記憶部9cは、凍結開始時の温度と汚染物の除去率との関係に関するデータとして図12に示す表に相当するデータを格納している。なお、制御部9の記憶部9cは、凍結開始時の温度Tと温度Tにおける液体が固体に変化する割合から予め求めた除去率だけのデータを記憶していてもよい。さらに、実験等で求めた実際の汚染物の除去率との差を補正するようにしてもよい。その場合、補正されたデータを記憶してもよい。また、データを記憶するだけでなく、近似式として記憶して演算に用いてもよい。
前述したように、凍結開始時の温度Tは、液膜の温度不均一による密度変化、パーティクルなどの汚染物や気泡の存在、振動などが影響するため、第2の凍結洗浄工程毎に異なるものとなる場合も多い。そのため、第2の凍結洗浄工程毎に凍結開始時の温度Tを検出し、当該第2の凍結洗浄工程における汚染物の除去率を求めるようにすることが好ましい。したがって、第2の凍結洗浄工程の回数は、基板100毎に異なるものとなる。
この場合、制御部9の記憶部9cは、各凍結洗浄工程において算出した除去率を凍結洗浄工程を行う度に記憶する。そして、検出部8により検出された温度Tから、図12に示す表から温度Tにおける除去率の値を算出し、制御部9の記憶部9cから前回の凍結洗浄工程における除去率の値を読み出し、その時の凍結洗浄工程における除去率を求める。
また、第2の凍結洗浄工程の回数が所定の範囲を超える場合がある。この様な場合には、異常が発生したとして、基板100を基板処理装置1の外部に搬出することができる。この場合、搬出された基板100のデータとして、除去率、第2の凍結洗浄工程の回数、凍結開始時の温度Tなどを外部の機器に送信することができる。
また、比較的短い期間において、凍結開始時の温度Tが安定している場合でも、所定の回数毎に凍結開始時の温度Tを検出し、第2の凍結洗浄工程の回数を設定してもよい。
第2の凍結洗浄工程を繰り返し行うことで汚染物の除去率が所定の値(例えば90%以上)となった場合には、筐体6の図示しない搬入搬出口を介して、基板100を筐体6の外部に搬出することができる。
図13は、凍結洗浄工程のフローチャートである。図13のフローチャートの内容は前述したものと同様とすることができるので、内容の説明は省略する。
図14〜図16は、図13の凍結洗浄工程のフローチャートにおいて、第2の冷却工程と解凍工程の部分をより詳細に示したフローチャートである。
図14は、予め第2の冷却工程の回数を決定する場合である。図15は、第2の冷却工程の回数に所定の制限を設けない場合である。図16は、第2の凍結洗浄工程の回数に所定の制限を設けた場合である。
図14に示すように、予め冷却工程の回数を決定する場合、制御部9の記憶部9cは、予め凍結開始温度Tの情報を記憶している。制御部9は、入力済みの温度Tから汚染物の除去率が例えば90%となる回数を算出し、記憶素子にその回数を記憶させる。
予備工程後、図9に示すように、供給されていた液体101の供給を停止する。その後、基板100の回転数を0rpmから50rpm程度として、液体101の液膜の厚みを所望の厚みとする。なお、冷却ガス3a1の流量は予備工程と同じ供給量に維持されている。
液体101の液膜の厚みを所望の厚みとしたら、検出部8に液膜の温度を検出させる。このとき、潜熱による温度上昇を検出したら、制御部9は、何回目の冷却工程か計算する。制御部9には冷却工程の回数をカウントするカウンター(不図示)があり、カウンターから制御部の演算素子に回数の情報が送付される。演算素子は、カウンターからの回数が所定回数かどうか判定する。所定回数でなければ、冷却部3を稼働したまま解凍を実施する。具体的には、第1液体供給部4から液体101を供給する。解凍が完了したら、第1液体供給部4の液体101を停止し、再び液膜を所望の厚みとした後、検出部8を用いて液膜が凍結開始したかどうかを検知・判定する。なお、所定時間経過しても、潜熱による温度上昇を検出部8が検出できない場合、過冷却状態を経ずに凍結が開始しているおそれがある。この場合、基板処理装置1は、警告を出して装置を停止させる。
このようにすることで、検出部8によって第2の凍結工程を検出・検知可能となるため、基板100上の液体101が固液相状態で必ず解凍することができる。このため、基板の表面に形成された凹凸部の破損を抑制することができる。また、凍結開始温度と、その温度における除去率を図12に示したような凍結開始時の温度と汚染物の除去率との関係に関するデータから予め求めておくことで、汚染物の高い除去率が得られる回数を容易に求めることができる。したがって、必要な回数以上に凍結洗浄工程を実施することを防止できるので、汚染物の除去率を向上しつつ、タクトタイムの短縮を行うことができる。この方法は、凍結開始温度が安定している場合、好ましい。
図15に示すように、第2の冷却工程の回数に所定の制限を設けない場合、制御部9は、凍結開始時の温度Tの情報から凍結開始時の温度Tの時の除去率を記憶部9cから読み出し、当該第2の凍結洗浄工程より1つ前の第2の凍結洗浄工程における除去率から当該第2の凍結洗浄工程の除去率を算出する。
具体的には、予備工程後、液体101の液膜の厚みを所望の厚みとし、検出部8に液膜の温度を検出させる点までは予め第2の冷却工程の回数を決定する場合と同じである。その後、検出部8が潜熱による温度上昇を検出したら、検出部8は、温度上昇した温度を凍結開始時の温度Tとして制御部9に情報を送る。制御部9は、取得した凍結開始時の温度Tの時の除去率の値を記憶部9cから読みだす。そして、記憶部9cから読みだした除去率と当該第2の凍結洗浄工程より1つ前の第2の凍結洗浄工程における除去率から、当該第2の凍結洗浄時の除去率を算出する。次に、制御部9は、算出した除去率が所定の値(例えば90%以上)かどうかを判定する。算出した除去率が90%よりも高い場合、冷却部3の冷却ガス3a1の供給を停止させ、解凍工程に移行する。算出した除去率が90%よりも低い場合、当該第2の凍結洗浄工程の除去率を記憶部9cに記憶させ、冷却部3を稼働したまま解凍を実施する。具体的には、第1液体供給部4から液体101を供給する。解凍が完了したら、第1液体供給部4の液体101を停止し、再び液膜を所望の厚みとした後、検出部8を用いて液膜が凍結開始したかどうかを判定する。
このようにすることで、凍結開始を検知するので、基板100上の液体101が固液相状態で必ず解凍することができる。また、当該凍結洗浄工程において、想定凍結開始温度よりも高い温度にて凍結が開始してしまったとしても、その温度における除去率を制御部9の記憶部9cから読み込み、当該凍結洗浄工程の除去率を再計算することができる。そのため、凍結開始温度が安定しない場合であっても、全ての凍結洗浄工程を実施した後の汚染物の除去率を高い値に維持することができる。結果的に、基板100毎の汚染物の除去率が安定する。
冷却工程の回数に所定の制限を設けないとした場合、凍結開始時の温度Tが想定以上に高い温度であった回数が多発した場合、冷却工程の回数が想定の2倍や3倍となっても除去率が90%以上とならないおそれがある。あるいは、除去率が90%以上となるが、凍結洗浄工程を繰り返した時間が想定の2倍や3倍かかってしまうおそれもある。この場合、図16に示すように、第2の凍結洗浄工程の回数が所定範囲を超えたら、異常が発生したとして、基板100を基板処理装置1の外部に搬出する。搬出された基板100は、除去率、第2の凍結洗浄工程の回数、凍結開始時の温度Tなどのデータを外部の機器に送信される。
この場合、制御部9は、所定範囲のデータを記憶部9cに記憶している。制御部9が凍結開始時の温度Tの時の除去率と当該第2の凍結洗浄工程より1つ前の第2の凍結洗浄工程における除去率から、当該第2の凍結洗浄時の除去率を算出する点までは、第2の冷却工程の回数に所定の制限を設けない場合と同じである。
制御部9は、算出した除去率が90%以上かどうかを判定する。算出した除去率が90%よりも高い場合、冷却部3の冷却ガス3a1の供給を停止させた状態で、解凍工程に移行して洗浄処理を終了する。
算出した除去率が90%よりも低い場合、当該第2の凍結洗浄工程の除去率および回数を記憶部9cに記憶させる。次に、記憶した回数が予め記憶しておいた所定の処理回数か判断する。所定の処理回数と異なっていた場合、冷却部3を稼働したまま解凍を実施する。具体的には、第1液体供給部4から液体101を供給する。解凍が完了したら、第1液体供給部4の液体101を停止し、再び液膜を所望の厚みとした後、検出部8を用いて液膜が凍結開始したかどうかを判定する。所定の処理回数であった場合、基板100を基板処理装置1の外部に搬出する。このとき、搬出された基板100の汚染物の除去率、第2の凍結洗浄工程の回数、凍結開始時の温度Tなどのデータも外部の機器に送信される。
このようにすることで、凍結開始を検知するので、基板100上の液体101が固液相状態で必ず解凍することができる。また、洗浄処理中に異常が発生した場合でも、装置を停止することなく、次の基板の処理を行うことができる。また、基板100のデータが制御部9によって外部の機器に送信されるので、履歴を追跡することができる。
予め冷却工程の回数を決定する場合であって、汚染物の除去率が90%以上かどうか判断する場合、制御部9は、前述したものと同じ動作をする。例えば、所定の処理回数を予め決定された第2の冷却工程の回数とすればよい。この場合、もし予め決定された第2の冷却工程の回数に達しても、算出した除去率が90%よりも低い場合、前述したものと同じく基板100を基板処理装置1の外部に搬出し、搬出された基板100の汚染物の除去率、第2の凍結洗浄工程の回数、凍結開始時の温度Tなどのデータを外部の機器に送信してもよい。また、基板100を基板処理装置1の外部に搬出せずに、さらに所定の回数の第2の凍結洗浄工程を繰り返し行うようにしてもよい。
このようにすることで、基板100上の液体101が固液相状態で必ず解凍することができる。また、異常が発生した場合でも、装置を停止することなく、次の基板の処理を行うか、追加の第2の凍結洗浄工程を行うか選択することができる。また、基板100のデータが制御部9によって外部の機器に送信されるので、履歴を追跡することができる。
図17は、凍結開始時の温度Tと、凍結工程(固液相)における液体101と固体を含めた膜の膨張率との関係を例示するためのグラフである。
凍結工程(固液相)において、液体101と固体を含めた膜の膨張率が大きくなれば、発生する圧力波や物理力が大きくなるので、汚染物の除去率を向上させることができる。
図17から分かるように、凍結開始時の温度Tを−40℃以上、−20℃以下とすれば、膜の膨張率を大きくすることができるので、汚染物の除去率を向上させることができる。前述したように、凍結開始時の温度Tは、液膜の温度不均一による密度変化、パーティクルなどの汚染物や気泡の存在、振動など影響を受けて変動する。しかしながら、液膜の温度は、基板100の回転数、冷却ガス3a1の流量、および、液体101の供給量の少なくともいずれかを制御することである程度の制御は可能である。そのため、制御部9は、基板100の回転数、冷却ガス3a1の流量、および、液体101の供給量の少なくともいずれかを制御することで、凍結開始時の温度Tが、−40℃以上、−20℃以下となるようにすることができる。
なお、以上のことは、前述した第1の凍結洗浄工程における過冷却工程や凍結工程(固液相)においても実施することができる。
次に、実際の実験の結果を示す。
サンプルは、前述した基板100が6025クオーツ(Qz)基板(152mm×152mm×6.35mm)を用い、液体101は純水を使用した。
汚染物は、基板100上に、粒径80nmのポリスチレン系ラテックス(PSL)溶液(Thermo scientific製、型式3080A)を散布、乾燥した物を使用した。PSL溶液は、基板上のPSL付着数が10000個±10%になるように濃度を調整したものを用い、汚染物の測定はLasertech製のMagics M−2350を使用した。
実験は、第2の冷却工程の凍結工程(固液相)で解凍し、第2の冷却工程の繰り返しを10回、30回、60回行った時のそれぞれの汚染物の除去率を測定した。なお、液膜の厚さは約280μmに調整した。
その結果を図18に示す。横軸は処理の繰り返し数。縦軸は汚染物の除去率(PRE%)を示す。繰り返し数10回の時、除去率は52%、繰り返し数30回の時は、除去率が95%、繰り返し数60回の時は、除去率94%であった。それぞれの過冷却工程からの凍結が開始した温度は概ね−38℃〜−39℃であった。
図18に示す結果では、固液相で解凍した際の繰返し回数を増やす事で汚染物の除去率(PRE)は向上し、繰返し回数が30回で飽和した。
上記の実験結果のように、凍結開始温度が安定している場合、1回当たりの除去率をPRE1とすると、n回繰り返した際のPREnは(2)式で与えられると考えられる。
PREn=1−θ… (2)
θnは、凍結洗浄工程をn回実施した場合の汚染物の残存率である。上記実験でのPRE1は、繰返し回数30回の除去率95%から、PRE1=9.5%と見積られる。
液体101が−38.7℃で凍結が始まった場合、約52%が固体となる。このことから約18%が汚染物を核として固体となったと考えられる。なお、いずれの場合もパターンの倒壊は発生しなかった。
なお、液膜の厚さを280μmよりも厚くして第2の冷却工程の繰り返しを行ったが、液膜の厚みと除去率との間に相関は見られなかった。したがって、第2の凍結洗浄工程においては、液膜の厚みを薄くすることが好ましい。液膜の厚みを薄くすることで、第2の冷却工程の時間を短くすることができる。第2の凍結洗浄工程において、液膜の厚みは、100μm以上、300μm以下とすることが好ましい。
図19は、他の実施形態に係る基板処理装置1aを例示するための模式図である。
図20は、他の実施形態に係る基板処理装置1aの制御部9を例示するための模式図である。
図19に示すように、基板処理装置1aには、載置部2、冷却部3、第1液体供給部4、第2液体供給部5、筐体6、送風部7、検出部8、温度検出部8a、ガス供給部10、排気部11、および制御部9が設けられている。
温度検出部8aは、基板100と載置台2aとの間の空間の温度を検出する。この温度は、基板100と載置台2aとの間を流れる混合ガス(冷却ガス3a1とガス10dが混合されたガス)の温度とほぼ等しい。温度検出部8aは、例えば、放射線温度計、サーモビューア、熱電対、測温抵抗体などとすることができる。
ガス供給部10は、ガス収納部10a、流量制御部10b、および接続部10cを有する。
ガス収納部10aは、ガス10dの収納と供給を行う。ガス収納部10aは、ガス10dが収納された高圧ボンベや工場配管などとすることができる。
流量制御部10bは、ガス10dの流量を制御する。流量制御部10bは、例えば、ガス10dの流量を直接的に制御するMFCとすることもできるし、圧力を制御することでガス10dの流量を間接的に制御するAPCとすることもできる。
接続部10cは、回転軸2bに接続されている。接続部10cは、回転軸2bと冷却ノズル3dとの間の空間と、流量制御部10bとを接続する。接続部10cは、例えば、ロータリージョイントとすることができる。
ガス10dは、基板100の材料と反応し難いガスであれば特に限定はない。ガス10dは、例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどの不活性ガスとすることができる。この場合、ガス10dは、冷却ガス3a1と同じガスとすることができる。ただし、ガス10dの温度は、冷却ガス3a1の温度よりも高くなっている。ガス10dの温度は、例えば、室温とすることができる。
液体101の冷却速度が余り速くなると液体101が過冷却状態とならず、すぐに凍結してしまう。すなわち、過冷却工程を行うことができなくなる。この場合、液体101の冷却速度は、基板100の回転数、および冷却ガス3a1の流量の少なくともいずれかにより制御することができる。ところが、冷却ガス3a1の温度は、冷却ガス3a1を供給する冷却部における温度設定によりほぼ一定となる。そのため、冷却ガス3a1の流量では、液体101の冷却速度を遅くすることが難しくなる場合がある。
また、基板100の回転数を少なくすれば、液膜の厚みが厚くなるので冷却速度を遅くすることができる。しかしながら、液膜の厚みには、表面張力によって保たれる限界の厚みがあるので、基板100の回転数では液体101の冷却速度を遅くすることが難しくなる場合がある。
そこで、本実施の形態においては、冷却ガス3a1よりも温度の高いガス10dと、冷却ガス3a1とを混合させることで、液体101の冷却速度を遅くすることができる様にしている。液体101の冷却速度は、ガス10dと冷却ガス3a1の流量、ガス10dと冷却ガス3a1の混合割合、ガス10dの温度などにより制御することができる。
冷却ガス3a1に冷却ガス3a1よりも温度の高いガス10dを混合させることで、基板100と載置台2aとの間の空間に供給するガスの温度をより緻密に調整することができる。したがって、基板100の冷却温度をより高精度に調整できる。また、液体101の過冷却状態の制御をより容易に行うことができる。
このようにすることで、過冷却状態の液体101が凍結を開始する温度を−20℃以下とできる確率を高めることができる。結果として、汚染物の除去率が90%以上となるまで凍結洗浄工程を繰り返す場合には、凍結洗浄工程の回数を減少させることができる。また、予め洗浄回数が決定している場合には、設定温度よりも高い温度で凍結が開始されるのを抑制することができるので、洗浄不良となる基板100を減らすことができる。結果として、歩留りが向上する。
また、ガス供給部10が設けられていれば、前述した凍結開始時の温度Tが、−40℃以上、−20℃以下となるように冷却工程における冷却速度を調整することが容易となる。
また、検出部8により、液膜の温度を検出して冷却ガス3a1の流量を制御したとしても、基板100の表面100b側の温度(液膜の温度)と、基板100の裏面100a側の温度と、には差が生じている場合がある。そのため、検出部8で検出された液膜の温度のみに基づいて冷却ガス3a1の流量を制御すると、液膜の温度が適正温度になったとしても、液膜の温度と、基板100の裏面100aの温度との間に差が生じて基板100の厚み方向の温度勾配が大きくなる場合がある。基板100の厚み方向の温度勾配が大きくなると、温度不均一による密度変化が凍結の起点となることもあり、このため凍結のタイミングが基板100毎にばらつくおそれがある。
また、温度勾配が大きくなると、密度のばらつきが生じやすくなり、この密度のばらつきによる密度の変化が凍結の起点となると考えられる。したがって、基板100の面内においても凍結のタイミングがばらつくおそれがある。
本実施の形態によれば、制御部9は、温度検出部8aにより検出された温度に基づいて、ガス10dと冷却ガス3a1の流量、ガス10dと冷却ガス3a1の混合割合の少なくともいずれかを制御することができる。
そのため、制御部9は、予備工程においてこのような制御を行い、検出部8で検出された温度と、温度検出部8aで検出された温度との差が所定の範囲内となった後に、予備工程から過冷却工程(液体101の供給停止)に切り替えることができる。この様にすれば、基板100の厚み方向の温度勾配が小さくなった状態で凍結を開始させることができるので、凍結のタイミングがばらつくのを抑制することができる。
なお、流量制御部3cにより冷却ガス3a1の流量を制御することなく(冷却ガス3a1の流量を一定にして)、ガス供給部10から供給されるガス10dの流量を制御して、液体101の過冷却状態を制御することもできる。この様な場合には、流量制御部3cを省くことができる。ただし、流量制御部3cおよびガス供給部10を設ければ、液体101の過冷却状態の制御をより容易に行うことができる。
また、送風部7により供給される空気7aの量を制御することで、液体101の過冷却状態の制御を行うこともできる。
以上、実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述した実施形態に関して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、基板処理装置1が備える各要素の形状、寸法、数、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
例えば、検出部8は、温度センサでは無く、屈折率計、レーザ変位計、画像処理装置などとしてもよい。この場合、制御部9は、凍結開始温度と、その凍結開始温度における液体と固体の割合から算出する汚染物の除去率、および、その凍結開始温度における過冷却状態の液体101の白濁状態の透過率、反射率、屈折率を予め記憶しておく。例えば、凍結開始温度によって、液体と固体の割合が変化することから、過冷却状態の液体101の透過率が異なってくる。この透過率の違いを予め測定しておくことで、透過率の変化から凍結開始の瞬間を検出することができる。そして、その時の透過率から凍結開始温度を推測し、推測した凍結開始温度から予め求めておいた液体と固体の割合から算出する汚染物の除去率を算出し、当該第2の凍結洗浄工程における汚染物の除去率を演算する。
また、第1の凍結洗浄工程、または、第2の凍結洗浄工程の選択は、基板処理装置にデータを入力し、基板を収納するケースに付属したマークを基板処理装置が読み込むようにしてもよい。例えば、作業者が予め基板処理装置にデータを入力しておく。そして、前述のケースに付属したマークを基板処理装置が読み込み、読み込んだ情報と予め入力された
データを比較し、第1の凍結洗浄工程、または、第2の凍結洗浄工程の選択を実施するようにしてもよい。前述のマークは、例えば、バーコードやQRコード(登録商標)である。
この場合、図20に示すように、基板処理装置は、読取り部13を備える。読取り部13は、バーコードやQRコード(登録商標)を読み取る端末である。読取り部13によって読み込まれた基板100の品種情報を含むデータは、制御部9の設定部9bへと送信される。設定部9bは、送信されたデータから実行する凍結洗浄工程を選択する。その後、選択された結果を信号として出力する。設定部9bから出力された信号は、記憶部9cに記憶される。記憶部9cは、選択された凍結洗浄工程に必要な情報を機構制御部9aに出力する。
また、基板の表面を撮像し、撮像した画像を画像処理することで、第1の凍結洗浄工程、または、第2の凍結洗浄工程の選択を実施するようにしてもよい。
この場合、機構制御部9aは、検出部8が撮像した画像を画像処理する。機構制御部9aは、画像処理したデータから実行する凍結洗浄工程を選択する。その後、選択された結果を信号として出力する。機構制御部9aから出力された信号は、記憶部9cに記憶される。記憶部9cは、選択された凍結洗浄工程に必要な情報を機構制御部9aに出力する。
1 基板処理装置、1a 基板処理装置、2 載置部、3 冷却部、3a1 冷却ガス、4 第1液体供給部、5 第2液体供給部、6 筐体、8 検出部、9 制御部、10 ガス供給部、10d ガス、100 基板、100a 裏面、100b 表面、101 液体、101a 凍結膜、102 液体、103 汚染物

Claims (5)

  1. 基板を回転可能な載置台と、
    前記載置台と、前記基板と、の間の空間に、冷却ガスを供給可能な冷却部と、
    前記基板の、前記載置台側とは反対の面に液体を供給可能な液体供給部と、
    前記基板の回転、前記冷却ガスの流量、および、前記液体の供給量を制御する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記基板の前記面の上にある前記液体を過冷却状態にする過冷却工程と、前記液体の一部を凍結させる固液相工程と、記液体を凍結させて凍結膜を生成し、前記凍結膜の温度を低下させて前記凍結膜にひび割れを生じさせる凍結工程と、を含む第1の凍結洗浄工程と、
    前記基板の前記面の上にある前記液体を過冷却状態にする過冷却工程と、前記液体の一部を凍結させる固液相工程と、固液相の状態となった前記液体の解凍を開始する解凍工程と、を含む第2の凍結洗浄工程とのうち、
    選択された、前記第1の凍結洗浄工程、または、前記第2の凍結洗浄工程に応じて、前記液体の供給量を制御して、前記基板の前記面の上に形成される前記液体の液膜の厚みを変更する基板処理装置。
  2. 前記制御部は、前記第1の凍結洗浄工程が選択された場合、前記液体の供給量を制御して、前記液体の液膜の厚みを600μm以上、1200μm以下にする請求項1記載の基板処理装置。
  3. 前記制御部は、前記第2の凍結洗浄工程が選択された場合、前記液体の供給量を制御して、前記液体の液膜の厚みを100μm以上、300μm以下にする請求項1記載の基板処理装置。
  4. 前記制御部は、前記過冷却工程に先行して前記基板の前記面に前記液体を供給する際に、前記基板の回転を停止させる請求項1〜3のいずれか1つに記載の基板処理装置。
  5. 前記制御部は、前記過冷却工程に先行して前記基板の前記面に前記液体を供給する際に、前記基板の回転数を0rpm以上、50rpm以下とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の基板処理装置。
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