JP2815784B2 - 誘電体分離基板の製造装置 - Google Patents

誘電体分離基板の製造装置

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JP2815784B2
JP2815784B2 JP5166749A JP16674993A JP2815784B2 JP 2815784 B2 JP2815784 B2 JP 2815784B2 JP 5166749 A JP5166749 A JP 5166749A JP 16674993 A JP16674993 A JP 16674993A JP 2815784 B2 JP2815784 B2 JP 2815784B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば半導体集積回路
の誘電体分離素子用V溝を形成する際に用いられる誘電
体分離基板の製造装置と製造方法に関し、特にV溝に発
生するマイクロピラミッドを防止することができる誘電
体分離基板の製造装置と製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】素子間の絶縁耐圧が数10V〜数100
V程度の大きな高耐圧の集積回路装置では、集積化する
それぞれの素子を誘電体膜(例えば、酸化シリコン膜)
などの絶縁膜で完全に分離する方法が採用されている。
【0003】この場合、半導体単結晶ウェーハを加工し
て作成した誘電体分離基板が用いられるが、単結晶の分
離島を形成するためのV溝は、単結晶の異方性を利用し
たエッチング処理により形成される。
【0004】例えば、図3(A)に示すように、単結晶
シリコンウェーハ1の主表面を酸化して全面にSiO2
膜2を形成し、ホトリソグラフ法でパターニングしたの
ち、エッチングなどの方法で所定箇所のSiO2 膜2を
開口する。次に、残されたSiO2 膜2をマスクとし
て、イソプロピルアルコールIPAと水酸化カリウムと
の混液を用いて、異方性エッチングによって、この開口
部分にV溝(分離溝)3を形成する。
【0005】シリコン単結晶の結晶構造においては、上
述したエッチャントを用いた場合、ウェーハの主表面と
なる(100)面に対して54.7°の角度を有する
(111)面のエッチング速度が相対的に遅いため、こ
のエッチング速度の相違を利用して図示するようなV溝
3を形成することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、エッチング
処理を行うと反応生成ガスとして水素ガスが発生し、こ
のガスの微細な気泡4が、図3(B)に示すようにエッ
チング途中の部分に付着してしまい、これによって稜線
が明瞭に現れるV溝3が形成されないという問題があっ
た。このような不具合はマイクロピラミッドと称されて
おり、このマイクロピラミッドの発生を防止するため
に、エッチャントの攪拌を強化する試みもなされてい
る。また、水酸化カリウム濃度を高くしたエッチャント
を用いると、水素気泡の付着時間が短くなり、マイクロ
ピラミッドは少なくなるが、図3(C)に示すように、
回路が作り込まれるランド部14の4隅14aが過度に
エッチングされてしまうという問題もあった。
【0007】そのため、マイクロピラミッドの発生がな
く、ランド部の4隅が過度にエッチングされないエッチ
ャント組成を安定して得ることが必要であるが、イソプ
ロピルアルコールの沸点が82.7℃と比較的低いた
め、エッチング中に蒸発による組成変化が起こり易い。
したがって、適性なエッチング組成を維持することが難
しい。しかも、ランド部4隅のエッチングが小さくなる
よう調製したエッチャント組成では、マイクロピラミッ
ドが発生しやすく、逆にマイクロピラミッドが発生しに
くいエッチャント組成では、ランド部4隅のエッチング
が大きくなる傾向があった。このような相反する現象を
同時に克服することができないという問題があった。
のような問題に対して、実願昭62−82339号(実
開昭63−191629号)のマイクロフィルムには、
半導体ウェーハが収容されたエッチングキャリアをエッ
チャントが収容されているエッチング槽内で磁気的回転
手段によって回転させて分離用V溝を形成させるエッチ
ング装置が記載されている。しかしながら、このエッチ
ング装置は、磁性体がエッチングキャリアの外周面に配
置されているため、エッチングキャリアが大型になる。
このため、エッチングキャリアを埋没させるためには大
量のエッチャントが必要となり、製造コストが上昇する
という不都合がある。また、磁性体がエッチャントに直
接触れる構造であるため、エッチング時、磁性体の溶解
物が発生して半導体ウェーハを汚染するという問題があ
る。
【0008】本発明は、このような従来技術の問題点に
鑑みてなされたものであり、エッチング途中で発生する
ガスの付着を防止し、これが原因で生じるマイクロピラ
ミッドを抑止することによりマイクロピラミッドの発生
がなく、ランド部4隅のエッチング量の小さい適正なV
溝を形成することを目的とする。さらに本発明は、半導
体ウェーハおよびエッチャントを清浄な状態に維持し、
しかも半導体ウェーハの製造コストを低減することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の誘電体分離基板の製造装置は、複数の半導
体ウェーハを、被軸受部が形成された端板間に当該各半
導体ウェーハのエッチング面をそれぞれ露出させた状態
で収容するウェーハマガジンと、前記ウェーハマガジン
の少なくとも一方の端板または被軸受部のいずれかに埋
設された磁性体と、エッチャントが収容され、前記ウェ
ーハマガジンの被軸受部を受けて当該ウェーハマガジン
に収容された半導体ウェーハを当該エッチャントに浸漬
させる軸受部を有するエッチング槽と、前記ウェーハマ
ガジンに収容された半導体ウェーハが前記エッチャント
に浸漬されているときに、前記エッチング槽外部から前
記磁性体に磁力を与えて当該ウェーハマガジンを回転さ
せる磁気回転手段とを有することを特徴としている。
【0010】また、上記目的を達成するために、本発明
の誘電体分離基板の製造装置は、前記被軸受部が、半球
状に形成され、前記軸受部には、前記被軸受部の形状に
沿った球状面が形成されていることを特徴としている。
【0011】
【作用】半導体ウェーハにエッチング処理を施す場合、
まずウェーハマガジンに半導体ウェーハを収容し、この
ウェーハマガジンをエッチング槽内に設けられた軸受に
支持する。エッチング槽外に設けられた磁気回転手段を
用いて、ウェーハマガジンに設けられた磁性体に回転方
向の磁力を作用させると、ウェーハマガジンはエッチン
グ槽内で回転することになる。
【0012】ランド部4隅のエッチングが進行し難く、
その反面水素気泡がエッチング面に吸着し易い従来の製
造装置では、マイクロピラミッドが多発するが、本発明
ではエッチング面に吸着した水素気泡をエッチャントと
の摩擦で除去することにより良好なV溝を形成すること
が可能となる。また、本発明では半導体ウェーハを回転
させることによりエッチャントを強制的に攪拌する構成
であるため、エッチャントの成分相内で、エッチングの
進行にともない活性が低下したウェーハエッチング部位
近傍のエッチャントを、即座にエッチングに寄与してい
ない新しいエッチャントと交換するため、濃度分布が小
さく極めて安定なエッチャントを維持することが可能と
なる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。図1(A)は本発明の一実施例に係る製造装置
を示す縦断面図、図1(B)は同実施例に係る軸受を示
す斜視図、図2は同実施例に係るウェーハマガジンを示
す断面図である。
【0014】本実施例の誘電体分離基板の製造装置は、
エッチャント5を収容するエッチング槽6を有してお
り、石英ガラス、若しくはフッ素系樹脂により形成され
ている。フッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエ
チレン(PTFE)やテトラフルオロエチレン−パーフ
ルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)など
を例示することができる。これらは、後述する軸受7の
材料と接合可能な材料を選択することが好ましい。
【0015】図示はしないが、このエッチング槽6に
は、イソプロピルアルコール(以下、IPAともいう)
の補充管や純水の導入管などが設けられており、圧力感
知式液面センサや誘電液面センサなどにより感知される
IPAリッチ相の幅に応じて、IPAや純水を補充す
る。また、エッチング槽6の周囲には、必要に応じてエ
ッチャントを所定の温度に保つためのランプヒータなど
が配備されている。これらの周辺機器は、本発明のエッ
チング処理装置には必ずしも必須の要件ではなく、エッ
チング条件等に応じて適宜選択すればよい。
【0016】本実施例では、図3に示すように、シリコ
ン単結晶ウェーハに誘電体分離用V溝を形成するために
行うエッチング処理であることから、本実施例で用いら
れるエッチャント5は、イソプロピルアルコールが約1
0体積%、水酸化カリウムが約20体積%、純水が約7
0体積%の混液が用いられる。また、エッチング温度は
80℃である。この混液ではIPAの比重が0.788
と小さいので、図1に示すようにエッチャント5の表面
にIPAのリッチ相が現れ、底面に行くにしたがって水
酸化カリウムのリッチ相となる。
【0017】本実施例のエッチング槽6の内壁には、U
字状の軸受7,7が設けられており、この軸受7,7に
ウェーハマガジン8の両端が支持されるようになってい
る。軸受7をU字状に形成しているので、ウェーハマガ
ジン8を上からそのままセットするだけでよく、ウェー
ハマガジン8の載置作業がきわめて容易になる。なお、
軸受7を構成する材料としては石英ガラスやフッ素系樹
脂が用いられるが、エッチング槽6への固定が可能な材
料を選択する必要がある。
【0018】この軸受7,7に支持されるウェーハマガ
ジン8は、図2に示すように、両端に半球状の被軸受部
9,9が形成された端板10,10を有し、これらの端
板10,10が複数のガイド棒11により連結されてい
る。また、両端板10,10の間には半導体ウェーハを
1枚づつ挿入するための仕切り板12が設けられてお
り、それぞれの仕切り板12の間に半導体ウェーハを挿
入したのち、ガイド棒11の一つを取り付けることによ
り、ウェーハマガジン8が回転しても半導体ウェーハは
落下しないようになっている。このウェーハマガジン8
は、例えばPFAにより形成することができるが、軸受
7と被軸受部9との磨耗を考慮して軸受7を構成する材
料と同一材料を選択することが好ましいと言える。
【0019】ウェーハマガジン8の一方の端板10ある
いは端板に形成された被軸受部9には、磁性体13が埋
設されており、上述する磁気回転機構14から磁力の作
用を受けるようになっている。この磁性体13は、少な
くとも一方の端板10あるいは被軸受部9に設ければよ
い。
【0020】さらに、本実施例のエッチング槽6の外壁
には、上述したウェーハマガジン8の端板10あるいは
被軸受部9に埋設された磁性体13に磁力を作用させる
磁気回転機構(磁気回転手段)14が設けられている。
この磁気回転機構14は、少なくとも一方の軸受7の外
部に取り付けられており、両軸受7,7に支持されたウ
ェーハマガジン8をその軸線CLを中心にして回転させ
る方向に磁力を作用させる。すなわち、半導体ウェーハ
の主表面に平行な面内でウェーハマガジン8を回転させ
る。
【0021】このような磁気回転機構14を用いてウェ
ーハマガジン8を回転させる場合、例えば誘電体分離用
V溝であれば、約1〜30rpm程度の回転速度が確保
できるように、例えば6000〜10000ガウスの磁
力を備えた機構14が用いられる。
【0022】また、ウェーハマガジン8の回転にあたっ
ては、一定速度で連続的に回転させてもよいし、正逆回
転を繰り返して行うようにしてもよい。また、間欠的な
回転であってもよい。これらの選択は、エッチング条件
等に応じて適宜選択すればよい。
【0023】次に作用を説明する。シリコン単結晶ウェ
ーハに誘電体分離用V溝を形成するため、IPAおよび
水酸化カリウムの水溶液(エッチャント)5を用いてエ
ッチング処理を施す場合、まずウェーハマガジン8に半
導体ウェーハを収容し、このウェーハマガジン8の両端
に形成された被軸受部9,9をエッチング槽6内に設け
られた軸受7,7に支持する。そして、エッチング槽6
外に設けられた磁気回転機構14を作動させ、ウェーハ
マガジン8に設けられた磁性体13に回転方向の磁力を
作用させると、ウェーハマガジン8およびシリコン単結
晶ウェーハは、エッチャント5が満たされたエッチング
槽6内で回転することになる。
【0024】これにより、半導体ウェーハのエッチング
部分に水素ガスが付着したとしても、ウェーハの回転に
よるエッチャントとの相対的な液流れにより、この水素
ガスを除去することができる。これにより、マイクロピ
ラミッドの発生が防止でき適正なV溝を形成することが
できる。また、本実施例では、エッチャントを強制的に
攪拌することが同時にできるため、エッチャントの成分
相内で、エッチングの進行にともないウェーハエッチン
グ部位近傍のへたった(活性が低下した)エッチャント
を、いち早く離れた部位の新しい(活性がある)エッチ
ャントと交換するため、濃度分布の小さい極めて安定な
エッチャントを維持することができ、エッチングむらの
無いウェーハを得ることができる。これに加えて、ウェ
ーハマガジンを回転させるための部材はエッチング槽外
に配備しているので、不純物がエッチャントに混入する
おそれがなく、エッチング処理を行う上で好ましい。
【0025】なお、以上説明した実施例は、本発明の理
解を容易にするために記載されたものであって、本発明
を限定するために記載されたものではない。したがっ
て、上記の実施例に開示された各要素は、本発明の技術
的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨で
ある。
【0026】例えば、エッチング槽の内壁に形成される
軸受、当該軸受に支持されるウェーハマガジンの形状や
構造は、図示する実施例にのみ限定されることはなく、
適宜変更は可能である。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、明瞭な分離用溝部が形
成された高品質な誘電体分離基板を製造することができ
る。 また、本発明によれば、エッチャントを常に清浄な
状態に維持でき、さらに少量のエッチャントでもエッチ
ングすることができるから、誘電体分離基板の製造コス
トを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の一実施例に係る製造装置を示
す縦断面図、(B)は同実施例に係る軸受を示す斜視図
である。
【図2】同実施例に係るウェーハマガジンを示す断面図
である。
【図3】(A)は誘電体分離基板の構造を説明するため
の断面図、(B)はマイクロピラミッドを説明するため
の断面図、(C)は同じく平面図である。
【符号の説明】
5…エッチャント 6…エッチング槽 7…軸受 8…ウェーハマガジン 9…被軸受部 14…磁気回転機構(磁気回転手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 21/306 H01L 21/76 H01L 21/304 H01L 21/68

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の半導体ウェーハを、被軸受部が形成
    された端板間に当該各半導体ウェーハのエッチング面を
    それぞれ露出させた状態で収容するウェーハマガジン
    と、 前記ウェーハマガジンの少なくとも一方の端板または被
    軸受部のいずれかに埋設された磁性体と、 エッチャントが収容され、前記ウェーハマガジンの被軸
    受部を 受けて当該ウェーハマガジンに収容された半導体
    ウェーハを当該エッチャントに浸漬させる軸受部を有す
    るエッチング槽と、 前記ウェーハマガジンに収容された半導体ウェーハが前
    記エッチャントに浸漬されているときに、前記エッチン
    グ槽外部から前記磁性体に磁力を与えて当該ウェーハマ
    ガジンを回転させる磁気回転手段と を有する ことを特徴
    とする誘電体分離基板の製造装置。
  2. 【請求項2】前記被軸受部は、半球状に形成され、 前記軸受部には、前記被軸受部の形状に沿った球状面が
    形成されている ことを特徴とする請求項1記載の誘電体
    分離基板の製造装置。
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