JP4110655B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗員の着座状態に応じて、吹出口から着座乗員に向けて吹き出される空調風の吹出範囲、吹出角度、揺動範囲、吹出温度、吹出風速または吹出口モード等を変更することが可能な吹出状態可変手段を備えた車両用空調装置に関するもので、特に例えばシートスイッチ等の乗員検出手段で検出した乗員の着座状態に応じてスイング作動を変更することが可能なスイングルーバを備えた車両用空調装置に係わる。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術として、特公平3−29607号公報に記載のスイングルーバを備えた車両用空調装置(第1従来例)がある。この第1従来例は、自動車に搭乗した乗員の着座状態を検出する複数個のシートスイッチを助手席シートクッションおよび後部座席用シートクッションに設置し、車室内の前面で開口するフェイス吹出口から吹き出される空調風の吹出方向(風向き)が、それらのシートスイッチにて検出される乗員の着座状態に応じて予め設定された吹出方向となるようにスイングルーバの作動状態を制御している。また、特開平7−237430号公報に記載のスイングルーバを備えた車両用空調装置(第2従来例)では、乗員検知センサが乗員を検知した空調エリアに吹き出される空調風のみスイングさせるようにスイングルーバの作動状態を制御している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、第1従来例の車両用空調装置においては、スイングルーバのルーバ方向が乗員が着座する座席方向に向くとは、限らない上、長時間設定された吹出方向に継続されるため、乗員が寒い(または暑い)と感じてしまい、高い快適感を持続させることが困難であるという問題が生じている。また、第2従来例の車両用空調装置においては、乗員が着座している空調エリアのみスイングルーバをスイングさせているが、単にスイングルーバをスイングさせるだけでは空調風の吹出方向が乗員に向いている時間が短時間となり、却って乗員の空調感が悪化する場合もある。
【0004】
ここで、特許第2787673号公報に記載の車両用空調装置では、乗員が着座した時、その着座座席の領域に対応した送風通路が他の送風通路よりも高い空調出力を発生するように送風通路が広くなる作動をするが、座席に着座している乗員に空調風が向くとは限らない上、特に空調負荷が低い条件では空調にパンチ力が全くなくなるし、空調負荷が高い条件では、乗員が座席に着座した時にはパンチ力が弱いか、安定時には空調がきき過ぎるかのどちらかにならざるを得ない。
【0005】
また、片方の送風通路が広くなり、トータルの風量が増えると騒音が増大してしまうと共に、車両右座席側の空調ゾーンと車両左座席側の空調ゾーンとが互いに独立して温度調節することが可能な左右独立温度コントロール車においては隣の空調ゾーンの吹出風量が減る等の影響を与えてしまい、左右独立温度コントロール性が崩れ易くなる。そして、見た目に着座補正を行っているのか否かが分かり難いので、乗員に作動不良ではないかと不安感を与えてしまう可能性がある。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、上記問題点に鑑み、乗員が車両に乗り込んで座席に着座した時に着座乗員に充分なパンチ力のある空調を与えるようにするという点と、車室内の空調状態が安定している時でも着座したばかりの乗員に快適な空調感を与えるようにするという点とを兼ね備えた車両用空調装置を得ることを目的とする。また、隣の空調ゾーンに影響を与え難いという点と、騒音の変化が少ないという点とを兼ね備えた車両用空調装置を得ることを目的とする。さらに、見た目に着座補正を行っているのか否かを容易に認識することのできる車両用空調装置を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、乗員検出手段が、既に着座している乗員がいる状態で、新たな乗員の着座を検出した場合には、新たに乗員が着座した座席を、既に着座している座席よりも優先的に空調されるように、その乗員検出手段が新たな乗員の着座を検出した座席に空調風を多く当てるように、吹出状態可変手段の作動状態が制御される。
例えば新たな着座乗員方向での揺動停止時間が長くなるか、あるいは新たな着座乗員方向でゆっくり揺動する時間または範囲が多くなるか、あるいは新たな着座乗員に集中して吹き出す乗員集中吹出状態になるか、あるいは乗員集中吹出時間が長くなるか、あるいは新たな着座乗員に向けて吹き出される空調風の吹出範囲、吹出角度または揺動範囲が狭くなるか、あるいは新たな着座乗員方向または新たな着座乗員の顔部の方向への吹出風速が大きくなるように、吹出状態可変手段の作動状態が制御される。
それによって、車室内の空調状態が定常状態である時でも、乗員が何も操作することなく、空調ユニットの吹出口から吹き出される空調風(温風または冷風)が新たな着座乗員に多く当たるようになるので、着座したばかりの乗員に快適な空調感(暖房感または冷房感)を早く与えることができる。また、既に快適な状態になっている乗員用の吹出状態可変手段の向きを座席に着座したばかりの乗員に向けることにより、既に着座していた乗員の快適感にはほとんど影響することなく、着座したばかりの乗員の快適感を急速に向上させることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、乗員検出手段が、既に着座している乗員がいる状態で、新たな乗員の着座を検出した場合には、新たに乗員が着座した座席を、既に着座している座席よりも優先的に空調され、新たな着座乗員の上半身への空調が強くなる吹出口モードに切り替わるように、吹出状態可変手段の作動状態が制御される。
それによって、乗員が車両の車室内に乗り込んで座席に着座した際に、身体のうち温度を比較的に感じ易い上半身が優先的に空調されることにより、仮に空調ユニット(吹出口から吹き出される空調風)の空調能力が少なくても、着座したばかりの乗員に快適な空調感を早く与えることができる。また、既に快適な状態になっている乗員用の吹出状態可変手段の向きを座席に着座したばかりの乗員に向けることにより、既に着座していた乗員の快適感にはほとんど影響することなく、着座したばかりの乗員の快適感を急速に向上させることができる。
【0011】
請求項に記載の発明によれば、乗員検出手段が、既に着座している乗員がいる状態で、新たな乗員の着座を検出した場合には、新たに乗員が着座した座席を、既に着座している座席よりも優先的に空調され、既に着座している乗員よりも、新たな着座乗員が感じる風速感を強くするように、吹出状態可変手段の作動状態が制御される。
それによって、着座したばかりの乗員が強い空調感を感じることにより、着座したばかりの乗員の快適感を急速に向上させることができる。
【0012】
請求項に記載の発明によれば、吹出状態可変手段の作動状態を着座状態に応じて補正する着座補正を、空調負荷検出手段にて検出した空調負荷が所定値以上の時のみ行うようにすることで、着座したばかりの乗員が何の不快感もない空調安定時に、着座したばかりの乗員に過度の空調が行われることによる、着座したばかりの乗員の快適感の低下を防止することができる。
【0013】
請求項および請求項に記載の発明によれば、吹出状態可変手段の作動状態を着座状態に応じて補正する着座補正を、乗員検出手段にて乗員の着座を検出してから所定時間の経過後または所定の空調条件になったら解除するか、あるいは吹出状態可変手段の作動状態の補正度合を緩和するか、あるいは時間の経過と共に、吹出状態可変手段の作動状態の補正度合を緩和することにより、長時間強い空調に晒されることによる、着座したばかりの乗員の快適感の低下を防止することができる。
【0014】
請求項に記載の発明によれば、エバ後温度、車室内温度、皮膚温度、吹出温度、風量、送風機電圧、吹出口モード、日射量、日射方向、設定温度変化、車室内温度と設定温度の差、シート温度、ステアリング温度または車速のうち1つ以上が所定状態になったら着座補正が解除される。
それによって、過度な着座補正が行われることにより、却って着座したばかりの乗員の快適感の低下を防止することができる。
【0015】
請求項に記載の発明によれば、所定時間または吹出状態可変手段の作動状態の補正度合が緩和される時間が、各空調負荷の2つ以上の組み合わせ、または各空調負荷のうち1つの空調負荷を利用して決定される。それによって、空調負荷に応じた所定時間または吹出状態可変手段の作動状態の補正度合が緩和される時間が経過するまで着座補正が行われることで、空調定常状態に過度な空調が行われることを防止することができる。
【0016】
請求項に記載の発明によれば、冷房中は、各冷房熱負荷の2つ以上の組み合わせ、または各冷房熱負荷のうち1つの冷房熱負荷が大きい程、所定時間または吹出状態可変手段の作動状態の補正度合が緩和される時間が長くなる。また、暖房中は、各暖房熱負荷の2つ以上の組み合わせ、または各暖房熱負荷のうち1つの暖房熱負荷が大きい程、所定時間または吹出状態可変手段の作動状態の補正度合が緩和される時間が長くなる。
【0017】
請求項10に記載の発明によれば、冷房中は、各冷房熱負荷の2つ以上の組み合わせ、または各冷房熱負荷のうち1つの冷房熱負荷が大きい程、吹出状態可変手段の作動状態の補正度合が強くなる。また、暖房中は、各暖房熱負荷の2つ以上の組み合わせ、または各暖房熱負荷のうち1つの暖房熱負荷が大きい程、吹出状態可変手段の作動状態の補正度合が強くなる。それによって、空調負荷の大きさに応じた着座補正が行われることで、空調定常状態に過度な空調が行われることを防止することができる。また、過度な着座補正が行われることによる快適感の低下を防止することができる。
【0018】
請求項11に記載の発明によれば、冷房中では、外気温、外気温と設定温度の差、エバ後温度、車室内温度、皮膚温度、吹出温度、目標吹出温度、シート温度またはステアリング温度が所定値以上の時、あるいは総風量、着座乗員の上半身への吹出風量または日射量が所定値以上の時、あるいは送風機電圧が所定電圧以上の時、あるいは日射方向が着座乗員に与える冷房熱負荷を上げる方向に変わった時、あるいは乗員が設定温度低下操作を行った時、あるいは吹出口モードが着座乗員の上半身の方向への吹出風量が減るモードに変わった時、あるいは車室内温度と設定温度の差が所定値以上の時、あるいは車速または設定温度が所定値以下の時のうち1つ以上が所定状態になった時を所定値以上の空調負荷と言う。
暖房中では、外気温、エバ後温度、車室内温度、皮膚温度、吹出温度、目標吹出温度、シート温度、ステアリング温度または設定温度が所定値以下の時、外気温と設定温度の差、総風量、着座乗員の上半身の方向への吹出風量または日射量が所定値以上の時、あるいは送風機電圧が所定電圧以上の時、あるいは日射方向が着座乗員に与える暖房熱負荷を上げる方向に変わった時、あるいは乗員が設定温度上昇操作を行った時、あるいは吹出口モードが着座乗員の下半身の方向への吹出風量が減るモードに変わった時、あるいは車室内温度と設定温度の差が所定値以上の時、あるいは車速または設定温度が所定値以下の時のうち1つ以上が所定状態になった時を所定値以上の空調負荷と言う。
【0019】
請求項12に記載の発明によれば、シートスイッチ、赤外線センサ、車室内映像検出手段、シートベルト装着信号、ドア開閉信号、各種スイッチ入力信号または超音波センサのうち1つ以上を利用して、座席に乗員が着座したか否かを検出することにより、車両の車室外から乗員が乗り込んだことを確実に検出することができる。これにより、乗員が着座したばかりの座席を確実に空調することができ、また、乗員が着座していない座席を他の座席よりも優先的に空調する等の誤作動を防止することができる。
【0020】
請求項13に記載の発明によれば、全ての乗員が不快な状態にある空調過渡期には、吹出状態可変手段の作動状態を着座状態に応じて補正する着座補正を行わないか、あるいは吹出状態可変手段の作動状態を着座状態に応じて補正する着座補正が緩和される。それによって、空調過渡期に、後から着座した乗員を既に着座していた乗員よりも優先的に空調しないようにすることで、既に着座していた乗員の快適感が更に低下することを防止することができる。
【0021】
請求項14に記載の発明によれば、第1吹出口および第2吹出口にそれぞれ設けた吹出状態可変手段の作動状態を着座状態に応じて補正する着座補正を、少なくとも1つ以上の空調ゾーンで互いに独立して行うことで、各空調ゾーンの乗員の好みに合わせた吹出状態可変手段の作動状態の制御を行うことができる。例えば車両の車室内に乗り込んで乗員が着座したばかりの着座乗員側の空調ゾーンは強い空調を行い、既に着座している乗員側または乗員が着座していない側の空調ゾーンはその補正分を打ち消す空調を行うといった左右独立の制御を行うことで、着座したばかりの乗員の快適感の向上と既に着座している乗員の快適感の維持とを両立させることができる。
【0022】
請求項15に記載の発明によれば、複数の吹出口にそれぞれ設けた吹出状態可変手段の作動状態を着座状態に応じて補正する着座補正を、少なくとも1つ以上の吹出状態可変手段で互いに独立して行うことで、乗員の好みに合わせた吹出状態可変手段の作動状態の制御を行うことができる。
【0023】
請求項16に記載の発明によれば、乗員検出手段が検出した乗員の着座状態に応じて吹出状態可変手段の作動状態を補正している時に、その着座補正を行なっている旨を乗員に知らせる着座補正表示手段を設けることで、吹出状態可変手段が空調安定状態とは異なる作動をしても、乗員に壊れたのではないかまたは作動不良ではないかという不安を与えることはない。
【0024】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態の構成〕
図1ないし図36は本発明の第1実施形態を示したもので、図1は車両用空調装置の全体構成を示した図で、図2(a)は車両のインストルメントパネルを示した図で、図3はエアコン操作パネルを示した図である。
【0025】
本実施形態の車両用空調装置は、エンジンを搭載する自動車等の車両の車室内を空調する空調ユニット1における各空調手段(アクチュエータ)を、空調制御装置(以下エアコンECUと言う)50によって制御するように構成されている。その空調ユニット1は、車両右座席側(運転席側、ドライバー側)空調ゾーンと車両左座席側(助手席側、パッセンジャー側)空調ゾーンとの温度調節等を互いに独立して行うことが可能なエアコンユニットである。なお、車両の車室内には、図2(b)に示したように、運転席側前部座席(以下運転席側前席と略す)、助手席側前部座席(以下助手席側前席と略す)、助手席側後部座席(以下助手席側後席と略す)および助手席側後部座席(以下助手席側後席と略す)が設置されている。
【0026】
空調ユニット1は、車両の車室内の前方に配置された空調ダクト2を備えている。この空調ダクト2の上流側には、内外気切替ドア3およびブロワ4とが設けられている。内外気切替ドア3は、サーボモータ5により駆動されて内気吸込口6と外気吸込口7との開度(所謂吸込口モード)を変更する吸込口切替手段である。ブロワ4は、ブロワ駆動回路8によって制御されるブロワモータ9により回転駆動されて空調ダクト2内において車室内に向かう空気流を発生させる送風機である。
【0027】
空調ダクト2の中央部には、空調ダクト2内を通過する空気を冷媒と熱交換して冷却する冷凍サイクルのエバポレータ(冷却用熱交換器)10が設けられている。また、そのエバポレータ10の下流側には、第1、第2空気通路11、12を通過する空気をエンジンの冷却水と熱交換して加熱するヒータコア(加熱用熱交換器)13が設けられている。
【0028】
なお、第1、第2空気通路11、12は、仕切り板14により区画されている。そして、ヒータコア13の下流側には、車室内の運転席側空調ゾーンと助手席側空調ゾーンとの温度調節を互いに独立して行うための運転席側、助手席側エアミックス(A/M)ドア15、16が設けられている。そして、運転席側、助手席側A/Mドア15、16は、本発明の吹出状態可変手段に相当するもので、サーボモータ17、18により駆動されて、運転席側、助手席側に向けて吹き出す空調風の吹出温度を調節する吹出温度調節手段である。
【0029】
第1空気通路11の空気下流端では、図1ないし図3に示したように、デフロスタ(DEF)吹出口20、運転席側センタフェイス(FACE)吹出口21、運転席側サイドフェイス(FACE)吹出口22および運転席側フット(FOOT)吹出口23が開口している。また、第2空気通路12の空気下流端では、図1ないし図3に示したように、助手席側センタフェイス(FACE)吹出口31、助手席側サイドフェイス(FACE)吹出口32および助手席側フット(FOOT)吹出口33が開口している。
【0030】
そして、第1、第2空気通路11、12内には、車室内の運転席側と助手席側との吹出口モードの設定を互いに独立して行う運転席側、助手席側吹出口切替ドア24〜26、35、36が設けられている。そして、運転席側、助手席側吹出口切替ドア24〜26、35、36は、本発明の吹出状態可変手段に相当するもので、サーボモータ28、29、39により駆動されて運転席側、助手席側の吹出口モードをそれぞれ切り替える吹出口切替手段である。ここで、運転席側、助手席側の吹出口モードとしては、FACEモード、B/Lモード、FOOTモード、F/Dモード、DEFモード等がある。
【0031】
そして、内部に、運転席側、助手席側センタFACE吹出口21、31および運転席側、助手席側サイドFACE吹出口22、32を形成する運転席側、助手席側センタグリル41および運転席側、助手席側サイドグリル42には、各吹出口から吹き出される空調風の吹出方向(風向き、ルーバ方向)、揺動範囲、吹出角度または吹出範囲等の吹出状態を変更することが可能な吹出状態可変手段がそれぞれ取り付けられている。
【0032】
次に、運転席側、助手席側センタグリル41および運転席側、助手席側サイドグリル42に設置される吹出状態可変手段を図4ないし図6に基づいて簡単に説明する。ここで、図4は運転席側の各FACE吹出口21、22にそれぞれ設置される吹出状態可変手段の全体構成を示した図である。なお、助手席側の各FACE吹出口31、32にそれぞれ設置される吹出状態可変手段は運転席側の各FACE吹出口21、22に設置される吹出状態可変手段と同一の構成のため図示しない。各グリルの吹出状態可変手段は、ルーバ左右方向揺動機構およびルーバ上下方向揺動機構がそれぞれ設けられている。
【0033】
ルーバ左右方向揺動機構は、図5に示したように、複数枚のスイングルーバ43に支点を中心にして揺動運動を与えるリンクレバー44と、アームプレート45を介してリンクレバー44を水平方向に往復運動させるアクチュエータとしてのステッピングモータ43aとから構成されている。これらのスイングルーバ43は、車両の進行方向に対して左右方向(車両の幅方向)に複数列設された風向可変(風向調節)ルーバで、以下各センタグリル41に設置されたスイングルーバをセンタルーバとも言い、各サイドグリル42に設置されたスイングルーバをサイドルーバとも言う。
【0034】
ルーバ上下方向揺動機構は、図6に示したように、複数枚のスイングルーバ46に支点を中心にして揺動運動を与えるリンクレバー47と、アームプレート48を介してリンクレバー47を上下方向に往復運動させるアクチュエータとしてのステッピングモータ46aとから構成されている。これらのスイングルーバ46は、車両の進行方向に対して上下方向(車両の高さ方向)に複数列設された風向可変(風向調節)ルーバで、以下各センタグリル41に設置されたスイングルーバをセンタルーバとも言い、各サイドグリル42に設置されたスイングルーバをサイドルーバとも言う。
【0035】
ここで、運転席側、助手席側センタ、サイドルーバ43、46は、本発明の吹出状態可変手段に相当するもので、ステッピングモータ43a、46aを回転させることで、運転席側、助手席側空調ゾーン内に吹き出す空調風を所定のスイング範囲にてスイングさせる吹出範囲可変手段として働くと共に、ステッピングモータ43a、46aを所定の回転角度で止めることで、運転席側、助手席側空調ゾーンの乗員方向または乗員外し方向に固定する吹出方向可変手段として働く。
【0036】
なお、ステッピングモータ43a、46aの出力軸とリンクレバー44、47またはアームプレート45、48との間には、センタ、サイドルーバ43、46が乗員により手動操作された場合に大きな荷重がステッピングモータ43a、46aに加わらないように、リンクレバー44、47またはアームプレート45、48からステッピングモータ43a、46aの出力軸に伝達される操作力を遮断するクラッチ等の滑り手段が設けられている。
【0037】
そして、ステッピングモータ43a、46aは、1パルス当たりの作動角が決まっており、センタ、サイドルーバ43、46を所定の方向に向ける、あるいは所定の範囲でスイングさせる場合には、下記の数1の式で求めたパルスをエアコンECU50から出力することで駆動される。
【数1】
必要パルス数=(必要作動角)/(1パルス当たりの作動角)
【0038】
エアコンECU50は、本発明の吹出状態制御手段に相当するもので、内部にCPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータが設けられている。そして、エアコンECU50には、図1および図3に示したように、エアコン操作パネル51、運転席側ルーバ操作(SWINGSW)パネル52および助手席側ルーバ操作(SWINGSW)パネル53から各スイッチ信号が入力される。
【0039】
エアコン操作パネル51は、車室内前面の車幅方向の中央部にインストルメントパネル40に一体的に設置されている。エアコン操作パネル51には、エアコン(A/C)スイッチ54、吸込口モード切替スイッチ55、フロントデフロスタスイッチ56、リヤデフロスタスイッチ57、DUALスイッチ58、吹出口モード切替スイッチ59、ブロワ風量切替スイッチ60、オートスイッチ61、オフスイッチ62、液晶表示装置(ディスプレイ)63、運転席側温度設定スイッチ64および助手席側温度設定スイッチ65等が設置されている。
【0040】
上記のうちのDUALスイッチ58は、運転席側空調ゾーン内の温度調節と助手席側空調ゾーン内の温度調節とを互いに独立して行う左右独立温度コントロールを指令する左右独立制御指令手段である。そして、運転席側温度設定スイッチ64は、運転席側空調ゾーン内の温度を所望の温度に設定するための運転席側温度設定手段である。また、助手席側温度設定スイッチ65は、助手席側空調ゾーン内の温度を所望の温度に設定するための助手席側温度設定手段である。
【0041】
運転席側ルーバ操作パネル52は、インストルメントパネル40の中央部においてエアコン操作パネル51の右隣に設置され、運転席側センタ、サイドルーバ43、46の両方をスイング可能にするMATCHスイッチ66、運転席側センタルーバ43をスイング可能にするCENTERスイッチ67、運転席側サイドルーバ46をスイング可能にするSIDEスイッチ68およびスイングモード切替スイッチ69とから構成されている。
【0042】
上記のうちMATCHスイッチ66、CENTERスイッチ67、SIDEスイッチ68は、平常位置(OFF)と押込位置(ON)とを持つプッシュ式スイッチである。スイングモード切替スイッチ69は、「STOP(スイング停止)」、「AUTO(オートスイング)」、「Rr」、「U−DSWING(上下方向スイング)」、「R−LSWING(左右方向スイング)」の各切替位置を有するロータリー式スイッチである。
【0043】
なお、スイングモード切替スイッチ69は、「AUTO」に設定されると、運転席側センタ、サイドルーバ43、46をオートルーバ制御するように指令を出力する。そして、スイングモード切替スイッチ69は、「Rr」に設定されると、車両の前席側空調ゾーンよりも後部座席(以下後席と略す)側空調ゾーンの方が風量配分が多くなるように運転席側センタ、サイドルーバ43、46をスイングさせる。
【0044】
また、スイングモード切替スイッチ69は、「U−DSWING」に設定されると、運転席側センタ、サイドルーバ46を所定のスイング範囲で上下方向(U−D方向)にスイングさせる(マニュアルルーバ制御)ように指令を出力する。さらに、スイングモード切替スイッチ69は、「R−LSWING」に設定されると、運転席側センタ、サイドルーバ43を所定のスイング範囲で左右方向(R−L方向)にスイングさせる(マニュアルルーバ制御)ように指令を出力する。
【0045】
助手席側ルーバ操作パネル53は、運転席側ルーバ操作パネル52と同様にして、MATCHスイッチ70、CENTERスイッチ71、SIDEスイッチ72およびスイングモード切替スイッチ73とから構成されている。上記のうちMATCHスイッチ70、CENTERスイッチ71、SIDEスイッチ72は、平常位置(OFF)と押込位置(ON)とを持つプッシュ式スイッチである。スイングモード切替スイッチ73は、「STOP(スイング停止)」、「AUTO(オートスイング)」、「Rr」、「U−DSWING(上下方向スイング)」、「R−LSWING(左右方向スイング)」の各切替位置を有するロータリー式スイッチである。
【0046】
なお、スイングモード切替スイッチ73は、スイングモード切替スイッチ69と同様にして、「AUTO」に設定されると、助手席側センタ、サイドルーバ43、46をオートルーバ制御を行うように指令を出力する。そして、スイングモード切替スイッチ73は、「Rr」に設定されると、車両の前席側空調ゾーンよりも後席側空調ゾーンの方が風量配分が多くなるように助手席側センタ、サイドルーバ43、46をスイングさせる。
【0047】
また、スイングモード切替スイッチ73は、「U−DSWING」に設定されると、助手席側センタ、サイドルーバ46を所定のスイング範囲で上下方向(U−D方向)にスイングさせる(マニュアルルーバ制御)ように指令を出力する。さらに、スイングモード切替スイッチ73は、「R−LSWING」に設定されると、助手席側センタ、サイドルーバ43を所定のスイング範囲で左右方向(R−L方向)にスイングさせる(マニュアルルーバ制御)ように指令を出力する。
【0048】
ここで、図3に示したように、運転席側、助手席側センタグリル41間には、運転席側、助手席側センタFACE吹出口21、31を開閉するシャッタ(図示せず)を手動操作するためのドア開閉スイッチ74が設けられている。また、運転席側、助手席側センタグリル41および運転席側、助手席側サイドグリル42には、各センタ、サイドルーバ43、46のルーバ方向を手動操作により左右方向、上下方向に動かすためのノブ75、76が設けられている。
【0049】
さらに、エアコンECU50は、各センサからのセンサ信号が図示しない入力回路によってA/D変換された後に、マイクロコンピュータに入力されるように構成されている。すなわち、エアコンECU50には、助手席側前席に乗員が着座したか否かを検出するシートスイッチ81、運転席側後席に乗員が着座したか否かを検出するシートスイッチ82、助手席側後席に乗員が着座したか否かを検出するシートスイッチ83、車室内の空気温度(以下車室内温度と言う)を検出する車室内温度検出手段としての車室内温度センサ91、車室外の空気温度(以下外気温と言う)を検出する外気温検出手段としての外気温センサ92、および日射検出手段としての日射センサ93が接続されている。シートスイッチ81〜83は、図2(b)に示したように、本発明の乗員検出手段に相当するもので、助手席側前席、運転席側後席および助手席側後席にそれぞれ設置されて、乗員が着座すると着座信号をエアコンECU50に出力する。
【0050】
また、運転席側、助手席側空調ゾーン内に吹き出す空調風の吹出温度を検出する運転席側、助手席側吹出温度センサ94a、94b、エバポレータ10を通過した直後の空気温度(以下エバ後温度と言う)を検出するエバ後温度検出手段としてのエバ後温度センサ95、および車両のエンジンの冷却水温を検出する冷却水温検出手段としての冷却水温センサ96が接続されている。そして、日射センサ93は、運転席側空調ゾーン内に照射される日射量(日射強度)TS(Dr)を検知する運転席側日射強度検知手段(例えばフォトダイオード)、および助手席側空調ゾーン内に照射される日射量(日射強度)TS(Pa)を検知する助手席側日射強度検知手段(例えばフォトダイオード)を有している。
【0051】
〔第1実施形態の制御方法〕
次に、本実施形態のエアコンECU50による制御方法を、図1ないし図14に基づいて説明する。ここで、図7はエアコンECU50の制御プログラムの一例を示したフローチャートである。
【0052】
先ず、イグニッションスイッチがONされてエアコンECU50に直流電源が供給されると、制御プログラム(図7のルーチン)の実行が開始される。このとき、先ず、データ処理用メモリ(RAM)の記憶内容等を初期化する(ステップS1)。次に、各種データをデータ処理用メモリに読み込む。すなわち、各種スイッチからのスイッチ信号や各種センサからのセンサ信号を入力する(ステップS2)。
【0053】
次に、上記のような記憶データおよび下記の数2の式、数3の式に基づいて、運転席側の目標吹出温度TAO(Dr)、および助手席側の目標吹出温度TAO(Pa)を演算する(目標吹出温度決定手段:ステップS3)。
【数2】
Figure 0004110655
【0054】
【数3】
Figure 0004110655
【0055】
但し、Tset(Dr)およびTset(Pa)は、それぞれ運転席側空調ゾーン内の設定温度、助手席側空調ゾーン内の設定温度を表し、TS(Dr)およびTS(Pa)は、それぞれ運転席側、助手席側空調ゾーン内の日射量を表す。また、TR、TAMは、それぞれ車室内温度、外気温を表す。Kset、KR、KAM、KS、Kd(Dr)およびKd(Pa)は、それぞれ温度設定ゲイン、車室内温度ゲイン、外気温ゲイン、日射量ゲイン、第1、第2空調ゾーンの温度差補正ゲインを表す。
【0056】
なお、Ka(Dr)、Ka(Pa)は、それぞれ外気温TAMが運転席側空調ゾーンおよび助手席側空調ゾーンの各空調温度に及ぼす影響度合を補正するゲインを表し、CD(Dr)、CD(Pa)は上記影響度合に応じた定数、Cは補正定数を表す。ここで、Ka(Dr)、Ka(Pa)、CD(Dr)、CD(Pa)といった値は、車両の形や大きさ、空調ユニット1の吹出方向等様々なパラメータで変化する。
【0057】
また、本発明の運転席側、助手席側センタルーバ43、46および運転席側、助手席側サイドルーバ43、46の制御を行っている時は、数2の式の{Tset(Dr)−Tset(Pa)}の入っている項および数3の式の{Tset(Pa)−Tset(Dr)}の入っている項をなくすか、または、Ka(Dr)およびKa(Pa)を小さくすることで、運転席側と助手席側との設定温度差による補正量が小さくなるようにしても良い。
【0058】
次に、上記のステップS3で求めた運転席側、助手席側の目標吹出温度TAO(Dr)、TAO(Pa)に基づいてブロワ風量{ブロワモータ9に印加するブロワ制御電圧VA(Dr)、VA(Pa)}を演算する(ステップS4)。具体的には、上記のブロワ制御電圧VAは、運転席側、助手席側の目標吹出温度TAO(Dr)、TAO(Pa)にそれぞれ適合したブロワ制御電圧VA(Dr)、VA(Pa)を図8の特性図に基づいて求めると共に、それらのブロワ制御電圧VA(Dr)、VA(Pa)を平均化処理することにより得ている。
【0059】
次に、上記のステップS3で求めた運転席側、助手席側の目標吹出温度TAO(Dr)、TAO(Pa)と、図9の特性図とに基づいて運転席側空調ゾーンおよび助手席側空調ゾーンの各吹出口モードを決定する(ステップS5)。具体的には、吹出口モードの決定においては、上記の目標吹出温度TAO(Dr)、TAO(Pa)が低い温度から高い温度にかけて、FACEモード、B/LモードおよびFOOTモードとなるように決定されている。また、エアコン操作パネル51に設けられた吹出口モード切替スイッチ59を操作することにより、FACEモード、B/Lモード、FOOTモードまたはF/Dモードのうちのいずれかの吹出口モードに固定される。
【0060】
なお、上記のFACEモードとは、空調風を運転席側、助手席側空調ゾーンの乗員の上半身(頭胸部)に向けて吹き出す吹出口モードである。また、B/Lモードとは、空調風を運転席側、助手席側空調ゾーンの乗員の上半身(頭胸部)および足元部に向けて吹き出す吹出口モードである。そして、FOOTモードとは、空調風を運転席側、助手席側空調ゾーンの乗員の足元部に向けて吹き出す吹出口モードである。さらに、F/Dモードとは、空調風を乗員の足元部および車両のフロントウインドの内面に向けて吹き出す吹出口モードである。
【0061】
ここで、本実施形態では、エアコン操作パネル51に設けられたフロントデフロスタスイッチ56を操作すると、空調風を車両のフロントウインドの内面に向けて吹き出すDEFモードが設定される。また、吹出口モードがFOOTモード、F/DモードまたはDEFモードであっても、運転席側、助手席側サイドFACE吹出口22、32は常に開口している。
【0062】
次に、運転席側A/Mドア15のA/M開度SW(Dr)(%)および助手席側A/Mドア16のA/M開度SW(Pa)(%)を演算する(ステップS6)。なお、このようなA/M開度SW(Dr)、SW(Pa)の演算は、運転席側、助手席側の目標吹出温度TAO(Dr)、TAO(Pa)と、エバ後温度センサ95にて検出したエバ後温度(TE)と、冷却水温センサ96にて検出した冷却水温(TW)と、下記の数4の式および数5の式とに基づいて行われる。
【0063】
【数4】
SW(Dr)={TAO(Dr)−TE}×100/(TW−TE)
【数5】
SW(Pa)={TAO(Pa)−TE}×100/(TW−TE)
【0064】
次に、図10のルーチンが起動して、スイングルーバ制御(オートルーバ制御またはマニュアルルーバ制御)を行う(吹出状態決定手段:ステップS7)。次に、ステップS4で決定されたブロワ制御電圧VA(Dr)、VA(Pa)となるようにブロワ駆動回路8に制御信号を出力する(ステップS8)。
次に、ステップS6で決定されたA/M開度SW(Dr)、SW(Pa)となるようにサーボモータ17、18に制御信号を出力する(ステップS9)。
【0065】
次に、ステップS5で決定された吹出口モードとなるようにサーボモータ28、29、39に制御信号を出力する(ステップS10)。
次に、ステップS7で決定された空調風の揺動範囲、つまりスイングルーバ43、46のスイング範囲、あるいは空調風の吹出方向(風向き)となるようにステッピングモータ43a、46aに制御信号を出力する(ステップS11)。
【0066】
次に、エアコンECU50によるスイングルーバ制御を図10ないし図21に基づいて説明する。ここで、図10はエアコンECU50によるスイングルーバ制御を示したフローチャートである。
【0067】
先ず、図10のルーチンが起動すると、運転席側、助手席側ルーバ操作パネル52、53に設けられたスイングモード切替スイッチ69、73が「AUTO」に設定されているか否かを判定する(ステップS12)。この判定結果がNOの場合には、スイングモード切替スイッチ69、73の設定位置に応じたマニュアルルーバ制御を行う(ステップS13)。その後に、図10のルーチンを抜ける。
【0068】
また、ステップS12の判定結果がYESの場合には、以下のオートルーバ制御を行う。最初にシートスイッチ81〜83から入力する着座信号に基づいて着座補正を行うか否かを決定する(着座状態判定手段:ステップS14)。例えばシートスイッチ81〜83のうちのいずれかより着座信号を入力してから所定時間(例えば5分間)が経過するまでは、その着座信号を入力した側のFACE吹出口の吹出口可変手段(スイングルーバ43、46)の作動状態を着座補正するよう判定する。あるいはシートスイッチ81〜83のうちのいずれかより着座信号を入力してから所定の空調条件になるまでは、その着座信号を入力した側のFACE吹出口の吹出口可変手段(スイングルーバ43、46)の作動状態を着座補正するよう判定する。
【0069】
次に、吹出口モードが乗員の上半身の方向への吹出風量が多いFACEモードまたはB/Lモードであるか否かを判定する(ステップS15)。この判定結果がNOの場合には、運転席側、助手席側のセンタルーバ43、46の揺動をOFFし、サイドウインドの防曇および冷熱輻射のカットを行うために、運転席側、助手席側のサイドルーバ43、46を近傍のサイドウインドへ向けるようにルーバ方向の目標値を決定する(ステップS16)。その後に、図10のルーチンを抜ける。なお、ステップS15は各運転席側、助手席側空調ゾーン毎に独立に判断されることが望ましい。
【0070】
また、ステップS15の判定結果がYESの場合には、図11の特性図に基づいて、空調過渡期であるか否かを判定する。例えば冷房過渡期(クールダウン時)または暖房過渡期(ウォームアップ時)であるか否かを判定する(ステップS17)。この判定結果がYESの場合には、すなわち、車室内温度TRと運転席側、助手席側の設定温度Tset(Dr)、Tset(Pa)との温度偏差が所定値(例えば15度)以上の場合には、運転席側、助手席側のセンタルーバ43、46および運転席側、助手席側のサイドルーバ43、46の原点補正を行う。その後に、乗員のシートポジションに従って、スイングルーバ43、46の向き(ルーバ方向)が運転席側、助手席側前席の乗員の上半身(例えば顔面または首部)の方向に向くようにステッピングモータ43a、46aへ制御出力を出すように目標値が決定される(ステップS18)。その後に、図10のルーチンを抜ける。
【0071】
運転席側、助手席側センタルーバ43、46および運転席側、助手席側サイドルーバ43、46の原点補正は、図12に示したルーバ原点補正方向のスイング端につき当たるようにステッピングモータ43a、46aに制御出力を送り、そのルーバ位置を原点とし、乗員のシートポジションが前の時は若干のパルスをステッピングモータ43a、46aに送り、乗員のシートポジションが後の時は多くのパルスをステッピングモータ43a、46aに送ることで、乗員方向に運転席側、助手席側センタルーバ43、46のルーバ方向および運転席側、助手席側サイドルーバ43、46のルーバ方向が向くように目標値を決定する。
【0072】
ここで、図12に示したルーバ原点補正方向のスイング端につき当てて原点補正を行うのは、本実施形態の吹出状態可変手段が、運転席側、助手席側センタルーバ43、46および運転席側、助手席側サイドルーバ43、46の現在位置(現在のルーバ方向)を検出する吹出方向検出手段としてのポテンショメータを持っていないので、乗員によって運転席側、助手席側のセンタルーバ43、46または運転席側、助手席側のサイドルーバ43、46を直接動かして運転席側、助手席側のセンタルーバ43、46または運転席側、助手席側のサイドルーバ43、46の現在位置を変えると、ルーバ方向(吹出方向)を乗員方向に正確に向けることができないからである。また、図12に示したルーバ原点補正方向のスイング端につき当てるのは、この原点補正は10秒間程の時間がかかるため、少しでも乗員に早く空調風(冷風)が供給できるようにするためである。
【0073】
なお、前席(運転席、助手席)近傍にポテンショメータ等を設けて、乗員が着座する前席(シート)のシートポジションを検出することが考えられるが、乗員がスイッチやディスプレイ63上で設定するようにしても良い。また、シートポジションをディーラ(自動車販売業者)等で設定することができるようにしても良い。そして、乗員やディーラがシートポジションを設定する方法では、クールダウン時に向けたいルーバ方向を好みで調整できるので、この方法の方が好ましい。
【0074】
また、ステップS17の判定結果がNOの場合には、図13の特性図と、図14の特性図と、図15に示した運転席側前席乗員側のスイング端α(Dr)および助手席側前席乗員側のスイング端α(Pa)とに基づいて、運転席側、助手席側センタ、サイドルーバ43、46のスイング範囲を決定(算出)する(吹出状態決定手段:ステップS19)。ここで、図13は運転席側前席または助手席側前席の乗員のシートポジションとスイング範囲との関係を示した図で、前席の乗員のシートポジションにより空調負荷によって決定されたスイング範囲が補正される。
【0075】
なお、運転席側、助手席側前席の乗員のシートポジションが車両前方に移動するに従って運転席側、助手席側センタルーバ43、46のスイング範囲が広くなるように設定され、逆に、運転席側、助手席側前席の乗員のシートポジションが車両後方に移動するに従って運転席側、助手席側センタルーバ43、46のスイング範囲が狭くなるように設定されている。また、運転席側、助手席側センタルーバ43、46を向けたい位置(風向き)が前方になる程、運転席側、助手席側センタルーバ43、46のスイング範囲が広くなる方向に補正される。逆に、向けたい位置が後方になる程、運転席側、助手席側センタルーバ43、46のスイング範囲が狭くなる方向に補正される。
【0076】
また、図13の特性図においては、各前席乗員側のスイング端がシートポジションによって変化し、その結果、スイング範囲が変化することを示している。なお、図13の特性図は、車両毎に違うシートレイアウトやFACE吹出口の位置関係や開口度合などによって補正されることは言うまでもない。また、上記乗員の好みで、乗員が空調風をあまり好まない時はスイング範囲を狭くする方向に補正することで対応できる。なお、本実施形態では、運転席側、助手席側サイドルーバ43、46のスイング範囲は、運転席側、助手席側センタルーバ43、46のスイング範囲と同じとする。
【0077】
図14(a)の特性図は、各空調負荷(冷房熱負荷)が大きい程、乗員側停止時間または乗員側でゆっくり揺動する時間または乗員側でゆっくり揺動する角度または乗員側吹出風速または乗員集中吹出時間が長くまたは大きくなる態様を示す。図14(b)の特性図は、各空調負荷(冷房熱負荷)が大きい程、スイングルーバ43、46のスイング範囲または吹出角度または吹出範囲が狭くなる態様を示す。具体的には、吹出温度、外気温、車室内温度またはエバ後温度が高い程、あるいは吹出風速または車室内温度と設定温度の差が大きい程、あるいはブロワ制御電圧が高い程、スイングルーバ43、46のスイング範囲が狭くなるように決定される。また、皮膚温度、シート温度またはステアリング温度が高い程、あるいはブロワ風量または日射量が大きい程、あるいは設定温度または車速が低い程、スイングルーバ43、46のスイング範囲が狭くなるように決定される。また、乗員の上半身への吹出風量が減る吹出口モードに変わる程、あるいは日射方向が乗員に与える冷房熱負荷を上げる方向である程、スイングルーバ43、46のスイング範囲が狭くなるように決定される。なお、フルオープンモードとは、DEF吹出口20、FACE吹出口21、22、31、32、FOOT吹出口23、33を全て開放する吹出口モードである。
【0078】
なお、図14の特性図では、各空調負荷の2つ以上を組み合わせてスイング範囲を決定しても良く、また、各空調負荷のうち1つの空調負荷を利用してスイング範囲を決定しても良い。そして、図14(a)、(b)の特性図では、初期空調負荷が小さい時よりも初期空調負荷が大きい時の方が空調負荷の大きい側にスイング範囲の切替時期が移行しており、更に、段階的にヒステリシスを持って切り替えられるようになっている。このような段階的な切り替えを連続的(リニア)な切り替えに変更しても良い。
【0079】
ここで、運転席側センタルーバ43のスイングにより空調が可能な空調範囲(運転席側センタFACE吹出口21からの空調風が直接吹き付ける範囲)は、図15に示したように、運転席側前席乗員側のスイング端α(Dr)から助手席側後席乗員側のスイング端β(Pa)までの範囲に制限されている。また、助手席側センタルーバ43のスイングにより空調が可能な空調範囲(助手席側センタFACE吹出口31からの空調風が直接吹き付ける範囲)は、図15に示したように、助手席側前席乗員側のスイング端α(Pa)から運転席側後席乗員側のスイング端β(Dr)までの範囲に制限されている。
【0080】
なお、運転席側前席乗員側のスイング端α(Dr)は、運転席シートポジションまたはシート形状、運転席側前席の乗員(ドライバー)の体格差や空調風の好み、姿勢のうちの1つ以上に応じて補正しても良い。同じように、助手席側前席乗員側のスイング端α(Pa)は、助手席シートポジションまたはシート形状、助手席側前席の乗員(パッセンジャー)の体格差や空調風の好み、姿勢のうちの1つ以上に応じて補正しても良い。本実施形態では、運転席側後席の乗員および助手席側後席の乗員は標準状態であると仮定し、運転席側、助手席側後席乗員側のスイング端β(Dr)、β(Pa)側は固定している。もちろん、運転席側、助手席側後席乗員側のスイング端β(Dr)、β(Pa)も、前席と同様にして、後席シートポジションまたはシート形状、助手席の乗員(パッセンジャー)の体格差や空調風の好み、姿勢に応じて補正しても良い。
【0081】
また、本実施形態のスイングルーバ43、46のスイング範囲は、乗員のルーバ操作により、操作方向側にスイング範囲をシフトするようにしても良い。また、乗員の操作により運転席と助手席との間をスイングさせるモードが選択された場合には、本実施形態のスイング範囲決定制御を解除するようにしても良い。また、その他、乗員のマニュアル操作に応じて本実施形態のスイングルーバ制御を解除できるようにすることで、本実施形態のスイングルーバ制御が好みに合わない乗員(ユーザ)においても、スイングルーバ制御そのものが使われなくなることを防止できる。
【0082】
また、空調負荷が非常に大きい時など、安全運転のため運転席を優先的に空調する時、あるいは運転席側、助手席側後席や助手席側前席に客を乗車させる時に、その座席を優先的に空調する時などは、本実施形態のスイング範囲決定制御を解除できるようにすることで、所定の座席を急速に快適とすることができる。また、偏日射時、日射側の空調能力が足りない時などは、その空調ゾーンを主に空調するFACE吹出口からだけでなく、異なる空調ゾーンを主に空調するFACE吹出口からも冷風が来るようにスイングさせる(例えば助手席側センタルーバ43、46の運転席側後席乗員側のスイング端を運転席側前席の乗員顔部方向に変更する)ことで、車室内全体の快適感を向上させることができる。
【0083】
さらに、ステップS14にて着座補正を行うよう判定されている場合には、図16の特性図に応じて着座補正が行われる。図16(a)は各空調負荷が大きい程、車両に乗り込んだばかりの着座乗員の顔の方向への吹出範囲補正係数または吹出角度補正係数または揺動範囲補正係数が小さくなる態様を示す。また、図16(b)は各空調負荷が大きい程、車両に乗り込んだばかりの着座乗員の顔の方向への吹出範囲の減少量または吹出角度の減少量または揺動範囲の減少量が大きくなる態様を示す。
【0084】
そして、図16中の状態Aとは、助手席側前席、運転席側後席または助手席側後席のいずれかの座席に着座した直後の着座補正を示す。また、状態Bとは、いずれかの座席に乗員が着座してから第1所定時間(例えば2分間)経過後以降の着座補正を示す。さらに、状態Cとは、いずれかの座席に乗員が着座してから第2所定時間(例えば5分間)経過後以降の着座補正の解除を示す。
【0085】
次に、図7のステップS2で読み込んだ日射量TS(Dr)、TS(Pa)と、下記の数6の式とに基づいて、日射量の左右比(H)を演算(決定)する(日射量左右比決定手段:ステップS20)。
【数6】
H=TS(Dr)/{TS(Dr)+TS(Pa)}
但し、{TS(Dr)+TS(Pa)}≦150W/m2 の場合は、H=0.5とする。
【0086】
次に、運転席側、助手席側のセンタ、サイドルーバ43、46のスイング範囲に応じたスイング停止時間を算出(決定)する(スイング停止時間決定手段:ステップS21)。本実施形態では、基準のスイング停止時間を7秒間に設定している。そして、上記のスイング停止時間が、ステップS20の日射左右比を用いて前席乗員側スイング端と後席乗員側スイング端とにどれだけ振り分けるかを決定される。このスイング停止時間割合の算出には、下記の数7の式〜数10の式および図17の特性図を利用する。日射量が当たる側の席乗員側スイング端で長く停止するようにして、日射の当たる乗員に多くの冷風を供給する。
【0087】
【数7】
(FORDR−STOP−TIME)=KFORDR×7(秒)×KDr
但し、FORDR−STOP−TIMEは、運転席側前席乗員側のスイング端でのスイング停止時間である。
【0088】
【数8】
(NOTDR−STOP−TIME)=KNOTDR×7(秒)
但し、NOTDR−STOP−TIMEは、運転席側後席乗員側のスイング端でのスイング停止時間である。
【0089】
【数9】
(FORPA−STOP−TIME)=KFORPA×7(秒)×KPa
但し、FORPA−STOP−TIMEは、助手席側前席乗員側のスイング端でのスイング停止時間である。
【0090】
【数10】
(NOTPA−STOP−TIME)=KNOTPA×7(秒)
但し、NOTPA−STOP−TIMEは、助手席側後席乗員側のスイング端でのスイング停止時間である。
【0091】
なお、数7の式と数9の式のKDr、KPaは、図18(a)の特性図から求められる乗員方向でのスイング停止時間の補正係数である。この補正を加えることにより、設定温度が低めに設定されている空調ゾーンでは、図15に示したように、例えば運転席側前席の乗員方向に運転席側センタルーバ43、46が向くスイング停止時間が長くなる。逆に、設定温度が高めに設定されている空調ゾーンでは、図15に示したように、例えば運転席側前席の乗員に運転席側センタルーバ43、46が向くスイング停止時間が短くなる。なお、助手席側前席、運転席側後席または助手席側後席も同様で、運転席側、助手席側サイドルーバ43、46も同様である。
【0092】
ここでは、各前席の乗員に運転席側、助手席側センタルーバ43、46が向くスイング停止時間のみを長くしたが、各前席の乗員に運転席側、助手席側センタルーバ43、46が向くスイング停止時間を長くした分、各後席の乗員に運転席側、助手席側センタルーバ43、46が向くスイング停止時間を短くすることにより、設定温度が何度になっていても、運転席側、助手席側センタルーバ43、46のスイングの周期を合わせることができ、見栄えを向上させることができる。また、乗員方向でのスイング停止時間の基準値を、図18(b)の特性図に示したように、設定温度の値または隣接する空調ゾーンとの設定温度の差に基づいた乗員方向でのスイング停止時間に固定しても良い。また、図18(b)の特性図に示したスイング停止時間を日射量や車室内温度等で補正するようにしても良い。
【0093】
なお、本実施形態では、スイング停止時間を予め7秒間に設定しているが、図19(a)、(b)に示したように、スイング停止時間にランダム性を持たせたランダム停止時間(T)としても良い。このようにすることによって、乗員の空調風に対する慣れがなくなり、快適感が低下し難くなる。なお、空調負荷が高い時のランダム表と空調負荷が低い時のランダム表とを分けても良い。また、空調負荷が高い時には、図20(a)、(b)の特性図に示したように、ランダム時間またはトータル停止時間を増加させることで、運転席側、助手席側センタルーバ43、46のスイング幅に乗員に向いている割合を増やし、空調効果を上げることができる。この空調効果の向上は、運転席側、助手席側センタルーバ43、46のスイング端からスイング端へ風向きが動くのに要する時間を短くしても、同様に、乗員に向いている時間を増やすことができる。
【0094】
また、前席はフロントウインドがあるため、日射の影響を受け易いと共に、安全運転のために後席よりも優先的に空調されることが望ましい。このときの前席側停止時間に追加される時間も図20(a)、(b)の特性図に示す。すなわち、日射方向が車両後方よりも車両前方の方が上記のトータル停止時間が長くなるように設定され、車両前方よりも車両側方の方が上記のトータル停止時間が長くなるように設定される。但し、後席に客が乗車している時など特別な場合には、図20(a)、(b)の特性図に示した前席側停止時間に追加される時間を後席側停止時間に追加される時間としても良い。
【0095】
また、吹出口モードがB/Lモードの場合に、FOOT吹出口23、33からも車室内に空調風が吹き出される関係で、同じブロワ風量であっても、FACEモードに比べて、運転席側センタ、サイドFACE吹出口21、22および助手席側センタ、サイドFACE吹出口31、32から吹き出す吹出風量が60%程度低下する。このため、吹出口モードがB/Lモードの場合には、FACEモードよりも長いスイング停止時間、運転席側、助手席側センタルーバ43、46を乗員方向に向けるようにしても良い。
【0096】
また、全ての吹出口(FACE吹出口、FOOT吹出口およびDEF吹出口)から吹き出されるフルオープンモードでは、更に、FACE吹出口からの吹出風量が減るため、更に長いスイング停止時間、運転席側、助手席側センタルーバ43、46を乗員方向に向けるようにしても良い。この場合には、吹出口モードに拘らず、運転席側センタ、サイドFACE吹出口21、22から運転席側前席の乗員への風量および助手席側センタ、サイドFACE吹出口31、32から助手席側前席の乗員への風量を、外気温や日射量等の車室内の熱負荷に応じた量だけ充分得ることができるので、各乗員の空調感(冷房感)を低下させることはない。
【0097】
次に、日射左右比を用いて、ステップS21で求めた基準のスイング停止時間を、前席乗員側スイング端と後席乗員側スイング端にどれだけ振り分けるかを算出(決定)する(ステップS22)。さらに、図21(a)、(b)の特性図に基づいて、車両に乗り込んだばかりの着座乗員の方向でスイングを停止する時間を補正する。それ以外の既に乗り込んでいる乗員には、図21(a)、(b)の特性図で求められた補正分が、前席乗員方向と後席乗員方向とに日射左右比Hに基づいて振り分けることが望ましい。このように制御することで、各グリル41、42のスイングルーバ43のスイング周期を同じにすることができる。
【0098】
ここで、図21(a)は、各空調負荷が大きい程、現在の着座席乗員方向停止時間の補正係数またはゆっくり揺動する時間の補正係数またはゆっくり揺動する範囲の補正係数が大きくなる態様を示す。また、図21(b)は、各空調負荷が大きい程、着座席乗員方向停止時間に追加する時間またはゆっくり揺動する時間に追加する時間またはゆっくり揺動する範囲に追加する範囲が大きくなる態様を示す。そして、図21中の状態Aとは、乗員が着座した直後の着座補正を示す。また、状態Bとは、乗員が着座してから第1所定時間(例えば2分間)経過後以降の着座補正を示す。さらに、状態Cとは、乗員が着座してから第2所定時間(例えば5分間)経過後以降の着座補正の解除を示す。
【0099】
次に、各運転席側、助手席側乗員側スイング端および各運転席側、助手席側乗員以外方向スイング端でのスイング停止時間に少なくとも1秒間を加算する(ステップS23)。その後に、図10のルーチンを抜ける。これにより、各運転席側、助手席側乗員以外側スイング端でのスイング停止時間が0秒間とならず、動きにゆったり感がなくなるのを防止できる。
【0100】
〔第1実施形態の作用〕
次に、本実施形態の車両用空調装置の作用を図1ないし図36に基づいて説明する。
【0101】
吹出口モードがFACEモードの場合には、ブロワ4の作用によって内気吸込口6から吸い込まれた内気または外気吸込口7から吸い込まれた外気がエバポレータ10で例えば4℃程度まで冷やされた後に、第1、第2空気通路11、12に入り、運転席側、助手席側A/Mドア15、16の開度に応じてヒータコア13を通過する量が調節されてそれぞれ最適な温度の空調風となる。
【0102】
そして、第1、第2空気通路11、12の最下流端で開口した運転席側センタ、サイドFACE吹出口21、22から吹き出される空調風(冷風)は、運転席側センタ、サイドルーバ43、46のスイング範囲に応じて運転席側空調ゾーン内に吹き出され、特に運転席側前席の乗員の上半身および助手席側後席の乗員の上半身に向けて吹き出される。
【0103】
一方、第1、第2空気通路11、12の最下流端で開口した助手席側センタ、サイドFACE吹出口31、32から吹き出される空調風(冷風)は、助手席側センタ、サイドルーバ43、46のスイング範囲に応じて助手席側空調ゾーン内に吹き出され、特に助手席側前席の乗員の上半身および運転席側後席の乗員の上半身に向けて吹き出される。
【0104】
ここで、スイングモード切替スイッチ69、73のいずれかが「AUTO」の場合には、シートスイッチ81〜83から入力する着座信号に基づいて着座補正を行うか否かを決定する。例えばシートスイッチ81〜83のうちのいずれかより着座信号を入力してから所定時間(例えば5分間)が経過するまでは着座補正を行うよう判定する。あるいはシートスイッチ81〜83のうちのいずれかより着座信号を入力してから所定の空調条件になるまでは着座補正を行うよう判定する。
【0105】
そして、例えばシートスイッチ81によって助手席側前席に乗員が着座したことを検出した場合には、助手席側前席に乗員が着座する前よりも、助手席側センタグリル41のセンタルーバ43、46のスイング範囲および助手席側サイドグリル42のサイドルーバ43、46のスイング範囲を狭くするようにして、助手席側センタFACE吹出口31および助手席側サイドFACE吹出口32から吹き出される空調風(冷風)を、助手席側前席の着座乗員の顔により多く当たるように着座補正される。
【0106】
ここで、図16(b)の特性図に示したように、各空調負荷が大きい程、その着座乗員の顔の方向への揺動範囲(スイング範囲)の減少量を多くするようにしている。具体的には、着座乗員の顔の方向へのスイング範囲を着座補正する場合には、車両に乗り込んできた乗員が今までいた外気温、吹出温度、車室内温度、エバ後温度、着座乗員皮膚温度、シート温度、ステアリング温度が高い程、または、日射量が大きい程、または、車両に乗り込んだ直後である程(離席してから再び着座するまでの時間が長い程)、ブロワ制御電圧が高い程、吹出風速、車室内温度と設定温度の差、外気温と設定温度の差、他の乗員との皮膚温度の差、ブロワ風量が大きい程、設定温度または車速が低い程、着座乗員への吹出風量が多い吹出口モードである程、日射方向が着座乗員に与える冷房熱負荷を上げる方向に変わる程、着座乗員の顔部の方向へのスイング範囲が狭く設定される。
【0107】
また、図16(b)の特性図に示したように、乗員が車両に乗り込んで助手席側前席に着座してから第1所定時間(例えば2分間)が経過するまでの間(状態A:着座直後)は、第1所定時間の経過後から第2所定時間(例えば5分間)が経過するまでの間(状態B:着座から2分後)よりも、着座乗員の顔の方向への揺動範囲(スイング範囲)が狭くなるように決定される。そして、第2所定時間が経過したら、助手席側前席に着座した着座乗員に対する着座補正を終了して通常のスイング範囲決定制御に移る。また、状態Aから状態Bになるまでの時間、状態Bから状態Cになるまでの時間は、空調負荷が大きい程、長くなるようにしても良い。
【0108】
なお、図16(a)、(b)の特性図に示した着座状態制御特性を、図22(a)、(b)の特性図〜図35の特性図に示した着座状態制御特性に代えても良い。図22(a)の特性図は、各空調負荷が大きい程、着座乗員の上半身の方向への集中吹出時間の補正係数または吹出風速の補正係数が大きくなる態様を示す。また、図22(b)の特性図は、各空調負荷が大きい程、着座乗員の上半身の方向への集中吹出時間の追加時間または吹出風速の追加量が長くまたは大きくなる態様を示す。
【0109】
図23(a)の特性図は、各空調負荷が大きい程、着座乗員の上半身または顔の方向へ集中的に空調風を吹き出す集中吹出時間の補正係数または吹出風速の補正係数が大きくなる態様を示す。また、図23(b)の特性図は、各空調負荷が大きい程、着座乗員の上半身の方向へ集中的に空調風を吹き出す集中吹出時間の追加時間または吹出風速の追加量が長くまたは大きくなる態様を示す。
【0110】
図24(a)の特性図は、各空調負荷が大きい程、既に着座している乗員用の吹出状態可変手段の既に着座している乗員への集中吹出時間の補正係数または吹出風速の補正係数が小さくなる態様を示す。また、図24(b)の特性図は、各空調負荷が大きい程、既に着座している乗員用の吹出状態可変手段の既に着座している乗員への集中吹出時間の減少時間または吹出風速の減少量が長くまたは大きくなる態様を示す。
【0111】
図25(a)の特性図は、各空調負荷が大きい程、既に着座している乗員用の吹出状態可変手段の吹出範囲の補正係数または吹出角度の補正係数または揺動範囲の補正係数が大きくなる態様を示す。また、図25(b)の特性図は、各空調負荷が大きい程、既に着座している乗員用の吹出状態可変手段の吹出範囲の増加量または吹出角度の増加量または揺動範囲の増加量が大きくなる態様を示す。
【0112】
図26(a)の特性図は、各空調負荷が大きい程、既に着座している乗員用の吹出状態可変手段が既に着座している乗員方向で停止する時間の補正係数またはゆっくり揺動する時間の補正係数またはゆっくり揺動する範囲の補正係数が小さくなる態様を示す。また、図26(b)の特性図は、各空調負荷が大きい程、既に着座している乗員用の吹出状態可変手段が既に着座している乗員方向で停止する時間またはゆっくり揺動する時間またはゆっくり揺動する範囲が小さくなる態様を示す。
【0113】
図27(a)の特性図は、各空調負荷が大きい程、現在の着座席乗員方向停止時間の補正係数またはゆっくり揺動する時間の補正係数またはゆっくり揺動する範囲の補正係数が大きくなる態様を示す。また、図27(b)の特性図は、各空調負荷が大きい程、着座席乗員方向停止時間に追加する時間またはゆっくり揺動する時間に追加する時間またはゆっくり揺動する範囲に追加する範囲が大きくなる態様を示す。
【0114】
図28(a)の特性図は、各空調負荷が大きい程、集中吹出時間の補正係数または吹出風速の補正係数が大きくなる態様を示す。また、図28(b)の特性図は、各空調負荷が大きい程、集中吹出時間の追加時間または吹出風速の追加量またはブロワ制御電圧の追加量が大きくなる態様を示す。
【0115】
図29(a)の特性図は、各空調負荷が大きい程、着座乗員の顔の方向への吹出範囲の補正係数または吹出角度の補正係数または揺動範囲の補正係数が小さくなる態様を示す。また、図29(b)の特性図は、各空調負荷が大きい程、着座乗員の顔の方向への吹出範囲の減少量または吹出角度の減少量または揺動範囲の減少量が大きくなる態様を示す。
【0116】
図30(a)の特性図は、各空調負荷が大きい程、既に着座している乗員用の吹出状態可変手段が着座した乗員方向で停止する時間の補正係数またはゆっくり揺動する時間の補正係数またはゆっくり揺動する範囲の補正係数が大きくなる態様を示す。また、図30(b)の特性図は、各空調負荷が大きい程、既に着座している乗員用の吹出状態可変手段が着座した乗員方向で停止する時間またはゆっくり揺動する時間またはゆっくり揺動する範囲が大きくなる態様を示す。
【0117】
図31(a)の特性図は、各空調負荷が大きい程、既に着座している乗員用の吹出状態可変手段の既に着座している乗員への集中吹出時間の補正係数または吹出風速の補正係数が小さくなる態様を示す。また、図31(b)の特性図は、各空調負荷が大きい程、既に着座している乗員用の吹出状態可変手段の既に着座している乗員への集中吹出時間の減少時間または吹出風速の減少量が大きくなる態様を示す。
【0118】
図32(a)の特性図は、各空調負荷が大きい程、既に着座している乗員用の吹出状態可変手段の吹出範囲の補正係数または吹出角度の補正係数または揺動範囲の補正係数が大きくなる態様を示す。また、図32(b)の特性図は、各空調負荷が大きい程、既に着座している乗員用の吹出状態可変手段の吹出範囲の増加量または吹出角度の増加量または揺動範囲の増加量が大きくなる態様を示す。
【0119】
図33(a)の特性図は、各空調負荷が大きい程、既に着座している乗員用の吹出状態可変手段が既に着座している乗員方向で停止する時間の補正係数またはゆっくり揺動する時間の補正係数またはゆっくり揺動する範囲の補正係数が小さくなる態様を示す。また、図33(b)の特性図は、各空調負荷が大きい程、既に着座している乗員用の吹出状態可変手段が既に着座している乗員方向で停止する時間またはゆっくり揺動する時間またはゆっくり揺動する範囲が小さくなる態様を示す。
【0120】
図34の特性図は、各空調負荷が大きい程、冷房時の着座補正の適用係数が小さくなる態様を示す。また、図35の特性図は、各空調負荷が大きい程、暖房時の着座補正の適用係数が小さくなる態様を示す。
【0121】
ここで、冷房中に、車両に乗員が乗り込んだ時に、着座したばかりの乗員の座席を他の座席よりも優先的に空調するために、着座したばかりの乗員の上半身への配風割合を既に着座している乗員よりも多くしても良い。そして、冷房中に乗員が着座した時の、乗員が着座した座席側と既に着座している座席側との配風割合補正条件を下記の表1に示す。例えば着座以降の低下車室内温度が0.5℃以下の場合には、乗員が着座した座席側を+30%、既に着座している座席側を−30%に設定し、着座以降の低下車室内温度が1.0℃以下の場合には、乗員が着座した座席側を+15%、既に着座している座席側を−15%に設定する。
【表1】
Figure 0004110655
【0122】
また、暖房中に、車両に乗員が乗り込んだ時に、着座したばかりの乗員の座席を他の座席よりも優先的に空調するために、着座したばかりの乗員の下半身への配風割合を既に着座している乗員よりも多くしても良い。そして、暖房中に乗員が着座した時の、乗員が着座した座席側と既に着座している座席側との配風割合補正条件を下記の表2に示す。例えば着座以降の増加車室内温度が0.5℃以下の場合には、乗員が着座した座席側を+30%、既に着座している座席側を−30%に設定し、着座以降の増加車室内温度が1.0℃以下の場合には、乗員が着座した座席側を+15%、既に着座している座席側を−15%に設定する。
【表2】
Figure 0004110655
【0123】
また、冷房中に乗員が着座した時の、乗員が着座した座席側と既に着座している座席側との配風割合補正時間を下記の表3に示す。例えば車室内温度が35℃以上の場合には、乗員が着座した座席側を+30%、既に着座している座席側を−30%に所定時間(例えば5分間)が経過するまで設定し、車室内温度が30℃以上の場合には、乗員が着座した座席側を+30%、既に着座している座席側を−30%に所定時間(例えば1分間)が経過するまで設定する。
【表3】
Figure 0004110655
【0124】
また、暖房中に乗員が着座した時の、乗員が着座した座席側と既に着座している座席側との配風割合補正時間を下記の表4に示す。例えば車室内温度が15℃以下の場合には、乗員が着座した座席側を+30%、既に着座している座席側を−30%に所定時間(例えば5分間)が経過するまで設定し、車室内温度が20℃以下の場合には、乗員が着座した座席側を+30%、既に着座している座席側を−30%に所定時間(例えば1分間)が経過するまで設定する。
【表4】
Figure 0004110655
【0125】
また、冷房中に、車両に乗員が乗り込んで座席(例えば助手席側前席)に着座したことを検出した場合に、着座乗員の上半身への空調が強くなる吹出口モードに切り替えるようにしても良い。この冷房中の着座時、吹出口切替条件を下記の表5に示す。例えば着座以降の低下車室内温度が0.5℃以下の場合には、フルオープンモードからFACEモードへ切り替え、着座以降の低下車室内温度が1.0℃以下の場合には、フルオープンモードからB/Lモード、またはB/LモードからFACEモードへ切り替える。
【表5】
Figure 0004110655
【0126】
また、暖房中に、車両に乗員が乗り込んで座席(例えば助手席側前席)に着座したことを検出した場合に、着座乗員の上半身への空調が強くなる吹出口モードに切り替えるようにしても良い。この暖房中の着座時、吹出口切替条件を下記の表6に示す。例えば着座以降の増加車室内温度が0.5℃以下の場合には、フルオープンモード、B/LまたはFOOTからFACEモードへ切り替え、着座以降の増加車室内温度が1.0℃以下の場合には、フルオープンモードまたはFOOTモードからB/Lモードへ切り替える。
【表6】
Figure 0004110655
【0127】
また、冷房中の着座時、吹出口切替時間を下記の表7に示す。例えば車室内温度が35℃以上の場合には、FOOTモード、フルオープンモードまたはB/LモードからFACEモードへ、あるいはFOOTモードまたはフルオープンモードからB/Lモードへ、あるいはFOOTモードからフルオープンモードへの切り替えを所定時間(例えば5分間)継続させる。また、車室内温度が30℃以上の場合には、上記の切り替えを所定時間(例えば1分間)継続させる。
【表7】
Figure 0004110655
【0128】
また、暖房中の着座時、吹出口切替時間を下記の表8に示す。例えば車室内温度が15℃以下の場合には、FOOTモード、フルオープンモードまたはB/LモードからFACEモードへ、あるいはFOOTモードまたはフルオープンモードからB/Lモードへ、あるいはFOOTモードからフルオープンモードへの切り替えを所定時間(例えば5分間)継続させる。また、車室内温度が20℃以下の場合には、上記の切り替えを所定時間(例えば1分間)継続させる。
【表8】
Figure 0004110655
【0129】
また、冷房中に、車両に乗員が乗り込んで座席(例えば助手席側前席)に着座したことを検出した場合に、シートスイッチ81が乗員の着座を検出する前よりも、着座乗員への空調が強くなる方向に吹出温度を変えるようにしても良い。この冷房中の着座時、吹出温度補正条件を下記の表9に示す。例えば着座以降の低下車室内温度が0.5℃以下の場合には、下記の数11の式に基づいて補正吹出温度を演算し、この演算結果に応じて目標吹出温度を変更する。また、着座以降の低下車室内温度が1.0℃以下の場合には、下記の数12の式に基づいて補正吹出温度を演算し、この演算結果に応じて目標吹出温度を変更する。
【数11】
補正吹出温度=着座前の吹出温度−((外気温−設定温度)×2))
【数12】
補正吹出温度=着座前の吹出温度−(外気温−設定温度)
【表9】
Figure 0004110655
【0130】
また、暖房中に、車両に乗員が乗り込んで座席(例えば助手席側前席)に着座したことを検出した場合に、シートスイッチ81が乗員の着座を検出する前よりも、着座乗員への空調が強くなる方向に吹出温度を変えるようにしても良い。この暖房中の着座時、吹出温度補正条件を下記の表10に示す。例えば着座以降の増加車室内温度が0.5℃以下の場合には、下記の数13の式に基づいて補正吹出温度を演算し、この演算結果に応じて目標吹出温度を変更する。また、着座以降の増加車室内温度が1.0℃以下の場合には、下記の数14の式に基づいて補正吹出温度を演算し、この演算結果に応じて目標吹出温度を変更する。
【数13】
補正吹出温度=着座前の吹出温度+((外気温−設定温度)×2))
【数14】
補正吹出温度=着座前の吹出温度+(外気温−設定温度)
【表10】
Figure 0004110655
なお、表1〜表10において、最も下段に示した「離席してから再び着座するまでの時間」とは、例えば助手席側前席に着座していた乗員が、一度車両から降りて、再び車両に乗り込んで元の助手席側前席に着座するまでの時間、あるいは例えば助手席側前席に着座していた乗員が車両から降りて、今度は異なる乗員が車両に乗り込んで空いている助手席側前席に着座するまでの時間である。
【0131】
また、冷房中の着座時、吹出温度補正時間を下記の表11に示す。例えば車室内温度が35℃以上の場合には、上記の数11の式に基づく吹出温度補正を所定時間(例えば5分間)継続させる。また、車室内温度が30℃以上の場合には、上記の数11の式に基づく吹出温度補正を所定時間(例えば1分間)継続させる。
【表11】
Figure 0004110655
【0132】
また、暖房中の着座時、吹出温度補正時間を下記の表12に示す。例えば車室内温度が15℃以下の場合には、上記の数13の式に基づく吹出温度補正を所定時間(例えば5分間)継続させる。また、車室内温度が20℃以下の場合には、上記の数13の式に基づく吹出温度補正を所定時間(例えば1分間)継続させる。なお、以上の複数の着座補正のうちの2つ以上を組み合わせることで、更に高い効果を得ることができる。
【表12】
Figure 0004110655
【0133】
また、本実施形態では、乗員検出手段としてシートスイッチ81〜83を使用した例を説明したが、乗員検出手段としてシートスイッチ、赤外線センサ、CCDを用いた車室内映像検出手段、シートベルト装着信号、ドア開閉信号、オーディオや空調等の各種スイッチ入力信号または超音波センサのうち1つ以上を利用して、座席に乗員が着座したか否かを検出するようにしても良い。なお、シートスイッチやシートベルト装着信号等の入力がエアコンECU50にあっても、車両のドアの開閉がなければ着座制御を行わないようにすることで誤作動を防止できる。また、着座補正をキャンセルする着座補正キャンセル手段を設けても良い。
【0134】
乗員に着座補正を知らせる着座補正表示手段は、図36(a)〜図36(n)に示したような文字情報をディスプレイ63、マルチディスプレイやエアコン操作パネル51、スイングルーバ用ディスプレイ等に視覚表示する手段を他に、特定の位置のLEDが点灯するようにしても良く、また、音声等で知らせる聴覚表示手段を設けても良い。また、空調状態を表すグラフィックでも良く、色で表しても良い。
【0135】
なお、エンジン始動後から所定時間(例えば1分間程度)が経過するまでは、既に着座している乗員よりも後から着座した乗員を優先的に空調する着座補正を行わないことにより、乗員の空調感があまり変わらないのに、スイングルーバ43、46の作動がばらばらになって見栄えが低下する不具合を防止できる。また、全ての乗員が不快な状態にあるクールダウン等の空調過渡期には、着座補正を行わないか、あるいは着座補正を緩和することで、既に着座していた乗員の空調感(冷房感)が更に低下するのを防止できる。
【0136】
本実施形態では、図13の特性図と、図14の特性図と、図15に示した運転席側前席乗員側のスイング端α(Dr)および助手席側前席乗員側のスイング端α(Pa)とに基づいて、スイングルーバ43、46のスイング範囲を可変としているが、スイングルーバ43、46のスイング範囲を固定しても良い。なお、スイング範囲中の運転席側前席乗員側のスイング端α(Dr)および助手席側前席乗員側のスイング端α(Pa)で一時停止するスイング停止時間を設けなくても良い。また、スイングルーバ43、46の原点補正は、本実施形態と逆の方向で行っても良い。また、原点補正作動を早く終了させるために、通常のスイング時よりも速い作動速度に変更することが望ましい。
【0137】
〔第1実施形態の効果〕
以上のように、本実施形態の吹出状態可変手段を備えた車両用空調装置では、シートスイッチ81〜83のうちのいずれかの乗員検出手段が乗員が着座したことを検出した場合には、シートスイッチ81〜83が乗員の着座を検出する前よりも、着座したばかりの乗員方向の上半身または顔部の方向に空調風が多く当たるように、スイングルーバ43、46のスイング範囲が狭くなるよう着座補正している。それによって、車室内の空調状態が安定状態である時でも、乗員が何も操作することなく、着座したばかりの乗員に充分なパンチ力のある空調を与えることができる。具体的には、空調ユニット1のFACE吹出口から吹き出される空調風(温風または冷風)が着座したばかりの乗員に多く当たるようになるので、着座したばかりの乗員に快適な空調感(暖房感または冷房感)を早く与えることができる。
【0138】
また、シートスイッチ81〜83等の乗員検出手段が乗員が着座したことを検出した場合には、着座したばかりの乗員方向の上半身または顔部の方向への空調風が多く当たるように、着座席を他の座席よりも優先的に空調するよう着座補正している。それによって、既に快適な状態になっている乗員用のスイングルーバ43、46の向きを座席に着座したばかりの乗員に向けることにより、既に着座していた乗員の快適感にはほとんど影響することなく、着座したばかりの乗員の快適感を急速に向上させることができる。
【0139】
なお、シートスイッチ81〜83等の乗員検出手段が乗員の着座を検出した場合に、乗員検出手段にて乗員の着座を検出する前よりも、着座したばかりの乗員が感じる風速感を強くするよう着座補正しても良い。この場合には、着座したばかりの乗員が強い空調感を感じることにより、着座したばかりの乗員の快適感を急速に向上させることができる。
【0140】
〔第2実施形態〕
図37は本発明の第2実施形態を示したもので、エアコン操作パネルを示した図である。
【0141】
本実施形態では、エアコン操作パネル51と一体的に、運転席側空調ゾーンおよび助手席側空調ゾーン内の各FACE吹出口21、22、31、32から吹き出される空調風の吹出状態(センタ、サイドルーバ43、46のスイング状態)を操作するためのルーバ操作(SWINGSW)パネル100が設けられている。このルーバ操作パネル100は、MATCHスイッチ101、Drスイッチ102、Paスイッチ103およびスイングモード切替スイッチ104とから構成されている。
【0142】
なお、スイングモード切替スイッチ104は、第1実施形態のスイングモード切替スイッチ69、73と同様に、「STOP(スイング停止)」、「AUTO(オートスイング)」、「Rr」、「U−DSWING(上下方向スイング)」、「R−LSWING(左右方向スイング)」の各切替位置を有するロータリー式スイッチである。
【0143】
また、MATCHスイッチ101、Drスイッチ102およびPaスイッチ103は、平常位置(OFF)と押込位置(ON)とを持つプッシュ式スイッチである。MATCHスイッチ101がONされると、運転席側、助手席側のセンタ、サイドルーバ43、46のうちの少なくとも一方をスイングさせるように出力する。そして、Drスイッチ102がONされると、運転席側のセンタ、サイドルーバ43、46のうちの少なくとも一方をスイングさせるように出力する。さらに、Paスイッチ103がONされると、助手席側のセンタ、サイドルーバ43、46のうちの少なくとも一方をスイングさせるように出力する。
【0144】
〔第3実施形態〕
図38ないし図40は本発明の第3実施形態を示したもので、図38は車両用空調装置の全体構成を示した図で、図39はルーバ左右方向揺動機構の構成を示した図で、図40はルーバ上下方向揺動機構の構成を示した図である。
【0145】
本実施形態のエアコンECU50には、各吹出状態可変手段のセンタ、サイドルーバ43、46の現在位置(ルーバ方向または空調風の吹出方向)を検出するポテンショメータ97、98が接続されている。複数個(本例では4個)のポテンショメータ97は、図39に示したように、ルーバ左右方向揺動機構近傍にそれぞれ設けられ、リンクレバー44と一体的に水平方向に往復移動する可動接点97a、およびこの可動接点97aの移動により分圧比を変える抵抗素子97b等よりなる吹出方向または吹出位置検出手段である。
【0146】
複数個(本例では4個)のポテンショメータ98は、図40に示したように、ルーバ上下方向揺動機構近傍にそれぞれ設けられ、リンクレバー47と一体的に上下方向に往復移動する可動接点98a、およびこの可動接点98aの移動により分圧比を変える抵抗素子98b等よりなる吹出方向または吹出位置検出手段である。そして、本実施形態では、ルーバモータとしてステッピングモータの代わりに、サーボモータ43b、46bを使用している。
【0147】
〔第4実施形態〕
図41ないし図43は本発明の第4実施形態を示したもので、図41は吹出状態可変手段のルーバ左右方向揺動機構の構成を示した図である。
【0148】
本実施形態のルーバ左右方向揺動機構140は、センタ、サイドFACE吹出口121、131を形成する集中拡散グリル120、130に設置されている。このルーバ左右方向揺動機構140は、集中拡散グリル120、130内において左右方向にスイング可能に取り付けられた複数枚(本例では3枚)の第1〜第3ルーバ141と、これらの第1〜第3ルーバ141を各支点142を中心にして左右方向に所定のスイング範囲にてスイングさせる複数枚(本例では3枚)の第1〜第3リンクプレート143と、これらの第1〜第3リンクプレート143を各支点144を中心にして回動させる平板プレート145と、この平板プレート145を車両の進行方向に対して前後方向に往復運動させるアクチュエータとしてのルーバモータ146とから構成されている。
【0149】
第1〜第3リンクプレート143には、各第1〜第3ルーバ141の上端面に設けられた円柱形状のピン147が係合する長円形状の係合穴148が形成されている。また、平板プレート145には、各リンクプレート143の上端面に設けられた円柱形状のピン149が係合する第1〜第3係合穴151〜153、およびルーバモータ146側の上端面に設けられたラック154が形成されている。なお、第1〜第3係合穴151〜153の形成順序は、集中拡散グリル120と集中拡散グリル130とでは逆となる。
【0150】
また、平板プレート145は、集中拡散グリル120、130の外壁面に設けられたガイド155およびレール156に案内されて、その外壁面上を車両の前後方向に摺動可能に配されている。ルーバモータ146は、集中拡散グリル120、130の外壁面に取り付けられた取付用台157上に設置されている。また、ルーバモータ146の出力軸の先端外周には、ラック154と噛合するピニオン159が組み付けられている。
【0151】
本実施形態では、ルーバモータ146を作動させることにより、図42に示したように、集中拡散グリル120、130の外壁面上において平板プレート145が最も車両後方側(乗員に近づく側)に位置すると、第1〜第3ルーバ141が図示左側(乗員方向)に向くことにより、集中拡散グリル120、130から吹き出される空調風が空調ゾーンの乗員の頭胸部に局所的に吹き出すスポット吹出モードに設定される。
【0152】
また、ルーバモータ146を上記とは逆回転方向に作動させることにより、図43に示したように、集中拡散グリル120、130の外壁面上において平板プレート145が最も車両前方側(乗員より遠ざかる側)に位置すると、第1ルーバ141が図示右側(乗員を外す方向)に向き、第2ルーバ141が図示上側(中央方向)に向き、第3ルーバ141が図示左側(乗員方向)に向くことにより、集中拡散グリル120、130から吹き出される空調風が空調ゾーン内に拡散的に吹き出すワイド吹出モードに設定される。そして、ルーバモータ146の正転および逆転を繰り返すことにより、第1〜第3ルーバ141が支点を中心にしてスイングする。
【0153】
そして、本実施形態においてランダムスイング中にスイング停止する場合には、車室内温度(TR)が高い程、集中拡散グリル120、130から吹き出される空調風が空調ゾーンの乗員の頭胸部に集中状態で第1〜第3ルーバ141が停止またはゆっくりと動く。また、日射方向が乗員の右方向からの入射の時、つまり乗員の右半身に日射が当たっている時には、右側の集中拡散グリル130の第1〜第3ルーバ141が左側の集中拡散グリル120の第1〜第3ルーバ141よりも乗員の頭胸部に集中状態で空調風を吹き出すように停止またはゆっくりと動く。逆に、日射方向が乗員の左方向からの入射の時、つまり乗員の左半身に日射が当たっている時には、左側の集中拡散グリル120の第1〜第3ルーバ141が右側の集中拡散グリル130の第1〜第3ルーバ141よりも乗員の頭胸部に集中状態で空調風を吹き出すように停止またはゆっくりと動く。
【0154】
〔第5実施形態〕
図44および図45は本発明の第5実施形態を示したもので、図44は車両のインストルメントパネルを示した図で、図45は空調ユニットのフェイスダクトを示した図である。
【0155】
本実施形態では、第1実施形態の空調ダクト2内の仕切り板14を廃止している。そして、前席側FACE吹出口として、空調ダクト2の空気下流側端部に連結されたフェイスダクト160の最空気下流側で開口するワイドフローFACE吹出口161が設けられている。ワイドフローFACE吹出口161は、インストルメントパネル40の前面中央で開口する運転席側、助手席側センタFACE吹出口162、163と、インストルメントパネル40の車両幅方向両側、すなわち、車両のサイドウインド近傍で開口する運転席側、助手席側サイドFACE吹出口164、165と、これらのFACE吹出口の間で開口する運転席側、助手席側ミドルFACE吹出口166、167とから構成されている。なお、各FACE吹出口162〜167には、乗員の手動操作により空調風の吹出方向を変更するための複数のルーバがそれぞれ設けられている。
【0156】
そして、フェイスダクト160には、各FACE吹出口162〜167を開閉するためのFACEドア171が回動自在に取り付けられており、運転席側サイド、ミドルFACE吹出口164、166を開閉するための運転席側ミドルFACEドア172が回動自在に取り付けられており、助手席側サイド、ミドルFACE吹出口165、167を開閉するための助手席側ミドルFACEドア173が回動自在に取り付けられている。なお、運転席側、助手席側ミドルFACEドア172、173は、本発明の吹出状態可変手段に相当するもので、開度に応じて運転席側、助手席側サイドFACE吹出口164、165および運転席側、助手席側ミドルFACE吹出口166、167から各空調ゾーン内に吹き出す空調風の吹出状態(例えばワイド吹出モードとスポット吹出モード)を変更する。
【0157】
本実施形態では、サーボモータ等のアクチュエータによりFACEドア171を開放側に動かし、サーボモータ等のアクチュエータにより運転席側、助手席側ミドルFACEドア172、173を閉塞側に動かす。それによって、運転席側、助手席側センタFACE吹出口162、163および運転席側、助手席側サイドFACE吹出口164、165を開放し、運転席側、助手席側ミドルFACE吹出口166、167を閉塞することにより、ワイドフローFACE吹出口161の開口面積を小さくすることで、ワイドフローFACE吹出口161から吹き出される空調風の吹出範囲を小さくして空調ゾーンの乗員の頭胸部に局所的に空調風を吹き出す(乗員集中吹出モード、スポット吹出モード)。
【0158】
また、FACEドア171を開放側に動かし、運転席側、助手席側ミドルFACEドア172、173を中間位置に動かす。それによって、運転席側、助手席側センタFACE吹出口162、163、運転席側、助手席側サイドFACE吹出口164、165および運転席側、助手席側ミドルFACE吹出口166、167を開放することにより、ワイドフローFACE吹出口161の開口面積を大きくすることで、ワイドフローFACE吹出口161から吹き出される空調風の吹出範囲を大きくして空調ゾーン内に拡散的に空調風を吹き出す(車室内拡散吹出モード、ワイド吹出モード)。この車室内拡散吹出モードを実施している時間は、本発明の空調ゾーンへの車室内拡散吹出時間に相当する。
【0159】
なお、フェイスダクト160内にFACEドアを追加して更に細やかな配風量の変更制御を行うようにしても良いし、空調ダクト2およびフェイスダクト160内に仕切り板を1個または2個以上入れて、それぞれの空気通路毎に送風機を配置して、各送風機の送風量を異ならせることで、運転席側、助手席側空調ゾーンの乗員毎の配風量を変更しても良い。
【0160】
〔第6実施形態〕
図46は本発明の第6実施形態を示したもので、図46は車両用ドラムベンチレータを示した図である。
【0161】
本実施形態の車両用ドラムベンチレータは、自動車のインストルメントパネル201内に、空調ダクトのフェイスダクトに連通する筒形状のケース202が設けられている。このケース202は、内部にFACE吹出口203を形成する。そして、ケース202の空気下流側端部内には、筒形状の配風用ドラム204が回動自在に設けられている。
【0162】
この配風用ドラム204内には、縦ルーバ205が左右回転自在に支持され、この縦ルーバ205と組み合わせて格子を成すように横ルーバ206が設けられている。また、ケース202の空気上流側端部内には、FACE吹出口203から吹き出す空調風の吹出風量を調節するダンパ207が回動自在に支持されている。なお、縦ルーバ205および横ルーバ206は、第1実施形態と同様にして、図示しないリンク機構を介してルーバモータ等のアクチュエータにより揺動運動が与えられる。ここで、本実施形態の配風用ドラム204は、ケース202の前端部に回動自在に取り付けられた筒形状の第1のドラム211と、この第1のドラム211に内蔵された筒形状の第2のドラム212とから構成されている。
【0163】
本実施形態では、空調風の吹出方向を変更する場合には、第2のドラム212の前面開口の向きを変更すれば良い。例えば、図46に示したように、ケース202、第1のドラム211および第2のドラム212の中心軸を略一致させると、空調風の吹出方向が斜め上向きとなり、空調ゾーンの乗員の頭部付近に局所的に吹き出す。また、ケース202の中心軸に対して、第1のドラム211および第2のドラム212を反時計回りに回動させることにより、空調風の吹出方向が下向きとなり、空調ゾーンの乗員の頭胸部付近に局所的に吹き出す。
【0164】
〔第7実施形態〕
図47および図48は本発明の第7実施形態を示したもので、図47および図48は空気吹出ルーバを示した図である。
【0165】
本実施形態の空気吹出ルーバ220は、例えば樹脂材料によって形成された細長い円筒形状で、一方の端面に断面D字状の係合穴221が設けられ、他方の端面に嵌合穴222が設けられている。そして、空気吹出ルーバ220の回転軸心Oと偏心した位置には、空気吹出ルーバ220の軸方向に亘って空気通路223が設けられ、回転軸心Oを挟んで空気通路223の反対側の位置には、軸方向に亘って閉鎖部224が設けられている。すなわち、閉鎖部224は、曲率中心を中心とした回転軸心Oを通る凸円弧面225を有しており、この凸円弧面225と空気吹出ルーバ220の外周面の一部とによって中実に形成され、閉鎖部224の中央部には、軸方向に亘って中空部226が形成されている。
【0166】
そして、空気吹出ルーバ220は、前記曲率中心を中心とする凹円弧面227を有しており、この凹円弧面227と空気吹出ルーバ220の外周面の一部とによってフィン228が形成され、凸円弧面225と凹円弧面227との間に一定幅の円弧状を成す空気通路223が形成されている。さらに、この空気通路223の幅方向の中間には、円弧状の整流フィン229が設けられている。
【0167】
上記のような空気吹出ルーバ220は、空気吹出ダクトの最空気下流側で開口した細長い矩形状の空気吹出口(図示せず)に収納されている。そして、空気吹出ルーバ220の係合穴221には、例えばステッピングモータまたはサーボモータ等のモータ230の回転軸231に形成された断面D字形状の係合軸部232が係合している。また、嵌合穴222には、空気吹出ダクトの側壁に突設された軸受ピン233が回転自在に嵌合されている。したがって、空気吹出ルーバ220は、モータ230の回転軸231と軸受ピン233とによって2点支持され、回転軸心Oを中心として、上下方向に揺動運動可能に設けられており、空気吹出口から吹き出される空調風の吹出方向を変更できるように構成されている。
【0168】
〔第8実施形態の構成〕
図49ないし図52は本発明の第8実施形態を示したもので、図49はインストルメントパネルを示した図で、図50は吹出ダクト、支持枠および回転バルブを示した図である。
【0169】
本実施形態では、自動車のインストルメントパネル301の内方下部に、車室内を空調するための空調ユニット302が設置されている。また、インストルメントパネル301の前面には、断面コの字形状で車幅方向に細長い直線状の空気吹出口303を形成する吹出ダクト304が1個取り付けられている。そして、吹出ダクト304の背面には、空調ユニット302からの空調風を空気吹出口303に導く導風ダクト305が接続されている。
【0170】
そして、吹出ダクト304の前面には、ルーバ支持枠306が取り付けられており、このルーバ支持枠306には、空気吹出口303から車室の空調ゾーン内に吹き出される空調風の吹出方向を変更するための縦ルーバ307と横ルーバ309とが格子状に設けられている。そして、ルーバ支持枠306の空気上流側には、空気吹出口303の開口度合を変更して配風量を可変する回転バルブ310が設けられている。
【0171】
回転バルブ310は、その支軸311が吹出ダクト304のスリット312に回動自在に支持されている。そして、回転バルブ310は、その両端に端壁313を有する略半割円筒形状のもので、回転バルブ310の表面形状の空気上流側の一端辺である後端縁314は略直線状に形成され、また、回転バルブ310の表面形状の空気下流側の一端辺である前端縁315は、その中央の水平直線部316と、この水平直線部316の左右側方に形成された略円弧状の湾曲部317とから構成されている。すなわち、回転バルブ310の横断面形状は、水平直線部316では半円形状であり、湾曲部317では左右端に向けて半円形状から略半円形状に徐々に変化する形状となっている。
【0172】
また、回転バルブ310の支軸311の外端には、回転バルブ310を回動して空調風の吹出状態を調整するための調整ダイヤル319が固着されている。なお、回転バルブ310の支軸311は、第1実施形態と同様にして、図示しないリンク機構を介してバルブモータ等のアクチュエータにより回動運動が与えられる。
【0173】
〔第8実施形態の作用〕
次に、本実施形態の作用を図49ないし図52に基づいて簡単に説明する。
【0174】
アクチュエータにより回転バルブ310をスポット吹出モード時の回動位置に駆動すると、空気吹出口303の中央部では、図51(a)に示したように、回転バルブ310により完全に閉じられ、また、空気吹出口303の左右端部では、図51(b)、(c)に示したように、空気吹出口303の左右端に近くなるに従って、徐々に大きく開かれる。これにより、空調ユニット302からの空調風は、空気吹出口303の中央部からは全く吹き出されず、空気吹出口303の左右端に近くなるに従って徐々に多量に吹き出される。その結果、空気吹出口303の左右端部前方においては、空調ゾーンの乗員に向けて空調風が集中的に多量に吹き出されるスポット吹出モードが行われる。
【0175】
一方、アクチュエータにより回転バルブ310をワイド吹出モード時の回動位置に駆動すると、空気吹出口303は、図52(a)〜図52(c)に示したように、中央部および左右端部共に略全開となる。これにより、空調ユニット302からの空調風は、空気吹出口303の全長に亘って均一に空調ゾーン内に吹き出されるワイド吹出モードが行われる。
【0176】
〔第9実施形態〕
図53ないし図55は本発明の第9実施形態を示したもので、図53(a)〜図53(e)は回転バルブの変形例を示した図である。
【0177】
図53(a)〜図53(e)の回転バルブ310の各後端縁314はいずれも第8実施形態の後端縁314と同じく直線上に形成されているが、前端縁321〜325の形状は各々異なっている。すなわち、図53(a)の回転バルブ310の前端縁321は、第8実施形態の前端縁の水平直線部316の中央にU字状の凹部326を形成したものであり、スポット吹出モードの時には、空調風は湾曲部317の部分だけでなく、凹部326の部分からも集中的に吹き出される。
【0178】
そして、図53(b)の回転バルブ310の前端縁322は、第8実施形態の右の湾曲部317のみを残して、左の湾曲部をなくしたものであり、空調風は湾曲部317のみから集中的に吹き出される。また、図53(c)の回転バルブ310の前端縁323は、回転バルブ310の全長に亘って逆V字形状に形成され、空調風の吹出風量は中央部から左右端に向かうに従って徐々に増加するものとなっている。
【0179】
そして、図53(d)の回転バルブ310の前端縁324は、図53(c)の回転バルブ310と逆にV字形状に形成され、空調風の吹出風量は左右端から中央部に向かうに従って徐々に増加するものとなっている。また、図53(e)の回転バルブ310の前端縁325は、左端から右端に向けて直線状に徐々に高さが低くなっており、空調風の吹出風量は左端から右端に向かうに従って徐々に増加するものとなっている。
【0180】
次に、運転席側空調ゾーンと助手席側空調ゾーンとをそれぞれ独立して空調できるようにインストルメントパネル301の前面にて吹出ダクト304が左右に2個並設されている場合のFACE吹出口からの吹出風量に対する空調風の吹出位置または吹出範囲を図54および図55に基づいて説明する。
【0181】
図54(a)は各乗員の頭胸部(乗員中央部)に空調風が当たる吹出位置を示した図で、以下その吹出位置を基準位置と呼ぶ。図54(b)は着座したばかりの助手席側前席の乗員を、既に着座していた運転席側前席の乗員よりも優先的に空調するように、助手席側前席の乗員には空調風が多く当たるように、空調風の吹出状態を前席吹出モードとし、運転席側前席の乗員には空調風があまり当たらないように、空調風の吹出状態を後席吹出モードとした例を示した図である。
【0182】
図54(c)は着座したばかりの運転席側前席の乗員を、既に着座していた助手席側前席の乗員よりも優先的に空調するように、運転席側前席の乗員の上半身の方向への吹出範囲(吹出幅)を狭くするようにし、助手席側前席の乗員の上半身の方向への吹出範囲(吹出幅)を広くするようにした例とを示した図である。これは、運転席側乗員が一旦離席した場合や、運転席側乗員が他の乗員よりも後から乗車する場合に有効である。
【0183】
なお、上記の乗員方向への吹出範囲は、予め定められた基準の吹出範囲(例えば30cm)に、図55(a)の特性図から求められる吹出範囲補正係数を加えたり、乗員方向への吹出範囲自体を、図55(b)の特性図から求められる吹出範囲に定めたりすることで、既に着座している乗員側の座席では乗員方向への吹出範囲が広くなり(ワイド吹出モード)、着座したばかりの乗員側の座席では乗員方向への吹出範囲が狭くなる(スポット吹出モード)。また、着座したばかりの乗員が快適な冷房感を得るために、隣設する空調ゾーンの設定温度よりも低い設定温度となるように操作した場合には、図55(a)、(b)に示したように、吹出ダクト304から吹き出す空調風の吹出範囲が更に狭くなる。
【0184】
また、図54(d)は着座したばかりの乗員の上半身への吹出風速を大きくした例と、既に着座していた乗員の上半身への吹出風速を小さくした例とを示した図である。なお、本実施形態では、乗員の顔部の方向への吹出風速が、乗員の肩部の方向等への吹出風速に比べて大きくなるように設定されている。
【0185】
〔他の実施形態〕
本実施形態では、運転席側、助手席側センタグリル41、運転席側、助手席側サイドグリル42をインストルメントパネル40に固定したが、各センタ、サイドグリルを左右方向に回動自在に支持された状態で格納部材に取り付けても良く、各センタ、サイドグリル(風向可変グリル)を上下方向に回動自在に支持された状態で格納部材に取り付けても良い。この場合には、風向可変グリル自体を吹出状態可変手段として揺動させるようにしても良い。
【0186】
本実施形態では、スイングルーバ(風向可変ルーバ)または風向可変グリル等の吹出状態可変手段を各FACE吹出口21、22、31、32に設けたが、車室内の車両側面、車室内の中央部(例えばコンソールボックス付近)または車両の天井部に設けた吹出口にスイングルーバまたは風向可変グリル等の吹出状態可変手段を設けても良い。本実施形態では、風向可変ルーバとして、各FACE吹出口に左右方向に揺動運動するセンタ、サイドルーバ43および上下方向に揺動運動するセンタ、サイドルーバ46の両方を設けたが、風向可変ルーバとして、各FACE吹出口に水平方向に揺動運動するセンタ、サイドルーバ43または上下方向に揺動運動するセンタ、サイドルーバ46のいずれか一方のみを設けても良い。
【0187】
本実施形態では、1個のブロワ4を回転させることにより空調ダクト2の各FACE吹出口21、22、31、32から車室内に空調風を吹き出すように構成したが、2個の送風機を回転させることにより空調ダクト2の運転席側、助手席側FACE吹出口から車室内に空調風を吹き出す配風量を変更可能なように構成しても良く、FACE吹出口の数に対応した個数の送風機を回転させることにより空調ダクト2の各FACE吹出口から車室内に空調風を吹き出す配風量を変更可能なように構成しても良い。また、各FACE吹出口毎、または一方側、他方側吹出口毎に互いに独立して乗員への配風量を変えるようにしても良い。
【0188】
本実施形態では、本発明を運転席側空調ゾーンと助手席側空調ゾーンとの左右の温度調節、吹出口切替制御およびスイングルーバ制御を互いに独立して行うことが可能な車両用空調装置に適用したが、本発明を車室内の前席側空調ゾーンと後席側空調ゾーンとの前後の温度調節およびスイングルーバ制御を互いに独立して行うことが可能な車両用空調装置に適用しても良い。また、本発明を車室内の温度調節を1つの吹出温度可変手段により行う車両用空調装置に適用しても良い。そして、運転席側センタFACE吹出口21と運転席側サイドFACE吹出口22とのスイングルーバ制御を互いに独立して行うようにしても良く、また、助手席側センタFACE吹出口31と助手席側サイドFACE吹出口32とのスイングルーバ制御を互いに独立して行うようにしても良い。
【0189】
本実施形態では、日射強度検知手段を有する日射センサ93を設けたが、日射強度検知手段、太陽光の照射方向(日射方向、日射方位角)を検知する日射方向検知手段(例えばフォトダイオード、太陽電池、サーミスタ等の感温素子)、および太陽光の高度(日射仰角、日射高度、太陽仰角)を検知する日射高度検知手段(例えばフォトダイオード、太陽電池、サーミスタ等の感温素子)を有する日射センサを設けても良い。また、日射方向センサとして、カーナビゲーションシステムのマイクロコンピュータにその日時の太陽高度や車両の現在位置に対する日射方向を記憶させている場合には、そのカーナビゲーションシステムの出力信号を日射センサ信号としてエアコンECUに読み込むようにしても良い。
【0190】
本実施形態では、車室内の空調負荷として、吹出温度、外気温、車室内温度、吹出風速、車室内温度と設定温度の差、外気温と設定温度の差、他の乗員(既に着座している乗員)との皮膚温度の差、ブロワ制御電圧(送風機への印加電圧)、エバ後温度、離席してから再び着座するまでの時間、着座乗員皮膚温度(着座したばかりの乗員の皮膚温度)、シート温度、ステアリング温度、ブロワ風量、日射量、設定温度、車速、吹出口モード、日射方向または着座以降の空調負荷の変化量を用いたが、吸込温度、吹出口の位置や形状、乗員数や車室内の大きさ等も考えられ、これらの値を検出するセンサや、温度を設定する温度設定手段、目標吹出温度を決定する目標吹出温度決定手段をも空調負荷検出手段として使用できる。ここで、車室内温度センサ91を2個使用して、運転席側空調ゾーン内および助手席側空調ゾーン内にそれぞれ設置しても良い。なお、上記の各空調負荷を組み合わせて本発明の着座補正制御を行っても良く、また、各空調負荷のうちのいずれか1つを利用して本発明の着座補正制御を行っても良い。
【0191】
本実施形態では、スイングルーバ43、46等の吹出状態可変手段の作動位置を検出する方法として、ステッピングモータに送るパルスをカウントする方法や、ポテンショメータを設けたサーボモータを用いて吹出状態可変手段の作動位置を検出するようにしているが、ポテンショメータを持たないサーボモータにおいて電機子ノイズをカウントすることで、ステッピングモータのように作動角を演算して吹出状態可変手段の作動位置を検出するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両用空調装置の全体構成を示した構成図である(第1実施形態)。
【図2】(a)は車両のインストルメントパネルを示した正面図で、(b)は車室内のシートレイアウトを示した概略図である(第1実施形態)。
【図3】エアコン操作パネルを示した正面図である(第1実施形態)。
【図4】吹出状態可変手段の全体構成を示した概略図である(第1実施形態)。
【図5】ルーバ左右方向揺動機構の構成を示した概略図である(第1実施形態)。
【図6】ルーバ上下方向揺動機構の構成を示した概略図である(第1実施形態)。
【図7】エアコンECUの制御プログラムの一例を示したフローチャートである(第1実施形態)。
【図8】運転席側、助手席側の目標吹出温度に対するブロワ制御電圧特性を示した特性図である(第1実施形態)。
【図9】運転席側、助手席側の目標吹出温度に対する吹出口モード特性を示した特性図である(第1実施形態)。
【図10】エアコンECUによるスイングルーバ制御を示したフローチャートである(第1実施形態)。
【図11】エアコンECUによるクールダウン判定を示した特性図である(第1実施形態)。
【図12】空調風の吹出方向を乗員の顔部の方向に向けた状態を示した説明図である(第1実施形態)。
【図13】前席の乗員のシートポジションとスイング範囲との関係を示した特性図である(第1実施形態)。
【図14】(a)各空調負荷に対する乗員側停止時間または乗員側集中吹出時間等を示した特性図で、(b)は各空調負荷に対するスイング範囲または吹出範囲等を示した特性図である(第1実施形態)。
【図15】車室内への空調風のスイング範囲を示した説明図である(第1実施形態)。
【図16】(a)各空調負荷に対する着座乗員への顔の方向への揺動範囲の補正係数等を示した特性図で、(b)は各空調負荷に対する着座乗員への顔の方向への揺動範囲の減少量等を示した特性図である(第1実施形態)。
【図17】日射左右比に対するスイング範囲の補正係数を示した特性図である(第1実施形態)。
【図18】(a)は設定温度または隣接する空調ゾーンとの設定温度の差と乗員方向でのスイング停止時間等の補正係数との関係を示した特性図で、(b)は設定温度または隣接する空調ゾーンとの設定温度の差と乗員方向でのスイング停止時間等との関係を示した特性図である(第1実施形態)。
【図19】(a)はランダムスイングの作動パターンを示したタイムチャートで、(b)はOFF時間列を示した図である(第1実施形態)。
【図20】(a)各空調負荷に対するランダム時間の補正係数を示した特性図で、(b)は各空調負荷に対するトータル停止時間を示した特性図である(第1実施形態)。
【図21】(a)各空調負荷に対する現在の着座席乗員方向停止時間の補正係数等を示した特性図で、(b)は各空調負荷に対する着座席乗員方向停止時間に追加する時間等を示した特性図である(第1実施形態)。
【図22】(a)各空調負荷に対する集中吹出時間の補正係数等を示した特性図で、(b)は各空調負荷に対する集中吹出時間の追加時間等を示した特性図である(第1実施形態)。
【図23】(a)各空調負荷に対する既に着座している乗員用の吹出状態可変手段が着座した乗員方向で停止する時間の補正係数等を示した特性図で、(b)は各空調負荷に対する既に着座している乗員用の吹出状態可変手段が着座した乗員方向で停止する時間等を示した特性図である(第1実施形態)。
【図24】(a)各空調負荷に対する既に着座している乗員用の吹出状態可変手段の既に着座している乗員への集中吹出時間の補正係数等を示した特性図で、(b)は各空調負荷に対する既に着座している乗員用の吹出状態可変手段の既に着座している乗員への集中吹出時間の減少時間等を示した特性図である(第1実施形態)。
【図25】(a)各空調負荷に対する既に着座している乗員用の吹出状態可変手段の揺動範囲の補正係数等を示した特性図で、(b)は各空調負荷に対する既に着座している乗員用の吹出状態可変手段の揺動範囲の増加量等を示した特性図である(第1実施形態)。
【図26】(a)各空調負荷に対する既に着座している乗員用の吹出状態可変手段が既に着座している乗員方向で停止する時間の補正係数等を示した特性図で、(b)は各空調負荷に対する既に着座している乗員用の吹出状態可変手段が既に着座している乗員方向で停止する時間等を示した特性図である(第1実施形態)。
【図27】(a)各空調負荷に対する現在の着座席乗員方向停止時間の補正係数等を示した特性図で、(b)は各空調負荷に対する着座席乗員方向停止時間に追加する時間等を示した特性図である(第1実施形態)。
【図28】(a)各空調負荷に対する集中吹出時間の補正係数等を示した特性図で、(b)は各空調負荷に対する集中吹出時間の追加時間等を示した特性図である(第1実施形態)。
【図29】(a)各空調負荷に対する着座乗員の顔の方向への吹出範囲の補正係数等を示した特性図で、(b)は各空調負荷に対する着座乗員の顔の方向への吹出範囲の減少量等を示した特性図である(第1実施形態)。
【図30】(a)各空調負荷に対する既に着座している乗員用の吹出状態可変手段が着座した乗員方向で停止する時間の補正係数等を示した特性図で、(b)は各空調負荷に対する既に着座している乗員用の吹出状態可変手段が着座した乗員方向で停止する時間等を示した特性図である(第1実施形態)。
【図31】(a)各空調負荷に対する既に着座している乗員用の吹出状態可変手段の既に着座している乗員への集中吹出時間の補正係数等を示した特性図で、(b)は各空調負荷に対する既に着座している乗員用の吹出状態可変手段の既に着座している乗員への集中吹出時間の減少時間等を示した特性図である(第1実施形態)。
【図32】(a)各空調負荷に対する既に着座している乗員用の吹出状態可変手段の吹出範囲の補正係数等を示した特性図で、(b)は各空調負荷に対する既に着座している乗員用の吹出状態可変手段の吹出範囲の増加量等を示した特性図である(第1実施形態)。
【図33】(a)各空調負荷に対する既に着座している乗員用の吹出状態可変手段が既に着座している乗員方向で停止する時間の補正係数等を示した特性図で、(b)は各空調負荷に対する既に着座している乗員用の吹出状態可変手段が既に着座している乗員方向で停止する時間等を示した特性図である(第1実施形態)。
【図34】各空調負荷に対する冷房時の着座補正の適用係数を示した特性図である(第1実施形態)。
【図35】各空調負荷に対する暖房時の着座補正の適用係数を示した特性図である(第1実施形態)。
【図36】(a)〜(n)はディスプレイ上の表示例を示した正面図である(第1実施形態)。
【図37】エアコン操作パネルを示した正面図である(第2実施形態)。
【図38】車両用空調装置の全体構成を示した構成図である(第3実施形態)。
【図39】ルーバ左右方向揺動機構の構成を示した概略図である(第3実施形態)。
【図40】ルーバ上下方向揺動機構の構成を示した概略図である(第3実施形態)。
【図41】ルーバ左右方向揺動機構の構成を示した斜視図である(第4実施形態)。
【図42】集中拡散グリルからの吹出状態がスポット吹出モードの場合を示した説明図である(第4実施形態)。
【図43】集中拡散グリルからの吹出状態がワイド吹出モードの場合を示した説明図である(第4実施形態)。
【図44】車両のインストルメントパネルを示した正面図である(第5実施形態)。
【図45】空調ユニットのフェイスダクトを示した概略図である(第5実施形態)。
【図46】車両用ドラムベンチレータを示した断面図である(第6実施形態)。
【図47】空気吹出ルーバを示した斜視図である(第7実施形態)。
【図48】空気吹出ルーバを示した断面図である(第7実施形態)。
【図49】インストルメントパネルを示した正面図である(第8実施形態)。
【図50】吹出ダクト、支持枠および回転バルブを示した図である(第8実施形態)。
【図51】(a)〜(c)はスポット吹出モード時の回転バルブの回動位置を示した断面図である(第8実施形態)。
【図52】(a)〜(c)はワイド吹出モード時の回転バルブの回動位置を示した断面図である(第8実施形態)。
【図53】(a)〜(e)は回転バルブの変形例を示した斜視図である(第9実施形態)。
【図54】(a)は乗員中央部からの距離の基準位置を示した説明図で、(b)は乗員中央部から片側への距離を示した説明図で、(c)は乗員中央部から両側への距離を示した説明図で、(d)は吹出範囲を示した説明図である(第9実施形態)。
【図55】(a)は設定温度または隣接する空調ゾーンとの設定温度の差と吹出範囲の補正係数との関係を示した特性図で、(b)は設定温度または隣接する空調ゾーンとの設定温度の差と吹出範囲との関係を示した特性図である(第9実施形態)。
【符号の説明】
1 空調ユニット
2 空調ダクト
21 運転席側センタFACE吹出口(第1吹出口)
22 運転席側サイドFACE吹出口(第1吹出口)
31 助手席側センタFACE吹出口(第2吹出口)
32 助手席側サイドFACE吹出口(第2吹出口)
43 センタルーバ(スイングルーバ、吹出状態可変手段)
43 サイドルーバ(スイングルーバ、吹出状態可変手段)
46 センタルーバ(スイングルーバ、吹出状態可変手段)
46 サイドルーバ(スイングルーバ、吹出状態可変手段)
50 エアコンECU(吹出状態制御手段)
63 ディスプレイ(着座補正表示手段)
81 シートスイッチ(乗員検出手段)
82 シートスイッチ(乗員検出手段)
83 シートスイッチ(乗員検出手段)

Claims (16)

  1. (a)車両の座席に着座している乗員に向けて空調風を吹き出すための吹出口を有する空調ユニットと、
    (b)前記吹出口から吹き出される空調風の吹出状態を変更する吹出状態可変手段と、
    (c)車両の座席に乗員が着座したか否かを検出する乗員検出手段と、
    (d)この乗員検出手段が、既に着座している乗員がいる状態で、新たな乗員の着座を検出した時に、
    新たに乗員が着座した座席を、既に着座している座席よりも優先的に空調されるように、
    新たな乗員の着座を検出した座席に空調風を多く当てるか、
    あるいは新たな着座乗員方向での揺動停止時間が長くなるか、
    あるいは新たな着座乗員方向でゆっくり揺動する時間または範囲が多くなるか、
    あるいは空調風の吹出状態が空調風を新たな着座乗員に集中して吹き出す乗員集中吹出状態になるか、
    あるいは空調風を新たな着座乗員に集中して吹き出す乗員集中吹出時間が長くなるか、
    あるいは新たな着座乗員に向けて吹き出される空調風の吹出範囲、吹出角度または揺動範囲が狭くなるか、
    あるいは新たな着座乗員方向または新たな着座乗員の顔部の方向への吹出風速が大きくなるように、前記吹出状態可変手段の作動状態を制御する吹出状態制御手段とを備えた車両用空調装置。
  2. (a)車両の座席に着座している乗員に向けて空調風を吹き出すための吹出口を有する空調ユニットと、
    (b)前記吹出口から吹き出される空調風の乗員の上半身への吹出割合を変更する吹出状態可変手段と、
    (c)車両の座席に乗員が着座したか否かを検出する乗員検出手段と、
    (d)この乗員検出手段が、既に着座している乗員がいる状態で、新たな乗員の着座を検出した時に、
    新たに乗員が着座した座席を、既に着座している座席よりも優先的に空調され、
    新たな着座乗員の上半身への空調が強くなる吹出口モードに切り替わるように、
    前記吹出状態可変手段の作動状態を制御する吹出状態制御手段とを備えた車両用空調装置。
  3. (a)車両の座席に着座している乗員に向けて空調風を吹き出すための吹出口を有する空調ユニットと、
    (b)前記吹出口から吹き出される空調風の吹出風速を変更する吹出状態可変手段と、
    (c)車両の座席に乗員が着座したか否かを検出する乗員検出手段と、
    (d)この乗員検出手段が、既に着座している乗員がいる状態で、新たな乗員の着座を検出した時に、
    新たに乗員が着座した座席を、既に着座している座席よりも優先的に空調され、
    既に着座している乗員よりも、新たな着座乗員が感じる風速感を強くするように、
    前記吹出状態可変手段の作動状態を制御する吹出状態制御手段とを備えた車両用空調装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の車両用空調装置において、
    車室内の空調負荷を検出する空調負荷検出手段を備え、
    前記吹出状態制御手段は、前記吹出状態可変手段の作動状態を着座状態に応じて補正する着座補正を、前記空調負荷検出手段にて検出した空調負荷が所定値以上の時のみ行うことを特徴とする車両用空調装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の車両用空調装置において、
    前記吹出状態制御手段は、前記吹出状態可変手段の作動状態を着座状態に応じて補正する着座補正を、
    乗員の着座を検出してから所定時間の経過後または所定の空調条件になったら解除するか、
    あるいは前記吹出状態可変手段の作動状態の補正度合を緩和することを特徴とする車両用空調装置。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の車両用空調装置において、
    前記吹出状態制御手段は、前記吹出状態可変手段の作動状態を着座状態に応じて補正する着座補正を、
    時間の経過と共に、前記吹出状態可変手段の作動状態の補正度合を緩和することを特徴とする車両用空調装置。
  7. 請求項5に記載の車両用空調装置において、
    前記所定の空調条件になったら前記着座補正を解除するとは、エバ後温度、車室内温度、皮膚温度、吹出温度、風量、送風機電圧、吹出口モード、日射量、日射方向、設定温度変化、車室内温度と設定温度の差、シート温度、ステアリング温度または車速のうち1つ以上が所定状態になったら前記着座補正を解除することを特徴とする車両用空調装置。
  8. 請求項5に記載の車両用空調装置において、
    前記所定時間または前記吹出状態可変手段の作動状態の補正度合が緩和される時間は、外気温、外気温と設定温度の差、皮膚温度、着座乗員と既に着座している他の乗員との皮膚温度の差、目標吹出温度、エバ後温度、車室内温度、吹出温度、総風量、着座乗員の上半身への吹出風量、送風機電圧、吹出風速、日射量、日射方向、設定温度、車室内温度と設定温度の差、シート温度、ステアリング温度、車速または乗員が離席してから再び着座するまでの時間のうち1つ以上を利用して決定されることを特徴とする車両用空調装置。
  9. 請求項に記載の車両用空調装置において、
    冷房中は、乗員が離席してから再び着座するまでの時間が長い程、
    あるいは外気温、外気温と設定温度の差、皮膚温度、着座乗員と既に着座している他の乗員との皮膚温度の差、エバ後温度、車室内温度、総風量、着座乗員の上半身への吹出風量、送風機電圧、吹出風速、日射量、車室内温度と設定温度の差、シート温度またはステアリング温度が大きい程、
    目標吹出温度、吹出温度、設定温度または車速が小さい程、前記所定時間または前記吹出状態可変手段の作動状態の補正度合が緩和される時間が長くなり、
    暖房中は、乗員が離席してから再び着座するまでの時間が長い程、
    あるいは外気温と設定温度の差、着座乗員と既に着座している他の乗員との皮膚温度の差、目標吹出温度、吹出温度、総風量、乗員の上半身への吹出風量、送風機電圧、吹出風速、設定温度または車室内温度と設定温度の差が大きい程、
    外気温、皮膚温度、車室内温度、日射量、シート温度、ステアリング温度または車速が小さい程、前記所定時間または前記吹出状態可変手段の作動状態の補正度合が緩和される時間が長くなることを特徴とする車両用空調装置。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の車両用空調装置において、
    冷房中は、乗員が離席してから再び着座するまでの時間が長い程、
    あるいは外気温、外気温と設定温度の差、皮膚温度、着座乗員と既に着座している他の乗員との皮膚温度の差、エバ後温度、車室内温度、総風量、乗員の上半身への吹出風量、送風機電圧、吹出風速、日射量、車室内温度と設定温度の差、シート温度またはステアリ ング温度が大きい程、
    目標吹出温度、吹出温度、設定温度または車速が小さい程、前記吹出状態可変手段の作動状態の補正度合が強くなり、
    暖房中は、乗員が離席してから再び着座するまでの時間が長い程、
    あるいは外気温と設定温度の差、着座乗員と既に着座している他の乗員との皮膚温度の差、目標吹出温度、吹出温度、総風量、着座乗員の上半身への吹出風量、送風機電圧、吹出風速、設定温度または車室内温度と設定温度の差が大きい程、
    外気温、皮膚温度、車室内温度、日射量、シート温度、ステアリング温度または車速が小さい程、前記吹出状態可変手段の作動状態の補正度合が強くなることを特徴とする車両用空調装置。
  11. 請求項に記載の車両用空調装置において、
    前記所定値以上の空調負荷とは、
    冷房中では、外気温、外気温と設定温度の差、エバ後温度、車室内温度、皮膚温度、吹出温度、目標吹出温度、シート温度またはステアリング温度が所定値以上の時、
    あるいは総風量、着座乗員の上半身への吹出風量または日射量が所定値以上の時、
    あるいは送風機電圧が所定電圧以上の時、
    あるいは日射方向が着座乗員に与える冷房熱負荷を上げる方向に変わった時、
    あるいは乗員が設定温度低下操作を行った時、
    あるいは吹出口モードが着座乗員の上半身の方向への吹出風量が減るモードに変わった時、
    あるいは車室内温度と設定温度の差が所定値以上の時、
    あるいは車速または設定温度が所定値以下の時のうち1つ以上が所定状態になった時であり、
    暖房中では、外気温、エバ後温度、車室内温度、皮膚温度、吹出温度、目標吹出温度、シート温度、ステアリング温度または設定温度が所定値以下の時、
    外気温と設定温度の差、総風量、着座乗員の上半身の方向への吹出風量または日射量が所定値以上の時、あるいは送風機電圧が所定電圧以上の時、
    あるいは日射方向が着座乗員に与える暖房熱負荷を上げる方向に変わった時、
    あるいは乗員が設定温度上昇操作を行った時、
    あるいは吹出口モードが着座乗員の下半身の方向への吹出風量が減るモードに変わった時、
    あるいは車室内温度と設定温度の差が所定値以上の時、
    あるいは車速または設定温度が所定値以下の時のうち1つ以上が所定状態になった時であることを特徴とする車両用空調装置。
  12. 請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の車両用空調装置において、
    前記乗員検出手段は、シートスイッチ、赤外線センサ、車室内映像検出手段、シートベルト装着信号、ドア開閉信号、各種スイッチ入力信号または超音波センサのうち1つ以上を利用して、座席に乗員が着座したか否かを検出することを特徴とする車両用空調装置。
  13. 請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の車両用空調装置において、
    空調過渡期には、前記吹出状態可変手段の作動状態を着座状態に応じて補正する着座補正を行わないか、あるいは前記吹出状態可変手段の作動状態を着座状態に応じて補正する着座補正を緩和することを特徴とする車両用空調装置。
  14. 請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の車両用空調装置において、
    前記吹出口は、車両の第1空調ゾーン内の座席に向けて空調風を吹き出すための第1吹出口、および前記第1空調ゾーンと異なる第2空調ゾーン内の座席に向けて空調風を吹き出すための第2吹出口を有し、
    前記吹出状態可変手段は、前記第1吹出口および前記第2吹出口にそれぞれ設けられ、
    前記吹出状態可変手段の作動状態を着座状態に応じて補正する着座補正は、少なくとも1つ以上の空調ゾーンで互いに独立して行われることを特徴とする車両用空調装置。
  15. 請求項1ないし請求項14のいずれかに記載の車両用空調装置において、
    前記吹出口は、所定の座席に着座した乗員に向けて空調風を吹き出すための複数の吹出口を有し、
    前記吹出状態可変手段は、前記複数の吹出口にそれぞれ設けられ、前記吹出状態可変手段の作動状態を着座状態に応じて補正する着座補正は、少なくとも1つ以上の吹出状態可変手段で互いに独立して行われることを特徴とする車両用空調装置。
  16. 請求項1ないし請求項15のいずれかに記載の車両用空調装置において、
    前記乗員検出手段が検出した乗員の着座状態に応じて、前記吹出状態可変手段の作動状態を補正している時に、その着座補正を行なっている旨を乗員に知らせる着座補正表示手段を備えた車両用空調装置
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