JPH11268523A - 車両用空調装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 暖房過度期にスイングルーバの向きを前席乗
員の顔または手の方向に変更することで前席乗員に快適
な暖房感を与えることのできる吹出状態変更装置を備え
た車両用空調装置を提供する。 【解決手段】 暖房過度期のスイングルーバの向きを、
エンジンを始動した直後は、サイドウインドウ側または
車室内中央側へ向けることで、冷風が前席乗員に当たら
ないようにする。その後に、エンジン冷却水の水温が上
昇して第１の所定温度に達したら、スイングルーバの向
きを前席乗員の顔または手の方向へ向けることで、前席
乗員の顔面または手を暖めて暖房感を向上する。その後
に、エンジン冷却水の水温が第２の所定温度に達した
ら、スイングルーバの向きをサイドウインドウ側または
車室内中央側へ向けることで、前席乗員の顔面の火照り
を防ぐ、またはサイドウインドウの防曇を行う。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、吹出口から吹き出
される空調風の吹出状態を変更することが可能な吹出状
態変更装置を備えた車両用空調装置に関するもので、特
にフェイス吹出口から吹き出される空調風の吹出方向、
吹出領域、吹出範囲、吹出角度、揺動範囲、吹出風量ま
たは風速等を変更することが可能なスイングルーバを備
えた車両用空調装置に係わる。

【０００２】

【従来の技術】従来より、空調ユニットの空気下流端で
開口したフェイス吹出口から吹き出される空調風の揺動
範囲を変更することが可能なスイングルーバを備えた車
両用空調装置が数多く提案されている。例えば、実公平
４−２０８６号公報には、フェイス吹出口に設けたルー
バのスイング速度を日射がある側で遅く、日射がない側
で速くする制御方法が記載されている。また、特公平７
−６１７６６号公報では、ブロワ風量が所定量以上の時
にはルーバの向きを乗員方向へ向ける制御方法が記載さ
れている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の各公
報に記載された制御方法は、何れも夏場におけるフェイ
ス吹出口に設けたルーバの制御であり、冬場におけるル
ーバの制御は行われていない。したがって、暖房過度期
（空調初期）のような乗員が寒く感じる環境条件の時、
つまり車室内温度が設定温度よりもかなり低い時または
エンジン冷却水の水温が外気温程度まで下がっている時
に運転席乗員が手を暖めたいと思った場合には、吹出口
モードをフェイス（ＦＡＣＥ）モードまたはバイレベル
（Ｂ／Ｌ）モードに手動設定し、わざわざフェイス吹出
口まで手を近づけて温風に手をかざす必要があった。こ
の場合には、運転席乗員がステアリングから手を離すこ
とになるため、信号待ちの時等の停車中でなければ手を
暖めることができず、車両走行の安全性の向上と運転席
乗員の快適感の向上とを両立させることができないとい
う問題が生じる。

【０００４】また、前席乗員の顔面が冷たい時には、前
席乗員の顔面に温風が当たるようにフェイス吹出口のル
ーバの向きを手動操作で変更して前席乗員の顔面を暖
め、その後に、車室内温度が設定温度に近づいたら温風
が前席乗員の顔面に直接当たらないように再度ルーバの
向きを手動操作で変更するという煩わしいルーバ操作が
必要となるという問題が生じる。さらに、車両の車室内
において後席よりも前席の方が乗員が居る可能性が高
く、前席においても助手席の乗員よりも運転席の乗員の
手を早期に暖めることが望ましい。

【０００５】

【発明の目的】本発明の目的は、暖房過度期に吹出状態
可変手段を制御して吹出口から吹き出される空調風の吹
出状態を変更することにより、煩わしい操作を行うこと
なく、乗員に快適な暖房感を与えることのできる車両用
空調装置を提供することにある。また、車両走行の安全
性の向上と運転席乗員の快適感の向上とを両立させるこ
とのできる車両用空調装置を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の発明に
よれば、乗員が寒く感じる暖房過度期に吹出状態変更制
御を行うことにより、空調風の吹出状態が変更されて乗
員が優先的に空調される。例えば空調ユニットの吹出口
から吹き出される空調風の吹出方向が乗員方向に向く。
あるいは空調風の吹出状態が乗員集中吹出になる。ある
いは暖房定常時に比べて、乗員方向での揺動停止時間ま
たはゆっくり揺動する時間または範囲が多くなる。ある
いは乗員集中吹出時間が長くなる。あるいは乗員方向で
の吹出範囲または揺動範囲が狭くなる。あるいは乗員方
向または乗員顔部方向への風速が大きくなる。それによ
って、乗員が寒く感じる暖房過度期に、加熱用熱交換器
で加熱された吹出温度の高い温風が乗員に多く当たるよ
うにすることで、乗員が暖められるので、乗員に快適な
暖房感を与えることができる。

【０００７】請求項２に記載の発明によれば、運転席乗
員の手が冷たく感じる暖房過度期に、吹出状態変更制御
を行うことにより、空調風の吹出状態が変更されて運転
席乗員の手が優先的に空調される。例えば空調ユニット
の吹出口から吹き出される空調風の吹出方向が運転席乗
員の手の方向に向く。あるいは空調風の吹出状態が運転
席乗員の手の方向への集中吹出になる。あるいは暖房定
常時に比べて、運転席乗員の手の方向での揺動停止時
間、またはゆっくり揺動する時間または範囲が多くな
る。あるいは運転席乗員の手の方向での集中吹出時間が
長くなる。あるいは運転席乗員の手の方向での吹出範囲
または揺動範囲が狭くなる。あるいは運転席乗員の手の
方向への風速が大きくなる。それによって、運転席乗員
の手が冷たく感じる暖房過度期に、運転席乗員がステア
リングから手を離すことなく、加熱用熱交換器で加熱さ
れた吹出温度の高い温風が運転席乗員の手（ステアリン
グ）に多く当たるようにすることで、運転席乗員の手
（ステアリング）が暖められるので、車両走行の安全性
の向上と運転席乗員の快適感の向上とを両立させること
ができる。

【０００８】請求項３に記載の発明によれば、暖房過度
期に、運転席乗員の手、前席乗員、後席乗員の順に優先
的に空調するようにすることで、車両走行の安全性、乗
車の居る可能性の高い前席、乗員の居る可能性の低い後
席という優先度の高い順に暖房能力を振り分けることが
できるので、有効な空調を行うことができる。

【０００９】請求項４に記載の発明によれば、吹出状態
変更制御を、暖房熱負荷が第１の所定条件を満足したら
開始し、暖房熱負荷が第２の所定条件を満足したら終了
するようにする。例えば水温または吹出温度または車室
内温度が第１の所定温度に達したら開始し、水温または
吹出温度または車室内温度が第２の所定温度に達したら
終了するようにする。あるいは水温または吹出温度また
は車室内温度が第１の所定温度に達したら開始し、その
第１の所定温度に達してから少なくとも第２の所定時間
が経過したら終了するようにすることで、乗員が暖かく
感じる第１の所定温度以上に上昇した吹出温度の高い温
風のみを乗員に当てることができる。また、長時間乗員
に吹出温度の高い温風を与えることにより乗員の顔面に
火照りが出て乗員の快適感が下がる前に乗員への温風の
供給を減らすことができるので、乗員に快適な暖房感を
与えることができる。

【００１０】請求項５に記載の発明によれば、エンジン
始動後から少なくとも第１の所定時間が経過したら開始
し、その第１の所定時間が経過してから水温または吹出
温度または車室内温度が第２の所定温度に達したら終了
するようにすることで、請求項４に記載の発明と同様な
効果を得ることができる。あるいはエンジン始動後から
少なくとも第１の所定時間が経過したら開始し、その第
１の所定時間が経過してから少なくとも第２の所定時間
が経過したら終了するようにすることで、吹出温度セン
サ、水温センサまたは車室内温度センサなどがなくて
も、請求項４に記載の発明と同様な効果を得ることがで
きる。

【００１１】請求項６に記載の発明によれば、暖房熱負
荷が大きい程、暖房過度期の吹出状態変更制御を解除す
る第２の所定温度を高く設定するか、あるいは第２の所
定時間を長く設定するようにすることで、乗員が非常に
寒く感じている時は、温風の温度が通常よりも暖かい吹
出温度に上昇するまで吹出状態変更制御を継続するよう
に制御することで、より乗員の快適感を向上させること
ができる。

【００１２】請求項７に記載の発明によれば、空調初期
吹出温度または外気温または空調初期車室内温度または
空調初期水温が低い程、あるいはその他空調負荷が大き
い程、乗員方向または運転席乗員の手の方向での揺動停
止時間またはゆっくり揺動する時間または範囲が多くな
る。あるいは乗員方向または乗員の顔の方向または運転
席乗員の手の方向への集中吹出時間が長くなる。あるい
は乗員方向または乗員の顔の方向または運転席乗員の手
の方向への吹出範囲または揺動範囲が狭くなる。あるい
は吹出温度または車室内温度の第１の所定温度が低く設
定されることで、乗員が寒く感じている程、温風がより
多く乗員に当たるようになり、早く乗員の暖房感を向上
させることができる。また、乗員が非常に寒く感じてい
る時は、低めの吹出温度でも暖かさを感じることができ
るので、低い吹出温度であっても乗員に温風を当てるこ
とで、早く暖かさを感じさせることができる。

【００１３】請求項８に記載の発明によれば、空調風の
風量が多い程、あるいは日射量が多い程、あるいは日射
方向が乗員の顔面に当たる方向である程、あるいは空調
ゾーンの設定温度が低い程、あるいは皮膚温度またはシ
ート温度またはステアリング温度または外気温が高い
程、暖房過度期の吹出状態変更制御を早く解除するよう
にする。すなわち、暖房能力が高い程、または暖房熱負
荷が低い程、乗員の顔面に火照りが出易くなるので、暖
房過度期の吹出状態変更制御を早く解除することがで
き、高い快適感を維持することができる。

【００１４】請求項９に記載の発明によれば、暖房過度
期の吹出状態変更制御を解除した後の空調風の吹出方向
を前席乗員を外す方向または吹出口近傍のウインドウ方
向または後席乗員方向に向ける。あるいは暖房過度期の
吹出状態変更制御を解除した後の空調風の吹出状態を車
室内拡散吹出にする。それによって、前席乗員の暖房感
を高めた後に、後席乗員に温風を当てるようにすること
で、後席乗員の暖房感を高めることができる。また、前
席乗員の暖房感を高めた後に、吹出口近傍のウインドウ
に吹出方向を向けることで、ウインドウからの冷輻射の
カットと防曇とを行うことができる。

【００１５】請求項１０に記載の発明によれば、吹出状
態可変手段を制御して吹出口から吹き出す空調風が乗員
に当たる範囲で揺動するようにすることで、例えば優先
して空調したい乗員に常に温風を当てているため、常に
乗員が暖かさを感じることができると共に、温風が拡散
されて他の乗員も暖かさを感じることができる。

【００１６】請求項１１に記載の発明によれば、通常乗
員の顔面の火照りを防ぐために３５℃以上の温風がフェ
イス吹出口から吹き出さないように吹出温度上限規制を
加えている車両でも、暖房過度期にはフェイス吹出口か
ら高い吹出温度の温風を吹き出すことができるので、乗
員に快適な暖房感を与えることができる。

【００１７】請求項１２および請求項１３に記載の発明
によれば、暖房過度期の吹出状態変更制御を解除する第
２の所定条件を満足した時に、定常暖房時の吹出状態変
更制御への吹出状態変更を徐々に行うようにする。例え
ば暖房過度期の吹出状態変更制御を解除する第２の所定
温度に達した時または暖房過度期の吹出状態変更制御を
解除する第２の所定時間が経過した時に、時間経過と共
に、空調風の吹出方向を乗員から外す方向にする。ある
いは空調風の吹出状態を車室内拡散吹出にする。あるい
は乗員方向での揺動停止時間またはゆっくり揺動する時
間または範囲を少なくする。あるいは乗員集中吹出時間
を短くする。あるいは空調風の吹出範囲または揺動範囲
を広くする。あるいは乗員方向への風速を下げるように
することで、より多く当たっていた温風が乗員から外れ
るのが徐々に行われる。それによって、暖房過度期の吹
出状態変更制御中に温風がより多く当たっていた乗員が
急に寒く感じることを防止することができる。

【００１８】請求項１４に記載の発明によれば、暖房過
度期の吹出状態変更制御を開始する第１の所定条件を満
足した時の吹出状態変更制御への吹出状態変更を徐々に
行うようにすることで、フェイス吹出口を閉塞し、フッ
ト吹出口を開放する吹出口モードからフェイス吹出口を
開放する吹出口モードへの移行が徐々に行われる。それ
によって、第１の所定条件を満足するまで温風が吹き出
されていた乗員の下半身が急激に寒く感じないようにす
ることができる。

【００１９】請求項１５に記載の発明によれば、暖房過
度期の吹出状態変更制御を行っている旨を乗員に知らせ
るように視覚表示手段や聴覚表示手段等の表示手段にて
表示することで、通常高い吹出温度の温風が吹き出さな
いフェイス吹出口から温風が吹き出しても、故障ではな
いことを乗員に認識させることができるので、乗員に不
安感を与えることはない。

【００２０】請求項１６および請求項１７に記載の発明
によれば、例えば左右独立に温度調節が可能な空調ユニ
ットのように、車両右側吹出口および車両左側吹出口に
それぞれ吹出状態可変手段を設けている場合に、暖房過
度期の吹出状態変更制御を少なくとも１つ以上の空調ゾ
ーン毎に互いに独立に行うことにより、各空調ゾーンの
乗員の好みに合わせた吹出状態変更制御を行うことがで
きる。

【００２１】請求項１８および請求項１９に記載の発明
によれば、例えばセンタフェイス吹出口およびサイドフ
ェイス吹出口にそれぞれ吹出状態可変手段を設けている
場合に、暖房過度期の吹出状態変更制御を少なくとも１
つ以上の吹出状態可変手段毎に互いに独立に行うことに
より、乗員の好みや優先度に応じた吹出状態変更制御を
行うことができる。また、吹出口モードによってはセン
タフェイス吹出口またはサイドフェイス吹出口のいずれ
か一方の吹出口が開放され、他方の吹出口が閉塞される
場合には、空調風が吹き出さない吹出口に設けた吹出状
態可変手段の吹出状態変更制御を中止することもでき
る。

【００２２】請求項２０に記載の発明によれば、吹出口
から吹き出される空調風が乗員の手または乗員に当たる
吹出方向、吹出位置、吹出角度、吹出範囲または揺動範
囲を、ステアリングの形状または位置、シートポジショ
ン、乗員個人差、姿勢、乗員の手の位置のうち１つ以上
で補正することにより、ステアリングの形状または位
置、シートポジション、乗員個人差、姿勢、乗員の手の
位置のうち１つ以上の違いによって乗員が暖房過度期の
吹出状態変更制御を使用しなくなることを防止すること
ができる。

【００２３】

【発明の実施の形態】〔第１実施形態の構成〕図１ない
し図１６は本発明の第１実施形態を示したもので、図１
は車両用空調装置の全体構成を示した図で、図２は車両
のインストルメントパネルを示した図で、図３はエアコ
ン操作パネルを示した図である。

【００２４】本実施形態の車両用空調装置は、エンジン
を搭載する自動車等の車両の車室内を空調する空調ユニ
ット１における各空調手段（アクチュエータ）を、空調
制御装置（以下エアコンＥＣＵと言う）５０によって制
御するように構成されている。その空調ユニット１は、
運転席側前席乗員方向から助手席側後席乗員方向までの
運転席側（ドライバー側）空調ゾーンと助手席側前席乗
員方向から運転席側後席乗員方向までの助手席側（パッ
センジャー側）空調ゾーンとの温度調節を互いに独立し
て行うことが可能な左右独立温度コントロール方式のエ
アコンユニットである。

【００２５】空調ユニット１は、車両の車室内の前方に
配置された空調ダクト２を備えている。この空調ダクト
２の上流側には、内外気切替ドア３およびブロワ４とが
設けられている。内外気切替ドア３は、サーボモータ５
等のアクチュエータにより駆動されて内気吸込口６と外
気吸込口７との開度（所謂吸込口モード）を変更する吸
込口切替手段である。ブロワ４は、ブロワ駆動回路８に
よって制御されるブロワモータ９により回転駆動されて
空調ダクト２内において車室内に向かう空気流を発生さ
せる送風機である。

【００２６】空調ダクト２の中央部には、冷凍サイクル
のエバポレータ（冷媒蒸発器）等の冷却用熱交換器１０
が設けられている。ここで、冷凍サイクルは、コンプレ
ッサ（冷媒圧縮機）、コンデンサ（冷媒凝縮器）、レシ
ーバ（受液器）、膨張弁（減圧手段）、上記の冷却用熱
交換器１０よりなる。そして、電磁クラッチをＯＮする
ことでコンプレッサをエンジンによってベルト駆動する
ことにより冷凍サイクル内を冷媒が循環する。これによ
り、冷却用熱交換器１０は、空調ダクト２内を通過する
空気を流入する冷媒と熱交換して冷却する熱交換器であ
る。また、その冷却用熱交換器１０の空気下流側には、
ヒータコア等の加熱用熱交換器１３が設けられている。
この加熱用熱交換器１３は、第１、第２空気通路１１、
１２を通過する空気をエンジン冷却水と熱交換して加熱
する熱交換器である。

【００２７】なお、第１、第２空気通路１１、１２は仕
切り板１４により区画されている。そして、加熱用熱交
換器１３の下流側には、車室内の運転席側空調ゾーンと
助手席側空調ゾーンとの温度調節を互いに独立して行う
ための運転席側、助手席側エアミックス（Ａ／Ｍ）ドア
１５、１６が設けられている。そして、運転席側、助手
席側Ａ／Ｍドア１５、１６は、サーボモータ１７、１８
等のアクチュエータにより駆動されて、運転席側、助手
席側に向けて吹き出す空気の吹出温度を調節する。

【００２８】第１空気通路１１の空気下流端では、図１
ないし図３に示したように、デフロスタ（ＤＥＦ）吹出
口２０、運転席側センタフェイス（ＦＡＣＥ）吹出口２
１、運転席側サイドフェイス（ＦＡＣＥ）吹出口２２お
よび運転席側フット（ＦＯＯＴ）吹出口２３が開口して
いる。また、第２空気通路１２の空気下流端では、図１
ないし図３に示したように、助手席側センタフェイス
（ＦＡＣＥ）吹出口３１、助手席側サイドフェイス（Ｆ
ＡＣＥ）吹出口３２および助手席側フット（ＦＯＯＴ）
吹出口３３が開口している。

【００２９】なお、運転席側センタ、サイドＦＡＣＥ吹
出口２１、２２および助手席側センタ、サイドＦＡＣＥ
吹出口３１、３２は、本発明の吹出口に相当し、更に、
運転席側、助手席側センタＦＡＣＥ吹出口２１、３１
は、車室内の前面に設けたインストルメントパネル４０
のほぼ中央部（車両中央）に設けられた運転席側、助手
席側センタグリル４１内に形成された中央吹出口であ
る。また、運転席側、助手席側サイドＦＡＣＥ吹出口２
２、３２は、インストルメントパネル４０の両側に設け
られた運転席側、助手席側サイドグリル４２内に形成さ
れた側方吹出口である。

【００３０】そして、第１、第２空気通路１１、１２内
には、車室内の運転席側と助手席側との吹出口モードの
設定を互いに独立して行う運転席側、助手席側吹出口切
替ドア２４〜２６、３５、３６が設けられている。そし
て、運転席側、助手席側吹出口切替ドア２４〜２６、３
５、３６は、サーボモータ２８、２９、３９等のアクチ
ュエータにより駆動されて運転席側、助手席側の吹出口
モードをそれぞれ切り替えるモード切替ドアである。こ
こで、運転席側、助手席側の吹出口モードとしては、Ｆ
ＡＣＥモード、Ｂ／Ｌモード、ＦＯＯＴモード、Ｆ／Ｄ
モードおよびＤＥＦモード等がある。

【００３１】そして、運転席側、助手席側センタグリル
４１および運転席側、助手席側サイドグリル４２には、
各吹出口から吹き出される空調風の吹出方向または吹出
位置あるいは揺動範囲、吹出範囲、吹出領域または吹出
角度等の吹出状態を変更することが可能な吹出状態可変
装置がそれぞれ取り付けられている。

【００３２】次に、運転席側、助手席側センタグリル４
１および運転席側、助手席側サイドグリル４２に設置さ
れる吹出状態可変装置を図４および図５に基づいて簡単
に説明する。ここで、図４は運転席側の各ＦＡＣＥ吹出
口２１、２２にそれぞれ設置される吹出状態可変装置の
全体構成を示した図である。なお、助手席側の各ＦＡＣ
Ｅ吹出口３１、３２にそれぞれ設置される吹出状態可変
装置は運転席側の各ＦＡＣＥ吹出口２１、２２に設置さ
れる吹出状態可変装置と同一の構成のため図示しない。

【００３３】各グリルの吹出状態可変装置は、風向調節
ルーバ左右方向揺動機構としてのスイングルーバアクチ
ュエータおよび風向調節ルーバ上下方向揺動機構として
のスイングルーバアクチュエータがそれぞれ設けられて
いる。スイングルーバアクチュエータは、図５（ａ）に
示したように、複数枚の風向可変ルーバ４３に支点を中
心にして揺動運動を与えるリンクレバー４４と、アーム
プレート４５を介してリンクレバー４４を水平方向に往
復運動させるアクチュエータとしてのステッピングモー
タ４３ａとから構成されている。これらの風向可変ルー
バ４３は、車両の進行方向に対して左右方向（車両の幅
方向）に複数列設されたスイングルーバである。

【００３４】スイングルーバアクチュエータは、図５
（ｂ）に示したように、複数枚の風向可変ルーバ４６に
支点を中心にして揺動運動を与えるリンクレバー４７
と、アームプレート４８を介してリンクレバー４７を上
下方向に往復運動させるアクチュエータとしてのステッ
ピングモータ４６ａとから構成されている。これらの風
向可変ルーバ４６は、車両の進行方向に対して上下方向
（車両の高さ方向）に複数列設されたスイングルーバで
ある。

【００３５】ここで、スイングルーバ４３、４６は、本
発明の吹出状態可変手段に相当するもので、ステッピン
グモータ４３ａ、４６ａを回転させることで、運転席
側、助手席側空調ゾーン内に吹き出す空調風を所定のス
イング範囲にてスイングさせる吹出状態可変手段として
働くと共に、ステッピングモータ４３ａ、４６ａを所定
の回転角度で止めることで、運転席側、助手席側前席乗
員方向または運転席側、助手席側前席乗員外し方向（助
手席側、運転席側後席乗員方向）に固定する吹出状態可
変手段として働く。

【００３６】なお、ステッピングモータ４３ａ、４６ａ
の出力軸とリンクレバー４４、４７またはアームプレー
ト４５、４８との間には、スイングルーバ４３、４６が
乗員により手動操作された場合に大きな荷重がステッピ
ングモータ４３ａ、４６ａに加わらないように、リンク
レバー４４、４７またはアームプレート４５、４８から
ステッピングモータ４３ａ、４６ａの出力軸に伝達され
る操作力を遮断するクラッチ等の滑り手段が設けられて
いる。

【００３７】そして、ステッピングモータ４３ａ、４６
ａは、１パルス当たりの作動角が決まっており、スイン
グルーバ４３、４６を所定の方向に向ける、あるいは所
定の範囲でスイングさせる場合には、下記の数１の式で
求めたパルスをエアコンＥＣＵ５０から出力することで
駆動される。

【数１】必要パルス数＝（必要作動角）／（１パルス当
たりの作動角）

【００３８】エアコンＥＣＵ５０は、本発明の吹出状態
制御手段に相当するもので、内部にＣＰＵ、ＲＯＭ、Ｒ
ＡＭ等からなる周知のマイクロコンピュータが設けられ
ており、内外気切替ドア３のサーボモータ５、運転席
側、助手席側Ａ／Ｍドア１５、１６のサーボモータ１
７、１８、運転席側、助手席側吹出口切替ドア２４〜２
６、３５、３６のサーボモータ２８、２９、３９、ブロ
ワ４のブロワモータ９を制御するブロワ駆動回路８、コ
ンプレッサの電磁クラッチを制御するクラッチ駆動回
路、および各ＦＡＣＥ吹出口２１、２２、３１、３２の
吹出状態可変装置のステッピングモータ４３ａ、４６ａ
等の各種アクチュエータを制御する空調制御手段を構成
する。そして、エアコンＥＣＵ５０には、図１および図
３に示したように、エアコン操作パネル５１、運転席側
ルーバ操作（ＳＷＩＮＧＳＷ）パネル５２および助手席
側ルーバ操作（ＳＷＩＮＧＳＷ）パネル５３から各スイ
ッチ信号が入力される。

【００３９】エアコン操作パネル５１は、車室内前面の
車幅方向の中央部にインストルメントパネル４０に一体
的に設置されている。エアコン操作パネル５１には、エ
アコン（Ａ／Ｃ）スイッチ５４、吸込口モード切替スイ
ッチ５５、フロントデフロスタスイッチ５６、リヤデフ
ロスタスイッチ５７、ＤＵＡＬスイッチ５８、吹出口モ
ード切替スイッチ５９、ブロワ風量切替スイッチ６０、
オートスイッチ６１、オフスイッチ６２、液晶表示装置
（ディスプレイ）６３、運転席側温度設定スイッチ６４
および助手席側温度設定スイッチ６５等が設置されてい
る。

【００４０】上記のうちのＡ／Ｃスイッチ５４は、冷凍
サイクルの起動および停止を司るスイッチで、ＯＮされ
ると電磁クラッチを通電してコンプレッサを起動させ
る。そして、ＤＵＡＬスイッチ５８は、運転席側空調ゾ
ーン内の温度調節と助手席側空調ゾーン内の温度調節と
を互いに独立して行う左右独立温度コントロールを指令
する左右独立制御指令手段である。そして、運転席側温
度設定スイッチ６４は、運転席側空調ゾーン内の温度を
所望の温度に設定するための運転席側温度設定手段であ
る。また、助手席側温度設定スイッチ６５は、助手席側
空調ゾーン内の温度を所望の温度に設定するための助手
席側温度設定手段である。

【００４１】運転席側ルーバ操作パネル５２は、インス
トルメントパネル４０の中央部においてエアコン操作パ
ネル５１の右隣に設置され、運転席側センタ、サイドグ
リル４１、４２に具備されたスイングルーバ４３、４６
の両方をスイング可能にするＭＡＴＣＨスイッチ６６、
運転席側センタグリル４１に具備されたスイングルーバ
４３、４６をスイング可能にするＣＥＮＴＥＲスイッチ
６７、運転席側サイドグリル４１に具備されたスイング
ルーバ４３、４６をスイング可能にするＳＩＤＥスイッ
チ６８およびスイングモード切替スイッチ６９とから構
成されている。

【００４２】上記のうちＭＡＴＣＨスイッチ６６、ＣＥ
ＮＴＥＲスイッチ６７、ＳＩＤＥスイッチ６８は、平常
位置（ＯＦＦ）と押込位置（ＯＮ）とを持つプッシュ式
スイッチである。スイングモード切替スイッチ６９は、
「ＳＴＯＰ（スイング停止）」、「ＡＵＴＯ（オートス
イング）」、「Ｒｒ」、「Ｕ−ＤＳＷＩＮＧ（上下方向
スイング）」、「Ｒ−ＬＳＷＩＮＧ（左右方向スイン
グ）」の各切替位置を有するロータリー式スイッチであ
る。

【００４３】なお、スイングモード切替スイッチ６９
は、「ＡＵＴＯ」に設定されると、運転席側センタ、サ
イドグリル４１、４２に具備されたスイングルーバ４
３、４６をオートルーバ制御するように指令を出力す
る。そして、スイングモード切替スイッチ６９は、「Ｒ
ｒ」に設定されると、運転席側前席の空調ゾーンよりも
助手席側後席の空調ゾーンの方が風量配分が多くなるよ
うに運転席側センタ、サイドグリル４１、４２に具備さ
れたスイングルーバ４３、４６をスイングさせる。

【００４４】また、スイングモード切替スイッチ６９
は、「Ｕ−ＤＳＷＩＮＧ」に設定されると、運転席側セ
ンタ、サイドグリル４１、４２に具備されたスイングル
ーバ４６を所定のスイング範囲で上下方向（Ｕ−Ｄ方
向）にスイングさせる（マニュアルルーバ制御）ように
指令を出力する。さらに、スイングモード切替スイッチ
６９は、「Ｒ−ＬＳＷＩＮＧ」に設定されると、運転席
側センタ、サイドグリル４１、４２に具備されたスイン
グルーバ４３を所定のスイング範囲で左右方向（Ｒ−Ｌ
方向）にスイングさせる（マニュアルルーバ制御）よう
に指令を出力する。

【００４５】助手席側ルーバ操作パネル５３は、運転席
側ルーバ操作パネル５２と同様にして、ＭＡＴＣＨスイ
ッチ７０、ＣＥＮＴＥＲスイッチ７１、ＳＩＤＥスイッ
チ７２およびスイングモード切替スイッチ７３とから構
成されている。上記のうちＭＡＴＣＨスイッチ７０、Ｃ
ＥＮＴＥＲスイッチ７１、ＳＩＤＥスイッチ７２は、平
常位置（ＯＦＦ）と押込位置（ＯＮ）とを持つプッシュ
式スイッチである。スイングモード切替スイッチ７３
は、「ＳＴＯＰ（スイング停止）」、「ＡＵＴＯ（オー
トスイング）」、「Ｒｒ」、「Ｕ−ＤＳＷＩＮＧ（上下
方向スイング）」、「Ｒ−ＬＳＷＩＮＧ（左右方向スイ
ング）」の各切替位置を有するロータリー式スイッチで
ある。

【００４６】なお、スイングモード切替スイッチ７３
は、スイングモード切替スイッチ６９と同様にして、
「ＡＵＴＯ」に設定されると、助手席側センタ、サイド
グリル４１、４２に具備されたスイングルーバ４３、４
６をオートルーバ制御を行うように指令を出力する。そ
して、スイングモード切替スイッチ７３は、「Ｒｒ」に
設定されると、助手席側前席の空調ゾーンよりも運転席
側後席の空調ゾーンの方が風量配分が多くなるように助
手席側センタ、サイドグリル４１、４２に具備されたス
イングルーバ４３、４６をスイングさせる。

【００４７】また、スイングモード切替スイッチ７３
は、「Ｕ−ＤＳＷＩＮＧ」に設定されると、助手席側セ
ンタ、サイドグリル４１、４２に具備されたスイングル
ーバ４６を所定のスイング範囲で上下方向（Ｕ−Ｄ方
向）にスイングさせる（マニュアルルーバ制御）ように
指令を出力する。さらに、スイングモード切替スイッチ
７３は、「Ｒ−ＬＳＷＩＮＧ」に設定されると、助手席
側センタ、サイドグリル４１、４２に具備されたスイン
グルーバ４３を所定のスイング範囲で左右方向（Ｒ−Ｌ
方向）にスイングさせる（マニュアルルーバ制御）よう
に指令を出力する。

【００４８】ここで、図３に示したように、運転席側、
助手席側センタグリル４１間には、運転席側、助手席側
センタＦＡＣＥ吹出口２１、３１を開閉するシャッタ
（図示せず）を手動操作するためのドア開閉スイッチ７
４が設けられている。また、運転席側、助手席側センタ
グリル４１および運転席側、助手席側サイドグリル４２
には、各スイングルーバ４３、４６のルーバ方向を手動
操作により左右方向、上下方向に動かすためのノブ７
５、７６が設けられている。

【００４９】さらに、エアコンＥＣＵ５０は、各センサ
からのセンサ信号が図示しない入力回路によってＡ／Ｄ
変換された後に、マイクロコンピュータに入力されるよ
うに構成されている。すなわち、エアコンＥＣＵ５０に
は、車室内の空気温度（以下車室内温度と言う）を検出
する内気温検出手段としての内気温センサ９１、車室外
の空気温度（以下外気温と言う）を検出する外気温検出
手段としての外気温センサ９２、日射検出手段としての
日射センサ９３、および運転席側、助手席側空調ゾーン
内に吹き出す空調風の吹出温度を検出する運転席側、助
手席側吹出温度センサ９４ａ、９４ｂが接続されてい
る。

【００５０】また、冷却用熱交換器１０を通過した直後
の空気温度（以下エバ後温度と言う）を検出するエバ後
温度検出手段としてのエバ後温度センサ９５、および車
両のエンジン冷却水の水温を検出する水温検出手段とし
ての水温センサ９６が接続されている。そして、日射セ
ンサ９３は、運転席側空調ゾーン内に照射される日射量
（日射強度）ＴＳ（Ｄｒ）を検知する運転席側日射強度
検知手段（例えばフォトダイオード）、および助手席側
空調ゾーン内に照射される日射量（日射強度）ＴＳ（Ｐ
ａ）を検知する助手席側日射強度検知手段（例えばフォ
トダイオード）を有している。なお、本実施形態では、
内気温センサ９１、外気温センサ９２、日射センサ９
３、運転席側、助手席側吹出温度センサ９４ａ、９４
ｂ、エバ後温度センサ９５および運転席側、助手席側温
度設定スイッチ６４、６５は、車室内の空調負荷を検出
する空調負荷検出手段を構成する。

【００５１】〔第１実施形態の制御方法〕次に、本実施
形態のエアコンＥＣＵ５０による制御方法を、図１ない
し図１４に基づいて説明する。ここで、図６はエアコン
ＥＣＵ５０の制御プログラムの一例を示したフローチャ
ートである。

【００５２】先ず、イグニッションスイッチがＯＮされ
てエアコンＥＣＵ５０に直流電源が供給されると、制御
プログラム（図６のルーチン）の実行が開始される。こ
のとき、先ず、データ処理用メモリ（ＲＡＭ）の記憶内
容等を初期化する（ステップＳ１）。次に、各種データ
をデータ処理用メモリに読み込む。すなわち、各種スイ
ッチからのスイッチ信号や各種センサからのセンサ信号
を入力する（ステップＳ２）。

【００５３】次に、上記のような記憶データおよび下記
の数２の式、数３の式に基づいて、運転席側の目標吹出
温度ＴＡＯ（Ｄｒ）、および助手席側の目標吹出温度Ｔ
ＡＯ（Ｐａ）を演算する（目標吹出温度決定手段：ステ
ップＳ３）。

【数２】ＴＡＯ（Ｄｒ）＝Ｋｓｅｔ・Ｔｓｅｔ（Ｄｒ）
−ＫＲ・ＴＲ−ＫＡＭ・ＴＡＭ−ＫＳ・ＴＳ（Ｄｒ）＋
Ｋｄ（Ｄｒ）×｛ＣＤ（Ｄｒ）＋Ｋａ（Ｄｒ）（１０−
ＴＡＭ）｝×｛Ｔｓｅｔ（Ｄｒ）−Ｔｓｅｔ（Ｐａ）｝
＋Ｃ

【００５４】

【数３】ＴＡＯ（Ｐａ）＝Ｋｓｅｔ・Ｔｓｅｔ（Ｐａ）
−ＫＲ・ＴＲ−ＫＡＭ・ＴＡＭ−ＫＳ・ＴＳ（Ｐａ）＋
Ｋｄ（Ｐａ）×｛ＣＤ（Ｐａ）＋Ｋａ（Ｐａ）（１０−
ＴＡＭ）｝×｛Ｔｓｅｔ（Ｐａ）−Ｔｓｅｔ（Ｄｒ）｝
＋Ｃ

【００５５】但し、Ｔｓｅｔ（Ｄｒ）およびＴｓｅｔ
（Ｐａ）は、それぞれ運転席側空調ゾーン内の設定温
度、助手席側空調ゾーン内の設定温度を表し、ＴＳ（Ｄ
ｒ）およびＴＳ（Ｐａ）は、それぞれ運転席側、助手席
側空調ゾーン内の日射量を表す。また、ＴＲ、ＴＡＭ
は、それぞれ車室内温度、外気温を表す。Ｋｓｅｔ、Ｋ
Ｒ、ＫＡＭ、ＫＳ、Ｋｄ（Ｄｒ）およびＫｄ（Ｐａ）
は、それぞれ温度設定ゲイン、車室内温度ゲイン、外気
温ゲイン、日射量ゲイン、第１、第２空調ゾーンの温度
差補正ゲインを表す。

【００５６】なお、Ｋａ（Ｄｒ）、Ｋａ（Ｐａ）は、そ
れぞれ外気温ＴＡＭが運転席側空調ゾーンおよび助手席
側空調ゾーンの各空調温度に及ぼす影響度合を補正する
ゲインを表し、ＣＤ（Ｄｒ）、ＣＤ（Ｐａ）は上記影響
度合に応じた定数、Ｃは補正定数を表す。ここで、Ｋａ
（Ｄｒ）、Ｋａ（Ｐａ）、ＣＤ（Ｄｒ）、ＣＤ（Ｐａ）
といった値は、車両の形や大きさ、空調ユニット１の吹
出方向等様々なパラメータで変化する。

【００５７】また、本発明のスイングルーバ４３の吹出
状態変更制御を行っている時は、数２の式の｛Ｔｓｅｔ
（Ｄｒ）−Ｔｓｅｔ（Ｐａ）｝の入っている項および数
３の式の｛Ｔｓｅｔ（Ｐａ）−Ｔｓｅｔ（Ｄｒ）｝の入
っている項をなくすか、または、Ｋａ（Ｄｒ）およびＫ
ａ（Ｐａ）を小さくすることで、運転席側と助手席側と
の設定温度差による補正量が小さくなるようにしても良
い。

【００５８】次に、上記のステップＳ３で求めた運転席
側、助手席側の目標吹出温度ＴＡＯ（Ｄｒ）、ＴＡＯ
（Ｐａ）に基づいてブロワ風量｛ブロワモータ９に印加
するブロワ制御電圧ＶＡ（Ｄｒ）、ＶＡ（Ｐａ）｝を演
算する（ステップＳ４）。

【００５９】具体的には、上記のブロワ制御電圧ＶＡ
は、運転席側、助手席側の目標吹出温度ＴＡＯ（Ｄ
ｒ）、ＴＡＯ（Ｐａ）にそれぞれ適合したブロワ制御電
圧ＶＡ（Ｄｒ）、ＶＡ（Ｐａ）を図７の特性図に基づい
て求めると共に、それらのブロワ制御電圧ＶＡ（Ｄ
ｒ）、ＶＡ（Ｐａ）を平均化処理することにより得てい
る。

【００６０】但し、夏場の冷房過度期（クールダウン
時）および冬場の暖房過度期（ウォームアップ時）に
は、エンジンを始動してから所定時間（ｔ）が経過する
まで、あるいはエンジン冷却水の水温（Ｔｗ）が所定温
度以上に上昇するまで送風を停止する。

【００６１】すなわち、車室内の冷房熱負荷が大きい冷
房運転開始時には、イグニッションスイッチをＯＮした
直後の熱風吹き出しによる乗員の不快感を防止する目的
で、ブロワ４の作動を遅動制御する。これは、図８
（ａ）に示す遅動制御特性に基づいて行われるもので、
例えばイグニッションスイッチがオンされた時刻ｔ0 か
ら時刻ｔ1 までの間（例えば８秒間）はブロワモータ９
をＯＦＦ（オフ）する。そして、時刻ｔ1 から時刻ｔ2
までの間（例えば２秒間）は風量レベルが「Ｌｏ（最小
風量）」となるようにブロワモータ９に印加するブロワ
制御電圧を決定し、時刻ｔ2 から時刻ｔ3 までの間（例
えば５秒間）は風量レベルが「ＬｏからＨｉ（最大風
量）」へ徐々に増大するようにブロワモータ９に印加す
るブロワ制御電圧を変化させる。さらに、時刻ｔ3 以降
は、図７の特性図に基づいて、ブロワモータ９に印加す
るブロワ制御電圧を決定する。

【００６２】一方、車室内の暖房熱負荷が大きい暖房運
転開始時には、イグニッションスイッチをＯＮした直後
の冷風吹き出しによる乗員の不快感を防止する目的で、
ブロワ４の作動を遅動制御する。これは、図８（ｂ）に
示す水温遅動制御特性に基づいて行われるもので、例え
ば水温センサ９６にて検出されるエンジン冷却水の水温
Ｔｗが所定温度Ｔｗ1 （例えば４０℃）以下の時はブロ
ワモータ９をＯＦＦする。そして、水温Ｔｗが所定温度
Ｔｗ1 を超えて設定水温Ｔｗ3 （例えば７０℃）に達す
るまでは、水温上昇に伴って風量レベルが徐々に増大す
るようにブロワモータ９に印加するブロワ制御電圧を変
化させる。なお、ブロワモータ９に印加するブロワ制御
電圧は、図７と図８（ｂ）の特性図のうち低い方が採用
される。

【００６３】次に、上記のステップＳ３で求めた運転席
側、助手席側の目標吹出温度ＴＡＯ（Ｄｒ）、ＴＡＯ
（Ｐａ）と、図９（ａ）の特性図とに基づいて運転席側
空調ゾーンおよび助手席側空調ゾーンの各吹出口モード
を決定する（ステップＳ５）。

【００６４】具体的には、吹出口モードの決定において
は、上記の目標吹出温度ＴＡＯ（Ｄｒ）、ＴＡＯ（Ｐ
ａ）が低い温度から高い温度にかけて、ＦＡＣＥモー
ド、Ｂ／ＬモードおよびＦＯＯＴモードとなるように決
定されている。また、エアコン操作パネル５１に設けら
れた吹出口モード切替スイッチ５９を操作することによ
り、ＦＡＣＥモード、Ｂ／Ｌモード、ＦＯＯＴモードま
たはＦ／Ｄモードのうちのいずれかの吹出口モードに固
定される。

【００６５】なお、上記のＦＡＣＥモードとは、空調風
を運転席側、助手席側空調ゾーンの乗員の上半身（頭胸
部）に向けて吹き出す吹出口モードである。また、Ｂ／
Ｌモードとは、空調風を運転席側、助手席側空調ゾーン
の乗員の上半身（頭胸部）および足元部に向けて吹き出
す吹出口モードである。そして、ＦＯＯＴモードとは、
空調風を運転席側、助手席側空調ゾーンの乗員の足元部
に向けて吹き出す吹出口モードである。さらに、Ｆ／Ｄ
モードとは、空調風を乗員の足元部および車両のフロン
トウインドの内面に向けて吹き出す吹出口モードであ
る。

【００６６】ここで、本実施形態では、エアコン操作パ
ネル５１に設けられたフロントデフロスタスイッチ５６
を操作すると、空調風を車両のフロントウインドの内面
に向けて吹き出すＤＥＦモードが設定される。また、本
実施形態では、吹出口モードがＦＯＯＴモード、Ｆ／Ｄ
モードまたはＤＥＦモードであっても、運転席側、助手
席側サイドＦＡＣＥ吹出口２２、３２は常に開口してい
る。

【００６７】次に、ステップＳ５で決定された吹出口モ
ードおよび暖房用熱源であるエンジン冷却水の水温Ｔｗ
に基づいて、各センタ、サイドグリル４１、４２に具備
されたスイングルーバ４３の制御目標位置（傾き角θ）
を求める（スイングルーバ位置演算手段：ステップＳ
６）。

【００６８】次に、運転席側Ａ／Ｍドア１５のＡ／Ｍ開
度ＳＷ（Ｄｒ）（％）および助手席側Ａ／Ｍドア１６の
Ａ／Ｍ開度ＳＷ（Ｐａ）（％）を演算する（ステップＳ
７）。なお、このようなＡ／Ｍ開度ＳＷ（Ｄｒ）、ＳＷ
（Ｐａ）の演算は、運転席側、助手席側の目標吹出温度
ＴＡＯ（Ｄｒ）、ＴＡＯ（Ｐａ）と、エバ後温度センサ
９５にて検出したエバ後温度（ＴＥ）と、水温センサ９
６にて検出したエンジン冷却水の水温（Ｔｗ）と、下記
の数４の式および数５の式とに基づいて行われる。

【００６９】

【数４】ＳＷ（Ｄｒ）＝｛ＴＡＯ（Ｄｒ）−ＴＥ｝×１
００／（Ｔｗ−ＴＥ）

【数５】ＳＷ（Ｐａ）＝｛ＴＡＯ（Ｐａ）−ＴＥ｝×１
００／（Ｔｗ−ＴＥ）

【００７０】次に、ステップＳ４で決定されたブロワ制
御電圧ＶＡ（Ｄｒ）、ＶＡ（Ｐａ）となるようにブロワ
駆動回路８に制御信号を出力する（ステップＳ８）。次
に、ステップＳ７で決定されたＡ／Ｍ開度ＳＷ（Ｄ
ｒ）、ＳＷ（Ｐａ）となるようにサーボモータ１７、１
８に制御信号を出力する（ステップＳ９）。次に、ステ
ップＳ５で決定された吹出口モードとなるようにサーボ
モータ２８、２９、３９に制御信号を出力する（ステッ
プＳ１０）。次に、ステップＳ６で決定された空調風の
吹出方向（ルーバ方向）、吹出位置またはスイング範囲
となるようにステッピングモータ４３ａ、４６ａに制御
信号を出力する（ステップＳ１１）。

【００７１】ここで、上記のステップＳ６における吹出
状態可変装置のスイングルーバ４３（４６）の制御目標
位置（傾き角θ）の算出方法について簡単に説明する。
なお、運転席側、助手席側センタグリル４１に具備され
たスイングルーバ４３の傾き角θは、図１０に示したよ
うに、各センタＦＡＣＥ吹出口２１、３１から真正面
（車両後方側）に向けて空調風を吹き出させる時の位置
Ｂを基準位置（０度）として、運転席、助手席乗員等の
前席乗員側をマイナスの値、前席乗員を外す側をプラス
の値として説明する。

【００７２】また、運転席側、助手席側サイドグリル４
２に具備されたスイングルーバ４３の傾き角θは、図１
０に示したように、各サイドＦＡＣＥ吹出口２２、３２
から真正面（車両後方側）に向けて空調風を吹き出させ
る時の位置Ａを基準位置（０度）として、運転席、助手
席乗員等の前席乗員側をマイナスの値、前席乗員を外す
側である車室内中央側（サイドウインドウＷ側）をプラ
スの値として説明する。したがって、運転席側センタ、
サイドグリル４１、４２と助手席側センタ、サイドグリ
ル４１、４２とでは、各スイングルーバ４３の傾き角が
共にプラス側の値およびマイナス側の値でも、空調風の
方向は反対方向となる。

【００７３】例えば暖房運転開始時（ウォームアップ
時）において、選択された吹出口モードがＦＯＯＴモー
ドの時は、各ＦＯＯＴ吹出口２３、３３と共に各サイド
ＦＡＣＥ吹出口２２、３２からも空調風が吹き出される
ため、この場合は各サイドグリル４２に具備されたスイ
ングルーバ４３（４６）の傾き角θを決定する。具体的
には、スイングルーバ４３の向きを、各サイドＦＡＣＥ
吹出口２２、３２から吹き出される空調風が直接乗員に
当たらないように、サイドウインドウＷ側（つまりプラ
ス側）へ所定角度（例えば＋５０度）だけ傾き角θを傾
ける。

【００７４】また、その後に、エンジン冷却水の水温Ｔ
ｗの上昇に伴って吹出口モードが変更された場合、例え
ばＦＯＯＴモードからＢ／Ｌモードに切り替わった場合
は、各ＦＯＯＴ吹出口２３、３３と共に各センタ、サイ
ドＦＡＣＥ吹出口２１、２２、３１、３２からも空調風
が吹き出されるため、この場合は各センタグリル４１に
具備されたスイングルーバ４３（４６）の傾き角θを決
定する。具体的には、スイングルーバ４３の向きを、各
センタＦＡＣＥ吹出口２１、３１から吹き出される空調
風が直接乗員に当たらないように、前席乗員を外す側で
ある車室内中央側（つまりプラス側）へ所定角度（例え
ば＋５度）だけ傾ける。

【００７５】但し、吹出口モードが変更される場合は、
変更後の吹出口からは初めて空調風が吹き出されるた
め、その変更後の吹出口に具備されたスイングルーバも
作動させる。例えばウォームアップ時では、図９（ｂ）
に示したように、エンジン冷却水の水温Ｔｗが所定温度
Ｔｗ1 に達した時点でＦＯＯＴモードが選択されると、
この時点から少なくとも所定時間ｔ1 が経過するまでは
各サイドグリル４２に具備されたスイングルーバ４３
（４６）の向きをサイドウインドウＷ側へ傾け、その後
に、水温上昇に伴って吹出口モードがＢ／Ｌモードに切
り替わった時は、その時点から少なくとも所定時間ｔ2
が経過するまでは各センタグリル４１に具備されたスイ
ングルーバ４３（４６）の向きを車室内中央側へ傾け
る。

【００７６】次に、暖房過度期（ウォームアップ時）の
各センタグリルのスイングルーバ４３の吹出状態（風
向）変更制御および各サイドグリルのスイングルーバ４
３の吹出状態（風向）変更制御について説明する。

【００７７】ウォームアップ時（ＦＯＯＴモード）の各
スイングルーバ４３は、図１１に示す水温特性図に基づ
いて制御される。つまり、運転席乗員がエンジンを始動
（車室内の暖房を開始）してからエンジン冷却水の水温
Ｔｗが所定温度Ｔｗ1 に達してブロワ４がＯＮした直後
は、前述のように冷風が乗員に当たらないように各サイ
ドグリル４２に具備されたスイングルーバ４３の向きを
サイドウインドウＷ側へ向ける。このときの各スイング
ルーバ４３の傾き角θは上記の吹出口モードに基づいて
決定される。

【００７８】その後に、エンジン冷却水の水温Ｔｗが上
昇して所定温度（本発明の第１の所定条件、第１の所定
温度に相当する）Ｔｗ2 に達すると、前席乗員に快適な
暖房感を与えるために、各サイドグリル４２に具備され
たスイングルーバ４３の向きを前席乗員の上半身の方向
（例えば運転席乗員の手または顔面の方向、助手席乗員
の顔面の方向）へ向けて、加熱用熱交換器１３で加熱さ
れた温風（比較的に暖かい吹出温度の温風）を前席乗員
の上半身に直接当てるようにする。このときの各スイン
グルーバ４３の傾き角θは各サイドＦＡＣＥ吹出口２
２、３２から吹き出される空調風の吹出方向が真っ直ぐ
前席乗員に当たる方向である。なお、このとき各サイド
ＦＡＣＥ吹出口２２、３２から吹き出される空調風が乗
員から大きく外れない範囲で各スイングルーバ４３を若
干スイングさせても良い。

【００７９】その後に、エンジン冷却水の水温Ｔｗが更
に上昇して所定温度（本発明の第２の所定条件、第２の
所定温度に相当する）Ｔｗ3 に達すると、前席乗員の顔
面の火照りを防いだり、サイドウインドウＷの内面の防
曇性能を高めたりするために、再び各サイドグリル４２
に具備されたスイングルーバ４３の向きをサイドウイン
ドウＷ側へ向けて、加熱用熱交換器１３で加熱された温
風（顔面に当てると火照る程度の吹出温度が高い温風）
をサイドウイドウＷの内面に当てる。

【００８０】なお、図１２に示したように、ウォームア
ップ中に全モード（全ての吹出口から空調風が吹き出す
モード：所謂フルオープンモード）、ＦＡＣＥモードま
たはＢ／Ｌモードを挿入しても良い。この場合、各スイ
ングルーバ４３の向きを前席乗員の上半身の方向へ向け
ている時に、ＦＯＯＴモードのみの場合と比較してより
多くの温風を前席乗員の上半身に供給できる。このた
め、前席乗員の顔面の火照りを防止するために、ＦＯＯ
Ｔモードの場合よりも早めのタイミングで各スイングル
ーバ４３の向きを前席乗員から外す方向またはサイドウ
インドウＷの方向へ向けることが望ましい。

【００８１】また、外気温が非常に低い温度（例えば−
１０℃）の場合には、図１３に示したように、図１１の
場合よりも遅いタイミングで各スイングルーバ４３の向
きを前席乗員の上半身の方向から各スイングルーバ４３
の向きを前席乗員から外す方向またはサイドウインドウ
Ｗの方向へ変更することが望ましい。これらのタイミン
グは、車両によって異なるもので、各車両毎の最適値を
確認して決定することが望ましい。

【００８２】ここで、本実施形態では、ウォームアップ
時に、エンジンを始動してからエンジン冷却水の水温Ｔ
ｗが所定温度（本発明の第１の所定条件、第１の所定温
度に相当する）Ｔｗ2 に達したら、各センタ、サイドグ
リル４１、４２に具備されたスイングルーバ４３の向き
を前席乗員の上半身の方向（例えば運転席乗員の手また
は顔面の方向、助手席乗員の顔面の方向）へ向け、エン
ジン冷却水の水温Ｔｗが所定温度Ｔｗ2 に達してから所
定温度（本発明の第２の所定条件、第２の所定温度に相
当する）Ｔｗ3 に達したら、各センタ、サイドグリル４
１、４２に具備されたスイングルーバ４３の向きを前席
乗員を外す方向またはサイドウインドウＷの方向へ向け
るようにしている。

【００８３】例えば前席乗員が未だ寒いと感じている時
に温風が前席乗員から外れてしまったり、逆に前席乗員
の顔面に火照りが発生しているのに温風が前席乗員に当
たり続ける場合があり、上記のウォームアップ時に、前
席乗員の上半身に空調風が当たるようにスイングルーバ
制御を行う水温Ｔｗや時間は暖房熱負荷や前席乗員の好
みによって異なる。また、前席乗員の暖房感、特に運転
席乗員の暖房感という面では、顔面を中心に温風を送る
ことが有効であるが、安全運転の面から見ると運転席乗
員の手に温風を当てることが有効である。

【００８４】そこで、ウォームアップ時の各センタ、サ
イドグリル４１、４２に具備されたスイングルーバ４３
の吹出状態変更制御を、暖房熱負荷が第１の所定温度に
達してから第２の所定温度に達するまでの間、あるいは
第１の所定温度に達してから少なくとも一定時間（本発
明の第２の所定時間に相当する）が経過するまで実施す
るようにしても良い。

【００８５】また、各スイングルーバ４３の吹出状態変
更制御を、エンジン始動後から少なくとも一定時間（本
発明の第１の所定時間に相当する）から、第２の所定条
件（本発明の第２の所定温度に相当する）を満足するま
での間、あるいは第１の所定温度に達してから少なくと
も一定時間（本発明の第２の所定時間に相当する）が経
過するまで実施するようにしても良い。

【００８６】ここで、図１４（ａ）の特性図は、第２の
所定時間を予め一定時間（例えば６秒間）とした場合
に、各暖房熱負荷が大きい程、その所定時間に乗算する
補正係数が大きくなることを示している。また、図１４
（ｂ）の特性図は、各暖房熱負荷が大きい程、前席乗員
の顔の方向での一時停止時間（第２の所定時間）が長く
なることを示している。

【００８７】具体的には、第２の所定時間が固定値の場
合、図１４（ｂ）の特性図では、空調初期吹出温度、外
気温または空調初期車室内温度が低い程、前席乗員の顔
の方向での一時停止時間が長くなるように設定される。
また、空調初期車室内温度と設定温度の差が大きい程、
上記一時停止時間が長くなるように設定される。さら
に、車室内温度または空調初期水温が低い程、上記一時
停止時間が長くなるように設定される。そして、前席乗
員の皮膚温度、空調初期皮膚温度、シート温度またはス
テアリング温度が低い程、上記一時停止時間が長くなる
ように設定される。また、日射量が小さい程、上記一時
停止時間が長くなるように設定される。さらに、設定温
度が高い程、上記一時停止時間が長くなるように設定さ
れる。

【００８８】そして、車両の車速が遅い程、上記一時停
止吹出時間が長くなるように設定される。また、吹出口
モードがＦＡＣＥモードよりもＢ／Ｌモードの方が上記
一時停止時間が長くなるように設定され、Ｂ／Ｌモード
よりもフルオープン（ＤＥＦ吹出口２０も含めて全ての
吹出口が開放されるモード）の方が上記一時停止時間が
長くなるように設定される。さらに、日射方向が車両側
方よりも車両前方の方が上記一時停止時間が長くなるよ
うに設定され、日射方向が車両前方よりも車両後方の方
が上記一時停止時間が長くなるように設定される。

【００８９】なお、図１４（ｂ）の特性図に示したよう
に、各暖房熱負荷が大きい程、前席乗員の顔の方向での
非常にゆっくり揺動する時間（第２の所定時間）が長く
なるように設定しても、あるいは前席乗員の顔の方向で
非常にゆっくり揺動する範囲または前席乗員の顔に当た
る空調風の風速を大きく設定しても、前席乗員の顔の方
向での一時停止時間が長くなるように設定した場合と同
様な効果を達成できる。

【００９０】また、図１５（ａ）の特性図は、前席乗員
の顔の方向への吹出範囲または揺動範囲を予め一定範囲
（例えば６ｃｍまたは６度）とした場合に、各暖房熱負
荷が大きい程、その範囲に乗算する補正係数が大きくな
ることを示している。また、図１５（ｂ）の特性図は、
各暖房熱負荷が大きい程、前席乗員の顔の方向への吹出
範囲または揺動範囲が大きくなることを示している。な
お、図１５（ｂ）の特性図に示したように、各暖房熱負
荷が大きい程、前席乗員の顔の方向への吹出角度が大き
くなるように設定しても、前席乗員の顔の方向への吹出
範囲または揺動範囲または風速が大きくなるように設定
した場合と同様な効果を達成できる。

【００９１】また、図１６（ａ）の特性図は、前席乗員
の手または顔の方向での集中吹出時間を予め一定時間
（例えば６秒間）とした場合に、各暖房熱負荷が大きい
程、その時間に乗算する補正係数が大きくなることを示
している。また、図１６（ｂ）の特性図は、各暖房熱負
荷が大きい程、前席乗員の手または顔の方向での集中吹
出時間が長くなることを示している。なお、図１６
（ｂ）の特性図に示したように、各暖房熱負荷が大きい
程、前席乗員の手または顔の方向で非常にゆっくり揺動
する角度または範囲が大きくなるように設定しても、前
席乗員の手の方向での集中吹出時間が長くなるように設
定した場合と同様な効果を達成できる。

【００９２】また、図１７（ａ）の特性図は、前席乗員
の手の方向への吹出範囲または揺動範囲を予め一定範囲
（例えば６ｃｍまたは６度）とした場合に、各暖房熱負
荷が大きい程、その範囲に乗算する補正係数が大きくな
ることを示している。また、図１７（ｂ）の特性図は、
各暖房熱負荷が大きい程、前席乗員の手の方向への吹出
範囲または揺動範囲が大きくなることを示している。な
お、図１７（ｂ）の特性図に示したように、各暖房熱負
荷が大きい程、前席乗員の手の方向への吹出角度または
前席乗員の手に当たる風速が大きくなるように設定して
も、前席乗員の手の方向への吹出範囲または揺動範囲が
大きくなるように設定した場合と同様な効果を達成でき
る。

【００９３】また、図１８（ａ）の特性図は、第２の所
定時間を予め一定時間（例えば６秒間）とした場合に、
各暖房熱負荷が大きい程、その所定時間に乗算する補正
係数が大きくなることを示している。また、図１８
（ｂ）の特性図は、各暖房熱負荷が大きい程、前席乗員
の手の方向での一時停止時間（第２の所定時間）が長く
なることを示している。なお、図１８（ｂ）の特性図に
示したように、各暖房熱負荷が大きい程、前席乗員の手
の方向での非常にゆっくり揺動する時間（第２の所定時
間）が長くなるように設定しても、あるいは前席乗員の
手の方向で非常にゆっくり揺動する範囲を大きく設定し
ても、前席乗員の手の方向での一時停止時間が長くなる
ように設定した場合と同様な効果を達成できる。

【００９４】また、図１９（ａ）の特性図は、各暖房熱
負荷が大きい程、吹出状態変更制御を解除する車室内温
度の第２の所定温度が高くなることを示している。ま
た、図１９（ｂ）の特性図は、各暖房熱負荷が大きい
程、吹出状態変更制御を解除する吹出温度または水温の
第２の所定温度が高くなることを示している。また、図
２０（ａ）の特性図は、吹出状態変更制御を解除する第
２の所定時間を予め一定時間（例えば４分間）とした場
合に、各暖房熱負荷が大きい程、その所定時間に乗算す
る補正係数が大きくなることを示している。また、図２
０（ｂ）の特性図は、各暖房熱負荷が大きい程、第２の
所定時間が長くなることを示している。したがって、図
１４の特性図ないし図２０の特性図に示したように、前
席乗員が非常に寒く感じている時は、通常よりも暖か目
になるように前席乗員の顔または手の方向に空調風が当
たる時間を長くすることで、より快適感を向上させるこ
とができる。

【００９５】また、図２１（ａ）の特性図は、ウォーム
アップ時に、前席乗員の手の方向、前席乗員の顔の方
向、後席乗員の方向の順に優先的に空調する際の各方向
での一時停止時間を予め一定時間（例えば６秒間）とし
た場合に、各暖房熱負荷が大きい程、その時間に乗算す
る補正係数が大きくなることを示している。また、図２
１（ｂ）の特性図は、各暖房熱負荷が大きい程、前席乗
員の手の方向、前席乗員の顔の方向、後席乗員の方向の
順に優先的に空調する際の各方向での一時停止時間が長
くなることを示している。なお、図２１（ｂ）の特性図
に示したように、各暖房熱負荷が大きい程、各方向への
集中吹出時間が長くなるように設定しても、あるいは各
方向に当たる風速が大きくなるように設定しても、各方
向での一時停止時間が長くなるように設定した場合と同
様な効果を達成できる。したがって、車両走行の安全
性、乗車の可能性の高い前席、乗員の可能性の低い後席
のような優先度の高い順に暖房能力を振り分けることが
できるので、有効な空調を行うことができる。

【００９６】なお、図１４の特性図ないし図２１の特性
図に示した各暖房熱負荷のうち少なくとも２つ以上の暖
房熱負荷を組み合わせて第２の所定時間や第２の所定温
度またはその補正係数を決定しても良く、図１４の特性
図ないし図２１の特性図に示した各暖房熱負荷のうちい
ずれか１つの暖房熱負荷を用いて第２の所定時間や第２
の所定温度またはその補正係数を決定しても良い。ま
た、その他の空調に関する項目（乗員操作（申告）、時
間など）によって第２の所定時間や第２の所定温度また
はその補正係数を決定しても良い。

【００９７】また、図２２（ａ）の特性図は、各暖房熱
負荷が大きい程、車室内温度の第１の所定温度が低くな
ることを示している。また、図２２（ｂ）の特性図は、
各暖房熱負荷が大きい程、吹出温度または水温の第１の
所定温度が低くなることを示している。なお、図２２の
特性図に示した各暖房熱負荷のうち少なくとも２つ以上
の暖房熱負荷を組み合わせて第１の所定温度を決定して
も良く、図２２の特性図に示した各暖房熱負荷のうちい
ずれか１つの暖房熱負荷を用いて第１の所定温度または
その補正係数を決定しても良い。また、その他の空調に
関する項目（乗員操作（申告）、時間など）によって第
１の所定温度を決定しても良い。また、吹出状態変更制
御の開始時期を、エンジン始動後から一定時間（第１の
所定時間）としても良く、図２２の特性図に示した各暖
房熱負荷が大きい程、その第１の所定時間を短く設定す
るようにしても良い。

【００９８】なお、図１４ないし図２２の特性は左右独
立温度コントロールを行っている場合には、運転席側空
調ゾーン内の暖房熱負荷と助手席側空調ゾーン内の暖房
熱負荷とを互いに独立して検出できる場合、各ＦＡＣＥ
吹出口２１、２２、３１、３２から吹き出す空調風の吹
出方向を直接前席乗員の顔または手の方向にする時間や
温度をそれぞれの暖房熱負荷に応じて変更しても良い。

【００９９】ここで、ウォームアップ時に、図２３の特
性図に示したように、各ＦＡＣＥ吹出口から空調風（温
風）が吹き出す方向を前席乗員のシートポジションに応
じて変更しても良い。なお、図２３の特性は、車両毎に
異なるシートレイアウトやＦＡＣＥ吹出口の位置関係や
開口度合などによって補正されることは言うまでもな
い。そして、前席乗員が着座する前席（シート）のシー
トポジションは、前席近傍にポテンショメータ等を設け
て検出することが考えられるが、前席乗員がスイッチや
ディスプレイ６３上でシートポジションを設定できるよ
うにしても良い。また、シートポジションをディーラ
（自動車販売業者）等で設定することができるようにし
ても良い。そして、前席乗員やディーラがシートポジシ
ョンを設定する方法では、クールダウン時またはウォー
ムアップ時に向けたいルーバ方向を前席乗員の好みで調
整できるので、この方法の方が好ましい。

【０１００】〔第１実施形態の効果〕以上のように、本
実施形態の車両用空調装置では、暖房過度期、つまり暖
房運転のウォームアップ時に、エンジン冷却水の水温が
第１の所定温度に達してから第２の所定温度に達するま
での間、あるいはエンジン冷却水の水温が第１の所定温
度に達してから一定時間が経過するまでの間、あるいは
エンジン始動後から少なくとも一定時間から第２の所定
温度に達するまでの間、各ＦＡＣＥ吹出口から吹き出さ
れる空調風（温風）を前席乗員の顔または手に集中的に
当たる側に向けるようにスイングルーバ４３の向きを変
更（風向調節）している。

【０１０１】それによって、冬場に車両に乗車した直後
で例えば運転席乗員の手が冷たい時に、運転席側セン
タ、サイドＦＡＣＥ吹出口２１、２２から吹き出される
吹出温度の高い温風が例えば運転席乗員の手に向かって
吹き出される。このため、運転席乗員の手が冷たい時に
わざわざＦＡＣＥ吹出口近傍まで手を近づける必要はな
いので、信号待ちだけでなく車両走行中でも運転席乗員
の手を暖めることができる。これにより、運転席乗員の
手が冷たくても、運転席乗員がステアリングから手を離
す必要はなく、車両走行時の安全性および運転性を向上
することができる。

【０１０２】また、冬場に車両に乗車した直後で例えば
助手席乗員の顔面が寒いと感じている時に、助手席側セ
ンタ、サイドＦＡＣＥ吹出口３１、３２から吹き出され
る吹出温度の高い温風が例えば助手席乗員の顔面に向か
って吹き出される。このため、温風が助手席乗員の顔面
に当たるようにスイングルーバの向きを手動操作で変更
するといった煩わしいルーバ操作が不要となる。

【０１０３】ここで、本実施形態では、ウォームアップ
時に、エンジン冷却水の水温Ｔｗが所定温度Ｔｗ1 に達
するまではブロワ４をＯＦＦしているため、センタ、サ
イドＦＡＣＥ吹出口から前席乗員または後席乗員に向け
て冷風が吹き出されることはなく、前席乗員または後席
乗員に冷風が当たることによる不快感を防止することが
できる。また、エンジン冷却水の水温Ｔｗが第１の所定
温度に達する前にブロワ４を作動させても、サイドグリ
ル４２に具備されたスイングルーバ４３の向きをサイド
ウインドウＷ側（図１０のＣ方向）へ向けていることに
より、前席乗員または後席乗員に向けて冷風が吹き出さ
れることを防止できる。

【０１０４】さらに、ウォームアップ時に、エンジン冷
却水の水温Ｔｗが第２の所定温度に達すると、それまで
前席乗員の上半身の方向に向けていたスイングルーバ４
３の向きを前席乗員を外す方向またはサイドウインドウ
Ｗ側へ向けることにより、前席乗員が顔面に火照りを感
じるまで長時間に渡って温風が前席乗員に向かって吹き
出されることを防止できる。これにより、快適な暖房感
が得られる時間および範囲だけ空調風を前席乗員に向け
て吹き出すことが可能である。

【０１０５】また、エンジン冷却水の水温Ｔｗが第２の
所定温度に達したら、各サイドグリル４２に具備された
スイングルーバ４３の向きをサイドウインドウＷ側へ向
けることにより、サイドウインドウＷの内面の曇りの発
生を抑えることができる（防曇性能を向上できる）と共
に、サイドウインドウＷからの冷輻射を遮断できる効果
を生じる。さらに、エンジン冷却水の水温Ｔｗが第２の
所定温度に達したら後席乗員の上半身に温風が当たるよ
うにスイングルーバ４３の向きを変更することにより、
後席乗員に快適な暖房感を与えることもできる。

【０１０６】なお、本実施形態では、スイングルーバ４
３の向きを前席乗員の上半身に向ける吹出状態変更制御
中に前席乗員がスイングルーバ４３の向きを手動操作に
より変更した場合には、次回から吹出状態変更制御を行
わないようにしても良い。但し、次回のウォームアップ
中に前席乗員がスイングルーバ４３の向きを前席乗員の
上半身に向けた場合には、次回から吹出状態変更制御を
復活するようにしても良い。

【０１０７】また、乗員の好みで、吹出状態変更制御中
の第１の所定条件（第１の所定温度または第１の所定時
間）、あるいは第２の所定条件（第２の所定温度または
第２の所定時間）を設定することが可能な所定条件設定
手段を設けても良く、乗員の好みで、吹出状態変更制御
を解除することが可能な解除手段を設けても良い。この
解除手段は、例えばマルチビジョン等にタッチスイッチ
として容易に設置することができる。

【０１０８】ここで、一般的に、比較的に高い吹出温度
の空調風（温風）が吹き出さないＦＡＣＥ吹出口から温
風が吹き出すことが故障ではないかと乗員に不安感を与
える可能性があるので、前席乗員が暖かく感じる空調風
を前席乗員の上半身に向ける制御を行っている時、その
旨を乗員に知らせる視覚表示手段または聴覚表示手段等
の表示手段を設けても良い。例えばディスプレイ６３上
に空調風を前席乗員の上半身に向ける制御を行っている
旨の表示例を、図２４（ａ）〜図２４（ｊ）に示した。

【０１０９】また、本実施形態では、ウォームアップ中
のスイングルーバ４３の吹出状態変更制御を、エンジン
冷却水の水温または時間に基づいて行っているが、各サ
イドＦＡＣＥ吹出口２２、３２に設置された運転席側、
助手席側吹出温度センサ９４ａ、９４ｂにて検出する吹
出温度に基づいて、ウォームアップ中のスイングルーバ
４３の吹出状態変更制御を行っても良い。なお、吹出温
度は、エンジン冷却水の水温より概算で求めても良い
（例えば水温×０．８５）。

【０１１０】また、スイングルーバ４３の向きを変更す
る時のタイミングは、水温や吹出温度の他に、内気温セ
ンサ９１にて検出する車室内温度（室温、内気温）によ
って決定しても良い。例えば車室内温度が１０℃まで上
昇した時に空調風の吹出方向、吹出範囲または揺動範囲
を前席乗員の上半身の方向に向け、その後に車室内温度
が５度上昇した時点で空調風の吹出方向、吹出範囲また
は揺動範囲を前席乗員を外す方向またはサイドウインド
ウＷ側へ向けるようにしても良い。

【０１１１】また、本実施形態では、吹出口モードが変
更された場合に、最初に選択されるサイドグリルに具備
されたスイングルーバ４３の向きだけではなく、変更後
のセンタグリルに具備されたスイングルーバ４３の向き
も所定角度だけ傾けるように制御しているが、最初に選
択されるサイドグリルに具備されたスイングルーバ４３
の向きだけを所定角度だけ傾けるように制御しても良
い。また、ウォームアップ時にブロワ４を水温遅動制御
しているが、必ずしも水温遅動制御を実行する必要はな
い。つまり、イグニッションスイッチがオンされると、
直ちに送風が開始される場合でも、送風が開始されてか
ら少なくとも一定時間（第１の所定時間）は、ＦＡＣＥ
吹出口から吹き出される空調風が直接前席乗員に当たら
ない方向へスイングルーバ４３の向きを傾ければ良い。

【０１１２】また、ウォームアップ中にスイングルーバ
４３の向きを変更しているが、スイングルーバ４６の向
きを変更して前席乗員の上半身の方向または前席乗員を
外す方向に制御しても良い。前席乗員を外す方向に向け
る場合には、例えば空調風が車室内の上方または下方へ
流れるようにスイングルーバ４６の向きを変更すれば、
空調風が直接前席乗員に当たるのを避けることができ
る。また、スイングルーバ４３、４６の両方で空調風が
前席乗員に当たる、または前席乗員から外れるように制
御しても良い。

【０１１３】また、本実施形態では、乗員が寒いと感じ
るウォームアップ時に、ＦＡＣＥ吹出口から吹き出され
る空調風の吹出方向を前席乗員の上半身の方向に向ける
ようにしたが、空調風の吹出状態を前席乗員の上半身の
方向への集中吹出にしても良く、あるいは暖房定常時に
比べて、前席乗員の上半身の方向での揺動停止時間、ま
たはゆっくり揺動する時間または範囲を多くしても良
く、あるいは前席乗員集中吹出時間を長くしても良く、
あるいは前席乗員の上半身の方向での吹出範囲または揺
動範囲を狭くしても良く、あるいは前席乗員の上半身の
方向または前席乗員の顔または手の方向への風速を大き
くするようにしても良い。

【０１１４】また、本実施形態では、暖房熱負荷が大き
い程、例えば外気温または空調初期車室内温度またはエ
ンジン冷却水の水温が低い程、空調風の吹出方向を前席
乗員の上半身に向ける吹出状態変更制御を開始する第１
の所定温度を低くする、あるいは第１の所定時間を短く
するようにしているので、前席乗員が非常に寒く感じて
いる時に、通常よりも暖かめまたは長めに温風が前席乗
員の上半身に当たるようにスイングルーバ４３の向きが
制御されることで、前席乗員の快適感をより向上させる
ことができる。なお、前席乗員が非常に寒く感じている
時は、低めの吹出温度でも暖かさを感じることができる
ので、吹出状態変更制御を開始する第１の所定温度が低
くても前席乗員の顔または手の方向に空調風を当てるこ
とで、前席乗員に早く暖かさを感じさせることができ
る。

【０１１５】また、本実施形態では、暖房熱負荷が大き
い程、例えば外気温または空調初期車室内温度またはエ
ンジン冷却水の水温が低い程、空調風の吹出方向を前席
乗員の上半身に向ける吹出状態変更制御を解除する第２
の所定温度を高くする、あるいは第２の所定時間を長く
するようにしているので、前席乗員が非常に寒く感じて
いる程、通常よりも早く温風が前席乗員の上半身に当た
るようにスイングルーバ４３の向きを制御することで、
前席乗員の暖房感をより向上させることができる。

【０１１６】また、例えば第１の所定条件（第１の所定
温度または第１の所定時間）を満足するまで吹出口モー
ドをＦＯＯＴモードに固定し、第１の所定条件を満足し
たら吹出口モードをＢ／ＬモードまたはＦＡＣＥモード
に切り替える方式のものの場合には、暖房運転を開始し
た後に第１の所定条件を満足した時点から、空調風の吹
出方向を前席乗員の上半身に向ける吹出状態変更制御へ
の移行を徐々に行うようにすることで、第１の所定条件
を満足するまで温風が当たっていた前席乗員または後席
乗員の下半身が急激に寒く感じないようにすることがで
きる。

【０１１７】また、例えば第１の所定条件を満足してか
ら第２の所定条件（第２の所定温度または第２の所定時
間）を満足するまで吹出口モードをＢ／Ｌモードまたは
ＦＡＣＥモードに固定し、第２の所定条件を満足したら
吹出口モードをＦＯＯＴモードに切り替える方式のもの
の場合には、第１の所定条件を満足した後に第２の所定
条件を満足した時点から、空調風の吹出方向を前席乗員
を外す方向に向ける吹出状態変更制御への移行を徐々に
行うようにすることで、第２の所定条件を満足するまで
温風が当たっていた前席乗員または後席乗員の上半身が
急激に寒く感じないようにすることができる。

【０１１８】〔第２実施形態〕図２５および図２６は本
発明の第２実施形態を示したもので、図２５はエアコン
操作パネルを示した図である。

【０１１９】本実施形態では、エアコン操作パネル５１
と一体的に、運転席側空調ゾーンおよび助手席側空調ゾ
ーン内の各ＦＡＣＥ吹出口２１、２２、３１、３２から
吹き出される空調風の吹出状態（スイングルーバ４３、
４６のスイング状態）を操作するためのルーバ操作（Ｓ
ＷＩＮＧＳＷ）パネル１００が設けられている。このル
ーバ操作パネル１００は、ＭＡＴＣＨスイッチ１０１、
Ｄｒスイッチ１０２、Ｐａスイッチ１０３およびスイン
グモード切替スイッチ１０４とから構成されている。

【０１２０】なお、スイングモード切替スイッチ１０４
は、第１実施形態のスイングモード切替スイッチ６９、
７３と同様に、「ＳＴＯＰ（スイング停止）」、「ＡＵ
ＴＯ（オートスイング）」、「Ｒｒ」、「Ｕ−ＤＳＷＩ
ＮＧ（上下方向スイング）」、「Ｒ−ＬＳＷＩＮＧ（左
右方向スイング）」の各切替位置を有するロータリー式
スイッチである。

【０１２１】また、ＭＡＴＣＨスイッチ１０１、Ｄｒス
イッチ１０２およびＰａスイッチ１０３は、平常位置
（ＯＦＦ）と押込位置（ＯＮ）とを持つプッシュ式スイ
ッチである。ＭＡＴＣＨスイッチ１０１がＯＮされる
と、運転席側、助手席側のスイングルーバ４３、４６の
うちの少なくとも一方をスイングさせるように出力す
る。そして、Ｄｒスイッチ１０２がＯＮされると、運転
席側のスイングルーバ４３、４６のうちの少なくとも一
方をスイングさせるように出力する。さらに、Ｐａスイ
ッチ１０３がＯＮされると、助手席側のスイングルーバ
４３、４６のうちの少なくとも一方をスイングさせるよ
うに出力する。

【０１２２】ここで、ウォームアップ時にも、スイング
ルーバ４３、４６をスイングさせることにより各ＦＡＣ
Ｅ吹出口２１、２２、３１、３２から吹き出す空調風を
揺動させる方式の空調ユニット１においては、ウォーム
アップ時に、前席乗員の上半身に優先的に空調風を向け
る吹出状態変更制御として、暖房定常時に比べて、前席
乗員の顔または手の方向での揺動停止時間またはゆっく
り揺動する時間または範囲を多くか、あるいは空調風の
揺動範囲を狭くするようにしても良い。この場合の空調
風の揺動範囲の決定は、吹出口モードと、各ＦＡＣＥ吹
出口２１、２２、３１、３２からの吹出風量と、図２６
（ａ）に示した左右独立温度コントロールを行わない場
合の揺動範囲、あるいは図２６（ｂ）に示した左右独立
温度コントロールを行う場合の揺動範囲に基づいて行わ
れる。

【０１２３】ここで、図２６（ｂ）に示したβ（Ｐ
ａ）、β（Ｄｒ）は助手席側、運転席側後席乗員側スイ
ング端である。また、α（Ｄｒ）は、運転席シートポジ
ションまたはシート形状、運転席側前席の乗員（ドライ
バー）の体格差や空調風の好み、姿勢のうちの１つ以上
から求める運転席側前席乗員側スイング端を示してい
る。同じように、α（Ｐａ）は、助手席シートポジショ
ンまたはシート形状、助手席側前席の乗員（パッセンジ
ャー）の体格差や空調風の好み、姿勢のうちの１つ以上
から求める助手席側前席乗員側スイング端を示してい
る。なお、上記各乗員の好みで、前席乗員が温風をより
好む時は、前席乗員の上半身に温風が多く当たるように
スイングルーバ４３の揺動範囲を狭くする方向に補正す
ることで対応できる。

【０１２４】本実施形態では、運転席側後席の乗員およ
び助手席側後席の乗員は標準状態であると仮定し、スイ
ングルーバ４３、４６の揺動範囲中の運転席側、助手席
側後席乗員側スイング端は固定している。もちろん、運
転席側、助手席側後席乗員側スイング端も、運転席側、
助手席側前席乗員側スイング端と同様にして、後席シー
トポジションまたはシート形状、後席の乗員の体格差や
空調風の好み、姿勢に応じて補正しても良い。なお、本
実施形態では、各サイドグリル４２に具備されたスイン
グルーバ４３、４６の揺動範囲は、各センタグリル４１
に具備されたスイングルーバ４３、４６の揺動範囲と同
じとする。

【０１２５】また、本実施形態の揺動範囲は、運転席側
または助手席側前席の乗員のルーバ操作により、操作方
向側に揺動範囲をシフトするようにしても良い。また、
運転席側または助手席側前席の乗員の操作により運転席
と助手席との間をスイングさせるモードが選択された場
合には、吹出状態変更制御を解除するようにしても良
い。また、その他、運転席側または助手席側前席の乗員
のマニュアル操作に応じて本実施形態の揺動範囲を解除
できるようにすることで、本実施形態の揺動範囲が好み
に合わない乗員（ユーザ）においても、スイング制御そ
のものが使われなくなることを防止できる。

【０１２６】また、暖房熱負荷が非常に大きい時など、
安全運転のため運転席を優先的に空調する時、あるいは
後席や助手席に客を乗車させる時に、その座席を優先的
に空調する時などは、その座席の乗員の上半身に優先的
に温風を当てるようにすることで、所定の座席の乗員を
急速に快適とすることができる。また、偏日射時、日射
が当たらない側の暖房能力が足りない時などは、その空
調ゾーンを主に空調するＦＡＣＥ吹出口からだけでな
く、異なる空調ゾーンを主に空調する隣接するＦＡＣＥ
吹出口からも温風が来るようにスイングさせる（例えば
助手席側センタグリル４２に具備されたスイングルーバ
４３の運転席側後席乗員側スイング端を運転席側前席の
乗員の顔の方向に変更する）ことで、車室内全体の快適
感を向上させることができる。

【０１２７】〔第３実施形態〕図２７および図２８は本
発明の第３実施形態を示したもので、図２７は車両用空
調装置の全体構成を示した図で、図２８（ａ）、図２８
（ｂ）はスイングルーバアクチュエータの構成を示した
図である。

【０１２８】本実施形態のエアコンＥＣＵ５０には、各
吹出状態可変装置のスイングルーバ４３、４６の現在位
置（ルーバ方向または空調風の吹出方向）を検出するポ
テンショメータ９７、９８が接続されている。複数個
（本例では４個）のポテンショメータ９７は、図２８
（ａ）に示したように、スイングルーバアクチュエータ
近傍にそれぞれ設けられ、リンクレバー４４と一体的に
水平方向に往復移動する可動接点９７ａ、およびこの可
動接点９７ａの移動により分圧比を変える抵抗素子９７
ｂ等よりなる吹出方向または吹出位置検出手段である。

【０１２９】複数個（本例では４個）のポテンショメー
タ９８は、図２８（ｂ）に示したように、スイングルー
バアクチュエータ近傍にそれぞれ設けられ、リンクレバ
ー４７と一体的に上下方向に往復移動する可動接点９８
ａ、およびこの可動接点９８ａの移動により分圧比を変
える抵抗素子９８ｂ等よりなる吹出方向または吹出位置
検出手段である。そして、本実施形態では、ルーバモー
タとしてステッピングモータの代わりに、サーボモータ
４３ｂ、４６ｂを使用している。

【０１３０】〔第４実施形態〕図２９および図３０は本
発明の第４実施形態を示したもので、図２９は吹出状態
可変装置のスイングルーバアクチュエータの構成を示し
た図である。

【０１３１】本実施形態のスイングルーバアクチュエー
タ１４０は、センタ、サイドＦＡＣＥ吹出口１２１、１
３１を形成する集中拡散グリル１２０、１３０に設置さ
れている。このスイングルーバアクチュエータ１４０
は、集中拡散グリル１２０、１３０内において左右方向
にスイング可能に取り付けられた複数枚（本例では３
枚）の第１〜第３ルーバ１４１と、これらの第１〜第３
ルーバ１４１を各支点１４２を中心にして左右方向に所
定のスイング範囲にてスイングさせる複数枚（本例では
３枚）の第１〜第３リンクプレート１４３と、これらの
第１〜第３リンクプレート１４３を各支点１４４を中心
にして回動させる平板プレート１４５と、この平板プレ
ート１４５を車両の進行方向に対して前後方向に往復運
動させるアクチュエータとしてのルーバモータ１４６と
から構成されている。

【０１３２】第１〜第３リンクプレート１４３には、各
第１〜第３ルーバ１４１の上端面に設けられた円柱形状
のピン１４７が係合する長円形状の係合穴１４８が形成
されている。また、平板プレート１４５には、各リンク
プレート１４３の上端面に設けられた円柱形状のピン１
４９が係合する第１〜第３係合穴１５１〜１５３、およ
びルーバモータ１４６側の上端面に設けられたラック１
５４が形成されている。なお、第１〜第３係合穴１５１
〜１５３の形成順序は、集中拡散グリル１２０と集中拡
散グリル１３０とでは逆となる。

【０１３３】また、平板プレート１４５は、集中拡散グ
リル１２０、１３０の外壁面に設けられたガイド１５５
およびレール１５６に案内されて、その外壁面上を車両
の前後方向に摺動可能に配されている。ルーバモータ１
４６は、集中拡散グリル１２０、１３０の外壁面に取り
付けられた取付用台１５７上に設置されている。また、
ルーバモータ１４６の出力軸の先端外周には、ラック１
５４と噛合するピニオン１５９が組み付けられている。

【０１３４】本実施形態では、ルーバモータ１４６を作
動させることにより、図３０（ａ）に示したように、集
中拡散グリル１２０、１３０の外壁面上において平板プ
レート１４５が最も車両後方側（乗員に近づく側）に位
置すると、第１〜第３ルーバ１４１が図示左側（乗員方
向）に向くことにより、集中拡散グリル１２０、１３０
から吹き出される空調風が空調ゾーンの乗員の頭胸部に
局所的に吹き出すスポット吹出モードに設定される。こ
のような構造のものにおいても、集中状態で左右方向に
スイングさせるスイング機構を設けることにより、ウォ
ームアップ時に、集中拡散グリル１２０、１３０から吹
き出す空調風が直接乗員に当たる方向にすることで、第
１実施形態と同様な効果を奏することができる。

【０１３５】また、ルーバモータ１４６を上記とは逆回
転方向に作動させることにより、図３０（ｂ）に示した
ように、集中拡散グリル１２０、１３０の外壁面上にお
いて平板プレート１４５が最も車両前方側（乗員より遠
ざかる側）に位置すると、第１ルーバ１４１が図示右側
（乗員を外す方向）に向き、第２ルーバ１４１が図示上
側（中央方向）に向き、第３ルーバ１４１が図示左側
（乗員方向）に向くことにより、集中拡散グリル１２
０、１３０から吹き出される空調風が空調ゾーン内に拡
散的に吹き出すワイド吹出モードに設定される。そし
て、ルーバモータ１４６の正転および逆転を繰り返すこ
とにより、第１〜第３ルーバ１４１が支点を中心にして
スイングする。

【０１３６】〔第５実施形態〕図３１は本発明の第５実
施形態を示したもので、図３１（ａ）は車両のインスト
ルメントパネルを示した図で、図３１（ｂ）は空調ユニ
ットのフェイスダクトを示した図である。

【０１３７】本実施形態では、第１実施形態の空調ダク
ト２内の仕切り板１４を廃止している。そして、前席側
ＦＡＣＥ吹出口として、空調ダクト２の空気下流側端部
に連結されたフェイスダクト１６０の最空気下流側で開
口するワイドフローＦＡＣＥ吹出口１６１が設けられて
いる。ワイドフローＦＡＣＥ吹出口１６１は、インスト
ルメントパネル４０の前面中央で開口する運転席側、助
手席側センタＦＡＣＥ吹出口１６２、１６３と、インス
トルメントパネル４０の車両幅方向両側、すなわち、車
両のサイドウインドウ近傍で開口する運転席側、助手席
側サイドＦＡＣＥ吹出口１６４、１６５と、これらのＦ
ＡＣＥ吹出口の間で開口する運転席側、助手席側ミドル
ＦＡＣＥ吹出口１６６、１６７とから構成されている。
なお、各ＦＡＣＥ吹出口１６２〜１６７には、乗員の手
動操作により空調風の吹出方向を変更するための複数の
ルーバがそれぞれ設けられている。

【０１３８】そして、フェイスダクト１６０には、各Ｆ
ＡＣＥ吹出口１６２〜１６７を開閉するためのＦＡＣＥ
ドア１７１が回動自在に取り付けられており、運転席側
サイド、ミドルＦＡＣＥ吹出口１６４、１６６を開閉す
るための運転席側ミドルＦＡＣＥドア１７２が回動自在
に取り付けられており、助手席側サイド、ミドルＦＡＣ
Ｅ吹出口１６５、１６７を開閉するための助手席側ミド
ルＦＡＣＥドア１７３が回動自在に取り付けられてい
る。なお、運転席側、助手席側ミドルＦＡＣＥドア１７
２、１７３は、本発明の吹出状態可変手段に相当するも
ので、開度に応じて運転席側、助手席側サイドＦＡＣＥ
吹出口１６４、１６５および運転席側、助手席側ミドル
ＦＡＣＥ吹出口１６６、１６７から各空調ゾーン内に吹
き出す空調風の吹出状態（例えばワイド吹出モードとス
ポット吹出モード）を変更する。

【０１３９】本実施形態では、サーボモータ等のアクチ
ュエータによりＦＡＣＥドア１７１を開放側に動かし、
サーボモータ等のアクチュエータにより運転席側、助手
席側ミドルＦＡＣＥドア１７２、１７３を閉塞側に動か
す。それによって、運転席側、助手席側センタＦＡＣＥ
吹出口１６２、１６３および運転席側、助手席側サイド
ＦＡＣＥ吹出口１６４、１６５を開放し、運転席側、助
手席側ミドルＦＡＣＥ吹出口１６６、１６７を閉塞する
ことにより、ワイドフローＦＡＣＥ吹出口１６１の開口
面積を小さくすることで、ワイドフローＦＡＣＥ吹出口
１６１から吹き出される空調風の吹出範囲を小さくして
空調ゾーンの乗員の頭胸部に局所的に空調風を吹き出す
（乗員集中吹出モード、スポット吹出モード）。このよ
うな構造により、ウォームアップ時に、運転席側、助手
席側センタＦＡＣＥ吹出口１６２、１６３および運転席
側、助手席側サイドＦＡＣＥ吹出口１６４、１６５から
吹き出す空調風を前席乗員の頭胸部に当てるようにする
ことで、第１実施形態と同様な効果を奏することができ
る。

【０１４０】また、ＦＡＣＥドア１７１を開放側に動か
し、運転席側、助手席側ミドルＦＡＣＥドア１７２、１
７３を中間位置に動かす。それによって、運転席側、助
手席側センタＦＡＣＥ吹出口１６２、１６３、運転席
側、助手席側サイドＦＡＣＥ吹出口１６４、１６５およ
び運転席側、助手席側ミドルＦＡＣＥ吹出口１６６、１
６７を開放することにより、ワイドフローＦＡＣＥ吹出
口１６１の開口面積を大きくすることで、ワイドフロー
ＦＡＣＥ吹出口１６１から吹き出される空調風の吹出範
囲を大きくして空調ゾーン内に拡散的に空調風を吹き出
す（車室内拡散吹出モード、ワイド吹出モード）。

【０１４１】なお、フェイスダクト１６０内にＦＡＣＥ
ドア１７４、１７５を追加して更に細やかな配風量の変
更制御を行うようにしても良いし、空調ダクト２および
フェイスダクト１６０内に仕切り板を１個または２個以
上入れて、それぞれの空気通路毎に送風機を配置して、
各送風機の送風量を異ならせることで、運転席側、助手
席側空調ゾーンの乗員毎の配風量を変更しても良い。

【０１４２】〔第６実施形態〕図３２は本発明の第６実
施形態を示したもので、図３２は車両用ドラムベンチレ
ータを示した図である。

【０１４３】本実施形態の車両用ドラムベンチレータ
は、自動車のインストルメントパネル２０１内に、空調
ダクトのフェイスダクトに連通する筒形状のケース２０
２が設けられている。このケース２０２は、内部にＦＡ
ＣＥ吹出口２０３を形成する。そして、ケース２０２の
空気下流側端部内には、筒形状の配風用ドラム２０４が
回動自在に設けられている。

【０１４４】この配風用ドラム２０４内には、縦ルーバ
２０５が左右回転自在に支持され、この縦ルーバ２０５
と組み合わせて格子を成すように横ルーバ２０６が設け
られている。また、ケース２０２の空気上流側端部内に
は、ＦＡＣＥ吹出口２０３から吹き出す空調風の吹出風
量を調節するダンパ２０７が回動自在に支持されてい
る。なお、縦ルーバ２０５および横ルーバ２０６は、第
１実施形態と同様にして、図示しないリンク機構を介し
てルーバモータ等のアクチュエータにより揺動運動が与
えられる。ここで、本実施形態の配風用ドラム２０４
は、ケース２０２の前端部に回動自在に取り付けられた
筒形状の第１のドラム２１１と、この第１のドラム２１
１に内蔵された筒形状の第２のドラム２１２とから構成
されている。

【０１４５】本実施形態では、ＦＡＣＥ吹出口２０３か
ら吹き出す空調風の吹出方向を変更する場合には、第２
のドラム２１２の前面開口の向きを変更すれば良い。例
えば、図３２に示したように、ケース２０２、第１のド
ラム２１１および第２のドラム２１２の中心軸を略一致
させると、空調風の吹出方向が斜め上向きとなり、空調
ゾーンの乗員の頭部付近に局所的に吹き出す。また、ケ
ース２０２の中心軸に対して、第１のドラム２１１およ
び第２のドラム２１２を反時計回りに回動させることに
より、空調風の吹出方向が下向きとなり、空調ゾーンの
乗員の頭胸部付近に局所的に吹き出す。

【０１４６】そして、ウォームアップ時に、ＦＡＣＥ吹
出口２０３から吹き出す空調風の吹出方向を、前席乗員
の頭胸部に当たる方向にすることにより第１実施形態と
同様な効果を奏することができる。

【０１４７】〔第７実施形態〕図３３は本発明の第７実
施形態を示したもので、図３３（ａ）、（ｂ）は空気吹
出ルーバを示した図である。

【０１４８】本実施形態の空気吹出ルーバ２２０は、例
えば樹脂材料によって形成された細長い円筒形状で、一
方の端面に断面Ｄ字状の係合穴２２１が設けられ、他方
の端面に嵌合穴２２２が設けられている。そして、空気
吹出ルーバ２２０の回転軸心Ｏと偏心した位置には、空
気吹出ルーバ２２０の軸方向に亘って空気通路２２３が
設けられ、回転軸心Ｏを挟んで空気通路２２３の反対側
の位置には、軸方向に亘って閉鎖部２２４が設けられて
いる。すなわち、閉鎖部２２４は、曲率中心を中心とし
た回転軸心Ｏを通る凸円弧面２２５を有しており、この
凸円弧面２２５と空気吹出ルーバ２２０の外周面の一部
とによって中実に形成され、閉鎖部２２４の中央部に
は、軸方向に亘って中空部２２６が形成されている。

【０１４９】そして、空気吹出ルーバ２２０は、前記曲
率中心を中心とする凹円弧面２２７を有しており、この
凹円弧面２２７と空気吹出ルーバ２２０の外周面の一部
とによってフィン２２８が形成され、凸円弧面２２５と
凹円弧面２２７との間に一定幅の円弧状を成す空気通路
２２３が形成されている。さらに、この空気通路２２３
の幅方向の中間には、円弧状の整流フィン２２９が設け
られている。

【０１５０】上記のような空気吹出ルーバ２２０は、空
気吹出ダクトの最空気下流側で開口した細長い矩形状の
空気吹出口（図示せず）に収納されている。そして、空
気吹出ルーバ２２０の係合穴２２１には、例えばステッ
ピングモータまたはサーボモータ等のモータ２３０の回
転軸２３１に形成された断面Ｄ字形状の係合軸部２３２
が係合している。また、嵌合穴２２２には、空気吹出ダ
クトの側壁に突設された軸受ピン２３３が回転自在に嵌
合されている。したがって、空気吹出ルーバ２２０は、
モータ２３０の回転軸２３１と軸受ピン２３３とによっ
て２点支持され、回転軸心Ｏを中心として、上下方向に
スイング可能に設けられており、空気吹出口から吹き出
される空調風の吹出方向を前席乗員の頭胸部の方向また
は前席乗員を外す方向に変更できるように構成されてい
る。

【０１５１】〔第８実施形態の構成〕図３４ないし図３
８は本発明の第８実施形態を示したもので、図３４はイ
ンストルメントパネルを示した図で、図３５は吹出ダク
ト、支持枠および回転バルブを示した図である。

【０１５２】本実施形態では、自動車のインストルメン
トパネル３０１の内方下部に、車室内を空調するための
空調ユニット３０２が設置されている。また、インスト
ルメントパネル３０１の前面には、断面コの字形状で車
幅方向に細長い直線状の空気吹出口３０３を形成する吹
出ダクト３０４が１個取り付けられている。そして、吹
出ダクト３０４の背面には、空調ユニット３０２からの
空調風を空気吹出口３０３に導く導風ダクト３０５が接
続されている。

【０１５３】そして、吹出ダクト３０４の前面には、ル
ーバ支持枠３０６が取り付けられており、このルーバ支
持枠３０６には、空気吹出口３０３から車室の空調ゾー
ン内に吹き出される空調風の吹出方向を変更するための
縦ルーバ３０７と横ルーバ３０９とが格子状に設けられ
ている。そして、ルーバ支持枠３０６の空気上流側に
は、空気吹出口３０３の開口度合を変更して配風量を可
変する回転バルブ３１０が設けられている。

【０１５４】回転バルブ３１０は、その支軸３１１が吹
出ダクト３０４のスリット３１２に回動自在に支持され
ている。そして、回転バルブ３１０は、その両端に端壁
３１３を有する略半割円筒形状のもので、回転バルブ３
１０の表面形状の空気上流側の一端辺である後端縁３１
４は略直線状に形成され、また、回転バルブ３１０の表
面形状の空気下流側の一端辺である前端縁３１５は、そ
の中央の水平直線部３１６と、この水平直線部３１６の
左右側方に形成された略円弧状の湾曲部３１７とから構
成されている。すなわち、回転バルブ３１０の横断面形
状は、水平直線部３１６では半円形状であり、湾曲部３
１７では左右端に向けて半円形状から略半円形状に徐々
に変化する形状となっている。

【０１５５】また、回転バルブ３１０の支軸３１１の外
端には、回転バルブ３１０を回動して空調風の吹出状態
を調整するための調整ダイヤル３１９が固着されてい
る。なお、回転バルブ３１０の支軸３１１は、第１実施
形態と同様にして、図示しないリンク機構を介してバル
ブモータ等のアクチュエータにより回動運動が与えられ
る。

【０１５６】〔第８実施形態の作用〕次に、本実施形態
の作用を図３４ないし図３７に基づいて簡単に説明す
る。

【０１５７】アクチュエータにより回転バルブ３１０を
スポット吹出モード時の回動位置に駆動すると、空気吹
出口３０３の中央部では、図３６（ａ）に示したよう
に、回転バルブ３１０により完全に閉じられ、また、空
気吹出口３０３の左右端部では、図３６（ｂ）、（ｃ）
に示したように、空気吹出口３０３の左右端に近くなる
に従って、徐々に大きく開かれる。これにより、空調ユ
ニット３０２からの空調風は、空気吹出口３０３の中央
部からは全く吹き出されず、空気吹出口３０３の左右端
に近くなるに従って徐々に多量に吹き出される。その結
果、空気吹出口３０３の左右端部前方においては、空調
ゾーンの乗員の頭胸部に向けて空調風が集中的に多量に
吹き出されるスポット吹出モードが行われる。したがっ
て、空気吹出口３０３から吹き出す空調風の吹出方向
を、前席乗員の頭胸部の方向にすることにより、第１実
施形態と同様な効果を奏することができる。

【０１５８】一方、アクチュエータにより回転バルブ３
１０をワイド吹出モード時の回動位置に駆動すると、空
気吹出口３０３は、図３７（ａ）〜図３７（ｃ）に示し
たように、中央部および左右端部共に略全開となる。こ
れにより、空調ユニット３０２からの空調風は、空気吹
出口３０３の全長に亘って均一に空調ゾーン内に吹き出
されるワイド吹出モードが行われる。

【０１５９】ここで、図３８（ａ）〜図３８（ｅ）は回
転バルブの変形例を示した図である。図３８（ａ）〜図
３８（ｅ）の回転バルブ３１０の各後端縁３１４はいず
れも第８実施形態の後端縁３１４と同じく直線上に形成
されているが、前端縁３２１〜３２５の形状は各々異な
っている。すなわち、図３８（ａ）の回転バルブ３１０
の前端縁３２１は、第８実施形態の前端縁の水平直線部
３１６の中央にＵ字状の凹部３２６を形成したものであ
り、スポット吹出モードの時には、空調風は湾曲部３１
７の部分だけでなく、凹部３２６の部分からも集中的に
吹き出される。

【０１６０】そして、図３８（ｂ）の回転バルブ３１０
の前端縁３２２は、第８実施形態の右の湾曲部３１７の
みを残して、左の湾曲部をなくしたものであり、空調風
は湾曲部３１７のみから集中的に吹き出される。また、
図３８（ｃ）の回転バルブ３１０の前端縁３２３は、回
転バルブ３１０の全長に亘って逆Ｖ字形状に形成され、
空調風の吹出風量は中央部から左右端に向かうに従って
徐々に増加するものとなっている。

【０１６１】そして、図３８（ｄ）の回転バルブ３１０
の前端縁３２４は、図３８（ｃ）の回転バルブ３１０と
逆にＶ字形状に形成され、空調風の吹出風量は左右端か
ら中央部に向かうに従って徐々に増加するものとなって
いる。また、図３８（ｅ）の回転バルブ３１０の前端縁
３２５は、左端から右端に向けて直線状に徐々に高さが
低くなっており、空調風の吹出風量は左端から右端に向
かうに従って徐々に増加するものとなっている。

【０１６２】〔他の実施形態〕本実施形態では、運転席
側、助手席側センタグリル４１、運転席側、助手席側サ
イドグリル４２をインストルメントパネル４０に固定し
たが、各センタ、サイドグリルを左右方向に回動自在に
支持された状態で格納部材に取り付けても良く、各セン
タ、サイドグリルを上下方向に回動自在に支持された状
態で格納部材に取り付けても良い。この場合には、セン
タ、サイドグリル本体を吹出状態可変手段として揺動さ
せるようにしても良い。

【０１６３】本実施形態では、スイングルーバ４３、４
６のような風向可変ルーバまたは風向可変グリル等の吹
出状態可変手段を各ＦＡＣＥ吹出口２１、２２、３１、
３２に設けたが、車室内の車両側面、車室内の中央部
（例えばコンソールボックス付近）または車両の天井部
に設けた吹出口に風向可変ルーバまたは風向可変グリル
等の吹出状態可変手段を設けても良い。

【０１６４】本実施形態では、空調風の吹出方向を直接
前席乗員に当たり難い方向に変更する風向可変（風向調
節）ルーバとして、各ＦＡＣＥ吹出口２１、２２、３
１、３２に左右方向にスイングするスイングルーバ４３
および上下方向にスイングするスイングルーバ４６の両
方を設けたが、上記の風向可変ルーバとして、各ＦＡＣ
Ｅ吹出口２１、２２、３１、３２に水平方向にスイング
するスイングルーバ４３または上下方向にスイングする
スイングルーバ４６のいずれか一方のみを設けても良
い。

【０１６５】本実施形態では、１個のブロワ４を回転さ
せることにより空調ダクト２の各ＦＡＣＥ吹出口２１、
２２、３１、３２から車室内に空調風を吹き出すように
構成したが、２個の送風機を回転させることにより空調
ダクト２の運転席側、助手席側ＦＡＣＥ吹出口から車室
内に空調風を吹き出す配風量を変更可能なように構成し
ても良く、ＦＡＣＥ吹出口の数に対応した個数の送風機
を回転させることにより空調ダクト２の各ＦＡＣＥ吹出
口から車室内に空調風を吹き出す配風量を変更可能なよ
うに構成しても良い。また、各ＦＡＣＥ吹出口毎、また
は一方側、他方側吹出口毎に互いに独立して乗員への配
風量を変えるようにしても良い。

【０１６６】本実施形態では、本発明を運転席側空調ゾ
ーンと助手席側空調ゾーンとの左右の温度調節を互いに
独立して行うことが可能な車両用空調装置に適用した
が、本発明を車室内の前席側空調ゾーンと後席側空調ゾ
ーンとの前後の温度調節を互いに独立して行うことが可
能な車両用空調装置に適用しても良い。また、本発明を
車室内の温度調節を１つの吹出温度可変手段により行う
車両用空調装置に適用しても良い。そして、運転席側セ
ンタＦＡＣＥ吹出口２１と運転席側サイドＦＡＣＥ吹出
口２２との吹出状態変更制御を互いに独立して行うよう
にしても良く、また、助手席側センタＦＡＣＥ吹出口３
１と助手席側サイドＦＡＣＥ吹出口３２との吹出状態変
更制御を互いに独立して行うようにしても良い。

【０１６７】本実施形態では、日射強度検知手段を有す
る日射センサ９３を設けたが、日射強度検知手段、太陽
光の照射方向（日射方向、日射方位角）を検知する日射
方向検知手段（例えばフォトダイオード、太陽電池、サ
ーミスタ等の感温素子）、および太陽光の高度（日射仰
角、日射高度、太陽仰角）を検知する日射高度検知手段
（例えばフォトダイオード、太陽電池、サーミスタ等の
感温素子）を有する日射センサを設けても良い。

【０１６８】なお、少なくとも日射強度検知手段を有す
る日射センサを設けても良い。また、日射方向検出手段
として、カーナビゲーションシステムのマイクロコンピ
ュータにその日時の太陽高度や車両の現在位置に対する
日射方向を記憶させている場合には、そのカーナビゲー
ションシステムの出力信号を日射方向検出信号としてエ
アコンＥＣＵに読み込むようにしても良い。

【０１６９】本実施形態では、車室内の暖房熱負荷とし
て、吹出温度、外気温、空調初期車室内温度、車室内温
度と設定温度の差、車室内温度、皮膚温度、シート温
度、ステアリング温度、日射量、設定温度、ＦＡＣＥ吹
出口からの風量、車速、吹出口モードまたは日射方向を
用いたが、乗員数や目標吹出温度（ＴＡＯ）等も考えら
れ、これらの値を検出するセンサや、温度を設定する温
度設定手段、目標吹出温度を決定する目標吹出温度決定
手段をも暖房熱負荷検出手段として使用できる。

【０１７０】ここで、内気温センサ９１を２個使用し
て、運転席側空調ゾーン内および助手席側空調ゾーン内
にそれぞれ設置しても良い。このように、運転席側空調
ゾーン内の暖房熱負荷および助手席側空調ゾーン内の暖
房熱負荷をそれぞれ独立して検出できるものの場合に
は、運転席側センタ、サイドＦＡＣＥ吹出口２１、２２
の吹出状態変更制御と助手席側センタ、サイドＦＡＣＥ
吹出口３１、３２の吹出状態変更制御とを互いに独立し
て行うようにしても良い。この場合には、各乗員の好み
に合わせた吹出状態変更制御を行うことができる。

【０１７１】本実施形態では、吹出状態可変手段の作動
位置を検出する方法として、ステッピングモータに送る
パルスをカウントする方法や、ポテンショメータを設け
たサーボモータを用いて吹出状態可変手段の作動位置を
検出するようにしているが、ポテンショメータを持たな
いサーボモータにおいて電機子ノイズをカウントするこ
とで、ステッピングモータのように作動角を演算して吹
出状態可変手段の作動位置を検出するようにしても良
い。

【０１７２】本実施形態では、本発明を、空調ユニット
１の空気下流端で開口する各ＦＡＣＥ吹出口２１、２
２、３１、３２から吹き出す空調風の吹出方向、吹出位
置、吹出角度、吹出範囲、揺動範囲または風速を変更す
ることが可能なスイングルーバ等の吹出状態可変装置を
備えた車両用空調装置に適用したが、本発明を、空調ユ
ニット１の吹出口から吹き出す空調風の吹出領域または
吹出風量を変更することが可能な吹出状態可変装置を備
えた車両用空調装置に適用しても良い。

【０１７３】第１実施形態では、数２の式および数３の
式を用いた目標吹出温度ＴＡＯ（Ｄｒ）、ＴＡＯ（Ｐ
ａ）の演算時において、運転席側前席の乗員側と助手席
側前席の乗員側との差に対応した各演算項の補正を外気
温（ＴＡＭ）により行う構成としたが、これに代えて、
数２の式および数３の式における各演算項の補正を、そ
れぞれに対応した目標吹出温度ＴＡＯ（Ｄｒ）、ＴＡＯ
（Ｐａ）の高低に応じて行う構成としても同等の効果が
得られる。

【０１７４】また、吹出口モードは、目標吹出温度ＴＡ
Ｏ（Ｄｒ）、ＴＡＯ（Ｐａ）により決定されるものであ
り、しかも、実際に車室内の空気の流れを考慮した場
合、運転席側前席の乗員側と助手席側前席の乗員側への
吹出温度や各乗員での気流干渉状態が吹出口モード毎に
相違していることも十分考えられるため、数２の式およ
び数３の式における運転席側、助手席側空調ゾーン内の
設定温度Ｔｓｅｔ（Ｄｒ）、Ｔｓｅｔ（Ｐａ）の差に対
応した各演算項の補正を、それぞれに対応した吹出口モ
ードにより行う構成とした場合でも相応の効果が得られ
る。

【０１７５】なお、定常空調時に、前席乗員または後席
乗員の顔面の火照りを防ぐために、吹出温度が３５℃以
上の空調風が各ＦＡＣＥ吹出口２１、２２、３１、３２
から吹き出さないように制御を加えている車両、つまり
各ＦＡＣＥ吹出口２１、２２、３１、３２からの吹出温
度上限規制を行っている車両においては、前席乗員が寒
いと感じている時に前席乗員に快適な暖房感を与えるた
め、その吹出温度上限規制を解除または緩和することが
望ましい。これにより、吹出温度上限規制を行っている
車両においても、ウォームアップ時に、吹出状態変更制
御を実行することによって、暖かい吹出温度の空調風を
各ＦＡＣＥ吹出口２１、２２、３１、３２から吹き出す
ことができるので、本発明の効果を十分に得ることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】車両用空調装置の全体構成を示した構成図であ
る（第１実施形態）。

【図２】車両のインストルメントパネルを示した正面図
である（第１実施形態）。

【図３】エアコン操作パネルを示した正面図である（第
１実施形態）。

【図４】吹出状態可変装置の全体構成を示した概略図で
ある（第１実施形態）。

【図５】（ａ）、（ｂ）はスイングルーバアクチュエー
タの構成を示した概略図である（第１実施形態）。

【図６】エアコンＥＣＵの制御プログラムの一例を示し
たフローチャートである（第１実施形態）。

【図７】目標吹出温度に対するブロワ制御電圧特性を示
した特性図である（第１実施形態）。

【図８】（ａ）は冷房運転開始時のブロワの遅動制御特
性を示した特性図で、（ｂ）は暖房運転開始時のブロワ
の水温遅動制御特性を示した特性図である（第１実施形
態）。

【図９】（ａ）は目標吹出温度に対する吹出口モード特
性を示した特性図で、（ｂ）はエンジン冷却水の水温と
吹出口モードとの関係を示した特性図である（第１実施
形態）。

【図１０】空調風の吹出方向を示した模式図である（第
１実施形態）。

【図１１】ルーバ角度の水温特性の第１例を示した特性
図である（第１実施形態）。

【図１２】ルーバ角度の水温特性の第２例を示した特性
図である（第１実施形態）。

【図１３】ルーバ角度の水温特性の第３例を示した特性
図である（第１実施形態）。

【図１４】（ａ）は各暖房熱負荷に対する一時停止時間
の補正係数を示した特性図で、（ｂ）は各暖房熱負荷に
対する一時停止時間の固定値を示した特性図である（第
１実施形態）。

【図１５】（ａ）は各暖房熱負荷に対する吹出範囲また
は揺動範囲の補正係数を示した特性図で、（ｂ）は各暖
房熱負荷に対する吹出範囲または揺動範囲の固定値を示
した特性図である（第１実施形態）。

【図１６】（ａ）は各暖房熱負荷に対する集中吹出時間
の補正係数を示した特性図で、（ｂ）は各暖房熱負荷に
対する集中吹出時間の固定値を示した特性図である（第
１実施形態）。

【図１７】（ａ）は各暖房熱負荷に対する吹出範囲また
は揺動範囲の補正係数を示した特性図で、（ｂ）は各暖
房熱負荷に対する吹出範囲または揺動範囲の固定値を示
した特性図である（第１実施形態）。

【図１８】（ａ）は各暖房熱負荷に対する一時停止時間
の補正係数を示した特性図で、（ｂ）は各暖房熱負荷に
対する一時停止時間の固定値を示した特性図である（第
１実施形態）。

【図１９】（ａ）は各暖房熱負荷に対する吹出温度また
は水温の第２の所定温度を示した特性図で、（ｂ）は各
暖房熱負荷に対する吹出温度または水温の第２の所定温
度を示した特性図である（第１実施形態）。

【図２０】（ａ）は各暖房熱負荷に対する第２の所定時
間の補正係数を示した特性図で、（ｂ）は各暖房熱負荷
に対する第２の所定時間の固定値を示した特性図である
（第１実施形態）。

【図２１】（ａ）は各暖房熱負荷に対する一時停止時間
の補正係数を示した特性図で、（ｂ）は各暖房熱負荷に
対する一時停止時間の固定値を示した特性図である（第
１実施形態）。

【図２２】（ａ）は各暖房熱負荷に対する吹出温度また
は水温の第１の所定温度を示した特性図で、（ｂ）は各
暖房熱負荷に対する吹出温度または水温の第１の所定温
度を示した特性図である（第１実施形態）。

【図２３】温風が吹き出す方向と前席乗員のシートポジ
ションとの関係を示した特性図である（第１実施形
態）。

【図２４】（ａ）〜（ｊ）はディスプレイ上の表示例を
示した説明図である（第１実施形態）。

【図２５】エアコン操作パネルを示した正面図である
（第２実施形態）。

【図２６】（ａ）、（ｂ）は車室内への空調風の揺動範
囲を示した模式図である（第２実施形態）。

【図２７】車両用空調装置の全体構成を示した構成図で
ある（第３実施形態）。

【図２８】（ａ）、（ｂ）はスイングルーバアクチュエ
ータの構成を示した概略図である（第３実施形態）。

【図２９】スイングルーバアクチュエータの構成を示し
た斜視図である（第４実施形態）。

【図３０】（ａ）は集中拡散グリルからの吹出状態がス
ポット吹出モードの場合を示した説明図で、（ｂ）は集
中拡散グリルからの吹出状態がワイド吹出モードの場合
を示した説明図である（第４実施形態）。

【図３１】（ａ）は車両のインストルメントパネルを示
した正面図で、（ｂ）は空調ユニットのフェイスダクト
を示した概略図である（第５実施形態）。

【図３２】車両用ドラムベンチレータを示した断面図で
ある（第６実施形態）。

【図３３】（ａ）は空気吹出ルーバを示した斜視図で、
（ｂ）は空気吹出ルーバを示した断面図である（第７実
施形態）。

【図３４】インストルメントパネルを示した正面図であ
る（第８実施形態）。

【図３５】吹出ダクト、支持枠および回転バルブを示し
た図である（第８実施形態）。

【図３６】（ａ）〜（ｃ）はスポット吹出モード時の回
転バルブの回動位置を示した断面図である（第８実施形
態）。

【図３７】（ａ）〜（ｃ）はワイド吹出モード時の回転
バルブの回動位置を示した断面図である（第８実施形
態）。

【図３８】（ａ）〜（ｅ）は回転バルブの変形例を示し
た斜視図である（第８実施形態）。

【符号の説明】

１ 空調ユニット ２ 空調ダクト ４ ブロワ（送風機） ９ ブロワモータ １３ 加熱用熱交換器 ２１ 運転席側センタＦＡＣＥ吹出口（車両右側吹出
口） ２２ 運転席側サイドＦＡＣＥ吹出口 ３１ 助手席側センタＦＡＣＥ吹出口（車両左側吹出
口） ３２ 助手席側サイドＦＡＣＥ吹出口 ４３ スイングルーバ（吹出状態可変手段） ４６ スイングルーバ（吹出状態可変手段） ５０ エアコンＥＣＵ（吹出状態制御手段）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神谷 敏文 愛知県刈谷市昭和町１丁目１番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 梶野 祐一 愛知県刈谷市昭和町１丁目１番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 伊藤 裕司 愛知県刈谷市昭和町１丁目１番地 株式会 社デンソー内

Claims (20)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】（ａ）車室内の空調ゾーンに向けて空調風
   を吹き出すための吹出口を有する空調ユニットと、 （ｂ）この空調ユニット内を流れる空気を加熱する加熱
   用熱交換器と、 （ｃ）前記吹出口から吹き出される空調風の吹出方向、
   吹出領域、吹出範囲、吹出角度、揺動範囲、吹出風量ま
   たは風速等の吹出状態を変更する吹出状態可変手段と、 （ｄ）暖房過度期に、 空調風の吹出方向を乗員方向に向けるか、 あるいは空調風の吹出状態を乗員方向への集中吹出にす
   るか、 あるいは暖房定常時に比べて、乗員方向での揺動停止時
   間、またはゆっくり揺動する時間または範囲が多くなる
   か、 あるいは乗員集中吹出時間が長くなるか、 あるいは乗員方向での吹出範囲または揺動範囲が狭くな
   るか、 あるいは乗員方向または乗員の顔の方向への風速が大き
   くなるように、前記吹出状態可変手段を制御する吹出状
   態変更制御を行う吹出状態制御手段とを備えたことを特
   徴とする車両用空調装置。
2. 【請求項２】（ａ）車室内の空調ゾーンに向けて空調風
   を吹き出すための吹出口を有する空調ユニットと、 （ｂ）この空調ユニット内を流れる空気を加熱する加熱
   用熱交換器と、 （ｃ）前記吹出口から吹き出される空調風の吹出方向、
   吹出領域、吹出範囲、吹出角度、揺動範囲、吹出風量ま
   たは風速等の吹出状態を変更する吹出状態可変手段と、 （ｄ）暖房過度期に、 空調風の吹出方向を運転席乗員の手の方向に向けるか、 あるいは空調風の吹出状態を運転席乗員の手の方向への
   集中吹出にするか、 あるいは暖房定常時に比べて、運転席乗員の手の方向で
   の揺動停止時間、またはゆっくり揺動する時間または範
   囲が多くなるか、 あるいは運転席乗員の手の方向での集中吹出時間が長く
   なるか、 あるいは運転席乗員の手の方向での吹出範囲または揺動
   範囲が狭くなるか、 あるいは運転席乗員の手の方向への風速が大きくなるよ
   うに、前記吹出状態可変手段を制御する吹出状態変更制
   御を行う吹出状態制御手段とを備えたことを特徴とする
   車両用空調装置。
3. 【請求項３】（ａ）車室内の空調ゾーンに向けて空調風
   を吹き出すための吹出口を有する空調ユニットと、 （ｂ）この空調ユニット内を流れる空気を加熱する加熱
   用熱交換器と、 （ｃ）前記吹出口から吹き出される空調風の吹出方向、
   吹出領域、吹出範囲、吹出角度、揺動範囲、吹出風量ま
   たは風速等の吹出状態を変更する吹出状態可変手段と、 （ｄ）暖房過度期に、 運転席乗員の手、前席乗員、後席乗員の順に優先的に空
   調するように、前記吹出状態可変手段を制御する吹出状
   態変更制御を行う吹出状態制御手段とを備えたことを特
   徴とする車両用空調装置。
4. 【請求項４】請求項１ないし請求項３のいずれかに記載
   の車両用空調装置において、 前記吹出状態変更制御は、暖房熱負荷が第１の所定条件
   を満足したら開始され、暖房熱負荷が前記第１の所定条
   件よりも小さい第２の所定条件を満足したら終了する
   か、 あるいは水温または吹出温度または車室内温度が第１の
   所定温度に達したら開始され、水温または吹出温度また
   は車室内温度が前記第１の所定温度よりも高い第２の所
   定温度に達したら終了するか、 あるいは水温または吹出温度または車室内温度が第１の
   所定温度に達したら開始され、前記第１の所定温度に達
   してから少なくとも第２の所定時間が経過したら終了す
   ることを特徴とする車両用空調装置。
5. 【請求項５】請求項１ないし請求項３のいずれかに記載
   の車両用空調装置において、 前記吹出状態変更制御は、エンジン始動後から少なくと
   も第１の所定時間が経過したら開始され、前記第１の所
   定時間が経過してから水温または吹出温度または車室内
   温度が第２の所定温度に達したら終了するか、 あるいはエンジン始動後から少なくとも第１の所定時間
   が経過したら開始され、前記第１の所定時間が経過して
   から少なくとも第２の所定時間が経過したら終了するこ
   とを特徴とする車両用空調装置。
6. 【請求項６】請求項４または請求項５に記載の車両用空
   調装置において、 前記吹出状態制御手段は、暖房熱負荷が大きい程、前記
   暖房過度期の吹出状態変更制御を解除する前記第２の所
   定温度を高く設定するか、あるいは前記第２の所定時間
   を長く設定することを特徴とする車両用空調装置。
7. 【請求項７】請求項１ないし請求項６に記載の車両用空
   調装置において、 前記吹出状態制御手段は、空調初期吹出温度または外気
   温または空調初期車室内温度または空調初期水温が低い
   程、あるいはその他空調負荷が大きい程、 乗員方向または運転席乗員の手の方向での揺動停止時間
   またはゆっくり揺動する時間または範囲が多くなるか、 あるいは乗員方向または乗員の顔の方向または運転席乗
   員の手の方向への集中吹出時間が長くなるか、 あるいは乗員方向または乗員の顔の方向または運転席乗
   員の手の方向への吹出範囲または揺動範囲が狭くなる
   か、 あるいは吹出温度または車室内温度の前記第１の所定温
   度を低く設定することを特徴とする車両用空調装置。
8. 【請求項８】請求項４ないし請求項７に記載の車両用空
   調装置において、 前記吹出状態制御手段は、空調風の風量が多い程、 あるいは日射量が多い程、 あるいは日射方向が乗員の顔面に当たる方向である程、 あるいは空調ゾーンの設定温度が低い程、 あるいは皮膚温度またはシート温度またはステアリング
   温度または外気温が高い程、 前記暖房過度期の吹出状態変更制御を解除する前記第２
   の所定温度を低く設定するか、あるいは前記第２の所定
   時間を短く設定することを特徴とする車両用空調装置。
9. 【請求項９】請求項１ないし請求項８のいずれかに記載
   の車両用空調装置において、 前記吹出状態制御手段は、前記暖房過度期の吹出状態変
   更制御を解除した後の空調風の吹出方向を前席乗員を外
   す方向または前記吹出口近傍のウインドウ方向または後
   席乗員方向に向けるか、 あるいは前記暖房過度期の吹出状態変更制御を解除した
   後の空調風の吹出状態を車室内拡散吹出にするように、
   前記吹出状態可変手段を制御することを特徴とする車両
   用空調装置。
10. 【請求項１０】請求項１ないし請求項９のいずれかに記
    載の車両用空調装置において、 前記吹出状態制御手段は、前記吹出口から吹き出す空調
    風が乗員に当たる範囲で揺動するように、前記吹出状態
    可変手段を制御することを特徴とする車両用空調装置。
11. 【請求項１１】請求項１ないし請求項１０のいずれかに
    記載の車両用空調装置において、 前記吹出口は、前席乗員の上半身または後席乗員の上半
    身に向けて空調風を吹き出すためのフェイス吹出口を有
    し、 前記吹出状態制御手段は、少なくとも暖房過度期に、前
    記フェイス吹出口から吹き出される空調風の吹出温度上
    限規制を解除するまたは緩和することを特徴とする車両
    用空調装置。
12. 【請求項１２】請求項４ないし請求項８のいずれかに記
    載の車両用空調装置において、 前記吹出状態制御手段は、前記暖房過度期の吹出状態変
    更制御を解除する前記第２の所定条件を満足した時に、
    定常暖房時の吹出状態変更制御への吹出状態変更を徐々
    に行うことを特徴とする車両用空調装置。
13. 【請求項１３】請求項４ないし請求項８のいずれかに記
    載の車両用空調装置において、 前記吹出状態制御手段は、前記暖房過度期の吹出状態変
    更制御を解除する前記第２の所定温度に達した時または
    前記暖房過度期の吹出状態変更制御を解除する前記第２
    の所定時間が経過した時に、時間経過と共に、 空調風の吹出方向が乗員から外す方向になるか、 あるいは空調風の吹出状態が車室内拡散吹出になるか、 あるいは乗員方向での揺動停止時間またはゆっくり揺動
    する時間または範囲が少なくなるか、 あるいは乗員集中吹出時間が短くなるか、 あるいは空調風の吹出範囲または揺動範囲が広くなる
    か、 あるいは乗員方向への風速が下がるように、前記吹出状
    態可変手段を制御することを特徴とする車両用空調装
    置。
14. 【請求項１４】請求項４ないし請求項８のいずれかに記
    載の車両用空調装置において、 前記吹出口は、乗員の上半身に向けて空調風を吹き出す
    ためのフェイス吹出口、および乗員の下半身に向けて空
    調風を吹き出すためのフット吹出口を有し、 前記吹出状態制御手段は、前記暖房過度期の吹出状態変
    更制御を開始する以前は前記フェイス吹出口を閉塞し、
    前記フット吹出口を開放する吹出口モードを選択し、且
    つ前記暖房過度期の吹出状態変更制御を開始した以降は
    前記フェイス吹出口を開放する吹出口モードを選択する
    と共に、 前記暖房過度期の吹出状態変更制御を開始する前記第１
    の所定条件を満足した時の吹出状態変更制御への吹出状
    態変更を徐々に行うことを特徴とする車両用空調装置。
15. 【請求項１５】請求項１ないし請求項１４のいずれかに
    記載の車両用空調装置において、 前記吹出口は、前席乗員の上半身または後席乗員の上半
    身に向けて空調風を吹き出すためのフェイス吹出口であ
    り、 前記吹出状態制御手段は、前記暖房過度期の吹出状態変
    更制御を行っている時に、その旨を乗員に知らせるよう
    に表示する表示手段を有することを特徴とする車両用空
    調装置。
16. 【請求項１６】請求項１ないし請求項１５のいずれかに
    記載の車両用空調装置において、 前記暖房過度期の吹出状態変更制御は、少なくとも１つ
    以上の空調ゾーン毎に互いに独立に行えることを特徴と
    する車両用空調装置。
17. 【請求項１７】請求項１６に記載の車両用空調装置にお
    いて、 前記吹出口は、車室内の右側の空調ゾーンに向けて空調
    風を吹き出す車両右側吹出口、および車室内の左側の空
    調ゾーンに向けて空調風を吹き出す車両左側吹出口を有
    し、 前記吹出状態可変手段は、前記車両右側吹出口および前
    記車両左側吹出口にそれぞれ設けられていることを特徴
    とする車両用空調装置。
18. 【請求項１８】請求項１ないし請求項１７のいずれかに
    記載の車両用空調装置において、 前記暖房過度期の吹出状態変更制御は、少なくとも１つ
    以上の吹出状態可変手段毎に互いに独立に行えることを
    特徴とする車両用空調装置。
19. 【請求項１９】請求項１８に記載の車両用空調装置にお
    いて、 前記吹出口は、車室内の前面中央部から空調ゾーンの乗
    員の上半身に向けて空調風を吹き出すセンタフェイス吹
    出口、および車室内の前面側方部から前記空調ゾーンの
    乗員の上半身またはサイドウインドウに向けて空調風を
    吹き出すサイドフェイス吹出口を有し、 前記吹出状態可変手段は、前記センタフェイス吹出口お
    よび前記サイドフェイス吹出口にそれぞれ設けられてい
    ることを特徴とする車両用空調装置。
20. 【請求項２０】請求項１ないし請求項１９のいずれかに
    記載の車両用空調装置において、 前記吹出状態制御手段は、前記吹出口から吹き出される
    空調風が乗員の手または乗員に当たる吹出方向、吹出位
    置、吹出角度、吹出範囲または揺動範囲を、ステアリン
    グの形状または位置、シートポジション、乗員個人差、
    姿勢、乗員の手の位置のうち１つ以上で補正することを
    特徴とする車両用空調装置。