JP4110494B2 - 2−(ω−アルコキシカルボニルアルカノイル)−4−ブタノリッドのアルカリ金属塩およびその誘導体とジカルボン酸エステルとの分離精製法 - Google Patents
2−(ω−アルコキシカルボニルアルカノイル)−4−ブタノリッドのアルカリ金属塩およびその誘導体とジカルボン酸エステルとの分離精製法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、2−(ω−アルコキシカルボニルアルカノイル)−4−ブタノリッドのアルカリ金属塩およびその誘導体と未反応のジカルボン酸エステルの分離精製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ω−ヒドロキシ脂肪酸は各種合成原料および中間体として有用であり、特に香料工業分野において、シクロペンタデカノリッドおよびシクロヘキサデカノリッドなどの大環状ラクトン系香料の製造における中間体として有用である。
【0003】
ω−ヒドロキシ脂肪酸の合成法としては、一般式ROOC(CH2 )nCOOR(ただし、n=7〜13、Rはアルキル基またはアルケニル基)で示されるジカルボン酸エステルとγ−ブチロラクトンとを出発原料とする方法が、国際公開特許番号WO97−06156号公報に記載されている。
【0004】
この方法においては、原料の上記一般式で示されるジカルボン酸エステル基準の選択率を上げることを目的として、ジカルボン酸エステルをγ−ブチロラクトンの仕込み量に対して2倍モル以上の過剰量使用し、これを次の反応に再利用するため反応混合物から未反応のジカルボン酸エステルを回収するものであるが、この反応において、未反応のジカルボン酸エステルと2−(ω−アルコキシカルボニルアルカノイル)−4−ブタノリッドとの分離には、縮合反応液を一旦酸性化し、酢酸エチルなどの溶媒を用いて抽出した後、洗浄および溶媒回収後、得られた反応混合物を単蒸留することで、留出部に未反応ジカルボン酸エステルと蒸留残部に縮合物である2−(ω−アルコキシカルボニルアルカノイル)−4−ブタノリッドとに分ける方法が用いられている。
【0005】
しかしながら、この方法は抽出操作や単蒸留という多くの工数を有する煩雑な工程を必要とする上に、蒸留時に2−(ω−アルコキシカルボニルアルカノイル)−4−ブタノリッドが分解されるという問題点をかかえており、また、次の工程でアルカリ加水分解・脱炭酸反応、またWolff-Kishner 還元を行なう際に、一旦酸性化して得られた2−(ω−アルコキシカルボニルアルカノイル)−4−ブタノリッドに、再度アルカリを添加するという繁雑な工程を必要とする。
【0006】
本発明者等は上記課題に鑑み、塩基の存在下に、γ−ブチロラクトンと過剰量のジカルボン酸エステルとから調製される縮合反応液から、反応生成物と未反応ジカルボン酸エステルとを分離するに際し、不活性な溶媒と水またはアルカリ水溶液を用いて抽出したり、あるいは不活性な溶媒を用いて固液分離することで、縮合反応物の2−(ω−アルコキシカルボニルアルカノイル)−4−ブタノリッドのアルカリ金属塩およびその誘導体と未反応エステルとを効率的に分離精製する方法を見出し、本発明に到達した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ジカルボン酸エステルとγ−ブチロラクトンとの反応によって得られた縮合反応液から、工業的に有利に、2−(ω−アルコキシカルボニルアルカノイル)−4−ブタノリッドのアルカリ金属塩およびその誘導体と未反応エステルとに簡便にしてかつ高い収率で分離精製する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の2−(ω−アルコキシカルボニルアルカノイル)−4−ブタノリッドのアルカリ金属塩とジカルボン酸エステルとの分離精製法は、γ−ブチロラクトンと一般式(1)ROOC(CH2 )nCOOR(ただし、n=7〜13、RはC数1〜6のアルキル基)で示されるジカルボン酸エステルとの縮合反応液から、一般式(2)
【0009】
【化6】
(ただし、n=7〜13、RはC数1〜6のアルキル基、Mはアルカリ金属)で示される2−(ω−アルコキシカルボニルアルカノイル)−4−ブタノリッドのアルカリ金属塩と未反応ジカルボン酸エステルとを分離するに際し、2−(ω−アルコキシカルボニルアルカノイル)−4−ブタノリッドのアルカリ金属塩に不活性な溶媒であるヘキサンまたはシクロヘキサンを用いて固液分離することを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の別の方法である2−(ω−アルコキシカルボニルアルカノイル)−4−ブタノリッドのアルカリ金属塩およびその誘導体とジカルボン酸エステルとの分離精製法は、γ−ブチロラクトンと一般式(1)ROOC(CH2 )nCOOR(ただし、n=7〜13、RはC数1〜6のアルキル基)で示されるジカルボン酸エステルとの縮合反応液から、一般式(2)
【0011】
【化7】
(ただし、n=7〜13、RはC数1〜6のアルキル基、Mはアルカリ金属)で示される2−(ω−アルコキシカルボニルアルカノイル)−4−ブタノリッドのアルカリ金属塩、およびその誘導体である一般式(3)
【0012】
【化8】
(ただし、n=7〜13、Mはアルカリ金属)で示されるω−ヒドロキシ−(ω−2)−カルボキシ−(ω−3)−ケト脂肪酸のアルカリ金属塩、および一般式(4)
【0013】
【化9】
(ただし、n=7〜13、Mはアルカリ金属)で示されるω−ヒドロキシ−(ω−3)−ケト脂肪酸のアルカリ金属塩、ならびに一般式(9)
【0014】
【化10】
(式中、nは7〜13、Rはアルキル基、Mはアルカリ金属)で示されるω−ヒドロキシ−(ω−2)−カルボキシ−(ω−3)−ケト脂肪酸エステルのアルカリ金属塩と、未反応ジカルボン酸エステルとを分離するに際し、水またはアルカリ水溶液を用いて抽出することを特徴とするもので、本発明の抽出工程では、前記一般式(2)、(3)、(4)、(9)で示される化合物に不活性な溶媒であるヘキサンまたはシクロヘキサンと該水またはアルカリ水溶液を併用することもできる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の一般式(1)で示されるジカルボン酸エステルとγ−ブチロラクトンの縮合反応は、以下に示すような反応である。
【0016】
すなわち、生成反応物である一般式(5)
【0017】
【化11】
(ただし、n=7〜13、RはC数1〜6のアルキル基)で示される2−(ω−アルコキシカルボニルアルカノイル)−4−ブタノリッドは、β−ケトエステルタイプの化合物で、この反応液中には通常前記一般式(2)のようなアルカリ塩の状態で存在する。この一般式(2)で示される塩は、n−ヘキサンなどの有機溶媒に対して極めて溶解度が低いことが判明した。
また、この塩を水またはアルカリ水溶液中に投入すると容易に溶解し、速やかにγ−ブチロラクトン部が加水分解し一般式(9)のω−ヒドロキシ−(ω−2)−カルボキシ−(ω−3)−ケト脂肪酸エステルのアルカリ金属塩を生じ、アルカリ金属水酸化物の添加量によっては末端エステル部も加水分解されて一般式(3)のようなジカルボン酸のアルカリ金属塩を生じる。また、さらにアルカリ金属水酸化物の添加量によっては一部が脱炭酸反応をして一般式(4)のようなアルカリ金属塩となることが判明した。
【0018】
一方、本発明の縮合反応において使用される過剰量の一般式(1)で示されるジカルボン酸エステルは、反応液中にそのまま未反応の形で残存する。この化合物は、n−ヘキサンなどの有機溶媒に対して極めてよく溶解する。
【0019】
そこで本発明者らは、2−(ω−アルコキシカルボニルアルカノイル)−4−ブタノリッドのアルカリ金属塩の有機溶媒や水に対する溶解性に着目して鋭意研究した結果、2−(ω−アルコキシカルボニルアルカノイル)−4−ブタノリッドのアルカリ金属塩およびその誘導体と未反応ジカルボン酸エステルとを簡便にしてそしてまた高い収率でそれぞれ分離して取得する精製方法を見出し、本発明を完成した。
【0020】
まず一つめの方法は、一般式(2)で示される塩と一般式(1)で示される未反応ジカルボン酸エステルとを濾過等の固液分離により分別する方法である(以下、固液分離法と称す)。
【0021】
すなわち、未反応ジカルボン酸エステルは溶解するが、アルカリや2−(ω−アルコキシカルボニルアルカノイル)−4−ブタノリッドのアルカリ金属塩に不活性な有機溶媒であるヘキサンまたはシクロヘキサンを縮合反応液に添加して、未反応ジカルボン酸エステルを十分に溶解し、塩との懸濁液とする。この懸濁液を濾過や遠心分離のようにそれ自体は公知の方法によって、溶液部分と固体部分とに分離する。固体部分は溶媒により十分に洗浄を行ない、未反応ジカルボン酸エステルを除く。溶液部分と洗浄液は混合して濃縮した後、次の縮合反応にそのまま循環再使用する。
【0022】
一方、固体部分はそのまま使用しても、酸性化して2−(ω−アルコキシカルボニルアルカノイル)−4−ブタノリッドとしても使用できる。また、アルカリ水溶液に投入して加水分解・脱炭酸反応に使用することもできる。
【0023】
また、本発明の別の方法は、2−(ω−アルコキシカルボニルアルカノイル)−4−ブタノリッドのアルカリ金属塩およびその誘導体を水層に、また未反応ジカルボン酸エステルを有機層にそれぞれ分離する方法である(以下、アルカリ抽出法と称す)。
【0024】
すなわち、縮合反応液に水またはアルカリ水溶液を添加して、2−(ω−アルコキシカルボニルアルカノイル)−4−ブタノリッドのアルカリ金属塩を溶解させ、この混合液を分液により分離し、未反応ジカルボン酸エステルを有機層として回収し、水洗した後に次の縮合反応に循環再使用する。
【0025】
一方、水層には、一般式(2)のアルカリ金属塩、一般式(9)のアルカリ金属塩、またアルカリ金属水酸化物の添加量によっては一般式(3)のアルカリ金属塩、さらにアルカリ金属水酸化物の添加量によっては一部が脱炭酸反応した一般式(4)のアルカリ金属塩が抽出される。このことは、上記操作により得られた水層を酸性化した後、抽出して得られた結晶物の組成を調べることにより明らかとなった。この結晶物には、一般式(5)
【0026】
【化12】
(ただし、n=7〜13、RはC数1〜6のアルキル基)で示される2−(ω−アルコキシカルボニルアルカノイル)−4−ブタノリッド、および一般式(6)
【0027】
【化13】
(ただし、n=7〜13)で示される2−(ω−カルボキシアルカノイル)−4−ブタノリッド、および一般式(7)
【0028】
【化14】
(ただし、n=7〜13)で示されるω−ヒドロキシ−(ω−3)−ケト脂肪酸が主成分として含まれることが分かった。
【0029】
本発明においては、結晶物中に一般式(5)の2−(ω−アルコキシカルボニルアルカノイル)−4−ブタノリッド、および一般式(6)の2−(ω−カルボキシアルカノイル)−4−ブタノリッドが含まれることに関して、以下のように考えられる。すなわち、一般式(2)で示されるアルカリ金属塩をアルカリ水溶液中に溶解すると、γ−ブチロラクトン部が速やかに加水分解されて、一般式(9)で示される化合物が生成すると推測される。
【0030】
これを酸性化すると、一般式(10)
【0031】
【化15】
(nは7〜13)のような化合物が生成するが、このものは容易に脱水してラクトン環を形成するため、一般式(5)の化合物が得られる。また、アルカリの添加量によっては、一般式(9)の末端エステル部も加水分解されて一般式(3)のジカルボン酸のアルカリ金属塩を生じると推測される。
【0032】
また、この一般式(3)の化合物を酸性化すると、一般式(8)
【0033】
【化16】
のようなジカルボン酸が生成するが、このものは容易に脱水してラクトン環を形成するため、一般式(6)の2−(ω−カルボキシアルカノイル)−4−ブタノリッドが得られる。また、一般式(7)で示されるω−ヒドロキシ−(ω−3)−ケト脂肪酸の生成は、アルカリ金属水酸化物を加水分解の必要量以上に用いることにより、β−ケト酸の脱炭酸反応が起こることによる。
【0034】
このようにして得られた水層は、次工程の加水分解および脱炭酸反応にそのまま利用することができる。
【0035】
本発明において使用される溶媒は、アルカリや2−(ω−アルコキシカルボニルアルカノイル)−4−ブタノリッドの塩に不活性なヘキサンとシクロヘキサンである。
【0036】
また、アルカリ抽出法においては溶媒を用いなくても実施可能であるが、用いた方が好ましい。溶媒の使用量は縮合反応液に対して好ましくは0〜10重量倍、より好ましくは0.5〜5倍である。溶媒への溶解温度およびアルカリ抽出時の温度は、有機層が固化しない温度であれば特に限定はないが、通常0℃〜100℃の範囲、好ましくは20〜50℃の範囲である。
【0037】
本発明において、アルカリ抽出法で用いられるアルカリ性塩基としては、2−(ω−アルコキシカルボニルアルカノイル)−4−ブタノリッド、そのアルカリ金属塩および誘導体を抽出できるものであれば特に限定されないが、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属水酸化物などが使用できる。
【0038】
アルカリ溶液の濃度については特に限定はないが、好ましくは0.5〜50%の範囲、より好ましくは1〜15%の範囲である。また、使用量についても限定はないが、縮合反応液に対して好ましくは0.1〜10重量倍、より好ましくは0.5〜2倍である。また、本発明の精製形式はバッチ式、連続式のいずれでも行なうことができる。
【0039】
次に、本発明を実施例により詳細に説明する。もっとも、下記実施例は例示のために示すものであって、いかなる意味においても限定的に解釈してはならない。
【0040】
【実施例】
(実施例1)(固液分離法)
1,12−ドデカン二酸ジメチルエステル(105.00g、406.4mmol)とγ−ブチロラクトン(8.75g、101.6mmol)と28重量%ナトリウムメトキサイド−メタノール溶液(19.60g、101.6mmol)とから調製した縮合反応液116.2g(一部分を酸性化し定量した結果、縮合物25.71g、未反応エステル80.70gを含むことを確認)を、50℃で加熱撹拌した。これにn−ヘキサン565gを添加して20℃まで冷却しながら撹拌すると、薄い黄色をした沈殿物と透明な上澄み液との懸濁液となった。これを加圧濾過器により沈殿物と上澄み液とに分離した。ケークはn−ヘキサンで十分に洗浄した。
【0041】
濾液と洗浄液を混合し、n−ヘキサンを留去したところ、濃縮物80.94gが得られた。濃縮物をガスクロマトグラフィーを用いて定量分析したところ、一般式(1)の化合物(n=10、R=Me)が99.2%で含まれることが分かった。これの回収率99.5%であった。
【0042】
さらに得られたケーク35.35gのうち、1.00gを酸性化した後、酢酸エチルで抽出した。有機層は水洗した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し溶媒を留去したところ、0.92gの結晶が得られた。この結晶をガスクロマトグラフィーで定量分析したところ、一般式(5)の化合物(n=10、R=Me)0.73g、一般式(1)の化合物(n=10、R=Me)0.01gが含まれることが分かった。一般式(5)の化合物の回収率は100重量%、一般式(1)のジカルボン酸エステルの残存率は0.4重量%であった。
【0043】
(実施例2)(アルカリ抽出法)
1,12−ドデカン二酸ジメチルエステル(64.73g、207.2mmol)とγ−ブチロラクトン(4.46g、51.8mmol)と28重量%ナトリウムメトキサイド−メタノール溶液(9.99g、51.8mmol)とから調製した縮合反応液(一部分を酸性化し定量した結果、縮合物12.25g、未反応エステル42.61gを含むことを確認)を、50℃で加熱撹拌した。これにn−ヘキサン50.0gを添加して2分間撹拌した。これに、水50.0g添加して、そのまま30分間撹拌した。有機層は水洗し、濃縮したところ、一般式(1)の化合物(n=10、R=Me)を94.1%の濃度で含む結晶物を44.31g得た。回収率は97.9%であった。
【0044】
さらに、水層を直ちに希硫酸中に投下して酸性化後、酢酸エチルで抽出し水洗した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去して結晶を得た。この結晶をガスクロマトグラフィーで定量分析したところ、一般式(5)の化合物(n=10、R=Me)を71%の濃度で含む結晶物を13.11g得た。回収率は78.2%であった。
【0045】
(実施例3)(アルカリ抽出法)
1,12−ドデカン二酸ジメチルエステル(105.00g、406.4mmol)とγ−ブチロラクトン(8.75g、101.6mmol)と28重量%ナトリウムメトキサイド−メタノール溶液(19.60g、101.6mmol)とから調製した縮合反応液(一部分を酸性化し定量した結果、縮合物25.49g、未反応エステル80.82gを含むことを確認)を、50℃で加熱撹拌した。これにn−ヘキサン104.4gを添加して2分間撹拌した。これに5%−KOH水溶液を107.5g添加して、そのまま120分間撹拌した。5分間静置した後、分液して有機層と水層とに分けた。有機層は水洗し、濃縮したところ、一般式(1)の化合物(n=10、R=Me)を98.8%の濃度(定量値)で含む結晶物を80.9gを得た。回収率は98.9%であった。
【0046】
さらに水層を直ちに希硫酸中に投入して酸性化後、酢酸エチルで抽出し、水洗した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去して結晶を得た。この結晶をガスクロマトグラフィーで定量分析したところ、一般式(7)の化合物(n=10)を23.1%含んでいることが判明した。また1.00gの結晶をシリカゲルクロマトグラフィーにより分割して得た無色結晶0.61gをIR、NMRにより解析したところ、一般式(6)の化合物(n=10)であることが分かった。
【0047】
(実施例4)(アルカリ抽出法)
1,12−ドデカン二酸ジメチルエステル(105.00g、406.4mmol)とγ−ブチロラクトン(8.75g、101.6mmol)と28重量%ナトリウムメトキサイド−メタノール溶液(19.60g、101.6mmol)とから調製した縮合反応液(一部分を酸性化し定量した結果、縮合物25.58g、未反応エステル80.56gを含むことを確認)を、50℃で加熱撹拌した。これにシクロヘキサン139.7gを添加して2分間撹拌した。これに5%−KOH水溶液を143.9g添加して、そのまま10分間撹拌した。5分間静置した後、分液して有機層と水層とに分けた。有機層は水洗し、濃縮したところ、一般式(1)の化合物(n=10、R=Me)を98.9%の濃度(定量値)で含む結晶物を81.62gを得た。回収率は100.0%であった。
【0048】
(参考例1)
実施例3で得られた水層に49%−KOH水溶液23.3gを添加した後、2時間環流した。次に、希硫酸で酸性化した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗して無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去して結晶クルード27.50gを得た。これをガスクロマトグラフィーにより定量分析した結果、80.2重量%の一般式(7)の化合物(n=10)が含まれることが分かった。縮合反応液中の一般式(5)の化合物(n=10、R=Me)からの収率は99.0%であった。
【0049】
(比較例1)
1,12−ドデカン二酸ジメチルエステル(105.00g、406.4mmol)とγ−ブチロラクトン(8.75g、101.6mmol)と28重量%ナトリウムメトキサイド−メタノール溶液(19.60g、101.6mmol)とから調製した縮合反応液(一部分を酸性化し定量した結果、縮合物25.68g、未反応エステル80.67gを含むことを確認)を、希塩酸中の注ぎ酢酸エチルで抽出した。有機層は水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去して得られた油状残渣を減圧蒸留(油浴温度170〜180℃/0.5〜0.2mmHg)して過剰の1,12−ドデカン二酸ジメチルエステルを留去し、留分802gと蒸留残31.55gを得た。留分をガスクロマトグラフィーを用いて定量分析したところ、一般式(1)の化合物(n=10、R=Me)を98.3%で含むことが分かった。回収率は98%であった。
【0050】
また、蒸留残2.00gを酸性化した後、酢酸エチルで抽出した。有機層は水洗した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去し、1.88gの結晶が得られた。この結晶をガスクロマトグラフィーで定量分析したところ、一般式(5)の化合物(n=10、R=Me)を84.0重量%の濃度で含むことが分かった。精製収率は97.00%であった。
【0051】
次に、蒸留残2.00gと水酸化ナトリウム(1.75g、13.7mmol)と水40gとメタノール20gを混ぜ、4時間加熱環流した。冷却して酸性化した後、酢酸エチルで抽出した。有機層は水洗後に、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去して、結晶クルード1.57gを得た。これをガスクロマトグラフィーにより定量分析した結果86.6重量%の一般式(7)の化合物(n=10)が含まれることが分かった。収率は95mol%(対一般式(5)の化合物)であった。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、ジカルボン酸エステルとγ−ブチロラクトンとの反応によって得られた縮合反応液から、工業的に有利に、2−(ω−アルコキシカルボニルアルカノイル)−4−ブタノリッドのアルカリ金属塩およびその誘導体と未反応エステルとに簡便にまた高い収率で分離精製することができる。
Claims (3)
- γ−ブチロラクトンと一般式(1)ROOC(CH2)nCOOR(ただし、n=7〜13、RはC数1〜6のアルキル基)で示されるジカルボン酸エステルとの縮合反応液から、一般式(2)
- γ−ブチロラクトンと一般式(1)ROOC(CH2)nCOOR(ただし、n=7〜13、RはC数1〜6のアルキル基)で示されるジカルボン酸エステルとの縮合反応液から、一般式(2)
- 前記一般式(2)、(3)、(4)、(9)で示される化合物に不活性な溶媒であるヘキサンまたはシクロヘキサンと水またはアルカリ水溶液を併用して抽出することを特徴とする請求項2記載の2−(ω−アルコキシカルボニルアルカノイル)−4−ブタノリッドのアルカリ金属塩およびその誘導体とジカルボン酸エステルとの分離精製法。
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- 1998-07-27 JP JP21068498A patent/JP4110494B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH1192472A (ja) | 1999-04-06 |
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