JP2864491B2 - 光学活性2−ノルボルナノンの製造方法 - Google Patents

光学活性2−ノルボルナノンの製造方法

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JP2864491B2 JP23577593A JP23577593A JP2864491B2 JP 2864491 B2 JP2864491 B2 JP 2864491B2 JP 23577593 A JP23577593 A JP 23577593A JP 23577593 A JP23577593 A JP 23577593A JP 2864491 B2 JP2864491 B2 JP 2864491B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、種々の光学活性物質の
合成原料として有用な光学活性2−ノルボルナノンの製
造方法に関する。また、本発明は、光学活性2−ノルボ
ルナノンの合成中間体である光学活性2−ヒドロキシノ
ルボルネン−2−カルボン酸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】血液凝固剤として有用なトロンボキサン
A2受容体アンタゴニストが、光学活性3−アリル−2
−ノルボルナノンから合成できることが報告されている
(Narisada et al.,J.Med.Ch
em.,31,1847(1988)。
【0003】ここで、光学活性3−アリル−2−ノルボ
ルナノンは、通常、光学活性2−ノルボルナノンのカル
ボニル基のα位をアリル化することにより製造されてお
り、従って、トロンボキサンA2受容体アンタゴニスト
を製造するに際しては、光学活性2−ノルボルナノンを
入手することが必要となる。
【0004】従来、光学活性2−ノルボルナノンを製造
する方法として以下に示す3種類の方法が提案されてい
る。
【0005】即ち、第1の方法は、endo又はexo
−2−ノルボルナノールのラセミ体をフタル酸と反応さ
せてフタル酸のハーフエステルとし、ジアステレオマー
法により光学分割を行ない、分割した生成物を加水分解
し、更に酸化して光学活性2−ノルボルナノンを得るも
のである(Winstein et al.,J.A
m.Chem.Soc.,74,1147(195
2))。
【0006】第2の方法は、exo−2−ノルボルナノ
ール又は2−ノルボルナノンのラセミ体を、ウマ肝臓ア
ルコールデヒドロゲナーゼによりそれぞれ不斉酸化又は
不斉還元して光学活性2−ノルボルナノンを得るもので
ある(Irwin et al.,J.Am.Che
m.Soc.,98,8476(1976))。
【0007】第3の方法は、光学活性なアクリル酸エス
テルとシクロペンタジエンとをディールスアルダー反応
させて光学活性ノルボルネン−2−カルボン酸エステル
を得、得られたエステルを加水分解し、得られた光学活
性ノルボルネン−2−カルボン酸に接触水素添加反応を
行って光学活性ノルボルナン−2−カルボン酸を得、更
に、それを酸化して光学活性2−ヒドロキシノルボルナ
ン−2−カルボン酸に変換し、最後に酸化的脱炭酸反応
を行うことにより光学活性2−ノルボルナノンを得るも
のである(特開平5−51345号公報)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
第1の方法の場合には、得られる光学活性2−ノルボル
ナノンの光学純度が十分でなく、その光学純度を向上さ
せるためには、再結晶などの繁雑な精製操作を繰り返し
行う必要がある。その結果、光学活性2−ノルボルナノ
ンの収率が低下し、その逆に製造コストが増大し、工業
的に実施するには問題があった。
【0009】また、第2の方法の場合には、使用するウ
マ肝臓アルコールデヒドロゲナーゼが非常に高価であ
り、また不斉収率も十分でなく、やはり工業的に実施す
るには問題があった。
【0010】第3の方法の場合には、光学活性2−ヒド
ロキシノルボルナン−2−カルボン酸を得るために、光
学活性ノルボルナン−2−カルボン酸を酸化している
が、その酸化反応において重金属塩である過マンガン酸
カリウムを使用しており、環境に悪影響を与える可能性
が大きく、やはり工業的に実施するには問題があった。
【0011】本発明は、上述したような従来技術の課題
を解決しようとするものであり、血液凝固剤として有用
なトロンボキサンA2受容体アンタゴニストをはじめと
する、種々の生理活性物質の合成原料として有用な光学
活性2−ノルボルナノンを工業的に簡便に製造できるよ
うにすることを目的とする。
【0012】また、本発明は、光学活性2−ノルボルナ
ノンの合成原料である光学活性2−ヒドロキシノルボル
ネン−2−カルボン酸を工業的に簡便に製造できるよう
にすることを別の目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、入手容易
な光学活性ジオキソラン−4−オン誘導体をシクロペン
タジエンとディールスアルダー反応させ、得られた生成
物に対して加水分解反応を行うことにより光学活性2−
ヒドロキシノルボルネン−2−カルボン酸が簡便に得ら
れること、そしてこの反応をキー反応として利用するこ
とにより上述の本発明の目的が達成できることを見出
し、本発明を完成させるに至った。
【0014】即ち、本発明は、スキーム1
【0015】
【化9】 (スキーム1における化合物中、Rは、メチル、エチ
ル、tert−ブチル、シクロヘキシル、ベンジルなど
の置換もしくは未置換のアルキル基、又はフェニル、ト
ルイル、ナフチル、フラニルなどの置換もしくは未置換
のアリール基であり、*は不斉炭素を示す)に示される
ように、式(1a)又は(1b)で表わされる光学活性
2−ノルボルナノンを製造する方法において:式(2)
で表わされる光学活性ジオキソラン−4−オン誘導体を
シクロペンタジエンと反応させて式(3a)又は(3
b)で表わされる化合物を形成する工程a;式(3a)
又は(3b)の化合物を加水分解して式(4a)又は
(4b)で表わされる光学活性2−ヒドロキシノルボル
ネン2−カルボン酸に変換する工程b;式(4a)又は
(4b)の化合物に接触水素添加反応を施すことにより
式(5a)又は(5b)で表わされる化合物を形成する
工程c;及び式(5a)又は(5b)で得られた化合物
を酸化的に脱炭酸することにより式(1a)又は(1
b)の光学活性2−ノルボルナノンを形成する工程dを
含んでなることを特徴とする製造方法を提供する。
【0016】また、本発明は、光学活性2−ノルボルナ
ノンの合成中間体である式(4a)又は(4b)で表わ
される光学活性2−ヒドロキシノルボルネン−2−カル
ボン酸を製造する方法において:式(2)で表わされる
光学活性ジオキソラン−4−オン誘導体をシクロペンタ
ジエンと反応させて式(3a)又は(3b)で表わされ
る化合物を形成する工程a;及び式(3a)又は(3
b)の化合物を加水分解して式(4a)又は(4b)の
光学活性2−ヒドロキシ−ノルボルネン−2−カルボン
酸を形成する工程bを含んでなることを特徴とする製造
方法を提供する。
【0017】以下、本発明をスキーム1を参照しながら
詳細に説明する。
【0018】工程a 本発明においてはまず、式(2)の光学活性ジオキソラ
ン−4−オン誘導体をシクロペンタジエンとディールス
アルダー反応させて式(3a)又は(3b)のスピロ化
合物を形成する。この場合、式(2)の化合物の不斉炭
素の絶対配置が(2S)の場合、式(3a)の化合物が
立体選択的に生成し、逆に(2R)の場合には式(3
b)の化合物が立体選択的に生成する。
【0019】このディールス反応は、例えば、式(2)
の光学活性ジオキソラン−4−オン誘導体とシクロペン
タジエンとからなる混合物を一般に、室温100℃の温
度で撹拌することにより行うことができ、定量的に式
(3a)又は(3b)のスピロ化合物を与えることがで
きる。この場合、式(2)の光学活性ジオキソラン−4
−オン誘導体1モルに対しシクロペンタジエンを1.5
〜5.0モル使用することが好ましい。
【0020】ディールス反応時には溶媒を使用しなくて
もよいが、必要に応じて反応に悪影響を及ぼさないよう
な、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、ペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、テトラ
ヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類、ジク
ロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等の脂肪族
ハロゲン化物等を使用してもよい。
【0021】なお、出発物質の式(2)の光学活性ジオ
キソラン−4−オン誘導体は、種々の方法により入手す
ることができ、例えば、Rがtert−ブチルである場
合にはピバルアルデヒドとL−(−)−又はD−(+)
−乳酸とを反応させたものから容易に製造することがで
きる((J.Mattay et al.,Chem.
Ber.,122,327(1989);J.Org.
Chem.,57,3380(1992))。
【0022】工程b 次に、式(3a)又は(3b)の光学活性スピロ化合物
を加水分解して、それぞれに対応する式(4a)又は
(4b)で表わされる光学活性な2−ヒドロキシノルボ
ルネン−2−カルボン酸に変換する。
【0023】加水分解反応は、塩基性条件下で行うこと
が好ましく、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、水酸
化カルシウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類
金属水酸化物、あるいは炭酸ナトリウム、炭酸カリウム
などのアルカリ金属炭酸塩の水溶液中で式(3a)又は
(3b)のスピロ化合物を撹拌することにより行うこと
ができる。この加水分解により、水性反応液に溶解した
光学活性2−ヒドロキシノルボルネン−2−カルボン酸
塩が得られる。
【0024】なお、加水分解を行う際に、式(3a)又
は(3b)のスピロ化合物の加水分解速度を向上させる
ために反応液に有機溶媒を添加してもよい。水と混和す
る有機溶媒を使用すれば均一系の反応となり、水と混和
しない有機溶媒を使用すれば二相系の反応となるが、加
水分解速度、安全性、取扱性などの観点から、メタノー
ル、エタノール、プロパノールなどの低級アルコールを
添加することが好ましい。また、反応温度や反応時間は
適宜設定することができる。
【0025】更に、光学活性2−ヒドロキシノルボルネ
ン−2−カルボン酸塩が溶解している加水分解反応液か
ら必要に応じて低級アルコールなどの有機溶媒を留去し
て除き、その残渣に更に水とヘキサンなどの抽出溶媒を
加えて、非水溶性成分をヘキサン相に抽出して除く。そ
して、2−ヒドロキシノルボルネン−2−カルボン酸塩
が溶解している水相を硫酸などの鉱酸により酸性化し、
好ましくはそのpHを1〜2に調整して式(4a)又は
(4b)の2−ヒドロキシノルボルネン−2−カルボン
酸に変換する。そして、それをイソプロピルエーテルな
どの抽出溶媒で抽出し、常法により抽出溶媒を除去する
ことにより式(4a)又は(4b)の光学活性2−ヒド
ロキシノルボルネン−2−カルボン酸を単離できる。こ
の化合物は、クルードのまま次工程の原料として使用す
ることができるが、結晶性が良好なため再結晶により精
製してもよい。
【0026】工程c 次に、式(4a)又は(4b)の光学活性2−ヒドロキ
シノルボルネン−2−カルボン酸に接触水素添加反応を
施すことにより、それぞれに対応する(5a)又は(5
b)で表わされる光学活性2−ヒドロキシノルボルナン
−2−カルボン酸に還元する。
【0027】接触水素添加反応は、(4a)又は(4
b)の光学活性2−ヒドロキシノルボルネン−2−カル
ボン酸をメタノール、エタノール、プロパノールなどの
低級アルコール、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチ
ルなどのエステル類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンな
どの炭化水素類などの溶媒に溶解し、その溶液にパラジ
ウム−カーボンなどの接触水素添加用触媒を添加し、一
般に1Kg/cm〜50Kg/cmの水素ガス雰囲
気下、室温〜100℃の温度で撹拌することにより行う
ことができる。
【0028】接触水素添加反応終了後、接触水素添加用
触媒を濾別し、濾過液を濃縮することにより式(5a)
又は(5b)の光学活性2−ヒドロキシノルボルナン−
2−カルボン酸を得ることができる。
【0029】工程d 次に、式(5a)又は(5b)の光学活性2−ヒドロキ
シノルボルナン−2−カルボン酸を酸化的脱炭酸するこ
とにより、それぞれに対応する式(1a)又は(1b)
の光学活性2−ノルボルナノンを形成する。
【0030】酸化的脱炭酸は、式(5a)又は(5b)
のカルボン酸に、次亜塩素酸ナトリウム、四酢酸鉛、ク
ロム酸−硫酸、ビスマス酸ナトリウム−リン酸などの酸
化剤を常法により作用させることにより行うことができ
る。例えば、次亜塩素酸ナトリウムを酸化剤として使用
する場合には、一般に式(5a)又は(5b)のカルボ
ン酸を撹拌しながらそれに−10℃〜40℃の温度で次
亜塩素酸ナトリウム水溶液を滴下することにより行うこ
とができる。
【0031】脱炭酸した後には、反応液からヘキサンな
どの抽出溶媒で式(1a)又は(1b)の2−ノルボル
ナノンを抽出し、その有機相を常法により洗浄し、乾燥
した後、抽出溶媒を除去することにより式(1a)又は
(1b)の光学活性2−ノルボルナノンを得ることがで
きる。この化合物は、減圧蒸留や再結晶により精製する
ことができる。
【0032】
【作用】本発明においては使用する光学活性ジオキソラ
ン−4−オン誘導体は、α−カルボニルに共役した二重
結合を有しているので、シクロペンタジエンと容易にデ
ィールスアルダー反応することができる。このディール
スアルダー反応により得られる光学活性なスピロ化合物
は、光学活性2−ノルボルナノンの製造原料となる光学
活性2−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2−カルボン
酸に容易に加水分解することができる。また、光学活性
ジオキソラン−4−オン誘導体は入手容易な化合物であ
る。従って、本発明により光学活性2−ノルボルナノン
を工業的に簡便に製造することができる。
【0033】
【実施例】以下に、本発明の製造方法の出発原料となる
光学活性ジオキソラン−4−オン誘導体の製造方法を参
考例として説明し、更に、スキーム1を参照しながら、
本発明を実施例により具体的に説明する。
【0034】参考例[式(2)の(2S)−2−ter
t−ブチル−5−メチレン−1,3−ジオキソラン−4
−オンの合成] 工程1 ピバルアルデヒド86.0gのペンタン溶液に、L−
(−)−乳酸45.0g、p−トルエンスルホン酸一水
和物1.0g及び硫酸2滴を加えた。この反応液を加熱
し、生成する水を除去しながら10時間加熱還流させ
た。反応終了後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶
液、続いて飽和食塩水で洗浄した後、反応液からペンタ
ンを減圧留去し、得られた留去残渣をヘキサンから再結
晶させて48.0gの(2S,5S)−2−tert−
ブチル−5−メチル−1,3−ジオキソラン−4−オン
を得た。
【0035】工程2 工程1で得られた(2S,5S)−2−tert−ブチ
ル−5−メチル−1,3−ジオキソラン−4−オン4
8.0gを、四塩化炭素500mlに溶解し、その溶液
にN−ブロモスクシンイミド54.0gと過酸化ベンゾ
イル1.0mlとを加えて2時間加熱還流させた。反応
液を放冷した後、不溶解物を濾別し、濾液を10%チオ
硫酸ナトリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶
液、飽和食塩水で順次洗浄した。その濾液から四塩化炭
素を減圧留去し、得られた残渣をヘキサンから再結晶さ
せて70.5gの(2S,5S)−5−ブロモ−2−t
ert−ブチル−5−メチル−1,3−ジオキソラン−
4−オンを得た。
【0036】工程3 工程2で得られた(2S,5S)−5−ブロモ−2−t
ert−ブチル−5−メチル−1,3−ジオキソラン−
4−オン70.5gを四塩化炭素500mlに溶解し、
その溶液にトリエチルアミン50.0gを添加して4時
間加熱還流させた。反応液を放冷した後、不溶解物を濾
別し、濾液から四塩化炭素を減圧留去し、得られた残渣
をヘキサンから再結晶させて29.5gの(2S)−2
−tert−ブチル−5−メチレン−1,3−ジオキソ
ラン−4−オンを得た。この化合物の物性データを以下
に示す。
【0037】沸点:59.0〜61.5℃/6Torr 比旋光度[α]25 :−14.8°(c=1.51,
CHCl H−NMR(300MHz,CDCl,δ):0.
97(9H,s),4.85(1H,d,J=2.7H
z),5.12(1H,d,J=2.7Hz),5.4
5(1H,s)13 C−NMR(75.5MHz,CDCl,δ):
24.4,37.5,92.6,111.1,146.
0,162.6。
【0038】実施例[式(1a)の(+)−2−ノルボ
ルナノンの合成]工程a 参考例で得られた式(2)の(2S)−2−tert−
ブチル−5−メチレン−1,3−ジオキソラン−4−オ
ン15.6gとシクロペンタジエン30.0gとを封管
に入れ、室温(20〜25℃)で48時間ディールスア
ルダー反応を行った。反応終了後、未反応のシクロペン
タジエンを反応混合物から減圧留去することにより式
(3a)の粗製のスピロ化合物を46.0g得た。
【0039】工程b 工程aで得られた粗スピロ化合物46.0gに、メタノ
ール100ml、水10ml及び水酸化ナトリウム6.
0gを加え、得られた混同物を1時間撹拌して加水分解
反応を行った。反応終了後、混合物からメタノールを減
圧留去し、得られた残渣に水100mlを加え、それを
ヘキサン100mlで2回洗浄した。洗浄した水相に硫
酸を添加することによりそのpHを1〜2に調整した
後、イソプロピルエーテル100mlで2回抽出操作を
行った。得られたイソプロピルエーテル抽出液から、イ
ソプロピルエーテルを減圧留去し、得られた残渣をイソ
プロピルエーテルから再結晶して乳白色結晶として1
3.8gの式(4a)の2−ヒドロキシ−5−ノルボル
ネン−2−カルボン酸を得た。式(2)の(2S)−2
−tert−ブチル−5−メチレン−1,3−ジオキソ
ラン−4−オンからの収率は90%であった。
【0040】工程c 工程bで得られた式(4a)の2−ヒドロキシ−5−ノ
ルボルネン−2−カルボン酸10.0gを酢酸エチル1
00mlに溶解し、更に接触水素添加用触媒として10
%パラジウム−カーボン0.5gを加え、この溶液を水
素ガス雰囲気下で2時間撹拌して接触水素添加反応を行
った。反応終了後、反応液から触媒を濾別し、濾液から
酢酸エチルを減圧留去することにより式(5a)の粗製
の2−ヒドロキシ−5−ノルボルナン−2−カルボン酸
を14.5g得た。
【0041】工程d 工程cで得られた式(5a)の粗製の2−ヒドロキシ−
5−ノルボルナン−2−カルボン酸14.5gを撹拌し
ながら、それに12%次亜塩素酸ナトリウム水溶液5
0.0gを徐々に滴下して酸化的脱炭酸反応を一時間行
った。なお、この反応中、反応液は氷冷により10〜1
5℃に保持した。反応終了後、反応液をヘキサンで抽出
し、得られた有機層を10%チオ硫酸ナトリウム水溶
液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次
洗浄した。洗浄した有機相からヘキサンを減圧留去し、
得られた残渣を減圧蒸留して式(1a)の光学活性な
(+)−2−ノルボルナノンを6.5g得た。出発原料
の式(2)の(2S)−2−tert−ブチル−5−メ
チレン−1,3−ジオキソラン−4−オンからの全収率
は82%であった。この化合物の物性データを以下に示
す。
【0042】融点:96〜97℃ 比旋光度[α]25 :+27.5°(c=1.51,
CHCl H−NMR(300MHz,CDCl,δ):1.
38〜1.60(3H,m),1.70〜1.90(4
H,m),2.50〜2.11(1H,m),2.59
(1H,br.s),2.67(1H,br.s)13 C−NMR(75.5MHz,CDCl,δ):
24.1,27.1,35.2,37.6,45.2,
49.8,218.2。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、種々の生理活性物質の
合成原料として有用な光学活性2−ノルボルナノンを工
業的に簡便に製造できる。また、本発明によれば、光学
活性2−ノルボルナノンの合成原料である光学活性2−
ヒドロキシノルボルネン−2−カルボン酸を工業的に簡
便に製造できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07C 62/02 C07C 62/02 C07D 317/72 C07D 317/72 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 49/433 C07B 53/00 C07C 45/29 C07C 45/59 C07C 62/02 CA(STN) EPAT(QUESTEL) REGISTRY(STN) WPI/L(QUESTEL)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1a)又は(1b) 【化1】 で表わされる光学活性2−ノルボルナノンを製造する方
    法において:式(2) 【化2】 (式中、Rは置換もしくは未置換のアルキル基又はアリ
    ール基であり、*は不斉炭素を示す)で表わされる光学
    活性ジオキソラン−4−オン誘導体をシクロペンタジエ
    ンと反応させて式(3a)又は(3b) 【化3】 で表わされる化合物を形成する工程a;工程aで得られ
    た式(3a)又は(3b)の化合物を加水分解して式
    (4a)又は(4b) 【化4】 (式中、R及び*は式(1)で定義したとおりである)
    で表わされる光学活性2−ヒドロキシノルボルネン−2
    −カルボン酸に変換する工程b;工程bで得られた式
    (4a)又は(4b)の化合物に接触水素添加反応を施
    すことにより式(5a)又は(5b) 【化5】 で表わされる化合物を形成する工程c;及び工程cで得
    られた式(5a)又は(5b)で得られた化合物を酸化
    的に脱炭酸することにより式(1a)又は(1b)の光
    学活性2−ノルボルナノンを形成する工程dを含んでな
    ることを特徴とする製造方法。
  2. 【請求項2】 式(4a)又は(4b) 【化6】 で表わされる光学活性2−ヒドロキシノルボルネン−2
    −カルボン酸を製造する方法において:式(2) 【化7】 (式中、Rは置換もしくは未置換のアルキル基又はアリ
    ール基であり、*は不斉炭素を示す)で表わされる光学
    活性ジオキソラン−4−オン誘導体をシクロペンタジエ
    ンと反応させて式(3a)又は(3b) 【化8】 で表わされる化合物を形成する工程a;及び工程aで得
    られた式(3a)又は(3b)の化合物を加水分解して
    式(4a)又は(4b)の光学活性2−ヒドロキシノル
    ボルネン−2−カルボン酸を形成する工程bを含んでな
    ることを特徴とする製造方法。
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