JP4109609B2 - 伸びと穴拡げ性と2次加工割れ性に優れた高強度熱延鋼板 - Google Patents

伸びと穴拡げ性と2次加工割れ性に優れた高強度熱延鋼板 Download PDF

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Description

本発明は、主としてプレス加工される自動車用鋼板を対象とし、1.0〜6.0mm程度の板厚で、伸びと穴拡げ性と2次加工割れ性に優れた高強度熱延鋼板に関するものである。
近年、自動車の燃費改善対策としての車体軽量化、部品の一体成形によるコストダウンのニーズが強まり、プレス成形性に優れた熱延高強度鋼板の開発が進められてきた。従来、加工用熱延鋼板としてはフェライト・マルテンサイト組織からなるDual Phase鋼板が知られている。Dual Phase鋼板は、軟質なフェライト相と硬質なマルテンサイト相の複合組織で構成されており、著しく硬度の異なる両相の界面からボイドが発生して割れを生じるため穴拡げ性に劣る問題があり、足廻り部品等の高い穴拡げ性が要求される用途には不向きであった。これに対し、特開平4−88125号公報、特開平3−180426号公報ではベイナイトを主体とした組織により穴拡げ性の優れた熱延鋼板の製造方法が提案されているが、この鋼板は伸び特性に劣ることから適用部品に制約があった。
穴拡げ性と延性を両立する技術として特開平6−293910号公報、特開2002−180188号公報、特開2002−180189号公報、特開2002−180190号公報ではフェライト+ベイナイトの混合組織による鋼板が提案されているが、自動車のさらなる軽量化指向、部品の複雑化等を背景に更に高い穴拡げ性が求められ上記技術では対応しきれない高度な加工性、高強度化が要求されている。
一方、熱延鋼板の製造方法としては、通常、加熱後、熱間で圧延を行い、ROTでの冷却と捲取により材質の作りこみを行うことが一般的であった。しかしながら、特開2002−302734号公報や特開2002−309334号公報、特開2003−171735号公報では、熱延後、Ms点以下で捲取を行い、A1点以上の再加熱と徐冷により、残留オーステナイトを生成することで加工性を向上させる技術について提案されている。しかしながら、残留オーステナイトにより加工性を確保する鋼板は、延性を確保できても穴拡げ性の改善は得られないこと、更に、生成される残留オーステナイトにより2次加工割れ性の低下を招くことから、ハイテンにおいては適用に制約がある。また、特開2003−247045号公報では熱延後、連続焼鈍工程またはめっき工程でA1点以上の再加熱と徐冷により、マルテンサイトを生成することで加工性を向上させる技術について提案されている。しかし、マルテンサイトは穴拡げ性を劣化させるため、穴拡げ性の向上には限界がある。また、いずれもA1点以上の高い処理温度が必要であり、生産コスト、及び生産性の面からも実用化は困難であった。
特開平4−88125号公報 特開平3−180426号公報 特開平6−293910号公報 特開2002−180188号公報 特開2002−180189号公報 特開2002−180190号公報 特開2002−302734号公報 特開2002−309334号公報 特開2003−171735号公報 特開2003−247045号公報
本発明は上記した従来の問題点を解決するためになされたものであって、590N/mm2 クラス以上の熱延鋼板とその製造方法に関するもので、伸びと穴拡げ性と2次加工割れ性に優れた高強度熱延鋼板を提供しようとするものである。
本発明者らは、熱延後のROT冷却中にフェライトとベイナイト組織の作り込みを行い、その後の低温捲取によって第二相の組織を一端、マルテンサイト組織とし、低温再加熱によりマルテンサイトを焼戻し、フェライトとベイナイト+焼戻しマルテンサイト混合組織とすることで、優れた伸びを確保しつつ、飛躍的に穴拡げ性を改善する事、また、ハイテンで課題となっている2次加工割れ性を劣化させることなくこれを達成できることを見出した。そこで、焼戻しマルテンサイトとこれを製造しうる再加熱処理に着目し、鋭意検討を進めた結果、組織としては焼戻しマルテンサイト量と残留オーステナイト量、マルテンサイト量を規定すること、その焼戻し条件としては温度と時間のパラメータからなる式(1)を満たす条件で焼戻しを行うことにより、優れた伸びを確保しつつ、飛躍的に高い穴拡げ性が得られることを見出した。更に、処理温度に上限を設けることで、焼戻しマルテンサイトのラス間に生成し2次加工割れ性を劣化させる残留オーステナイトや、穴拡げ性を劣化させるマルテンサイトの抑制ができることを見出すことで、この発明をなすに至ったのである。
本発明の内容は次の通りである。
(1)質量%にて
C :0.01 %以上、0.30%以下、
Si:2.0%以下、
Al:2.0%以下、
Mn:0.1%以上、1.4%以下、
P :0.2%以下、
S :0.0005%以上、0.02%以下、
N :0.02%以下、
残部Fe及び不可避的不純物からなり、かつ、鋼組織に焼戻しマルテンサイト分率が5%以上であり、残部がフェライト及びベイナイトからなり、残留オーステナイト分率が2%以下、マルテンサイトが1%未満であることを特徴とする伸びと穴拡げ性と2次加工割れ性に優れた高強度熱延鋼板。
(2) (1)に示す鋼において、更に、質量%で
Ti:0.01%以上、0.20%以下、
Nb:0.01%以上、0.10%以下、
の1種または2種以上を含有し、かつ、鋼組織に焼戻しマルテンサイト分率が5%以上であり、残部がフェライト及びベイナイトからなり、残留オーステナイト分率が2%以下、マルテンサイトが1%未満であることを特徴とする伸びと穴拡げ性と2次加工割れ性に優れた高強度熱延鋼板。
(3) (1)、(2)に示す鋼において、更に、質量%でCa、Mg、Zr、REMの1種または2種以上を0.0005%以上、0.02%以下含有し、かつ、鋼組織に焼戻しマルテンサイト分率が5%以上であり、残部がフェライト及びベイナイトからなり、残留オーステナイト分率が2%以下、マルテンサイトが1%未満であることを特徴とする伸びと穴拡げ性と2次加工割れ性に優れた高強度熱延鋼板。
(4) (1)、(2)、(3)に示す鋼において、更に、質量%で、
Cu:0.04%以上、1.4%以下、
Ni:0.02%以上、0.8%以下、
Mo:0.02%以上、0.5%以下、
Cr:0.02%以上、1.0%以下、
の1種または2種以上を含有し、かつ、鋼組織に焼戻しマルテンサイト分率が5%以上であり、残部がフェライト及びベイナイトからなり、残留オーステナイト分率が2%以下、マルテンサイトが1%未満であることを特徴とする伸びと穴拡げ性と2次加工割れ性に優れた高強度熱延鋼板。
本発明によれば、伸びと穴拡げ性と2次加工割れ性に優れた高強度熱延鋼板を提供することができるので、高い加工性を有する高強度熱延鋼板として好適である。また、本発明の高強度熱延鋼板は車体の軽量化、部品の一体成形化、加工工程の合理化が可能であって、燃費の向上、製造コストの低減を図ることができるものとして工業的価値大なるものである。
本発明は、熱延ROT冷却中にベース組織(フェライト、ベイナイト組織)の作り込みを行い、第二相は一端マルテンサイト組織とした後、再加熱による焼戻しマルテンサイトの材質作り込みを行い得られる鋼板で、組織としては、残留オーステナイト、焼戻しの実施されていないマルテンサイト分率を極力低減させ、再加熱条件を最適化し焼戻し量を調整することで焼戻しマルテンサイトを生成し、優れた伸びを確保しつつ、穴拡げ性を飛躍的に向上させ、また、2次加工割れ性にも優れた鋼板とするものである。以下に本発明の個々の構成要件について詳細に説明する。
まず、本発明の成分の限定理由について述べる。
Cは、鋼の加工性に影響を及ぼす元素であり、含有量が多くなると、加工性は劣化する。特に0.30%を超えると穴拡げ性に有害な炭化物(パーライト、セメンタイト)が生成するので、0.30%以下とする。但し、特に高い穴拡げ性が要求される場合、0.10%以下とすることが望ましい。また、強度確保の面で0.01%以上は必要である。
Siは、有害な炭化物の生成を抑えフェライト分率を増加させ伸びを向上するために有効な元素であり、固溶強化により材料強度確保のためにも有効な元素であるため添加することが望ましいが、添加量が増加すると化成処理性が低下するほか、点溶接性も劣化するため2.0%を上限とする。
AlはSiと同様、有害な炭化物の生成を抑えフェライト分率を増加させ伸びを向上するために有効な元素である。特に、延性と化成処理性を両立するために必要な元素である。Alは、従来より脱酸に必要な元素であり、通常0.01〜0.07%程度添加してきた。本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、低Si系においてもAlを多量に添加することにより延性を劣化させること無く、化成処理性を改善できることを見出した。しかし、添加量が増加すると延性向上の効果は飽和してしまうばかりか、化成処理性が低下するほか、点溶接性も劣化するため2.0%を上限し、特に化成処理の厳しい条件では、1.0%を上限とすることが望ましい。
Mnは、強度確保に必要な元素であり、最低0.1%の添加が必要である。しかし、多量に添加するとミクロ偏析、マクロ偏析が起こりやすくなり、これらは穴拡げ性を劣化させる。これより1.4%を上限とする。
Pは鋼板の強度を上げる元素であり、Cuと同時添加により耐腐食性を向上する元素であるが、添加量が高いと溶接性、加工性、靭性の劣化を引き起こす元素である。これより、0.2%以下とする。特に耐食性が問題とならない場合、加工性を重視して0.03%以下が望ましい。
SはMnS等の硫化物を形成し、割れの起点となり、穴拡げ性を低減させる元素である。従って、0.02%以下とすることが必要である。但し、0.0005%未満に調整するためには脱硫コストが高くなるため、これを0.0005%以上とする。
Nは、(Ti、Nb)Nの生成に寄与するため加工性を確保するためには少ない方が良い。0.02%を越えると粗大なTiNが発生し加工性が劣化するので0.02%以下とする。
Ti、Nbは炭化物を形成し強度の増加に有効であり、硬度の均一化に寄与して穴拡げ性を改善する。これらの結果を有効に発揮させるためにはNb、Tiともに少なくとも0.01%の添加が必要である。しかし、これらの添加が過度になると析出強化により延性が劣化するため、上限としてTiは0.20%以下、Nbは0.10%以下とする。これらの元素は単独で添加しても効果があり、複合添加しても効果がある。
Ca、Mg、Zr、REMは硫化物系の介在物の形状制御し、穴拡げ性の向上に有効である。これを有効に発揮させるためには少なくとも1種類または2種以上を0.0005%以上添加する必要がある。一方、多量の添加は逆に鋼の清浄度を悪化させるため穴拡げ性、延性を損なう。これより上限を0.02%とする。
CuはPとの複合添加により耐腐食性を向上する元素である。この作用を得るためには0.04%以上添加することが望ましい。但し、多量の添加は焼き入れ性を増加させ延性が低下するため、上限を1.4%とする。
NiはCuを添加したときの熱間割れを抑制するために必須元素である。この効果を得るためには0.02%以上添加することが望ましい。但し、多量の添加はCu同様、焼き入れ性を増加させ延性が低下するため、上限を0.8%とする。
Moはセメンタイトの生成を抑制し、穴拡げ性を向上させるのに有効な元素であり、この効果を得るためには、0.02%以上の添加が必要である。但し、Moも焼き入れ性を高める元素であるため過剰の添加では延性が低下するため、上限を0.5%とする。
CrもVと同様、炭化物を形成し強度確保に寄与する。この効果を得るためには0.02%以上の添加が必要である。但し、Crは焼き入れ性を高める元素であるため、多量の添加により伸びの低減させる。そこで、上限を1.0%とする。
一般に組織中にマルテンサイト相を導入し、Dual Phase鋼のように複合組織とすると高強度で延性が確保できる。しかしながら、マルテンサイト相のような硬質相が組織中に導入されると穴拡げ性の著しい劣化が見られる。研究者らが鋭意研究を重ねた結果、低温にて焼戻しを行った焼戻しマルテンサイトは、マルテンサイト相により得られる強度や延性を大きく低下させることなく穴拡げ性を飛躍的に改善できることを見出した。この焼戻しマルテンサイトの効果を得るためには、焼戻しマルテンサイト分率で5%以上含有する必要があり、これ未満では、延性が劣化し、穴拡げ性の向上効果も小さい。このとき、伸び、穴拡げ性を両立させるためには、残部はフェライト、ベイナイト組織であることが必要である。特に、焼戻し中に生成する残留オーステナイトは加工変形により、残留応力を発生し、2次加工割れ性を低下させる。このため、残留オーステナイト分率は2%以下である必要があり、焼戻しの実施されていないマルテンサイトが組織中に残存するとこれが起点となって穴拡げ加工時に割れが発生するためマルテンサイト量は1%未満とする必要がある。また、組織中にパーライトがあるとパーライトのフェライト/セメンタイト境界で穴拡げ加工時に割れが発生するため、パーライト分率は5%未満であることが望ましい。
次に製造方法について説明する。
仕上圧延終了温度はフェライトの生成を妨げ、穴拡げ性を良好にするためAr3 変態点以上とする必要がある。しかしあまり高温にすると組織の粗大化による強度低減、延性の低下を招くため950℃以下とすることが望ましい。本発明では第二相を一端、マルテンサイトとすることが重要である。マルテンサイトを生成させるためには、捲取温度は200℃以下とすることが必要である。
本発明の最も重要な製造方法のひとつが、マルテンサイト相の焼戻し条件である。焼戻しを過剰に行うと材料の強度が低減し、狙いの強度が得られないばかりでなく、焼戻しによりベイナイト中のセメンタイトが粗大化するため、伸び性や穴拡げ性が低減する。一方、焼戻しが不足すると、マルテンサイトが硬いままとなるため、軟質相(フェライト相、ベイナイト相)との相境界において亀裂が発生しやすくなり、穴拡げ性が低下する。本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、図1に示すように、式(1)に示す温度と時間の関数を開発し、この関数において、12000以上、17000以下の条件で再加熱処理を行うことで、伸び、穴拡げ性とも優れた特性を得ることが出来ることを見出した。特に、高い穴拡げ性を確保するためには、13500以上、16500以下とすることが望ましい。 12000≦(T+273)×(log(t/60)+21.3)≦17000 ・・・(1)
T:熱処理温度(℃)
t:処理時間(min)
上記の後処理条件のなかで温度は重要なファクターである。加熱温度を700℃超とすると、組織の一部がオーステナイトへ変態し、その後の冷却において、焼戻しの実施されていないマルテンサイトや、焼戻しマルテンサイトのラス間に残留オーステナイト相が生成される。前者は穴拡げ性の劣化を招き、後者は、プレス成形のような加工において加工誘起マルテンサイトとなり、鋼中に残留応力を発生させ、これが、2次加工割れ性を著しく劣化させる。従って、再加熱においてオーステナイトへの変態を抑制する必要があり、加熱温度を700℃以下とする。
また、処理時間が長くなると生産性の低下を招くほか、また、大きな加熱設備を必要とするため、コストが高くなりすぎる。十分な生産性を得るためには連続的に処理を行うことが必要であり、このためには、処理時間(t) を10min以下とすることが必要である。
特に、連続冷却中に空冷域を設けることは、ROT冷却で得られるベース組織制御において、フェライト相の占有率を増加させ、延性を向上させるために有効である。この条件として、空冷温度が650℃未満では穴拡げ性に有害なパーライトが早期より発生するため、650℃以上が望ましく、750℃超ではフェライト生成が遅く空冷の効果を得にくいばかりでなく、その後の冷却中におけるパーライト生成が発生しやすくため750℃以下が望ましい。また、15秒間超の空冷はフェライト相の増加が飽和するばかりでなく、その後の冷却速度、捲取温度の制御に負荷をかける。このため、空冷時間は15秒以下とすることが望ましい。
次に本発明を実施例に基づいて説明する。
表1に示す成分の鋼を溶製し、常法に従い連続鋳造でスラブとした。符号A〜Zが本発明に従った成分の鋼で符号aの鋼はC、Nbの添加量、bの鋼はMn、P添加量、cの鋼はTi添加量、dの鋼はNの添加量、eの鋼はS添加量が本発明の範囲外である。
これらの鋼を加熱炉中で1200℃以上の温度で加熱し、Ar3 以上の温度にて熱間圧延を完了し、ROT冷却にて、表2に示す捲取温度にて巻き取り、続けて、表2に示すような条件にて、再加熱を行い、板厚2.6〜3.2mmの熱延鋼板を得た。得られた焼戻しマルテンサイト量(焼戻しα’)、残留オーステナイト相(残留γ)、マルテンサイト量(α’)を表2に示す。また、本試験では組織の残部はフェライトとベイナイト組織である。
表2のうち、A1、B1、C1、G1、M1、Q1は通常の熱延鋼板の製造方法と同様、巻取り温度にて材質を作りこみ、再加熱を行なっていないものであり、本発明とは、捲取温度、および、再加熱条件が範囲外であり、焼き戻しマルテンサイト量(焼戻しα’)も範囲外にある。更に、B1については残留オーステナイト(残留γ)分率が範囲外にある.D1、F1、W1は捲取温度は範囲内であるが、再加熱処理を実施していないため、焼戻しマルテンサイト量、マルテンサイト量が本発明の範囲外にある。また、H2、T2は捲取温度は範囲内にあるが、焼戻しマルテンサイトが本発明の範囲外である。G5、I2、K3、N3は再加熱温度が本発明の範囲外にあり、式(1)及び、残留オーステナイト量も範囲外であり、I2は更にマルテンサイト分率も範囲外である。A4、F3は再加熱時間が本発明の範囲外にあり、生産性の低下を招いたほか、式(1)も範囲外にある。また、D3、G2、Q2、Q3、N3、Q9、Q10は式(1)が本発明の範囲外である。
このようにして得られた熱延鋼板についてJIS 5号試験片を用いた引張試験および穴拡げ試験、2次加工割れ試験を行った。穴拡げ性(λ)試験は径10mmの打抜き穴を60°円錐ポンチにて押し拡げ、クラックが板厚を貫通した時点での穴径(d)と初期穴径(d0:12mm)から λ=(d−d0)/d0×100 で評価した。また、2次加工割れ試験は、ブランク径80mmφのサンプルを絞り比1.8 にてカップ型に絞り変形を加え、各温度に5min 保持した後、4.4m/sの変形速度に2次加工を加え、割れの有無を判断した。各試験片のTS、El、穴拡げ性および2次加工割れ性を表2に示し、図2、図3に強度と伸び、強度と穴拡げ性の関係をそれぞれ示す。また、図4に強度と2次加工割れ性の関係を、本発明鋼、比較鋼1、比較鋼2、比較鋼3に分けてそれぞれを示す。本発明鋼は比較鋼1と比べ、穴拡げ性が優れており、比較鋼2に比べ、伸び、穴拡げ性が優れている。また、残留γの高い比較鋼3に対して穴拡げ性で優れているほか、低い2次加工割れ温度を持っており、本発明により、優れた伸び、穴拡げ性、2次加工割れ性が得られたことがわかる。
注1)鋼板の金属組織
本発明において、各相の判定および分率の測定は以下のように実施した。
<1> 焼戻しマルテンサイト
再加熱前の熱延ままの鋼板にレペラ- エッチングを行い、熱延方向断面の1/4tの位置の組織を光学顕微鏡にて観察し、画像解析装置を用いて、マルテンサイト分率を測定。その後、再加熱(焼戻し処理)を行うため、このマルテンサイト量を焼戻しマルテンサイト量として評価した。
<2> 残留オーステナイト
鋼板を1/4tまで表面を研削した後、化学研磨してからMo管球を用いたX線回折により、フェライトの(200)の回折強度Iα(200)、フェライトの(211)の回折強度Iα(211)とオーステナイトの(220)の回折強度Iγ(220)および(311)の回折強度Iγ(311)の強度比より求めた。
Vγ(体積%)=0.25
×{Iγ(220)/(1.35×Iα(200)+Iγ(220))
+Iγ(220)/(0.69×Iα(211)+Iγ(220))
+Iγ(311)/(1.5×Iα(200)+Iγ(311))
+Iγ(311)/(0.69×Iα(211)+Iγ(311))}
<3> マルテンサイト
再加熱後の鋼板にレペラ−エッチングを行い、熱延方向断面の1/4tの位置の組織を光学顕微鏡にて観察し、画像解析装置を用いて、マルテンサイト分率を測定。この値をマルテンサイト量として評価した。
<4> フェライト、ベイナイト、パーライト
ナイタールで腐食後、鋼板の熱延方向断面の1/4tの位置の組織を光学顕微鏡にて観察し、フェライト、ベイナイト及びパーライトの観察を行った。
Figure 0004109609
Figure 0004109609
式(1)の伸び、穴拡げ性に及ぼす効果を示すグラフ。 引張強度に対する伸びに及ぼす本発明鋼の効果を示すグラフ。 引張強度に対する穴拡げ性に及ぼす本発明鋼の効果を示すグラフ。 引張強度に対する2次加工割れ性に及ぼす本発明鋼の効果を示すグラフ。

Claims (4)

  1. 質量%にて
    C :0.01 %以上、0.30%以下、
    Si:2.0%以下、
    Al:2.0%以下、
    Mn:0.1%以上、1.4%以下、
    P :0.2%以下、
    S :0.0005%以上、0.02%以下、
    N :0.02%以下、
    残部Fe及び不可避的不純物からなり、かつ、鋼組織に焼戻しマルテンサイト分率が5%以上であり、残部がフェライト及びベイナイトからなり、残留オーステナイト分率が2%以下、マルテンサイトが1%未満であることを特徴とする伸びと穴拡げ性と2次加工割れ性に優れた高強度熱延鋼板。
  2. 請求項1に示す鋼において、更に、質量%で
    Ti:0.01%以上、0.20%以下、
    Nb:0.01%以上、0.10%以下、
    の1種または2種以上を含有し、かつ、鋼組織に焼戻しマルテンサイト分率が5%以上であり、残部がフェライト及びベイナイトからなり、残留オーステナイト分率が2%以下、マルテンサイトが1%未満であることを特徴とする伸びと穴拡げ性と2次加工割れ性に優れた高強度熱延鋼板。
  3. 請求項1または請求項2に示す鋼において、更に、質量%でCa、Mg、Zr、REMの1種または2種以上を0.0005%以上、0.02%以下含有し、かつ、鋼組織に焼戻しマルテンサイト分率が5%以上であり、残部がフェライト及びベイナイトからなり、残留オーステナイト分率が2%以下、マルテンサイトが1%未満であることを特徴とする伸びと穴拡げ性と2次加工割れ性に優れた高強度熱延鋼板。
  4. 請求項1または請求項2または請求項3に示す鋼において、更に、質量%で
    Cu:0.04%以上、1.4%以下、
    Ni:0.02%以上、0.8%以下、
    Mo:0.02%以上、0.5%以下、
    Cr:0.02%以上、1.0%以下、
    の1種または2種以上を含有し、かつ、鋼組織に焼戻しマルテンサイト分率が5%以上であり、残部がフェライト及びベイナイトからなり、残留オーステナイト分率が2%以下、マルテンサイトが1%未満であることを特徴とする伸びと穴拡げ性と2次加工割れ性に優れた高強度熱延鋼板。
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