JP6485125B2 - 冷間加工性に優れた高炭素熱延鋼板 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車や産業機械の駆動系機械部品の製造に適した加工性として優れた冷間加工性を備える高炭素熱延鋼板に関するものである。
近年、地球環境保護の観点からCO2排出量を低減するため、自動車車体や機械部品の軽量化が進められる一方、製造工程の簡素化による製造コストの大幅な削減を実現する観点から、これまで熱間鍛造で製造していた機械部品を冷間鍛造で製造する試みがなされている。
製造工程を簡素化するとともに、部品の軽量化を図るためには、従来の熱間での加工性に匹敵する程度の冷間加工性が必要となる。
本発明が対象とする機械部品において、所要の冷間加工性を確保するためには、特に、その素材として高炭素熱延鋼板を用いる場合、対象となる部品の性能として、高い焼入れ性が要求されるばかりでなく、複雑な部品形状に加工するために実施する冷間鍛造において、特に、部品内で生じる大きな板厚変動による割れが発生しないという優れた加工性が求められる。
そのため、高炭素熱延鋼板に優れた冷間加工性を付与するためには、鋼板組織を適切に制御し、十分に軟質化する必要がある。
高炭素熱延鋼板の軟質化は、通常、鋼板組織において、フェライト粒を粗大化し、炭化物を球状化することで可能となる。これまで、高炭素鋼熱延鋼板を軟質化し加工性を改善する方法が数多く提案されている(例えば、特許文献1〜5、参照)。
特許文献1及び2には、Cを0.2〜1.3質量%を含む鋼材に対し、仕上げ圧延を600℃以上Ar1点以下で特定の圧下率で実施し、その後、450〜700℃の温度範囲で巻き取る方法が提案されている。即ち、特許文献1及び2の方法は、板厚方向における炭化物の分散状態を制御して、球状化炭化物と層状パーライトが混在する組織とすることを特徴とするものである。それ故、集合組織を制御することにより、冷間鍛造性という冷間加工性を付与することを目的とする本発明とは実質的に異なるものである。
特許文献3には、加工性に優れた軟質な高炭素鋼の製造方法が提案されているが、特許文献3の製造方法においては、コイル全体を長時間加熱する必要があり、生産性に課題が残っている。
特許文献4には、Cを0.2〜1.3質量%含有する鋼素材の熱間圧延において、仕上げ圧延前又は中にパーライト変態を完了させ、仕上げ圧延で、パーライトを分断して微細化し、高温で巻き取り、自己保有熱で炭化物を球状化する高炭素熱延鋼帯の製造方法が提案されている。
特許文献4の製造方法は、特別な球状化熱処理を必要とせず、熱間圧延のままで、焼入れ性と冷間加工性に優れた高炭素熱延鋼帯(C:0.2〜1.3質量%)を製造するものであるが、熱延制御と冷却制御を所要の条件下で適確に行う必要があり、本発明の鋼板特性を得ることは困難である。
特許文献5には、Cを0.2〜0.7質量%含有する鋼に、熱間圧延を仕上げ温度(Ar3変態点−20℃)以上で行った後、冷却速度120℃/秒を超え、かつ、冷却終了温度620℃以下で冷却を行い、次いで、巻取温度600℃以下で巻き取り、酸洗後、焼鈍温度640℃以上Ac1変態点以下で焼鈍する高焼入性高炭素熱延鋼板の製造方法が提案されている。
特許文献5の製造方法は、プレス成形や冷間鍛造の際、割れが発生し難い、軟質で加工性に優れた高炭素熱延鋼板を製造することができるが、ベイナイト相を主体とする組織を球状化する長時間の箱焼鈍を行う必要があるため、コストアップが余儀なくされるものである。
特開平08−176726号公報 特開平08−269619号公報 特開平09−157758号公報 特開平09−324212号公報 特開2003−073742号公報
従来技術においては、高炭素熱延鋼板の冷間加工性を高めるため、熱間圧延で形成した鋼板組織を、仕上げ熱延又は球状化焼鈍で球状化して軟質化するが、熱延工程、冷却工程、焼鈍工程を所要の条件下で適確に行う必要がある。特に、焼鈍は箱焼鈍で行うので、製造工期に長時間を要し、製造コストが上昇するという課題がある。
そこで、本発明は、冷間加工性、特に、冷間鍛造性を備える高炭素熱延鋼板を製造する方法において、製造工程を短縮化して製造コストを大幅に低減するとともに、高炭素熱延鋼板に優れた冷間加工性(冷間鍛造性)を付与することを課題とし、該課題を解決する高炭素熱延鋼板を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決する手法について鋭意検討した。その結果、本発明者らは、高炭素熱延鋼板の熱間圧延において、600℃以上750℃以下の温度域で熱間圧延を終了し、次いで、300℃以下の温度域に冷却し、その後、巻き取る直前に加熱すれば、鋼板組織において、所要量のフェライトを確保し、短時間で軟質化を図ることができることを見いだした。
さらに、本発明者らは、上記熱間圧延、冷却、及び、加熱を経て巻き取った高炭素熱延鋼板の平均r値が、従来の熱延鋼板のr値に比べ、極めて低いばかりでなく、その異方性も小さいことを知見した。熱延鋼板の平均r値が極めて低く、かつ、その異方性が小さい機械特性は、本発明が目指ざす優れた冷間鍛造性を担う有意な特性である。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
(1)600℃以上750℃以下の温度域で熱間圧延を終了した高炭素熱延鋼板であって、体積分率で60%以上のフェライトと、残部が炭化物又は炭化物を含む組織からなり、平均r値(r−m)が0.7以下で、Δr値が−0.2以上0.1以下であることを特徴とする冷間加工性に優れた高炭素熱延鋼板。
(2)前記高炭素熱延鋼板が、質量%で、C:0.15%以上0.65%以下、Si:0.10%以上2.00%以下、Mn:0.01%以上1.00%以下を含むことを特徴とする前記(1)に記載の冷間加工性に優れた高炭素熱延鋼板。
(3)前記高炭素熱延鋼板が、さらに、質量%で、P:0.010%以下、S:0.010%以下、Al:0.001%以上0.100%以下、N:0.010%以下、O:0.010%以下を含むことを特徴とする前記(2)に記載の冷間加工性に優れた高炭素熱延鋼板。
(4)前記高炭素熱延鋼板が、さらに、質量%でCr:0.1%以上2.0%以下、Mo:0.05%以上1.00%以下、B:0.0003%以上0.0050%以下の1種又は2種以上を含むことを特徴とする前記(2)又は(3)に記載の冷間加工性に優れた高炭素熱延鋼板。
本発明によれば、冷間加工性、特に、冷間鍛造性に優れ、駆動系機械部品の素材として好適な高炭素熱延鋼板を提供することができる。
本発明の高炭素熱延鋼板の製造工程を示す図である。 本発明の高炭素熱延鋼板の別の工程を示す図である。(a)は、高炭素熱延鋼板を一旦巻き取る工程を示し、(b)は、巻き取った高炭素熱延鋼板を巻き戻して加熱し、再度、巻き取る工程を示す。
本発明の冷間加工性に優れた高炭素熱延鋼板(以下「本発明熱延鋼板」ということがある。)は、600℃以上750℃以下の温度域で熱間圧延を終了した高炭素熱延鋼板であって、体積分率で60%以上のフェライトと、残部が炭化物又は炭化物を含む組織からなり、平均r値(r−m)が0.7以下で、Δr値が−0.2以上0.1以下であることを特徴とする。
図1に、本発明熱延鋼板の製造方法の製造工程を示す。通常、粗圧延後の粗バーに、仕上げ圧延機で仕上げ圧延を施して熱延鋼板とし、ランアウトテーブル(冷却手段)上で冷却した後、巻取機で巻き取るが、本製造方法においては、巻取機の前に加熱手段を配置し、冷却手段で冷却した熱延鋼板Sを、巻き取る直前に、加熱手段で加熱し、そのまま巻き取る。
巻き取った熱延鋼板は、前述したように、平均r値が、従来の熱延鋼板のr値に比べ、極めて低いとともに、その異方性が小さいものである。
粗圧延に供する鋳片は、通常の溶製条件で溶製し、通常の鋳造条件で鋳造した鋳片が好ましい。鋳片は、厚さ100mm以下の薄鋳片でもよい。鋳片又は薄鋳片は、再加熱後に熱間圧延に供するか、又は、そのまま熱間圧延に供する。鋳片又は薄鋳片を再加熱する場合、加熱温度は1000℃以上1250℃以下が好ましい。
以下、熱間圧延、及び、その後の工程の工程条件について説明する。
熱間圧延の終了温度:600℃以上750℃以下
(γ+α)の2相域の600℃以上750℃の温度域で熱間圧延を終了することにより、フェライトの再結晶と粒成長を促進するとともに、炭化物の析出を促進する。その結果、後工程の再加熱処理により、炭化物が分散した鋼板組織が形成される。
前述したように、炭化物の分散により、鋼板組織が軟質化すると同時に、熱延鋼板のr値が極めて低くなるとともに、異方性が小さくなり、冷間加工性、特に、冷間鍛造が向上する。この点が、本発明者らが見いだした知見である。
熱間圧延の終了温度が600℃未満であると、圧延時の変形抵抗が高くなり過ぎて、熱間圧延が難しくなり、フェライトの再結晶と粒成長、及び、炭化物の析出が充分に進行しないので、熱間圧延の終了温度は600℃以上とする。好ましくは630℃以上である。
一方、熱間圧延の終了温度が750℃を超えると、圧延終了後の再結晶と粒成長及び炭化物の粗大化に寄与する鋼板内の歪みエネルギーが不足して、再結晶と粒成長及び炭化物の粗大化に要する熱処理時間が長くなり過ぎ、生産性が低下する懸念があるので、熱間圧延の終了温度は750℃以下とする。好ましくは720℃以下である。
冷却温度:300℃以下
600℃以上750℃以下の温度域で熱間圧延を終了した高炭素熱延鋼板を、冷却帯(通常の冷却手段)で、直ちに300℃以下に冷却する。冷却温度が300℃を超えると、次工程の「加熱」との連携で発現する材質軟質化効果の発現程度が不十分となるので、冷却温度は300℃以下とする。好ましくは270℃以下である。
巻き取る直前の加熱:
300℃以下の温度域まで冷却し、次いで、巻き取る直前の熱延鋼板を加熱し、その温度で、そのまま巻き取る。巻き取った熱延鋼板を、自己焼鈍炉で保熱してもよい(保熱については後述する)。
300℃以下の熱延鋼板を、巻き取る直前に加熱して、板厚方向及び長手方向に観察される第二相に含まれる炭化物を球状化及び/又は分断して材質を軟質化する。
加熱手段は、冷却直後の熱延鋼板を、直ちに加熱する必要があるので、急速加熱が可能な加熱手段が好ましい。応答性の速い電気加熱が好ましく、例えば、通電加熱や誘導加熱が好ましい。なお、加熱速度については特に限定されない。
図2に、本発明熱延鋼板の製造方法の別の工程を示す。図2(a)に、高炭素熱延鋼板を一旦巻き取る工程を示し、図2(b)に、巻き取った高炭素熱延鋼板を巻き戻して加熱し、再度、巻き取る工程を示す。
図2に示す製造方法においては、粗圧延後の粗バーS’に仕上げ圧延を施して製造した熱延鋼板Sを冷却手段で冷却した熱延鋼板S1を、一旦、巻取機で巻き取る(図2(a)、参照)。巻き取った後、室温まで冷却した熱延鋼板を巻き戻し、加熱手段で加熱し、加熱した熱延鋼板S2を、そのまま巻取機で巻き取る(図2(b)、参照)。
熱間圧延の終了温度:600℃以上750℃以下、冷却温度:300℃以下、及び、加熱については、前述したとおりである。
巻き取った熱延鋼板を、自己焼鈍炉で保熱してもよい。保熱温度は680〜710℃が好ましい。保熱時間は60〜180分が好ましい。この保熱で、炭化物の凝集粗大化と結晶粒の成長を促進し、鋼板の軟質化をより図ることができる。
延鋼板を300℃以下へ冷却した直後に加熱すると、熱延鋼板の鋼板組織が軟質化し、冷間加工性、特に、冷間鍛造性が顕著に向上する理由について、本発明者らは、次のように推察している。
仕上げ圧延中、フェライト変態が促進されることに加えて、圧延によって導入された歪みが残存しているため、再加熱(加熱)によって、フェライトの再結晶及び粒成長が促進されて、残存していた歪みが解放され、その結果、熱延鋼板の強度が軟質化し、冷間加工性、特に、冷間鍛造性が顕著に向上する。
本発明熱延鋼板は、前述したように、600℃以上750℃以下の温度域で熱間圧延を終了した高炭素熱延鋼板であって、体積分率で60%以上のフェライトと、残部が炭化物又は炭化物を含む組織からなり、平均r値(r−m)が0.7以下で、Δr値が−0.2以上0.1以下であることを特徴とする。
フェライトの体積分率:60%以上
熱延鋼板の冷間加工性を確保するため、フェライトの体積分率を60%以上とする。フェライトの体積分率が60%未満であると、最終的な鋼板強度が十分に低下せず、所要の冷間工性が得られないので、フェライトの体積分率は60%以上とする。好ましくは70%以上である。フェライトの体積分率は、成分組成の影響を受けるので、上限は特に限定しない。
平均r値(r−m):0.7以下
平均r値(r−m)は、熱延鋼板のL方向、C方向、及び、45°(X)方向において測定したr値に基づいて、算出式:r-m={(r−L)+(r−C)+2×(r−X)}/4で算出した値である。平均r値(r−m)が0.7を超えると、冷間加工性が低下するので、平均r値(r−m)は0.7以下とする。好ましくは0.5以下である。
Δr値:−0.2以上0.1以下
Δr値は、熱延鋼板のL方向、C方向、及び、45°(X)方向において測定したr値に基づいて、算出式:Δr={(r−L)+(r−C)−2×(r−X)}/2に基づいて算出する値で、冷間加工性の異方性を表示する指標である。
Δr値が、−0.2未満又は0.1超であると、冷間加工性の異方性が著しくなるので、Δr値は−0.2以上0.1以下とする。好ましくは−0.1以上0.05以下である。
上記冷却−加熱処理による材質軟質化効果は、熱延鋼板の成分組成に、直接依らない効果であるので、本発明熱延鋼板は、基本的に、特定の成分組成の熱延鋼板に限定されないが、質量%で、C:0.15%以上0.65%以下、Si:0.10%以上2.00%以下、Mn:0.01%以上1.00%以下を含む熱延鋼板が好ましい。
以下、好ましい成分組成について説明する。なお、%は質量%を意味する。
C:0.15%以上0.65%以下
Cは、成形品の強度の確保に必要な元素である。0.15%未満では、添加効果が十分に発現しないので、Cは0.15%以上が好ましい。より好ましくは0.20%以上である。一方、0.65%を超えると、硬くなり過ぎて、冷間加工性が低下するので、Cは0.65%以下が好ましい。より好ましくは0.60%以下である。
Si:0.10%以上2.00%以下
Siは、強度の向上に寄与する元素である。0.10%未満では、添加効果が十分に発現しないので、Siは0.10%以上が好ましい。より好ましくは0.30%以上である。一方、2.00%を超えると、硬くなりすぎて、冷間加工性が低下するので、Siは2.00%以下が好ましい。より好ましくは1.50%以下である。
Mn:0.01%以上1.00%以下
Mnは、焼入れ性を高め、強度の向上に寄与する元素である。0.01%未満では、添加効果が十分に発現しないので、Mnは0.01%以上が好ましい。より好ましくは0.05%以上である。一方、1.00%を超えると、硬くなりすぎて、冷間加工性が低下するので、Mnは1.00%以下が好ましい。より好ましくは0.70%以下である。
本発明熱延鋼板は、C、Si、Mnの他、P:0.010%以下、S:0.010%以下、Al:0.001%以上0.100%以下、N::0.010%以下、O:0.010%以下を含有してもよい。
P:0.010%以下
S:0.010%以下
PとSは、不純物元素であるので、少ないほど好ましく、いずれも、0.010%以下が好ましい。より好ましくは、いずれも0.005%以下である。下限は0%を含むが、PとSを0.0001%以下に低減すると、製造コストが大幅に上昇するので、実用鋼板上、0.0001%が実質的な下限である。
Al:0.001%以上0.100%以下
Alは、脱酸に有効な元素である。0.001%未満では、脱酸効果が十分に発現しないので、Alは0.001%以上が好ましい。より好ましくは0.005%以上である。一方、0.100%を超えると、粗大な酸化物が生成して、熱延鋼板の冷間加工性が阻害されるので、Alは0.100%以下が好ましい。より好ましくは0.050%以下である。
N:0.010%以下、
Nは、鉄原料から不可避的に混入する元素であるので、0.010%以下が好ましい。より好ましくは0.005%以下である。
O:0.010%以下
Oは、脱酸後も不可避的に残留する元素であるので、0.010%以下が好ましい。より好ましくは0.005%以下である。
本発明熱延鋼板は、上記元素の他、Cr:0.1%以上2.0%以下、Mo:0.05%以上1.00%以下、B:0.0003%以上0.0050%以下の1種又は2種以上を含有してもよい。
Cr:0.1%以上2.0%以下
Crは、鋼板強度の向上に寄与する元素である。0.1%未満では、添加効果が発現しないので、Crは0.1%以上が好ましい。より好ましくは0.3%以上である。一方、2.0%を超えると、強度が上昇しすぎて、冷間加工性が低下するので、Crは2.0%以下が好ましい。より好ましくは1.5%以下である。
Mo:0.05%以上1.00%以下
Moは、鋼板強度の向上に寄与する元素である。0.05%未満では、添加効果が発現しないので、Moは0.05%以上が好ましい。より好ましくは0.08%以上である。一方、1.00%を超えると、強度が上昇し過ぎて、冷間加工性が低下するので、Moは1.00%以下が好ましい。より好ましくは0.50%以下である。
B:0.0003%以上0.0050%以下
Bは、鋼の焼入れ性を高め、鋼板強度の向上に寄与する元素である。0.0003%未満では、添加効果が発現しないので、Bは0.0003%以上が好ましい。より好ましくは0.0008%以上である。一方、0.0050%を超えると、強度が上昇しすぎて、冷間加工性が低下するので、Bは0.0050%以下が好ましい。より好ましくは0.0045%以下である。
本発明熱延鋼板は、上記元素の他、鋼原料から不可避的に混入する元素、例えば、Ni、Nb、V、Ti、Zr、Cu,REM等を、本発明熱延鋼板の特性を阻害しない範囲で、適宜の量を含有してもよい。
なお、本発明熱延鋼板において、成分組成を構成する元素以外の残部は、Feと不可避的不純物である。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例1)
表1に示す成分組成の鋳片を連続鋳造で製造し、表2〜7に示す条件で熱間圧延を実施して熱延鋼板とし、表2〜7に示す条件で冷却及び加熱を行い、そのまま巻き取って、ミクロ組織を観察し、さらに、冷間加工性(冷間鍛造性)を評価した。
その際、冷間加工性の評価として、熱延鋼板のビッカース硬度(Hv:荷重=1kgf)と、L方向、C方向、及び、45°(X)方向のr値を測定した。測定r値に基づいて、平均r値(r-m={(r−L)+(r−C)+2×(r−X)}/4)と、その異方性(Δr={(r−L)+(r−C)−2×(r−X)}/2)を評価した。
評価結果を、表2〜7に併せて示す。
冷間鍛造性との相関より、Hv:170以下で、r−m:0.7以下、Δr値:−0.2以上0.1以下のものが本発明の範囲である。
また、比較のため、冷却帯で300℃以下に冷却した熱延鋼板を、そのまま巻き取って、組織を観察し、同様に冷間加工性を評価した。
ミクロ組織は、SEM及びEBSDを用いて観察し、フェライト分率を算出した。本発明における熱延鋼板の冷間加工性(冷間鍛造性)は、前述したように、ビッカース硬度(Hv:荷重=1kgf)とr値で評価した。
評価結果を、表2〜7に併せて示す。
発明例においては、冷間加工性(冷間鍛造性)が顕著に向上している。一方、C、Si、及び、Mnが、本発明の範囲を超えると、ビッカース硬度が170を超えて、冷間加工性(冷間鍛造性)が劣化する。なお、Cが、本発明の範囲より低く外れた場合は、r−mの値が大きくなり、本発明の目指す冷間加工性(冷間鍛造性)が劣化する。
Figure 0006485125
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Figure 0006485125
Figure 0006485125
Figure 0006485125
Figure 0006485125
(実施例2)
表1に示す成分組成のうち、鋼A、C、及び、Hの鋳片を連続鋳造で製造し、表3に示す条件で熱間圧延を実施して4.5mmの熱延板とし、表3に示す条件で冷却して巻き取った。その後、室温まで冷却した熱延鋼板を巻き戻しながら、表3に示す条件で再加熱処理を実施し、そのまま巻き取り、実施例1と同じ手法でミクロ組織を観察し、同様に、冷間加工性(冷間鍛造性)を評価した。
評価結果を表3に併せて示す。発明例においては、170以下のHvを示すとともに、r−m:0.7以下、Δr値:−0.2以上0.1以下が得られ、冷間加工性(冷間鍛造性)が顕著に向上している。なお、熱延板の再加熱温度がAc1点を超えると、冷却後に硬度が高くなり過ぎて、冷間加工性の劣化が懸念される。
Figure 0006485125
前述したように、本発明によれば、冷間加工性、特に、冷間鍛造性に優れ、駆動系機械部品の素材として好適な高炭素熱延鋼板を連続工程で製造し提供することができる。よって本発明は、鋼板製造産業において利用可能性が高いものである。

Claims (2)

  1. 質量%で、C:0.15%以上0.65%以下、Si:0.02%以上1.52%以下、Mn:0.19%以上1.00%以下を含み、
    さらに、質量%で、P:0.010%以下、S:0.010%以下、Al:0.001%以上0.100%以下、N:0.010%以下、O:0.010%以下を含み、
    残部は、Feと不可避的不純物であり、
    体積分率で60%以上のフェライトと、残部が炭化物又は炭化物を含む組織からなり、
    荷重1kgfで測定したビッカース硬度Hvが170以下であり、
    平均r値(r−m)が0.7以下で、Δr値が−0.2以上0.1以下であることを特徴とする冷間加工性に優れた高炭素熱延鋼板。
  2. 前記高炭素熱延鋼板が、さらに、質量%で、Cr:0.1%以上2.0%以下、Mo:0.05%以上1.00%以下、B:0.0003%以上0.0050%以下の1種又は2種以上を含むことを特徴とする請求項に記載の冷間加工性に優れた高炭素熱延鋼板。
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