JP6485125B2 - 冷間加工性に優れた高炭素熱延鋼板 - Google Patents
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(γ+α)の2相域の600℃以上750℃の温度域で熱間圧延を終了することにより、フェライトの再結晶と粒成長を促進するとともに、炭化物の析出を促進する。その結果、後工程の再加熱処理により、炭化物が分散した鋼板組織が形成される。
600℃以上750℃以下の温度域で熱間圧延を終了した高炭素熱延鋼板を、冷却帯(通常の冷却手段)で、直ちに300℃以下に冷却する。冷却温度が300℃を超えると、次工程の「加熱」との連携で発現する材質軟質化効果の発現程度が不十分となるので、冷却温度は300℃以下とする。好ましくは270℃以下である。
300℃以下の温度域まで冷却し、次いで、巻き取る直前の熱延鋼板を加熱し、その温度で、そのまま巻き取る。巻き取った熱延鋼板を、自己焼鈍炉で保熱してもよい(保熱については後述する)。
熱延鋼板の冷間加工性を確保するため、フェライトの体積分率を60%以上とする。フェライトの体積分率が60%未満であると、最終的な鋼板強度が十分に低下せず、所要の冷間工性が得られないので、フェライトの体積分率は60%以上とする。好ましくは70%以上である。フェライトの体積分率は、成分組成の影響を受けるので、上限は特に限定しない。
平均r値(r−m)は、熱延鋼板のL方向、C方向、及び、45°(X)方向において測定したr値に基づいて、算出式:r-m={(r−L)+(r−C)+2×(r−X)}/4で算出した値である。平均r値(r−m)が0.7を超えると、冷間加工性が低下するので、平均r値(r−m)は0.7以下とする。好ましくは0.5以下である。
Δr値は、熱延鋼板のL方向、C方向、及び、45°(X)方向において測定したr値に基づいて、算出式:Δr={(r−L)+(r−C)−2×(r−X)}/2に基づいて算出する値で、冷間加工性の異方性を表示する指標である。
Cは、成形品の強度の確保に必要な元素である。0.15%未満では、添加効果が十分に発現しないので、Cは0.15%以上が好ましい。より好ましくは0.20%以上である。一方、0.65%を超えると、硬くなり過ぎて、冷間加工性が低下するので、Cは0.65%以下が好ましい。より好ましくは0.60%以下である。
Siは、強度の向上に寄与する元素である。0.10%未満では、添加効果が十分に発現しないので、Siは0.10%以上が好ましい。より好ましくは0.30%以上である。一方、2.00%を超えると、硬くなりすぎて、冷間加工性が低下するので、Siは2.00%以下が好ましい。より好ましくは1.50%以下である。
Mnは、焼入れ性を高め、強度の向上に寄与する元素である。0.01%未満では、添加効果が十分に発現しないので、Mnは0.01%以上が好ましい。より好ましくは0.05%以上である。一方、1.00%を超えると、硬くなりすぎて、冷間加工性が低下するので、Mnは1.00%以下が好ましい。より好ましくは0.70%以下である。
S:0.010%以下
PとSは、不純物元素であるので、少ないほど好ましく、いずれも、0.010%以下が好ましい。より好ましくは、いずれも0.005%以下である。下限は0%を含むが、PとSを0.0001%以下に低減すると、製造コストが大幅に上昇するので、実用鋼板上、0.0001%が実質的な下限である。
Alは、脱酸に有効な元素である。0.001%未満では、脱酸効果が十分に発現しないので、Alは0.001%以上が好ましい。より好ましくは0.005%以上である。一方、0.100%を超えると、粗大な酸化物が生成して、熱延鋼板の冷間加工性が阻害されるので、Alは0.100%以下が好ましい。より好ましくは0.050%以下である。
Nは、鉄原料から不可避的に混入する元素であるので、0.010%以下が好ましい。より好ましくは0.005%以下である。
Oは、脱酸後も不可避的に残留する元素であるので、0.010%以下が好ましい。より好ましくは0.005%以下である。
Crは、鋼板強度の向上に寄与する元素である。0.1%未満では、添加効果が発現しないので、Crは0.1%以上が好ましい。より好ましくは0.3%以上である。一方、2.0%を超えると、強度が上昇しすぎて、冷間加工性が低下するので、Crは2.0%以下が好ましい。より好ましくは1.5%以下である。
Moは、鋼板強度の向上に寄与する元素である。0.05%未満では、添加効果が発現しないので、Moは0.05%以上が好ましい。より好ましくは0.08%以上である。一方、1.00%を超えると、強度が上昇し過ぎて、冷間加工性が低下するので、Moは1.00%以下が好ましい。より好ましくは0.50%以下である。
Bは、鋼の焼入れ性を高め、鋼板強度の向上に寄与する元素である。0.0003%未満では、添加効果が発現しないので、Bは0.0003%以上が好ましい。より好ましくは0.0008%以上である。一方、0.0050%を超えると、強度が上昇しすぎて、冷間加工性が低下するので、Bは0.0050%以下が好ましい。より好ましくは0.0045%以下である。
表1に示す成分組成の鋳片を連続鋳造で製造し、表2〜7に示す条件で熱間圧延を実施して熱延鋼板とし、表2〜7に示す条件で冷却及び加熱を行い、そのまま巻き取って、ミクロ組織を観察し、さらに、冷間加工性(冷間鍛造性)を評価した。
表1に示す成分組成のうち、鋼A、C、及び、Hの鋳片を連続鋳造で製造し、表3に示す条件で熱間圧延を実施して4.5mmの熱延板とし、表3に示す条件で冷却して巻き取った。その後、室温まで冷却した熱延鋼板を巻き戻しながら、表3に示す条件で再加熱処理を実施し、そのまま巻き取り、実施例1と同じ手法でミクロ組織を観察し、同様に、冷間加工性(冷間鍛造性)を評価した。
Claims (2)
- 質量%で、C:0.15%以上0.65%以下、Si:0.02%以上1.52%以下、Mn:0.19%以上1.00%以下を含み、
さらに、質量%で、P:0.010%以下、S:0.010%以下、Al:0.001%以上0.100%以下、N:0.010%以下、O:0.010%以下を含み、
残部は、Feと不可避的不純物であり、
体積分率で60%以上のフェライトと、残部が炭化物又は炭化物を含む組織からなり、
荷重1kgfで測定したビッカース硬度Hvが170以下であり、
平均r値(r−m)が0.7以下で、Δr値が−0.2以上0.1以下であることを特徴とする冷間加工性に優れた高炭素熱延鋼板。 - 前記高炭素熱延鋼板が、さらに、質量%で、Cr:0.1%以上2.0%以下、Mo:0.05%以上1.00%以下、B:0.0003%以上0.0050%以下の1種又は2種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の冷間加工性に優れた高炭素熱延鋼板。
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JP2015045884A JP6485125B2 (ja) | 2015-03-09 | 2015-03-09 | 冷間加工性に優れた高炭素熱延鋼板 |
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