JPH06293910A - 穴拡げ性と延性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法 - Google Patents
穴拡げ性と延性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法Info
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Abstract
延、冷却、巻取りを順次施し、特定の組織とすることに
より、穴拡げ性と延性に優れた高強度熱延鋼板を安定し
て製造する。 【構成】 重量%で、C:0.01〜0.08%、S
i:0.30〜1.50%、Mn:0.50〜2.50
%、P:0.03%以下、S:0.005%以下、残部
Feおよび不可避的成分からなる鋼を、Ar3 変態点以
上で熱間圧延し、引き続き20℃/sec以上の冷却速度で
650〜700℃まで冷却し、該温度で2〜15秒間空
冷したのち、再度水冷して350〜600℃で巻取り、
鋼組織をフェライトが90%以上、残ベーナイトとす
る。更に、Nb:0.010〜0.040%、Ti:
0.010〜0.150%、Ca:0.0005〜0.
0100%を1〜2種類以上含有させてもよい。
Description
る自動車足廻り部品等を対象とし、1.4〜6.0mm程
度の板厚で、590〜780N/mm2 の引張強度を有
し、穴拡げ性と延性に優れた熱延高強度鋼板の製造方法
に関するものである。
体軽量化、部品の一体成形によるコストダウンのニーズ
が強まり、プレス加工性に優れた熱延高強度鋼板の開発
が進められてきた。従来、加工用熱延鋼板としては、フ
ェライト・マルテンサイト組織からなるDual Ph
ase鋼板が知られている。Dual Phase鋼板
は、軟質なフェライト相と硬質なマルテンサイト相の複
合組織で構成されており、著しく硬度の異なる両相の界
面からボイドが発生して割れを生じるため穴拡げ性に劣
る問題があり、足廻り部品等の高い穴拡げ性が要求され
る用途には、不向きであった。
開平3−180426号公報にベーナイトを主体とした
組織から構成される、穴拡げ性の優れた熱延鋼板の製造
方法が提案されている。しかしながら自動車のさらなる
軽量化指向、部品の複雑化等を背景に上記技術では対応
しきれない高度な加工性、さらなる高強度化が求められ
ている。
し疲労を受けているため、鋼板の疲労特性の劣化が大き
な問題となっている。従来の穴拡げ性に優れた鋼板はベ
ーナイト組織が主体であるため疲労特性に劣っており、
穴拡げ性と疲労特性の両立に着目した鋼板は見当らな
い。
780N/mm2 クラスで、穴拡げ比が590N/mm2 ク
ラスで2.1以上、780N/mm2 クラスで1.8以
上、伸びが590N/mm2クラスでEl≧26%、78
0N/mm2 クラスでEl≧20%の鋼板を経済的に製造
する方法を提供するものである。
である。 (1)重量%でC=0.01〜0.08%、Si=0.
30〜1.50%、Mn=0.50〜2.50%、P≦
0.03%、S≦0.005%を含み、残部Feおよび
不可避的成分からなる鋼を、圧延終了温度をAr3 変態
点以上とする熱間圧延をし、引き続き20℃/sec以上の
冷却速度で650〜700℃まで冷却し、該温度で2〜
15秒間空冷したのち、再度水冷して350〜600℃
で巻取り、鋼組織をフェライトが90%以上、残ベーナ
イトとすることを特徴とする穴拡げ性と延性に優れた高
強度熱延鋼板の製造方法。
Ti:0.010〜0.150%からなる強度改善元素
のうち何れか1種または2種を含有する(1)記載の製
造方法。 (3)Ca:0.0005〜0.0100%を含有する
(1)記載の製造方法。 (4)Nb:0.010〜0.040%、Ti:0.0
10〜0.150%からなる強度改善元素のうち何れか
1種または2種とCa:0.0005〜0.0100%
を含有する(1)記載の製造方法。
説明する。Cは強度確保のため少くとも0.01%は必
要である。しかし0.08%を超えると穴拡げ性に有害
な炭化物(セメンタイトまたはパーライト)生成するの
で好ましくない。このため0.01〜0.08%とし
た。
ポリゴナルフェライトの生成を促し、フェライト主体+
ベーナイトの複合組織を得るために重要な元素である。
またSiは強度と延性を両立させる作用もある。このよ
うな組織を得ること、強度、延性を高めるために0.3
0%以上の添加が必要である。一方、上限は点溶接性、
経済性から1.5%とした。
り、最低0.50%の含有が必要である。また焼入れ性
を高め、ベーナイト組織を得るためにも0.50%以上
の含有が必要である。しかし多量に添加すると帯状の組
織が生成しやすくなるため加工性が劣化する。また経済
性、点溶接性を考慮し、上限は2.50%とした。Pは
溶接性、加工性、2次加工性、靭性の劣化防止のため
0.03%以下とした。
拡げ性を劣化させるので含有量は少い程好ましく、0.
005%以下とした。Nb,Tiは炭窒化物形成元素で
あり、析出硬化により引張強度の増加に有効である。効
果を有効に発揮させるためには、Nb,Tiともに少く
とも0.01%の添加が必要である。しかしこれらの元
素を過多に添加すると、析出強化が過度となり延性が劣
化し、あるいは上記効果が飽和して経済的にも不利であ
るので、添加の上限をNbは0.040%、Tiは0.
150%とする。これらの元素は単独で添加しても効果
があり、また複合添加しても相乗的な効果を得ることが
できるので高強度を得るのに有効である。
げ性向上に有用で少くとも0.0005%の添加が必要
である。一方、多量の添加は逆に鋼の清浄度を悪化させ
て穴拡げ性を損うので、上限を0.0100%とする。
ぎ穴拡げ性を良好にするためAr3変態点以上とする必
要がある。しかし余り高温になると組織の粗大化による
延性の低下を生じるため950℃以下とすることが好ま
しい。冷却速度は穴拡げに有害な炭化物形成を抑制し、
高い穴拡げ比を得るため20℃/sec以上が必要である。
一方、上限は高い程好ましいが現状の圧延設備の場合、
可能な上限は150℃/sec程度である。
5秒間の空冷は本発明において特に重要な点であり、こ
れによって本発明の特徴であるフェライト主体の組織と
することができる。本発明者等が実験により知見したと
ころでは、穴拡げ性と延性の向上にはフェライト90%
以上の占積率とすることが必要であり、そのためには上
記温度で2〜15秒の空冷が必要となる。即ち2秒未満
ではフェライトが充分に生成できず、また15秒超にな
ると穴拡げに有害なパーライトとセメンタイトが生成す
る。
害な硬質のマルテンサイトが発生するため350℃以上
とする。一方、上限は600℃超になると穴拡げ性に有
害なパーライト、セメンタイトが生成するため600℃
以下とする。このように350〜600℃で巻取ると穴
拡げに有害な組織の発生がなく、前述の650〜700
℃での空冷によって得たフェライト90%以上の組織の
まま残りの10%以下を穴拡げ性に害をなさないベーナ
イト組織とすることができ、これにより強度向上に寄与
できる。
により、フェライト占積率90%以上、ベーナイト占積
率10%以下の混合組織とし、穴拡げ性および延性に優
れた熱延鋼板を得ることができる。
製して、連続鋳造にてスラブとし、表2に示す熱延条件
で圧延・冷却し、板厚2.6〜3.2mmの熱延鋼板を得
た。
て、JIS5号片による引張試験、穴拡げ試験、組織観
察を行った。尚、穴拡げ試験は径12mmの打抜き穴を6
0°円錐ポンチにて押し拡げ、クラックが板厚を貫通し
た時点での穴径(d)と初期穴径(d0 :12mm)との
比(d/d0 )を併せて表2に示した。尚、鋼A〜Gは
引張強度590N/mm2 クラス、鋼H〜Jは引張強度7
80N/mm2 クラスのものである。
3,4,7,8,9は引張強度590N/mm2 クラスの
本発明例であり、穴拡げ比2.20〜2.40、伸び2
8〜32%を示し、またNo.13,15は引張強度78
0N/mm2 クラスの本発明例であり穴拡げ比1.80〜
1.85、伸び22〜23%を示し、何れも良好な材質
となっている。一方、本発明の条件を外れた比較例では
伸び、穴拡げ値が不十分なレベルである。
スで伸び≧26%、d/d0 ≧2.10、強度780N
/mm2 クラスで伸び≧20、d/d0 ≧1.8という従
来にない優れた強度−穴拡げバランスを有し、かつ、延
性に優れた熱延高強度鋼板を経済的に供給できるように
なったもので、産業上極めて有用なものである。
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%で C =0.01〜0.08% Si=0.30〜1.50% Mn=0.50〜2.50% P ≦0.03% S ≦0.005% 残部Feおよび不可避的成分からなる鋼を、圧延終了温
度をAr3 変態点以上とする熱間圧延をし、引き続き2
0℃/sec以上の冷却速度で650〜700℃まで冷却
し、該温度で2〜15秒間空冷したのち、再度水冷して
350〜600℃で巻取り、鋼組織をフェライトが90
%以上、残ベーナイトとすることを特徴とする穴拡げ性
と延性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。 - 【請求項2】 Nb:0.010〜0.040% Ti:0.010〜0.150% からなる強度改善元素のうち何れか1種または2種を含
有する請求項1記載の製造方法。 - 【請求項3】 Ca:0.0005〜0.0100%を
含有する請求項1記載の製造方法。 - 【請求項4】 Nb:0.010〜0.040% Ti:0.010〜0.150% からなる強度改善元素のうち何れか1種または2種、C
a:0.0005〜0.0100%を含有する請求項1
記載の製造方法。
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