JP4109513B2 - 遅延プロファイル測定方法および装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式によるデジタル放送やデジタル伝送における希望波と回り込み波や遅延波等の非希望波との強度との比を示す希望波対非希望波比(D/U)を測定する遅延プロファイル測定方法、および測定装置に関する。また本発明は、OFDM方式によるデジタル放送やデジタル伝送における中継装置に関し、特に単一周波数ネットワーク(Single Frequency Network:SFN)における中継放送局の送受信アンテナ間での電波の回り込みや、マルチパス(複数の遅延波)あるいは複数の送信局により同一の信号が送信される複局送信時の本来受信すべき親局以外からの受信波等を除去するためのフィードフォワード型回り込みキャンセラのフィルタタップ係数値算出部のキャンセル残差複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定方法に関する。また本発明は、OFDM方式によるデジタル放送やデジタル伝送における中継装置に関し、特に単一周波数ネットワーク(SFN)における中継放送所の送受信アンテナ間での電波の回り込みや、マルチパスあるいは複数の送信局により同一の信号が送信される複局送信時の本来受信すべき親局以外からの受信波等を除去するためのフィードバック型回り込みキャンセラにおけるフィルタタップ係数値算出部のキャンセル残差複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定方法に関する。また、OFDM方式によるデジタル放送やデジタル伝送における受信装置に関し、特に単一周波数ネットワーク(SFN)における受信装置へのマルチパスあるいは複数の送信局により同一の信号が送信される複局送信時の本来受信すべき親局以外からの受信波等を除去するためのフィードフォワード型伝送路適応等化器のフィルタタップ係数値算出部のキャンセル残差複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定方法に関する。また本発明は、OFDM方式によるデジタル放送やデジタル伝送における受信装置に関し、特に単一周波数ネットワーク(SFN)における受信装置へのマルチパスあるいは複数の送信局により同一の信号が送信される複局送信時の本来受信すべき親局以外からの受信波等を除去するためのフィードバック型伝送路適応等化器のフィルタタップ係数値算出部のキャンセル残差複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
<従来の遅延プロファイル測定方法、フィードフォワード型回り込みキャンセラのフィルタタップ係数値算出部のキャンセル残差複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定方法、およびフィードフォワード型伝送路適応等化器のフィルタタップ係数値算出部のキャンセル残差複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定方法> OFDM信号の複素インパルス応答(遅延プロファイル)測定方法、フィードフォワード型回り込みキャンセラのフィルタタップ係数値算出部のキャンセル残差複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定方法、およびフィードフォワード型伝送路適応等化器のフィルタタップ係数値算出部のキャンセル残差複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定方法としては、次の[A1]〜[A4]の四つの方法がある。
[A1:既知信号相関法] 予め定めた既知の試験信号を送信信号として使用し、受信信号と試験信号との相関を算出する方法(図24)。
[A2:SP法] 送信信号の予め定められたキャリア位置にSP信号(Scattered Pilot Signal)を挿入し、受信信号のSP信号を抽出し、このSP信号を用いて伝達関数を算出し、得られた伝達関数を逆離散フーリエ変換する方法(図25)。
[A3:自己相関法] 受信信号を時間信号のまま一定時間保持し、この保持した信号と受信信号の相関を取る方法(図26)。
[A4:FFT法] 時間的に平均化した受信信号のエネルギースペクトルを逆フーリエ変換する方法(図27)。
【0003】
まず、[A1]の既知信号相関法について説明する。既知信号相関法で算出される遅延プロファイルは式(1)で与えられる。
【数1】
Figure 0004109513
ただし、
y(t):既知の試験信号の一部と同じテンプレート信号、
r(t):受信信号
とする。なお、本明細書では、上付の添字「*」は複素共役を示す。また、Re[f( )](f( )は任意の信号)はf( )の実数部であることを意味し、Im[f( )]はf( )の虚数部であることを意味する。通常、既知信号相関法で用いる予め定めた既知の試験信号x(t)としては、疑似雑音系列(PN系列)が用いられる。PN系列の周期としては、予想されるマルチパス、および回り込み等の遅延波の最大遅延時間の2倍程度に設定する場合が多い。また、理論上は複素インパルス応答(遅延プロファイル)s(t)を与える式(1)が連続時間tにおける無限区間の積分であるが、実際の複素インパルス応答(遅延プロファイル)の計算は、図24に示す遅延プロファイル測定装置170において、次の式(2)に与えるような離散時間nにおける有限区間の総和の期待値として計算される。
【数2】
Figure 0004109513
ただし、
y(n):既知の試験信号の一部と同じテンプレート信号、
ri(l):受信信号、
E[ ]:期待値
とする。
【0004】
次に[A2]のSP法について説明する。SP法では、例えば地上波デジタル放送方式のOFDM信号に同期復調時の振幅位相基準として周波数方向と時間方向に挿入されているSP信号(Scattered Pilot Signal)やCP信号(Continual Pilot Signal)等の基準信号を用いて伝送路の伝達関数を推定し、推定した伝送路の伝達関数を逆離散フーリエ変換することで複素インパルス応答(遅延プロファイル)測定を行う方法である。具体的には、図25に示す遅延プロファイル測定装置172において、受信したOFDM信号をキャリア再生、シンボルタイミング再生して得られた基準キャリアおよび基準シンボルタイミングを用いて受信したOFDM信号を直交復調し、さらに離散フーリエ変換して得られた受信信号の複素スペクトルから、SP信号、およびCP信号R(k)を抽出し、送信信号のSP信号、およびCP信号の複素スペクトルX(k)が既知であることから、次の式(3)により伝送路の伝達関数S(k)が得られる。
【数3】
Figure 0004109513
この伝送路の伝達関数S(k)を式(4)に示すように逆離散フーリエ変換することで複素インパルス応答(遅延プロファイル)s(n)が得られる。
【数4】
Figure 0004109513
ここで、SP信号、CP信号の位置における受信信号の複素スペクトルR(k)の抽出には、OFDM時間信号を復調するに際し、サンプリングレート(地上波デジタル放送では512/63[MHz])を送信側と同一または逓倍とし、周波数同期と位相同期が確立し、離散フーリエ変換の時間ウィンドウ(FFT時間ウィンドウ)の位置を適切に設定して有効シンボルの切り出しが適切に行われ、サブキャリア間の直交性が確保され、適切なOFDM復調がなされていることが前提となる。
【0005】
次に[A3]の自己相関法について説明する。自己相関法では受信したOFDM時間信号の一定区間を切り出して保持し、この保持したOFDM時間信号と、受信しているOFDM時間信号とで相関をとることで複素インパルス応答(厳密には自己相関値)測定を行う方法である。具体的には、図26に示す遅延プロファイル測定装置174において、受信したOFDM時間信号をri(n)とし、ri(n)の一部を保持期間Lだけ切り出した信号をyi(n)としたとき、相関値s(n)は、次の式(5)、すなわち、
【数5】
Figure 0004109513
により得られる。以上に述べた自己相関法はOFDM復調を必要としないため、次の四つの利点を有する。
[1]すべての処理を時間領域で行うのでフーリエ変換の必要がない。
[2]時間信号のサンプリングレートを送信側と一致させる必要がない。
[3]シンボル同期を取る必要がない(ただし、ガードインターバル部に対応する相関値を検出しないように、相関長Lは最長でも有効シンボル長とする)。
[4]周波数同期(AFC)、位相同期(APC)等が必要ない。
【0006】
次に[A4]のFFT法について説明する。FFT法では、受信したOFDM信号が希望波のみの場合、スペクトルの平均値が信号帯域内で平坦になり、受信したOFDM信号が希望波の他に遅延波または回り込み波を含むときには、遅延時間に対応する周期で、強度に対応するリップルが生じることを利用し、エネルギースペクトルを逆離散フーリエ変換して自己相関値を求める。具体的には、図27に示す遅延プロファイル測定装置176において、信号帯域内の振幅スペクトルを|Ri(k)|(ただし、0≦k≦N−1)とし、その平均値(期待値)を|S(k)|としたとき、平均化されたエネルギースペクトルは|S(k)|2であり、このエネルギースペクトル|S(k)|2を式(6)に示すように逆離散フーリエ変換することで複素インパルス応答(厳密には自己相関値)を得る。
【数6】
Figure 0004109513
以上に述べたFFT法も自己相関法と同様にOFDM復調を必要としないため、次の4点の利点を有する。
[1]直交復調を必要としない。
[2]時間信号のサンプリングレートを送信側と一致させる必要がない。
[3]シンボル同期を取る必要がない。
[4]周波数同期(AFC)、位相同期(APC)等が必要ない。
【0007】
<従来の逆数化された遅延プロファイル測定方法、フィードバック型回り込みキャンセラのフィルタタップ係数値算出部のキャンセル残差複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定方法、フィードバック型伝送路適応等化器のフィルタタップ係数値算出部のキャンセル残差複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定方法> OFDM信号の逆数化された遅延プロファイル(複素インパルス応答)測定方法、フィードバック型回り込みキャンセラのフィルタタップ係数値算出部のキャンセル残差遅延複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定方法、およびフィードバック型伝送路適応等化器のフィルタタップ係数値算出部の複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定方法としても、先に述べた複素インパルス応答(遅延プロファイル)の測定方法、フィードフォワード型伝送路適応等化器のフィルタタップ係数値算出部のキャンセル残差複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定方法、およびフィードフォワード型回り込みキャンセラのフィルタタップ係数値算出部のキャンセル残差複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定方法と同様に、次の[B1]〜[B4]の四つの方法がある。
[B1:逆数化既知信号相関法] 予め定めた既知の試験信号を送信信号として使用し、受信信号と試験信号との相関を算出し、逆数化する方法(特願2001−91739)。
[B2:逆数化SP法] 送信信号の予め定められたキャリア位置にSP信号(Scattered Pilot Signal)を挿入し、受信信号のSP信号を抽出し、このSP信号を用いて伝達関数を算出し、得られた伝達関数を逆数化した伝達関数を逆フーリエ変換する方法(図28)(特願2001−070777)。
[B3:逆数化自己相関法] 受信信号を時間信号のまま一定時間保持し、この保持した信号と受信信号の相関を取り、逆数化する方法(特願2001−91739)。
[B4:逆数化FFT法] 時間的に平均化した受信信号のエネルギースペクトルを逆数化したエネルギースペクトルを逆離散フーリエ変換する方法(図29)(特願2001−070777)。
【0008】
まず、[B1]の逆数化既知信号相関法について説明する。既知信号相関法で算出される複素インパルス応答(遅延プロファイル)は式(1)で与えられ、実際の複素インパルス応答(遅延プロファイル)の計算は式(2)に与えるような離散時間nにおける有限区間の総和の期待値として計算される。式(2)により得られたs(n)に対し、式(7)に示すように、離散フーリエ変換を行ないS(k)を得て、
【数7】
Figure 0004109513
このS(k)に対し、式(8)示す逆数化を行ってT(k)を得た後、
【数8】
Figure 0004109513
このT(k)を式(9)のように逆離散フーリエ変換することで、
【数9】
Figure 0004109513
逆数化された複素インパルス応答(遅延プロファイル)t(n)を得る。ただし、式(8)中の係数Aは補正係数であり、逆数化された複素インパルス応答(遅延プロファイル)算出結果のレベル調整を行うために設定する。
【0009】
次に[B2]の逆数化SP法について説明する。図28に示す遅延プロファイル測定装置178において、SP法における式(3)により得られた伝送路の伝達関数S(k)を式(10)に示すように(複素)逆数化しT(k)を得る。
【数10】
Figure 0004109513
もちろん、次の式(11)、すなわち、
【数11】
Figure 0004109513
として、(複素)逆数化された伝達関数T(k)を直接求めることも可能であるし、この方が計算量、回路規模ともに少なくて済む。このT(k)を式(12)に示すように、逆離散フーリエ変換することで逆数化された複素インパルス応答(遅延プロファイル)t(n)が得られる。
【数12】
Figure 0004109513
ここでもSP法と同様に、SP信号、CP信号の位置における受信信号の複素スペクトルR(k)の抽出には、OFDM時間信号を復調するに際し、サンプリングレート(地上波デジタル放送では512/63[MHz])を送信側と同一または逓倍とし、周波数同期と位相同期が確立し、離散フーリエ変換の時間ウィンドウ(FFT時間ウィンドウ)の位置を適切に設定して有効シンボルの切り出しが適切に行われ、サブキャリア間の直交性が確保され、適切なOFDM復調がなされていることが前提となる。
【0010】
次に[B3]の逆数化自己相関法について説明する。自己相関法における式(5)で得られた自己相関値s(n)を式(13)に示すように離散フーリエ変換しS(k)を算出し、このS(k)に対し、式(14)に示す逆数化を行なってT(k)を得た後、式(15)示すように逆離散フーリエ変換することで、逆数化された複素インパルス応答(遅延プロファイル)t(n)を得る。ただし、式(14)中の係数Aは補正係数であり、複素インパルス応答(厳密には逆数化された自己相関値)の算出結果のレベル調整を行うために設定する。
【数13】
Figure 0004109513
【数14】
Figure 0004109513
【数15】
Figure 0004109513
以上に述べた逆数化自己相関法は次の[1]〜[3]の三つの利点を有する。
[1]時間信号のサンプリングレートを送信側と一致させる必要がない。
[2]シンボル同期を取る必要がない(ただし、ガードインターバル部に対応する相関値を検出しないように、相関長Lは最長でも有効シンボル長とする)。
[3]周波数同期(AFC)、位相同期(APC)等が必要ない。
【0011】
次に[B4]の逆数化FFT法について説明する。通常のFFT法と同様に、逆数化FFT法でも受信したOFDM信号が希望波のみの場合、スペクトルの平均値が信号帯域内で平坦になり、受信したOFDM信号が希望波の他に遅延波または回り込み波を含むときには、遅延時間に対応する周期で、強度に対応するリップルが生じることを利用し、エネルギースペクトルを逆離散フーリエ変換して自己相関値を求める。具体的には、図29に示す遅延プロファイル測定装置180において、信号帯域内の振幅スペクトルを|Ri(k)|とし、その平均値(期待値)を|S(k)|としたとき、平均化されたエネルギースペクトルは|S(k)|2であり、このエネルギースペクトル|S(k)|2を次の式(16)に示すように逆数化し|T(k)|2を得た後、
【数16】
Figure 0004109513
式(17)に示すように逆離散フーリエ変換することで逆数化された複素インパルス応答(厳密には逆数化された自己相関値)を得る。ただし、式(16)中の係数Aは補正係数であり、複素インパルス応答(厳密には逆数化された自己相関値)算出結果のレベル調整を行うために設定する。
【数17】
Figure 0004109513
以上に述べた逆数化FFT法は次の[1]〜[4]の四つの利点を有する。
[1]直交復調を必要としない。
[2]時間信号のサンプリングレートを送信側と一致させる必要がない。
[3]シンボル同期を取る必要がない。
[4]周波数同期(AFC)、位相同期(APC)等が必要ない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
<従来の複素インパルス応答(遅延プロファイル)測定方法、フィードフォワード型回り込みキャンセラのフィルタタップ係数値算出部のキャンセル残差複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定方法、およびフィードフォワード型伝送路適応等化器のフィルタタップ係数値算出部のキャンセル残差複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定方法の課題> しかしながら、上述した既知信号相関法を利用した複素インパルス応答(遅延プロファイル)測定方法では、予め定めた既知の試験信号を送信する必要があるため、通常の放送、および通信を停止して行う必要があり、放送、および通信中に複素インパルス応答(遅延プロファイル)測定が行えないという欠点があった。
【0013】
また、上述したSP法を利用した複素インパルス応答(遅延プロファイル)測定方法では、通常の放送、および通信中であっても複素インパルス応答(遅延プロファイル)測定が行えるが、そのためにはOFDM信号の復調を行う必要がある。すなわち、復調を行うために周波数同期、および位相同期を確立する必要があるため周波数同期(AFC)回路、位相同期(APC)回路が必要であり、OFDM信号のサブキャリアをサブキャリア間の直交性を保持したまま得る必要があるためサンプリングレートを適切な数値とし(例えば地上デジタル放送方式の場合には512/63[MHz]の逓倍)とし、OFDM時間信号の有効シンボルの切り出しを適切に行う必要があるため、モードに応じてFFTポイント数を設定し、ガードインターバル長に応じて各々の有効シンボルを切り出す間隔も変更する必要があり、受信信号からのSP信号の抽出が必要であるという欠点があった。更にはSP信号が挿入されていないπ/4シフトDQPSK−OFDM方式を使用する差動系モード等の場合には複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定が行えず、別の伝達関数の推定方法、複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定方法を導入する必要があるという欠点があった。また、仮にπ/4シフトDQPSK−OFDM方式を使用する差動系モードにおける伝達関数の推定方法、複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定方法を導入したとしても、階層伝送が行われている場合には各階層ごとに伝達関数の推定方法、複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定方法を切り替える必要があり、そればかりか各階層が同期系モード、差動系モードのいずれか判別する必要もあるという欠点があった。また、上述の理由により、全ての場合に対応するには、計算量、回路規模が増大するという欠点があった。
【0014】
また、上述した自己相関法では、通常の放送、および通信中であっても複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定が行え、OFDM信号を時間信号のまま取り扱うことができ、SP法における問題点が全て解消され、かつスキャッタードパイロットが挿入されていない差動系モードの場合であっても、階層伝送が行われていても、遅延プロファイル推定を行える方法であるが、本来の複素インパルス応答(遅延プロファイル)ではなく自己相関値を算出するものであるため、複素インパルス応答(遅延プロファイル)上に本来存在する遅延波のほかに、図23に示すような疑似遅延波(存在しない遅延波)を算出してしまうといった問題があった。
【0015】
また、上述したFFT法を利用した複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定方法でも、通常の放送、および通信中であっても複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定が行え、OFDM信号の信号帯域のスペクトルさえ得られていれば良いため、SP法における問題が全て解消され、かつスキャッタードパイロットが挿入されていない差動系モードの場合であっても、階層伝送が行われていても、複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定を行える方法であるが、本来の複素インパルス応答(遅延プロファイル)ではなく自己相関値を算出するものであるため、複素インパルス応答(遅延プロファイル)上に本来存在する遅延波のほかに、図23に示すような疑似遅延波(存在しない遅延波)を算出してしまうといった問題があった。
【0016】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、既知信号を使用せず、スキャッタードパイロット等を使用せず、サンプリングレート、モード、ガードインターバル長、同期系モード・差動系モード、階層伝送に関係無く、遅延プロファイル上に疑似遅延波(余計な存在しない遅延波)を検出しない複素インパルス応答(遅延プロファイル)測定方法、および遅延プロファイル測定装置、並びにフィードフォワード型回り込みキャンセラ、およびフィードフォワード型伝送路適応等化器を提供することにある。
【0017】
更には、回路規模の低減、コストの低減が可能な遅延プロファイル測定装置、フィードフォワード型回り込みキャンセラ、フィードフォワード型伝送路適応等化器を提供することを目的とする。
【0018】
<従来のフィードバック型回り込みキャンセラのフィルタタップ係数値算出部のキャンセル残差複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定方法、フィードバック型伝送路適応等化器のフィルタタップ係数値算出部のキャンセル残差複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定方法の課題> また、上述した逆数化既知信号相関法を利用した複素インパルス応答(遅延プロファイル)測定方法では、予め定めた既知の試験信号を送信する必要があるため、通常の放送、および通信を停止して行う必要があり、放送、および通信中に逆数化された複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定が行えないという欠点があった。
【0019】
また、上述した逆数化SP法を利用した複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定方法では、通常の放送、および通信中であっても逆数化された複素インパルス応答(遅延プロファイル)が行えるが、そのためにはOFDM信号の復調を行う必要がある。すなわち、復調を行うために周波数同期、および位相同期を確立する必要があるため周波数同期(AFC)回路、位相同期(APC)回路が必要であり、OFDM信号のサブキャリアをサブキャリア間の直交性を保持したまま得る必要があるためサンプリングレートを適切な数値とし(例えば地上デジタル放送方式の場合には512/63[MHz]の逓倍)とし、OFDM時間信号の有効シンボルの切り出しを適切に行う(時間ウィンドウの位置の最適化する)必要があるため、モードに応じてFFTポイント数を設定し、ガードインターバル長に応じて各々の有効シンボルを切り出す間隔も変更する必要があり、受信信号からのSP信号の抽出が必要であるという欠点があった。更にはSP信号が挿入されていない差動系モード等の場合には逆数化された伝達関数の推定方法、逆数化された複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定が行えず、別の逆数化された複素インパルス応答(遅延プロファイル)を導入する必要があるという欠点があった。また、仮に差動系モードにおける逆数化された伝達関数の推定方法、逆数化された複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定方法を導入したとしても、階層伝送が行われている場合には各階層ごとに逆数化された伝達関数の推定方法、逆数化された複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定方法を切り替える必要があり、そればかりか各階層が同期系モード、差動系モードのいずれか判別する必要もあるという欠点があった。また、上述の理由により、全ての場合に対応するには、計算量、回路規模が増大するという欠点があった。
【0020】
また、上述した逆数化自己相関法では、通常の放送、および通信中であっても遅延プロファイル推定が行え、OFDM信号を時間信号のまま取り扱うことができ、SP法における問題点が全て解消され、かつスキャッタードパイロットが挿入されていない差動系モードの場合であっても、階層伝送が行われていても、逆数化された遅延プロファイル推定を行える方法であるが、本来の逆数化された複素インパルス応答(遅延プロファイル)ではなく、逆数化された自己相関値を算出するものであるため、複素インパルス応答(遅延プロファイル)上に本来存在する遅延波のほかに、疑似遅延波(存在しない遅延波)を算出してしまうといった問題があった。
【0021】
また、上述した逆数化FFT法を利用した複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定方法でも、通常の放送、および通信中であっても逆数化された伝達関数の推定方法、逆数化された複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定が行え、OFDM信号の信号帯域のスペクトルさえ得られていれば良いため、SP法における問題が全て解消され、かつスキャッタードパイロットが挿入されていない差動系モードの場合であっても、階層伝送が行われていても、逆数化された複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定を行える方法であるが、本来の逆数化された複素インパルス応答(遅延プロファイル)ではなく逆数化された自己相関値を算出するものであるため、逆数化された遅延プロファイル上に本来存在する遅延波のほかに、疑似遅延波(存在しない遅延波)を算出してしまうといった問題があった。
【0022】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、既知信号を使用せず、スキャッタードパイロット等を使用せず、サンプリングレート、モード、ガードインターバル長、同期系モード・差動系モード、階層伝送に関係無く、逆数化された伝送路の伝達関数、複素インパルス応答(遅延プロファイル)上に疑似遅延波(存在しない遅延波)を検出しない逆数化された伝送路の伝達関数、複素インパルス応答(遅延プロファイル)測定方法、および逆数化された遅延プロファイル測定装置、およびフィードバック型回り込みキャンセラ、フィードバック型伝送路適応等化器を提供することにある。
【0023】
更には、回路規模の低減、コストの低減が可能な遅延プロファイル測定装置、フィードバック型回り込みキャンセラ、およびキャンセラフィードバック型伝送路適応等化器を提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる遅延プロファイル測定方法は、OFDM信号のスペクトルの平均値から伝送路の伝達関数の振幅特性を推定するステップと、前記伝達関数の振幅特性の対数値と前記伝達関数の位相特性とがヒルベルト変換対となるという条件を用いて、前記伝達関数の振幅特性から伝送路の伝達関数の位相特性を推定するステップと、前記伝達関数の位相特性に基づいて伝送路の伝達関数を算出するステップと、を有する。また本発明にかかる遅延プロファイル測定方法においては、算出された伝送路の伝達関数の逆離散フーリエ変換である複素インパルス応答を算出するステップを有することが好適である。
【0025】
また本発明にかかる遅延プロファイル測定装置は、OFDM信号のスペクトルの平均値から伝送路の伝達関数の振幅特性を推定する振幅特性推定部と、前記伝達関数の振幅特性の対数値と前記伝達関数の位相特性とがヒルベルト変換対となるという条件を用いて、前記伝達関数の振幅特性から伝送路の伝達関数の位相特性を推定する位相特性推定部と、前記伝達関数の位相特性に基づいて伝送路の伝達関数を算出する伝達関数算出部と、を有する。また本発明に係る遅延プロファイル測定装置においては、前記伝達関数算出部は、算出された伝送路の伝達関数の逆離散フーリエ変換である複素インパルス応答を算出することが好適である。
【0026】
また本発明にかかる回り込みキャンセラは、OFDM信号のスペクトルの平均値から伝送路の伝達関数の振幅特性を推定する振幅特性推定部と、前記伝達関数の振幅特性の対数値と前記伝達関数の位相特性とがヒルベルト変換対となるという条件を用いて、前記伝達関数の振幅特性から伝送路の伝達関数の位相特性を推定する位相特性推定部と、前記伝達関数の位相特性に基づいて伝送路のキャンセル残差伝達関数を推定するキャンセル残差伝達関数推定部と、を有する。 また本発明にかかる伝送路適応等化器は、OFDM信号のスペクトルの平均値から伝送路の伝達関数の振幅特性を推定する振幅特性推定部と、前記伝達関数の振幅特性の対数値と前記伝達関数の位相特性とがヒルベルト変換対となるという条件を用いて、前記伝達関数の振幅特性から伝送路の伝達関数の位相特性を推定する位相特性推定部と、前記伝達関数の位相特性に基づいて伝送路のキャンセル残差伝達関数を推定するキャンセル残差伝達関数推定部と、を有する。また、前記キャンセル残差伝達関数推定部は、推定されたキャンセル残差伝達関数の逆離散フーリエ変換である複素インパルス応答を推定することが好適である。
【0027】
【発明の実施の形態】
<遅延プロファイル測定方法、および測定装置、並びにフィードフォワード型回り込みキャンセラのフィルタタップ係数値算出部のキャンセル残差複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定方法、フィードフォワード型伝送路等化器のフィルタタップ係数値算出部のキャンセル残差複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定方法> 以下に添付図面を参照し、発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の第一の実施形態を示している。図1の説明に先立ち、伝送路の伝達関数、および複素インパルス応答(遅延プロファイル)を求める方法を示す。伝送路の伝達関数をS(ω)とおく。このとき、S(ω)は直交座標表示では次の式(18)、すなわち、
【数18】
Figure 0004109513
と、また、極座標表示では、次の式(19)、すなわち、
【数19】
Figure 0004109513
と、表現することができる。ただし、
【数20】
Figure 0004109513
【数21】
Figure 0004109513
である。前述したように、この伝達関数S(ω)をSP信号等を用いて得て、複素インパルス応答(遅延プロファイル)を得るのが一般的である。
【0028】
本発明は、既知信号やSP信号等のパイロット信号を使用できず伝達関数が直接的に得られないため正確な複素インパルス応答(遅延プロファイル)が得られず、従来は自己相関法やFFT法により自己相関値しか得られなかった状況において、最小位相条件を新たに導入することにより、既知信号相関法やSP法と同様に正確な伝達関数(およびこれを逆フーリエ変換して得られる複素インパルス応答)を得ることを可能とする技術である。ここでは、伝送路の伝達関数の振幅特性|S(ω)|(もしくはこれと等価な|S(ω)|2)のみが得られており、伝送路の位相特性arg[S(ω)]が未知の場合について、伝送路の位相特性arg[S(ω)]を得る方法について考える。そのために、極座標表示された伝達関数S(ω)の両辺に複素自然対数をとった次の式(22)に示すSl(ω)について考える。
【数22】
Figure 0004109513
このとき、Sl(ω)の実数部ln|S(ω)|はSl(ω)の偶成分であり、Sl(ω)の虚数部arg[S(ω)]はSl(ω)の奇成分となる。Sl(ω)の逆離散時間フーリエ変換がsl(n)に対応しているものとする。sl(n)が実数でかつ因果性を満たし、かつ安定であるとき、arg[S(ω)]はln|S(ω)|から最小位相条件により、次の式(23)、すなわち、
【数23】
Figure 0004109513
で得られる。ただし、ここでのPは、コーシーの主値積分を表す。ここで、取り扱うS(ω)は安定であることから、sl(n)は因果性も同時に満たす。すなわち、伝送路の伝達関数の位相特性arg[S(ω)]は、伝送路の伝達関数の振幅特性|S(ω)|から求めることが可能である。
【0029】
ここで、振幅特性から位相特性を生成する際に用いる最小位相条件(minimum phase condition)について説明する。
【0030】
任意のインパルス応答w(n)は偶成分we(n)と奇成分wo(n)とに分解して、
【数24】
Figure 0004109513
と表すことができる。ただし、
【数25】
Figure 0004109513
である。式(24)の関係は任意の数列で成り立つ。ここで、w(n)が実際に存在するシステムのインパルス応答のとき、w(n)は因果性を満足するため、we(n)からw(n)を復元することができる(また、n=0のときを除いてwo(n)からw(n)を復元することができる。)。以下、これについて説明する。因果性を満たすw(n)は
【数26】
Figure 0004109513
を満たす。このとき、
【数27】
Figure 0004109513
であり、
【数28】
Figure 0004109513
が成り立つ。したがって、
【数29】
Figure 0004109513
【数30】
Figure 0004109513
が成り立つ。ただし、
【数31】
Figure 0004109513
であり、
【数32】
Figure 0004109513
である。
【0031】
式(29)および式(30)から、因果性を満足しかつ安定な実数の数列のフーリエ変換は、実数部Re[W(ejω )]、または虚数部Im[W(ejω )]と直流成分w(0)のいずれかが既知であれば、W(ejω )が定まる。すなわち、実数部Re[W(ejω )]から虚数部Im[W(ejω )]を生成することが可能である。これは、
【数33】
Figure 0004109513
であり、
【数34】
Figure 0004109513
であることから明らかである。
【0032】
さらに一般的に考察を進める。もし、w(n)が因果性を満足し、安定ならば、実数部Re[W(ejω )]、または虚数部Im[W(ejω )]と直流成分w(0)のいずれかが既知であれば、W(z)を単位円の外側の領域(W(z)の収束領域)のいたるところで定めることができる。単位円の外側、すなわちz=rejω 、r>1、においてW(z)を考える。この場合、
【数35】
Figure 0004109513
である。式(35)は、式(29)により
【数36】
Figure 0004109513
とも表現できる。これは、we(n)・[u+(n)r-n]のフーリエ変換とみなせることから、W(ejω )はwe(n)のフーリエ変換と、[u+(n)r-n]のフーリエ変換の畳み込みとしても得ることができる。式(33)に示したように、we(n)のフーリエ変換はRe[W(ejω )]であり、r>1であれば[u+(n)r-n]のフーリエ変換は
【数37】
Figure 0004109513
である。さらに、複素畳み込みの定理を用いることで、次の式(38)の閉路積分の関係式を得る。
【数38】
Figure 0004109513
または、
【数39】
Figure 0004109513
として表現できる。ここで、Re[W(ejω )]だけが既知とされているので、式(38)、(39)において、Cは単位円でなければならない。式(38)、(39)は、単位円上でのW(z)の実数部を用いて、単位円外のW(z)を表している。ここで、式(39)を線積分として表現するため、v=ejθ として次式を得る。
【数40】
Figure 0004109513
ただし、
【数41】
Figure 0004109513
【数42】
Figure 0004109513
とする。関数Pr(θ)とQr(θ)とは、それぞれポアソン核(Poisson Kernel)または共役ポアソン核(conjugate Poisson kernel)と呼ばれる。式(40)の虚数部から次式を得る。
【数43】
Figure 0004109513
【0033】
単位円上での実数部と、単位円上での虚数部との関係を得るため、
【数44】
Figure 0004109513
を考えると、θ=0のときcot(θ/2)は特異点となるため、定式的にコーシーの主値をとると解釈すると、
【数45】
Figure 0004109513
を得る。ただし、Pはコーシーの主値を示す。したがって、W(ejω )の実数部Re[W(ejω )]から、虚数部Im[W(ejω )]を生成することができる。また、逆にW(ejω )の虚数部Im[W(ejω )]とw(0)から実数部Re[W(ejω )]を生成することもできる。すなわち、実数部、もしくは虚数部のどちらか一方が既知であれば、残る一方を生成することが可能である。このような実数部と虚数部の関係をヒルベルト変換対(Hilbert transform pair)と呼ぶ。ここで、W(ejω )はωの関数となるため、以降W(ω)と記述することとする。
【0034】
以上の実数部と虚数部のヒルベルト変換対の関係を、振幅特性と位相特性の関係に利用するために、伝達関数W(ω)の極座標表示
【数46】
Figure 0004109513
の両辺に対して複素自然対数を施した
【数47】
Figure 0004109513
を考える。このとき、振幅特性(正確には振幅特性の自然対数)ln|W(ω)|が実数部、位相特性arg[W(ω)]が虚数部となり、w(n)が因果性を満たしている場合、Wl(ω)の逆離散フーリエ変換wl(n)の因果性も満足されるため、ln|W(ω)|とarg[W(ω)]には、
【数48】
Figure 0004109513
が成り立ち、振幅特性|W(ω)|(正確には、振幅特性の自然対数ln|W(ω)|)から位相特性arg[W(ω)]を生成することが可能である。逆に、位相特性から振幅特性を生成することも可能である。このように、振幅特性の自然対数ln|W(ω)|と位相特性arg[W(ω)]がヒルベルト変換対になるという条件を最小位相条件(minimun phase condition)と呼ぶ。
【0035】
したがって、既知の|S(ω)|と|S(ω)|から最小位相条件により生成したarg[S(ω)]とを用いて、式(67),(68)の極座標−直交座標変換により、直交座標表示された伝達関数の実数部Re[S(ω)]と虚数部Im[S(ω)]を得る。
【数49】
Figure 0004109513
【数50】
Figure 0004109513
すなわち、伝達関数S(ω)が得られる。またS(ω)を逆フーリエ変換することで、複素インパルス応答(遅延プロファイル)が得られる。
【0036】
次に、最小位相条件(minimum phase condition)を離散フーリエ変換において議論する。離散フーリエ変換のポイント数をN点とすると、インパルス応答w(n)が因果性を満足する場合、
【数51】
Figure 0004109513
を満たす。ここでも、インパルス応答w(n)は偶成分we(n)と奇成分wo(n)とに分解し、
【数52】
Figure 0004109513
と表すことができる。ただし、
【数53】
Figure 0004109513
である。このとき、因果性を表す式(49)は
【数54】
Figure 0004109513
を意味する。したがって、
【数55】
Figure 0004109513
と表される。ただし、
【数56】
Figure 0004109513
である。式(53)を離散フーリエ変換すると、
【数57】
Figure 0004109513
となる。ここに、
【数58】
Figure 0004109513
であり、kが奇数のとき、
【数59】
Figure 0004109513
であることから、
【数60】
Figure 0004109513
となる。また、UN((k−m))Nは、(k−m)<0のとき、UN((k−m))N=UN(N+k−m)であることを示す。一方、
【数61】
Figure 0004109513
【数62】
Figure 0004109513
であることより、式(59)、(60)を式(55)に代入すると、
【数63】
Figure 0004109513
となる。更に整理して
【数64】
Figure 0004109513
となる。ただし、
【数65】
Figure 0004109513
であり、VN((k−m))Nは、(k−m)<0のとき、VN((k−m))N=VN(N+k−m)であることを示す。
【0037】
ここでは、実数部から虚数部を生成したが、逆に虚数部から実数部を生成することも(直流成分の生成を除いて)可能である。このような実数部と虚数部の関係をヒルベルト変換対(Hilbert transform pair)と呼ぶ。すなわち、実数部、もしくは虚数部のどちらか一方が既知であれば、残る一方を生成することが可能である。
【0038】
以上の実数部と虚数部のヒルベルト変換対の関係を、振幅特性と位相特性の関係に利用するために、伝達関数W(k)の極座標表示
【数66】
Figure 0004109513
の両辺に対して複素自然対数を施した
【数67】
Figure 0004109513
を考えると、振幅特性(正確には振幅特性の自然対数)ln|W(k)|が実数部、位相特性arg[W(k)]が虚数部となり、w(n)が因果性を満たしている場合、Wl(k)の逆離散フーリエ変換wl(n)の因果性は満足されるため、ln|W(k)|とarg[W(k)]には、
【数68】
Figure 0004109513
が成り立ち、振幅特性|W(k)|(正確には、振幅特性の自然対数ln|W(k)|)から位相特性arg[W(k)]を生成することが可能である。逆に、位相特性から振幅特性を生成することも可能である。このように、振幅特性の自然対数ln|W(k)|と位相特性arg[W(k)]がヒルベルト変換対になるという条件を最小位相条件(minimun phase condition)と呼ぶ。なお、最小位相条件については、ディジタル信号処理(下)(A.V.オッペンハイム、R.W.シェイファー著、伊達玄訳、昭和53年コロナ社刊)の第7章に記載されている。
【0039】
伝送路の伝達関数、および遅延プロファイルを求める方法を示す。伝送路の伝達関数をS(k)とおく。このとき、S(k)は直交座標表示では、次の式(69)、すなわち、
【数69】
Figure 0004109513
と、また極座標表示では次の式(70)、すなわち、
【数70】
Figure 0004109513
と表現される。ただし、
【数71】
Figure 0004109513
【数72】
Figure 0004109513
である。前述したように、この伝達関数S(k)をSP信号等を用いて得て、複素インパルス応答(遅延プロファイル)を得るのが一般的である。しかしながら、差動系モードのようにSP信号が使用できない状況が存在する。このようにSP信号が存在しない状況であっても伝達関数の推定、複素インパルス応答(遅延プロファイル)の推定が可能な方法を提供するのが本発明の目的である。
【0040】
ここでは、伝送路の伝達関数の振幅特性|S(k)|(もしくはこれと等価な|S(k)|2)のみが得られており、伝送路の位相特性arg[S(k)]が未知の場合について、伝送路の位相特性arg[S(k)]を得る方法について考える。
【0041】
ここで、図1を参照して、上述した処理を実行する本発明の第一の実施形態にかかる遅延プロファイル測定装置10について説明する。A/D変換部12では、受信した(もしくは再送信する)OFDM時間信号からN個の離散時間信号ri(n)を得る。このN個の離散時間信号ri(n)(0≦n≦N−1)を離散フーリエ変換部14によりN点離散フーリエ変換し、周波数領域の信号(すなわち,スペクトル)Ri(k)(0≦k≦N−1)を得る。次に、振幅スペクトル算出部16において周波数領域の信号Ri(k)の振幅スペクトル|Ri(k)|を、次の式(73)、すなわち、
【数73】
Figure 0004109513
により算出する。次に、振幅スペクトル平均化部(振幅特性算出部)18において、1回の離散フーリエ変換により得られる受信信号(もしくは再送信信号)の振幅スペクトルを|Ri(k)|とし、シンボルの異なる(または、時間データの取り込みタイミングをずらして得られた)|Ri(k)|を、次の式(74)に示すようにM(M≧1)個で平均化して、
【数74】
Figure 0004109513
により|S(k)|が得られる。ただし、E[ ]はM個の平均化を表す。ここで用いる振幅スペクトル|Ri(k)|は、OFDM復調を行いサブキャリア間の直交性を保持した状態で得た|Ri(k)|であっても、サブキャリア間の直交性が崩れた状態で得た|Ri(k)|であっても良い(ただし、サブキャリア間の直交性が崩れた状態で|Ri(k)|を得る場合には、OFDM時間信号に適切な窓関数を施してから離散フーリエ変換を施す必要がある。)。ただし、サブキャリアの変調方式として振幅が一定のBPSKやQPSK等を用いている場合、サブキャリア間の直交性を保持した状態で得た|Ri(k)|を用いた場合の方が、サブキャリア間の直交性が崩れた状態で得た|Ri(k)|を用いた場合に比べて、後述する本発明の手法により得られる伝達関数、および遅延プロファイルの精度は高く、サブキャリア間の直交性が崩れた状態で得た|Ri(k)|を用いる場合に、直交性を保持した上で得た|Ri(k)|を用いる場合と伝達関数、および遅延プロファイルの精度を同程度に得るには、Mの数を大きくする必要がある。また、サブキャリアの変調方式として振幅が一定でない64値QAMや16値QAM等の振幅変調を用いている場合では、サブキャリア間の直交性を保持した状態で得た|Ri(k)|を用いた場合でも、サブキャリア間の直交性が崩れた状態で得た|Ri(k)|を用いた場合でも、得られる伝達関数、および複素インパルス応答(遅延プロファイル)の精度は同程度であり、Mの数を大きくするほど精度が向上する。
【0042】
ここで、上述した手法により得られた伝送路の伝達関数の振幅特性|S(k)|(もしくはこれと等価な|S(k)|2)のみが得られており、伝送路の位相特性arg[S(k)]が未知の場合について、伝送路の位相特性arg[S(k)]を得る方法について考えるため、次の式(75)で示すように極座標表示された伝達関数S(k)の両辺に複素自然対数をとったSl(k)について考える。
【数75】
Figure 0004109513
このとき、Sl(k)の実数部ln|S(k)|はSl(k)の偶成分であり、Sl(k)の虚数部arg[S(k)]はSl(k)の奇成分となる。Sl(k)の逆離散フーリエ変換sl(n)が因果性を満たし、かつ安定であるとき、arg[S(k)]は、次の式(76)で示すように、ln|S(k)|から最小位相条件により
【数76】
Figure 0004109513
で伝送路の伝達関数の位相特性arg[S(k)]を近似的に計算することが可能である。ただし、
【数77】
Figure 0004109513
とする。伝送路の伝達関数の振幅特性から式(76)を用いて生成した伝送路の伝達関数の位相特性を図16と図20に示す。図16と図20は、伝送路の伝達関数の実際の位相特性である図15、図19と比較してほぼ一致した位相特性が得られていることがわかる。
【0043】
すなわち、位相特性生成部20では、式(76)により伝達関数の振幅特性|S(k)|から伝達関数の位相特性arg[S(k)]を算出する。
【0044】
極座標−直交座標変換部22では、|S(k)|と|S(k)|から最小位相条件により生成したarg[S(k)]の近似値を用いて、
【数78】
Figure 0004109513
【数79】
Figure 0004109513
により伝達関数S(k)の実数部Re[S(k)]と虚数部Im[S(k)]を得る。逆離散フーリエ変換部24では、
【数80】
Figure 0004109513
により、複素インパルス応答s(n)を算出する。図1の10が本発明にかかる複素インパルス応答(遅延プロファイル)測定装置に相当する。
【0045】
遅延プロファイル測定装置、フィードフォワード型回り込みキャンセラのタップ係数値算出部、またはフィードフォワード型伝送路適応等化器のタップ係数値算出部では、以上のようにして離散時間複素信号s(n)を求めることができる。このs(n)をフィードフォワード型回り込みキャンセラ120a(図3),150a(図6)、またはフィードフォワード型伝送路適応等化器120b(図4),150b(図7)のフィルタタップ係数算出値のキャンセル残差インパルス応答(遅延プロファイル)推定部112,142に用いる場合は、このs(n)を複素信号のまま取り扱い、希望波に対応するn = 0の係数s(0)は使用しない。また、遅延プロファイル測定装置等のように視覚的に表示することを考えた場合には、
【数81】
Figure 0004109513
を求め、各nについて|s(n)|を表示する。以上に述べた本発明の手法により得られた遅延プロファイルを図18、図22に示す。図18、図22は、実際の遅延プロファイルである図17、図21とそれぞれ比較してほぼ一致した遅延プロファイルが得られていることがわかる。特に、図22では、自己相関法、FFT法で問題となっていた図23に示したような疑似遅延波が出現しなくなり、精度の良い遅延プロファイル測定が行われていることがわかる。
【0046】
以上のように、本発明によれば伝達関数の振幅特性から伝達関数の位相特性の近似値を得ることができることから、伝達関数の振幅特性さえ得られていれば伝達関数の推定が可能であり、複素インパルス応答(遅延プロファイル)測定が可能となる。
【0047】
上述した第一の実施形態にかかる遅延プロファイル(複素インパルス応答)測定装置10(図1)は、図3に示す中継装置110のフィードフォワード型回り込みキャンセラ120a、または図4に示す受信装置130のフィードフォワード型伝送路適応等化器120bのフィルタタップ係数値算出部112(図5)に導入することができる。
【0048】
図3に示す中継装置110では、フィードフォワード型回り込みキャンセラ120aにより、受信アンテナ51で受信された受信信号から回り込み波および遅延波成分が除去される。その信号が増幅器(送信装置を含む)55で増幅され送信アンテナ53から送出される。また、図4に示す受信装置130では、フィードフォワード型伝送路適応等化器120bにより、受信アンテナ51で受信された受信信号から遅延波成分が除去された信号がOFDM復調部72に入力される。
【0049】
フィードフォワード型回り込みキャンセラ120a(図3)およびフィードフォワード型伝送路適応等化器120b(図4)は、いずれも、A/D変換部129、直交復調部128、直交変調部126、D/A変換部124、加算器121、複素トランスバーサルフィルタ122、およびフィルタタップ係数値算出部112を含む。本実施形態では、複素トランスバーサルフィルタ122によってキャンセル信号を生成し、加算器121において受信信号からキャンセル信号を差し引くことで、受信信号に含まれる回り込み波および遅延波成分を除去する。キャンセル信号の特性は、複素トランスバーサルフィルタ122のフィルタタップ係数値に応じたものとなる。
【0050】
図5に示すように、複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定部114において、OFDM時間信号(再送信信号または等化処理後の受信信号)から複素インパルス応答s(n)(0≦n≦N−1)が得られる。更新タップ係数値算出部116において、このs(n)からフィルタタップ係数値h(n)(0<n≦N−1)が算出される。
【0051】
また、上述した第一の実施形態にかかる遅延プロファイル(複素インパルス応答)測定手法は、図6に示す中継装置140のフィードフォワード型回り込みキャンセラ150a、あるいは図7に示す受信装置160のフィードフォワード型伝送路適応等化器150bのフィルタタップ係数値算出部142(図8)にも導入することができる。
【0052】
フィードフォワード型回り込みキャンセラ150a(図6)およびフィードフォワード型伝送路適応等化器150b(図7)は、いずれも、A/D変換部81、D/A変換部85、直交復調部156、直交変調部154、加算器151、複素トランスバーサルフィルタ152、およびフィルタタップ係数値算出部142を含む。本実施形態では、複素トランスバーサルフィルタ152によってキャンセル信号を生成し、加算器151において受信信号からキャンセル信号を差し引くことで、受信信号に含まれる回り込み波および遅延波成分を除去する。キャンセル信号の特性は、複素トランスバーサルフィルタ152のフィルタタップ係数値に応じたものとなる。
【0053】
図8に示すように、複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定部144において、A/D変換された後のOFDM時間信号(再送信信号、等化処理後の受信信号)から複素インパルス応答s(n)(0≦n≦N−1)が得られる。なお、この複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定部144は、上述した手法により遅延プロファイル(複素インパルス応答)を取得する遅延プロファイル測定装置10(図1)から、A/D変換部12を取り除いたものに相当する。そして、更新タップ係数値算出部146において、このs(n)からフィルタタップ係数値h(n)(0<n≦N−1)が算出される。
【0054】
<逆数化された遅延プロファイル測定方法、および測定装置、並びにフィードバック型回り込みキャンセラのフィルタタップ係数値算出部のキャンセル残差複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定方法、およびフィードバック型伝送路適応等化器のフィルタタップ係数値算出部のキャンセル残差複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定方法> 以上に述べた遅延プロファイル測定方法に伝達関数の逆数化を導入することで、フィードバック型回り込みキャンセラのフィルタタップ係数値算出部のキャンセル残差複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定方法を構成することも可能である。図2は、本発明の第二の実施形態を示している。
【0055】
図2の説明に先立ち、逆数化された伝送路の伝達関数、および逆数化された複素インパルス応答(遅延プロファイル)を求める方法を示す。逆数化された伝送路の伝達関数をT(ω)とおく。ただし、実際の伝達関数をS(ω)としたとき、S(ω)とT(ω)はT(ω) = A/S(ω)なる関係にある。ここでの係数Aは補正係数であり、逆数化された複素インパルス応答(遅延プロファイル)算出結果のレベル調整を行うために設定する。このとき、T(ω)は直交座標表示では、次の式(82)、すなわち、
【数82】
Figure 0004109513
と、また極座標表示では、次の式(83)、すなわち、
【数83】
Figure 0004109513
と、表現される。ただし、
【数84】
Figure 0004109513
【数85】
Figure 0004109513
である。
【0056】
ここでは、逆数化された伝送路の伝達関数の振幅特性|T(ω)|(もしくはこれと等価な|T(ω)|2)のみが得られており、伝送路の伝達関数の位相特性arg[T(ω)]が未知の場合について、伝送路の伝達関数の位相特性arg[T(ω)]を得る方法について考える。そのために、極座標表示された伝達関数T(ω)の両辺に複素自然対数をとった次の式(86)に示すTl(ω)について考える。
【数86】
Figure 0004109513
このとき、Tl(ω)の実数部ln|T(ω)|はTl(ω)の偶成分であり、Tl(ω)の虚数部arg[T(ω)]はTl(ω)の奇成分となる。Tl(ω)の逆離散時間フーリエ変換がtl(n)に対応しているものとする。tl(n)が実数でかつ因果性を満たし、かつ安定であるとき、次の式(87)に示すように、arg[T(ω)]はln|T(ω)|から最小位相条件により、
【数87】
Figure 0004109513
で得られる。ただし、ここでのPは、コーシーの主値積分を表す。ここで、取り扱うT(ω)は安定であることから、tl(n)は因果性も同時に満たす。すなわち、伝送路の伝達関数の位相特性arg[T(ω)]は、伝送路の伝達関数の振幅特性|T(ω)|から求めることが可能である。
【0057】
したがって、既知の|T(ω)|と|T(ω)|から最小位相条件により生成したarg[T(ω)]とを用いて、式(88),(89)の極座標−直交座標変換により、直交座標表示された伝達関数の実数部Re[T(ω)]と虚数部Im[T(ω)]を得る。
【数88】
Figure 0004109513
【数89】
Figure 0004109513
すなわち、逆数化された伝達関数T(ω)が得られる。またT(ω)を逆フーリエ変換することで、逆数化された遅延プロファイルが得られる。
【0058】
以上の論理を、実際の処理において使用される離散フーリエ変換上において展開する。
【0059】
ここでも、伝送路の伝達関数の振幅特性|T(k)|(もしくはこれと等価な|T(k)|2)のみが得られており、伝送路の伝達関数の位相特性arg[T(k)]が未知の場合について、伝送路の伝達関数の位相特性arg[T(k)]を得る方法について考える。まず、伝送路の伝達関数の振幅特性|T(k)|を得る方法について考える。
【0060】
ここで、図2を参照して、上述した処理を実行する本発明の第二の実施形態にかかる遅延プロファイル測定装置30について説明する。図2のA/D変換部12では、受信した(もしくは再送信する)OFDM時間信号からN個の離散時間信号ri(n)を得る。このN個の離散時間信号ri(n)(0≦n≦N−1)を離散フーリエ変換部14によりN点離散フーリエ変換し、周波数領域の信号(すなわち,スペクトル)Ri(k)(0≦k≦N−1)を得る。次に、振幅スペクトル算出部16において周波数領域の信号Ri(k)の振幅スペクトル|Ri(k)|を
【数90】
Figure 0004109513
により算出する。次に振幅スペクトル平均化部(振幅特性算出部)18において、1回の離散フーリエ変換により得られる振幅スペクトルを|Ri(k)|とし、シンボルの異なる(または、時間データの取り込みタイミングをずらして得られた)|Ri(k)|をM(M≧1)個で平均化した
【数91】
Figure 0004109513
により|S(k)|が得られる。ただし、E[ ]はM個の平均化を表す。ここで用いる振幅スペクトル|Ri(k)|は、OFDM復調を行いサブキャリア間の直交性を保持した状態で得た|Ri(k)|であっても、サブキャリア間の直交性が崩れた状態で得た|Ri(k)|であっても良い。ただし、サブキャリアの変調方式として振幅が一定のBPSKやQPSK等を用いている場合、サブキャリア間の直交性を保持した状態で得た|Ri(k)|を用いた場合の方が、サブキャリア間の直交性が崩れた状態で得た|Ri(k)|を用いた場合に比べて、後述する本発明の手法により得られる伝達関数、および複素インパルス応答(遅延プロファイル)の精度は高く、サブキャリア間の直交性が崩れた状態で得た|Ri(k)|を用いる場合に、直交性を保持した上で得た|Ri(k)|を用いる場合と伝達関数、および複素インパルス応答(遅延プロファイル)の精度を同程度に得るには、Mの数を大きくする必要がある。また、サブキャリアの変調方式として振幅が一定でない64値QAMや16値QAM等の振幅変調を用いている場合では、サブキャリア間の直交性を保持した状態で得た|Ri(k)|を用いた場合でも、サブキャリア間の直交性が崩れた状態で得た|Ri(k)|を用いた場合でも、得られる伝達関数、および複素インパルス応答(遅延プロファイル)の精度は同程度であり、Mの数を大きくするほど精度が向上する。ここで、フィードバック型回り込みキャンセラ60a(図9),90a(図12)では、複素インパルス応答(遅延プロファイル)を逆数化して得る必要がある。このため本実施形態では、逆数算出部32において、次の式(92)に示すように、振幅スペクトル|Ri(k)|を平均化して得られた振幅特性|S(k)|の逆数、
【数92】
Figure 0004109513
を得る。ただし、ここでの係数Aは補正係数であり、逆数化された複素インパルス応答(遅延プロファイル)算出結果のレベル調整を行うために設定する。この|T(k)|に対し、位相特性生成部20において、次の式(93)、すなわち、
【数93】
Figure 0004109513
により逆数化された伝送路の伝達関数の位相特性arg[T(k)]を近似的に計算することが可能である。ただし、
【数94】
Figure 0004109513
とする。
【0061】
変換部22では、|T(k)|と得られたarg[T(k)]の近似値を用いて、
【数95】
Figure 0004109513
【数96】
Figure 0004109513
により逆数化された伝達関数T(k)の実数部Re[T(k)]と虚数部Im[T(k)]を得る。逆離散フーリエ変換部24では、次の式(97)、すなわち、
【数97】
Figure 0004109513
により、逆数化された複素インパルス応答t(n)を算出する。かかる逆離散フーリエ変換部24が、本発明にかかる伝達関数推定部に相当する。
【0062】
逆数化された遅延プロファイル測定装置、またはフィードバック型回り込みキャンセラのフィルタタップ係数値算出部のキャンセル残差複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定方法、またはフィードバック型伝送路適応等化器のフィルタタップ係数値算出部のキャンセル残差複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定方法においては、以上のように複素インパルス応答t(n)を求める。このt(n)をフィードバック型回り込みキャンセラ60a(図9),90a(図12)、フィードバック型伝送路適応等化器60b(図10),90b(図13)のフィルタタップ係数値算出部52,82のキャンセル残差遅延プロファイル推定部として用いる場合は、このt(n)を複素信号のまま取り扱い、希望波に対応するn=0の係数t(0)は使用しない。また、遅延プロファイル測定装置等のように視覚的に表示することを考えた場合、
【数98】
Figure 0004109513
を求め、各nについて|t(n)|を表示する。
【0063】
以上のように逆数化された伝達関数の振幅特性から逆数化された伝達関数の位相特性の近似値を得ることができることから、逆数化された振幅特性さえ得られていれば逆数化された伝達関数の推定が可能であり、逆数化された複素インパルス応答(遅延プロファイル)測定も可能である。
【0064】
上述した本発明の第二の実施形態にかかる遅延プロファイル(複素インパルス応答)測定装置30(図2)は、図9に示す中継装置50のフィードバック型回り込みキャンセラ60a、あるいは図10に示す受信装置70のフィードバック型伝送路適応等化器60bのフィルタタップ係数値算出部52(図11)に導入することができる。
【0065】
図9に示す中継装置50では、フィードバック型回り込みキャンセラ60aにより、受信アンテナ51で受信された受信信号から回り込み波および遅延波成分が除去される。その信号が増幅部(送信装置を含む)55で増幅され送信アンテナ53から送出される。また、図10に示す受信装置70では、フィードバック型伝送路適応等化器60bにより、受信アンテナ51で受信された受信信号から遅延波成分が除去され、再送信信号が取得される。その再送信信号がOFDM復調部72に入力される。
【0066】
フィードバック型回り込みキャンセラ60a(図9)およびフィードバック型伝送路適応等化器60b(図10)は、いずれも、A/D変換部64、直交復調部66、複素トランスバーサルフィルタ62、直交変調部68、D/A変換部69、加算器57、およびフィルタタップ係数値算出部52を含む。本実施形態では、複素トランスバーサルフィルタ62によってキャンセル信号を生成し、加算器57において受信信号からキャンセル信号を差し引くことで、受信信号に含まれる回り込み波および遅延波成分を除去する。キャンセル信号の特性は、複素トランスバーサルフィルタ62のフィルタタップ係数値に応じたものとなる。
【0067】
図11に示すように、逆数化された複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定部54において、OFDM時間信号(再送信信号)から逆数化された複素インパルス応答t(n)(0≦n≦N−1)が取得される。更新タップ係数値算出部56において、このt(n)(0≦n≦N−1)から、更新係数等を用いた各種更新アルゴリズムを用いてフィルタタップ係数値(複素タップ係数値)h(n)(0<n≦N−1)が算出される。
【0068】
また、上述した第二の実施形態にかかる遅延プロファイル(複素インパルス応答)測定手法は、図12に示す中継装置80のフィードバック型回り込みキャンセラ90a、あるいは図13に示す受信装置100のフィードバック型伝送路適応等化器90bのフィルタタップ係数値算出部82(図14)にも導入することができる。
【0069】
図12に示す中継装置80では、フィードバック型回り込みキャンセラ90aにより、受信アンテナ51で受信された受信信号から回り込み波および遅延波成分が除去される。その信号が増幅器(送信装置を含む)55で増幅され送信アンテナ53から送出される。また、図13に示す受信装置100では、フィードバック型伝送路適応等化器90bにより、受信アンテナ51で受信された受信信号から遅延波成分が除去された信号がOFDM復調部72に入力される。
【0070】
フィードバック型回り込みキャンセラ90a(図12)およびフィードバック型伝送路適応等化器90b(図13)は、いずれも、A/D変換部81、加算器83、D/A変換部85、直交復調部94、複素トランスバーサルフィルタ92、直交変調部96、およびフィルタタップ係数値算出部82を含む。本実施形態では、複素トランスバーサルフィルタ92によってキャンセル信号を生成し、加算器83においてA/D変換された受信信号からキャンセル信号を差し引くことで、受信信号に含まれる回り込み波および遅延波成分を除去する。キャンセル信号の特性は、複素トランスバーサルフィルタ92のフィルタタップ係数値に応じたものとなる。
【0071】
図14に示すように、逆数化された複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定部84において、A/D変換された後のOFDM時間信号(再送信信号または等化処理後の受信信号)から逆数化された複素インパルス応答t(n)(0≦n≦N−1)が得られる。なお、この複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定部84は、上述した手法により遅延プロファイル(複素インパルス応答)を取得する遅延プロファイル測定装置30(図2)から、A/D変換部12を取り除いたものに相当する。そして、更新タップ係数値算出部86において、このt(n)からフィルタタップ係数値h(n)(0<n≦N−1)が算出される。
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば、OFDM方式においてSP信号等の特別な基準信号を用いることなく、伝送路の伝達関数の振幅特性から伝送路の伝達関数の位相特性を推定し、伝送路の伝達関数を推定、すなわち複素インパルス応答(遅延プロファイル)を算出することができる。その結果、既知信号を使用せず、SP信号等を使用しないため、通常の放送、通信を行いながら伝達関数の推定、すなわち複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定が可能であり、その上サンプリングレート、モード、ガードインターバル長、同期系モード・差動系モード、階層伝送に関係無く、自己相関法により得た簡易的な複素インパルス応答(遅延プロファイル)測定で問題となっていた疑似遅延波(余計な存在しない遅延波)を検出しない本来の複素インパルス応答(遅延プロファイル)測定、および回り込みキャンセラのフィルタタップ係数値算出部のキャンセル残差複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定を行うことが可能である。また、本発明では、以上の理由により伝達関数の振幅特性さえ得られていれば伝達関数、すなわち複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定を行うことが可能であるため、遅延プロファイル測定装置、およびフィードフォワード型回り込みキャンセラ、フィードフォワード型伝送路適応等化器の装置化も容易となる。更には、周波数同期回路、位相同期回路が不要となるため、回路規模が大幅に削減され、同時にコストも大幅に削減される。
【0073】
更に、本発明によればOFDM方式においてSP信号等の特別な基準信号を用いることなく、逆数化された伝送路の伝達関数の振幅特性から逆数化された伝送路の伝達関数の位相特性を推定し、逆数化された伝送路の伝達関数を推定、すなわち逆数化された複素インパルス応答(遅延プロファイル)を算出することができる。その結果、既知信号を使用せず、SP信号等を使用しないため、通常の放送、通信を行いながら逆数化された伝達関数の推定、すなわち逆数化された複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定が可能であり、その上サンプリングレート、モード、ガードインターバル長、同期系モード・差動系モード、階層伝送に関係無く、自己相関法により得た簡易的な複素インパルス応答(遅延プロファイル)測定で問題となっていた疑似遅延波(余計な存在しない遅延波)を検出しない本来の複素インパルス応答(遅延プロファイル)測定、およびフィードバック型の回り込みキャンセラ、フィードバック型伝送路適応等化器のフィルタタップ係数値算出部のキャンセル残差複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定が可能である。また、本発明では、以上の理由により逆数化された伝達関数の振幅特性さえ得られていれば逆数化された伝達関数、すなわち逆数化された複素インパルス応答(遅延プロファイル)測定を行うことが可能であるため、逆数化された遅延プロファイル測定装置、フィードバック型伝送路適応等化器、および回り込みキャンセラの装置化も容易となる。更には、周波数同期回路、位相同期回路が不要となるため、回路規模が大幅に削減され、同時にコストも大幅に削減される。
【0074】
また本発明によるフィードフォワード型伝送路適応等化器、またはフィードバック型伝送路適応等化器をOFDM復調部の前段に設けることにより、OFDM復調部におけるシンボル同期等が取り易くなることで、OFDM復調が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一の実施形態にかかる遅延プロファイル測定装置のブロック図である。
【図2】 本発明の第二の実施形態にかかる遅延プロファイル測定装置のブロック図である。
【図3】 本発明の第一の実施形態にかかる遅延プロファイル測定方法を用いてフィルタタップ係数値を算出するフィルタタップ係数値算出部を有するフィードフォワード型回り込みキャンセラを用いた中継装置の構成例を示す図である。
【図4】 本発明の第一の実施形態にかかる遅延プロファイル測定方法を用いてフィルタタップ係数値を算出するフィルタタップ係数値算出部を有するフィードフォワード型伝送路適応等化器を用いた受信装置の構成例を示す図である。
【図5】 図3のフィードフォワード型回り込みキャンセラ、または図4のフィードフォワード型伝送路適応等化器のフィルタタップ係数値算出部の構成例を示すブロック図である。
【図6】 本発明の第一の実施形態にかかる遅延プロファイル測定方法を用いてフィルタタップ係数値を算出するフィルタタップ係数値算出部を有するフィードフォワード型回り込みキャンセラを用いた中継装置の構成例を示す図である。
【図7】 本発明の第一の実施形態にかかる遅延プロファイル測定方法を用いてフィルタタップ係数値を算出するフィルタタップ係数値算出部を有するフィードフォワード型伝送路適応等化器を用いた受信装置の構成例を示す図である。
【図8】 図6のフィードフォワード型回り込みキャンセラ、または図7のフィードフォワード型伝送路適応等化器のフィルタタップ係数値算出部の構成例を示すブロック図である。
【図9】 本発明の第二の実施形態にかかる遅延プロファイル測定方法を用いてフィルタタップ係数値を算出するフィルタタップ係数値算出部を有するフィードバック型回り込みキャンセラを用いた中継装置の構成を示すブロック図である。
【図10】 本発明の第二の実施形態にかかる遅延プロファイル測定方法を用いてフィルタタップ係数値を算出するフィルタタップ係数値算出部を有するフィードバック型伝送路適応等化器を用いた受信装置の構成を示すブロック図である。
【図11】 図9のフィードバック型回り込みキャンセラ、または図10のフィードバック型伝送路適応等化器のフィルタタップ係数値算出部の構成例を示すブロック図である。
【図12】 本発明の第二の実施形態にかかる遅延プロファイル測定方法を用いてフィルタタップ係数値を算出するフィルタタップ係数値算出部を有するフィードバック型回り込みキャンセラを用いた中継装置の構成を示すブロック図である。
【図13】 本発明の第二の実施形態にかかる遅延プロファイル測定方法を用いてフィルタタップ係数値を算出するフィルタタップ係数値算出部を有するフィードバック型伝送路適応等化器を用いた受信装置の構成を示すブロック図である。
【図14】 図12のフィードバック型回り込みキャンセラ、または図13のフィードバック型伝送路適応等化器のフィルタタップ係数値算出部の構成例を示すブロック図である。
【図15】 実際の伝達関数の位相特性(希望波:電力D=0[dB]、遅延時間n=0、位相=0度、遅延波:希望波電力対非希望波電力比D/U=10[dB]、遅延時間n=20、位相=0度)を示す図である。
【図16】 式(76)により伝達関数の振幅特性から生成した伝達関数の位相特性(希望波:電力D=0[dB]、遅延時間n=0、位相=0度、遅延波:希望波電力対非希望波電力比D/U=10[dB]、遅延時間n=20、位相=0度)を示す図である。
【図17】 実際の遅延プロファイル(希望波:電力D=0[dB]、遅延時間n=0、位相=0度、遅延波:希望波電力対非希望波電力比D/U=10[dB]、遅延時間n=20、位相=0度)を示す図である。
【図18】 本実施形態にかかる遅延プロファイル測定装置によって得られた遅延プロファイル(希望波:電力D=0[dB]、遅延時間n=0、位相=0度、遅延波:希望波電力対非希望波電力比D/U=10[dB]、遅延時間n=20、位相=0度)を示す図である。
【図19】 実際の伝達関数の位相特性(希望波:電力D=0[dB]、遅延時間n=0、位相=0度、遅延波:希望波電力対非希望波電力比D/U=10,10[dB]、遅延時間n=25,35、位相=170,30度)を示す図である。
【図20】 式(76)により伝達関数の振幅特性から生成された伝達関数の位相特性(希望波:電力D=0[dB]、遅延時間n=0、位相=0度、遅延波:希望波電力対非希望波電力比D/U=10,10[dB]、遅延時間n=25,35、位相=170,30度)を示す図である。
【図21】 実際の遅延プロファイル(希望波:電力D=0[dB]、遅延時間n=0、位相=0度、遅延波:希望波電力対非希望波電力比D/U=10,10[dB]、遅延時間n=25,35、位相=170,30度)を示す図である。
【図22】 本実施形態にかかる遅延プロファイルにより得られた遅延プロファイル(希望波:電力D=0[dB]、遅延時間n=0、位相=0度、遅延波:希望波電力対非希望波電力比D/U=10,10[dB]、遅延時間n=25,35、位相=170,30度)を示す図である。
【図23】 自己相関法(またはFFT法)による遅延プロファイル(自己相関値)(希望波:電力D=0[dB]、遅延時間n=0、位相=0度、遅延波:希望波電力対非希望波電力比D/U=10,10[dB]、遅延時間n=25,35、位相=170,30度)を示す図である。
【図24】 従来の遅延プロファイル測定装置の構成図である。
【図25】 従来の遅延プロファイル測定装置(SP法)の構成図である。
【図26】 従来の遅延プロファイル測定装置(自己相関法)の構成図である。
【図27】 従来の遅延プロファイル測定装置(FFT法)の構成図である。
【図28】 従来の逆数化された遅延プロファイル測定装置(SP法)の構成図である。
【図29】 従来の逆数化された遅延プロファイル測定装置(FFT法)の構成図である。
【符号の説明】
10,30 遅延プロファイル測定装置
12 A/D変換部
14 離散フーリエ変換部
16 振幅スペクトル算出部
18 振幅スペクトル平均化部
20 位相特性生成部
22 極座標−直交座標変換部
24 逆離散フーリエ変換部
32 逆数算出部
50,80,110,140 中継装置
52,82,112,142 フィルタタップ係数値算出部
54,84,114,144 複素インパルス応答(遅延プロファイル)推定部
56,86,116,146 更新タップ係数値算出部
60a,90a フィードバック型回り込みキャンセラ
60b,90b フィードバック型伝送路適応等化器
62,92,122,152 複素トランスバーサルフィルタ
70,100,130,160 受信装置
120a,150a フィードフォワード型回り込みキャンセラ
120b,150b フィードフォワード型伝送路適応等化器。

Claims (7)

  1. OFDM信号のスペクトルの平均値から伝送路の伝達関数の振幅特性を推定するステップと、
    前記伝達関数の振幅特性の対数値と前記伝達関数の位相特性とがヒルベルト変換対となるという条件を用いて、前記伝達関数の振幅特性から伝送路の伝達関数の位相特性を推定するステップと、
    前記伝達関数の位相特性に基づいて伝送路の伝達関数を算出するステップと、
    を有する遅延プロファイル測定方法。
  2. 請求項1に記載の遅延プロファイル測定方法であって、
    算出された伝送路の伝達関数の逆離散フーリエ変換である複素インパルス応答を算出するステップを有する遅延プロファイル測定方法。
  3. OFDM信号のスペクトルの平均値から伝送路の伝達関数の振幅特性を推定する振幅特性推定部と、
    前記伝達関数の振幅特性の対数値と前記伝達関数の位相特性とがヒルベルト変換対となるという条件を用いて、前記伝達関数の振幅特性から伝送路の伝達関数の位相特性を推定する位相特性推定部と、
    前記伝達関数の位相特性に基づいて伝送路の伝達関数を算出する伝達関数算出部と、
    を有する遅延プロファイル測定装置。
  4. 請求項3に記載の遅延プロファイル測定装置であって、
    前記伝達関数算出部は、
    算出された伝送路の伝達関数の逆離散フーリエ変換である複素インパルス応答を算出する遅延プロファイル測定装置。
  5. OFDM信号のスペクトルの平均値から伝送路の伝達関数の振幅特性を推定する振幅特性推定部と、
    前記伝達関数の振幅特性の対数値と前記伝達関数の位相特性とがヒルベルト変換対となるという条件を用いて、前記伝達関数の振幅特性から伝送路の伝達関数の位相特性を推定する位相特性推定部と、
    前記伝達関数の位相特性に基づいて伝送路のキャンセル残差伝達関数を推定するキャンセル残差伝達関数推定部と、
    を有し、受信信号に含まれる回り込み波および/または遅延波成分を除去する回り込みキャンセラ。
  6. OFDM信号のスペクトルの平均値から伝送路の伝達関数の振幅特性を推定する振幅特性推定部と、
    前記伝達関数の振幅特性の対数値と前記伝達関数の位相特性とがヒルベルト変換対となるという条件を用いて、前記伝達関数の振幅特性から伝送路の伝達関数の位相特性を推定する位相特性推定部と、
    前記伝達関数の位相特性に基づいて伝送路のキャンセル残差伝達関数を推定するキャンセル残差伝達関数推定部と、
    を有し、受信信号に含まれる遅延波成分を除去する伝送路適応等化器。
  7. 前記キャンセル残差伝達関数推定部は、
    前記伝達関数の位相特性に基づいて伝送路のキャンセル残差伝達関数を推定し、推定されたキャンセル残差伝達関数の逆離散フーリエ変換である複素インパルス応答を推定する請求項5に記載の回り込みキャンセラ、または請求項6に記載の伝送路適応等化器。
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