JP3787040B2 - 回り込みキャンセラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式によるデジタル放送やデジタル伝送における中継所(具体的には、中継装置)に係り、特に、SFN(Single Frequency Network:単一周波数ネットワーク)における中継放送所の送受信アンテナ間での電波の回り込みや、マルチパスによるエコーあるいは複数の送信局により同一の信号が送信される複局送信時の本来受信すべき親局以外からの受信波等(以下、回り込みと言う)を除去するための回り込みキャンセラに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在検討が進められている地上デジタル放送ではBST−OFDM(Band Segmented Transmission Orthogonal Frequency Division Multiplexing) 方式が有力である。この方式はマルチパス歪みに対して強く、様々なサービス形態に対応できるなどの利点とともに、SFNが可能であるという特徴をもっている。地上デジタル放送を導入するに当たり、既存のアナログ放送と共存するために、デジタル放送は空きチャンネルを利用する必要がある。一方、空きチャンネルの数は少ないために、SFNは必要条件となる。
【0003】
SFNを実現する上で問題となるのは、非分離型放送波中継所における送受信アンテナ間での回り込み現象であり、伝送品質の劣化を生じるのみでなく、送受信アンテナ間での結合量が大きい場合には発振を引き起こし、再送信を不能にしてしまう。回り込みの量を小さくするには、受信アンテナと送信アンテナの物理的距離を離す方法(いわゆる分離型放送波中継所)があるが、コスト的に不利である。
【0004】
このような放送波中継所の送受信アンテナ間での回り込みを除去する回り込みキャンセラとしては、本発明者らの発明に係る回り込みキャンセラ(特願平10−162189号「回り込みキャンセラ」)がある。
【0005】
以下に、この回り込みキャンセラについて説明する。
図4は、中継信号の判定/再変調を行わないで、親局波をそのまま増幅して再送信する直接中継方式による回り込みキャンセラを用いた中継放送装置の構成例(図4の構成を構成例1という)を示している。
このような構成においては、SFN用の放送波中継所は同一周波数で再送信するため、送信アンテナ1から受信アンテナ2に電波が回り込む。破線で囲んで示す回り込みキャンセラは、この回り込み波を減算器3、FIR(Finite-duration Impulse Response) フィルタ4およびFIRフィルタ係数制御回路5を用いて回り込み波の複製を作成し、回り込み波の打ち消しを行うものである。
【0006】
回り込みキャンセラの原理を数式を用いて説明する。ここで扱う信号は、特にことわらない限り全て複素数であるものとする。まず、親局の送信信号をXt(ω)とし、これに親局の周波数や位相誤差のあるいはπ/4シフトDQPSKの位相回転、さらには振幅変動としてe(ω)が乗算され、親局からの受信波Xt(ω)e(ω)として受信アンテナ1に到達する。回り込み波をC(ω)とし、FIRフィルタの特性をW(ω)、バンドパスフィルタ6と増幅器7の総合周波数特性をG(ω)とする。図示の観測点Pにおける信号をS(ω)とすると観測点Pにおける伝達関数F(ω)は次式で表すことができる。
【数3】
【0007】
回り込み波キャンセラの最適条件は、G(ω)C(ω)=W(ω)であるから、誤差信号Err(ω)は
【数4】
となる。このErr(ω)を最小化することで、回り込み波のキャンセルを行っている。しかし、(2)式の最右辺第2項の分子には、e(ω)なる周波数誤差や位相誤差、あるいはπ/4シフトDQPSKの位相回転などが含まれており、従来の回り込みキャンセラにおいては、何らかの位相/周波数同期手段を具備する必要があった。
【0008】
図5も、図4と同様、直接中継方式による回り込みキャンセラを用いた中継放送装置の別の構成例(図5の構成を構成例2という)を示している。図4の構成と異なる点は、FIRフィルタ4およびFIRフィルタ係数生成回路5に供給される信号が増幅器7の出力信号図4では、減算器3の出力信号)であることである。
【0009】
構成例2の場合も、構成例1と同様な手順で観測点Pにおける伝達関数F(ω)を計算すると次式が得られる。
【数5】
回り込み波キャンセル最適条件は、C(ω)=W(ω)であるから、キャンセル残差信号Err(ω)は
【数6】
となる。この場合は、キャンセル残差信号Err(ω)にG(ω)が残っていて、構成例2の場合はG(ω)を予め知る必要がある。(4)式で表されるErr(ω)を最小化することで、回り込み波のキャンセルを行っている。しかし、(4)式の最右辺第2項の分子には、e(ω)なる周波数誤差や位相誤差、あるいはπ/4シフトDQPSKの位相回転などが含まれており、従って、この構成例(構成例2)においても何らかの位相・周波数同期手段を具備する必要がある。
【0010】
図6は、回り込みキャンセラの具体例を示している。本例は、上述の構成例1に基づく回路構成例となっている。
図6においては、まず、減算器3の出力をFFT(Fast Fourier Transform)またはDFT(Discrete Fourier Transform )8によって観測点Pの信号を周波数領域の信号に変換する。これにより変換された信号をS(i,k) とする。
ここで、iはOFDMのシンボル番号(整数)を表している。また、kはOFDMのキャリア番号で、Kを総キャリア数とすると、0≦k<Kの範囲の整数である。
【0011】
次に、基準信号あるいはデータ判定等により得られる送信信号の推定値をX(i,k) とすると、観測点Pにおける周波数特性F(i,k) は、複素除算回路(A)9で次式の演算を行うことによって求めることができる。
【数7】
【0012】
次段のキャンセル残差演算回路10は、回り込みキャンセル後の残差の周波数特性Err(i,k) を上述の(2)式に基づいて、次式の演算を行う回路で実現する。
【数8】
ここで、e(i) は、iシンボル時の周波数/位相誤差、あるいはπ/4シフトDQPSKの位相回転である。従来の回り込みキャンセラでは、このe(i) を何らかの周波数・位相同期手段によって予めうち消しておく必要があった。
【0013】
こうして求めたキャンセル残差の周波数特性Err(i,k) をIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)またはIDFT(Inverse Discrete Fourier Transform )11により、時間領域の信号err(i,n) に変換することで、観測点Pの複素インパルス応答を求めることができる。ここで、NをIFFTまたはIDFTの変換ポイント数とすると、時間領域の信号err(i,n) のnは0≦n<Nの範囲の整数である。
ここで、時間領域の信号err(i,n) としては、1シンボルあたりN個の複素情報が得られる。回り込み波の存在する最大遅延時間の番号をMとすると、FIRフィルタ4に要求される最大タップ長もMとなる。ここでFIRフィルタ4のタップ番号をm(1≦m<M)とする。
通常は、N>Mであるから、FIRフィルタの制御にあたっては、時間領域の信号err(i,n) において主波の番号であるn=0およびFIRフィルタ制御外の番号であるn>Mの信号を切り捨て、回り込みキャンセル後の残差のインパルスレスポンスerr(i,m) のみを取り出すようにする。
【0014】
係数抽出回路12は、この切り捨て処理および次式の逐次更新式によりFIRフィルタ4のタップ係数を制御する回路である。
【数9】
ここで、w(i,m) はFIRフィルタ4のタップ係数、μは1以下の更新係数である。
【0015】
なお、上記地上デジタル放送方式については、三木信之、黒田徹、堀江力、広瀬慎介、福原黎児、小室憲司、「地上ディジタルテレビジョン放送実証実験用送信設備」映像情報メディア学会誌、Vol.53,No. 2,pp187−193,1999などを参照されたい。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、以上説明した従来の回り込みキャンセラには、次の4つの点、すなわち、(1)親局からの受信波(以下、親局波という)に対して周波数同期や位相同期が確立している必要がある、(2)親局波の振幅(電力)の変動が充分抑圧されている必要がある、(3)地上デジタル放送方式として検討されているキャリア変調方式の一つであるπ/4シフトDQPSK−OFDM方式に対しては、そのままでは適用することができないという解決すべき課題があった。
【0017】
さらに、それぞれについて詳細に説明するならば、
上記(1)に関しては、親局波に対して周波数同期や位相同期を確立するためのAFC回路やAPC回路を具備する必要があった。特に位相同期に関しては、親局波の絶対位相を再生する同期検波を行う必要がある。
上記(2)に関しては、中継放送所の受信点において回り込み波と親局波とを分離できないため、親局波の振幅・位相情報を含む主波成分(以下、主波という)のみの振幅を一定にすることができず、回り込み伝達関数において誤差を発生する要因となる。
【0018】
また、上記(3)に関しては、現在検討されている地上デジタル放送方式のπ/4シフトDQPSKのモードは、復調方式として遅延検波を前提としているため、受信機器において変調波の絶対位相を知る必要がない。このため、絶対位相を受信側で知ることができる方式とはなっておらず、回り込みキャンセラのように回り込み伝達関数を知る必要がある場合には、別途何らかの工夫が必要となる。
【0019】
ここで、π/4シフトDQPSK−OFDM方式とは、OFDMの各キャリアをDQPSK変調し、OFDMのシンボル毎に基準位相がπ/4ずつシフトしていく方式である。このため、変調波の位相基準点が8点存在することとなり、回り込み波伝達関数を特定することができない。
【0020】
上述したように、従来の回り込みキャンセラにおいては、中継所においてまず周波数同期や位相同期を確立した上で回り込みキャンセラを構成する必要があった。また、周波数同期や位相同期の実現にあたっては、回り込み波と親局波の分離が難しく、特に親局波や回り込み波に時間的な変動がある場合は周波数誤差や位相誤差さらには振幅誤差を生じ、その結果、一般的な同期検波回路では回り込みキャンセラとして充分な性能が得られないという問題があった。このため、回り込みキャンセラの周波数同期(AFC)回路、位相同期(APC)回路、および自動利得調整(AGC)回路に要求される性能を緩和する、あるいは、AFC回路やAPC回路を不要とする手法が望まれていた。
【0021】
また、π/4シフトDQPSK−OFDM方式においては、変調信号からπ/4シフトの絶対位相を知ることができないため、π/4位相シフトに起因する位相不確実性を除去することができず、従って、伝達関数を特定できないという解決すべき課題もあった。
【0022】
本発明の目的は、回り込みキャンセラのAFC回路、APC回路およびAGC回路への要求性能を大幅に緩和し、あるいはAFC回路やAPC回路を用いないでも、回り込み伝送路のインパルス応答を正確に求められるようにし、もって、回り込みの除去精度を大幅に向上させるとともに低コスト化された回り込みキャンセラを提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明回り込みキャンセラは、受信系統からの入力信号が供給される被減算端子および送受アンテナ間の回り込みをキャンセルするための信号が供給される減算端子を有している減算器と、該減算器の出力信号が入力され受信信号を増幅して再送信するための増幅器の入出力信号のいずれか一方の信号が分岐されて供給され回り込み信号の複製を発生して前記減算器の減算端子に供給するFIRフィルタと、前記増幅器の入出力信号のいずれか一方の信号が分岐されて供給され入力された時間領域の信号をFFTまたはDFTして周波数領域の信号に変換して出力するFFTまたはDFT回路と、該FFTまたはDFT回路からの信号をその送信信号の推定値で除算することで伝達関数を算出して出力する複素除算回路(A)と、該複素除算回路(A)から出力される伝達関数から回り込みのキャンセル残差の周波数特性を算出して出力するキャンセル残差演算回路と、該キャンセル残差演算回路から出力される回り込みキャンセル残差の周波数特性をIFFTまたはIDFTして時間領域の回り込みキャンセル残差のインパルス応答を算出するIFFTまたはIDFT回路と、該IFFTまたはIDFT回路から出力された回り込みキャンセル残差のインパルス応答から前記FIRフィルタ制御する部分だけを抽出して逐次更新して前記FIRフィルタに係数として供給する係数抽出回路とからなる回り込みキャンセラにおいて、前記キャンセル残差演算回路が、当該回路に供給される伝達関数を複素で平均化して出力する複素平均化回路と、該複素平均化回路からの出力信号を分母、前記キャンセル残差演算回時に供給される伝達関数を分子として除算して出力する複素除算回路(B)と、該複素除算回路(B)の出力信号を基準振幅(1+0j)から減算して出力する減算器とを少なくとも具えてなることを特徴とするものである。
【0024】また、本発明回り込みキャンセラは、受信系統からの入力信号が供給される被減算端子および送受アンテナ間の回り込みをキャンセルするための信号が供給される減算端子を有している減算器と、該減算器の出力信号が入力され受信信号を増幅して再送信するための増幅器の入出力信号のいずれか一方の信号が分岐されて供給され回り込み信号の複製を発生して前記減算器の減算端子に供給するFIRフィルタと、前記増幅器の入出力信号のいずれか一方の信号が分岐されて供給され入力された時間領域の信号をFFTまたはDFTして周波数領域の信号に変換して出力するFFTまたはDFT回路と、該FFTまたはDFT回路からの信号をその送信信号の推定値で除算することで伝達関数を算出 して出力する複素除算回路(A)と、該複素除算回路(A)から出力される伝達関数から回り込みのキャンセル残差の周波数特性を算出して出力するキャンセル残差演算回路と、該キャンセル残差演算回路から出力される回り込みキャンセル残差の周波数特性をIFFTまたはIDFTして時間領域の回り込みキャンセル残差のインパルス応答を算出するIFFTまたはIDFT回路と、該IFFTまたはIDFT回路から出力された回り込みキャンセル残差のインパルス応答から前記FIRフィルタ制御する部分だけを抽出して逐次更新して前記FIRフィルタに係数として供給する係数抽出回路とからなる回り込みキャンセラにおいて、前記キャンセル残差演算回路が、当該回路に供給される伝達関数の実部FI (i,k) を平均化したf i 0 (i) を出力する第1の平均化回路と、前記キャンセル残差演算回路に供給される前記伝達関数の虚部FQ (i,k) を平均化したf q 0 (i) を出力する第2の平均化回路と、前記伝達関数の実部FI (i,k) と虚部FQ (i,k) の両方が入力されFI (i,k) とFQ (i,k) の自乗和FP (i,k) を算出して出力する自乗和回路と、前記伝達関数の実部FI (i,k) と虚部FQ (i,k) 、および、前記第1の平均化回路の出力信号f i 0 (i) 、および、前記第2の平均化回路の出力信号f q 0 (i) 、および、前記自乗和回路の出力信号FP (i,k) がそれぞれ供給されており、〔数1〕、〔数2〕の演算を行い、該演算結果であるErrI(i,k)とErrQ(i,k) をそれぞれ出力する条件付複素除算回路を具えてなることを特徴とするものである。
【0025】また、本発明回り込みキャンセラは、さらに、前記第1の平均化回路の出力信号f i 0 (i) 、および、前記第2の平均化回路の出力信号f q 0 (i) が供給されf i 0 (i) とf q 0 (i) の自乗和である電力f p(i) またはf p(i) の平方根となる振幅f a(i) を出力する自乗和回路を具え、該自乗和回路の出力信号f p(i) またはf a(i) を用いて主波に対する自動利得調整を行うようにしたことを特徴とするものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照し、発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明による回り込みキャンセラの一実施形態を示している。本実施形態は、図4に示した中継放送装置に本発明を適用したものである。
【0027】
本発明の一実施形態を示す図1を、従来技術の項で説明した従来の回り込みキャンセラ(図6)と比較すれば明らかなように、本発明回り込みキャンセラは、図6に示すキャンセル残差演算回路10の部分の新規な構成を発明したものであり、この構成によれば、回り込みキャンセラのAFC回路、APC回路およびAGC回路への要求性能を大幅に緩和し、あるいはAFC回路やAPC回路を用いないで回り込みの除去精度を大幅に向上させるとともに、回り込みキャンセラが低コスト化されるという従来にない効果が得られる。
【0028】
上記のように、本発明においては、図1中のFIRフィルタ係数生成回路5で、複素除算回路(A)9までは、図6と全く同じである。この複素除算回路(A)9の出力信号は、本実施形態において2分岐され、その分岐された一方は複素除算回路(B)13に直接入力される。また、その他方の複素平均化回路14を介して同じく複素除算回路(B)13に入力される。
【0029】
まず、複素平均化回路14では、観測点Pにおける主波(遅延プロファイル上の遅延がゼロの成分)f0 (i) が求められる。本例では、観測点Pにおける受信信号にはe(i) なる周波数/位相誤差が含まれているものとし、FFTまたはDFT8の出力においては、S(i,k) e(i) として受信されるものとする。従って、観測点Pの回り込み伝達関数をF(i,k) とし、周波数・位相誤差を含まない真の回り込み伝達関数をF′(i,k) とすれば、次式が成立する。
【数10】
【0030】
次に、複素除算回路(B)13において下記の除算を行い、さらに、次段の減算器15において基準振幅(1,0)(複素表示)からの減算を行なうと、Err(i,k) を得る。
【数11】
【0031】
図2は、本発明回り込みキャンセラの別の実施形態を示している。
なお、ここまでの説明では、信号は全て複素数として記述したが、以下では、複素数を展開し、実部信号と虚部信号とに分けて記述する。まず、これまで述べたF(i,k) を実部と虚部とに分けて、それぞれFI(i,k) ,FQ(i,k) と定義する。
図2において、実部信号FI(i,k) は、3分岐されて条件付複素除算回路16、平均化回路17および自乗和回路18にそれぞれ入力される。また虚部信号FQ(i,k) も、3分岐されて、自乗和回路18、条件付複素除算回路16および平均化回路19にそれぞれ入力される。
【0032】
平均化回路17では次式の演算を行なってfi0(i) を得る。
【数12】
平均回路19では次式の演算を行なってfq0(i) を得る。
【数13】
自乗和回路18では次式の演算を行なって、FP(i,k) を得る。
【数14】
【0033】
条件付複素除算回路16では、FI(i,k) 、fi0(i) 、FP(i,k) 、FQ(i,k) およびfq0(i)を当該回路に入力して次式の演算を行い、ErrI(i,k)、ErrQ(i,k) を得る。
【数15】
【数16】
【0034】
図3は、本発明回り込みキャンセラのさらに別の実施形態を示している。なお、本実施形態は、上述の図2に示した回り込みキャンセラに主波に対するAGC機能を付加したことを特徴としている。
図3において、平均化回路17,19の各出力信号fi0(i) 、fq0(i) がともに自乗和回路20に供給され、二乗和の結果fp(i)がAGC回路に送られる。この構成以外の回路構成は、図2に示したものと全く同じである。
【0035】
すなわち、本実施形態においては、誤差信号の演算は図3に示した実施形態の場合と同じであるが、式(11)、式(12)のfi0(i) 、fq0(i) の自乗和を求めることで次式の主波の電力fp(i)を求める回路を具備した点が、本実施形態の特徴となっている。
【数17】
また、主波の振幅fa(i)は上式(16)式の平方根をとり、
【数18】
により求めることができる。
これらのfp(i)またはfa(i) が一定となるようAGC回路を構成すれば、主波に対するAGC機能を実現することができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、AFC回路、APC回路およびAGC回路に要求される性能を大幅に緩和し、あるいはAFC回路やAPC回路を不要とすることができ、さらに、回り込みキャンセラのハードウェアを大幅に簡略化することができる。また、回り込みキャンセラのコストを大幅に低減することができる。
【0037】
また、本発明によれば、周波数誤差や位相誤差は複素除算によって打ち消されるため、観測点における回り込み伝達関数の精度をあげることができ、回り込みキャンセラの性能が向上する。また、周波数誤差や位相誤差のみならず、AGC回路によって除去しきれない振幅変動も複素除算によって打ち消すことができる。
【0038】
さらにまた、本発明によれば、π/4シフトDQPSK−OFDM方式におけるπ/4シフトの位相回転も複素除算によって打ち消すことができるため、π/4シフトDQPSK−OFDM方式を採用した地上デジタル放送の中継放送装置にも適用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明回り込みキャンセラの一実施形態を示している。
【図2】 本発明回り込みキャンセラの別の実施形態を示している。
【図3】 本発明回り込みキャンセラのさらに別の実施形態を示している。
【図4】 直接中継方式による回り込みキャンセラを用いた中継放送装置の構成例を示している。
【図5】 直接中継方式による回り込みキャンセラを用いた中継放送装置の別の構成例を示している。
【図6】 従来の回り込みキャンセラの具体例を示している。
【符号の説明】
1 受信アンテナ
2 送信アンテナ
3 減算器
4 FIRフィルタ
5 FIRフィルタ係数生成回路
6 バンドパスフィルタ
7 増幅器
8 FFTまたはDFT
9 複素除算回路(A)
10 キャンセル残差演算回路
11 IFFTまたはIDFT
12 係数抽出回路
13 複素除算回路(B)
14 複素平均化回路
15 減算器
16 条件付複素除算回路
17,19 平均化回路
18,20 自乗和回路
Claims (3)
- 受信系統からの入力信号が供給される被減算端子および送受アンテナ間の回り込みをキャンセルするための信号が供給される減算端子を有している減算器と、
該減算器の出力信号が入力され受信信号を増幅して再送信するための増幅器の入出力信号のいずれか一方の信号が分岐されて供給され回り込み信号の複製を発生して前記減算器の減算端子に供給するFIRフィルタと、
前記増幅器の入出力信号のいずれか一方の信号が分岐されて供給され入力された時間領域の信号をFFTまたはDFTして周波数領域の信号に変換して出力するFFTまたはDFT回路と、
該FFTまたはDFT回路からの信号をその送信信号の推定値で除算することで伝達関数を算出して出力する複素除算回路(A)と、
該複素除算回路(A)から出力される伝達関数から回り込みのキャンセル残差の周波数特性を算出して出力するキャンセル残差演算回路と、
該キャンセル残差演算回路から出力される回り込みキャンセル残差の周波数特性をIFFTまたはIDFTして時間領域の回り込みキャンセル残差のインパルス応答を算出するIFFTまたはIDFT回路と、
該IFFTまたはIDFT回路から出力された回り込みキャンセル残差のインパルス応答から前記FIRフィルタ制御する部分だけを抽出して逐次更新して前記FIRフィルタに係数として供給する係数抽出回路とからなる回り込みキャンセラにおいて、
前記キャンセル残差演算回路が、当該回路に供給される伝達関数を複素で平均化して出力する複素平均化回路と、
該複素平均化回路からの出力信号を分母、前記キャンセル残差演算回時に供給される伝達関数を分子として除算して出力する複素除算回路(B)と、
該複素除算回路(B)の出力信号を基準振幅(1+0j)から減算して出力する減算器とを少なくとも具えてなることを特徴とする回り込みキャンセラ。 - 受信系統からの入力信号が供給される被減算端子および送受アンテナ間の回り込みをキャンセルするための信号が供給される減算端子を有している減算器と、
該減算器の出力信号が入力され受信信号を増幅して再送信するための増幅器の入出力信号のいずれか一方の信号が分岐されて供給され回り込み信号の複製を発生して前記減算器の減算端子に供給するFIRフィルタと、
前記増幅器の入出力信号のいずれか一方の信号が分岐されて供給され入力された時間領域の信号をFFTまたはDFTして周波数領域の信号に変換して出力するFFTまたはDFT回路と、
該FFTまたはDFT回路からの信号をその送信信号の推定値で除算することで伝達関数を算出して出力する複素除算回路(A)と、
該複素除算回路(A)から出力される伝達関数から回り込みのキャンセル残差の周波数特性を算出して出力するキャンセル残差演算回路と、
該キャンセル残差演算回路から出力される回り込みキャンセル残差の周波数特性をIFFTまたはIDFTして時間領域の回り込みキャンセル残差のインパルス応答を算出するIFFTまたはIDFT回路と、
該IFFTまたはIDFT回路から出力された回り込みキャンセル残差のインパルス応答から前記FIRフィルタ制御する部分だけを抽出して逐次更新して前記FIRフィルタに係数として供給する係数抽出回路とからなる回り込みキャンセラにおいて、
前記キャンセル残差演算回路が、当該回路に供給される伝達関数の実部FI (i,k) を平均化したf i 0 (i) を出力する第1の平均化回路と、
前記キャンセル残差演算回路に供給される前記伝達関数の虚部FQ (i,k) を平均化した f q 0 (i) を出力する第2の平均化回路と、
前記伝達関数の実部FI (i,k) と虚部FQ (i,k) の両方が入力されFI (i,k) とFQ (i,k) の自乗和FP (i,k) を算出して出力する自乗和回路と、
前記伝達関数の実部FI (i,k) と虚部FQ (i,k) 、および、前記第1の平均化回路の出力信号f i 0 (i) 、および、前記第2の平均化回路の出力信号f q 0 (i) 、および、前記自乗和回路の出力信号FP (i,k) がそれぞれ供給されており、
- 請求項2記載の回り込みキヤンセラにおいて、該回り込みキャンセラはさらに、
前記第1の平均化回路の出力信号f i 0 (i) 、および、前記第2の平均化回路の出力信号f q 0 (i) が供給されf i 0 (i) とf q 0 (i) の自乗和である電力f p(i) またはf p(i) の平方根となる振幅f a(i) を出力する自乗和回路を具え、
該自乗和回路の出力信号f p(i) またはf a(i) を用いて主波に対する自動利得調整を行うようにしたことを特徴とする回り込みキャンセラ。
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