JP4108239B2 - カチオン性アミノジアントラキノン類、その用途、該化合物を含有する染色用組成物及び染色方法 - Google Patents

カチオン性アミノジアントラキノン類、その用途、該化合物を含有する染色用組成物及び染色方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、Zが第4級化された脂肪族鎖、少なくとも1つの第4級化され飽和した環を有する脂肪族鎖及び少なくとも1つの第4級化された不飽和の環を有する脂肪族鎖から選択される少なくとも1つのカチオン性のZ基を含むカチオン性アミノジアントラキノン類、ケラチン物質、特に毛髪等のヒトのケラチン繊維の染色に適用される直接染料としてのそれらの用途、それらを含有する染色用組成物及びそれらを使用する酸化染色方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
ケラチン繊維、特に毛髪等のヒトのケラチン繊維を、直接染料を含有する染色用組成物、すなわち該繊維と親和性を有する染料分子で染色することが知られている。それらを使用する染色方法は、いわゆる直接染色法であり、直接染料を繊維に作用させ、ついでそれらをすすぐことからなる。
これから得られる着色は、ケラチン繊維に直接染料を結合させる相互作用の性質から、一時的又は半永久的な着色であり、その繊維の表面及び/又は芯部からの脱着が、染色力が弱く、洗浄及び発汗に対する耐性が乏しい原因である。
カチオン性アミノアントラキノン類は既知の直接染料として既に開示されている。このようなアミノアントラキノン類は、特に、仏国特許第1422016号及びその追加証第87902号、同1391675号、同1401163号、同1379649号、同1430089号、同1584965号、同2050397号、同2548895号、米国特許第5169403号、同5314505号、同5486629号、同5520770号、及び欧州特許第818193号及び同852136号に記載されており、アントラキノン環を1つだけ含有する。しかしながら、毛髪の染色においては、より好ましい特性を有する直接染料が、常に探求されている。
【0003】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
そこで、この問題に関し多くの研究を行ったところ、本出願人は、少なくとも1つのカチオン性基Zを含有し、該Zが第4級化された脂肪族鎖、少なくとも1つの第4級化され飽和した環を有する脂肪族鎖及び少なくとも1つの第4級化された不飽和の環を有する脂肪族鎖から選択された、新規のクラスのカチオン性アミノアントラキノン類を見出した。
【0004】
この新規の染料ファミリーは、染色用媒体に高い溶解度を示すという非常に好ましい特徴を示し、またこれら新規の染料は、(毛髪が被るであろう種々の攻撃:光、悪天候、シャンプー、発汗に対し)耐性を有する強い着色を生じせしめるもので、従来公知のカチオン性アミノアントラキノン類で得られる色調に比べて、大幅に改善されている。
この発見が本発明の基礎を形成する。
【0005】
よって、本発明の主題は、以下の式(I):
【化16】
Figure 0004108239
{上式中、
・Bは、好ましくは1〜14の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル鎖を表す結合手であり、これは、酸素、硫黄又は窒素原子等の一又は複数のヘテロ原子及び/又は一又は複数のZ基(以下に定義する)が挿入されていてもよく、一又は複数のヒドロキシル又はC-Cアルコキシ基で置換されていてもよく、一又は複数のケトン官能基を担持していてもよく;
・R、R、R、R、R'、R'、R'及びR'は同一でも異なっていてもよく、結合手Bの2つの価の一方、水素原子;ハロゲン原子;Z基(以下に定義する);(C-C)アルキル基;モノヒドロキシ(C-Cアルキル)基;ポリヒドロキシ(C-Cアルキル)基;シアノ基;ニトロ基;カルボキシル基;カルバミル基;スルホ基;同一でも異なっていてもよく、以下に定義されるNHR又はNHR'と同じ意味を有する置換又は非置換のアミノ基;以下に定義するOR又はSR又はOR'又はSR'基を表し;
・R及びR'は同一でも異なっていてもよく、結合手Bの2つの価の一方;水素原子;以下に定義するZ基;C-Cアルキル基;モノヒドロキシ(C-Cアルキル)基;ポリヒドロキシ(C-Cアルキル)基;(C-C)アルコキシ(C-Cアルキル)基;アリール基;ベンジル基;シアノ(C-Cアルキル)基:カルバミル(C-Cアルキル)基;N-(C-C)アルキルカルバミル(C-Cアルキル)基;N,N-ジ(C-C)アルキルカルバミル(C-Cアルキル)基;チオカルバミル(C-Cアルキル)基;トリフルオロ(C-Cアルキル)基;スルホ(C-Cアルキル)基;(C-C)アルキルカルボキシ(C-Cアルキル)基;(C-C)アルキルスルフィニル(C-Cアルキル)基;アミノスルホニル(C-Cアルキル)基;N-Z-アミノスルホニル(C-Cアルキル)基;N-(C-C)アルキルアミノスルホニル(C-Cアルキル)基;N,N-ジ(C-C)アルキルアミノスルホニル(C-Cアルキル)基;(C-C)アルキルカルボニル(C-Cアルキル)基;アルキルが一又は複数のヒドロキシル基で置換されていてもよいアミノ(C-Cアルキル)基;アルキルが一又は複数のヒドロキシル基で置換されていてもよく、アミンがC-Cアルキル、モノヒドロキシ(C-Cアルキル)、ポリヒドロキシ(C-Cアルキル)、(C-C)アルキルカルボニル、カルバミル、N-(C-C)アルキルカルバミル又はN,N-ジ(C-C)アルキルカルバミル、(C-C)アルキルスルホニル、ホルミル、トリフルオロ(C-C)アルキルカルボニル、(C-C)アルキルカルボキシル又はチオカルバミル基、又はZ基(以下に定義する)から選択される、同一でも異なっていてもよい一又は複数の基で置換されたアミノ(C-Cアルキル)基を示すか、又はそれらが結合している窒素原子と共に、炭素含有又は一又は複数のヘテロ原子含有の5又は6員環を形成し得るものであり;
・R及びR'は同一でも異なっていてもよく、結合手Bの2つの価の一方;水素原子;C-Cアルキル基;モノヒドロキシ(C-Cアルキル)基;ポリヒドロキシ(C-Cアルキル)基;Z基(以下に定義する);(C-C)アルコキシ(C-Cアルキル)基;アリール基;ベンジル基;カルボキシ(C-Cアルキル)基;(C-C)アルキルカルボキシ(C-Cアルキル)基;シアノ(C-Cアルキル)基;カルバミル(C-Cアルキル)基;N-(C-C)アルキルカルバミル(C-Cアルキル)基;N,N-ジ(C-C)アルキルカルバミル(C-Cアルキル)基;トリフルオロ(C-Cアルキル)基;アミノスルホニル(C-Cアルキル)基;N-Z-アミノスルホニル(C-Cアルキル)基;N-(C-C)アルキルアミノスルホニル(C-Cアルキル)基;N,N-ジ(C-C)アルキルアミノスルホニル(C-Cアルキル)基;(C-C)アルキルスルフィニル(C-Cアルキル)基;(C-C)アルキルスルホニル(C-Cアルキル)基;(C-C)アルキルカルボニル(C-Cアルキル)基;アルキルが一又は複数のヒドロキシル基で置換されていてもよいアミノ(C-Cアルキル)基;アルキルが一又は複数のヒドロキシル基で置換されていてもよく、アミンがC-Cアルキル、モノヒドロキシ(C-Cアルキル)、ポリヒドロキシ(C-Cアルキル)、(C-C)アルキルカルボニル、ホルミル、トリフルオロ(C-C)アルキルカルボニル、(C-C)アルキルカルボキシル、カルバミル、N-(C-C)アルキルカルバミル、N,N-ジ(C-C)アルキルカルバミル、チオカルバミル又は(C-C)アルキルスルホニル基、又はZ基(以下に定義する)から選択され、同一でも異なっていてもよい一又は複数の基で置換されたアミノ(C-Cアルキル)基を示すか、又はそれらが結合している窒素原子と共に、炭素含有又は一又は複数のヘテロ原子含有の5又は6員環を形成し得るものであり;
・Zは次の式(II)及び(III)の不飽和のカチオン性基、及び次の式(IV)の飽和したカチオン性基:
【化17】
Figure 0004108239
【化18】
Figure 0004108239
[上式中:
・Dは、好ましくは1〜14の炭素原子を有する直鎖状あるいは分枝状のアルキル鎖を表し、酸素、硫黄又は窒素原子等の一又は複数のヘテロ原子が挿入されていてもよく、一又は複数のヒドロキシル又はC-Cアルコキシ基で置換されていてもよく、一又は複数のケトン官能基を担持していてもよい結合手であり;
・環の構成要素であるE、G、J、L及びMは、同一でも異なっていてもよく、炭素、酸素、硫黄又は窒素原子を表し;
・nは0〜4の整数であり;
・mは0〜5の整数であり;
・R基は同一でも異なっていてもよく、結合手Bの2つの価の一方、第1のZ基と同一又は異なる第2のZ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、C-Cアルキル基、モノヒドロキシ(C-Cアルキル)基、ポリヒドロキシ(C-Cアルキル)基、ニトロ基、シアノ基、シアノ(C-Cアルキル)基、C-Cアルコキシ基、トリ(C-C)アルキルシラン(C-Cアルキル)基、アミド基、アルデヒド基、カルボキシル基、C-Cアルキルカルボニル基、チオ基、チオ(C-Cアルキル)基、(C-C)アルキルチオ基、アミノ基、(C-C)アルキルカルボニル、カルバミル又は(C-C)アルキルスルホニル基で保護されたアミノ基、R''及びR'''が同一でも異なっていてもよく、C-Cアルキル基、モノヒドロキシ(C-Cアルキル)基又はポリヒドロキシ(C-Cアルキル)基を表すNHR''又はNR''R'''基を表し;
・Rは、結合手Bの2つの価の一方、C-Cアルキル基、モノヒドロキシ(C-Cアルキル)基、ポリヒドロキシ(C-Cアルキル)基、シアノ(C-Cアルキル)基、トリ(C-C)アルキルシラン(C-Cアルキル)基、(C-C)アルコキシ(C-Cアルキル)基、カルバミル(C-Cアルキル)基、(C-C)アルキルカルボキシ(C-Cアルキル)基、ベンジル基、第1のZ基と同一又は異なる第2のZ基を表し;
・R、R及びR10は同一でも異なっていてもよく、結合手Bの2つの価の一方、C-Cアルキル基、モノヒドロキシ(C-Cアルキル)基、ポリヒドロキシ(C-Cアルキル)基、(C-C)アルコキシ(C-Cアルキル)基、シアノ(C-Cアルキル)基、アリール基、ベンジル基、アミド(C-Cアルキル)基、トリ(C-C)アルキルシラン(C-Cアルキル)基、又はアミンが(C-C)アルキルカルボニル、カルバミル又は(C-C)アルキルスルホニル基で保護されたアミノ(C-Cアルキル)基を表し;R、R及びR10基の2つが、それらが結合している窒素原子と共に、炭素を含有するか、もしくは一又は複数のヘテロ原子を含有し得る飽和した5又は6員環、例えばピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環又はモルホリン環を形成可能であり;該環は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、C-Cアルキル基、モノヒドロキシ(C-Cアルキル)基、ポリヒドロキシ(C-Cアルキル)基、ニトロ基、シアノ基、シアノ(C-Cアルキル)基、C-Cアルコキシ基、トリ(C-C)アルキルシラン(C-Cアルキル)基、アミド基、アルデヒド基、カルボキシル基、ケト(C-Cアルキル)基、チオ基、チオ(C-Cアルキル)基、(C-C)アルキルチオ基、アミノ基、(C-C)アルキルカルボニル、カルバミル又は(C-C)アルキルスルホニル基で保護されたアミノ基で置換又は非置換され得るものであり;
また、R、R及びR10基の1つは、第1のZ基と同一又は異なる第2のZ基を表し得るものであり;
・R11は、結合手Bの2つの価の一方、C-Cアルキル基;モノヒドロキシ(C-Cアルキル)基;ポリヒドロキシ(C-Cアルキル)基;アリール基;ベンジル基;アミノ(C-Cアルキル)基、アミンが(C-C)アルキルカルボニル、カルバミル又は(C-C)アルキルスルホニル基で保護されたアミノ(C-Cアルキル)基;カルボキシ(C-Cアルキル)基;シアノ(C-Cアルキル)基;カルバミル(C-Cアルキル)基;トリフルオロ(C-Cアルキル)基;トリ(C-C)アルキルシラン(C-Cアルキル)基;スルホンアミド(C-Cアルキル)基;(C-C)アルキルカルボキシ(C-Cアルキル)基;(C-C)アルキルスルフィニル(C-Cアルキル)基;(C-C)アルキルスルホニル(C-Cアルキル)基;(C-C)アルキルケト(C-Cアルキル)基;N-(C-C)アルキルカルバミル(C-Cアルキル)基;N-(C-C)アルキルスルホンアミド(C-Cアルキル)基を表し;
・x及びyは0又は1の整数で;次の条件:
− 式(II)の不飽和のカチオン性基においては;
− x=0の場合、結合手Dは窒素原子に結合しており;
− x=1の場合、結合手Dは環の構成要素であるE、G、J又はLの一つに結合しており;
− yは:
1)環の構成要素であるE、G、J及びLが同時に炭素原子であり、R基が不飽和の環の窒素原子により担持されている場合か;又は
2)環の構成要素であるE、G、J及びLの少なくとも1つが、R基が結合している窒素原子を表す場合:
1のみを示し得るもので;
− 式(III)の不飽和のカチオン性基においては:
− x=0の場合、結合手Dは窒素原子に結合しており;
− x=1の場合、結合手Dは環の構成要素であるE、G、J、L又はMの一つに結合しており;
− yは、環の構成要素であるE、G、J、L及びMの少なくとも1つが2価の原子を表し、R基が不飽和の環の窒素原子により担持されている場合に1のみを示し得るもので;
− 式(IV)のカチオン性基においては:
− x=0の場合、結合手Dは、RないしR10基を担持する窒素原子に結合しており;
− x=1の場合、RないしR10基の2つは、それらが結合している窒素原子と共同して、上述した5又は6員の飽和した環を形成し;結合手Dは該飽和した環の炭素原子により担持されている;
を有するものであり、
・Xは一価又は二価のアニオンを表し、好ましくは塩素、臭素、フッ素又はヨウ素等のハロゲン原子、水酸化物、硫酸水素、又は硫酸メチルもしくは硫酸エチル等の(C-C)硫酸アルキルから選択される]
から選択され;
− (i)カチオン性基Zの数は少なくとも1であり;
− (ii)式(I)が、次の式(VI):
【化19】
Figure 0004108239
[上式中、
、R、R及びRは同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基又はヒドロキシル基を示し、
は水素原子又はアルキル基を示し、
及びRは同一でも異なっていてもよく、アルキル、モノ-又はポリヒドロキシアルキル基、又はアリール基を示し、
Dは式(I)と同一の意味を有し、
はアニオンを示す]
の化合物を示さない;
と理解される}
のアミノジアントラキノン類にある。
【0006】
上述した式(I)、(II)、(III)及び(IV)において、アルキル及びアルコキシ基は、直鎖状又は分枝状であり得る。
式(I)の化合物は、強無機酸、例えばHCl、HBr、HSO、又は有機酸、例えば酢酸、酒石酸、乳酸、クエン酸又はコハク酸で塩化してもよい。
【0007】
上述した式(II)の不飽和基Zの環として、例えば特に、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール及びトリアゾール環を挙げることができる。
上述した式(III)の不飽和基Zの環として、例えば特に、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、オキサジン及びトリアジン環を挙げることができる。
【0008】
式(I)のカチオン性アミノジアントラキノンとして、特に次の式(I)ないし(I)12
【化20】
Figure 0004108239
【化21】
Figure 0004108239
【化22】
Figure 0004108239
【化23】
Figure 0004108239
【化24】
Figure 0004108239
【化25】
Figure 0004108239
【化26】
Figure 0004108239
【化27】
Figure 0004108239
【化28】
Figure 0004108239
【化29】
Figure 0004108239
の化合物を挙げることができる。
【0009】
本発明における式(I)のカチオン性アミノジアントラキノン類は、一般に従来からよく知られている方法により、容易に得ることができる。例えば以下の方法がある。
・上述した式(I)において記載した結合手Bにより離間した2つの第3級アミンを担持する化合物1分子と、ハロアルキル基を含有するアントラキノン分子2つを縮合させる。
・上述した式(I)において記載した結合手Bにより離間した2つのハロゲン基を担持する化合物1分子と、第3級アミン基を含有するアントラキノン分子2つを縮合させる。
・(a)上述した式(I)において記載した結合手Bにより離間した2つのハロゲン基を担持する化合物1分子と、第3級アミン基を含有するアントラキノン分子1つを縮合させ、(b)前記第1のアントラキノン分子とは異なり、第3級アミン基をさらに含有する第2のアントラキノン分子1つを縮合させる。
・(a)上述した式(I)において記載した結合手Bにより離間した2つの第3級アミンを担持する化合物1分子と、ハロアルキル基を含有するアントラキノン分子1つを縮合させ、(b)前記第1のアントラキノン分子とは異なり、ハロアルキル基をさらに含有する第2のアントラキノン分子1つを縮合させる。
・ハロアルキル基を含有するアントラキノン分子1つと、第3級アミン基を含有するアントラキノン分子1つを縮合させる。
【0010】
便宜上、第4級化工程は、一般的に合成の最終工程であるが、式(I)の化合物の調製に至る一連の反応において、より初期の段階で行ってもよい。
【0011】
また本発明の主題は、染色に適した媒体に、少なくとも1つの上述した式(I)のカチオン性アミノジアントラキノン類を有効量含有せしめてなることを特徴とする、ケラチン物質の染色用組成物にある。
【0012】
さらに本発明の主題は、染色に適した媒体に、少なくとも1つの上述した式(I)のカチオン性アミノジアントラキノン類を有効量含有せしめてなることを特徴とする、毛髪等のヒトのケラチン繊維の直接染色用組成物にある。
【0013】
本発明の他の主題は、式(I):
【化30】
Figure 0004108239
[上式中、B、R、R、R、R、R、R'、R'、R'、R'及びR'は、上述したものと同一の意味を有し、カチオン性基Zの数は少なくとも1である]
のカチオン性アミノジアントラキノン類からなり、ケラチン物質、特に毛髪等のヒトのケラチン繊維の染色用組成物に使用される直接染料にある。
【0014】
しかしながら、本発明の他の特徴、側面及び利点は、本発明の例証を意図し、限定するものではない以下の記載並びに種々の実施例を読むことにより、より明らかになるであろう。
【0015】
本発明の式(I)のカチオン性アミノジアントラキノン(類)及び/又はそれらの酸付加塩類は、染色用組成物の全重量に対して、好ましくは約0.005〜12重量%、より好ましくは約0.05〜6重量%である。
【0016】
また、本発明の式(I)のカチオン性アミノジアントラキノン類は、酸化染料(酸化染料先駆物質及び場合によってはカップラー)を使用するよく知られている酸化染色方法において、酸化染料とは異なる色調の色を得るため、又は光沢を増加させるために使用してもよい。
【0017】
本発明の染色用組成物は、色調の範囲を広げ、種々の色を得るために、式(I)のカチオン性アミノジアントラキノン類に加えて、従来から使用されている直接染料、特にニトロベンゼン染料、例えばニトロフェニレンジアミン類、ニトロジフェニルアミン類、ニトロアニリン類、ニトロフェノールエーテル類又はニトロフェノール類、ニトロピリジン類、本発明のものとは異なる他のアントラキノン染料、モノ-又はジアゾ、トリアリールメタン、アジン、アクリジン及びキサンテン染料、又は金属含有染料をさらに含有してもよい。
これら他の直接染料の割合は、染色用組成物の全重量に対して約0.5〜10重量%の間で変わり得る。
【0018】
染色に適した媒体(又は担体)は、一般的に、水、又は水に十分に溶解しない化合物を溶解させるための少なくとも1種の有機溶媒と水との混合物からなる。有機溶媒としては、例えば、C-C低級アルカノール類、例えばエタノール及びイソプロパノール;グリセロール;グリコール類及びグリコールエーテル類、例えば2-ブトキシエタノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及び芳香族アルコール類、例えばベンジルアルコール又はフェノキシエタノール、それらの類似物及び混合物を挙げることができる。
溶媒類は、染色用組成物の全重量に対して、好ましくは約1〜40重量%、さらに好ましくは約5〜30重量%の割合で存在し得る。また本発明の組成物に、コプラ、ラウリン酸及びオレイン酸から誘導される酸のモノ-及びジエタノールアミド等の脂肪アミド類を、約0.05〜10重量%の濃度で添加することもできる。
【0019】
さらに、本発明の組成物に、従来からよく知られている、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性又は双性イオン型の界面活性剤、又はそれらの混合物を、組成物の全重量に対して好ましくは約0.1〜50重量%、さらに好ましくは約1〜20重量%の割合で添加することができる。
【0020】
またさらに、約0.2〜5%の範囲内の割合で、増粘剤を使用することもできる。
【0021】
また、前記染色用組成物は、種々の慣習的なアジュバント類、例えば、酸化防止剤、香料、金属イオン封鎖剤、分散剤、毛髪用コンディショナー、防腐剤、不透明化剤、並びにケラチン物質の染色に通常使用される任意の他のアジュバントをさらに含有してもよい。
【0022】
もちろん、当業者であれば、本発明の染色用組成物に固有の有利な特性が考えられる添加により変化しないか、実質的にしないように留意して、上述した任意の付加的な化合物(類)を選択するであろう。
【0023】
本発明の染色用組成物のpHは、一般的には約3〜12、好ましくは約5〜11である。これは、ケラチン繊維の染色において通常使用される酸性化剤又は塩基性化剤を使用して、所望の値に調節することができる。
【0024】
酸性化剤としては、例えば、無機酸又は有機酸、例えば、塩酸、オルトリン酸、硫酸、カルボン酸類、例えば酢酸、酒石酸、クエン酸、乳酸及びスルホン酸類を挙げることができる。
【0025】
塩基性化剤としては、例えば、水酸化アンモニウム、アルカリ金属の炭酸塩類、アルカノールアミン類、例えばモノ-、ジ-及びトリエタノールアミンとその誘導体、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び次の式(V):
【化31】
Figure 0004108239
[ここで、Wは、C-Cアルキル基又はヒドロキシル基で置換されていてもよいプロピレン残基であり;R12、R13、R14及びR15は同一でも異なっていてもよく、水素原子、C-Cアルキル又はヒドロキシ(C-Cアルキル)基を表す]
の化合物を挙げることができる。
【0026】
本発明の染色用組成物は、種々の形態、例えば、液体、クリーム、ゲルの形態、又はケラチン繊維、特に毛髪等のヒトのケラチン繊維を染色するのに適した任意の他の形態で提供することができる。特に、噴霧剤が存在するエアゾール缶に、加圧下にて包装することもでき、またフォームの形態にすることもできる。
【0027】
また、本発明の他の主題は、少なくとも1つの式(I)のカチオン性アミノジアントラキノンを含有する染色用組成物を、乾燥した又は湿ったケラチン繊維に作用させることからなる、直接染色によるケラチン繊維、特に毛髪等のヒトのケラチン繊維の染色方法に関する。本発明の組成物は、そのまま残る組成物、すなわち繊維に組成物を適用した後、中間のすすぎをすることなく乾燥させる組成物として使用することができる。
【0028】
他の実施態様において、組成物を約3〜60分、好ましくは約5〜45分のさらし時間、繊維に作用させ、すすぎ、場合によっては洗浄し、再度すすいで乾燥させる。
【0029】
【実施例】
次に本発明を例証するものであって限定するものではない実施例及び具体例を示す。
調製例
参考例1
( ) の化合物の合成
【化32】
Figure 0004108239
7.0g(0.0207モル)の1-(3-ジメチルアミノプロピルアミノ)-4-メチルアミノアントラキノン(RN-25264-26-0)と2.09g(0.1305モル)の1,3-ジブロモプロパン(RN-109-64-8)を、50mlの2-メチル-1-プロパノールに懸濁させた。ついで、混合物を2-メチル-1-プロパノールの還流温度で4時間、攪拌しつつ加熱し(薄層クロマトグラフィーにおける出発アントラキノンの消失に対応)、ついで煮沸物を脱水し、2-メチル-1-プロパノールで洗浄し、無水メタノール中で再度ペースト状にした。
【0030】
無水リン酸が存在する真空下において50℃で乾燥させたところ、214-216℃[コフラー(Kofler)]で溶解する深青色の結晶が7.7g得られ、その元素分析を、C4352Br+2HOとして算出した:
Figure 0004108239
【0031】
実施例2
( ) の化合物の合成
【化33】
Figure 0004108239
180mlのイソブタノールに33.0g(0.1モル)の1-(2-ブロモエチルアミノ)-アントラキノン(RN 3591-05-7)と10.2g(0.05モル)の1,4-ジイミダゾール-1-イルブタン(RN 69506-86-1)が入ったものを、7時間還流して加熱した(薄層クロマトグラフィーにおける出発アントラキノンが消失)。
得られた懸濁物を室温まで冷却し、180mlの無水エタノールで希釈し、脱水した。
【0032】
還流下において、90%エタノールで再結晶させて精製した後、無水リン酸が存在する真空下において50℃で乾燥させたところ、224-225℃[コフラー]で溶解する赤色の結晶が32.8g得られ、これの元素分析を、C4238Br+HOとして算出した:
Figure 0004108239
【0033】
染色用組成物の実施例
参考例3及び実施例4
次の表に示す2つの染色用組成物を調製した:
(全ての含有量はグラムで表す−A.M.は活性物質を示す)
【表1】
Figure 0004108239
【0034】
上述した各々の組成物を、白髪を90%含有するパーマネントウエーブがかかった又はナチュラルなグレイの髪の束に20分間作用させた。流水ですすぎ、乾燥させたところ、毛髪は次の表に示す色調に染色された。
【表2】
Figure 0004108239

Claims (16)

  1. 以下の式(I):
    Figure 0004108239
    {上式中、
    ・Bは、好ましくは1〜14の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル鎖からなり、一又は複数のZ基(以下に定義する)が挿入されており、一又は複数のヒドロキシル又はC-Cアルコキシ基で置換されていてもよい結合手であり;
    ・R、R、R、R、R'、R'、R'及びR'は同一でも異なっていてもよく、水素原子;ハロゲン原子;(C-C)アルキル基;モノヒドロキシ(C-Cアルキル)基;ポリヒドロキシ(C-Cアルキル)基;シアノ基;ニトロ基;カルボキシル基;スルホ基;Rが水素原子、C-Cアルキル基、モノヒドロキシ(C-Cアルキル)基を示すNHRとで表される置換又は非置換のアミノ基;又はRが水素原子又はC-Cアルキル基を示すOR基を表し;
    ・Zは次の式(II)及び(III)の不飽和のカチオン性基:
    Figure 0004108239
    [上式中:
    ・環の構成要素であるE、G、J、L及びMは、同一でも異なっていてもよく、炭素又は窒素原子を表し;
    ・R基は結合手Bの2つの価の一方を表し;
    ・Xは一価又は二価のアニオンを表す]
    から選択され;
    − (i)カチオン性基Zの数は少なくとも1であると理解される}
    のカチオン性アミノジアントラキノン類又はその酸付加塩類。
  2. 式(II)の不飽和のZ基の環が、ピロール、イミダゾール、ピラゾールびトリアゾール環から選択されることを特徴とする請求項1に記載のカチオン性アミノジアントラキノン類。
  3. 式(III)の不飽和のZ基の環が、ピリジン、ピリミジン、ピラジンびトリアジン環から選択されることを特徴とする請求項1に記載のカチオン性アミノジアントラキノン類。
  4. −1が、ハロゲン原子、水酸化物、硫酸水素又は(C-C)硫酸アルキルから選択されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のカチオン性アミノジアントラキノン類。
  5. 次の式(I)ないし(I)11
    Figure 0004108239
    Figure 0004108239
    Figure 0004108239
    Figure 0004108239
    Figure 0004108239
    Figure 0004108239
    から選択されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のカチオン性アミノジアントラキノン類。
  6. 酸付加塩類が、塩酸塩類、臭化水素酸塩類、硫酸塩類、クエン酸塩類、コハク酸塩類、酒石酸塩類、乳酸塩類及び酢酸塩類から選択されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のカチオン性アミノジアントラキノン類。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の式(I)のカチオン性アミノジアントラキノン類からなり、ヒトケラチン繊維の染色用組成物に使用される直接染料。
  8. 染色に適した媒体に、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の式(I)のカチオン性アミノジアントラキノン類の少なくとも1つ又を有効量含有することを特徴とするケラチン繊維の染色用組成物。
  9. 染色に適した媒体に、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の式(I)のカチオン性アミノジアントラキノン類の少なくとも1つを有効量含有することを特徴とするトのケラチン繊維の直接染色用組成物。
  10. 3〜12のpHを有することを特徴とする請求項8又は9に記載の組成物。
  11. カチオン性アミノジアントラキノン類が、組成物の全重量に対して0.005〜12重量%の範囲の割合で存在していることを特徴とする請求項8ないし10のいずれか1項に記載の組成物。
  12. カチオン性アミノジアントラキノン類が、組成物の全重量に対して0.05〜6重量%の範囲の割合で存在していることを特徴とする請求項11に記載の組成物。
  13. トロベンゼン染料、ニトロピリジン類、式(I)のものとは異なるアントラキノン染料、モノ-又はジアゾ、トリアリールメタン、アジン、アクリジン及びキサンテン染料、又は金属含有染料から選択される他の直接染料をさらに含有していることを特徴とする請求項8ないし12のいずれか1項に記載の組成物。
  14. 染色に適した媒体が、アルコール、グリコール及びグリコールエーテルから選択される有機溶媒及び/又は水を含有する水性媒体であり、組成物の全重量に対して1〜40重量%の割合であることを特徴とする請求項8ないし13のいずれか1項に記載の組成物。
  15. 請求項8ないし14のいずれか1項に記載の染色用組成物を乾燥した又は湿ったケラチン繊維に適用し、これらの繊維を中間のすすぎなしに乾燥させることを特徴とする、直接染色による、ヒトケラチン繊維の染色方法。
  16. 請求項8ないし14のいずれか1項に記載の染色用組成物を乾燥した又は湿ったケラチン繊維に適用し、該組成物を3〜60分作用させ、繊維をすすぎ、場合によっては洗浄し、再度すすいで乾燥させることを特徴とする、直接染色による、ヒトケラチン繊維の染色方法。
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