JP4108132B2 - 気相水素化による芳香族アミンの製造方法 - Google Patents
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Description
固定させた支持触媒にて気相でニトロベンゼンおよび他のニトロ芳香族物質を対応の芳香族アミンまで水素化することは公知である。たとえばFR 25 25 591号には、固定銅触媒におけるニトロベンゼンの水素化方法が記載されている。さらにDE−A 2 135 155号および2 244 401号には、支持材料としてスピネルを使用するパラジウム含有支持触媒の存在下でのニトロ化合物の還元方法が記載されている。さらに、DE−A 2 849 002号からはニトロベンゼンの接触水素化法が公知であり、ここでは水素化を多成分支持触媒の存在下に行う。上記特許公開公報に記載された気相水素化においては、触媒の低い充填量(比充填率)が欠点である。記載され或いは計算された充填率は0.2〜0.6kg/l×hの範囲で変動する。その際、充填量は触媒床1リットル当たり1時間以内に反応するニトロ芳香族物質の量(kg)として規定される。少ない触媒充填量と組み合わせて、大規模の芳香族アミンの製造方法では満足しえない空時収率を伴う。
DE−A 4 039 026号には、高度充填しうるパラジウム触媒における気相水素化が記載されている。この方法における触媒充填率は0.6〜0.95kg/l×hの範囲である。しかしながら、この方法の工業的実施においてはニトロベンゼンの反応が既に短時間後に不充分にのみ生じて、縮合物に相当量の未反応ニトロベンゼンが生成芳香族アミンの他に存在することも示されている。ニトロベンゼンの含有量を許容限界以下まで低下させるには、アニリンを無駄な精製法(蒸留)により精製せねばならない。さらに、DE−A 4 039 026号で使用される触媒は高触媒充填量にて不満足な使用寿命しか持たないことも示されている。
本発明の課題は気相における対応ニトロ化合物の接触水素化による芳香族アミンの製造方法を提供することであり、この方法は工業規模にて問題なしに実施されると共に使用触媒の向上した生産性と組み合わせて高い空時収率を実現する。
この目的は本発明の方法により達成される。
従って本発明の主題は、40m2/g未満のBET表面積を有するセラミック支持材料に元素周期律表(メンデレエフ)第VIIIa、Ib、IIb、IVa、Va、VIa、IVbおよびVb族の1種もしくはそれ以上の金属を含有する固定させた触媒にて気相で対応の芳香族ニトロ化合物を3:1〜30:1の水素とニトロ基とのモル比および180〜500℃の触媒床の温度にて接触水素化することによる芳香族アミンの製造方法であり、この方法は使用した芳香族ニトロ化合物に対する触媒の充填量を連続的または段階的に0.0l〜0.5kg/l×hから0.7〜5.0kg/l×hまで増加させ、10〜1000時間以内に最大充填量に到達させることを特徴とする。
芳香族ニトロ化合物としては、本発明の方法にて次式
[式中、R1およびR2は同一もしくは異なるものであってC1〜C4−アルキル、特にCメチルおよびエチル、水素またはニトロ基を示す]
のものを使用することができる。
ニトロベンゼンまたは異性体ニトロトルエンが好適であり、特にニトロベンゼンが本発明の水素化方法に使用される。
本発明の方法には、ニトロ化合物の水素化につき公知であると共に元素周期律表の前記主族および副族の金属をセラミック支持体に施した全ての触媒が適している。その際、金属は元素状でも或いは化合物の形態でも触媒支持体に施すことができる。セラミック支持体に施しうる金属としては特にFe、Co、Pd、Pt、Cu、Ag、Zn、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Biが挙げられ、特に好ましくはFe、Pd、Pt、Cu、Ti、V、Nb、Cr、Mo、Sn、Pb、Sb、Biであり、特に好ましくはPd、V、Pb、Biである。これら金属は単独で或いは相互の混合物としてセラミックス支持体に施すことができる。
上記金属のためのセラミック支持材料としては原理的に、40m2/g未満、好ましくは20m2/g未満、特に10m2/g未満のBET表面積を有する全てのセラミック固体が適している。特にセラミック固体としては次のものが適している:元素マグネシウム、アルミニウム、珪素、ゲルマニウム、ジルコニウムおよびチタンの金属酸化物および/または金属混合酸化物。好ましくは支持材料としてはα−アルミニアム酸化物が使用される。
DE−A 2 849 002号に記載されたような触媒が特に適すると判明している。ここで特にパラジウム、バナジウムおよび鉛を他の金属の他にα−アルミニアム酸化物に対し皿上に沈着させて含有するような触媒が挙げられる。従って、(a)1〜50gのパラジウムと、(b)1〜50gのチタン、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデンおよび/またはタングステンと、(c)1〜20gの鉛および/またはビスマスとを酸化性支持材料1リットル当たりに含有する触媒が特に推奨され、支持材料は40m2/g未満、好ましくは20m2/g未満、特に10m2/g未満の表面積を有する。混合触媒の上記金属のうちパラジウム、バナジウムおよび鉛が前記量にて使用するのに特に有利であると判明した。
触媒の作成は上記特許公報から公知である。その際、触媒の活性成分を支持成形体表面にできるだけ近く鋭敏帯域として下記するように存在させ、支持材料の内部が金属を全く含有しなければ有利であると判明した。その際、触媒は塩基での支持材料の予備処理を伴って或いは伴わずに作成することができる。
原理的に本発明による方法の支持触媒はたとえば球体、小板、ラシッヒリング、粒状または錠剤のような任意の形態を有することができる。好ましくは床が良好なガス表面接触にて低い流動抵抗を有するような成形体、たとえばラシッヒリング、サドル、ワゴンホイールおよび/またはスパイラルが好適である。本発明による方法の場合、反応器における触媒床を支持触媒のみから構成し或いはたとえばガラスもしくはセラミックのような不活性支持材料もしくは他の不活性充填体でさらに希釈することも可能である。触媒床は90重量%まで、好ましくは75重量%まで、特に50重量%までの不活性充填剤または支持材料で構成することができる。その際、床は希釈が流動方向に減少するような希釈勾配を有することができる。床は流入側表面にて10〜50重量%の充填剤を含有すると共に、流出側端部にて80〜100重量%の純支持触媒で構成される。
反応器としては、本発明の方法につき冷却固定触媒床を有する気相反応に適している全ての公知反応器を用いることができる。たとえば触媒を熱移動媒体が流動するチューブ内に触媒を位置せしめたチューブ束反応器、および逆に熱移動媒体がチューブ内を流動すると共に触媒がチューブの外部に位置する反応器が適している。この種の反応器はたとえばDE−A 2 848 014号および3 007 207号から公知である。
熱移動媒体がチューブの内部を流動すると共に触媒が熱移動チューブの外部に存在する反応器(リンデ型の反応器)が特に有利であると判明した。これら反応器において、慣用のチューブ束反応器と比較し多くの再生サイクルにわたり再生の間に一定の操作時間が観察される。
本発明による方法にて流動方向における触媒床の長さは0.5〜20m、好ましくは1〜10m、特に好ましくは2〜6mである。
本発明による方法は好ましくは4:1〜20:1、特に5:1〜10:1の水素と使用ニトロ化合物のニトロ基とのモル比にて行われる。
水素濃度はたとえば窒素、ヘリウム、アルゴンおよび/または水蒸気のような不活性キャリアガスの混入により低下させることができる。好ましくは窒素を使用する。水素1モル当たり10モルまで、好ましくは3モルまで、特に1モルまでの不活性キャリアガスを導入することができる。
不活性キャリアガスによる希釈は好ましくは新鮮触媒での操作期間の開始時および空気での燃焼および水素での還元による触媒の再生の後に用いられる。好ましくは不活性ガスで再び始動させた後、最初の300時間、より好ましくは最初の200時間、特に好ましくは最初の100時間にて希釈される。
失活した床の再生はN2/O2混合物により200〜400℃、好ましくは250〜350℃の温度にて接触して行われ、好ましくは90〜99重量%のN2含有量にてガス流中で開始されると共にO2含有量を段階的に燃焼の際に純空気まで上昇させ、必要に応じ再生の終了時には粘着炭素残渣を純酸素で燃焼させることもできる。窒素の代わりにたとえばアルゴン、ヘリウムもしくは水蒸気のような他の不活性キャリアガスも酸素もしくは空気に混入することができる。
本発明による方法は好ましくは180〜500℃、特に好ましくは200〜460℃、特に220〜440℃の範囲の温度で行われる。その際、本発明の方法における冷却媒体の温度を操作サイクルに際し連続的または段階的に上昇させれば有利である。
本発明による方法は、0.5〜5バール、好ましくは1〜3バールの圧力にて操作される。
本発明による方法につき、使用芳香族ニトロ化合物に対する触媒の充填量は所定の時間内に連続的または段階的に所望の充填値まで増大させることが重要である。従って20〜500時間、特に30〜300時間、特に好ましくは40〜200時間内に触媒の充填を連続的または段階的に0.01〜0.5kg/l×h(好ましくは0.1〜0.4、特に0.15〜0.3kg/l×h)から0.7〜5.0kg/l×h(特に0.8〜3.0、特に好ましくは1.0〜2.0kg/l×h)まで増大させる操作方法が好適である。
高い最終充填量は未反応エダクトが流出するまで一定に維持される。エダクト濃度が反応器端部にて過度に高くなれば、熱移動媒体の温度を上昇させかつ/またはエダクトの充填量を減少させて、触媒再生につき生産中断を遅延させることができる。
本発明による方法の特定具体例においては、上記支持触媒を他の固体触媒と混合して使用し、支持材料としてのグラファイトもしくはグラファイト含有コークスにパラジウムを施し、さらに支持材料が0.05〜10m2/g、好ましくは0.2〜5m2/gのBET表面積を有する床が用いられる。グラファイト支持触媒のパラジウム含有量は0.1〜7重量%、好ましくは1.0〜6重量%、特に好ましくは1.5〜5重量%、特に好ましくは2〜4重量%である。上記グラファイト含有パラジウム支持触媒はたとえばDE−A 2 849 002号に記載されている。
セラミック支持材料に基づく支持触媒および支持材料としてのグラファイトに基づく支持触媒を互いに混合して使用する場合、混合物における重量比は1/1〜1000/1、好ましくは10/1〜100/1、特に90/1〜99/1(セラミック支持触媒対グラファイト支持触媒)である。
グラファイト触媒を好ましくは触媒床の最初の1/3に存在させるが、全床にわたり均一に分配することもできる。
本発明による方法の工業的実施はたとえば次のように行うことができる:水素と少量の水とで実質的に構成された循環ガス流を圧縮して、プラントの流動抵抗に打勝つようにする。ガス流を向流熱交換により加熱し、たとえば熱を生成物の凝縮前に循環ガス流から取り出す。循環ガス流を所望温度に調節する。消費化合物を補充する新鮮水素にて水素化すべきニトロ芳香族化合物を気化させ過熱し、次いで両ガス流を混合する。このガス混合物を、触媒が固定配置された温度制御反応器に導入する。放出された反応熱を熱移動媒体により反応器から除去する。反応器から出る生成物流を用いて循環ガス流を加熱し、次いで生成アニリンが凝縮するまで水により冷却する。液体を少量の循環ガスと一緒に放出させてガス(たとえば窒素)を除去し、さもないと窒素が蓄積する。次いで循環ガスを圧縮器に戻す。
本発明による方法の好適具体例においては、触媒床をリンデ型の反応器(熱移動媒体が反応器チューブ内を流動すると共に触媒が熱移動媒体チューブの外部に配置される)に導入し、この方法を上記のように行う。その際、新鮮または新たに再生された触媒を窒素/水素混合物で最初の数時間にわたり操作する。この好適操作方式の利点は次の通りである:高い選択率および多くの製造サイクルの後にも再生間の長い時間。
本発明による方法は特に、必要装置寸法の減少および明瞭に増大した触媒生産性と組み合わせて達成しうる高い空時収率を特徴とする。従って、相当な生産性向上を、本発明の方法により現存プラントで達成しうる。
本発明による方法の特に好適な実施形態は、セラミック支持材料を有する支持触媒を支持体としてグラファイト支持体を有する支持触媒と組み合わせて使用し、支持触媒が熱移動オイルを含有するチューブの外部に位置する反応器型(リンデ型)を用いる際に有利であると判明した。
実施例
セラミック支持体における触媒作成
例1
3〜5mmの直径と、9.8m2/gのBET−表面積と、支持体100g当たり水45.1mlの吸収能力と、812g/mlの床重量とを有する球状の1リットルのα−Al2O3支持体に、10.8g(0.27g当量に相当)のNaOHを含有する366mlの水溶液を含浸させた。この溶液を数分間以内に完全に支持体に吸収させた。
濡れた支持体を温度上昇する強い空気流で乾燥させた。一定重量までの乾燥時間は約15分間であった。残留水分含有量は冷却後に支持体の吸収能力の約1%であった。
このように予備処理された乾燥支持体をその吸収能力に相応して、9gのパラジウム(0.169g当量に相当)を含有する366mlのテトラクロルパラジウム酸ナトリウム水溶液で飽和させ、15分間にわたり静置させた。支持体に沈着したパラジウム化合物を金属パラジウムまで還元するため、触媒を400mlの10%ヒドラジン水和物水溶液で覆って2時間にわたり静置させた。次いで触媒を、触媒作成に使用された化合物のイオンがもはや洗浄水に検出しえなくなるまで完全脱イオン水で洗浄し、これには約10時間を要した。
次いで一定重量まで強力な温度上昇する空気流にて再び乾燥させた。
次いでPd含有触媒に、蓚酸バナジルとして9gのバナジウムを含有する366mlの水溶液を飽和させた。支持体を熱風流にて上記のように乾燥させた。次いで触媒を300℃にて6時間にわたりチューブ状オーブン内で熱処理し、蓚酸塩を分解させた。
次いで触媒に酢酸鉛として3gの鉛を含有する366mlの水溶液を飽和させ、再び温度上昇する空気流にて乾燥させた。
完成した触媒は9gのPdと9gのバナジウムと3gの鉛とを含有し、DE−OS 2849002号における例1からの触媒に相当した。
セラミック支持触媒を含有する触媒床を用いる例
例2(比較例1)
約26mmの内径を有する油で熱制御された反応チューブに、例1により作成された285cm高さの触媒床を満たした。触媒を先ず最初に窒素により、次いで水素によりフラッシュさせ、次いで約770NL/hの水素流にて5時間かけて240℃まで加熱した。次いでニトロベンゼンを水素流中で気化させ始めた。ニトロベンゼン−水素混合物は約230℃にて触媒床の前面に達した。触媒の比充填率は48時間以内に0.1kg/L×hから0.47kg/L×hまで増大し、これは1425kg/m2×hの平面充填率に相当し、従って平均で0.46kg/L×hの充填率に達した。全試験に際し全床の温度を追跡し、触媒温度がいずれの箇所においても440℃を越えないよう注意した。
油温度は20℃段階にて約700、800および900時間の後に240℃から300℃まで上昇した。反応チューブに沿った油温度の変化は約±1℃であった。チューブ表面に沿った油の流動速度は約1.5m/sであった。
触媒は約1450時間の使用時間を達成し、その後に凝縮物のニトロベンゼン含有量は0ppmから約300ppmまで上昇した。さらに、触媒を燃焼により再生させねばならなかった。上記反応条件下で触媒は約670kg/Lの生産率を達成した。平均選択率は98.4%であった。
再生後の第2サイクルにおいても触媒は、1400時間の使用時間および98.6%の選択率にて不変に挙動した。
例3
約26mmの内径を有する油で熱制御された反応チューブに、例1により作成された285cm高さの触媒床を満たした。触媒を先ず最初に窒素により、次いで水素によりフラッシュさせ、次いで約1528NL/hの水素流にて5時間かけて240℃まで加熱した。次いでニトロベンゼンを水素流にて気化させ始めた。ニトロベンゼン−水素混合物は触媒床の表面に約230℃にて達した。触媒の比充填率は80時間以内に0.2kg/L×hから1.05kg/L×hまで増大し、これは2994kg/m2×hの平面充填率に相当し、従って平均で1.03kg/L×hの充填率に達した。全試験において、触媒がいずれの箇所においても440℃より高くならないよう注意した。
油温度は20℃−段階にて約700、800および900時間の後に240℃から300℃まで上昇した。反応チューブに沿った油温度の変化は約±1℃であった。チューブ表面に沿った油の流動速度は約1.5m/sであった。
触媒は約1050時間の使用時間に達し、その後に凝縮物のニトロベンゼン含有量は0ppmから約300ppmまで上昇し、その後に触媒を燃焼により再生させねばならなかった。かくして上記反応条件下で触媒は約1080kg/Lの生産率を達成し、比較例におけるよりも約1.6倍の生産率である。
平均選択率は99.0%であり、比較例よりも0.6%高い。
再生後の第2サイクルにて触媒は990時間の使用時間および99.2%の選択率にて不変に挙動した。
数時間の触媒の再生時間は1サイクルの操作時間と比較して大したものでないため、単位時間当たりに生成されるアニリン量は高められた充填率に基づき比較例の約2倍となる。
グラファイト支持体における触媒作成
支持材料としては、リングスドルフ社のグラファイト粒子EG17を用い、これは約0.4〜0.8m2/gのBET表面積を有した。粒子寸法は4〜5mmであった。
この例は決して限定を意味するものでなく、それより低いBET表面積を有する他のグラファイトおよびグラファイト含有材料も同様な結果を達成する。
触媒作成は次のように行った:
支持体100g当たり7mlのアセトニトリル吸収能力を有するリングスドルフ社のグラファイト粒子EG17(粒子寸法4〜5mm、嵩密度650〜1000g/ml)を回転自在な容器に入れ、回転させながらアセトニトリルにおける酢酸パラジウムの溶液を添加する。この混合物を支持体による溶液の完全吸収まで運動させる。次いで強力に上昇する40℃の熱空気流にて固体の5分間乾燥を行う。段階的飽和および乾燥を、所望量のパラジウムが施されるまで反復する。
乾燥された触媒を次いで熱水素流にて常圧下に活性化させる。
例4
EG17に対する0.6%のPd
2000gの支持体
それぞれ140gのアセトニトリルにおける8.3gのPdAc 2による3回の飽和
H2流での370℃における20時間の活性化
例5
EG17に対する2.4%のPd
2000gの支持体
それぞれ140gのアセトニトリルにおける10gのPdAc 2による10回の飽和
H2流での370℃における20時間の活性化
グラファイト支持触媒および不活性支持体を含有する触媒床を用いる例
例6(比較例2)
約26mmの内径を有する油で熱制御された反応チューブに、例4により作成された285cm高さの触媒床を満たした。触媒床を6個の約47.5cm長さのセクションに分割し、ここに未処理支持材料で触媒を均質に希釈して充填した。希釈は流動方向に次のように減少させた:97%、94%、88%、60%、60%、0%。最後のセクションには未希釈の触媒を存在させた。
床を先ず最初に窒素により、次いで水素によりフラッシュさせ、次いで約1528NL/hの水素流で5時間かけて240℃まで加熱した。次いでニトロベンゼンを水素流中で気化させ始めた。ニトロベンゼン−水素混合物は約230℃にて触媒床の表面に達した。触媒の比充填率を60時間以内に0.4kg/L×hから0.84kg/L×hまで増大させ、これは2395kg/m2×hの平面充填率に相当する。全試験において、触媒がいずれの箇所においても440℃より高くならないよう注意した。
反応チューブに沿った油温度の変化は約±1℃であった。チューブ表面に沿った油の流動速度は約1.5m/sであった。
触媒は約70時間の使用時間を達成し、その後に凝縮物のニトロベンゼン含有量は0ppmから約300ppmまで上昇した。従って上記反応条件下に、触媒は約50kg/Lの生産率を達成した。平均選択率は99.5%であった。
240℃から260℃および300℃への熱移動媒体の温度上昇により、10%以上まで急速に上昇するニトロベンゼンの流過に対処しえなかった。
セラミックおよびグラファイト支持触媒の両者を含有する触媒床を用いる例
例7
約26mmの内径を有する油で熱制御された反応チューブに、例4および1により作成された285cm高さの触媒床を満たした。この床は約50cmおよび235cm長さの2つのセクションで構成した。
前側の50cm長さの領域は例1からの触媒を含有し、これは未処理支持材料により98%まで希釈した。後側235cm長さの領域は例1からの未希釈触媒を含有した。
床を先ず最初に窒素により、次いで水素によりフラッシュさせ、次いで約1528NL/hの水素流にて5時間かけて240℃まで加熱した。次いでニトロベンゼンを水素流にて気化させ始めた。ニトロベンゼン−水素混合物は約230℃にて触媒床の表面に達した。触媒の比充填率は70時間以内に0.6kg/L×hから0.9kg/L×hまで、さらに140時間にて1.06kg/L×hまで増大し、これは3081kg/m2×hの平面充填率に相当し、従って平均で1.04kg/L×hの充填率が得られた。全試験において、触媒がいずれの箇所においても440℃より高くならないよう注意した。
油温度は140時間後に240℃から300℃まで上昇した。反応チューブに沿った油温度の変化は約±1℃であった。チューブ表面に沿った油の流動速度は約1.5m/sであった。
触媒床は約1450時間の使用時間を達成し、その後に凝縮物のニトロベンゼン含有量は0ppmから約300ppmまで上昇し、その後に触媒を燃焼により再生せねばならない。従って床は上記反応条件下で約1508kg/Lの生産率に達し、比較例1における床の約2.3倍の生産率および比較例2における床の約30倍の生産率であった。平均選択率は99.3%であった。
例8
約26mmの内径を有する油で熱制御された反応チューブに、例5および1により作成された285cm高さの触媒床を満たした。この床は、例5の3%までの触媒と例1の97%までの触媒とを含有する触媒の緊密混合物で構成した。
床を先ず最初に窒素により次いで水素により、フラッシュさせ、次いで約1528NL/hの水素流にて5時間かけて240℃まで加熱した。次いでニトロベンゼンを水素流中で気化させ始めた。ニトロベンゼン−水素混合物は約230℃にて触媒床の表面に達した。触媒の比充填率を280時間以内に0.25kg/L×hから1.07kg/L×hまで増大させ、これは3110kg/m2×hの平面充填率に相当し、従って平均で0.98kg/L×hの充填率に達した。全試験において、触媒がいずれの箇所においても440℃より高くならないよう注意した。
油温度は20℃段階にて460、1000および1100時間後に240℃から300℃まで上昇した。反応チューブに沿った油温度の変化は約±1℃であった。チューブ表面に沿った油の流動速度は約1.5m/sであった。
触媒は約1400時間の使用時間を達成し、その後に凝縮物のニトロベンゼン含有量は0ppmから約300ppmまで上昇し、その後に触媒は燃焼により再生せねばならなかった。上記反応条件下に床は約1372kg/Lの生産率を達成し、比較例1における床よりも約2倍の生産率であると共に比較例2における床よりも約27倍の生産率であった。平均選択率は99.0%であった。
チューブ束反応器とリンデ反応器との間の比較
例9(チューブ束反応器)
例3の試験を55本のチューブを内蔵するチューブ束反応器で反復した。チューブは約26mmの内径と約2mmの壁厚さと約3.5mの長さとを有した。
各反応チューブに約285cm長さの触媒床を満たし、全体で約83リットルとした。残余の床は不活性充填体で構成した。床の全流動面積は約292cm2とした。この反応器にて例3を10回の製造サイクルにわたり反復した。10〜15時間にわたりN2−空気混合物で再生すると共に、290〜350℃の熱移動媒体温度にて純空気により再生した。平均選択率は99.0〜99.5%であった。
個々の製造サイクルの使用時間を表1に示す。
例10(リンデ反応器)
例3の試験を55本のチューブを内蔵するチューブ束反応器にて反復した。チューブは約26mmの内径と約2mmの壁厚さと約3.5mの長さとを有した。反応器は約295mmの内径を有した。
約83リットルの触媒床を約285cmの高さにて各チューブ間の間隙部に挿入し、約292cm2の流動面積を有した。触媒床の上方および下方にはワイヤメッシュリング充填物を存在させた。冷却媒体を各チューブに通過させた。
この反応器にて例3を10回の製造サイクルにわたり反復した。平均選択率は99.1〜99.4%であった。
個々の製造サイクルの使用時間を表1に示す:
Claims (5)
- 20m2/g未満のBET表面積を有するα−アルミニウム酸化物支持材料にPd、VとPbの金属を含有する固定させたPd触媒にて気相で対応の芳香族ニトロ化合物を3:1〜30:1の水素とニトロ基とのモル比および180〜500℃の触媒床の温度にて接触水素化することによる芳香族アミンの製造方法において、使用した芳香族ニトロ化合物に対する触媒の充填量を連続的または段階的に0.15〜0.3kg/l×hから1.0〜2.0kg/l×hまで増加させ、40〜200時間以内に最大充填量に到達させることを特徴とする芳香族アミンの製造方法。
- (i)20m 2 /g未満のBET表面積を有するα−アルミニウム酸化物支持材料にPd、VとPbの金属を含有するPd触媒と
(ii)0.2〜5m 2 /gのBET表面積を有するグラファイト支持材料にPdを施した固体触媒とを
混合した固定させた触媒にて気相で対応の芳香族ニトロ化合物を3:1〜30:1の水素とニトロ基とのモル比および180〜500℃の触媒床の温度にて接触水素化することによる芳香族アミンの製造方法において、使用した芳香族ニトロ化合物に対する触媒の充填量を連続的または段階的に0.15〜0.3kg/l×hから1.0〜2.0kg/l×hまで増加させ、40〜200時間以内に最大充填量に到達させることを特徴とする芳香族アミンの製造方法。 - Pd触媒が(a)1〜50gのパラジウムと、(b)1〜50gのバナジウムと、(c)1〜20gの鉛をα−アルミニウム酸化物支持材料1リットル当たりに含有する、請求項1又は2に記載の芳香族アミンの製造方法。
- グラファイト支持触媒のパラジウム含有量は1.0〜6重量%である、請求項2に記載の芳香族アミンの製造方法。
- リンデ反応器を使用する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の芳香族アミンの製造方法。
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