JP4107400B2 - 調剤用薬剤払出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、病院薬局等における調剤業務を支援するための調剤用薬剤払出装置に関し、詳しくは、種々の形態に纏められた調剤用薬剤を予めカセットに収納しておき必要に応じて自動的に払い出す調剤用薬剤払出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、調剤用薬剤払出装置として、自動化の進んだ錠剤分包機や散薬分包機の他、錠剤のパックされたシートパックを摘んで抜き出すものや(特開平2−309967号公報)、液剤のアンプルを押し出して重力落下させることで払い出すもの(特開平2−28406号公報)なども、知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の調剤用薬剤払出装置では、押し出しや、重力落下、あるいは摘み出し等の手法を用いて、調剤用薬剤の取り出しが行われる。
しかしながら、押し出しや重力落下による薬剤取出は、固形錠剤や、瓶詰め薬剤、箱詰め薬剤などに、適用対象が限られる。また、摘み出しによる薬剤取出は、複数の摘み部材を適切に協動させるとともに、多種多様な剤形や薬剤の包装形態ごとに摘み部材の形状等を適合させる必要がある。このため、各種の薬剤を取り扱えるよう調剤用薬剤払出装置の適用範囲を広げるには、構造の複雑化が避けられない。
【0004】
これに対し、病院薬局等において調剤される薬剤には、基本的な錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、瓶詰めの水剤、アンプルタイプやバイアルタイプの注射薬、シートパックタイプのPTP錠剤の他、軟膏や貼付剤などの外用薬も含まれ、広い意味では包帯やガーゼ等の付随品も含まれる。そして、それらについても、自動調剤・自動払出の要請が高まりつつある。
【0005】
そこで、固形の比較的取り扱い易い薬剤ばかりでなく、袋詰めの貼付剤など多様な形態の薬剤についても、自動化を図ることが課題となる。しかも、できるだけ簡易な構成であって、なるべく多種類の薬剤を取り扱えるのが望ましい。
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、広範な形態の調剤用薬剤を払い出すことの可能な調剤用薬剤払出装置を実現することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するためになされた本発明の調剤用薬剤払出装置について、その構成および作用効果を以下に説明する。
【0007】
本発明の調剤用薬剤払出装置は(、出願当初の請求項1に記載の如く)、調剤用薬剤を収容する多数の薬剤カセットと、前記薬剤カセットのうち所望の調剤用薬剤を収容しているものからその薬剤を取り出して所定の位置に搬送する払出搬送機構とを具備した調剤用薬剤払出装置において、前記払出搬送機構には、前記の薬剤取り出しを担う摩擦部材が設けられており、前記薬剤カセットに臨む前記摩擦部材の摩擦面には、(望ましくは弾性部材からなる)多数の突起が形成されており、前記払出搬送機構等には、前記摩擦部材の駆動を行う摩擦部材駆動手段が設けられこれにて前記摩擦部材の前記摩擦面が上向きに又は斜め上向きに進むように前記摩擦部材が駆動される。
【0008】
このような構成の調剤用薬剤払出装置にあっては、何れかの薬剤カセットに収容された調剤用薬剤が払い出しの対象になると、払出搬送機構の移動等によってその薬剤カセットと払出搬送機構との対応付けがなされて、その薬剤カセットにおける薬剤取り出し位置に払出搬送機構の摩擦部材が向けられる。そして、その摩擦部材の摩擦面と取出位置の調剤用薬剤との接触状態が確保されたところで、駆動装置等の摩擦部材駆動手段によって所定方向へ摩擦部材が動かされると、その所望の調剤用薬剤が、摩擦力によって引きずられて、抜け出るように取り出され、それから所望のところへ払い出される。
【0009】
このようにして、押し出しや摘み出し或いは重力落下に依らない言わば擦り出しによって調剤用薬剤の取り出しが行われる。これにより、摘み機構等に比べて簡易な構造でありながら、摩擦面さえ有れば、調剤用薬剤の細かな形態や硬軟などに拘わらず適用できるので、適用範囲が広がることとなる。そして、具体的には、押し出し可能な箱入薬剤や摘み出し可能なシートパック剤さらには重力落下可能なアンプル剤は勿論のこと、袋詰め薬剤についても、薬剤カセットから順次取り出して所望の個数だけ払い出すことが可能となる。
【0010】
しかも、調剤用薬剤の取り出しの際に、調剤用薬剤と摩擦部材とが擦れると、その接触面において、突起が次々とスティックスリップすること等によって、細かく震える振動が生じる。この振動は、調剤用薬剤に伝わって、調剤用薬剤同士の摩擦係数を下げる。
これにより、所望の調剤用薬剤を摩擦力で抜き出す際に、後続の調剤用薬剤が良く分離されて、摩擦中の調剤用薬剤だけが確実に取り出される。
【0011】
特に、調剤用薬剤に摩擦部材を擦らせる際に接触面において摩擦部材が上向きに又は斜め上向きに進むように摩擦部材が動かされると、その調剤用薬剤および後続の調剤用薬剤に対して下向きに働く重力との相互作用も加わって、振動が強く励起されるとともに、摩擦中の調剤用薬剤と後続の調剤用薬剤との分離も一層良くなる。
【0012】
これにより、所望の調剤用薬剤だけを確実に払い出すことができる。
したがって、この発明によれば、薬剤形状やその包装形態が多岐に亘っていても広い範囲のものについて調剤用薬剤を不都合無く払い出すことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
このような解決手段で達成された本発明の調剤用薬剤払出装置について、これを実施するための形態を説明する。
【0014】
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施形態は、上述した解決手段および実施形態の調剤用薬剤払出装置であって、前記摩擦部材について前記薬剤カセットに臨む摩擦面の可動範囲を拡縮する手段が設けられたものである。
【0015】
このような形態の調剤用薬剤払出装置にあっては、薬剤取り出し対象の薬剤カセットにおける薬剤取り出し位置に払出搬送機構の摩擦部材が向けられる際に、その可動範囲が該当カセット又は該当薬剤のサイズに合わせて拡縮される。そして、その摩擦部材の摩擦面と取出位置の薬剤との接触状態が過不足無く確保されたところで、摩擦部材が動くと、その所望の薬剤が確実に取り出され所望のところへ払い出される。
【0016】
これにより、薬剤カセットの幅などが異なっていても、調剤用薬剤の払い出しが確実に行われる。しかも、薬剤取り出しに摩擦部材が用いられているので、その作用範囲の拡縮は、駆動範囲を選択的に行ったり、摩擦面を部分的に覆ったりすることなどで、簡便に具現化することができる。
したがって、この発明によれば、薬剤形状やその包装形態が多岐に亘ることに基づき、高さや幅の異なる各種サイズの薬剤カセットを混在させても、不都合無く調剤用薬剤を払い出すことができる。
【0017】
[第2の実施の形態]
本発明の具体的な実施形態は、上述した解決手段および実施形態の調剤用薬剤払出装置であって、前記薬剤カセットは、それぞれ、収容容易なように上部が解放されていて調剤用薬剤を横一列に並べて収容するものであって、収容中の調剤用薬剤を薬剤取り出し位置へ向けて付勢する手段が設けられたものであり、前記払出搬送機構は、薬剤取出手段および薬剤搬送手段を含んだものであり、前記薬剤取出手段は、前記薬剤カセットのそれぞれに対応して前記摩擦部材が設けられたものであり、又は前記薬剤カセットの一つ若しくは幾つかに対応して前記摩擦部材が設けられるとともにその摩擦部材若しくはそのうち何れかの摩擦部材を前記薬剤カセットの任意のものの取り出し位置へ移動させる手段が連結されたものであり、前記薬剤搬送手段は、前記薬剤カセットから前記薬剤取出手段によって取り出された調剤用薬剤を前記薬剤取出手段から受け取り可能な位置と所定の払出位置とに亘って設けられた単一の又は複数連結の搬送機構を有したものである。
【0018】
【実施例】
本発明の調剤用薬剤払出装置の一実施例について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1は、その構造を模式的に簡略化して示したものであり、(a)が背面図、(b)がAA縦断側面図である。また、図2は、薬剤取り出し位置まわりの縦断側面拡大図であり、図3は、摩擦部材の配置状態を背面からみた拡大図である。なお、図中では、左右方向すなわち脇方向をX方向とし、上下方向すなわち鉛直方向をY方向とし、前後方向すなわち奥行き方向をZ方向として示した。
【0019】
この調剤用薬剤払出装置10は、左右一対の内側板11(図1(a)では一方が右端近くに有り他方が左端から少し中央寄りに有る。図1(b)では一方だけが見えている。)に水平な状態で取着されたレール12に対しベアリング等の滑り部材を介して棚板13が複数段(図1では5段)装着されたものであり、各棚板13は、正面の方へ引き出せるようになっている(図1(b)における最上段のものを参照)。
【0020】
各棚板13には、カセット20を複数個(図1(a)では4個)左右(X方向)に並べて搭載する。各段の各カセット20は、各種サイズの調剤用薬剤を分担して収納するために、幅がそれぞれ1:2:3:4の比になっているが、これは一例であり、全カセットが同じ幅であっても良く、棚板13ごとに組み合わせが異なっていても良い。これにより、調剤用薬剤払出装置10は、水平方向への引出可能な状態で上下左右に並べて多数の薬剤カセット20が設けられたものとなっている。
【0021】
カセット20は、それぞれ、前後(Z方向)に細長い箱状に形成されたものであり、これには、棚板13への着脱手段なども設けられるが、蓋の部分は無い。そして、その内幅より少し幅の小さい貼付剤1等(調剤用薬剤)であれば、その中に多数個を入れて整列させると、貼付剤1等は、カセット20の長手方向(Z方向)に延びた直線状に揃うこととなる(図1(b)、図2を参照)。これにより、それぞれの薬剤カセット20は、上部が解放されていて、調剤用薬剤を横一列に並べて収容するものとなっている。
【0022】
各カセット20は、その薬剤取り出し位置に該当する後端部(Z方向先端部)が少し傾斜して上開き気味になっており、そこには切欠24が形成されている(図1(a)、図2を参照)。切欠24は、貼付剤1が落ちない範囲で、後述のゴムベルト35(摩擦部材)が遊挿可能な大きさに形成される。また、カセット20内には、その長手方向へ自由に移動しうる押し具21と、押し具21に装着された巻取部22と、一端側が巻取部22に巻き付き他端がカセット20の後端部に取着されたバネ23とが設けられており、バネ23が巻取部22に巻き付くのを利用して押し具21がほぼ一定の力で奥の方(Z方向)へ進められる。そして、押し具21と後端部(24)との間に貼付剤1が収容されていると、貼付剤1は切欠24の方へ押しつけられる。これにより、薬剤カセット20は、個々に、収容中の調剤用薬剤を薬剤取り出し位置へ向けて付勢する手段が設けられたものとなっている。
【0023】
この調剤用薬剤払出装置10には、薬剤カセット20のうち所望の調剤用薬剤を収容しているものからその薬剤を取り出して所定の位置へ搬送するために、払出搬送機構30も設けられている。払出搬送機構30は、主として装置の後背部分(図1(b)参照、Z方向正側)に配置され、薬剤取出部34,35と、その移動を担う支持部兼駆動部31,32,33と、薬剤搬送部36とに大別される。
【0024】
払出搬送機構30の薬剤取出部は、可動部材33に装着されたバケット34と、やはり可動部材33に装着されカセット20の切欠24に進入退出可能なゴムベルト35とを有するものである。ゴムベルト35は、一対のローラ35b間に張られた無端の可撓性帯状体であり、可動部材33の移動時等にはカセット20と干渉しないように図示しない駆動装置によって切欠24から退出させられているが(図1(b)参照)、カセット20から貼付剤1等の調剤用薬剤を取り出す際には切欠24に進入して最端の貼付剤1に接触させられる(図2参照)。
【0025】
そして、ローラ35bが図示しない駆動装置によって回転させられると、ゴムベルト35が貼付剤1との接触面を斜め上へ擦り、これによってゴムベルト35の上方(B方向)へ持ち上げられた貼付剤1は、バケット34に付設された傾斜板34a上を滑ってバケット34内に落下する(矢印C参照)。これにより、払出搬送機構30は、薬剤取り出しを担う摩擦部材としてゴムベルト35を備えたものとなっている。なお、切欠24へのゴムベルト35の進退は、図示の如くローラ35bの移動によって行われるのも良いが、ローラ35bは移動しないで又はローラ35bの移動に加えて、ローラ35b間に配置した滑り易い当て板等にてゴムベルト35の一部を切欠24内に押し出すようにしても良い。また、バケット34は、受け入れた貼付剤1等を一旦溜めておき適宜纏めて排出するために、底が開閉するようになっている。
【0026】
ゴムベルト35は、その外周面に小さな多数の突起35aが形成されている。突起35aは、円筒形(図2,図3参照)でも良いが、型抜きの容易さ等を考慮して円錐形でも良く、切削加工の容易さ等を考慮して角柱形や角錐形でも良い。通常は、ゴムベルト35の基部と同じ材質のものとなるが、直接接触する部位の摩擦係数を基部よりも大きくする等のために異質の弾性小片を基部に植設または付着させても良い。これにより、摩擦部材35は、薬剤カセット20に臨む摩擦面に、弾性部材からなる多数の突起35aが形成されたものとなっている。
【0027】
また、ゴムベルト35は、左右(X方向)に複数個(図3では4個)が列設されており、その配置間隔は、カセット20における切欠24の間隔に一致しており、その個数は、カセット20における切欠24の最大数に一致している。これにより、払出搬送機構30の薬剤取出部は、横幅の最も広い薬剤カセットに対応して摩擦部材35が複数設けられたものとなっている。
【0028】
払出搬送機構30の支持部兼駆動部は、上述の内側板11と平行に立設された縦ガイド31と、これに装着された横ガイド32と、この横ガイド32に装着された可動部材33とを有し、図示しないボールネジまたはタイミングベルト等を含んだ駆動装置によって、横ガイド32が縦ガイド31に案内されて上下動(Y方向移動)するとともに、可動部材33が横ガイド32に案内されて左右に水平移動(X方向移動)するものである。その移動可能な範囲は、少なくとも、右端のゴムベルト35が各段における最右端の切欠24に到達するところから、左端のゴムベルト35が各段における最左端の切欠24に到達するところまでを、カバーしている。これにより、払出搬送機構30の支持部兼駆動部は、複数の摩擦部材35のうち何れかを薬剤カセット20の任意のものの取り出し位置へ移動させるものとなっている。
【0029】
調剤用薬剤払出装置10のうち内側板11より左方の空間には、コンベア36が設けられている(図1(a)参照)。このコンベア36は、水平な状態で前後に延びて設置され(図1(b)参照)、その一端は、バケット34の移動可能範囲に至る一方、その他端は、正面パネルを貫き、前面に置かれた払出箱37の上に到達している。そして、コンベア36の上方に移動してきたバケット34の底から貼付剤1等が排出されると、この貼付剤1等がコンベア36によって背面側から正面側へ搬送され払出箱37に払い出される。これにより、薬剤搬送手段30は、薬剤カセット20から薬剤取出手段によって取り出された調剤用薬剤を薬剤取出手段から受け取り可能な位置と所定の払出位置とに亘って設けられた搬送機構36を有したものとなっている。
【0030】
コントローラ14は、マイクロプロセッサシステムを主体としたものであり、コンベア36の下等の空間に設置されている。コントローラ14は、正面側に設けられた図示しない操作パネルの操作に応じて、メモリに保持する各カセット20の配置情報やそれに収容された貼付剤1等についての薬剤情報を参照しながら、適宜のインターフェイスを介して接続された駆動装置の動作を制御するものである。特に、個別駆動の可能なローラ35bの回転を制御する際には、該当するカセット20における切欠24の個数に等しい個数のゴムベルト35だけが動作するよう選択的制御を行う。あるいは、該当する切欠24に対向しているゴムベルト35だけが進入するような選択的制御を行う。これにより、摩擦部材35は、薬剤カセット20に臨む摩擦面の可動範囲を拡縮する手段が設けられたものとなっている。
【0031】
このような構成の調剤用薬剤払出装置について、その使用態様及び動作を説明する。
【0032】
先ず、各カセット20に適宜の貼付剤1等を適当な個数だけ収容し、貼付剤1等が押し具21にて薬剤取り出し位置へ向けて付勢されるようにする。それから、棚板13を引き出して、その上に各カセット20を搭載し、棚板13を押し戻す。同様にして、他段の棚板13にも、カセット20を搭載する。その際、コントローラ14にも、操作パネルを操作したり作成済みの記録媒体から必要情報を読み込ませたりして、適切な配置情報や薬剤情報をセットしておく。
こうして、貼付剤1等を収容した多数のカセット20が、薬剤取り出しの可能な状態に、セットされる。
【0033】
次に、調剤用薬剤たとえば貼付剤1を払い出すときには、操作パネルを操作して、その種類と個数とを指定する。すると、これを入力したコントローラ14の制御に従って以下のような処理が行われる。
すなわち、該当する貼付剤1が収容されたカセット20(図1では上から2段目で右から2番目のカセット)のところへ、可動部材33が移動し、これに随伴して移動したゴムベルト35がその該当カセット20に対向する。この該当カセット20は切欠24が3個のものなので、4個のゴムベルト35のうち3個(図1(a)では右端のものを除く左方の3個)だけが対向する。
【0034】
これら3個のゴムベルト35が切欠24に進入して、所定時間だけローラ35bが回転する(図2参照)。すると、ゴムベルト35に接触していた貼付剤1は、ゴムベルト35によって斜め上方へ持ち上げられ(矢印B参照)、その後は重力で落下して、バケット34に取り込まれる(矢印C参照)。その際、ゴムベルト35と貼付剤1との接触は多数の突起35aを介在して維持され、突起35aは、貼付剤1と擦れ合う際、個々のタイミングでときどきスティックスリップを生じるので、全体としては細かな微小振動が発生する。
こうして、ゴムベルト35に接していない後続の貼付剤1を一緒に引き出すこと無く、貼付剤1は該当カセット20から一個だけが確実に取り出される。
【0035】
そして、このような動作が指定個数の分だけ繰り返されると、バケット34の中には、必要な貼付剤1が必要な個数だけ確保される。また、他の種類の調剤用薬剤についての払出も指定されていれば、さらに、可動部材33がその調剤用薬剤を収容したカセット20のところへも移動し、そのカセット20の切欠24に対応した数(すなわち1個〜4個のいずれか)のゴムベルト35が動作して、その調剤用薬剤も指定個数だけバケット34の中に追加される。
こうして、指定された各種の調剤用薬剤は、必要なものが必要なだけ、バケット34に収集される。
【0036】
それから、可動部材33が移動して、バケット34がコンベア36の上方に来たとき、バケット34の底が開閉する。そうすると、収集された調剤用薬剤は、コンベア36の上に落下して、コンベア36によって搬送され、最後に、払出箱37に入れられる。
こうして、薬剤カセット20のうち所望の調剤用薬剤を収容しているものから、その薬剤が取り出され、その薬剤が所定の位置すなわち払出箱37等の薬剤払い出し位置へ搬送されて、薬剤の自動払出が完了する。
【0037】
【変形例】
図4に縦断側面拡大図を示した払出搬送機構の薬剤取出部は、ローラ35bが移動すること無くゴムベルト35の一部だけが切欠24内に進退するものである。図4(a)は、ゴムベルト35が切欠24の外に退いている状態を示しており、上述の図2に対応している。これに対し、図4(b)は、ゴムベルト35が切欠24内に進行した状態を示すものである。
これが上述の実施例と相違するのは、両ローラ35bの中間にもう一つのローラ35cが設けられている点と、ローラ35bが可動部材33に固定されるとともにローラ35cを切欠24内へ向けて進退させるようになっている点である。なお、ローラ35cの進退が可能なように、ゴムベルト35には充分な伸縮性が付与され、さらに、図示しない適宜の往復駆動装置等も設けられている。
【0038】
この場合、ゴムベルト35の前面中間部分がローラ35cによって突き出されて、切欠24内へ進み、さらに先頭の貼付剤1に当接すると、その貼付剤1は、先ず上方へ持ち上げられるが、ゴムベルト35側からの支えはローラ35cのところしかないため、持ち上げられた部分がゴムベルト35の上へ傾いて来る(図4(b)の矢印Dを参照)。そして、、その先頭の貼付剤1は、ゴムベルト35の上側傾斜部分に乗ってバケット34の方へ運ばれるが、その際、ゴムベルト35に未だ乗っていない下端部分が、次の貼付剤1を軽く押し戻しながら、引き抜かれる(図4(b)の矢印Dを参照)。こうして、先頭の貼付剤1を取り出すに際し、後続の貼付剤1を道連れにすること無く、確実に所望のものだけが取り出される。
【0039】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の調剤用薬剤払出装置にあっては、押し出しや摘み出し或いは重力落下に依らない言わば擦り出しによって調剤用薬剤の取り出しが行われるようにしたことにより、しかも、その取り出しに際して調剤用薬剤と摩擦部材との摩擦面において多数の突起が上向きに又は斜め上向きに進むようにしたことにより、簡易な構造でありながら調剤用薬剤の硬軟などに拘わらず適用できて、広範な形態の調剤用薬剤を払い出すことの可能な調剤用薬剤払出装置を実現することができたという有利な効果が有る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の調剤用薬剤払出装置の一実施例について、(a)が背面図、(b)が縦断側面図である。
【図2】 薬剤取り出し位置まわりの縦断側面拡大図である。
【図3】 摩擦部材の配置状態を背面からみた拡大図である。
【図4】 払出搬送機構の薬剤取出部に関する変形例である。
【符号の説明】
1 貼付剤(シート剤、軟質剤、包装剤、調剤用薬剤)
10 調剤用薬剤払出装置
11 内側板(固定部材、カセット支持手段)
12 レール(引出用部材、カセット支持手段)
13 棚板(可動部、カセット支持手段)
14 コントローラ(制御装置)
20 カセット(薬剤カセット)
21 押し具(進退部材、付勢手段)
22 巻取部(バネ力伝達部材、付勢手段)
23 バネ(弾性体、前進力発生部材、付勢手段)
24 切欠(摩擦部材進入部位、薬剤取り出し位置)
30 払出搬送機構(薬剤取出手段+摩擦部材移動手段+薬剤搬送手段)
31 縦ガイド(Y方向案内部材、上下駆動手段、棚間移動手段)
32 横ガイド(X方向案内部材、左右駆動手段、棚内移動手段)
33 可動部材(XY移動部、摩擦部材装着体、カセット間移動手段)
34 バケット(仮受箱、薬剤取出手段)
34a 傾斜板(取り出し薬剤の案内部材、薬剤取出手段)
35 ゴムベルト(弾性体、無端部材、摩擦部材、薬剤取出手段)
35a 突起(弾性体、摩擦部材、薬剤取出手段)
35b ローラ(無端部材、摩擦部材駆動手段、薬剤取出手段)
35c ローラ(無端部材、摩擦部材進退手段、薬剤取出手段)
36 コンベア(薬剤搬送手段)
37 払出箱(調剤用薬剤の払出位置)
Claims (1)
- 調剤用薬剤を収容する多数の薬剤カセットと、前記薬剤カセットのうち所望の調剤用薬剤を収容しているものからその薬剤を取り出して所定の位置に搬送する払出搬送機構とを具備した調剤用薬剤払出装置において、前記払出搬送機構に設けられ取出対象薬剤を擦ることにより前記の薬剤取り出しを担う摩擦部材と、前記薬剤カセットに臨む前記摩擦部材の摩擦面に多数が形成されていて前記の薬剤取り出しに際し取出対象薬剤と擦れ合う際に次々とスティックスリップするようになっている突起と、前記の薬剤取り出しに際して前記摩擦面が上向きに又は斜め上向きに進むよう前記摩擦部材を駆動する摩擦部材駆動手段とを備えたことを特徴とする調剤用薬剤払出装置。
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