JP4106865B2 - アクティブマトリクス型表示装置および携帯端末 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクティブマトリクス型表示装置および携帯端末に関し、特にアクティブマトリクス型表示装置の駆動系を制御するための各種のタイミングパルスを発生するタイミング発生回路を搭載したアクティブマトリクス型表示装置およびこの表示装置を表示部として用いた携帯端末に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistants)などの携帯端末の普及がめざましい。これら携帯端末の急速な普及の要因の一つとして、その出力表示部として搭載されている液晶表示装置が挙げられる。その理由は、液晶表示装置が原理的に駆動するための電力を要しない特性を持ち、低消費電力の表示デバイスであるためである。
【0003】
この液晶表示装置など、画素がマトリクス状に配置され、これら画素の各々を駆動する構成の表示装置には、各画素を行単位で選択する垂直駆動系と、この垂直駆動系によって選択された行の各画素に情報を書き込む水平駆動系とが設けられている。そして、これら駆動系では、その駆動制御のために各種のタイミングパルスが用いられることになる。
【0004】
これらのタイミングパルスは、タイミング発生回路において、専用のタイミング信号作成用カウンタ回路などを用いて、水平同期信号HD、垂直同期信号VDおよびマスタークロック信号MCKに基づいて適当なタイミングで発生される。これらタイミングパルスを発生するタイミング発生回路は、従来、表示エリア部が形成される基板とは別基板である単結晶シリコン基板上に形成されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、液晶表示装置に代表される表示装置において、表示駆動のための種々のタイミング信号を発生するタイミング発生回路を、表示エリア部が形成される基板とは別の基板上に形成したのでは、セットを構成する部品点数が増えるとともに、それぞれ別々のプロセスで作成しなければならないため、セットの小型化、低コスト化の妨げになるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、セットの小型化、低コスト化に寄与し得るアクティブマトリクス型表示装置およびこの表示装置を表示部として用いた携帯端末を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、電気光学素子と薄膜トランジスタを有する画素がマトリクス状に配置されてなる表示エリア部と、この表示エリア部の各画素に対して画像信号を供給する水平駆動回路と、この水平駆動回路で生成されるタイミング情報を基に当該水平駆動回路で用いるタイミング信号を発生するタイミング発生回路とを備えたアクティブマトリクス型表示装置において、
前記水平駆動回路は、
アドレス制御を行いかつタイミングデータを生成するためのカウント動作を行うシフトレジスタもしくはカウンタ回路と、
前記シフトレジスタもしくは前記カウンタ回路から順次出力されるタイミングデータに基づいて前記表示エリア部に表示する映像信号をラッチするサンプリングラッチ回路と、
前記サンプリングラッチ回路でラッチされた映像信号を1ライン単位でラッチする線順次化ラッチ回路とを有し、
前記タイミング発生回路は、前記シフトレジスタもしくは前記カウンタ回路で異なるタイミングで生成される複数の前記タイミングデータを用いて前記線順次化ラッチ回路のラッチ制御パルスを発生し、
前記タイミング発生回路を構成する少なくともトランジスタ回路は、薄膜トランジスタにより前記表示エリア部と同一基板上に一体的に形成される
構成となっている。そして、このアクティブマトリクス型表示装置は、携帯端末の表示部として用いられる。
【0008】
上記構成のアクティブマトリクス型表示装置あるいはこれを用いた携帯端末において、水平駆動回路で生成されるタイミング情報を基に当該水平駆動回路で用いるタイミング信号を生成する、より具体的には、シフトレジスタもしくはカウンタ回路で異なるタイミングで生成される複数のタイミングデータを用いて線順次化ラッチ回路のラッチ制御パルスを生成するということは、水平駆動回路の一部をタイミング信号の生成に兼用することである。したがって、その兼用する回路分だけタイミング発生回路の回路構成を簡略化できる。特に、タイミング発生回路を構成する少なくともトランジスタ回路を、薄膜トランジスタにより表示エリア部と同一基板上に一体的に形成することで、タイミング発生回路の回路構成が極めて簡単であり、消費電力も低いことから、表示装置の狭額縁化、低コスト化、さらには低消費電力化が可能になる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明に係る表示装置の構成例を示す概略構成図である。ここでは、例えば、各画素の電気光学素子として液晶セルを用いたアクティブマトリクス型液晶表示装置に適用した場合を例に採って説明するものとする。
【0010】
図1において、透明絶縁基板、例えばガラス基板11上には、液晶セルを含む画素がマトリクス状に多数配置されてなる表示エリア部12、上下一対のHドライバ(水平駆動回路)13U,13DおよびVドライバ(垂直駆動回路)14とともに、Hドライバ13U,13DやVドライバ14を駆動するための各種のタイミングパルスを発生するタイミング発生回路15が集積されている。ガラス基板11は、能動素子(例えば、トランジスタ)を含む多数の画素回路がマトリクス状に配置形成される第1の基板と、この第1の基板と所定の間隙をもって対向して配置される第2の基板とによって構成される。そして、これら第1,第2の基板間に液晶が封入される。
【0011】
図2に、表示エリア部12の具体的な構成の一例を示す。ここでは、図面の簡略化のために、3行(n−1行〜n+1行)4列(m−2列〜m+1列)の画素配列の場合を例に採って示している。図2において、表示エリア部12には、垂直走査ライン…,21n−1,21n,21n+1,…と、データライン…,22m−2,22m−1,22m,22m+1,…とがマトリクス状に配線され、それらの交点部分に単位画素23が配置されている。
【0012】
単位画素23は、画素トランジスタである薄膜トランジスタTFT、液晶セルLCおよび保持容量Csを有する構成となっている。ここで、液晶セルLCは、薄膜トランジスタTFTで形成される画素電極(一方の電極)とこれに対向して形成される対向電極(他方の電極)との間で発生する容量を意味する。
【0013】
薄膜トランジスタTFTは、ゲート電極が垂直走査ライン…,21n−1,21n,21n+1,…に接続され、ソース電極がデータライン…,22m−2,22m−1,22m,22m+1,…に接続されている。液晶セルLCは、画素電極が薄膜トランジスタTFTのドレイン電極に接続され、対向電極が共通ライン24に接続されている。保持容量Csは、薄膜トランジスタTFTのドレイン電極と共通ライン24との間に接続されている。共通ライン24には、所定の直流電圧がコモン電圧Vcomとして与えられる。
【0014】
垂直走査ライン…,21n−1,21n,21n+1,…の各一端は、図1に示すVドライバ14の対応する行の各出力端にそれぞれ接続される。Vドライバ14は、例えばシフトレジスタによって構成され、垂直転送クロックVCK(図示せず)に同期して順次垂直選択パルスを発生して垂直走査ライン…,21n−1,21n,21n+1,…に与えることによって垂直走査を行う。
【0015】
一方、表示エリア部12において、例えば、奇数番目のデータライン…,22m−1,22m+1,…の各一端が図1に示すHドライバ13Uの対応する列の各出力端に、偶数番目のデータライン…,22m−2,22m,…の各他端が図1に示すHドライバ13Dの対応する列の各出力端にそれぞれ接続される。Hドライバ13U,13Dの具体的な構成の一例を図3に示す。
【0016】
図3に示すように、Hドライバ13Uは、シフトレジスタ25U、サンプリングラッチ回路(データ信号入力回路)26U、線順次化ラッチ回路27UおよびDA変換回路28Uを有する構成となっている。シフトレジスタ25Uは、水平転送クロックHCK(図示せず)に同期して各転送段から順次シフトパルスを出力することによって水平走査を行う。サンプリングラッチ回路26Uは、シフトレジスタ25Uから与えられるシフトパルスに応答して、入力される所定ビットのディジタル画像データを点順次にてサンプリングしてラッチする。
【0017】
線順次化ラッチ回路27Uは、サンプリングラッチ回路26Uで点順次にてラッチされたディジタル画像データを1ライン単位で再度ラッチすることによって線順次化し、この1ライン分のディジタル画像データを一斉に出力する。DA変換回路28Uは例えば基準電圧選択型の回路構成をとり、線順次化ラッチ回路27Uから出力される1ライン分のディジタル画像データをアナログ画像信号に変換して先述した画素エリア部12のデータライン…,22m−2,22m−1,22m,22m+1,…に与える。
【0018】
下側のHドライバ13Dについても、上側のHドライバ13Uと全く同様に、シフトレジスタ25D、サンプリングラッチ回路26D、線順次化ラッチ回路27DおよびDA変換回路28Dを有する構成となっている。なお、本例に係る液晶表示装置では、表示エリア部12の上下にHドライバ13U,13Dを配する構成を採ったが、これに限定されるものではなく、上下のいずれか一方のみに配する構成を採ることも可能である。
【0019】
図1および図3から明らかなように、タイミング発生回路15についても、Hドライバ13U,13DおよびVドライバ14と同様に、表示エリア部12と共に同一のガラス基板11上に集積される。ここで、例えば表示エリア部12の上下にHドライバ13U,13Dを配する構成を採る液晶表示装置の場合には、Hドライバ13U,13Dが搭載されていない辺の額縁エリア(表示エリア部12の周辺エリア)にタイミング発生回路15を搭載するのが好ましい。
【0020】
何故ならば、Hドライバ13U,13Dは、上述した如くVドライバ14に比べて構成要素が多く、その回路面積が非常に大きくなる場合が多いことから、Hドライバ13U,13Dが搭載されていない辺の額縁エリアに搭載することで、有効画面率(ガラス基板11に対する有効エリア部12の面積率)を低下させることなく、タイミング発生回路15を表示エリア部12と同一のガラス基板11上に集積することができるからである。
【0021】
なお、本例に係る液晶表示装置においては、Hドライバ13U,13Dが搭載されていない辺の額縁エリアの一方側にはVドライバ14が集積されていることから、その反対側の辺の額縁エリアにタイミング発生回路15を集積する構成を採っている。
【0022】
また、タイミング発生回路15の集積に際しては、表示エリア部12の各画素トランジスタとして薄膜トランジスタTFTを用いていることから、タイミング発生回路15を構成するトランジスタとしても薄膜トランジスタを用い、少なくともこれらトランジスタ回路を表示エリア部12と同一プロセスを用いて作成することにより、その製造が容易になるとともに、低コストにて実現できる。
【0023】
薄膜トランジスタについては、近年の性能向上や消費電力の低下に伴って集積化が容易になっているのが現状である。したがって、タイミング発生回路15、特に少なくともトランジスタ回路を表示エリア部12の画素トランジスタと同じ薄膜トランジスタを用いて同一のガラス基板11上に同一プロセスにて一体的に形成することにより、製造プロセスの簡略化に伴う低コスト化、さらには集積化に伴う薄型化、コンパクト化を図ることができる。
【0024】
なお、ここでは、アクティブマトリクス型液晶表示装置に適用した場合を例に採って説明したが、これに限定されるものではなく、エレクトロルミネッセンス(EL)素子を各画素の電気光学素子として用いたEL表示装置などの他のアクティブマトリクス型表示装置にも同様に適用可能である。
【0025】
図4は、タイミング発生回路15を備えた本発明の一実施形態に係るアクティブマトリクス型表示装置の構成例を示すブロック図である。ここでは、図面の簡略化のために、上側のHドライバ13Uのみを示しているが、下側のHドライバ13Dとの関係についても上側のHドライバ13Uと同様である。
【0026】
タイミング発生回路15は、外部から与えられる水平同期信号HD、垂直同期信号VDおよびマスタークロックMCKを入力とし、これらを基準にして先ず、Hドライバ13Uのシフトレジスタ25Uに与える水平スタートパルスHSTおよび水平転送パルスHCK、並びにVドライバ14のシフトレジスタ29に与える垂直スタートパルスVSTおよび垂直転送パルスVCKを発生する。
【0027】
ここで、水平スタートパルスHSTは水平同期信号HDの発生後所定時間経過後に発生するパルス信号であり、水平転送パルスHCKはマスタークロックMCKを例えば分周することによって得られるパルス信号である。また、垂直スタートパルスVSTは、垂直同期信号VDの発生後所定時間経過後に発生するパルス信号であり、垂直転送パルスVCKは水平転送パルスHCKを例えば分周することによって得られるパルス信号である。
【0028】
したがって、タイミング発生回路15において、水平同期信号HD、垂直同期信号VDおよびマスタークロックMCKを基準にして、水平スタートパルスHST、水平転送パルスHCK、垂直スタートパルスVSTおよび垂直転送パルスVCKを生成するための回路としては、数段の簡単なカウンタ回路で実現できることになる。
【0029】
タイミング発生回路15はさらに、Hドライバ13Uのシフトレジスタ25Uの適当な転送段から得られるタイミングデータおよびVドライバ14のシフトレジスタ29の適当な転送段から得られるタイミングデータ(タイミング情報)をも入力とし、これらタイミングデータを基にして、Hドライバ13Uで用いるタイミングパルスや、Vドライバ14で用いるタイミングパルスをも発生する構成となっている。
【0030】
ここで、Hドライバ13Uで用いるタイミングパルスとしては、一例として、図3に示す線順次化ラッチ回路27Uで用いるラッチ制御パルスが挙げられる。ただし、これに限られるものではない。一方、Vドライバ14で用いるタイミングパルスとしては、一例として、表示エリア部12の垂直方向のある期間だけ表示を行う部分表示モードのときにその表示期間を特定するための表示期間制御パルスが挙げられる。ただし、これに限られるものではない。
【0031】
図5は、タイミング発生回路15の具体的な構成例を示すブロック図である。ここでは、タイミング発生回路15がHドライバ13Uのシフトレジスタ25Uから与えられるタイミングデータに基づいて、線順次化ラッチ回路27Uで用いるラッチ制御パルスを発生する場合を例に採って説明するものとする。
【0032】
図5において、先ず、Hドライバ13Uのシフトレジスタ25Uは、表示エリア部12における水平画素数N以上のM段のD型フリップフロップ(以下、DFFと記す)31−1〜31−Mによって構成されている。かかる構成のシフトレジスタ25Uは、水平スタートパルスHSTが与えられると、水平転送パルスHCKに同期してシフト動作を行う。その結果、DFF31−1〜31−Mの各Q出力端からは、水平転送パルスHCKに同期して順次パルス(タイミング情報)が出力される。
【0033】
これらDFF31−1〜31−Mの各Q出力パルスは、サンプリングパルスとしてサンプリングラッチ回路26Uに順次与えられる。また、DFF31−1〜31−Mの各Q出力パルスのうち、適当な転送段のQ出力パルス、ここでは一例として、1段目のDFF31−1のQ出力パルスAと、M−1段目のDFF31−M−1のQ出力パルスBとがタイミング発生回路15に供給される。
【0034】
タイミング発生回路15において、ラッチ制御パルスを発生するためのラッチ制御パルス発生回路32は、例えばDFF33およびバッファ34からなる構成となっている。DFF33は、シフトレジスタ25Uから供給される1段目のDFF31−1のQ出力パルスAをクロック(CK)入力、M−1段目のDFF31−M−1のQ出力パルスBをクリア(CLR)入力とし、自身の反転Q出力をデータ(D)入力としている。
【0035】
これにより、図6のタイミングチャートから明らかなように、DFF31−1のQ出力パルスAの立ち上がりタイミングからDFF31−M−1のQ出力パルスBの立ち上がりタイミングまでの期間において“H”レベル(高レベル)となるパルスが、DFF33のQ出力端からバッファ34を介してラッチ制御パルスCとして得られる。
【0036】
上述したように、表示装置用のタイミング発生回路15において、Hドライバ13U,13DやVドライバ14で用いるタイミングパルスの生成に、Hドライバ13U,13Dのシフトレジスタ25U,25DやVドライバ14のシフトレジスタ29を兼用し、これらシフトレジスタから得られるタイミングデータを基にタイミングパルスを生成するようにしたことにより、カウンタ回路などの専用の回路が不要になり、回路構成を簡略化できるため、セットの小型化、低コスト化、さらには低消費電力化が可能になる。
【0037】
特に、タイミング発生回路15をHドライバ13U,13DやVドライバ14と同様に、表示エリア部12と共に同一のガラス基板11上に一体的に形成した場合には、タイミング発生回路15の回路構成が極めて簡単であり、消費電力も低いことから、ディスプレイの狭額縁化、低コスト化、さらには低消費電力化が可能になる。
【0038】
なお、上記実施形態では、水平同期信号HD、垂直同期信号VDおよびマスタークロックMCKを基に水平スタートパルスHST、水平転送パルスHCK、垂直スタートパルスVSTおよび垂直転送パルスVCKを発生するための回路部分についても、ガラス基板11上に一体形成するとしたが、この回路部分についてはガラス基板11とは別基板上に形成するようにしても良い。なぜならば、先述したように、上記の回路部分については簡単なカウンタ回路で実現できることから、別基板上に形成したとしても、周辺回路の構成がそれ程複雑化することはないからである。
【0039】
また、上記実施形態では、Hドライバ13U,13DやVドライバ14がシフトレジスタを用いた構成の場合を前提とした説明したが、シフトレジスタを用いた場合に限られるものではなく、Hドライバ13U,13DやVドライバ14におけるアドレス制御を行い、かつ、タイミングデータを生成するためのカウント動作を行うものであれば、それぞれ別なタイプのカウンタ回路を用いた構成の場合にも同様に適用可能である。
【0040】
図7は、タイミング発生回路15を備えた本発明の他の実施形態に係るアクティブマトリクス型表示装置の構成例を示すブロック図であり、図中、図4と同等部分には同一符号を付して示している。ここでも、図面の簡略化のために、上側のHドライバ13Uのみを示しているが、下側のHドライバ13Dとの関係についても上側のHドライバ13Uと同様である。
【0041】
本実施形態に係るアクティブマトリクス型表示装置では、タイミング発生回路15に加えて電源回路16を備え、この電源回路16についても、タイミング発生回路15と同様に、表示エリア部12と共に同一のガラス基板11上に一体的に形成した構成を採っている。
【0042】
電源回路16は、例えばチャージポンプ型の電源電圧変換回路(DC−DCコンバータ)からなり、外部から与えられる単一の直流電源電圧VCCを電圧値の異なる複数種類の直流電圧に変換し、これら直流電圧をHドライバ13U,13DやVドライバ14などに与える。そして、本実施形態においては、タイミング発生回路15は、この電源回路16で用いるタイミングパルスをも発生する構成を採っている。
【0043】
電源回路16の具体的な構成について説明する。ここでは、電源回路16として例えばチャージポンプ型の電源電圧変換回路を用いる場合を例に採って説明するものとする。
【0044】
図8は、チャージポンプ型の電源電圧変換回路の構成例を示す回路図であり、(A)は負電圧発生タイプを、(B)は昇圧タイプをそれぞれ示している。このチャージポンプ型電源電圧変換回路に対してはタイミング発生回路15から、スイッチング動作を行うためのクロックパルスやクランプ動作を行うためのクランプ用パルスがタイミングパルスとして与えられることになる。
【0045】
図8において、単一の直流電源電圧VCCを与える電源とグランド(GND)との間には、PchMOSトランジスタQp11とNchMOSトランジスタQn11とが直列に接続され、かつ各ゲートが共通に接続されてCMOSインバータ36を構成している。このCMOSインバータ36のゲート共通接続点には、タイミング発生回路15から供給されるタイミングパルスがスイッチングパルスとして印加される。
【0046】
CMOSインバータ36のドレイン共通接続点(ノードB)には、コンデンサC11の一端が接続されている。コンデンサC11の他端には、NchMOSトランジスタQn12のドレインおよびPMOSトランジスタQp12のソースがそれぞれ接続されている。NchMOSトランジスタQn12のソースとグランドとの間には、負荷コンデンサC12が接続されている。
【0047】
CMOSインバータ36のゲート共通接続点には、コンデンサC13の一端が接続されている。コンデンサC13の他端には、ダイオードD11のアノードが接続されている。コンデンサC13の他端にはさらに、NchMOSトランジスタQn12およびPchMOSトランジスタQp12の各ゲートがそれぞれ接続されている。PchMOSトランジスタQp12のドレインは接地されている。
【0048】
コンデンサC13の他端とグランドとの間には、PchMOSトランジスタQp13が接続されている。このPchMOSトランジスタQp13のゲートには、タイミング発生回路15から供給されるタイミングパルス、即ちクランプ用パルスがレベルシフト回路37でレベルシフトされて与えられる。これらPchMOSトランジスタQp13およびレベルシフト回路37は、スイッチングトランジスタ(NchMOSトランジスタQn12およびPchMOSトランジスタQp12)のスイッチングパルス電圧をクランプするクランプ回路を構成している。
【0049】
このクランプ回路において、レベルシフト回路37は、本電源電圧変換回路に入力される電源電圧VCCを正側回路電源、負荷コンデンサC12の両端から導出される本回路の出力電圧Voutを負側回路電源とし、タイミング発生回路15から供給される振幅VCC−0[V]のクランプ用パルスを、振幅VCC−Vout[V]のクランプ用パルスにレベルシフトしてPchMOSトランジスタQp13のゲートに与える。これにより、PchMOSトランジスタQp13のスイッチング動作がより確実に行われることになる。
【0050】
次に、上記構成の負電圧発生タイプのチャージポンプ型電源電圧変換回路における回路動作について、図9(A)のタイミングチャートを用いて説明する。なお、図9(A)のタイミングチャートには、図8(A)の回路におけるノードA〜Gの各信号波形A〜Gを示している。
【0051】
電源投入時(起動時)には、タイミング発生回路15から供給されるスイッチングパルスに基づくコンデンサC13の出力電位、即ちノードDの電位は、先ずダイオードD11によって、負側の回路電源電位であるグランド(GND)レベルからダイオードD11のしきい値電圧Vth分だけレベルシフトした電位に“H”レベルクランプされる。
【0052】
そして、スイッチングパルスが“L”レベル(0V)のときは、PchMOSトランジスタQp11,Qp12がオン状態となるため、コンデンサC11が充電される。このとき、NchMOSトランジスタQn11がオフ状態にあるため、ノードBの電位がVCCレベルとなる。次いで、スイッチングパルスが“H”レベル(VCC)になると、NchMOSトランジスタQn11,Qn12がオン状態となり、ノードBの電位がグランドレベル(0V)になるため、ノードCの電位が−VCCレベルとなる。このノードCの電位がそのままNchMOSトランジスタQn12を通して出力電圧Vout(=−VCC)となる。
【0053】
次に、出力電圧Voutがある程度立ち上がると(起動プロセス終了時)、クランプパルス用のレベルシフト回路37が動作を始める。このレベルシフト回路37が動作し始めると、タイミング発生回路15から供給される振幅VCC−0[V]のクランプ用パルスは、当該レベルシフト回路37において、振幅VCC−Vout[V]のクランプ用パルスにレベルシフトされ、しかる後PchMOSトランジスタQp13のゲートに印加される。
【0054】
このとき、クランプ用パルスの“L”レベルが出力電圧Vout、即ち−VCCであるため、PchMOSトランジスタQp13が確実にオン状態となる。これにより、ノードDの電位は、グランドレベルからダイオードD11のしきい値電圧Vth分だけレベルシフトした電位ではなく、グランドレベル(負側の回路電源電位)にクランプされる。これにより、以降のポンピング動作において、特にPchMOSトランジスタQp12に対して十分な駆動電圧が得られる。
【0055】
上記構成のチャージポンプ型電源電圧変換回路では、その出力部に設けられたスイッチ素子(NchMOSトランジスタQn12およびPchMOSトランジスタQp12)に対する制御パルス(スイッチングパルス)電圧を、本回路の起動時には先ずダイオードD11によるクランプ、起動プロセス終了後はPchMOSトランジスタQp13およびレベルシフト回路37からなるクランプ回路によるクランプ、というように2段階に分けてクランプする動作が行われるため、特にPchMOSトランジスタQp12に対して十分な駆動電圧をとることができる。
【0056】
これにより、PchMOSトランジスタQp12において十分なスイッチング電流が得られるようになるため、安定したDC−DC変換動作が行えるようになるとともに、変換効率を向上させることができる。特に、PchMOSトランジスタQp12のトランジスタサイズを大きくしなくても、十分なスイッチング電流が得られるため、小面積の回路規模にて電流容量の大きな電源電圧変換回路を実現できる。その効果は、しきい値Vthが大きいトランジスタ、例えば薄膜トランジスタを用いた場合に特に大きい。
【0057】
図8(B)に示す昇圧タイプのDDコンバータにおいても、基本的な回路構成および回路動作は同じである。
【0058】
すなわち、図8(B)において、スイッチングトランジスタおよびクランプ用トランジスタ(MOSトランジスタQp14,Qn14,Qn13)が、図8(A)の回路のMOSトランジスタQn12,Qp12,Qp13と逆導電型となるとともに、ダイオードD11がコンデンサC11の他端と電源(VCC)との間に接続され、かつレベルシフト回路37が本回路の出力電圧Voutを正側回路電源とし、グランドレベルを負側回路電源とした構成となっており、この点が図8(A)の回路と構成上相違するのみである。
【0059】
回路動作上においても、基本的には、図8(A)の回路と全く同じである。異なるのは、スイッチングパルス電圧(制御パルス電圧)が起動時に先ずダイオードクランプされ、起動プロセス終了時にVCCレベル(正側の回路電源電位)にクランプされ、また出力電圧Voutとして電源電圧VCCの2倍の電圧値2×VCCが導出される点だけである。図9(B)に、図8(B)の回路におけるノードA〜Gの各信号波形A〜Gのタイミングチャートを示す。
【0060】
以上述べたチャージポンプ型の電源電圧変換回路の回路構成は一例に過ぎず、チャージポンプ回路の回路構成としては種々の改変が可能であり、上記の回路構成例に限定されるものではない。
【0061】
なお、上記各実施形態では、タイミング発生回路15で発生するタイミングパルスとして、Hドライバ13U,13Dのラッチ回路27U,27Dで用いるラッチ制御パルスと、チャージポンプ型電源電圧変換回路からなる電源回路16で用いるスイッチングパルスおよびクランプ用パルスを例に挙げたが、これらに限られるものではない。
【0062】
一例として、Vドライバ14が、出力イネーブルパルスが与えられることによって走査パルスを出力する出力イネーブル回路を有する構成をとる場合には、その出力イネーブル回路で用いる出力イネーブルパルスや、あるいは表示装置が省電力モードの一態様である表示エリア部の一部の領域にのみ情報を表示する一部画面表示モードを選択的にとる構成の場合には、その一部画面表示モードの制御信号(コントロールパルス)などであっても良い。
【0063】
また、上記各実施形態に係るアクティブマトリクス型表示装置は、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等のOA機器やテレビジョン受像機などのディスプレイとして用いられる外、特に装置本体の小型化、コンパクト化が進められている携帯電話機やPDAなどの携帯端末の表示部として用いて好適なものである。
【0064】
図10は、本発明が適用される携帯端末、例えば携帯電話機の構成の概略を示す外観図である。
【0065】
本例に係る携帯電話機は、装置筐体41の前面側に、スピーカ部42、表示部43、操作部44およびマイク部45が上部側から順に配置された構成となっている。かかる構成の携帯電話機において、表示部43には例えば液晶表示装置が用いられ、この液晶表示装置として、先述した各実施形態に係るアクティブマトリクス型液晶表示装置が用いられる。
【0066】
このように、携帯電話機などの携帯端末において、先述した各実施形態に係るアクティブマトリクス型液晶表示装置を表示部43として用いることにより、当該液晶表示装置に搭載されるタイミング発生回路の回路構成が簡単で、表示装置の小型化、低コスト化、さらには低消費電力化を図ることができるため、端末本体の小型化、低コスト化、さらには低消費電力化が可能となる。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、アクティブマトリクス型表示装置あるいはこれを表示部として用いた携帯端末において、水平駆動回路を構成するシフトレジスタもしくはカウンタ回路で異なるタイミングで生成される複数のタイミングデータを用いて線順次化ラッチ回路のラッチ制御パルスを生成するようにしたことにより、水平駆動回路の一部をタイミング信号の生成に兼用できる分だけタイミング発生回路の回路構成を簡略化でき、特にタイミング発生回路を構成する少なくともトランジスタ回路を、薄膜トランジスタにより表示エリア部と同一基板上に一体的に形成することで、タイミング発生回路の回路構成が極めて簡単であり、消費電力も低いため、セットの小型化、低コスト化、さらには低消費電力化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るアクティブマトリクス型表示装置の構成例を示す概略構成図である。
【図2】液晶表示装置の表示エリア部の構成例を示す回路図である。
【図3】Hドライバの具体的な構成の一例を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るアクティブマトリクス型表示装置の構成例を示すブロック図である。
【図5】タイミング発生回路の具体的な構成の一例を示すブロック図である。
【図6】タイミング発生回路の動作説明のためのタイミングチャートである。
【図7】本発明の他の実施形態に係るアクティブマトリクス型表示装置の構成例を示すブロック図である。
【図8】チャージポンプ型電源電圧変換回路の構成例を示す回路図であり、(A)は負電圧発生タイプを、(B)は昇圧タイプをそれぞれ示している。
【図9】チャージポンプ型電源電圧変換回路の回路動作を説明するためのタイミングチャートであり、(A)は負電圧発生タイプの場合を、(B)は昇圧タイプの場合をそれぞれ示している。
【図10】本発明に係る携帯端末である携帯電話機の構成の概略を示す外観図である。
【符号の説明】
11…ガラス基板、12…表示エリア部、13U,13D…Hドライバ(水平駆動回路)、14…Vドライバ(垂直駆動回路)、15…タイミング発生回路、16…電源回路、23…単位画素、25U,25D,29…シフトレジスタ、31−1〜31−M,32…ラッチ制御パルス発生回路、33…D型フリップフロップ(DFF)
Claims (9)
- 電気光学素子と薄膜トランジスタを有する画素がマトリクス状に配置されてなる表示エリア部と、
前記表示エリア部の各画素に対して画像信号を供給する水平駆動回路と、
前記水平駆動回路で生成されるタイミング情報を基に当該水平駆動回路で用いるタイミング信号を発生するタイミング発生回路とを備え、
前記水平駆動回路は、
アドレス制御を行いかつタイミングデータを生成するためのカウント動作を行うシフトレジスタもしくはカウンタ回路と、
前記シフトレジスタもしくは前記カウンタ回路から順次出力されるタイミングデータに基づいて前記表示エリア部に表示する映像信号をラッチするサンプリングラッチ回路と、
前記サンプリングラッチ回路でラッチされた映像信号を1ライン単位でラッチする線順次化ラッチ回路とを有し、
前記タイミング発生回路は、前記シフトレジスタもしくは前記カウンタ回路で異なるタイミングで生成される複数の前記タイミングデータを用いて前記線順次化ラッチ回路のラッチ制御パルスを発生し、
前記タイミング発生回路を構成する少なくともトランジスタ回路は、薄膜トランジスタにより前記表示エリア部と同一基板上に一体的に形成される
ことを特徴とするアクティブマトリクス型表示装置。 - 前記表示エリア部の一部の領域にのみ情報を表示する一部画面表示モードを選択的にとり、
前記タイミング発生回路は、前記水平駆動回路のシフトレジスタもしくはカウンタ回路から順次出力されるタイミングデータに基づいて前記一部画面表示モードの制御信号を発生する
ことを特徴とする請求項1記載のアクティブマトリクス型表示装置。 - 前記電気光学素子が液晶セルである
ことを特徴とする請求項1記載のアクティブマトリクス型表示装置。 - 前記電気光学素子がエレクトロルミネッセンス素子である
ことを特徴とする請求項1記載のアクティブマトリクス型表示装置。 - 単一の直流電圧を電圧値の異なる複数種類の直流電圧に変換して少なくとも前記水平駆動回路に与える電源回路を有し、
前記タイミング発生回路は、前記電源回路で用いるタイミング信号をも発生する
ことを特徴とする請求項1記載のアクティブマトリクス型表示装置。 - 前記電源回路は、チャージポンプ型電源電圧変換回路であり、
前記タイミング信号は前記チャージポンプ型電源電圧変換回路で用いるスイッチングパルスである
ことを特徴とする請求項5記載のアクティブマトリクス型表示装置。 - 表示部として、
電気光学素子と薄膜トランジスタを有する画素がマトリクス状に配置されてなる表示エリア部と、
前記表示エリア部の各画素に対して画像信号を供給する水平駆動回路と、
前記水平駆動回路で生成されるタイミング情報を基に当該水平駆動回路で用いるタイミング信号を発生するタイミング発生回路とを具備するアクティブマトリクス型表示装置を用い、
前記水平駆動回路は、
アドレス制御を行いかつタイミングデータを生成するためのカウント動作を行うシフトレジスタもしくはカウンタ回路と、
前記シフトレジスタもしくは前記カウンタ回路から順次出力されるタイミングデータに基づいて前記表示エリア部に表示する映像信号をラッチするサンプリングラッチ回路と、
前記サンプリングラッチ回路でラッチされた映像信号を1ライン単位でラッチする線順 次化ラッチ回路とを有し、
前記タイミング発生回路は、前記シフトレジスタもしくは前記カウンタ回路で異なるタイミングで生成される複数の前記タイミングデータを用いて前記線順次化ラッチ回路のラッチ制御パルスを発生し、
前記タイミング発生回路を構成する少なくともトランジスタ回路は、薄膜トランジスタにより前記表示エリア部と同一基板上に一体的に形成される
ことを特徴とする携帯端末。 - 前記アクティブマトリクス型表示装置は、前記電気光学素子として液晶セルを用いた液晶表示装置である
ことを特徴とする請求項7記載の携帯端末。 - 前記アクティブマトリクス型表示装置は、前記電気光学素子としてエレクトロルミネッセンス素子を用いたエレクトロルミネッセンス表示装置である
ことを特徴とする請求項7記載の携帯端末。
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