JP4104905B2 - 二段式収納装置及びそれを用いた貨物車両 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、荷室の有効利用と荷物の効率的な出し入れを可能ならしめる二段式収納装置と、それを採用したトラックなどの貨物車両に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、バンタイプトラックによる荷物(貨物)の戸口配達では、先入れ、後出しを前提にした荷積が行われる。この場合、運送コストを下げるために、積み重ねが許容される荷物については可能な限り積み重ねて積載効率を高める方法が通常採られるが、積載効率を重視すると、先入れ後出しの前提を崩して先に降ろす荷物の上に後から降ろす荷物を積まざるを得なくなることがあり、このようなときに上側の荷物を一旦退けて下側の荷物を取出す必要が生じて作業の手間が増える。
【0003】
また、積み重ねや積み重ね数が規制される荷物もあり、そのような荷物については荷室の利用効率が低下し、積載効率を高めることができない。
【0004】
ここで、バンタイプトラックの荷室全体を例えば上下二段に仕切ると荷室の床面積を倍増させることができるが、この方法を採ると各段の荷室高さが低くなり、作業者による荷物の積み降しに支障が出る。これに加え、上段の荷室の床面位置も高くなるため、入口部で荷物を揚げ降しするリフトなども必要になる。
【0005】
また、この方法を採ると荷室寸法が小さくなるため、大きな荷物の収納、運送が不可能になる。
【0006】
この発明の課題は、上記の不具合を一掃した二段式収納装置とそれを採用した貨物車両を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この発明においては、荷物を載せて目標点まで搬入するローラコンベヤと、左右の外枠間にローラコンベヤ上の荷物を受け支え可能なピッチで横棧を渡して構成される昇降台と、この昇降台を昇降させる昇降機構とを有し、前記ローラコンベヤの複数基を、各ローラコンベヤの一端が一つの荷室の間口間に仕切りのない出入口部に置かれるようにして前記一つの荷室の床面に並列に敷設し、さらに、ローラコンベヤの上部に1つの前記昇降台を、その昇降台の降下終点で横棧がローラコンベヤのローラ間に入り込んで昇降台の位置がローラコンベヤの搬送面よりも低くなるように配置し、この昇降台を上昇させて上段の荷棚となし、昇降台上昇後のローラコンベヤを下段の荷棚となすようにした二段式収納装置を提供する。
【0008】
この装置のローラコンベヤは、動力駆動方式のものが好ましく、また、床面の間口が広い場合には、そのローラコンベヤを複数基並列に敷設するのがよい。
【0009】
さらに、昇降機構は、ねじ軸でそのねじ軸に螺合した可動部材を進退させ、その可動部材で昇降台を吊り下げたワイヤを引っ張って昇降台を吊り上げるものが好ましい。
【0010】
なお、この発明では、上述した二段式収納装置を荷台上に設けて荷室を上下二段に区画して使用できるようにしたトラック、貨車などの貨物車両も併せて提供する。
【0011】
【作用】
昇降台を上昇させるとこれが上段の荷棚となって荷室が上下二段に仕切られる。従って、荷室の延べ床面積が2倍近くにまで広がり、積み重ねや積み重ね数が規制される荷物についても収納効率を高めることができる。
【0012】
また、下段の荷棚になるローラコンベヤを共用して上段の荷棚の荷物も出し入れするので、装置の簡素化、コスト低減、作業者の作業負担の軽減、出し入れの能率向上なども図れる。
【0013】
さらに、上段の荷棚の全体が昇降台で構成されるので、リフトが無くても荷物を出し入れできる。
【0014】
このほか、昇降台を降下させると荷室の仕切りが無くなるため、大きな荷物も収納規制を受けない。
【0015】
なお、動力駆動のローラコンベヤを用いた収納装置は、作業者が荷室に入らずに荷物を出し入れすることができる。作業者が荷室に入るのは作業能率だけでなく安全性の面からも好ましくない。
【0016】
また、ローラコンベヤを複数基並列に敷設した装置は、コンベヤの幅を縮めて剛性を高めることができ、重量物も収納可能となる。
【0017】
さらに、ねじ軸で推力を発生させてワイヤを引っ張り、そのワイヤで昇降台を吊り上げるものは、昇降台の上げ下げをバランス良く行え、昇降台によって構成される上段の荷棚の高さ位置を自由に変えることもできる。
【0018】
この二段式収納装置は、荷物の先入れ、後出しを行うのに適しており、その先入れ、後出しが基本となる戸口配達用貨物車両にこの装置を設けると、特に大きな効果を期待できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を図1乃至図12に基づいて説明する。
【0020】
図1乃至図5に示すように、この二段式収納装置1は、荷室の床面に並列に配置する数基のローラコンベヤ2と、そのローラコンベヤの上側に設ける昇降台3と、その昇降台の昇降機構4を備えて成る。5は荷室を画するボディであり、このボディ5の内部に例示の二段式収納装置1が設けられる。なお、屋内設置の装置の場合、ボディ5は必須でない。
【0021】
ローラコンベヤ2は、図6乃至図9に示すように、基枠2a上に独立したブラケット2bを立設し、対をなす左右のブラケット2b間に、駆動ローラ2c(図示のローラは駆動用のモータを内蔵している)と、ベルト2fを介して駆動ローラ2cから回転力を受ける従動ローラ2dと、これ等のローラから独立させた通常のローラ2eを規則的な配列パターンにして横架したものを用いている。このローラコンベヤ2を正逆回転させてコンベヤ2上に載せた荷物A(図7参照)を出し入れする。ローラ2c、2d間での動力伝達は、両ローラ間に幅の広い搬送ベルトをかけ渡して行ってもよく、このときには、ローラ2eの外径を他のローラよりも大きくして搬送ベルトの搬送面とローラ2eの搬送面の高さ位置を揃える。
【0022】
昇降台3は、図10〜図12に示すように、左右の外枠3a間にローラコンベヤ2上の荷物を受け支え可能なピッチで横棧3bを渡して構成される。図示の昇降台3には、隣り合うローラコンベヤ間の隙間に入り込ませる補強用の縦棧3cを含ませているが、この縦棧3cは必要に応じて設ければよい。
【0023】
この昇降台3は、降下終点にあるときに横棧3bがローラ2cと2e間及び2dと2e間に入り込み、さらに、外枠3aが両側のローラコンベヤ2の外側に置かれて昇降台3の全体位置がローラコンベヤ2の搬送面よりも低くなるようにしている。従って、昇降台3が降下終点にあるときにもローラコンベヤ2による搬入、搬出が行える。
【0024】
昇降機構4は、両側のローラコンベヤ2とボディ5との間にそれぞれ設けるねじ軸(台形ねじやボールねじが好ましい)4aと、左右のねじ軸4aを同調回転させる駆動機構4bと、各ねじ軸4aの両端に螺合させた可動部材4cと、計4本のワイヤ支柱4dと、そのワイヤ支柱の上端と下部及び可動部材4cの先端に各々取付ける滑車4eと、これ等の滑車に掛けて一端を昇降台3に、他端をワイヤ支柱4dの下部の繋留部に各々固定する計4本のワイヤ4fと、昇降台3の四隅に設けた昇降ガイド4gとから成る。
【0025】
ねじ軸4aには、右ねじと左ねじを半々に形成してある。このねじ軸4aを正逆回転させて両端に螺合した可動部材4cを相反する向きに進退させ、各可動部材4cでワイヤ4fを引っ張って昇降台3を図4、図5に示すように吊り上げるようにしている。
【0026】
昇降機構4は、油圧シリンダを駆動源とするものも考えられるが、例示のものは、昇降台3の四隅を同調して上げ下げすることができ、作動の安定性に優れる。また、昇降台3を任意の位置で停止させてそこで位置保持を行うことができ、上段の荷棚の高さ調整も行える利点がある。
【0027】
このように構成した二段式収納装置1は、荷室の出入口部においてローラコンベヤ2に荷物Aを載せ、その荷物Aを目標点、即ち、移動規制を受ける位置まで送り込む。荷物の移動規制は、ボディ5の奥端の壁や先に送り込んだ荷物によってなされる。
【0028】
上段の荷棚に収納する荷物の送り込みを終了したら、昇降機構4を駆動して昇降台3を上昇させ、ローラコンベヤ上の荷物を昇降台3上に移して荷室の上部に収納する。
【0029】
その後、下段の荷棚となるローラコンベヤ2上に新たな荷物を載せて順次荷室の前方に送り込み、収納作業を完了する。
【0030】
また、荷物の取出しは、ローラコンベヤ2を逆転させてそのコンベヤ2上の荷物を先に出し、下段の荷棚の荷物が無くなったら昇降台3を降下させ、ローラコンベヤ2上に戻された荷物を再度コンベヤ2で送り出す。従って、この装置による荷物の出し入れは、先入れ、後出しになる。
【0031】
図13は、この発明をバンタイプ貨物トラックに適用した例を示している。この貨物トラック6は、図1〜図5に示したボディ5を荷箱として荷台上に装備しており、そのボディ5内に図1〜図12の二段式収納装置(図13には図示せず)が設けられている。
【0032】
この貨物トラックは、積み重ねや積み重ね数が規制される荷物の運送や戸口配達に利用すると、積載効率の向上、荷物の積み降しの効率化が図れる。
【0033】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明の二段式収納装置及びこれを荷室内に設けた貨物車両は、上段の荷棚となる昇降台を備えているので、積み重ねや積み重ね数が規制される荷物についても、先入れ、後出しの原則を崩さずに収納効率、積載効率を高めることができる。
【0034】
また、床面に敷設したローラコンベヤを共用して上下段の荷棚に収納する荷物を出し入れするので、コストを抑えた装置で荷物の出し入れを効率良く行える。
【0035】
さらに、昇降台を降下させると荷室がひとつになるので、大きな荷物も収納規制を受けない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の装置の実施形態を示す平面図
【図2】同上の装置の側面図
【図3】同上の装置の正面図
【図4】昇降台を上昇させた状態の側面図
【図5】昇降台を上昇させた状態の正面図
【図6】ローラコンベヤの平面図
【図7】ローラコンベヤの側面図
【図8】ローラコンベヤの正面図
【図9】ローラコンベヤの拡大正面図
【図10】昇降台の平面図
【図11】昇降台の側面図
【図12】昇降台の正面図
【図13】この発明の二段式収納装置をボディ(荷箱)の中に設けた貨物トラックの側面図
【符号の説明】
1 二段式収納装置
2 ローラコンベヤ
2a 基枠
2b ブラケット
2c 駆動ローラ
2d 従動ローラ
2e ローラ
2f ベルト
3 昇降台
3a 外枠
3b 横棧
3c 縦棧
4 昇降機構
4a ねじ軸
4b 駆動機構
4c 可動部材
4d ワイヤ支柱
4e 滑車
4f ワイヤ
4g 昇降ガイド
5 ボディ
6 貨物トラック

Claims (4)

  1. 荷物を載せて目標点まで搬入するローラコンベヤと、左右の外枠間にローラコンベヤ上の荷物を受け支え可能なピッチで横棧を渡して構成される昇降台と、この昇降台を昇降させる昇降機構とを有し、
    前記ローラコンベヤの複数基を、各ローラコンベヤの一端が一つの荷室の間口間に仕切りのない出入口部に置かれるようにして前記一つの荷室の床面に並列に敷設し、さらに、ローラコンベヤの上部に1つの前記昇降台を、その昇降台の降下終点で横棧がローラコンベヤのローラ間に入り込んで昇降台の位置がローラコンベヤの搬送面よりも低くなるように配置し、この昇降台を上昇させて上段の荷棚となし、昇降台上昇後のローラコンベヤを下段の荷棚となすようにした二段式収納装置。
  2. 前記ローラコンベヤを、動力駆動のコンベヤにした請求項1記載の二段式収納装置。
  3. 前記昇降機構として、動力駆動のねじ軸でそのねじ軸に螺合した可動部材を進退させ、その可動部材で昇降台を吊り下げたワイヤを引っ張って昇降台を吊り上げるものを用いた請求項1又は2に記載の二段式収納装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の二段式収納装置を荷台上に設けて荷台上の一つの荷室を上下二段に区画して使用できるようにした貨物車両。
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