JP4104698B2 - 粉砕機、粉砕機用部材、粉砕用媒体、複合セラミックス焼結体および粉砕方法 - Google Patents

粉砕機、粉砕機用部材、粉砕用媒体、複合セラミックス焼結体および粉砕方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐摩耗性、硬度、強度、靭性に優れ、かつコンタミネーションの少ないことが要求される、磁気記録材料、電子材料、薬品、塗料、顔料、化粧品粉末、食品、飼料、肥料等、粉体を扱う産業分野で粗原料を破砕、粉砕、混合、分散するため、乾式または湿式の粉砕機の耐摩耗性部材、たとえば、砕分散用メディア単独或いは撹拌ピン乃至は撹拌ディスクによる撹拌の併用によって粉砕物をスラリー化し、該スラリーと未粉砕物及びメディアを分離するスクリーンボールミルのボール、容器、容器の内張材、スクリーンや、アトリッションミルなどの媒体撹拌ミルの容器、容器の内張材、撹拌スクリュー、撹拌棒、回転ディスク、ピン、ボール、ペブル、ビーズ、スクリーンや、ローラーミルのローラー、粉砕容器の内張材や、ジェットミルの粉砕ノズル、粉砕室の内張材や、ハンマーミルのローター、ハンマーや、ピンミルのピンローターや、ディスクミルのローター、ブレードや、コロイドミルの回転ディスクや、その他各種メカニカルシール、ローラといったダイス部品、軸受け部品、ポンプ部品等の用途分野において、セラミックスが用いられる粉砕機乃至は粉砕機用部材を提供することにある。
【0002】
【従来の技術】
粉砕機としては、ボール、ビーズなどの粉砕媒体を運動させ、その運動エネルギによる衝撃力や摩擦力、圧縮力を利用して被砕物を粉砕するボールミル、媒体撹拌ミルや、ローラによる圧縮力を利用して粉砕を行うローラミルや、被砕物を高速で内張材に衝突させ、その衝撃による衝撃力によって粉砕を行うジェットミルや、ハンマー、ブレード、ピンなどを固設したローターの回転による衝撃力を利用して被砕物を粉砕するハンマーミル、ピンミル、ディスクミルや、剪断力を利用するコロイドミルなどが広く利用されている。
【0003】
とりわけ、湿式の媒体攪拌型の粉砕機は粉砕効率が高く、かつ、サブミクロンレベルのきわめて微粉砕に適した方法である。この粉砕機の上述した粉砕媒体や内張材などの部材としては、従来の粉砕機はスリット棒をはじめ、撹拌ピン、撹拌ディスク、スリーブ乃至はカラーの構成材料は金属、主としてSUS304を含むJIS G4305、3101で示される一般構造用圧延鋼材で形成されている。例えば、スクリーンのスリットについて、ウェッジワイヤ方式と呼ばれているが、このスリット棒が一本一本鑞付によりベースに接合された一体物としてスクリーンが形成されていた。又、耐摩耗性を向上させるためにスリット棒表面に高周波焼入れ、或いはステライト溶射等の手段を用いて硬度を高めていた。近年は粉砕効率の向上、微粉砕の要求から上記金属の他に、メノウ等の天然石や、アルミナセラミックス、ジルコニアセラミックスなどのセラミックス、樹脂、超硬合金などで構成されたものが使用されていることは周知である。
【0004】
しかしながら、上述したような材料で構成された部材は極めて摩耗しやすく、粉砕中に摩耗粉が不純物として被砕物中に大量に混入して、被砕物や、その被砕物を原料とする各種材料の物性や品質を低下させるという問題がある。特に、被砕物が、ファインセラミックス材料、磁性材料、電子材料などのいわゆる先端材料に供するものである場合には、摩耗粉による不純物の混入が大きな問題になる。
【0005】
このような要求に対して、特開平4−285063号では、粉砕機用部材としての必要な特性、特に、耐摩耗性と、強度と、靭性とをバランスよく備えている素材として、Al23を主成分として含み、結晶構造において少なくとも50体積%が正方晶であるZrO2を20から40重量%の範囲で含み、TiO2を1から5重量%の範囲で含み、MgOを0.1から1重量%の範囲で含み、Al23の平均結晶粒径が1.5から5μmの範囲にあり、かつ、ZrO2の少なくとも80%がAl23の結晶粒界に存在しているセラミックスからなる粉砕機用部材を提案している。しかしながら、この部材は、粉砕機部材として必要な、硬度、並びに、強度、靭性といった特性が不十分であり、耐摩耗性及び対衝撃性の面で実用上の問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
近年粉砕粒子の高分散化の要求とあいまって、セラミックス製粉砕媒体の使用により、粉砕機の性能が向上した反面、従来の金属材料製のスクリーン、粉砕ピン、ディスク等の粉砕機の摩耗部分の部材では摩耗が激しくなり、極端な場合では1ヶ月以内という短期間にスリット部が摩耗し、使用に耐えない状態となり、スクリーン交換の費用増大、交換頻度の増加のため作業効率の低下による粉砕物製造のランニングコストが増大されてきた。
【0007】
さらに粉砕機部材は摩耗し、製品への混入によって、製品自体の品質の低下が問題になってきた。例えば電子材料や磁性材料では、摩耗により混入した不純物のため、電気特性や磁性特性の変化等が問題になり、塗料の場合では微妙な色調の変化が問題となってきている。
【0008】
また、粉砕容器に該当するベッセルや攪拌駆動部に当たるスリーブ、カラーは粉砕媒体の衝撃によって、長い使用期間のうちに内壁部分の欠け、脱落が生じ、程度がひどくなると亀裂が発生し、破壊に至ってしまう。このような部分に硬度の低いセラミックスを用いると摩耗が著しいので、極めて短時間使用に耐えられなくなって変形が生じてしまう。
【0009】
本発明はこれらの問題点を解決し、耐摩耗性、耐蝕、耐薬品性に優れ、かつ、製品の電気的、磁気的な特性劣化がなく、歪みのない、寸法精度の高い攪拌ピン、攪拌ディスク、カラー、スリーブおよびスクリーン等から構成される粉砕機を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記欠点のない粉砕機用等の耐摩耗性部材について、鋭意検討した結果、次の発明に到達した。すなわち、基本的には、「(a)粉砕容器、(b)粉砕用媒体、および(c)粉砕機部材からなる粉砕機であって、(i)(a)粉砕容器内表面および(c)粉砕機部材表面において、少なくとも50重量%以上の酸化アルミニウムを含み、0.1から5モル%のY たはCeOを含む15乃至40重量%の酸化ジルコニウムからなる複合セラミックスを用い、(ii)(b)粉砕用媒体において、酸化ジルコニウムを主成分とし、40重量%以下の酸化アルミニウムを含み、酸化ジルコニウム中にY たはCeOを0.1から5モル%含む複合セラミックスを用い、かつ、前記(a)粉砕容器および前記(c)粉砕機部材のビッカース硬度が1300kgf/mm以上であり、前記(b)粉砕用媒体のビッカース硬度が、前記(a)粉砕容器および前記(c)粉砕機部材のビッカース硬度よりも100乃至600kgf/mm低いことを特徴とする粉砕機。」、「(a)粉砕容器、(b)粉砕用媒体、および(c)粉砕機部材からなる粉砕機であって、(i)(a)粉砕容器内表面および(c)粉砕機部材表面において、炭化珪素を主成分する複合セラミックスを用い、(ii)(b)粉砕用媒体において、炭化珪素を主成分とし、金属シリコンを含む複合セラミックスであって、前記(a)粉砕容器内表面または前記(c)粉砕機部材表面に用いられた複合セラミックスと別な複合セラミックスを用い、かつ、前記(a)粉砕容器および前記(c)粉砕機部材のビッカース硬度が1300kgf/mm以上であり、前記(b)粉砕用媒体のビッカース硬度が、前記(a)粉砕容器および(c)粉砕機部材のビッカース硬度よりも100乃至600kgf/mm低いことを特徴とする粉砕機。」、又はそれらを用いた粉砕方法によって問題解決し、目標とする要求を達成することができる。
【0012】
特に、焼結体の結晶粒径、緻密度、並びにZrOの結晶形態が改良され、結果として硬度、強度、靭性が高いことにより耐摩耗性及び耐衝撃性に優れた粉砕機用等の耐摩耗性部材を提供することを目的とする。
本願は、基本的に摩耗部分に耐磨耗性に優れたセラミックス素材が用いられていることにより、その目的が達成される。すなわち、酸化アルミニウムを主成分とし、15乃至40重量%の酸化ジルコニウムを含み、Y たはCeOを0.1から5モル%を含むセラミックス材料を用い、好ましくは、酸化ジルコニウムの平均結晶粒径が2μm以下、酸化アルミニウムの平均結晶粒径が、2μm以下であり、酸化ジルコニウムのうち50%以上が正方晶で存在するアルミナ−ジルコニア系セラミックス素材からなることを特徴とする耐摩耗性部材である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施するための具体的方法について、粉砕媒体および粉砕機用部材について説明する。
【0015】
〔粉末の種類および合成方法〕
純度99.9%のオキシ塩化ジルコニルと塩化イットリウム溶液をジルコニア(ZrO2)およびイットリア(Y2O3)としてのモル比率が95:5から98:2となるように混合調整する。調整された混合溶液から100℃前後の温度に設定したオートクレーブ中で結晶質水和ジルコニアを得る加水分解法、またはアンモニア水などを添加することによって中和させて溶解度を低くし、非晶質の水酸化ジルコニウムと水酸化イットリウムを沈殿析出させる中和共沈法などの方法により、ジルコニア前駆体を得た後、焼成して高強度ジルコニア粉末原料とする。
【0016】
〔粉末の性状、物性〕
粉末の1次粒子径は焼成温度に影響され、800から1000℃にて焼成を行うと、0.01から0.2μmの範囲に分布し、平均1次粒子径は約0.1μmとなる。2次粒子径はレーザー回折法により測定し、0.01から30μmの範囲に分布し、平均2次粒子径は約0.5乃至2μmの範囲となるように粉砕調整する。
【0017】
〔混合粉末スラリーの調製〕
次に、アルミナとの複合粉末を作製する場合の要領について述べる。
【0018】
平均粒径が0.1から2.0μmで純度が99.0%以上であるAl23粉末と0.1から5モル%のイットリアおよび/またはセリアを含む平均粒径0.03から1.0μmのZrO2粉末を所定の比率で混合し、混合粉末を得る。粉砕容器、粉砕機部材用には、高硬度の材料が好ましいので酸化アルミニウム量は少なくとも50重量%、酸化ジルコニウムは15乃至40重量%がよい。この範囲で適度に強度と靭性を有し、耐摩耗性にも優れた材料が提供できる。さらに、酸化アルミニウムの量が60乃至85重量%の範囲であれば耐摩耗性が一層改善される。さらに望ましくは、65乃至75重量%の酸化アルミニウムと25乃至35重量%の酸化ジルコニウムからなる複合セラミックスを用いると上記効果を一層引き立てることが可能である。また、粉砕媒体用の材料としては上記部材よりも硬度が若干低く、靭性が高いものが好ましいので酸化ジルコニウムを主成分とし、40重量%以下の酸化アルミニウムを含み、酸化ジルコニウムの中にイットリアおよび/またはセリアが0.1乃至5モル%含むものが望ましい。混合操作は、湿式でもよく、乾式でもよい。混合粉末は、必要に応じて乾燥した後、粗粉砕し、篩分けするか、造粒する。なお、Al23粉末は、緻密な焼結を行えるという理由で、平均粒径が0.3μmから2μmの範囲にあるのが好ましい。ZrO2粉末は、Al23中への均一な分散を考えると、平均粒径が1μm以下であるものが好ましい。さらに、上述した各粉末の純度は、不純物による結晶粒の異常成長を防止して、強度、硬度、破壊靭性などの機械的性質を一層向上させるため、99%以上であるのが好ましい。なお、粉砕の程度は平均粒径が0.3μmから2μmの範囲にあるAl23が平均粒径0.3μmから1.2μm程度になるまで、あるいは平均粒径が0.3μmから2μmの範囲にあるZrO2が平均粒径0.3μmから1.2μm程度になるまで、行うことが好ましい。また、混合の均一性に関しては、平均粒径が0.5μmで純度が99.8%であるAl23粉末を70重量%、安定化剤として3モル%のY23を含む平均粒径1.0μmのZrO2粉末を30重量%の割合で、3時間、純水中で湿式混合粉砕して、平均粒径を0.6μmに調製することができる媒体撹拌ミルを、1時間以上用いるのと同程度の均一性・混合程度が好ましい。より好ましくは2時間以上、さらに好ましくは3時間以上用いるのと同程度の均一性・混合程度である。
【0019】
〔造粒、成形方法〕
粉砕媒体を作製する方法には、圧縮式、押出し式、転動式などがある。とりわけ転動造粒法は、粉末を転がして球状ペレットをつくる方法であり、またロータリープレスは粉末を圧縮してディスク状の円柱ペレットを作る方法であり、いずれも量産化、低コスト化が容易であり好ましい。
【0020】
とりわけ転動法は、回転容器、攪拌羽根の作用により、または振動手段を用いる機械的方法で乾燥粉末原料を転がしながら、液を散布して、ほぼ球状で必要な強度を供えたペレットを作るため、0.3mmφから50mmφ程度までの広い範囲の直径をもつボール状粉砕媒体を作製するのに適している。
【0021】
粉砕機用部材の成形には、ラバープレスおよび金型プレスによって、所望する形状の粉砕機器部材を作製する。ベッセル、スリーブ、スクリーン、粉砕ピンなど複雑形状のものはラバープレス後、削り出しによって成形を行い、粉砕ディスクなどディスク状のものは金型プレスにてニアネットシェイプに成形した。すなわち、金型プレス法では上記粉末を金型に充填し、500から4000kgf/cm2の圧力を加えて成形し成形体を得た。また、ラバープレス法を用いた場合は、500から2000kgf/cm2の圧力下において成形体を得た。
【0022】
〔焼結、加工方法〕
成形体は、大気中または不活性雰囲気中で1300から2200℃の範囲で30分から3時間の焼成することによって、緻密な焼結体を得ることができる。焼結には、通常の常圧焼結法のほか、加圧焼結法や、ホットプレス法を用いることができ、あらかじめ成形することを要しない場合もある。焼結時の雰囲気は、大気中など酸化性雰囲気とする。また、焼結温度と時間は、Al23の平均結晶粒径が2μm以下であり、ZrO2の平均結晶粒径が2μm以下になるように、かつ望ましくは、焼結体が緻密でビッカース硬度(Hv)が1300kgf/mm2以上になるように注意深く制御する。また、Al23が急激に粒成長を起こして焼結体の硬度、強度を低下させないように、焼結温度近くでは、0.5℃/分以下のゆっくりした速度で昇温する。一方、焼結後は、冷却速度が遅すぎると単斜晶のZrO2が多く析出するため、5℃/分以上の速度で冷却する。仕上げの研磨は両面ホーニング盤、バレル研磨機により研磨し、最終的に最大粗さ50nm以下の鏡面に仕上げる。
【0023】
次に、得られたセラミックスに研削、研磨などの機械加工を施し、また、必要に応じて貼り付け施工などを行って所望の部材を得る。
【0024】
〔焼結体の組織、物性〕
本発明の粉砕機部材の代表的素材として、アルミナ−ジルコニア系複合セラミックスがあり、特に限定されるものではないが、粉砕機部材としては60乃至85重量%であることが好ましく、65乃至75重量%であることがより好ましい。また、粉砕用媒体としては、酸化ジルコニウムを主成分とし、40重量%以下の酸化アルミニウムを含み、酸化ジルコニウムの中にイットリアまたはセリアが0.1乃至5モル%含むことを必須とする。上記アルミナは、純度が高い方が好ましく、特に限定されるものではないが、純度は、99.8重量%以上であることが好ましい。
【0025】
上記部材は、15から40重量%の酸化ジルコニウムを含み、酸化ジルコニウム中には、好ましくは、安定化剤としてY またはCeO 酸化ジルコニウムに対し1.5乃至5モル%含み、酸化ジルコニウムの平均結晶粒径が2μm以下、酸化アルミニウムの平均結晶粒径が2μm以下であり、酸化ジルコニウムの体積比で50%以上が室温で準安定な正方晶で存在するアルミナ−ジルコニアセラミックス素材からなることを特徴とする粉砕機部材である。
さらに、粉砕機部材はビッカース硬度が1300kgf/mm以上であるセラミックス素材であることが必要である。硬度が1300未満では、十分な硬度がないので、使用中に摩耗が著しく生じてしまう。さて、粉砕機用部材における摩耗機構は必ずしも明らかではないが、硬度が高く、かつ、強度、靭性が高いものが、耐摩耗性に優れると一般的に考えられていた。しかしながら、本発明では、素材として、例えば硬度1650以上のアルミナ−ジルコニア素材を用いた場合、当該アルミナ−ジルコニア素材よりも、Al及びZrOの結晶粒径及びZrOの結晶形態、さらには、焼結体の特性として重要なビッカース硬度(Hv)を精密に制御することによって硬度、強度、靭性を向上させ、耐摩耗性の優れた粉砕機が得られることが判明した。すなわち、粉砕機部材よりもビッカース硬度が100から600kgf/mm低い粉砕用媒体を使用すると、粉砕機部材は長期間の使用によってもほとんど摩耗せず、かつ、粉砕媒体も均一に摩耗が起こり、従来よりも長寿命となることがわかった。より好ましくは、粉砕機部材よりもビッカース硬度が100から500kgf/mm低い材料を粉砕用媒体に用いるとよく、さらに好ましくは粉砕機部材よりもビッカース硬度が200から400kgf/mm低い材料を粉砕用媒体に用いると、さらにこの効果は顕著である。
【0026】
本発明の粉砕機用部材で用いるセラミックスの中には、15から40重量%のジルコニアを含む素材がある。酸化ジルコニウムが15重量%未満であれば、正方晶から単斜晶への応力誘起変態により強度向上に寄与する酸化ジルコニウムの量が少ないため、本素材で重要な強度向上の効果が達成できない。一方、酸化ジルコニウムが40重量%を越えると酸化ジルコニウムの結晶粒の凝集が起こり強度が低下し、また、酸化アルミニウムの含有率が下がるため、硬度も低下する。よって、酸化ジルコニウムの含有率は、15から40重量%であることが必要である。なお、より好ましい含有率は、20から35重量%である。
【0027】
本発明の素材では、Y たはCeO 0.1乃至5.0モル%を含むことを必要としており、好ましくは、酸化ジルコニウム中に、安定化剤としてY またはCeO 酸化ジルコニウムに対し1.5乃至5モル%含んでいることがよい。1.5モル%未満であれば、酸化ジルコニウム中の正方晶が安定化されず室温において単斜晶で存在する割合が多くなり高強度が期待できない。5モル%を超えると逆に正方晶が完全に安定化される方向になり、室温における応力誘起変態が起こらず、強度が向上しない。より好ましくは、安定化剤としてYを酸化ジルコニウムに対して2乃至3.5モル%含んでいることが望ましい。
【0028】
本発明では、酸化ジルコニウムの平均結晶粒径は、2μm以下であることが好ましい。粒径が2μmを超えると冷却時に酸化ジルコニウムが単斜晶に変態し、強度が向上せず、また、硬度も高くならない。なお、より好ましい平均結晶粒径は0.2μm以上0.8μm以下であり、より好ましい結晶粒径の範囲は、0.2μm以上0.6μm以下である。
【0029】
本発明では、酸化アルミニウムの平均結晶粒径は、2μm以下であることが好ましい。2μmを超えると硬度が低下し、また、酸化アルミニウム基質の強度が低下すると共に酸化ジルコニウムの単斜晶への変態を抑えることができず、強度が大きく低下するようになる。より好ましい平均結晶粒径は0.5μm以上1.5μm以下である。
【0030】
本発明では、酸化ジルコニウムの体積比で50%以上が室温で準安定な正方晶であることが好ましい。正方晶が体積比で50%未満である場合は、正方晶から単斜晶への応力誘起変態による強度向上が期待できない。好ましくは95%以上が望ましい。
【0031】
本発明において、焼結体のビッカース硬度(Hv)が1650kgf/mm2以上としたとき、耐摩耗性が一層向上する。ビッカース硬度(Hv)が1650kgf/mm2未満では、本素材の主な用途である摺動部材の性能が低下し、とくに、粉砕機部材における耐摩耗特性が著しく低下する。
【0032】
さらに、焼結体の曲げ強度が65kgf/mm2 以上であることが望ましい。この値以上の強度で、衝撃に対する抵抗の大きい丈夫な粉砕機用部材、粉砕用媒体および/またはそれらからなる媒体攪拌型粉砕機を実現することができる。より好ましくは、曲げ強度が80kgf/mm2以上である。
【0033】
また、JISR1607に準拠した予亀裂導入破壊試験法による破壊靱性値が3以上10MPa・m1/2以下のセラミックスからなる媒体攪拌型粉砕機用部材、および破壊靱性値が4以上20MPa・m1/2以下のセラミックスからなる粉砕用媒体を用いることが好ましい。この組み合わせにおいて、粉砕部材は長期間の使用によってもほとんど摩耗せず、かつ、粉砕媒体も均一に摩耗が起こり、従来よりも長寿命となる
【0034】
粉砕機ベッセルの外表面を金属、プラスチックス、木材のいずれか、またはそれら2種以上の組み合わせからなる衝撃吸収材によって被覆することによって、粉砕機ベッセルの耐衝撃性が向上し、耐久性が発現する。金属は比較的柔らかい軟鉄や真鍮、プラスチックスはエポキシ樹脂、アクリル樹脂を含浸した織布などがよい。これを外筒に張り付けることによって、内部から受ける衝撃を吸収する効果がある。
【0035】
セラミックス粉砕媒体の摩耗試験については、表面をバレル研磨などにより研磨し、直径5から20mmφのセラミックス媒体について、各々のボール200個を内容積1000mlのセラミックス製ポットミルに入れ、さらに、媒体の総重量の20から50%の水と1から10%の平均粒径が0.5から2μmのSiC粉末を入れ、ポットミルを80から120rpmの速度で20から100時間運転し、ボール重量の損耗率を算出した。
【0036】
焼結体の表面粗さは任意の長さ40μmのラインについて、中心線平均粗さが20nm以下で、かつ、最大表面粗さが100nm以下であることが望ましい。この条件で表面は鏡面状態に近く、耐磨耗性は良好な結果が得られた。粉砕媒体表面の平均表面粗さが20nmを超え、最大表面粗さが100nmを超えると、表面が粗すぎて、効率よく粉砕を行えない。表面は急激に磨耗が生じ、ボールからのコンタミが多くなってしまう。以上から、ボールの平均表面粗さは20nm以下で、かつ、最大表面粗さが100nm以下であることが望ましい。より望ましくは、平均表面粗さが10nm以下で、かつ、最大表面粗さが80μm以下であることが望ましい。
【0037】
また、粉砕媒体の表面において、任意の50μm角の範囲で幅0.5μm以上、深さ0.2μm以上で、かつ、長さが10μm以上の研磨傷が2本以下であることが望ましい。研磨する過程において、幅0.5μm以上であり、かつ、深さが0.35μm以上の溝状の傷が発生すると、この部分に被粉砕物が挟み込まれてデッドスペースとなり、効率よく粉砕が行えない。
【0038】
粉砕用媒体の形状は球状、柱状、錐状のいずれでも特に限定されないが、球状のものは数ミクロン以下の微粉砕用に、それ以外の形状は粗粉砕用に用いられることが望ましい。球状では0.2mm乃至20mmまでの直径サイズが用いられるが、細かい径のものほど短時間で微粉砕が可能となるので好ましい。
【0039】
また、球形以外の形状では平面部の面積が全表面積の20乃至50%の範囲であることが粗粉砕においては好ましい。粗粉砕では適度な範囲で平面部が大きいほど効率よく衝撃を与えることができる。20%未満では低すぎて十分平面を利用した破砕が行えない。また、50%を超えると縁の部分が多くなって、媒体自体の摩耗が問題となるので好ましくない。円柱形状の場合、円柱の直径に対する高さのアスペクト比が0.5乃至2であって、直径が0.5乃至15mmであることが好ましい。
【0040】
部材に適するセラミックの材質としては、適度な硬度、強度および破壊靱性が必要である。硬度はビッカース硬度で1100以上3000以下が好ましい。これ以下では柔らかすぎて、すぐに磨滅が生じてしまうし、逆に堅すぎると、粉砕媒体側を早く磨滅させたり、亀裂が生じやすくなる。
【0041】
さらに、焼結体は粉末X線回折により結晶構造を解析することによって、実質的に単斜晶を含まない正方晶系ジルコニアなど高強度セラミックスであることが望ましく、ボールの圧壊荷重は0.5mm径で200ニュートン以上、0.7mm径で300ニュートン以上、1.0mm径で500ニュートン以上、2.0mm径で1500ニュートン以上であることがさらに望ましい。
【0042】
次に、表面粗さの測定方法について述べる。
【0043】
粉砕媒体の表面粗さは中心線平均粗さで0.1μm以下であるため、触針式またはレーザーなどの光学系位相差を用いて測定する方法では検出精度に限界がある。このため、原子間力顕微鏡や複数の検出器のある走査型電子顕微鏡により、表面粗さを測定する方法が再現性よく高精度の測定が可能となるので好ましい。
【0044】
ここでは原子間力顕微鏡を用いて行った表面粗さの測定方法について詳述する。原子間力顕微鏡は、走査型トンネル顕微鏡の1種で、試料表面の微細形状を非接触で3次元的に測定する顕微鏡である。試料とカンチレバー先端の探針の間に働くファンデルワールス力を利用するものである。探針はピラミッド型の突起状であり、この頂点に試料を近づけることによって、原子どうしの斥力が働き、カンチレバーが撓む。撓みを一定に保つように試料高さを制御しながら試料を水平方向に走査する。このときの高さ方向の制御信号から試料表面の3次元形状を像に描くことができる。カンチレバーの撓みはレーザー光の反射方向の変化を利用して検出する。原子間力顕微鏡は通常の走査型電子顕微鏡で必要な導体膜のコーティングが必要ないため、より高精度の測定が可能である。
【0045】
本発明の粉砕機の主構成は、ベッセルと呼ばれる粉砕容器部分、アジテータと呼ばれる攪拌駆動部分および粉砕ビーズ、メディアと呼ばれる粉砕媒体部分からなる。すなわち、粗原料を粉砕するため、粗原料の粉砕物をメディア単独あるいは撹拌ピンまたは撹拌ディスクによる撹拌の併用によって粉砕物をスラリー化し、該スラリーと未粉砕物及びメディアをスクリーンで分離する構成が一般的である。その全体図を図1に示す。ベッセル(1)と呼ばれる粉砕容器、回転軸となるアジテータシャフト(2)にスリーブ(3)を介して嵌合された粉砕ピン(4)、スクリーン(5)と呼ばれる被粉砕物と粉砕媒体を分離する部分および粉砕容器に充填された粉砕用媒体(6)から構成される。
【0046】
本発明の粉砕機において摩耗する部分は、前記粉砕容器部分、攪拌駆動部分および粉砕媒体部分のすべてに該当する。とりわけ、スクリーンのスリット部分、撹拌ピン、撹拌ディスク乃至はスリーブまたはカラーなどの摩耗が特に問題とされる。これらの摩耗部分の少なくとも1つを備え、かつ、上述したように硬度、強度、靱性が高く、耐磨耗性に優れたセラミックス素材が用いられていることにより、本発明の目的は達成されるが、好ましくは撹拌ピンまたは撹拌ディスクが、より好ましくは、スクリーンも、さらに好ましくはスリーブまたはカラーも、上述したセラミックスで構成されることにより本発明の目的は効果的に達成される。各部位をそれぞれセラミックス化することにより、それぞれ耐久性は向上するが、金属成分の混入を防ぐためには、できるだけすべての部位をセラミックス化することが有効である。
【0047】
本発明におけるセラミックス素材について、耐摩耗性を有するセラミックス素材ならば特に限定されるものではないが、具体例を挙げるならば、部分安定化ジルコニア、特に正方晶系ジルコニア、ジルコニア−アルミナ複合素材、窒化珪素、炭化珪素、金属シリコン含有炭化珪素、アルミナ、超硬等が例示できる。一般にセラミックスは金属材料に比べて耐摩耗性は非常に大きい。特に正方晶のジルコニア(部分安定化ジルコニアとも呼ばれる)及び窒化珪素はその曲げ強さは70から150kgf/mm2 と高く、耐摩耗性も大きい、硬度はビッカース硬度で1200から1800kgf/mm2 である。また、アルミナは更に硬度が高く、1600から2000kgf/mm2 であり、硬度が高い材料に対しての耐摩耗性が大きい。しかしながら、曲げ強さは50kgf/mm2 前後と幾分低いので、比較的小型のものに適用するのが好ましい。アルミナ−ジルコニア複合素材は曲げ強さは80kgf/mm2 前後でアルミナより大きく、且つ硬度も1600kgf/mm2以上と高く、耐摩耗性もあり、最適の材料の1つである。正方晶のジルコニアは平均粒径 1μm 以下の固溶化したY2 3を1.5 から 5モル%含み、平均粒径0.5 から 2μm からなるものが好ましい。アルミナ−ジルコニア複合素材(ZTA)では、酸化アルミニウムを主成分とし、結晶構造として50体積%以上が正方晶であるZrO2を15から40重量%の範囲で含み、かつ、Al23の平均粒径が5.0μm以下、ZrO2の平均粒径が2.0μm以下の範囲であることが好ましい。かかる複合素材はAl23の優れた熱伝導率特性を有しつつ、高い強度が発揮される。
【0048】
本発明の媒体攪拌型粉砕機について構成部品に分けて詳述する。前述したように、粉砕機はベッセルと呼ばれる粉砕容器部材、カラー、スリーブと呼ばれるアジテータシャフトに付随する攪拌軸周辺部材、粉砕ディスク、粉砕ピンと呼ばれる粉砕媒体を直接駆動させるためのシャフトに嵌合する部分、スクリーンと呼ばれる被粉砕物と粉砕媒体を分離する部分および粉砕容器に充填されるボール状、ペレット状の粉砕媒体から構成される。
【0049】
まず、スクリーンについて説明する。スクリーンとは、粗原料を粉砕するため粗原料の粉砕物をメディア単独或いは撹拌棒による撹拌の併用によって粉砕物をスラリー化する粉砕機において該スラリーと未粉砕物及びメディアを分離するための耐摩耗性のある部材である。図2のスクリーンは円筒状の内側から外側へ濾過されるようになっており、SUS304製ベース(7)、ジルコニア製スリット棒(8)および補強棒(9)で構成されている。環状のベース(7)の内側円周上には溝が加工してあり、この溝にスリット棒(8)が必要数量だけ嵌合セットしてある。嵌合されたスリット棒は押え板により、ずれないように嵌合され、取付けネジで機械的に締付け固定されている。このように固定すれば、粉砕媒体や未粉砕物の動きや機械振動による動荷重や衝撃荷重により、外れることなくしっかりと固定される。環状で断面形状が三角形の押え板はベース(7)の溝に嵌合されたスリット棒が使用中にずれないようにするための補助的な部品で、材料は比較的弾力性のあるポリイミド樹脂などの素材が望ましい。通常のスクリーンは、円筒形でスリットが円周上で軸と平行に同心円状に配列されていて、外から中に濾過させる場合はスリット棒を外側から、中から外に濾過させる場合はスリット棒を内側に配列する等の工夫がされている。スクリーンの直径は通常50mmから1mに達するものまであるが、それ以外の大きさでも何等問題ない。各部品はその都度、所定のスリット幅の大きさ、全体の大きさからの設定強度の設計計算より任意の値を設定される。
【0050】
次にスリット棒の形状であるが、基本的にはその断面が4辺形であり、濾過するスクリーンであるので、少なくとも濾過物が通過する入り口側が出口側より大きい形状の方が、スリット棒どうしで構成されるスリット幅を通じて濾過される際に通過物の詰まりが生じ難い。好ましくはその断面形状が台形で長辺側が入り口に来るように配列すると濾過物がスクリーンのスリット棒を通過後詰まることなく排出される。又、ベースにスリット棒を嵌合する際にも断面が台形または三角形が締め込みが容易であるので好ましい。台形形状としては、長辺部:短辺部=10:1から10:9、長辺部:高さ=2:1から1:10の範囲のものが締め込みが簡単でより好ましい。
【0051】
スリット棒の角のエッジ部分は最も摩耗を受け易く、又、衝撃的な荷重により欠け易い部位なので、予めエッジ部分はC面0.1から0.2程度の面取りをしておくことは好ましいことである。
【0052】
次にベースのスリット棒を受ける溝の形状については、スリット棒が適度な嵌合深さおよび嵌合の突出高さが得られるものであれば特に限定されるものではないが、たとえば、深さがスリット棒の肉厚よりも若干浅くするか溝幅の勾配や形状(段差など)を調整することにより達成できる。好ましくはスリット棒が台形である場合、溝も勾配のついた台形の方がよい。
【0053】
以上円筒形スクリーンの場合について説明したが、他に円盤状のものもよく用いられる。
【0054】
円盤状スクリーンの場合は、図3のように中心部の円形のベースと外周部の環状のベースの間にスリット棒を放射状に配列される。この場合はスリット幅を一定にするためにスリット棒は錐状の放射状に先端が太くなったものを使用することが好ましい。また、四角型のスクリーンの場合は角型のベースにスリット棒を平行に嵌合し、その両端を固定すれば良い。また、円盤状スクリーンのスリットの外側嵌合部分は、その放射形状のためL字型に切り込んだ形状にしても良い。この場合、切り欠き部分と残った部分の比がおおよそ1:5から1:40程度が好ましい。いずれの場合においても本スクリーンはベースに嵌合するための溝とその溝の嵌合する深さ以上の肉厚のセラミックス製のスリット棒をその溝に嵌合させて一定幅のスリットを具現化する。このようにすれば、メディアや未粉砕物はベース材料に直接触れることなく、耐摩耗性の良いスリット棒のみで濾過され、又スリット幅は精度良く機械加工されたスリット棒及び精度良く機械加工されたベースの溝に支配され、鑞付や溶接による歪みも受けないので精度の良いスクリーンが具現化できる。
【0055】
さて、粉砕機において、粉砕媒体や粉砕物を効果的に撹拌するのに、粉砕機内部で回転する撹拌手段が好適に用いられる。典型的な撹拌手段として粉砕ピンおよび撹拌ディスクが挙げられる。
【0056】
まず、粉砕ピンについて説明する。粉砕ピンは、回転中心軸に対しておおよそ直角に配置される。図1のようにアジテータシャフト(2)により貫通されたスリーブ(3)を介して取り付けられる方が、回転中心軸シャフトに直接取り付けるよりも好ましい。粉砕ピンのサイズは特に限定されるものではないが、直径は3から30mm、長さは20から300mm、あるいは撹拌機の内径の3%から10%程度が一般的サイズである。また、先端部分はC面1から5mm程度の面取りされていることが好ましい。本数は4から16が一般的である。粉砕ピンは回転中心軸方向に多段に設けてもかまわない。この場合、上段と下段の粉砕ピンは回転中心軸の長軸方向上1列に設けてもよいが、互い違いになるように設置しても構わない。粉砕ピンの断面形状は耐久性などを勘案して円形が好ましい。
【0057】
粉砕ピンの固定方法としては、別のピンでかしめて固定するピン留め式粉砕ピンや、ピン自身にネジ切りして固定するねじ切り式粉砕ピンがある。ピン留め式粉砕ピンでは、粉砕ピン自身のねじ切り部分が欠ける恐れがないのでねじ切り式粉砕ピンよりも好ましい。
【0058】
まず、前者のピン留め式粉砕ピンについて説明する。これは、固定端部内部、例えばスリーブ内において、撹拌ピンの長軸に対して垂直に別のピンで締め付ける。粉砕ピンが前記にように締め付けられる部位は、好ましくは図4に示すピン留め括れ部を有する。ピン留め括れ部は粉砕ピンの直径の70から90%程度の直径であることが好ましい。70%以下では細すぎて強度が弱くなり、90%以上では浅すぎて締め付け固定が弱く、粉砕ピンが抜け落ちる心配がある。また、ピン留め括れ部の回りにはC面加工して、C1からC3程度の面取りをしておくことが好ましい。なお、ピン留め括れ部を全周的に設けず締め付けられる方位にのみ設ける態様もありえるが、これは位置合わせがやや困難となる。また、ピン留め凹部を深くして、場合によっては貫通孔にする態様もあり得る。ピン留め式粉砕ピンに用いるスリーブとしては、差し込み孔に粉砕ピンが挿入される。差し込み孔は製作の容易さから、スリーブの回転中心軸貫通孔まで、貫通していることが好ましい。粉砕ピン差し込み孔が貫通している場合、粉砕ピンの先端は回転中心軸に到達して、締め付け位置の位置決めができる。差し込まれた粉砕ピンは差し込みピン孔22より挿入された差し込みピンにより固定される。粉砕ピン方式のスリーブの下端部にはスクリュー羽根が設けられていて、メディアや粉砕粒子を遠心力を利用して外周部へ排除する。なお、粉砕機が大きく回転中心軸方向に沿って長い場合、スリーブのスクリュー羽根を有さない端面側に両端面が平坦なスリーブを端面同士で密着させ、複数並べて回転中心軸に取り付けて対応することもできる。
【0059】
後者のネジ切り式撹拌ピンは、図5に示すように撹拌ピンの先端に雄ねじのねじ切り部、撹拌ピン差し込み孔に雌ねじが切られ,差し止めピン及び差し止めピン挿入孔を有さない以外は、ピン留め式撹拌ピンおよびそのスリーブと同様である。なお、撹拌ピンをレンチなどにより、締め付けるために、平面切り欠き部を設けるとよい。
【0060】
次に撹拌ディスクについて説明する。図6に示したように撹拌ディスク(10)とカラー(11)を交互に積み重ねた構造で構成される。これらは撹拌ピンのスリーブの場合と異なり、長軸方向に締め付けられることにより固定される。撹拌ディスクの直径はおおよそ50から400mm、あるいは粉砕装置内径の50から90%であることが好ましい。また、厚みは3から20mmが好ましい。
【0061】
図7に車輪型の撹拌ディスクの例を示す。中心にはディスクの回転中心軸貫通孔を有する。この孔の形状を見てもわかるとおり、撹拌ディスクの場合、回転中心軸の断面形状は正方形など非真円形状であることが好ましい。真円形状だと、回転時に、撹拌ディスクと回転中心軸との間に滑りが発生して、回転効率が低下する恐れがあるからである。重量軽減と撹拌効率向上のため、撹拌ディスクには円周孔が設けられている。円周孔の面積は撹拌ディスクの面積の10から50%程度が好ましく、孔の数は2から6個が好ましい。また、回転方向にスロープ部を設けることより抵抗が軽減されてよい。さらに円周上ピン部の出っ張りにより、撹拌効率を高めることができる。図8には風車型の撹拌ディスクの例を示す。これは円周孔の代わりに円周溝をを有する。中心には車輪型の撹拌ディスクと同様にディスクの回転中心軸貫通孔を有する。この図においては時計回りに回るものである。溝の数などの好適範囲は車輪型の場合とほぼ同様である。
【0062】
次に撹拌ディスクの間に設けられるカラーを図9に説明する。カラー自身は撹拌ディスクほど抵抗を受けないので、回転中心軸との滑りは殆ど問題とならないので、カラーの回転中心軸貫通孔は真円形状でもかまわない。ただし、回転中心軸とカラー内径とは接するようサイズを調整することが好ましい。カラーの直径はおおよそ20から200mmあるいは粉砕装置内径の20から50%であることが好ましい。また、厚みは15から200mmが一般的である。
【0063】
(物性測定の方法)
このようにして得られたジルコニアセラミックスについて、平均結晶粒径、正方晶ジルコニアの割合、及びビッカース硬度(Hv)を求めた。
【0064】
平均結晶粒径は、ジルコニア表面を研磨した後エッチングし、そのエッチング面の顕微鏡写真において、結晶粒の円相当径の数平均径を画像処理にて求めた。
【0065】
正方晶の割合は、セラミックスの表面を注意深く鏡面研磨し、X線回折法によって分析したとき、2θ=30.2°付近に現れる正方晶の(111)面の回折ピークの積分強度T(111)と、2θ=28.2°付近に現れる単斜晶の(111)面の回折ピークの積分強度M(111)と、2θ=31.5°付近に現れる単斜晶の(111-)面の回折ピークの積分強度M(111-)とから、式
T(111)/{T(111)+M(111)+M(111-)}×100 [体積%]
によって求めた。なお、1- は、−1を表す。
【0066】
ビッカース硬度(Hv)は、セラミックス表面を注意深く鏡面研磨し、そこに、ビッカース圧子を、加重P[kgf]でセラミックス表面に圧入したときにできる圧痕の対角線の長さをd [mm]とすると、式
Hv[kgf/mm2]=1.85437×P/(d×d)
によって求め、7点測定した後、最高値と最低値を除く5点の平均値とした。
【0067】
破壊靱性値はJISR1607、曲げ強度はJISR1601の3点曲げに準拠して行った。
【0068】
【実施例】
以下に、本発明について、下記実施例を用いて、具体的に説明する。ただし、本発明はこれに限定されない。
【0069】
[実施例1]
(粉砕媒体)
純度99.9%のオキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウム溶液をジルコニアおよびイットリアに換算して、モル比率97.25:2.75となるように混合調製し、これにさらにAl2O3換算で0.375重量%となるように塩化アルミニウムを添加する。調製された混合溶液から、95℃に設定したオートクレーブ中でジルコニア前駆体となる結晶質水和ジルコニアを得た。これを800℃にて焼成し、平均粒子径0.12μmの粉末原料とする。
【0070】
これを媒体撹拌型ミルを用いて、3時間、純水中で湿式粉砕して、平均凝集粒径を0.6μmに調製した後、バインダーとしてポリビニルアルコールを加え、スプレードライヤーにより噴霧造粒乾燥し、平均150μmの造粒粉末を得た。
【0071】
次に転動造粒法により粉砕媒体を成形した。ここでは、回転容器を用いて乾燥粉末原料を転がしながら、液を散布して、球状ペレットを作製した。
【0072】
成形されたペレットは、大気中1400℃、1時間焼成することによって、緻密な焼結体を得ることができた。仕上げの研磨はバレル研磨を用い、最終的に最大粗さ0.03μmの鏡面に仕上げた。
【0073】
ZrO2の平均結晶粒径 : 0.5μm
ZrO2の正方晶の割合 : 100体積%
ビッカース硬度(Hv) : 1320kgf/mm2
曲げ強度 : 128kgf/mm2
破壊靱性値 : 7.3MPa・m-1/2
焼結体の表面粗さは、原子間力顕微鏡により測定した。平均表面粗さは5.4nmで、最大粗さが76nmであった。また、観察したボールの表面において、巾0.5μm以上で、かつ、深さ0.35μm以上、長さ10μm以上の研磨傷はなかった。
【0074】
焼結体を粉末X線回折により結晶構造を解析した結果、実質的に単斜晶を含まない正方晶系のジルコニアであり、圧壊荷重は0.5mm径で250ニュートン、0.7mm径で430ニュートン、1.0mm径で750ニュートンであった。
【0075】
(粉砕機用部材)
平均粒径が0.5μmで純度が99.8%であるアルミナ粉末を70重量%、3モル%のイットリアを含む平均粒径1.0μmのジルコニア粉末を30重量%の割合で、媒体攪拌型ミルを用いて、3時間、純水中で湿式混合粉砕して、平均凝集粒径を0.6μmに調製した後、バインダーとしてポリビニルアルコールを加え、スプレードライヤーにより噴霧造粒乾燥し、混合粉末を得た。
【0076】
次に、ラバープレスおよび金型プレスによって、所望する形状の粉砕機器部材を作製する。ベッセル、スリーブ、スクリーン、粉砕ピンはラバープレス法、粉砕ディスクは金型プレスにて作製した。すなわち、金型プレス法では上記粉末を金型に充填し、1000kgf/cm2の圧力を加えて成形し成形体を得た。また、ラバープレス法を用いた場合は、1000kgf/cm2の圧力下において、の成形体を得た。
【0077】
次に、上記成形体を、大気中にて1550℃、2時間焼結し、アルミナ−ジルコニア系複合セラミックスを得た。
【0078】
Al23の平均結晶粒径 : 1.0μm
ZrO2の平均結晶粒径 : 0.5μm
ZrO2の正方晶の割合 : 100体積%
ビッカース硬度(Hv) : 1710kgf/mm2
曲げ強度 : 85kgf/mm2
破壊靱性値 : 5.3MPa・m-1/2
摩耗試験については、表面をバレル研磨した直径10mmの上記ジルコニア製ボールについて、そのボール200個を内容積1000mlの上記アルミナ−ジルコニア製ポットミルに入れ、さらに、ボール部材の総重量の36%の水と4%の平均粒径が1μmのSiC粉末とを入れ、ポットミルを100rpmの速度で50時間運転し、ボール重量の損耗率を計算した。
【0079】
摩耗による損耗率 : 0.06%。
【0089】
[実施例2]
(粉砕媒体)平均粒径0.12μmの炭化珪素粉末に、Bを0.75重量%、Cを2.5重量%、金属Siを10重量%添加する。バインダーにはボリビニルアルコールを5重量%添加し、溶媒には純水を用いてスラリーとした。
【0090】
これを媒体撹拌型ミルを用いて、3時間、純水中で湿式混合粉砕して、平均凝集粒径を0.8μmに調製した後、バインダーとしてポリビニルアルコールを5重量%加え、スプレードライヤーにより噴霧造粒乾燥し、平均120μmの造粒粉末を得た。
【0091】
造粒粉末を転動造粒法により平均直径0.8mmとなるように成形した。ここでは、回転容器を用いて乾燥粉末原料を転がしながら、液を散布して、球状ペレットを作製した。
【0092】
成形されたペレットは、アルゴン雰囲気中1700℃、1時間焼成することによって、緻密な焼結体を得ることができた。仕上げの研磨はバレル研磨を用い鏡面に仕上げた。
【0093】
焼結体の表面粗さは、原子間力顕微鏡により測定した。平均表面粗さは10.5nmで、最大粗さが90nmであった。また、観察したボールの表面において、巾0.5μm以上で、かつ、深さ0.35μm以上、長さ10μm以上の研磨傷はなかった。
【0094】
本試料について、X線回折により分析した結果、基材にはβ-SiC、C、Siの特性X線ピークが観測された。
【0095】
粉砕媒体の平均結晶粒径 : 1.2μm
ビッカース硬度(Hv) : 2350kgf/mm
曲げ強度 : 33kgf/mm
破壊靱性値 : 5.5MPa・m−1/2
(粉砕機部材)
平均粒径0.12μmの炭化珪素粉末に、Bを0.75重量%、Cを2.5重量%、Al を3.0重量%添加し、バインダーとしてボリビニルアルコールを5重量%添加して、溶媒には純水を用いてスラリーを調製した。このスラリーを媒体攪拌型ミルを用いて、3時間、純水中で湿式混合粉砕して、平均凝集粒径を0.9μmに調製した後、バインダーとしてポリビニルアルコールを加え、スプレードライヤーにより噴霧造粒乾燥し、混合粉末を得た。
【0096】
次に、実施例1と同じく金型プレスおよび/またはラバープレスによって、所望する形状の粉砕機器部材を作製する。
【0097】
成形体アルゴン雰囲気中2150℃にて3時間焼成することによって、緻密な焼結体を得ることができた。
【0098】
SiCの平均結晶粒径 : 2.2μm
ビッカース硬度(Hv) : 2700kgf/mm2
曲げ強度 : 55kgf/mm2
破壊靱性値 : 3.5MPa・m-1/2
摩耗試験については、表面をバレル研磨した直径10mmの上記金属シリコン含有炭化珪素製ボールについて、そのボール200個を内容積1000mlのSiC製ポットミルに入れ、さらに、ボール部材の総重量の36%の水と4%の平均粒径が1μmのSiC粉末とを入れ、ポットミルを100rpmの速度で50時間運転し、ボール重量の損耗率を計算した。
【0099】
摩耗による損耗率 : 0.08%
【0107】
[実施例
(粉砕媒体)
実施例1と同様にして、粉末を調合し、造粒後、ロータリープレス法によりディスク状の粉砕媒体を成形した。
【0108】
粉砕媒体のグリーン形状は、直径15mmφ、高さ15mmであり、平面部面積は全表面積の33%となる。アスペクト比(高さ/直径)は1である。
【0109】
これを1400℃にて焼結し、表面粗さを原子間力顕微鏡により測定した。平均表面粗さは5.1nmで、最大粗さが74nmであった。また、観察したボールの表面において、巾0.5μm以上で、かつ、深さ0.35μm以上、長さ10μm以上の研磨傷はなかった。
【0110】
(粉砕機用部材)
平均粒径が0.5μmで純度が99.8%であるアルミナ粉末を80重量%、3モル%のイットリアを含む平均粒径1.0μmのジルコニア粉末を20重量%の割合で、媒体攪拌型ミルを用いて、3時間、純水中で湿式混合粉砕して、平均凝集粒径を0.6μmに調製した後、バインダーとしてポリビニルアルコールを加え、スプレードライヤーにより噴霧造粒乾燥し、混合粉末を得た。
【0111】
次に、実施例1と同様にラバープレスおよび金型プレスによって、所望する形状の粉砕機器部材を作製する。ベッセル、スリーブ、スクリーン、粉砕ピンはラバープレス法、粉砕ディスクは金型プレスにて作製した。ベッセルの外表面にケブラー織布にエポキシ樹脂を含浸したコンポジット繊維、厚さ10mmを張付けて補強した。
【0112】
次に、上記成形体を、大気中にて1550℃、2時間焼結し、アルミナ−ジルコニア系複合セラミックスを得た。さらに、ベッセルの外表面にケブラー織布にエポキシ樹脂を含浸した厚さ10mmのコンポジット繊維を張付けて補強した。
【0113】
Al23の平均結晶粒径 : 1.2μm
ZrO2の平均結晶粒径 : 0.6μm
ZrO2の正方晶の割合 : 95体積%
ビッカース硬度(Hv) : 1680kgf/mm2
摩耗試験については、表面をバレル研磨した直径15mmの上記ジルコニア製粉砕媒体について、媒体200個を内容積1000mlの上記アルミナ−ジルコニア製ポットミルに入れ、さらに、媒体部材の総重量の36%の水と4%の平均粒径が1μmのSiC粉末とを入れ、ポットミルを100rpmの速度で50時間運転し、粉砕媒体重量の損耗率を計算した。
【0114】
摩耗による損耗率 : 0.15%
[実施例
(粉砕媒体)
実施例1と同じ方法でジルコニア製ビーズを作製した。
【0115】
(粉砕機用部材)
ZrO2中に含まれる安定化剤Y23の割合を2モル%とした他は、実施例1と同様にしてアルミナ−ジルコニア系セラミックスを作り、評価した。
【0116】
試験結果を以下に示す。
【0117】
Alの平均結晶粒径: 1.0μm
ZrOの平均結晶粒径: 0.6μm
ZrOの正方晶の割合: 97体積%
ビッカース硬度(Hv): 1700kgf/mm
摩耗のよる損耗率 : 0.21%
[実施例
(粉砕媒体)
実施例1と同じ方法でジルコニア製ビーズを作製した。
【0118】
(粉砕機用部材)
ZrO2中に含まれる安定化剤Y23の割合を4.5モル%とした他は、実施例1と同様にしてアルミナ−ジルコニア系セラミックスを作り、評価した。
【0119】
試験結果を以下に示す。
【0120】
AlO3平均結晶粒径: 1.1μm
ZrOの平均結晶粒径: 0.5μm
ZrOの正方晶の割合: 96体積%
ビッカース硬度(Hv): 1700kgf/mm
摩耗による損耗率 : 0.25%
[実施例
(粉砕媒体)
実施例1と同じ方法でジルコニア製ビーズを作製した。
【0121】
(粉砕機用部材)
焼結温度を1600℃とした他は実施例1と同様にしてアルミナ−ジルコニア系セラミックスを作り、評価した。
【0122】
試験結果を以下に示す。
【0123】
Alの平均結晶粒径 : 1.3μm
ZrOの平均結晶粒径 : 0.6μm
ZrOの正方晶の割合 : 100体積%
ビッカース硬度(Hv): 1700kg/mm
摩耗による損耗率 : 0.11%
[比較例1]
(粉砕媒体)
以下の方法でアルミナ−ジルコニア製ビーズを作製した
実施例1の粉砕機部材に用いたアルミナ−ジルコニア混合粉末を用いて、これを媒体撹拌型ミルを用いて、3時間、純水中で湿式混合粉砕して、平均凝集粒径を0.8μmに調製した後、バインダーとしてポリビニルアルコールを5重量%加え、スプレードライヤーにより噴霧造粒乾燥し、平均150μmの造粒粉末を得た。
造粒粉末を転動造粒法により平均直径0.8mmとなるように成形した。ここでは、回転容器を用いて乾燥粉末原料を転がしながら、液を散布して、球状ペレットを作製した。
成形されたペレットは、大気中1550℃、1時間焼成することによって、緻密な焼結体を得ることができた。仕上げの研磨はバレル研磨を用い鏡面に仕上げた。
焼結体の表面粗さは、原子間力顕微鏡により測定した。平均表面粗さは7.4nmで、最大粗さが88nmであった。また、観察したボールの表面において、巾0.5μm以上で、かつ、深さ0.35μm以上、長さ10μm以上の研磨傷はなかった。
焼結体を粉末X線回折により結晶構造を解析した結果、実質的に単斜晶を含まない正方晶系のジルコニアであり、圧壊荷重は0.5mm径で220ニュートン、0.7mm径で390ニュートン、1.0mm径で710ニュートンであった。
【0124】
(粉砕機用部材)
実施例1と同様にしてアルミナ−ジルコニア系セラミックスを作り、評価した。
【0125】
試験結果を以下に示す。
【0126】
Al23の平均結晶粒径 : 1.0μm
ZrO2の平均結晶粒径 : 0.3μm
ZrO2の正方晶の割合 : 100体積%
ビッカース硬度(Hv) : 1710kgf/mm2
摩耗のよる損耗率 : 0.65%
[比較例2]
(粉砕媒体)
実施例1と同じ方法でジルコニア製ビーズを作製した。
【0127】
平均粒径が0.5μmで純度が99.8%であるアルミナ粉末を80重量%、3モル%のイットリアを含む平均粒径1.0μmのジルコニア粉末を20重量%の割合で、媒体攪拌型ミルを用いて純水中で3時間湿式混合粉砕して平均凝集粒径を0.6μmに調製した後、バインダーとしてポリビニルアルコールを加え、スプレードライヤーにより噴霧造粒乾燥し、混合粉末を得た。
次に、実施例1と同様にラバープレスおよび金型プレスによって、所望する形状の粉砕機器部材を作製した。
次に、上記成形体を、大気中にて1550℃で2時間焼結し、アルミナ−ジルコニア系複合セラミックスを得た。補強剤は用いなかった。
Al の平均結晶粒径: 1.2μm
ZrO の平均結晶粒径: 0.6μm
ZrO の正方晶の割合: 95体積%
ビッカース硬度(Hv): 1680kgf/mm
摩耗試験については、表面をバレル研磨した直径15mmの上記アルミナ−ジルコニア製粉砕媒体について、そのボール200個を、内容積1000mlの上記粉砕機部材を構成するアルミナ−ジルコニア製ポットミルに入れ、さらに、媒体部材の総重量の36%の水および4%のSiC粉末(平均粒径1μm)を入れ、ポットミルを100rpmの速度で50時間運転し、ボール重量の損耗率を計算した。
【0128】
試験結果を以下に示す。
【0129】
摩耗による損耗率 : 0.25%
ベッセルの内表面に欠けによる脱落が見られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の粉砕機の断面矢視図である。
【図2】 本発明の粉砕機に用いる円筒状スクリーンの側面図である。
【図3】 本発明の粉砕機に用いる円盤状スクリーンの2面図である。
【図4】 本発明の粉砕機に用いるピン留め式撹拌ピンに用いるスリーブである。
【図5】 本発明の粉砕機に用いるネジ留め式撹拌ピンに用いるスリーブである。
【図6】 本発明の粉砕機に用いる攪拌ディスクとカラーが積層された状態を示す図である。
【図7】 本発明の粉砕機に用いる車輪状攪拌ディスクの2面図である。
【図8】 本発明の粉砕機に用いる風車状攪拌ディスクの2面図である。
【図9】 本発明の粉砕機に用いるカラーの2面図である。
【符号の説明】
1:補強棒
2:回転中心軸
3:スリーブ
4:正方晶ジルコニアセラミック製の攪拌ピン
5:棒状スリット棒
6:粉砕用媒体
7:SUS304製ベース
8:棒状スリット棒
9:補強棒
10:攪拌ディスク
11:カラー

Claims (5)

  1. (a)粉砕容器、(b)粉砕用媒体、および(c)粉砕機部材からなる粉砕機であって、
    (i)(a)粉砕容器内表面および(c)粉砕機部材表面において、少なくとも50重量%以上の酸化アルミニウムを含み、0.1から5モル%のY たはCeOを含む15乃至40重量%の酸化ジルコニウムからなる複合セラミックスを用い、
    (ii)(b)粉砕用媒体において、酸化ジルコニウムを主成分とし、40重量%以下の酸化アルミニウムを含み、酸化ジルコニウム中にY たはCeOを0.1から5モル%含む複合セラミックスを用い、
    かつ、前記(a)粉砕容器および前記(c)粉砕機部材のビッカース硬度が1300kgf/mm以上であり、前記(b)粉砕用媒体のビッカース硬度が、前記(a)粉砕容器および前記(c)粉砕機部材のビッカース硬度よりも100乃至600kgf/mm低いことを特徴とする粉砕機
  2. 前記(b)粉砕用媒体が、円柱の直径に対する高さのアスペクト比が0.5乃至2であって、直径が0.5乃至15mmである円柱形状を有する粉砕用媒体であることを特徴とする請求項1記載の粉砕機。
  3. 前記(a)粉砕容器の外表面が、金属、プラスチックス、木材のいずれか、またはそれら2種以上の組み合わせからなる衝撃吸収材によって被覆されていることを特徴とする請求項1記載の粉砕機。
  4. (a)粉砕容器、(b)粉砕用媒体、および(c)粉砕機部材からなる粉砕機であって、
    (i)(a)粉砕容器内表面および(c)粉砕機部材表面において、炭化珪素を主成分する複合セラミックスを用い、
    (ii)(b)粉砕用媒体において、炭化珪素を主成分とし、金属シリコンを含む複合セラミックスであって、前記(a)粉砕容器内表面または前記(c)粉砕機部材表面に用いられた複合セラミックスと別な複合セラミックスを用い、
    かつ、前記(a)粉砕容器および前記(c)粉砕機部材のビッカース硬度が1300kgf/mm以上であり、前記(b)粉砕用媒体のビッカース硬度が、前記(a)粉砕容器および(c)粉砕機部材のビッカース硬度よりも100乃至600kgf/mm低いことを特徴とする粉砕機。
  5. 請求項1乃至記載のいずれかの粉砕機を用いることを特徴とする粉砕方法。
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