JP4101948B2 - ロータリーダンパ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、回転することにより開閉動作する回転蓋や回転扉等の回転動作を遅動させるロータリーダンパに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、回転することにより開閉動作する回転蓋や回転扉等の回転動作を遅動させるロータリーダンパとして、例えば、図12に示すように、隔壁部101を備えたケーシング102と、該ケーシング102の軸方向中心に沿って配設される回転軸103と、該回転軸103の外周面に突設され、粘性液体104が充填される液体室105内で該回転軸103と共に回動すると共に、先端面106aに切欠107を有するベーン部材106と、該ベーン部材106の先端面106aを被覆する円弧部108aと該円弧部108aの両側から半径方向に沿って突出する半径部108b,108cとを有して形成されると共に、該各半径部108b,108cのうちの一方の半径部108bに切欠109を有するベーンカバー108とを備えて構成されるロータリーダンパ100がある。
【0003】
上記のロータリーダンパ100は、回転軸103が回転蓋等の軸体に連結されて使用され、回転蓋等が開放動作する場合には、その開放動作に伴って、回転蓋等の軸体及びこれに連結された回転軸103とベーン部材106が非制動力発揮方向(図上、反時計回り方向)に回転する。これにより、ベーンカバー108がその際に生じる粘性液体104の圧力により移動して、ベーンカバー108の一方の半径部108bがベーン部材106に当接し、ベーン部材106の先端面106aに形成された切欠107と、ベーンカバー108の一方の端部108bに形成された切欠109と、ベーンカバー108の他方の半径部108c及びベーン部材106との間の間隙とにより粘性液体104が通過可能な還流路が形成される。そして、液体室105内の粘性液体104は、ケーシング102の底壁内面等に形成されたオリフィス溝(図示せず)を通過すると共に、この還流路を通過して流動するので、その際に生じる粘性抵抗が小さくなり、それにより、ロータリダンパ100が発揮する制動力も小さくなる。その結果、回転蓋等を、該回転蓋等の自重に相当する力程度で開放させることができる。
【0004】
他方、回転蓋等が閉成動作する場合には、その閉成動作に伴って、回転蓋等の軸体及びこれに連結された回転軸103とベーン部材106が制動力発揮方向(図上、時計回り方向)に回転する。これにより、まず、他方の半径部108cにベーン部材106が当接し、ベーン部材106とベーンカバー108との間に形成された還流路が遮断される。粘性液体104は、ケーシング102の底壁内面等に形成されたオリフィス溝のみを通過して流動する。この結果、粘性液体104の流動が制限され、粘性液体104がオリフィス溝を通過する際の抵抗によりロータリーダンパ100は大きな制動力を発揮して、それにより、回転蓋等の回転動作を遅動させることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のロータリーダンパでは、非制動力発揮方向における粘性液体の還流路を確保するため、ベーンカバーとベーン部材との間に遊びが設けられている。従って、非制動力発揮方向に回転させた場合には、上記したように、ベーン部材106がベーンカバー108の他方の半径部108cに当接するまでは制動力は発揮されない。このため、回転蓋等を僅かに開放動作させた後、閉成動作させた場合には、制動力が付与されることなく回転蓋等が閉成動作してしまい、回転蓋等が該回転蓋等の支持枠に勢いよく衝突して破損する等の不具合が生じていた。
【0006】
かかる不具合を解消するため、ベーンカバーとベーン部材との間の遊びをできるだけ小さくすることも考えられるが、この場合には、ベーン部材とベーンカバーとの間に形成される還流路が狭くなるため、非制動力発揮方向に回転する際における粘性液体の流動が制限され、回転蓋等を開放させる場合には、回転蓋等の自重を超える大きな力が必要となる。
【0007】
そこで、本発明は、回転蓋等を開放させる際に必要な力が大きくなり過ぎることがなく、回転蓋等を僅かに開放動作させた後、閉成動作させた場合に、確実に制動力を発揮して、回転蓋等の回転動作を遅動させることができるロータリーダンパを提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1記載の本発明のロータリーダンパは、内周面から軸方向中心に向かって突出する隔壁部を備え、上端側が開口し、下端側が閉塞された略円筒状のケーシングと、該ケーシングの軸方向中心に沿って配設される回転軸と、該回転軸の外周面に突設され、前記ケーシング内に形成された粘性液体が充填される液体室内で該回転軸と共に回動すると共に、先端面に切欠を有するベーン部材と、軸方向の長さが該ベーン部材とほぼ同じであると共に、円弧部と半径部とを有する平面略L字状に形成され、少なくとも該ベーン部材の先端面を被覆するベーンカバーと、前記ケーシングの上面開口部を閉塞する蓋部材とを有し、さらに、前記ベーン部材とベーンカバーとの間に設けられ、常態においては、該ベーン部材の制動力発揮方向側の側面に沿って設けられる該ベーンカバーの半径部を、該ベーン部材の制動力発揮方向側の側面に密着させる方向に付勢し、前記回転軸が非制動力発揮方向に回転する場合には、前記粘性液体の圧力により変形して、該ベーンカバーの半径部を該ベーン部材の制動力発揮方向側の側面から離間させるバネ部材が設けられていることを特徴とする。
請求項2記載の本発明のロータリーダンパは、請求項1記載のロータリーダンパであって、前記バネ部材が、前記ベーン部材の先端面に形成された切欠に嵌合可能な平面略コ字状の嵌合部と、該嵌合部の上端付近及び下端付近における一方の角部から各々外方に延びる舌片とを有することを特徴とする。
請求項3記載の本発明のロータリーダンパは、内周面から軸方向中心に向かって突出する隔壁部を備え、上端側が開口し、下端側が閉塞された略円筒状のケーシングと、該ケーシングの軸方向中心に沿って配設される回転軸と、該回転軸の外周面に突設され、前記ケーシング内に形成された粘性液体が充填される液体室内で該回転軸と共に回動すると共に、先端面に切欠を有するベーン部材と、平面略U字状に形成され、該ベーン部材の両側面に沿って内面が密着して設けられる半径部を有すると共に、該各半径部のうちの制動力発揮方向側の半径部に該粘性液体が通過可能な還流用の液体通過孔を有し、軸方向の長さが該ベーン部材とほぼ同じで、少なくとも該ベーン部材の先端面を被覆するベーンカバーと、前記ケーシングの上面開口部を閉塞する蓋部材とを有し、さらに、前記ベーンカバーの制動力発揮方向側の半径部に設けられ、常態においては、該ベーンカバーの液体通過孔を閉口させ、前記回転軸が非制動力発揮方向に回転する場合には、前記粘性液体の圧力により変形して、該ベーンカバーの液体通過孔を開口させるバネ部材が設けられていることを特徴とする。
請求項4記載の本発明のロータリーダンパは、請求項3記載のロータリーダンパであって、前記バネ部材が、基端部から突出する三つの片部を有して形成され、このうちの両側に形成される各片部が中央に形成される平板状の片部に対して、平面からみて略平行に位置するよう曲げ加工されていることを特徴とする。
請求項5記載の本発明のロータリーダンパは、請求項1〜4のいずれか1項記載のロータリーダンパであって、前記蓋部材の内側に、裏面に前記粘性液体が通過する円弧状のオリフィス溝を有する交換可能なスペーサ板が設けられていることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の第一の実施の形態に係るロータリーダンパ1を示す横断面図であり、図2はロータリーダンパ1の縦断面図である。これらの図に示すように、ロータリーダンパ1は、ケーシング2、回転軸3、ベーン部材4、ベーンカバー5、蓋部材6及びバネ部材7を有して構成されている。
【0010】
ケーシング2は、上面開口の有底略円筒状に形成され、その内周面2aには、ケーシング2の軸方向中心に向かって突出する平面視で略扇形の隔壁部21が形成されている。ケーシング2の軸方向中心寄りに位置する隔壁部21の先端面21aは、回転軸3の外周面と摺接するよう略円弧状に形成されている。この隔壁部21を境としてケーシング2内に液体室22が形成され、この液体室22内に、グリス等の粘性液体8が充填される。また、ケーシング2の上面開口部2bには、回転軸3を挿通可能な蓋部材6が配設される。
【0011】
蓋部材6は、略円盤状で、略中央に回転軸挿通孔61aが貫通形成された蓋本体61と、同じく略円盤状で、略中央に回転軸挿通孔62aが貫通形成されたガイド板62を有して構成される。蓋本体61とガイド板62は、蓋本体61が表側に、ガイド板62が裏側に配設され、該ガイド板62の裏面62bはスペーサ板9の表面9aに接している。
【0012】
スペーサ板9は、蓋部材6の内側に、裏面9bがケーシング2の隔壁部21の上端面及びベーン部材4の上端面に接するように配設される。また、スペーサ板9の裏面9bには、図3に示すように、円弧状に刻設された溝からなるオリフィス溝91が設けられており、ロータリダンパ1は、このオリフィス溝91を粘性液体8が通過する際の抵抗により、所定の制動力を発揮することがことができる。なお、本実施の形態のように、オリフィス溝91の幅を、回転軸3及びベーン部材4の制動力発揮方向に向かって次第に小さくなるように形成すれば、ベーン部材4が制動力発揮方向に回転するに従って、より大きな制動力を働かせることができる。また、オリフィス溝91が種々の形状に形成された複数のスペーサ板9を準備しておけば、回転蓋等の可動側のトルク変化に合わせてロータリーダンパ1の制動特性を変更したい場合には、このスペーサ板9のみを交換するだけで対応が可能となる。
【0013】
なお、本実施の形態では、スペーサ板9の裏面9bにオリフィス溝91を設けているが、スペーサ板9を配設しない場合には、ケーシング2の底壁内面、又はガイド板62の裏面62bにオリフィス溝を形成してもよく、さらに、蓋部材6を蓋本体61のみから構成し、ガイド板62を配設しない場合には、蓋本体61の裏面にオリフィス溝を形成してもよい。
【0014】
回転軸3は、略円柱状に形成され、一端31が蓋部材6を構成する蓋本体61とガイド板62に形成された回転軸挿通孔61a,62a、及びスペーサ板9の略中央に形成された回転軸挿通孔9cに挿通され、他端32がケーシング2の底壁内面の略中央に形成された溝23に嵌入され、ケーシング2の軸方向中心に沿って配設されている。回転軸3の外周面には、図1及び図4に示すように、回転軸3において相対峙する位置にベーン部材4が突設されており、このベーン部材4は、回転軸3と一体に成形されている。
【0015】
ベーン部材4は、上記したように回転軸3の外周面に突設され、液体室22内に位置するように配設されている。このベーン部材4は、略四角形の平板状に形成され、軸方向に沿った長さが、回動した際に上端面4aがスペーサ板9の裏面9bに摺接し、下端面4bがケーシング2の底壁内面に摺接する程度の長さを有する。また、半径方向に沿った長さは、ケーシング2の内周面2aから回転軸3の外周面までの半径方向に沿った距離よりも短く形成されている。また、先端面4cには、側面略コ字状の切欠4dが形成されている。
【0016】
ベーンカバー5は、図1及び図5に示すように、軸方向の長さがベーン部材4とほぼ同じであると共に、円弧部52と半径部51とを有する平面略L字状に形成され、少なくともベーン部材4の先端面4cを被覆するように配設されている。具体的には、ベーンカバー5は、円弧部52が、ケーシング2の内周面2aとベーン部材4の先端面4cとの間に設けられ、半径部51が、該円弧部52の一方の側面から半径方向に沿って突出して形成されている。そして、常態においては、円弧部52がケーシング2の内周面2aに接しつつベーン部材4の先端面4cを被覆する一方、半径部51がその内面をベーン部材4の制動力発揮方向側の側面4eに密着させて配設されている。
【0017】
バネ部材7は、図1に示すように、上記したベーン部材4とベーンカバー5との間に配設されている。具体的には、平面視で略コ字状に形成された嵌合部7aがベーン部材4の先端面4cに形成された切欠4dにはめ込まれ、該嵌合部7aの上端付近及び下端付近における一方の角部から各々外方に延びる舌片7b,7bがベーンカバー5の円弧部52の端部に内面から刻設された各係合溝52a,52aに係合されている(図1、図5(b)及び図6参照)。これにより、バネ部材7は、そのバネ作用により、ベーン部材4の制動力発揮方向側の側面4eに沿って設けられたベーンカバー5の半径部51を、常に、ベーン部材4の制動力発揮方向側の側面4eに密着させる方向に付勢している。このため、常態においては、図1に示すように、ベーンカバー5の半径部51の内面が、ベーン部材4の制動力発揮方向側の側面4eに密着した状態となっている。他方、図7に示すように、回転軸3及びベーン部材4が非制動力発揮方向(図上、反時計回り方向)に回転した場合においては、バネ部材7の舌片7bが、液体室22内の粘性液体8の圧力により回転軸3等の回転方向とは逆方向(図上、時計回り方向)に変形する。これにより、ベーンカバー5の半径部51の内面が、ベーン部材4の制動力発揮方向側の側面4eから離間して、ベーン部材4の先端面4cに形成された切欠4dと、ベーンカバー5の半径部51の内面及びベーン部材4の制動力発揮方向側の側面4eとの間に形成される間隙とにより粘性液体8が通過可能な還流路が形成される。
【0018】
図1及び図7に基づき上記したロータリーダンパ1の作用を説明する。
ロータリーダンパ1は、回転軸3の一端31を制動対象となる回転蓋等の軸体(図示せず)に連結し、ケーシング2を所定の位置に固定して使用される。回転蓋等が閉成動作する場合には、その閉成動作に伴って、回転蓋等の軸体及びこれに連結された回転軸3とベーン部材4が制動力発揮方向(図上、時計回り方向)に回転する。この際、ベーンカバー5は、バネ部材7により、半径部51の内面がベーン部材4の制動力発揮方向側の側面4eに密着する方向に付勢されているため、回転軸3等が回転する当初から遊びなく液体室22内の粘性液体8を圧縮する。それにより、粘性液体8はスペーサ板9に設けられたオリフィス溝91のみを通じて流動し、その際に生じる抵抗により、ロータリーダンパ1は回転軸3等の回転当初から大きな制動力を発揮することができる。その結果、回転蓋等を持ち上げて僅かに開放動作させた後、閉成動作させた場合でも、その閉成動作の当初から回転蓋等に制動力を付与して、回転軸3に連結された回転蓋等の軸体をゆっくりと回動させ、回転蓋等の回転動作を遅動させることができる。なお、制動対象となる回転蓋等の重量などの要因により、ロータリーダンパ1の制動力が大きすぎたり、また、制動力を大きく変更したり、制動力が強くなり始める位置を変更したい場合もある。かかる場合には、蓋部材6を外し、スペーサ板9を他のスペーサ板と交換すれば対応することが可能となる。
【0019】
他方、回転蓋等が開放動作する場合には、その開放動作に伴って、回転蓋等の軸体及びこれに連結された回転軸3とベーン部材4が非制動力発揮方向(図上、反時計回り方向)に回転する。この際、バネ部材7の舌片7bが、液体室22内の粘性液体8の圧力により回転軸3等の回転方向とは逆方向(図上、時計回り方向)に変形して、これに伴いベーンカバー5の半径部51の内面が、ベーン部材4の制動力発揮方向側の側面4eから離間する。これにより、粘性液体8はオリフィス溝91のほか、ベーン部材4の先端面4cに形成された切欠4dと、ベーンカバー5の半径部51の内面及びベーン部材4の制動力発揮方向側の側面4eとの間に形成される間隙とを通じて流動するので、その際に生じる抵抗が小さい。そのため、ロータリーダンパ1が発揮する制動力も小さく、その結果、回転蓋等を、該回転蓋等の自重に相当する力程度で開放させることができる。
【0020】
次に、本発明の第二の実施の形態を説明する。図8は第二の実施の形態に係るロータリーダンパ1′を示す横断面図であり、このロータリーダンパ1′は、上記したロータリーダンパ1とほぼ同様に構成されるが、ベーンカバー5′及びバネ部材7′が、上記したロータリーダンパ1のベーンカバー5及びバネ部材7と異なる形状等を有して構成されている。
【0021】
ベーンカバー5′は、ベーン部材4′の両側面4f′,4e′に沿って内面が密着して設けられる半径部51a′,51b′を有する平面略U字状に形成され、軸方向の長さがベーン部材4′とほぼ同じで、少なくともベーン部材4′の先端面4c′を被覆するように配設されている。図9に示すように、ベーンカバー5′の、ベーン部材4′の一方の側面4f′に沿って設けられる半径部51a′の軸方向中央部には、該半径部51a′の形状が側面からみて略コ字状となるようにするための切欠53a′が形成されている。また、ベーン部材4′の他方の側面4e′に沿って設けられる半径部51b′の軸方向中央部には、所定の幅、長さにわたり、外面から内面に向かって刻設された凹部53b′を有しており、この結果、該半径部51b′の軸方向略中央部には、内面側に薄肉の壁部51d′が形成されている(図9(e)参照)。そして更に、薄肉の壁部51d′には、還流時に粘性液体8′が通過可能な液体通過孔54′が形成されている。
【0022】
バネ部材7′は、図10に示すように、基端部72′から突出する三つの片部71a′,71b′,71c′を有する形状に形成され、このうちの両側に形成される各片部71a′,71c′が中央に形成される平板状の片部71b′に対して、平面からみて略平行に位置するよう曲げ加工されて形成されている(図10(a)参照)。そして、平板状の片部71b′がベーンカバー5′の半径部51b′に形成された凹部53b′に位置し、液体通過孔54′を閉口するように配設され、両側の各片部71a′,71c′が半径部51b′において凹部53b′を挟んだ上下の肉部を縦方向に貫通する孔部55′内に位置するように配設されている。これにより、バネ部材7′は、そのバネ作用により、常に、平板状の片部71b′をベーンカバー5′の半径部51b′の薄肉の壁部51d′に密着させ、液体通過孔54′を閉口している。
【0023】
図8に基づきロータリーダンパ1′の作用を説明する。
ロータリーダンパ1′も上記したロータリーダンパ1と同様に回転軸3′の一端を制動対象となる回転蓋等の軸体(図示せず)に連結し、ケーシング2′を所定の位置に固定して使用される。回転蓋等が閉成動作する場合には、その閉成動作に伴って、回転蓋等の軸体及びこれに連結された回転軸3′とベーン部材4′が制動力発揮方向(図上、時計回り方向)に回転する。この際、ベーンカバー5′は、バネ部材7′の平板状の片部71b′により液体通過孔54′が閉口された状態でベーン部材4′を介してケーシング2′の内周面2a′に摺接しつつ回転して粘性液体8′を圧縮するため、該粘性液体8′がスペーサ板(図示せず)のオリフィス溝のみを通じて流動することになる。また、この場合に、ベーンカバー5′は、各半径部51a′,51b′の内面がベーン部材4′の両側面4f′,4e′に沿って密着しており、本実施の形態においても粘性液体8′を圧縮するにあたって遊びがないので、ロータリーダンパ1′は回転軸3′等の回転当初から大きな制動力を発揮することができる。
【0024】
他方、回転蓋等が開放動作する場合には、その開放動作に伴って、回転蓋等の軸体及びこれに連結された回転軸3′とベーン部材4′が非制動力発揮方向(図上、反時計回り方向)に回転する。この際、図11に示すように、バネ部材7′の平板状の片部71b′が、粘性液体8′がベーンカバー5′の一方の半径部51a′の切欠53a′、ベーン部材4′の切欠4d′、及びベーンカバー5′の他方の半径部51b′の液体通過孔54′を通じて流動する際の圧力により押されて、両側の片部71a′,71c′寄りに変形し、それにより、液体通過孔54′が開口される。その結果、粘性液体8′がオリフィス溝以外に、該液体通過孔54′を通じて、液体室22′内におけるベーン部材4′及びベーンカバー5′により仕切られた非制動力発揮方向側の室22a′から制動力発揮方向側の室22b′へと流動可能となるため、その際に生じる抵抗が小さくなり、従って、ロータリーダンパ1′が発揮する制動力も小さくなる。
【0025】
【発明の効果】
本発明の請求項1及び2に係るロータリーダンパは、ベーン部材とベーンカバーとの間に、常態においては、該ベーン部材の制動力発揮方向側の側面に沿って設けられる該ベーンカバーの半径部を、該ベーン部材の制動力発揮方向側の側面に密着させる方向に付勢して、該ベーンカバーの半径部を該ベーン部材の制動力発揮方向側の側面に密着させ、前記回転軸が非制動力発揮方向に回転する場合には、前記粘性液体の圧力により変形して、該ベーンカバーの半径部を該ベーン部材の制動力発揮方向側の側面から離間させるバネ部材が設けられている。これにより、回転蓋等を開放させる場合には、ベーン部材とベーンカバーとの間に粘性液体が通過可能な還流路が形成され、粘性液体がオリフィス溝のほか、この還流路をも通過するので、その際に生じる抵抗が小さくなり、その結果、回転蓋等を、該回転蓋等の自重に相当する力程度で開放させることができる。他方、回転蓋等を閉成させる場合には、当初からベーンカバーの半径部がベーン部材の制動力発揮方向側の側面に密着して前記還流路を遮断しているので、回転軸等の回転当初から大きな制動力を発揮することができる。その結果、回転蓋等を持ち上げて僅かに開放動作させた後、閉成動作させた場合でも、回転蓋等の閉成動作を遅動させることができる。
【0026】
また、請求項3及び4に係るロータリーダンパによっても上記と同様の効果を奏することができる。すなわち、このロータリーダンパは、ベーン部材の両側面に沿って内面が密着して設けられる半径部を有するベーンカバーの制動力発揮方向側の半径部に設けられ、常態においては、該ベーンカバーの液体通過孔を閉口させ、前記回転軸が非制動力発揮方向に回転する場合には、前記粘性液体の圧力により変形して、該ベーンカバーの液体通過孔を開口させるバネ部材が設けられている。これにより、回転蓋等を開放させる場合には、ベーンカバーの液体通過孔を開口させ、粘性液体がオリフィス溝以外に、該液体通過孔を通じて液体室内におけるベーン部材及びベーンカバーにより仕切られた非制動力発揮方向側の室から制動力発揮方向側の室へと流動可能となるため、その際に生じる抵抗が小さくなる。その結果、回転蓋等を、該回転蓋等の自重に相当する力程度で開放させることができる。他方、回転蓋等を閉成させる場合には、当初からベーンカバーがベーン部材に遊びなく設けられていると共に、バネ部材により前記液体通過孔が閉口されているので、回転軸等の回転当初から大きな制動力を発揮することができる。その結果、回転蓋等を持ち上げて僅かに開放動作させた後、閉成動作させた場合でも、回転蓋等の閉成動作を遅動させることができる。
【0027】
また、請求項5のように、蓋部材の内側に、裏面に粘性液体が通過する円弧状の液体流路を有する交換可能なスペーサ板を設ければ、制動力を変更したい場合には、該スペーサ板を、オリフィス溝が種々の形状に形成されている他のスペーサ板と交換することで対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一の実施の形態に係るロータリーダンパを示す横断面図である。
【図2】 同実施の形態に係るロータリーダンパを示す縦断面図である。
【図3】 同実施の形態で用いたスペーサ板を示す底面図である。
【図4】 同実施の形態で用いた回転軸及びベーン部材を示す右側面図である。
【図5】 同実施の形態で用いたベーンカバーを示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図6】 同実施の形態で用いたバネ部材を示す図であり、(a)は平面図、(b)は左側面図である。
【図7】 同実施の形態に係るロータリーダンパの回転軸が非制動力発揮方向に回転している状態を示す横断面図である。
【図8】 本発明の第二の実施の形態に係るロータリーダンパを示す横断面図である。
【図9】 同実施の形態で用いたベーンカバーを示す図であり、(a)は左側面図、(b)は平面図、(c)は右側面図、(d)は(c)のA−A断面図、(e)は(c)のB−B断面図、(f)は(c)のC−C断面図である。
【図10】 同実施の形態で用いたバネ部材を示す図であり、(a)は平面図、(b)は右側面図である。
【図11】 同実施の形態で用いたバネ部材の変形した状態を示す平面図である。
【図12】 従来のロータリーダンパを示す横断面図である。
【符号の説明】
1,1′ ロータリーダンパ
2,2′ ケーシング
21,21′ 隔壁部
22,22′ 液体室
3,3′ 回転軸
4,4′ ベーン部材
5,5′ ベーンカバー
6 蓋部材
7,7′ バネ部材
8,8′ 粘性液体
9 スペーサ板
91 オリフィス溝
Claims (5)
- 内周面から軸方向中心に向かって突出する隔壁部を備え、上端側が開口し、下端側が閉塞された略円筒状のケーシングと、
該ケーシングの軸方向中心に沿って配設される回転軸と、
該回転軸の外周面に突設され、前記ケーシング内に形成された粘性液体が充填される液体室内で該回転軸と共に回動すると共に、先端面に切欠を有するベーン部材と、
軸方向の長さが該ベーン部材とほぼ同じであると共に、円弧部と半径部とを有する平面略L字状に形成され、少なくとも該ベーン部材の先端面を被覆するベーンカバーと、
前記ケーシングの上面開口部を閉塞する蓋部材とを有し、
さらに、前記ベーン部材とベーンカバーとの間に設けられ、常態においては、該ベーン部材の制動力発揮方向側の側面に沿って設けられる該ベーンカバーの半径部を、該ベーン部材の制動力発揮方向側の側面に密着させる方向に付勢し、前記回転軸が非制動力発揮方向に回転する場合には、前記粘性液体の圧力により変形して、該ベーンカバーの半径部を該ベーン部材の制動力発揮方向側の側面から離間させるバネ部材が設けられていることを特徴とするロータリーダンパ。 - 請求項1記載のロータリーダンパであって、前記バネ部材が、前記ベーン部材の先端面に形成された切欠に嵌合可能な平面略コ字状の嵌合部と、該嵌合部の上端付近及び下端付近における一方の角部から各々外方に延びる舌片とを有することを特徴とするロータリーダンパ。
- 内周面から軸方向中心に向かって突出する隔壁部を備え、上端側が開口し、下端側が閉塞された略円筒状のケーシングと、
該ケーシングの軸方向中心に沿って配設される回転軸と、
該回転軸の外周面に突設され、前記ケーシング内に形成された粘性液体が充填される液体室内で該回転軸と共に回動すると共に、先端面に切欠を有するベーン部材と、
平面略U字状に形成され、該ベーン部材の両側面に沿って内面が密着して設けられる半径部を有すると共に、該各半径部のうちの制動力発揮方向側の半径部に該粘性液体が通過可能な還流用の液体通過孔を有し、軸方向の長さが該ベーン部材とほぼ同じで、少なくとも該ベーン部材の先端面を被覆するベーンカバーと、
前記ケーシングの上面開口部を閉塞する蓋部材とを有し、
さらに、前記ベーンカバーの制動力発揮方向側の半径部に設けられ、常態においては、該ベーンカバーの液体通過孔を閉口させ、前記回転軸が非制動力発揮方向に回転する場合には、前記粘性液体の圧力により変形して、該ベーンカバーの液体通過孔を開口させるバネ部材が設けられていることを特徴とするロータリーダンパ。 - 請求項3記載のロータリーダンパであって、前記バネ部材が、基端部から突出する三つの片部を有して形成され、このうちの両側に形成される各片部が中央に形成される平板状の片部に対して、平面からみて略平行に位置するよう曲げ加工されていることを特徴とするロータリーダンパ。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載のロータリーダンパであって、前記蓋部材の内側に、裏面に前記粘性液体が通過する円弧状のオリフィス溝を有する交換可能なスペーサ板が設けられていることを特徴とするロータリーダンパ。
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