JP4101929B2 - 車両用通信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯機を所持した使用者が車両に近付いただけでドアロックを解除するようにしたいわゆるキーレスエントリシステム等に適用される車両用通信装置に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
近年、自動車等において、使用者(運転者)が例えばカード形の携帯機を所持しているだけで、いわば自動で車両のドアのロック及びロック解除を行うようにしたキーレスエントリシステムが考えられている。このシステムでは、例えばアンテナコイルにより車両のドアの周囲部に磁界による信号(リクエスト信号)を出力し、携帯機は、受信可能な強度とされた磁界内に侵入してリクエスト信号を受信すると、電波によりIDコード信号を出力するようになっている。
【0003】
そして、車両側のコントローラは、携帯機からのIDコード信号を受信すると、登録されたIDコードと一致するかを照合し、ドアロック機構を制御するようになっている。これにより、携帯機を携帯した使用者が、ドアの近傍に近付くと、自動的にドアのロックが解除され、携帯機を携帯した使用者が、降車後ドアから離れると、自動的にドアがロックされるものである。
【0004】
ところで、この種のシステムにおいては、リクエスト信号を出力するためのアンテナコイルを、アウタミラー(ドアミラー)のハウジング内に設けることが考えられている。ところが、このアウタミラーは一般に可倒式となっていて、手動あるいは電動で使用状態と格納状態との間で位置変更されるのに対し、アンテナコイルは指向性を有するので、アウタミラーの状態(使用状態か格納状態か)によって、通信エリア(距離)が変化してしまう不具合の発生が予測される。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、アウタミラーのハウジング内にアンテナを設けるものにあって、アウタミラーの状態にかかわらずアンテナによる安定した通信エリアを確保することができる車両用通信装置を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の車両用通信装置は、携帯機との間での通信を行うためのアンテナを、アウタミラーのハウジング内に指向方向を異ならせて設けられた複数個のアンテナコイルから構成すると共に、通信するアンテナコイルの切替を可能とし、さらに、前記アウタミラーの使用あるいは格納の状態に応じて、前記複数個のアンテナコイルのうち、優先的に通信が行われる優先アンテナが設定されるように構成したところに特徴を有する。これによれば、複数個のアンテナコイルから異なる偏波面での通信が可能な、いわば角度ダイバーシチアンテナが構成されるようになり、通信するアンテナコイルを切替えることによって、通信可能なエリアが実質的に増えることになる。このとき、アウタミラーの状態が変動すると個々のアンテナコイルにおける指向方向が変動することになるが、それら各アンテナコイルを使い分けることによって、全体として通信エリアを変動させずに済ませることができる。このとき、アウタミラーの状態に応じて、通信しやすい方向の通信エリアを有したアンテナコイルを、優先的に通信が行われる優先アンテナとして自動的に設定することができるので、より速やかで効率的な通信を行うことができる。
【0007】
より具体的には、前記アウタミラーの格納状態を検出する格納検知スイッチの検出信号に基づいて、優先アンテナが設定されるように構成することができる(請求項2の発明)。
【0008】
ここで、一般的な車両の使用状況を考えると、駐車場等において車両に乗り込む際には、使用者が車両に対して前後方向から近付くことが多くなる事情がある。そこで、複数個のアンテナコイルのうち、車両の前後方向に指向性を有するアンテナコイルが優先アンテナとして設定されるようにすることもできる(請求項3の発明)。
【0009】
本発明の請求項4の車両用通信装置は、携帯機との間での通信を行うためのアンテナを、アウタミラーのハウジング内に指向方向を異ならせて設けられた複数個のアンテナコイルから構成すると共に、アウタミラーの使用あるいは格納の状態に応じて、車両に対して同等の通信エリアを確保するように、通信するアンテナコイルが切替えられる構成としたところに特徴を有する。これによれば、アウタミラーの状態が変動しても、安定した通信エリアを確保することができる。
【0010】
このとき、前記アウタミラーの格納状態を検出する格納検知スイッチの検出信号に基づいて、通信するアンテナコイルが切替えられるように構成することができる(請求項5の発明)。
【0011】
本発明の請求項6の車両用通信装置は、携帯機との間での通信を行うためにアウタミラーのハウジング内に設けられるアンテナを、アンテナコイルから構成すると共に、そのアンテナコイルの指向方向を変更する角度変更手段を備え、その角度変更手段を、アウタミラーの使用あるいは格納の状態に応じて、車両に対して同等の指向方向を確保するように、アンテナコイルの指向方向を変更するように構成したところに特徴を有する。これによれば、角度変更手段によりアンテナコイルの指向方向を変更することができるので、アウタミラーの状態が変動しても、常にアンテナコイルによる通信エリアを通信しやすい方向に自動的に設定することができる。
【0012】
また、前記アウタミラーが、ミラー格納用回転機構により回動変位される電動格納式ミラーである場合には、角度変更手段を、前記ミラー格納用回転機構に連動して動作する構成とすることができる(請求項7の発明)。これによれば、アウタミラーの動作に連動してアンテナコイルを動作させることができるようになり、アンテナコイルの指向方向ひいては通信エリアを一定に保つことができ、しかも駆動機構をアウタミラーの動作に係るものと兼用することができて別途の駆動機構が不要となる。
【0013】
本発明の請求項8の車両用通信装置は、携帯機との間での通信を行うためにアウタミラーのハウジング内に設けられるアンテナを、アンテナコイルから構成すると共に、そのアンテナコイルを、アウタミラーを車両のボデーに対して回動可能に取付けるための固定軸に、ハウジング内に位置して車両の前後方向に指向性を有するように取付け、アウタミラーの使用状態及び格納状態で、該コイルアンテナの指向方向が変わらないように構成したところに特徴を有する。これによれば、アンテナコイルの車両に対する位置は固定なので、アウタミラーの状態にかかわらず、アンテナコイルの指向方向ひいては通信エリアを常に一定に保つことができる。
【0014】
本発明の請求項9の車両用通信装置は、車両のボデーに対してほぼ垂直な軸を中心に回動可能に取付けられたアウタミラーのハウジング内に設けられ携帯機との間での通信を行うためのアンテナを、磁気通信信号を用いて該アウタミラーの近傍に通信エリアを形成するバーアンテナから構成すると共に、そのバーアンテナを垂直状態に設けたところに特徴を有する。これによれば、バーアンテナは水平方向に無指向性つまり通信エリアを周囲に均等に有する状態に設けられるので、アウタミラーの状態にかかわらず、通信エリアを常に一定に保つことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を車両のいわゆるキーレスエントリシステムに適用したいくつかの実施例について、図面を参照しながら説明する。
(1)第1の実施例
まず、本発明の第1の実施例(請求項1〜3に対応)について、図1ないし図5を参照して説明する。
【0016】
本実施例に係る車両用通信装置としてのキーレスエントリシステムは、車両側に設けられたコントローラ1(図3参照)と、使用者(車両の運転者)により携帯所持される携帯機2とを備えて構成される。図3は、このキーレスエントリシステムに係る電気的構成を概略的に示しており、まず、このシステム全体の概略について述べる。
【0017】
前記コントローラ1は、マイコンを含んでなる制御回路3を中心として構成され、この制御回路3には、送信ドライブ回路4を介して、アンテナとしての複数個のアンテナコイルが接続されている。本実施例では、第1のアンテナコイル5及び第2のアンテナコイル6の2個が設けられるようになっている。また、制御回路3には、高周波受信回路7を介して受信用アンテナ8が接続されている。さらに、制御回路3には、ドアロック機構9を駆動する駆動回路10が接続されていると共に、ステアリングロック機構11を駆動する駆動回路12が接続されている。
【0018】
詳しくは後述するように、前記アンテナコイル5及び6は、車両のアウタミラー(ドアミラー)のハウジング内に指向方向を異ならせて設けられるようになっている。そして、これらアンテナコイル5及び6は、制御回路3により送信ドライブ回路4を介して切替可能に制御され、アウタミラーの周囲部に対して磁気通信信号(リクエスト信号)を、間欠的に交互に出力するようになっている。尚、この磁気通信信号は、1回の信号が例えば数ms〜数十msの長さで間欠的に出力されるようになっており、例えば数十kHzから数十MHzの周波数とされている。
【0019】
また、前記受信用アンテナ8は、前記携帯機2から出力されたIDコードを含む制御信号を受信するようになっており、制御回路3は、その制御信号のIDコードを、予め記憶されたIDコードと照合すること等に基づいて、前記駆動回路10及び駆動回路12を夫々介して前記ドアロック機構9及びステアリングロック機構11を制御するようになっている。このとき、ステアリングロック機構11は、図示しないイグニッションスイッチと連動しており、ステアリングロックが解除されることに伴い、イグニッションスイッチが有効化される(操作が可能となる)ようになっている。
【0020】
これに対し、前記携帯機2は、図1,図2に示すように、例えば携帯容易なカード形に構成され、図3に示すように、受信回路13や高周波送信回路14、マイコンを含んでなる制御回路15等を組込んで構成されている。前記受信回路13は、アンテナコイル16にコンデンサ17を並列接続してなる共振回路として構成されており、前記アンテナコイル5,6から出力される磁気通信信号の通信エリア(受信可能範囲)内において、リクエスト信号を受信するようになっている。
【0021】
この受信回路13からのリクエスト受信信号は、整流回路18及びトランジスタ19を介して前記制御回路15に入力されるようになっている。そして、制御回路15は、リクエスト受信信号が入力されると、予め記憶された固有のIDコードを含む制御信号を、前記高周波送信回路14を介して送信用アンテナ20から電波信号として出力するようになっている。
【0022】
また、この携帯機2には、ドアロック機構9及びステアリングロック機構11を動作させるための2個の操作キー21,22が設けられており、前記制御回路15には、これら操作キー21,22の操作信号が入力回路23を介して入力されるようになっている。制御回路15は、これら操作キー21,22の信号に基づいても、前記送信用アンテナ20から制御信号を出力するようになっている。尚、携帯機2内には、電源となる図示しない電池が組込まれている。
【0023】
上記構成により、携帯機2(携帯機2の所持者)が、車両(アウタミラー)の近傍の磁気通信信号の受信可能範囲に侵入(または受信可能範囲に存在)すると、携帯機2(制御回路15)は、リクエスト信号を受けて送信用アンテナ20からIDコードを含む制御信号を出力する。そして、車両側のコントローラ1(制御回路3)は、携帯機2からの制御信号を受信用アンテナ8により受信すると、登録されたIDコードと照合し、一致した場合に、ドアロック機構9を制御してドアロックを解除すると共に、ステアリングロック機構11を制御してステアリングロックの解除を行う。さらに、携帯機2の所持者が、例えばエンジン停止後、降車してドアから離れると、自動的にドアロック及びステアリングロックがなされるようになっている。
【0024】
さて、図1及び図2は、車両の運転席側のボデー(ドアフレーム)24に設けられるアウタミラー(ドアミラー)25を示している。このアウタミラー25は、丸みを帯びたほぼ矩形箱状をなすハウジング25aの前面開口部に、ミラー本体25bを有すると共に、前記ハウジング25a内に、前記ミラー本体25bの角度を調節するための角度調節機構(図示せず)を備えて構成されている。本実施例では、このアウタミラー25は電動格納式ミラーとされている。
【0025】
即ち、このアウタミラー25(ハウジング25a)は、ボデー24に対して固定軸26を介してほぼ垂直な軸を中心に回動可能に取付けられていると共に、周知のミラー格納用回転機構(図示せず)により、ボデー24から側方に突出した使用状態(図1参照)と、その使用状態からボデー24に沿うようにほぼ90度手前側に倒された格納状態(図2参照)との間で回動変位されるようになっている。また、前記ミラー格納用回転機構は、アウタミラー25が格納状態となったことを検出する格納検知スイッチ27(図3参照)を備えてなり、このミラー格納スイッチ27の信号は、前記コントローラ1の制御回路3にも入力されるようになっている。
【0026】
そして、このアウタミラー25のハウジング25a内には、前記アンテナコイル5及び6が配設される。これらアンテナコイル5及び6は、共にコイル線を円形に巻回して成ると共に、絶縁樹脂によりモールドされて矩形板状に構成されている。このとき、第1のアンテナコイル5は、ハウジング25a内の中心部奥部に、ミラー面と平行となるように設けられており、第2のアンテナコイル6は、ハウジング25a内の先端部に、前記第1のアンテナコイル5とはほぼ90度の角度を存し、且つ磁界干渉を極力避けるべくある程度離間した位置に設けられている。
【0027】
しかして、アンテナコイル5,6は、指向性を有しており、軸方向の磁界強度が強く(通信エリアが広い)、それに比べて周方向の磁界強度が弱く(通信エリアが狭い)なっている。従って、図1に示すように、アウタミラー25の使用状態では、前後方向を向く第1のアンテナコイル5が、前後方向から近付く携帯機2(A)に対して有効(感度が良い)とされ、横方向を向く第2のアンテナコイル6が、側方から近付く携帯機2(B)に対して有効(感度が良い)とされるのである。
【0028】
そして、図2に示すように、アウタミラー25が格納状態とされても、今度は、第2のアンテナコイル6が前後方向を向き、第1のアンテナコイル5が左右方向を向く状態となるので、アウタミラー25の状態がどちらであっても、全体としてアンテナコイル5,6による通信エリアをほとんど変動させずに済ませることができるのである。
【0029】
ここで、一般的な車両の使用状況を考えると、駐車場等において車両に乗り込む際には、使用者が車両(アウタミラー25)に対して前後方向から近付くことが多くなる事情がある。前記コントローラ1の制御回路3は、上述のように、双方のアンテナコイル5及び6から磁気通信信号(リクエスト信号)を交互に出力するような制御を行うのであるが、本実施例では、優先的に通信が行われる優先アンテナを自動的に設定するようになっている。
【0030】
即ち、図4は、アウタミラー25が使用状態にあるときのアンテナコイル5,6の切替パターンを示しており、ここでは第1のアンテナコイル5が優先アンテナとされ、第1のアンテナコイル5からの2回の磁気通信信号の出力に対して、第2のアンテナコイル6から1回の磁気通信信号の出力を行うようになっている。そして、この優先アンテナは、アウタミラー25の状態に応じて切替えられ、図5に示すように、格納検知スイッチ27からアウタミラー25の格納信号が入力されたときには、今度は第2のアンテナコイル6が優先アンテナとされるのである。
【0031】
次に、上記構成の作用について述べる。上述のように、例えば駐車場に駐車された車両においては、アウタミラー25に内蔵されたアンテナコイル5,6から間欠的に磁気通信信号が出力されている。使用者が携帯機2を所持して、それらアンテナコイル5,6の通信エリア(受信可能範囲)内に侵入すると、携帯機2と車両側のコントローラ1との間で通信が行われる。そして、コントローラ1により、いわば自動的にドアロック機構9やステアリングロック機構11が制御され、使用者は、面倒なキー操作を行わずに、車両への出入り等を行うことができる。尚、携帯機2がリクエスト信号を受けて制御信号を送信したときには、磁界干渉を避けるため、アンテナコイル5,6からのリクエスト信号の出力が一時的に停止されるようになっている。
【0032】
このとき、使用者(携帯機2)が、車両(アウタミラー25)に対して前後方向から近付く場合と、側方から近付く場合とが考えられる。ここで、アウタミラー25が図1に示す使用状態にあるときには、使用者が前後方向から近付いたときには、第1のアンテナコイル5からの磁気通信信号を携帯機2が受信し、使用者が車両に対して側方から近付いたときには、第2のアンテナコイル6からの磁気通信信号を携帯機2が受信することにより、いずれの場合でも、感度の良い通信を行うことができるのである。また、本実施例では、この状態で第1のアンテナコイル5が優先アンテナとされるので、より頻度が高いと考えられる携帯機2が前後方向からの近付いた際において、効率的な通信が行われて速やかにドアロック機構9等が制御されるようになるのである。
【0033】
一方、使用者は、例えば前回の降車時にアウタミラー25を格納状態にしていることもあるが、アウタミラー25が図2に示す格納状態にあるときには、使用者が前後方向から近付いたときには、第2のアンテナコイル6からの磁気通信信号を携帯機2が受信し、使用者が車両に対して側方から近付いたときには、第1のアンテナコイル5からの磁気通信信号を携帯機2が受信することにより、いずれの場合でも、感度の良い通信を行うことができるのである。また、このようにアウタミラー25が格納状態にあるときには、格納検知スイッチ27の検知信号によって、第2のアンテナコイル6が優先アンテナとされ、やはり携帯機2が前後方向から近付いたときの通信が速やかで効率的に行われるのである。
【0034】
このように本実施例によれば、アウターミラー25のハウジング25a内に2個のアンテナコイル5,6を指向方向を異ならせて設けるようにしたので、通信可能なエリアを実質的に増やすことができる。そして、アウタミラーの状態が変動すると通信エリアが変動してしまう従来のものと異なり、アウタミラー25の使用状態か格納状態かにかかわらず、アンテナコイル5,6による通信エリアを同等とすることができ、安定した通信エリアを確保することができるという優れた効果を奏するものである。
【0035】
そして、特に本実施例では、より通信しやすい方向の通信エリアを有したアンテナコイル5,6を優先アンテナとして設定するようにしたので、より速やかで効率的な通信を行うことができる。さらに、特に本実施例では、格納検知スイッチ27の信号に基づいて、アウタミラー25の使用あるいは格納の状態に応じて優先アンテナを自動的に切替えるようにしたので、より一層使いやすいものとすることができる。
【0036】
(2)第2,第3の実施例
図6は、本発明の第2の実施例(請求項4に対応)を示している。この実施例が上記第1の実施例と異なるところは、2個のアンテナコイル5,6から磁気通信信号(リクエスト信号)を交互に出力するのではなく、いずれか一方のアンテナコイル5,6により通信(磁気通信信号の出力)を行うと共に、格納検知スイッチ27の検知信号に基づいて、使用するアンテナコイル5,6を完全に切替えるようにした点にある。
【0037】
即ち、上述のように、使用者が車両に乗り込む際にはアウタミラー25に対して前後方向から近付くことが多くなるので、前後方向の通信エリアを大きくすべく、アウタミラー25が使用状態にあるときには、第1のアンテナコイル5を有効とし、アウタミラー25が格納状態にあるときには、第2のアンテナコイル6を有効とするものである。かかる構成によれば、アウタミラー25の状態に応じて、通信しやすい方向の通信エリアを有したアンテナコイル5,6を用いて通信を行うことができ、安定した通信エリアを確保することができるものである。
【0038】
図7は、本発明の第3の実施例を示している。この実施例では、アウタミラー25が使用状態,格納状態のいずれにあるかにかかわらず、2個のアンテナコイル5,6から交互に磁気通信信号(リクエスト信号)を出力するようにしている。これによれば、2個のアンテナコイル5,6により、通信可能なエリアを実質的に増やすことができ、アウタミラー25の使用状態か格納状態かにかかわらず、アンテナコイル5,6による通信エリアを同等とすることができ、安定した通信エリアを確保することができるものである。また、この場合、格納検知スイッチ27等は不要となり、使用者が手動でアウタミラー25の状態を切替えるタイプのものにも適用することができる。
【0039】
尚、上記第1〜第3の実施例では、2個のアンテナコイル5,6を設けるようにしたが、3個以上のアンテナコイルを指向方向を互いに異ならせて設けるようにしても良く、また、上記第1の実施例のように優先アンテナを設定する場合、優先アンテナ設定スイッチを設けて使用者による手動設定が可能な構成としても良い。
【0040】
(3)第4の実施例
次に、本発明の第4の実施例(請求項6に対応)について、図8及び図9を参照しながら説明する。尚、以下に述べる実施例においても、キーレスエントリシステムの基本的構成等については、上記第1の実施例と共通するので、上記第1の実施例と共通する部分については、新たな図示及び詳しい説明を省略すると共に符号を共通して使用し、以下、異なる点について述べる。
【0041】
この実施例においては、アウタミラー25のハウジング25a内には、1個のアンテナコイル31が設けられる。このアンテナコイル31は、コイル線を円形に巻回して成ると共に、絶縁樹脂によりモールドされて矩形板状に構成されており、ハウジング25a内において、ほぼ垂直方向に延びる軸を中心に回動可能(指向方向の変更可能)に設けられている。
【0042】
そして、アウタミラー25のハウジング25a内には、角度変更手段たる回転機構32が設けられる。この回転機構32は、モータ33とこのモータ33の回転力を前記アンテナコイル31に伝達するギア機構34とからなり、前記モータ33の駆動により、アウタミラー25に対してアンテナコイル31を回転させてその指向方向を変更するように構成されている。図示はしないが、前記モータ33は、前記コントローラ1(制御回路3)により駆動機構を介して制御されるようになっている。
【0043】
本実施例では、コントローラ1は、アウタミラー25の格納検知スイッチ27の検知信号に基づいて回転機構32(モータ33)を制御するようになっており、このとき、格納検知スイッチ27がオフつまりアウタミラー25が使用状態のときには、図8に示すように、アンテナコイル31をミラー本体25bの面にほぼ平行つまり車体の前後方向を向く位置にて停止させるようになっている。これに対し、格納検知スイッチ27がオンつまりアウタミラー25が図8で矢印C方向に回動されて格納状態とされたときには、アンテナコイル31をそれとは反対方向(図8で矢印D方向)に約90度回転させ、図9に示すように、やはり車体の前後方向を向く位置にて停止させるようになっている。
【0044】
かかる構成によれば、アウタミラー25が使用状態と格納状態との間で位置変更されても、アンテナコイル31は常に前後方向を向いて通信しやすい状態とされ通信エリアが変動されることはないので、アウタミラー25の状態にかかわらずアンテナコイル31による安定した通信エリアを確保することができるものである。また、アウタミラー25内には1個のアンテナコイル31を設けるだけなので、複数設ける場合に比べて構成が簡単で、省スペース化やコスト安を図ることができると共に、アンテナ同士の磁界干渉などの問題が生ずることもない。
【0045】
(4)第5の実施例
図10は、本発明の第5の実施例(請求項7に対応)を示している。電動格納式ミラーからなるアウタミラー25のハウジング25a内に、1個のアンテナコイル41が、ほぼ垂直方向に延びる回転軸42を介して回動可能(指向方向の変更可能)に設けられている。また、ハウジング25a内には、ミラー格納用回転機構43が設けられている。このミラー格納用回転機構43は、車内に設けられた図示しないスイッチが操作されることにより動作される。
【0046】
このミラー格納用回転機構43は、アウタミラー25をボデー24に取付けている固定軸26に、アウタミラー25の回動中心に位置して、固定ギア44を固定的(非回転状態)に取付けると共に、図でその右側に位置して、ハウジング25a側に固定されたモータ45の出力軸45aに取付けられた駆動ギア46を、前記固定ギア44に噛合うように設けて構成されている。これにて、駆動ギア46がモータ45により回転されると、駆動ギア46ひいてはモータ45が固定ギア44回りを約90度旋回し、もってアウタミラー25が使用状態と格納状態との間で回動されるのである。
【0047】
そしてこのとき、本実施例では、前記駆動ギア46の図で右側に位置して、前記回転軸42に設けられた従動ギア47が、前記固定ギア44との噛合い位置と180度反対の位置にて噛合っており、以て、ミラー格納用回転機構43に連動して動作する角度変更手段が構成されている。この場合、固定ギア44の軸心(アウタミラー25の回動中心)、モータ45の出力軸45a、回転軸42が一直線(図で横方向)に並んだ状態とされ、また、前記固定ギア44、駆動ギア46及び従動ギア47は、全て同一の歯数とされている。
【0048】
これにより、アウタミラー25の使用状態では、図示のように、前記アンテナコイル41は、回転軸42に対して前後方向を向くように取付けられている。そして、この状態から上記のようにアウタミラー25が格納状態へ回動されると、従動ギア47は、駆動ギア46に対して回転しながら旋回し、アンテナコイル41の指向方向を保ったままで、約90度旋回するのである。従って、このアウタミラー25の格納状態でも、やはりアンテナコイル41が前後方向を向くことになるのである。アウタミラー25が格納状態から使用状態に回動する際には、それと逆の動作が行われ、やはりアンテナコイル41の指向方向はそのままとされるのである。
【0049】
このように本実施例によれば、上記第4の実施例と同様に、アウタミラー25が使用状態と格納状態との間で位置変更されても、アンテナコイル41は常に前後方向を向いて通信しやすい状態とされ通信エリアが変動されることはないので、アウタミラー25の状態にかかわらずアンテナコイル41による安定した通信エリアを確保することができる。そして、これに加えて、アンテナコイル41の駆動機構を、アウタミラー25を回動させるミラー格納余暇移転機構43と一部兼用することができ、別途の駆動源(モータ)が不要になる等、構成の簡単化を図ることができるものである。
【0050】
(5)第6の実施例
図11及び図12は、本発明の第6の実施例(請求項8に対応)を示している。この実施例では、アウタミラー25のハウジング25a内に設けられる1個のアンテナコイル51を、固定軸26の先端部に前後方向を向くように取付けるようにしている。
【0051】
これによれば、アウタミラー25が使用位置にあるときも(図11参照)、格納位置にあるときも(図12参照)、アンテナコイル51の車両に対する位置は固定なので、アウタミラー25の状態にかかわらず、アンテナコイル51の指向方向ひいては通信エリアを常に一定に保つことができる。また、駆動機構などが不要なので、極めて簡単な構成で済ませることができる。さらには、使用者が手動でアウタミラー25の状態を切替えるタイプのものにも適用することができるものである。
【0052】
(6)第7の実施例
最後に、図13及び図14は、本発明の第7の実施例(請求項9に対応)を示している。この実施例では、アウタミラー25内に設けられるアンテナとして、上記各実施例のようにアンテナコイルを用いたものに代えて、フェライトバーアンテナ61を採用するようにしている。そして、このフェライトバーアンテナ61をほぼ垂直状態に設けるようにしている。
【0053】
これによれば、フェライトバーアンテナ61は水平方向に無指向性つまり通信エリアを周囲に均等に有する状態に設けられるので、アウタミラー25の状態にかかわらず、通信エリアを常に一定に保つことができる。また。簡単な構成で済ませることができると共に、フェライトバーアンテナ61はアウタミラー25内の比較的狭い部分にも配設することが可能であるといった利点も得られる。使用者が手動でアウタミラー25の状態を切替えるタイプのものにも適用できることは勿論である。
【0054】
その他、本発明は上記した各実施例に限定されるものではなく、例えばアンテナコイルの向きについては前後方向に限らず、最も通信しやすい方向を指向するように構成すれば良く、また、コントローラ1や携帯機2の構成としても種々の変更が可能である等、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【0055】
【発明の効果】
以上の説明にて明らかなように、本発明の車両用通信装置によれば、アウタミラーのハウジング内にアンテナを設けるものにあって、アウタミラーの状態にかかわらず、通信エリアを一定に保つことができ、アンテナによる安定した通信エリアを確保することができるという優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示すもので、アウタミラーが使用状態にあるときのアンテナコイルを透視して示す斜視図
【図2】アウタミラーが格納状態にあるときの様子を示す斜視図
【図3】キーレスエントリシステムの電気的構成を概略的に示す図
【図4】磁気通信信号の出力のパターンを示す図
【図5】優先アンテナが切替わる様子を示す図4相当図
【図6】本発明の第2の実施例を示す図5相当図
【図7】本発明の第3の実施例を示す図4相当図
【図8】本発明の第4の実施例を示すもので、アウタミラーが使用状態にあるときのアンテナコイル及び回転機構を透視して示す斜視図
【図9】アウタミラーが格納状態にあるときの様子を示す斜視図
【図10】本発明の第5の実施例を示すもので、アウタミラーが使用状態にあるときのアンテナコイル及びミラー格納用回転機構を透視して示す斜視図
【図11】本発明の第6の実施例を示すもので、アウタミラーが使用状態にあるときのアンテナコイルを透視して示す斜視図
【図12】アウタミラーが格納状態にあるときの様子を示す斜視図
【図13】本発明の第7の実施例を示すもので、アウタミラーが使用状態にあるときのフェライトバーアンテナを透視して示す斜視図
【図14】アウタミラーが格納状態にあるときの様子を示す斜視図
【符号の説明】
図面中、1はコントローラ、2は携帯機、3は制御回路、5,6,31,41,51はアンテナコイル、9はドアロック機構、11はステアリングロック機構、24はボデー、25はアウタミラー、25aはハウジング、26は固定軸、27は格納検知スイッチ、32は回転機構(角度変更手段)、43はミラー格納用回転機構、61はフェライトバーアンテナを示す。
Claims (9)
- 使用状態と格納状態との間で位置変更される車両のアウタミラーのハウジング内に、携帯機との間での通信を行うためのアンテナを設けるようにした車両用通信装置であって、
前記アンテナを、前記ハウジング内に指向方向を異ならせて設けられた複数個のアンテナコイルから構成すると共に、通信するアンテナコイルの切替を可能とし、
前記アウタミラーの使用あるいは格納の状態に応じて、前記複数個のアンテナコイルのうち、優先的に通信が行われる優先アンテナが設定されるように構成されていることを特徴とする車両用通信装置。 - 前記アウタミラーの格納状態を検出する格納検知スイッチの検出信号に基づいて、優先アンテナが設定されることを特徴とする請求項1記載の車両用通信装置。
- 前記複数個のアンテナコイルのうち、車両の前後方向に指向性を有するアンテナコイルが優先アンテナとして設定されることを特徴とする請求項1又は2記載の車両用通信装置。
- 使用状態と格納状態との間で位置変更される車両のアウタミラーのハウジング内に、携帯機との間での通信を行うためのアンテナを設けるようにした車両用通信装置であって、
前記アンテナを、前記ハウジング内に指向方向を異ならせて設けられた複数個のアンテナコイルから構成すると共に、
前記アウタミラーの使用あるいは格納の状態に応じて、車両に対して同等の通信エリアを確保するように、通信するアンテナコイルが切替えられることを特徴とする車両用通信装置。 - 前記アウタミラーの格納状態を検出する格納検知スイッチの検出信号に基づいて、通信するアンテナコイルが切替えられることを特徴とする請求項4記載の車両用通信装置。
- 使用状態と格納状態との間で位置変更される車両のアウタミラーのハウジング内に、携帯機との間での通信を行うためのアンテナを設けるようにした車両用通信装置であって、
前記アンテナを、アンテナコイルから構成すると共に、そのアンテナコイルの指向方向を変更する角度変更手段を備え、
前記角度変更手段は、前記アウタミラーの使用あるいは格納の状態に応じて、車両に対して同等の指向方向を確保するように、前記アンテナコイルの指向方向を変更することを特徴とする車両用通信装置。 - 前記アウタミラーは、ミラー格納用回転機構により回動変位される電動格納式ミラーからなり、前記角度変更手段は、前記ミラー格納用回転機構に連動して動作することを特徴とする請求項6記載の車両用通信装置。
- 車両のボデーに対して固定軸を介して回動可能に取付けられ、使用状態と格納状態との間で位置変更されるアウタミラーのハウジング内に、携帯機との間での通信を行うためのアンテナを設けるようにした車両用通信装置であって、
前記アンテナを、アンテナコイルから構成すると共に、そのアンテナコイルを、前記アウタミラーの固定軸に前記ハウジング内に位置して車両の前後方向に指向性を有するように取付け、
前記アウタミラーの使用状態及び格納状態で、該コイルアンテナの指向方向が変わらないように構成したことを特徴とする車両用通信装置。 - 車両のボデーに対して固定軸を介してほぼ垂直な軸を中心に回動可能に取付けられ、使用状態と格納状態との間で位置変更される車両のアウタミラーのハウジング内に、携帯機との間での通信を行うためのアンテナを設け、
前記アンテナを、磁気通信信号を用いて該アウタミラーの近傍に通信エリアを形成するバーアンテナから構成すると共に、そのバーアンテナを垂直状態に設けたことを特徴とする車両用通信装置。
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