JP4101387B2 - 柔軟仕上げ剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は柔軟仕上げ剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
繊維用柔軟仕上げ剤として市販されている商品はほとんどが、ジ(長鎖アルキル)ジメチルアンモニウムクロライドに代表される1分子中に2つの長鎖アルキル基を有する第4級アンモニウム塩を含む組成物である。
しかし、上記第4級アンモニウム塩は、処理後の残存物が河川等の自然界に放出された場合、ほとんどが生分解されずに蓄積されるという問題点がある。
【0003】
このような問題点の改良品としてN−メチル−N,N−ビス(長鎖アルカノイルオキシエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムメチルサルフェートや、N,N−ジメチル−N,N−ビス(アルカノイルオキシエチル)アンモニウムクロライド等が上市されているが、これらは、上記第4級アンモニウム塩に比べ、生分解性は改善されているものの、柔軟性が充分満足できる基剤とは言えない。
従って、本発明の課題は、柔軟性に優れ、かつ、生分解性の良好な柔軟基剤を含有する柔軟仕上げ剤組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(A) 炭素数5〜36のアルキル基又はアルケニル基を少なくとも1つ有し、アミド結合を有するノニオン性化合物
(B) 炭素数5〜36のアルキル基もしくはアルケニル基、又はアリール基もしくは置換アリール基を1つ有するカチオン界面活性剤又は両性界面活性剤
を含有する柔軟仕上げ剤組成物、及びこの柔軟仕上げ剤組成物をシート状担体に含浸させてなる乾燥機用シート状柔軟剤を提供する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の(A) 成分は、一般式(I)、(II)又は(III) で表されるノニオン性化合物(以下、それぞれノニオン性化合物(I)、(II)、(III) という)又はそれらの混合物が好ましく、ノニオン性化合物(I)及び(II)が更に好ましい。
【0006】
【化6】
【0007】
(式中、R1は炭素数5〜35の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を、R2は水素原子又は-COR1 を、R3は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基、-(AO)mR2、又は-A-NHCOR1 を、A はエチレン基又はプロピレン基を、n及びmは1〜10の数を示す。)
【0008】
【化7】
【0009】
(式中、R1及びR2は上記の意味を示し、R4は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基を、B は炭素数3〜6のアミノポリオールからアミノ基とヒドロキシル基を除いた基を示し、qは2〜5の整数を示す。尚、q個のR2は同一でも異なっても良い。)
【0010】
【化8】
【0011】
(式中、R1及びR4は上記の意味を示し、R5は炭素数1〜36の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基又はヒドロキシアルケニル基を示す。)
ノニオン性化合物(I)は、例えばジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等の第2級アミノアルコール、アミノエチルエタノールアミン等のジアミノアルコール、エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン等のアミノアルコールを脂肪酸もしくはその低級アルキルエステルでアミド化し、場合によってはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加し、さらにエステル化して合成される。この際、アミド化とエステル化を同時に行っても良い。合計のアシル化度は1〜2.5 が好ましく、 1.5〜2.3 が更に好ましい。ここで用いる脂肪酸もしくはその低級アルキルエステルのアシル基部分の炭素数は6〜36であり、8〜18が更に好ましく、例えばヤシ脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸、パームステアリン酸、硬化パームステアリン酸もしくはそれらの低級アルキルエステルが特に好ましい。またヤシ油、牛脂、硬化牛脂、パームステアリン、硬化パームステアリン等の油脂を用いても良い。
【0012】
ノニオン性化合物(I)は、下記一般式(Ia)、(Ib)、(Ic)又は(Id)で表される化合物もしくはそれらの混合物が好ましい。
【0013】
【化9】
【0014】
(式中、R1及びn は前記の意味を示す。)
ノニオン性化合物(II)は、例えばアミノプロパンジオール、N−メチルグルカミン等のアミノポリオールを脂肪酸もしくはその低級アルキルエステルでアミド化し、さらにエステル化して合成される。合計のアシル化度は1〜2.5 が好ましく、1.5 〜2.3 が更に好ましい。用いる脂肪酸もしくはその低級アルキルエステルは上記のものが好ましい。
【0015】
ノニオン性化合物(II)は、下記一般式(IIa)又は(IIb)で表される化合物もしくはそれらの混合物が好ましい。
【0016】
【化10】
【0017】
(式中、R1は前記の意味を示す。)
ノニオン性化合物(III) は、例えば長鎖脂肪酸を長鎖アミンでアミド化して合成される。長鎖アミンの炭素数は6〜36が好ましく、8〜18が更に好ましい。長鎖アミンは、例えばヤシアミン、牛脂アミン、硬化牛脂アミン、パームステアリルアミン、硬化パームステアリルアミンが特に好ましい。用いる脂肪酸もしくはその低級アルキルエステルは上記のものが好ましい。
【0018】
本発明の(B) 成分は、一般式(IV)で表されるカチオン界面活性剤(以下、カチオン界面活性剤(IV)という)又は一般式(V)で表される両性界面活性剤(以下、両性界面活性剤(V)という)が好ましい。
【0019】
【化11】
【0020】
(式中、R6は炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を、R7は炭素数5〜36の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、又は-(CpH2p)-Y-COR8 もしくは-(CpH2p)-CO-Y-R9 を示し、pは1〜6の整数を、Y はO又はNHを、R8は炭素数5〜35の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基、又はアリール基もしくは置換アリール基を、R9は炭素数6〜36の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基、又はアリール基もしくは置換アリール基を、 X- は陰イオンを示す。尚、3個のR6は同一でも異なっても良い。)
【0021】
【化12】
【0022】
(式中、R6及びR7は上記の意味を示し、E は-R10-Z又はO を示し、R10 は炭素数1〜6のアルキレン基又はヒドロキシアルキレン基を、Z は-COO、-OSO3 、-SO3、-OPO3 又は-PO3を示す。)
カチオン界面活性剤(IV)としては、長鎖アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、長鎖アルキル(2−ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムクロライド、長鎖アルキルジ(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。長鎖アルキル基の炭素数は5〜36であり、8〜18が好ましい。またヤシアルキル、牛脂アルキル等も好ましい。
【0023】
また長鎖アルキル基がエステル結合、アミド結合で中断されたものも好ましく、長鎖アルカノイルオキシエチル基、長鎖アルカノイルアミノプロピル基、長鎖アルコキシカルボニルメチル基、長鎖アルキルアミノカルボニルメチル基等が特に好ましい。長鎖アルキル基もしくはアシル基は、炭素数5〜36であり、炭素数8〜18のものが好ましい。またヤシ油、牛脂、パームステアリン等から誘導されたものも好ましい。
【0024】
両性界面活性剤(V)としては、長鎖アルキルジメチルベタイン、スルホベタイン、ホスホベタイン、長鎖アルキルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。長鎖アルキル基はカチオン界面活性剤(IV)の長鎖アルキル基で好ましいものが同様に好ましい。
【0025】
本発明の組成物中の(A) 成分と(B) 成分の配合割合は、重量比で1/9〜9/1が好ましく、5/5〜8/2が更に好ましい。
これらは、合計で3〜50重量%の濃度で水に分散させることにより液体柔軟仕上げ剤とすることができる。この場合、あらかじめ(A) 成分と(B) 成分を混合してから水に投入しても良いし、順次投入しても良い。また、別々に水に分散し、それを混合しても良い。
【0026】
また、更に柔軟性能を向上させるために、高級アルコール、高級脂肪酸を、保存安定剤として、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、グリコール、ポリオール、さらにはそれらのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド付加物、更には通常のノニオン界面活性剤、無機塩、pH調整剤、ハイドロトロープ剤、香料、消泡剤、顔料等を必要に応じて添加することができる。
【0027】
また、これらをシート状担体に含浸させることにより乾燥機用シート状柔軟剤とすることができる。ここで用いられるシート状担体としては、不織布等が挙げられる。
上記(A) 成分及び(B) 成分の含浸量は、シート状担体に対して合計で1〜50重量%が好ましい。
【0028】
【実施例】
実施例1−1〜1−6
(A) 成分としてジエタノールアミンと硬化牛脂脂肪酸の1:2(モル比)反応物(A−1)を、(B) 成分のカチオン界面活性剤としてオクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド(B−1)、更に(A) 成分以外のノニオン性化合物としてドデシルアルコールのエチレンオキサイド20モル付加物(N−1)を用い、表1に示した配合量で水に分散し、各種柔軟仕上げ剤組成物を調製した。この組成物について下記の方法で柔軟性評価を行った。結果を表2に示す。
【0029】
<柔軟性の評価方法>
▲1▼ (A) 成分、(B) 成分及びその他の成分の混合物を融解し、撹拌しながら水中に滴下し、表1に示した濃度になるように分散液を調製した。また比較対照試料としてN−メチル−N,N−ビス(牛脂アルカノイルオキシエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムメチルサルフェートについても同様に分散液を調製した。
【0030】
▲2▼ 処理方法
市販の木綿タオル2kg、又はアクリルジャージ2kgを、30リットル洗濯機を用い、 3.5°DH硬水にて市販洗剤アタック(花王株式会社製、登録商標)で5回繰り返し洗濯した後、上記分散液を25ml投入し、25℃、1分間撹拌下で処理した。
【0031】
▲3▼ 柔軟性評価方法
上記方法で処理した布を室温で風乾後、25℃、65%RHの恒温、恒湿室にて 24時間放置した。これらの布について柔軟性の評価を行った。評価はN−メチル−N,N−ビス(牛脂アルカノイルオキシエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムメチルサルフェートで処理した布を対照にして一対比較を行った。評価は次の基準で表す。
【0032】
+2;対照より柔らかい
+1;対照よりやや柔らかい
0;対照と柔らかさが同等
−1;対照よりややかたい
−2;対照よりかたい
実施例2〜14
実施例1と同様に表1に記載の(A) 成分及び(B) 成分を表1に示した配合量で水に分散し、実施例1と同様に柔軟性評価を行った。結果を表2に示す。
【0033】
比較例1〜6
表1に示すように、(A) 成分と(A) 成分以外のノニオン性化合物の混合物、あるいは(B) 成分のみを水に分散し、実施例1と同様に柔軟性評価を行った。結果を表2に示す。
【0034】
比較例7、8
表1に示すように、(B) 成分と、アミド結合を含まないノニオン性化合物(C−1、 C−2)を用いて、実施例1と同様に柔軟性評価を行った。結果を表2に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
表1中の略号の説明
A−1:ジエタノールアミンと硬化牛脂脂肪酸の1:2(モル比)反応物
A−2:RCONH(CH2CH2O)nCOR (RCOは硬化牛脂由来のアシル基、nは平均5)
A−3:1−アミノ−2,3−プロパンジオールと牛脂脂肪酸メチルエステルの1:1.8(モル比)反応物
A−4:N−メチルグルカミンと硬化牛脂脂肪酸メチルエステルの1:2.3(モル比)反応物
A−5:ジエタノールアミンと硬化牛脂脂肪酸の1:1.2(モル比)反応物
A−6:N−メチルエタノールアミンと硬化牛脂脂肪酸の1:2(モル比)反応物
A−7:ジイソプロパノールアミンと硬化牛脂脂肪酸の1:2(モル比)反応物
B−1:オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド
B−2:(2−硬化牛脂アルカノイルオキシエチル)トリメチルアンモニウムクロライド
B−3:(3−ヤシアルカノイルアミノプロピル)トリメチルアンモニウムクロライド
B−4:オクタデシルオキシカルボニルメチルトリメチルアンモニウムクロライド
B−5:オクタデシルジメチルベタイン
B−6:ドデシルジメチルアミンオキサイド
C−1:グリセリンと硬化牛脂脂肪酸の1:2(モル比)反応物
C−2:ペンタエリスリトールと硬化牛脂脂肪酸の1:2(モル比)反応物
N−1:ドデシルアルコールのエチレンオキサイド20モル付加物
【0037】
【表2】
【0038】
【発明の効果】
本発明の柔軟仕上げ剤組成物は、生分解性の良好な基剤を含有し、かつ優れた柔軟性を有するものである。
Claims (5)
- (A) 炭素数5〜36のアルキル基又はアルケニル基を少なくとも1つ有し、アミド結合を有するノニオン性化合物
(B) 炭素数5〜36のアルキル基もしくはアルケニル基、又はアリール基もしくは置換アリール基を1つ有するカチオン界面活性剤又は両性界面活性剤
を含有し、 (A) 成分と (B) 成分の重量比が4/6〜9/1である柔軟仕上げ剤組成物。 - (A) 成分と(B) 成分の重量比が5/5〜8/2である請求項1記載の柔軟仕上げ剤組成物。
- (A) 成分が一般式(I)、(II)又は(III) で表されるノニオン性化合物又はそれらの混合物である請求項1又は2記載の柔軟仕上げ剤組成物。
- (B) 成分が一般式(IV)で表されるカチオン界面活性剤又は一般式(V)で表される両性界面活性剤又はそれらの混合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の柔軟仕上げ剤組成物。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の柔軟仕上げ剤組成物をシート状担体に含浸させてなる乾燥機用シート状柔軟剤。
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