JP3827864B2 - 柔軟仕上げ剤組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は柔軟仕上げ剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
繊維用柔軟仕上げ剤として市販されている商品はほとんどが、ジ(長鎖アルキル)ジメチルアンモニウムクロライドに代表される1分子中に2つの長鎖アルキル基を有する第4級アンモニウム塩を含む組成物である。
しかしながら、上記第4級アンモニウム塩は、処理後の残存物が河川などの自然界に放出された場合、ほとんどが生分解されずに蓄積されるという問題点がある。
【0003】
このような問題点の改良品としてN−メチル−N,N−ビス(長鎖アルカノイルオキシエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムメチルサルフェートや、N,N−ジメチル−N,N−ビス(アルカノイルオキシエチル)アンモニウムクロライドなどが上市されているが、これらは、上記第4級アンモニウム塩に比べ、生分解性は改善されているものの、柔軟性が十分満足できる基剤とは言えない。
【0004】
従って、本発明の課題は、柔軟性に優れ、かつ、生分解性の良好な柔軟基剤として適した柔軟仕上げ剤組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ジ長鎖アルキル第4級アンモニウム塩よりはるかに生分解性に優れる特定のノニオン化合物と長鎖アルキル又はアルケニル基を有するアミノ化合物又はその塩を組み合わせることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、次の(A) 成分及び(B) 成分を含有する柔軟仕上げ剤組成物を提供するものである。
(A) 炭素数5〜36のアルキル基又はアルケニル基を少なくとも1つ有し、エステル結合を少なくとも1つ有するノニオン性化合物
(B) エステル結合基、アミド結合基又はエーテル結合基が挿入されていてもよい炭素数5〜36のアルキル基又はアルケニル基を少なくとも1つ有するアミノ化合物又はその塩
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に使用される(A) 成分は、ポリオールのアルキレンオキサイド付加物のエステル化物、又はポリオールのエステル化物のアルキレンオキサイド付加物が好ましい。ポリオールとしては、エチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、ソルビタン等が挙げられる。アルキレンオキサイドは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドが好ましく、アルキレンオキサイド平均付加モル数は1〜30モルが好ましく、1〜15モルが更に好ましい。エステル化に用いられる脂肪酸の炭素数は6〜36が好ましく、8〜22が更に好ましく、ヤシ脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸、パームステアリン酸及び硬化パームステアリン酸が特に好ましい。またこれらの脂肪酸のほか、その低級アルキルエステル、又はヤシ油、牛脂、硬化牛脂、パームステアリン、硬化パームステアリン等の油脂を用いても良い。これらの脂肪酸又はその誘導体は、ポリオール又はそのアルキレンオキサイド付加物1モルに対して1〜3モル反応させるのが好ましい。得られる生成物はポリオールによっては、長鎖アルキル基又はアルケニル基を2つ有するノニオン性化合物以外に長鎖アルキル基又はアルケニル基を1つ有するもの、あるいは3つ以上有するものを含有するが、そのまま用いても差し支えない。
【0008】
本発明の(B) 成分は、一般式(I)又は(II)で表されるアミノ化合物又はその塩、あるいはそれらの混合物が好ましい。
【0009】
【化3】
Figure 0003827864
【0010】
(式中、R1及びR2は同一もしくは異なって、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基あるいはアミノアルキル基、又は-(AO)nH を示し、A はエチレン基もしくはプロピレン基を示し、nは1〜10の数を示し、R3はエステル結合基、アミド結合基又はエーテル結合基が挿入されていてもよい炭素数5〜36のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
【0011】
【化4】
Figure 0003827864
【0012】
(式中、R4はエステル結合基、アミド結合基又はエーテル結合基が挿入されていてもよい炭素数5〜36のアルキル基又はアルケニル基を示し、R5は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基又はアミノアルキル基を示す。)
一般式(I)で表されるアミノ化合物としては、長鎖アルキル又はアルケニルアミン、長鎖アルキル又はアルケニルジメチルアミン、長鎖アルキル又はアルケニルジ(2−ヒドロキシエチル)アミン又はそのアルキレンオキサイド付加物、長鎖アルキル又はアルケニルプロパンジアミン等が挙げられる。長鎖アルキル又はアルケニル基としては炭素数6〜36のものが好ましく、炭素数8〜18のものが更に好ましい。ヤシアルキル、牛脂アルキル等も好ましい。
【0013】
長鎖アルキル又はアルケニル基はエステル結合基、アミド結合基が挿入されたものも好ましく、長鎖アルカノイルオキシエチル基、長鎖アルカノイルアミノプロピル基、長鎖アルカノイルアミノエチル基、長鎖アルコキシカルボニルメチル基、長鎖アルキルアミノカルボニルメチル基等が特に好ましい。長鎖アルキル又はアルケニル基もしくはアシル基としては、炭素数6〜36のものが好ましく、炭素数8〜18のものが更に好ましい。ヤシ油、牛脂、パームステアリン等から誘導されたものも好ましい。
【0014】
一般式(II)で表されるアミノ化合物は、N−メチルエチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のN−置換エチレンジアミンと脂肪酸を縮合、環化させて合成される。脂肪酸のアシル基部分の炭素数は6〜36が好ましく、8〜18が更に好ましく、ヤシ脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸、パームステアリン酸、硬化パームステアリン酸もしくはそれらの低級アルキルエステルが特に好ましい。またヤシ油、牛脂、硬化牛脂、パームステアリン、硬化パームステアリン等の油脂を用いても良い。
【0015】
これらのアミノ化合物の塩は、定法に従って、無機あるいは有機酸、例えば塩酸、硫酸、酢酸、グリコール酸、クエン酸等で中和することにより合成できる。
【0016】
本発明の組成物中の(A) 成分と(B) 成分の配合割合は、重量比で1/9〜9/1が好ましく、優れた柔軟性能の点で2/8〜8/2が更に好ましい。
(A) 成分及び(B) 成分は合計量で3〜50重量%を水に分散させることにより液体柔軟仕上げ剤とすることができる。この場合、あらかじめ(A) 成分と(B) 成分を混合してから水を投入しても良いし、順次投入しても良い。また、別々に水に分散し、それを混合しても良い。
本発明の柔軟仕上げ剤組成物水分散液のpHはアミノ化合物の分散性、保存安定性の面から2〜5が好ましい。
【0017】
また、更に柔軟性能を向上させるために、高級アルコール、高級脂肪酸を、保存安定剤として、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、グリコール、ポリオール、さらにはそれらのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド付加物、更には通常のノニオン界面活性剤、無機塩、pH調整剤、ハイドロトロープ剤、香料、消泡剤、顔料等を必要に応じて添加することができる。
【0018】
【実施例】
実施例1−1〜1−7
(A) 成分としてペンタエリスリトールのエチレンオキサイド3モル付加物と硬化牛脂脂肪酸の1:1.9(モル比)反応物(A-1) を、(B) 成分としてN−(3−硬化牛脂アルカノイルアミノプロピル)−N,N−ジメチルアミン(B-1) を用い、表1に示した配合量で水に分散し、更に塩酸を滴下してpH2.5 に調整して各種柔軟仕上げ剤組成物を得た。この組成物について下記の方法で柔軟性評価を行った。結果を表2に示す。
【0019】
<柔軟性の評価方法>
▲1▼ (A) 成分、(B) 成分及びその他の成分の混合物を融解し、撹拌しながら水中に滴下し、更に無機又は有機酸を滴下し、所定の固形分濃度及びpHになるように分散液を調製した。また比較対照試料として、N−メチル−N,N−ビス(牛脂アルカノイルオキシエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムメチルサルフェートについても同様に5%分散液を調製した。
【0020】
▲2▼ 処理方法
市販の木綿タオル2kg、又はアクリルジャージ2kgを、30リットル洗濯機を用い、 3.5°DH硬水にて市販洗剤アタック(花王株式会社製、登録商標)で5回繰り返し洗濯した後、上記分散液を25ml投入し、25℃、1分間撹拌下で処理した。
【0021】
▲3▼ 柔軟性評価方法
上記方法で処理した布を室温で風乾後、25℃、65%RHの恒温、恒湿室にて 24時間放置した。これらの布について柔軟性の評価を行った。評価はN−メチル−N,N−ビス(牛脂アルカノイルオキシエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムメチルサルフェートで処理した布を対照にして一対比較を行った。評価は次の基準で表す。
【0022】
+2;対照より柔らかい
+1;対照よりやや柔らかい
0;対照と柔らかさが同等
−1;対照よりややかたい
−2;対照よりかたい
実施例2〜9
実施例1と同様に表1に記載の(A) 成分及び(B) 成分を表1に示した配合量で水に分散し、更に表1に示す酸を用いて表1に示すpHに調整して、実施例1と同様に柔軟性評価を行った。結果を表2に示す。
【0023】
比較例1〜6
表1に示すように、(A)成分とノニオン性化合物(N-1) の混合物、あるいは(B)成分のみを表1に示した配合量で水に分散し、更に必要により表1に示す酸を用いて表1に示すpHに調整して、実施例1と同様に柔軟性評価を行った。結果を表2に示す。
【0024】
【表1】
Figure 0003827864
【0025】
表1中の略号の説明
A−1:ペンタエリスリトールのエチレンオキサイド3モル付加物と硬化牛脂脂肪酸の1:1.9 (モル比)反応物
A−2:RCOO(CH2CH2O)nCOR (RCOは硬化牛脂由来、nは平均5)
A−3:グリセリンと硬化牛脂脂肪酸の1:1.9 (モル比)反応物のエチレンオキサイド5モル付加物
B−1:N−(3−硬化牛脂アルカノイルアミノプロピル)−N,N−ジメチルアミン
B−2:N−(2−硬化牛脂アルカノイルオキシエチル)−N,N−ジメチルアミン
B−3:N−オクタデシル−N,N−ジメチルアミン
B−4:オクタデシルアミン
B−5:N−硬化牛脂アルキルプロパンジアミン
B−6:N−硬化牛脂アルキル−N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)アミン
B−7:硬化牛脂脂肪酸のアミノエチルエタノールアミン縮合環化物
N−1:ドデシルアルコールのエチレンオキサイド20モル付加物
【0026】
【表2】
Figure 0003827864
【0027】
本発明の組成物は(A) 成分と(B) 成分の重量比が1/9〜9/1の範囲で優れた柔軟性能を有し、2/8〜8/2の範囲で更に優れた柔軟性能を有することがわかる。

Claims (4)

  1. 次の(A)成分及び(B)成分を含有する柔軟仕上げ剤組成物。
    (A) エチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール及びソルビタンからなる群から選ばれるポリオールのアルキレンオキサイド付加物のエステル化物、又は上記ポリオールのエステル化物のアルキレンオキサイド付加物であって、そのエステル化物を構成する脂肪酸残基が、ヤシ脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸、パームステアリン酸及び硬化パームステアリン酸から選ばれる少なくとも1種の脂肪酸残基であるノニオン性化合物
    (B) エステル結合基、アミド結合基又はエーテル結合基が挿入されていてもよい炭素数5〜36のアルキル基又はアルケニル基を少なくとも1つ有するアミノ化合物又はその塩
  2. (A) 成分と(B) 成分の重量比が1/9〜9/1である請求項1記載の柔軟仕上げ剤組成物。
  3. (B) 成分が一般式(I)又は(II)で表されるアミノ化合物又はその塩、あるいはそれらの混合物である、請求項1又は2記載の柔軟仕上げ剤組成物。
    Figure 0003827864
    (式中、R1及びR2は同一もしくは異なって、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基あるいはアミノアルキル基、又は-(AO)nH を示し、Aはエチレン基もしくはプロピレン基を示し、nは1〜10の数を示し、R3はエステル結合基、アミド結合基又はエーテル結合基が挿入されていてもよい炭素数5〜36のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
    Figure 0003827864
    (式中、R4はエステル結合基、アミド結合基又はエーテル結合基が挿入されていてもよい炭素数5〜36のアルキル基又はアルケニル基を示し、R5は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基又はアミノアルキル基を示す。)
  4. (A) 成分と(B) 成分の合計含有量が3〜50重量%である請求項1〜のいずれか一項に記載の液体柔軟仕上げ剤組成物。
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