JP3761595B2 - 液体柔軟仕上剤組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は繊維の柔軟仕上剤組成物に関する。更に詳しくは、本発明は長期保存による柔軟性能の低下を抑制し得る液体柔軟仕上剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
現在、家庭用柔軟仕上剤として市販されている商品は、殆どがジ(硬化牛脂アルキル)ジメチルアンモニウムクロライドに代表されるような1分子中に2個の長鎖アルキル基を有する第4級アンモニウム塩を主成分とした組成物である。また、従来より各種アミンを柔軟基剤とする液体柔軟仕上剤も知られている。
【0003】
これらの基剤は少量で各種繊維に対して良好な柔軟効果を示す。
【0004】
また、特開平1−162872号公報、特開平5−98571 号公報、特公昭62−8427号公報、特開昭52−34098 号公報などには、生分解性や風合い改良を目的として開発されたエステル型の基剤を含有する柔軟仕上剤が開示されている。ただし、エステル基(-COO-) は保存中に加水分解を受けやすいため、製品のpHを酸性にするなど配合組成面での工夫が必要であり、上記公報にもその技術が併せて開示されている。
【0005】
しかし、上記公報記載の技術では外観、匂いの保存安定性は確保されていると言えるものの、柔軟性能に関しては保存による低下が見られることがある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は保存中において、柔軟性能の低下が抑制された液体柔軟仕上剤組成物を提供することである。
【0007】
【課題を解決する為の手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、極めて選択された成分の組み合わせを行うことにより、上記目的を達成しうることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明は、下記の (a)成分、 (b)成分及び (c)成分を必須成分として含有することを特徴とする液体柔軟仕上剤組成物を提供するものである。
< (a)成分>
一般式(I)で表される脂肪酸。
R1COOH (I)
〔式中、
R1:直鎖又は分岐鎖の炭素数11〜21のアルキル基又はアルケニル基を示す。〕
<(b)成分>
一般式( II −a)で表わされる化合物、一般式( II −c)で表わされる化合物、一般式( II −d)で表わされる化合物及び一般式(IV)で表わされる化合物、並びにこれらの化合物の酸中和物及び第4級化物からなる群より選ばれる少なくとも一種。
【0009】
【化4】
【0010】
〔式中、
R2:炭素数1〜4のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示す。
R 31 ,R 41 :同一又は異なって、直鎖又は分岐鎖の炭素数 11 〜 22 のアルキル基又はアルケニル基を示す。
m, n :同一又は異なって、1〜 10 の数を示す。〕
【0011】
【化5】
【0012】
〔式中、
R9:-COO-結合又は-CONH-結合で中断していてもよい、直鎖又は分岐鎖の炭素数12〜32のアルキル基又はアルケニル基を示す。
R10:直鎖又は分岐鎖の炭素数11〜31のアルキル基又はアルケニル基を示す。〕
<(c)成分>
一般式(V)で表わされる化合物。
【0013】
【化6】
【0014】
〔式中、
R11,R12,R13:同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示す。
R14:直鎖又は分岐鎖の炭素数12〜32のアルキル基又はアルケニル基を示す。
X-:陰イオン基を示す。〕
以下、本発明について詳細に説明する。
【0015】
〔(a)成分〕
本発明の組成物の(a)成分として前記一般式(I)で表される脂肪酸が使用される。その具体例としては、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、オレイン酸、硬化牛脂由来脂肪酸、未硬化パーム油由来脂肪酸、(2−テトラデシル)オクタデカン酸等が例示され、これらの脂肪酸は単一でもよくまたは2種以上の混合物であってもよい。
【0016】
〔(b)成分〕
本発明の(b)成分として前記一般式( II −a)で表わされる化合物、一般式( II −c)で表わされる化合物、一般式( II −d)で表わされる化合物及び一般式(IV)で表わされる化合物、並びにこれらの化合物の酸中和物及び第4級化物からなる群より選ばれる少なくとも一種が使用される。
【0017】
前記一般式( II −a)、( II −c)、( II −d)又は(IV)で表わされる化合物(以下、アミン化合物と言う)において、R 2 基は好ましくはメチル基又はエチル基である。
【0018】
また、 R 9 , R10 基は好ましくは炭素数14〜22のアルキル基又はアルケニル基である。例えば硬化牛脂由来の脂肪酸よりカルボキシル基を除いたアルキル基又はオレイン酸よりカルボキシル基を除いたアルケニル基である。
【0019】
上記アミン化合物は無機酸又は有機酸の中和物として使用し得るが、この酸成分として塩酸、硝酸、リン酸、硫酸等の無機酸や、酢酸、乳酸、グリコール酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、マレイン酸、フマル酸、プロピオン酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、リンゴ酸、クロトン酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸、ポリアクリル酸等の有機酸、または、炭素数1〜7の有機酸が挙げられるが、塩酸が最も安価で高性能である。また、中和物を得るためには、アミン化合物を予め酸成分により中和したものを水に分散させてもよいし、酸成分水溶液中にアミン化合物を液状又は固体状で投入してもよい。或いはアミン化合物と酸成分を同時に水に投入してもよい。
【0020】
また、上記アミン化合物は第4級化物として使用し得る。第4級化剤として塩化メチル、ヨウ化メチル、ジアルキル(炭素数1〜3)硫酸等が使用し得る。第4級化方法は従来公知の方法にて行われる。
【0021】
〔(c)成分〕
本発明組成物の(c)成分として、上記一般式(V)で表わされる化合物が使用される。
【0022】
一般式(V)におけるX-は陰イオン基を示すが、例えばハロゲンイオン(Cl-, Br-等)、CH3SO4 -,C2H5SO4 -等が例示される。
一般式(V)におけるR11,R12,R13基は好ましくはメチル基又はエチル基の場合である。
【0023】
R14基は好ましくは炭素数12〜22、さらに好ましくは炭素数16〜22のアルキル基又はアルケニル基の場合である。R14基の例としてステアリル基、ミリスチル基、オレイル基、硬化牛脂脂肪酸よりカルボキシル基を除いたアルキル基等が挙げられる。(c)成分として硬化牛脂アルキルトリメチルアンモニウムクロライドなどが工業的には入手し易く、経済的見地より、有利である。
【0024】
〔液体柔軟仕上剤組成物〕
本発明組成物において(a)成分の配合量は好ましくは組成物中0.05〜10重量%、より好ましくは0.15〜5重量%であり、(b)成分の配合量は好ましくは1〜28重量%、より好ましくは2〜25重量%であり、(c)成分の配合量は好ましくは0.01〜25重量%、より好ましくは0.05〜15重量%、さらに好ましくは0.05〜10重量%である。
【0025】
本発明組成物において、(a)成分と(b)成分と(c)成分の配合量は、その合計量で3〜30重量%が好ましい。(a)成分と(b)成分と(c)成分の合計量が3重量%未満の場合には、配合初期においても、長期保存後も柔軟付与効果が不十分であり、一方30重量%を超える場合には組成物の流動性が損なわれ、使用勝手が不便である。
【0026】
又、(a)成分と(b)成分の重量比は〔(a)成分〕/〔(b)成分〕=1/99〜30/70であることが好ましく、より好ましくは1/99〜25/75、更に好ましくは1/99〜20/80である。該比率が1/99未満及び30/70を超える場合には組成物の香りの変化が著しい。
【0027】
本発明組成物における長期保存安定性を向上し、柔軟性能低下を抑制する為、(d)成分として多価アルコールの脂肪酸エステルをさらに配合することができる。(d)成分の多価アルコールとしては、好ましくは糖エステル、エチレングリコールエステル、ペンタエリスリトールエステル、グリセリンエステル等が例示される。この場合においてエステルを構成する脂肪酸は(a)成分で例示したものを使用することができる。(d)成分の好ましい例は、エチレングリコールステアレート、炭素数12〜22の飽和及び不飽和脂肪酸のモノ−、ジ−、及びトリグリセリド、ペンタエリスリトールステアレート、ソルビタンモノ−、ジ−及びトリエステルである(ただし、ソルビタンエステル中のアシル基は炭素数12〜22個を有する)。また、ポリグリセリドやソルビタンエステルのエチレンオキシド(5〜50モル)付加物などが挙げられる。
【0028】
(d)成分の配合量は組成物中0〜10重量%、好ましくは 0.1〜5重量%である。(d)成分が10重量%を超える場合、長期高温保存での増粘、分離、或いは長期低温保存のゲル化等を生じ、組成物の流動性が損なわれ、使用勝手が不便である。
【0029】
本発明の柔軟仕上剤に、更にジメチルポリシロキサン、部分的にアミノ基又はポリオキシアルキレン基で変性されたジメチルポリシロキサン等のシリコーン化合物、特に好ましくは部分的にポリオキシアルキレン基で変性されたジメチルポリシロキサンを配合することにより吸水性を損なうことなく、柔軟処理さた衣料の肌触りを改良できる。これらのシリコーン化合物は、(a)成分、(b)成分、(c)成分の総量に対し、或いは(d)成分が配合された場合、(a)成分、(b)成分、
(c)成分、(d)成分の総量に対し、0.3〜5重量%配合されるのが好ましい。
【0030】
本発明の組成物を水系液体柔軟仕上剤とする際には粘度の調整のために塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等の無機電解質を組成物中に0.05〜0.4重量%添加するのが好ましい。
【0031】
本発明の液体柔軟仕上剤は長期保存に対して安定性は高いが、更に過酷な保存条件下での安定化のためにポリオキシエチレン(5〜50モル)アルキル又はアルケニル(C12〜C24)エーテル等のノニオン界面活性剤、エタノール、プロピレングリコールやエチレングリコールのような溶剤又は尿素などを配合することができる。また、柔軟基剤として既知のエステル非イオンあるいはカチオン化合物、長鎖アルコール等を併用しても良い。
【0032】
また製品の外観のために顔料又は染料を、仕上がりの白さのために蛍光増白剤を、そして使用時及び仕上がり後の趣向を良くするために香料を配合することもできる。
【0033】
本発明組成物は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を水と混合することにより得られる。場合により、上記の任意成分が配合される。
【0034】
【発明の効果】
本発明の液体柔軟仕上剤組成物は、各種繊維に対して、十分な柔軟性、帯電防止性を与え、且つ優れた弾力性を付与しうると共に、長期保存後もその効果が全く低下することがない。
【0035】
【実施例】
以下実施例にて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0036】
実施例1〜10及び比較例1〜2
表1に示した(a)成分、表2に示した(b)成分、表3に示した(c)成分及び表4に示した(d)成分を使用して表5〜6に示す組成物を調製した。なお、いずれの配合の場合も(a)成分と(b)成分の総量が16重量%となるようにし、ポリオキシエチレン(20モル)ラウリルエーテルを本発明に係わる化合物の総量に対して1重量%配合し、また塩化カルシウムを0.2重量%配合し、残部を水としてpHを2.2±0.3に調整した。以下の方法により柔軟性、及び安定性の評価を行った。
【0037】
<柔軟性の評価>
(1) 処理方法
市販の木綿タオル2kg、アクリルジャージ1kgを3.5°DH硬水にて市販洗剤アタック(花王株式会社製、登録商標)にて5回繰り返し洗濯(30リットル洗濯機)をし、各繊維についていた繊維処理剤を除去した後、表5〜6の配合組成物を有効成分として1.5g投入し、25℃、1分間攪拌下で処理した。
【0038】
(2) 評価方法
上記方法で処理した布を室内で風乾後、25℃、65%RHの恒温恒湿室にて24時間放置した。これらの布について柔軟性の評価を行った。柔軟性の評価は、ジ水素添加牛脂アルキルジメチルアンモニウムクロライド15重量%からなる柔軟剤10ccで処理した布を対照にして一対比較を行った。また、1ケ月25℃一定保存後、及び3カ月後の柔軟性能評価方法は配合初期の評価と同様の方法、即ち上記に示した評価方法により行った。評価は次のように表す。
+2;対照より柔らかい
+1;対照よりやや柔らかい
0;対照と同じ
−1;対照がやや柔らかい
−2;対照が柔らかい
<安定性の評価>
表5〜6に示す配合の組成物を次の条件で保存し評価した。
(1) 保存条件
(イ)50℃に90日
(ロ)−10℃に90日
(ハ)50℃に12時間保存、ついで25℃に12時間保存のサイクルを90回くりかえし
(ニ)−20℃に12時間保存、ついで10℃に12時間保存のサイクルを90回くりかえし
(2) 評価
○;3カ月間外観の変化がない
△;1カ月間外観の変化がなく3カ月後までに分離又は増粘がある
×;1カ月後までに分離又は増粘がある
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
(*4) レオドールSP-S10(花王(株)商標)
【0044】
【表5】
【0045】
【表6】
【0046】
表5〜6に示すように、本発明の柔軟仕上剤は、長期安定的に柔軟性を与え、且つ、十分な安定性を満足する。
Claims (2)
- 下記の(a)成分、(b)成分及び(c)成分を必須成分として含有することを特徴とする液体柔軟仕上剤組成物。
<(a)成分>
一般式(I)で表される脂肪酸。
R1COOH (I)
〔式中、
R1:直鎖又は分岐鎖の炭素数11〜21のアルキル基又はアルケニル基を示す。〕
<(b)成分>
一般式( II −a)で表わされる化合物、一般式( II −c)で表わされる化合物、一般式( II −d)で表わされる化合物及び一般式(IV)で表わされる化合物、並びにこれらの化合物の酸中和物及び第4級化物からなる群より選ばれる少なくとも一種。
R2:炭素数1〜4のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示す。
R 31 ,R 41 :同一又は異なって、直鎖又は分岐鎖の炭素数 11 〜 22 のアルキル基又はアルケニル基を示す。
m, n :同一又は異なって、1〜 10 の数を示す。〕
R9:-COO-結合又は-CONH-結合で中断していてもよい、直鎖又は分岐鎖の炭素数12〜32のアルキル基又はアルケニル基を示す。
R10:直鎖又は分岐鎖の炭素数11〜31のアルキル基又はアルケニル基を示す。〕
<(c)成分>
一般式(V)で表わされる化合物。
R11,R12,R13:同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示す。
R14:直鎖又は分岐鎖の炭素数12〜32のアルキル基又はアルケニル基を示す。
X-:陰イオン基を示す。〕 - さらに(d)成分として、多価アルコールの脂肪酸エステルを含有する請求項1記載の液体柔軟仕上剤組成物。
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