JP4098445B2 - ガナッシュ類の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、通常のモールド成型が不可能なガナッシュ類を、冷菓製造に用いられるバイタラインなどを利用して冷却、硬化、成型することができるガナッシュ類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にモールド成型して製造される固形チョコレートは、非常に水分含量の低い食品である。通常、その水分含量は1%以下であり、その製造工程においても、極力水分の混入を避けるようにされている。これは、チョコレートの水分含量が増えるとその粘度が増し、モールド成型した場合に離型しにくくなり、また、砂糖の再結晶が起こるなど、製品の品質も悪くなるためである。
【0003】
一方、ガナッシュは、チョコレートをベースに生クリーム、バター、牛乳又は糖液などの液状物を混ぜ合わせたものであり、やわらかな口当たりを有する風味のよいチョコレート製品である。しかしながら、このガナッシュは水分含量が多いため非常にボディーが弱く、また、常温での保形性に乏しいため、チョコレートのセンターにしたり、ケーキ類のサンド用、上塗り用などの限られた範囲でしか用いられていなかった。
【0004】
そして、このようなガナッシュ類を一般の固形チョコレートのようにモールド成型しようとした場合、一般に固形チョコレートの成型に使用されるプラスチックモールドで成型すると、ガナッシュ類は水分含量が高く、しかもその乳化系が主として水中油型となっているため、その水溶性成分がモールド表面に粘着し、また油脂分は冷却しても収縮性に欠けるため、離型することができなかった。
【0005】
そのため、一般にガナッシュ類の成型は、ガナッシュ類を枠に流し込み、長時間(通常、一晩)冷却固化させた後、ピアノ線等で切断して行われている。
【0006】
一方、特開平10−75713号には、モールド成型ガナッシュ類の製造方法及びガナッシュ類成型用モールドが提案されている。上記製造方法は、チョコレート類を融解し、これに加温した水性成分を加えて混合した後、25〜30℃に冷却し、しかる後、ペースト状に融解した油中水型乳化物を加えて混合し、混合物全体の乳化系を油中水型に乳化した後、プラスチック製の型に流し込み、冷却する方法である。この製造方法によれば、ガナッシュにペースト状に融解した油中水型乳化物を加えて混合し、混合物全体の乳化系を油中水型に乳化することにより、これをプラスチック製のモールドに流し込んで冷却成型したときに、該混合物の体積が収縮し、型離れしやすくなるというものである。
【0007】
また、上記ガナッシュ類成型用モールドは、一平面内に複数の凹部を有するプラスチック製モールドであって、各凹部には底部が狭くなるように側部にテーパーがつけられ、型離れしやすくしたものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記ガナッシュ類を冷却固化させてからピアノ線等で切断して成型する方法は、手作業によるところが多いため連続大量生産することが困難であり、また、冷却に長時間を要するため生産効率が悪く、しかも単調な形状にしか成型することができなかった。
【0009】
また、上記特開平10−75713号公報には、チョコレート類と含水成分の混合物が水中油型の乳化物である場合には、プラスチック製のモールドで成型した場合の離型性が不良であると記載されている。
【0010】
しかし、ガナッシュ類は、チョコレート類と含水成分の混合物が水中油型の乳化物であるものの方が、油中水型乳化物であるものに比べて食感や風味が良いので、上記特開平10−75713号公報に記載された方法では、食感や風味の点で満足いくガナッシュ類を得ることができなかった。
【0011】
したがって、本発明の目的は、優れた食感と風味を有するガナッシュ類を、冷菓製造に用いられているいわゆるバイタラインを利用して冷却、硬化、成型して製造できるようにした方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明によるガナッシュ類の製造法は、チョコレート類を融解し、これをテンパリングし又はテンパリングせず、含水成分を加えて混合することにより主として水中油型の乳化物とし、この乳化物を内部で硬化しても抜き出すことが可能な形状の容器に流し込み、前記容器の開口端からスティックを差込み、冷却温度と冷却時間の関係が、冷却温度−40〜−10℃の範囲で、図1における、冷却温度が−40℃で冷却時間が5分であるA点と、冷却温度が−30℃で冷却時間が10分であるB点と、冷却温度が−20℃で冷却時間が20分であるC点と、冷却温度が−10℃で冷却時間が30分であるD点とを直線で結ぶ線の斜線側の領域となるように前記容器を冷却して前記乳化物を硬化させた後、前記容器の外側に水又は温水を散布し、前記スティックを引張ることにより、前記乳化物の硬化物を前記容器から抜き出すことを特徴とする。
【0013】
この場合、前記硬化物を前記容器から抜き出した後、更に該硬化物から前記スティックを抜き取ってもよく、あるいはそのまま残してもよい。
【0014】
また、本発明において、前記混合物の冷却、硬化及び成型を、バイタラインを使用して行うことが好ましい。
【0015】
本発明において、前記スティックは、金属、樹脂又は木材から選ばれた材質からなるスティックであることが好ましく、更に、前記容器がステンレス製又はアルミ製であることが好ましい。
【0017】
本発明において、前記混合物が主として水中油型の乳化物であることが好ましく、更に、前記ガナッシュ類の水分含量が10〜40%であることがより好ましい。
【0018】
本発明によれば、アイスキャンディーバーやアイスクリームバーなどの冷菓類を製造する際に使用されるバイタライン(スティック製品製造装置:バーマシン)と呼ばれる設備などを利用してガナッシュ類を製造することが可能となり、既存の設備でガナッシュ類を工業的に生産することができる。
【0019】
【発明の実施形態】
本発明において、チョコレート類とは、チョコレート規約で定められたチョコレートに限らず、それ以外のチョコレート類、例えば、ココアバターの代わりにココアバター代用脂として、動物、植物若しくは両者由来のテンパリング、ノンテンパリング又はそれらを混合した油脂を使用した各種チョコレート類、ココア又はカカオマスを使用せず、全粉乳や脱脂粉乳等を使用することにより得られるホワイトチョコレート類、フルーツ、コーヒー、抹茶等の風味素材と併用して様々な風味や色調をしたカラーチョコレート類も含むものである。
【0020】
これらのチョコレート類は、代用脂としていわゆるノンテンパリング型の油脂を使用した場合はテンパリングせずに、テンパリング型の油脂を使用した場合はテンパリングし又はテンパリングせず、次に後述する含水成分を加える。テンパリングした場合、安定型の微細結晶が多数形成され、後の冷却工程でしっかりした組織が造られるため、解凍した時にガナッシュ類の形状がダレたり、崩れたりしにくくなる。また、後工程の冷却・硬化にかかる時間が短縮され、更に、製品中の水分の分離が抑制されて品質も安定する。
【0021】
本発明において、含水成分とは、生クリーム、牛乳、濃縮乳(練乳を含む)等の乳製品、洋酒、リキュール類等の酒類、液糖、液状の糖アルコール、果汁、水等をいう。これらは、1種又は2種以上を使用することができる。
【0022】
テンパリングしたチョコレート類に上記含水成分を添加する際には、テンパリングで生じた安定型の結晶を壊さないようにするため、含水成分を27〜32℃に加温してから加えることが好ましい。
【0023】
本発明において、上記チョコレート類と含水成分との混合物の乳化状態は、油中水型の系でも水中油型の系でもよい。混合物として油中水型の乳化物を用いた場合には、型離れがよく、容器から抜き出しやすいという利点があるものの、食感や風味の点で、水中油型の乳化物を用いる方が好ましい。
【0024】
チョコレート類と含水成分との混合物を水中油型の乳化物にするため、上記含水成分は、製品中の水分含量が10〜40%になるように添加することがより好ましい。水分含量が10%未満であると、上記チョコレート類との混合物が油中水型の乳化物となってしまい食感や風味が劣り、40%を超えるとガナッシュの風味を失ってしまうため好ましくない。なお、常温又はチルド流通する製品の場合には、水分含量が10〜25%となるようにすることが好ましく、これにより適度に軟らかく、良好な風味を有するガナッシュ類を得ることができる。この場合、水分含量が25%を超えると常温又はチルドの雰囲気下での保型性がなくなりドロドロになってしまう。一方、冷凍流通させる製品の場合には、水分含量が25%を超え、40%以下であることが好ましい。これにより冷菓類の食感とガナッシュの風味とを併せもつガナッシュ類を得ることができる。この場合、水分含量が25%以下では冷菓類の食感を楽しむことができない。
【0025】
また、上記混合物の乳化状態は、電気抵抗測定器(テスター)を混合物中に挿して通電を確認するか、又は顕微鏡下で観察することにより確認することができる。例えば、テスターで通電が確認できなければ油中水型の乳化系であり、通電が確認できれば水中油型の乳化系である。ただし、テスターで通電が確認されても、顕微鏡で観察すると、大部分が水中油型の乳化系になっているが、一部油中水型になっていることもあり、本発明において、チョコレート類と含水成分との混合物が主として水中油型の乳化物であるとは、テスターで水中油型であると判断される程度に通電が確認されればよく、一部が油中水型になっていてもよいことを意味する。
【0026】
本発明において、型として用いられる容器は、内部で硬化したものを抜き出すことが可能な形状の容器であればよく、好ましくは一端が開口し、他端が閉塞されていて、内径が開口部に向けて広がった管状の容器が採用される。そして、容器の形状は、特に限定されず、例えば開口部の形状が角形、円形、楕円形、花形など適宜選択することができる。また、その大きさは、開口部の最大内径が20〜30mm、最小内径が18〜28mmであることが好ましく、深さが7〜50mmであることが好ましい。
【0027】
また、前記容器の材質は、特に限定されず、ステンレス、アルミ等の金属や、プラスチック等の樹脂素材などを使用することができるが、耐久性や熱伝導率の点からステンレス又はアルミ等の金属製のものが好ましく用いられる。
【0028】
本発明において、容器の開口部から差し込むスティックとしては、ステンレス、アルミ等の金属製の棒、プラスティック等の樹脂類又は木の棒等を使用することができるが、ステンレス、アルミ等の金属製の棒が好ましく用いられる。そして、スティックの長さは、容器に差し込んだときに容器の開口部から上端が突き出る長さとなるように適宜選択すればよいが、通常は80〜120mmであることが好ましく、その太さは、1〜3mmであることが好ましい。上記スティックの差し込み深さは、型として用いる容器の深さにもよるが、混合物の中心に3〜12mmの深さまで差し込むことが好ましい。
【0029】
上述したようにしてチョコレート類と含水成分の混合物を容器に流し込み、スティックを差し込んだガナッシュ類の冷却は、該容器ごと−40〜−10℃の雰囲気下で急速冷凍し、該冷却温度で図1の斜線側の領域となる時間、例えば−40℃で5分間以上、−10℃で30分間以上放置することにより行うことが好ましい。後述する実施例に示されるように、ガナッシュ類中の水相、特に型に接するガナッシュ類表面の水相は、−40℃では5分間以上の冷却で完全に凍結し、−10℃では30分間以上の冷却で完全に凍結するため型崩れせずに離型することができる。
【0030】
このように急速冷凍して最大氷結晶生成帯(日本食品科学工学会誌第46巻第7号1999年、447〜453ページ)を早く通過させることにより、ガナッシュ類中の水分を均一で小さな氷にすることができ、冷却時間を短縮できると共にガナッシュ類の離型性を良くすることができる。
【0031】
冷却温度が−10℃より高いと2時間を超える冷却時間が必要となり、工業生産性が劣るため好ましくなく、−40℃より低い温度での冷却は工業的に困難である。
【0032】
そして、このようにして冷却・硬化したガナッシュ類を容器から容易に抜き出すことができるようにするために、混合物を容器中で冷却硬化させた後、直ちに該容器の外側に温水又は水を撒布して、該容器内周面に硬化固着したガナッシュ類の表面のみを軟化させることが好ましい。そのため、上記温水又は水の撒布は容器を冷却手段から取り出した後直ちに行い、その撒布時間も上記容器の内周面に硬化固着したガナッシュ類の表面のみを軟化させる程度、好ましくは1〜5秒程度とする。硬化物の内周表面より内部まで軟化してしまうと容器からの硬化物の引き抜きに支障をきたし、甚だしい場合には容器の内周面に硬化物の融解したものが付着して残ったり、スティックのみが抜けてしまい取り出せなくなってしまう。
【0033】
上述したガナッシュ類の製造方法においては、通常、アイスキャンディーなどの冷菓の製造(充填・硬化工程)に使用されるバイタラインを使用することが好ましい。このバイタラインを用いたガナッシュ類の製造方法について、より具体的に説明すると、次の通りである。
【0034】
チョコレート類と含水成分は上述した方法により混合し、この混合物をあらかじめブライン槽に浸漬して−40〜−10℃に冷却した容器に流し込み、すぐに容器の開口部から該混合物中にスティックを所定の深さまで差し込み、そのまま上述した条件で冷却し、該混合物を硬化させる。そして、上記容器をブライン槽から取り出し、その外側に温水又は水を数秒間撒布し、上記スティックを引張り、上記容器からスティックごと上記混合物の硬化物を引き抜いて取り出す。
【0035】
前記スティックは、そのままアイスキャンディーのスティック様のものとして残したままにしてもよいが、該スティック付きガナッシュ類の上面を平板な仕切り板等で抑え、スティックを引き抜くことにより、スティックのないガナッシュ類を得ることもできる。このようにして製造されたガナッシュ類は、通常の包装室で包装し、常温流通の製品は通常の倉庫に、また、チルド流通製品又は冷凍流通製品はそれぞれ所定の温度の倉庫に保管する。
【0036】
本発明において、上述したようにして成型したガナッシュ類には、必要に応じて、食用の粉体、例えばココア粉末、ナッツ粉末、抹茶、粉糖、きな粉、粉乳等を振りかけてもよい。このような粉体を振りかけることにより、製品のべとつきを抑えることができると共に、製品の品質の差別化や製品に高級感を付与することができる。
【0037】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
実施例1
各原料を表1に示す配合割合で混合して、通常のチョコレートの製法によりミルクチョコレート原液を製造した。
【0038】
【表1】
【0039】
このミルクチョコレート原液100重量部を、常法によりテンパリングし、これに、27〜32℃に加温した生クリーム60重量部と洋酒5重量部及び水あめ5重量部を加えて、ミキサーで混合し主として水中油型の乳化物よりなる混合物を得た。
【0040】
この混合物を、あらかじめブラインに浸漬し−40℃に冷却した容器(材質:ステンレス、厚さ:1.5mm、一辺:20mm、深さ:50mm、形状:四角柱)に分注し、容器の開口部からステンレス製の丸棒(長さ:120mm、直径:1.5mm)を混合物に7mmの深さまで差し込み、5分、10分又は20分冷却して該混合物を硬化させた。
【0041】
冷却終了後、通常の包装室で直ちに該容器の外側から35℃の温水を3秒噴射した後、該ステンレス製丸棒を把持して、引き抜いたところ、硬化した該混合物はきれいに型離れし、また、直ちに粉状のココアをまぶし、金属製の棒を該混合物から抜き取ったところ、硬化した該混合物は、型崩れすることなく最終製品のガナッシュとすることができた。
【0042】
比較例1
−40℃の冷却を1分又は3分とする以外は実施例1と同様の方法でガナッシュを製造したところ、上記混合物の硬化が不十分であり、実施例1と同様の噴射条件では上記混合物は上記容器から型離れしなかった。また、噴射時間を5秒を超えておこなうと硬化した該混合物の該容器の内周面に接する表面の内部まで軟化しスティックを引き抜いても硬化した該混合物は型に残ったままで型離れすることができなかった。
【0043】
実施例2
冷却を−30℃、10分又は20分とする以外は実施例1と同様の方法でガナッシュを製造したところ、実施例1と同様に、硬化した該混合物は、型崩れすることなく最終製品のガナッシュとすることができた。
【0044】
比較例2
冷却を−30℃、5分又は8分とする以外は実施例1と同様の方法でガナッシュを製造したところ、上記混合物の硬化が不十分であり、実施例1と同様の噴射条件では上記混合物は上記容器から型離れしなかった。また、噴射時間を5秒を超えておこなうと硬化した該混合物の該容器の内周面に接する表面の内部まで軟化しスティックを引き抜いても硬化した該混合物は型に残ったままで型離れすることができなかった。
【0045】
実施例3
冷却を−20℃、20分又は30分とする以外は実施例1と同様の方法でガナッシュを製造したところ、実施例1と同様に硬化した該混合物は、型崩れすることなく最終製品のガナッシュとすることができた。
【0046】
比較例3
冷却を−20℃、10分間又は15分間とする以外は実施例1と同様の方法でガナッシュを製造したところ、実施例1と同様の噴射条件では上記混合物は上記容器から型離れしなかった。また、噴射時間を5秒を超えておこなうと硬化した該混合物の該容器の内周面に接する表面の内部まで軟化しスティックを引き抜いても硬化した該混合物は型に残ったままで型離れすることができなかった。
【0047】
実施例4
冷却を−10℃、30分又は40分とする以外は実施例1と同様の方法でガナッシュを製造したところ、実施例1と同様に硬化した該混合物は、型崩れすることなく最終製品のガナッシュとすることができた。
【0048】
比較例4
冷却を−10℃、15分間又は20分間とする以外は実施例1と同様の方法でガナッシュを製造したところ、実施例1と同様の噴射条件では上記混合物は上記容器から型離れしなかった。また、噴射時間を5秒を超えておこなうと硬化した該混合物の該容器の内周面に接する表面の内部まで軟化しスティックを引き抜いても硬化した該混合物は型に残ったままで型離れすることができなかった。
【0049】
比較例5
冷却を−7℃、1、5又は10時間とする以外は実施例1と同様の方法でガナッシュを製造したところ、冷却時間が1時間の場合、実施例1と同様の噴射条件では上記混合物は上記容器から型離れしなかった。また、噴射時間を5秒を超えておこなうと硬化した該混合物の該容器の内周面に接する表面の内部まで軟化しスティックを引き抜いても硬化した該混合物は型に残ったままで型離れすることができなかった。一方、冷却時間が5又は10時間の場合、実施例1と同様に硬化した該混合物は、型崩れすることなく最終製品のガナッシュとすることができたが、バイタラインの製造としては時間がかかりすぎであり実製造には不適当であった。
【0050】
上記実施例1〜3及び比較例1〜5における冷却温度と冷却時間の関係を表2に示す。表2中、○は型崩れを起こすことなく取出すことが可能であること、×は型離れせず取出し不可能であることを意味する。
【0051】
【表2】
【0052】
更に、図1は、上記冷却温度と、型崩れすることなく、きれいに離型するのに必要な冷却時間との関係を示した図表である。すなわち、型崩れすることなく、きれいに離型するためには、冷却温度と冷却時間との関係が、図1の斜線領域側となるようにすることが望ましい。
【0053】
試験例1
実施例1〜3及び比較例1〜5の各例において、チョコレート原液と生クリーム及び洋酒をミキサーで混合し十分混合した後、該混合物中にテスターを刺したところ通電が観察され、混合物の系が水中油型の乳化系であることを確認した。
【0054】
試験例2
実施例1〜3及び比較例1〜5の各例において、試験例1で通電の認められた各混合物をスライドグラスに薄く塗布し、偏光顕微鏡下で冷却したところ−20℃前後で一瞬にして水相が氷に変化することが観察された。これは、混合物の乳化が主として水中油型であることを示している。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、通常、アイスキャンディーバー等の冷菓製造に使用されるバイタラインにより工業的に効率よくガナッシュ類を製造することが可能となる。また、本発明において、チョコレート類と含水成分の混合物を水中油型の乳化混合物とした場合、優れた食感と風味を有するガナッシュ類を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のガナッシュ類の製造法において、チョコレート類と含水成分の混合物を容器に流し込んで冷却する際の冷却温度(ブライン温度)と、型崩れすることなく、きれいに離型するのに必要な冷却時間との関係を示した図表である。
Claims (7)
- チョコレート類を融解し、これをテンパリングし又はテンパリングせず、含水成分を加えて混合することにより主として水中油型の乳化物とし、
この乳化物を内部で硬化しても抜き出すことが可能な形状の容器に流し込み、
前記容器の開口端からスティックを差込み、
冷却温度と冷却時間の関係が、冷却温度−40〜−10℃の範囲で、図1における、冷却温度が−40℃で冷却時間が5分であるA点と、冷却温度が−30℃で冷却時間が10分であるB点と、冷却温度が−20℃で冷却時間が20分であるC点と、冷却温度が−10℃で冷却時間が30分であるD点とを直線で結ぶ線の斜線側の領域となるように前記容器を冷却して前記乳化物を硬化させた後、
前記容器の外側に水又は温水を散布し、
前記スティックを引張ることにより、前記乳化物の硬化物を前記容器から抜き出すことを特徴とするガナッシュ類の製造方法。 - 前記乳化物を硬化させた後、前記容器の外側に水又は温水を1〜5秒間散布する請求項1に記載のガナッシュ類の製造方法。
- 前記硬化物を前記容器から抜き出した後、更に該硬化物から前記スティックを抜き取る請求項1又は2記載のガナッシュ類の製造方法。
- 前記乳化物の冷却、硬化及び成型をバイタラインで行う請求項1〜3のいずれか一つに記載のガナッシュ類の製造方法。
- 前記スティックが、金属、樹脂又は木材から選ばれた材質からなるスティックである請求項1〜4のいずれか1つに記載のガナッシュ類の製造方法。
- 前記容器が、ステンレス製又はアルミ製である請求項1〜5のいずれか1つに記載のガナッシュ類の製造方法。
- 前記ガナッシュ類の水分含量が10〜40%である請求項1〜6のいずれか1つに記載のガナッシュ類の製造方法。
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