JP4096001B2 - フロースルーチューブプラグ - Google Patents

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Description

本発明は、熱交換器内に配置されたチューブを含む損傷したチューブを修復するための方法および装置に関する。
流体を運搬するために使用される管状部材は、管状部材内を流れる流体によって生じる浸食損傷を受けやすい。この管の浸食は、一つには、流体が管状部材に入るときに流体内に形成される不規則な流れパターン、たとえば、渦流に起因する。不規則な流れパターンは、速度が上昇した流体流れを管状部材内の特定の場所に対して集中させ、それによって、その特定の場所で管状部材の材料を浸食しうる。本開示の目的に適した管状部材は、様々な処理装置内、たとえば数例を挙げると、加熱炉、反応器(化学および核)および熱交換器内のチューブを含む。
熱交換器に関して、チューブ側内の流体の温度が熱交換器のシェル側内の流体よりもかなり高い場合に、管の浸食が発生する可能性がある。高い温度勾配における熱交換器チューブ浸食は、チューブが合金により構成されている場合に悪化する。高温腐食を受ける場合には、チューブの合金材料内の抵抗成分が、それらの元々の場所から凝結し、材料の粒界へ向けて移動する。最終的に、このことが、材料の大部分が腐食に対して保護されない結果をもたらす。この種類の損傷は、チューブ入口およびチューブ出口において問題となることが多い。図2および3において見ることができるように、浸食抵抗成分の移動が、やがてチューブ18内における浸食または孔食を生じさせ、それによって損傷した区域22を形成する可能性がある。典型的に、これらの損傷した区域22は、チューブシート10の開口部12の開口付近および開口部12の縁13に発生し、この部分はたいていチューブ18がチューブシート10に溶接されている部分である。この種類の損傷は一般に、当業者には、熱影響されたゾーン腐食(zone corrosion)として知られている。未点検のまま放置すると、損傷した区域22の腐食は、チューブ18を貫いて浸食する可能性があり、それによって、圧力勾配に依存して、チューブ側の流体が熱交換器のシェル側内に漏れるか、またはその逆が起こりうる。
管の浸食はまた、熱交換器チューブシートが被覆加工されるか、または積層される状況下で、損傷影響を受ける可能性もある。よく知られているように、被覆加工され、または積層されたチューブシートは、裏打ちチューブシート16に機械的に結合された被覆加工チューブシート14から成る(図1および2参照)。被覆加工は、典型的に、チューブ側の流体の腐食または他の過酷な影響に耐えるために特別な材料が必要である状況で使用される。腐食に抵抗する材料、たとえばジルコニウムは、高価であることが多いため、腐食抵抗材料は、コストを低減するために、より安価な材料の上に被覆加工される。しかし、被覆加工チューブシート14を裏打ちチューブシート16へ接着するために使用される機械的結合は、劣化する場合もあり、それにより被覆加工されたチューブシート10が分離され、層間剥離20の区域を与える。裏打ちチューブシート16から被覆加工チューブシート14が十分に層間剥離されると、被覆加工されたチューブシートの機械的な強さが減少する。層間剥離はまた、被覆加工チューブシート14によってもたらされる保護層も除去し、これにより、裏打ちチューブシート16がチューブ側流体の腐食影響を被る場合がある。
腐食したチューブに対して一般に行われる修復法としては、固体プラグ24をチューブ18の入口に固定することが挙げられ、これを溶接26でさらに固定することができる。チューブを封止するこの方法は、損傷した区域22をさらなる腐食から孤立させる役目を果たすことができるが、一度プラグ止めされると、その修復されたチューブの熱交換機能は失われ、これは言い換えれば、熱交換器の全体的な効果および効率を減少させる。損傷したチューブをプラグ止めする代替は、下記の参照で見出すことができる。すなわち、米国特許第4,941,512号、第5,201,118号、第5,167,907号である。
これらの代替修理は、スリーブをチューブ18内に挿入して、損傷した区域22を覆うこと、およびスリーブの端にローリング技術を使用してこれを開口部の縁13に固定することを含む。この方法は、高価なローリングマシンが手元にあることを必要とし、かつチューブの端を成形するために機械を操作する技術者が必要である。残念ながら、この手順は、チューブの円周からチューブシートの溶接区域への損傷を修復することはできず、スリーブと損傷したチューブの内径の間に、さらなるチューブの損傷を防止するために必要であるバブルタイト封止(bubbletight seal)を提供することができない。さらに、この手順は、被覆加工されたチューブシートの層間剥離を補修しない。
開口部12の縁13で円周溶接区域における腐食損傷に対処するため、チューブとチューブシートを溶接する修復技術もまた存在する。たとえば、開口部12の縁13の円周溶接区域を、機械的に研磨することができ、および新しい金属(好ましくはチューブシート10の金属と同一材料)を従来の溶接方法を使用して適用することができる。残念ながら、この溶接修復方法は、チューブ18の内径への損傷には対処しない。さらに、たとえばジルコニウムをはじめとする腐食抵抗金属を含む交換器の場合に、高品質の完全貫通溶接を修復状態下で達成することは実際には困難であり、試みるには非常に高価である。結論として、被覆加工されたチューブシートに対して、円周溶接修復は、層間剥離問題に適切に対処することができない。
米国特許第4,941,512号明細書 米国特許第5,201,118号明細書 米国特許第5,167,907号明細書
したがって、チューブを通る流れを妨げることなくチューブの内部の部分に対する損傷を恒久的に修復することができる方法および装置の必要性が依然として存在する。チューブの縁におけるチューブの円周からチューブシートの溶接区域を修復するための方法および装置の必要性も存在する。さらに、前述のチューブおよび溶接の損傷と組み合わせて、または独立して、発生し得る被覆加工されたチューブシートの層間剥離を再積層し、または防止するための方法および装置の必要性も存在する。
本発明は、損傷した部分が存在する管状部材を有する装置を修復する方法に関する。より詳細には、本発明の方法は、チューブに対して実質的に軸方向に方向づけられた力でフロースループラグを管状部材内に挿入する工程と、フロースループラグを管状部材内に押し込み、それによって、フロースルーチューブプラグで管状部材の損傷した部分の少なくとも一部をカバーする工程とを含み、上記フロースループラグは、長手方向軸と、流体がそれを通って流れるのを可能にするのに好適な、上記軸に沿った開口部とを有する。フロースループラグは、フロースループラグと管状部材との間にプレス嵌めを形成するのに十分な力で管状部材内に押し込まれる。
本発明の別の態様において、層間剥離したセクションを有するチューブシートを修復する方法が提供され、チューブシートの各セクションはそれを貫いて形成されたチューブ開口部を含む。当該方法は、長手方向軸とその軸に沿った開口部とを有し、かつ、テーパ状であるフロースループラグをチューブ開口部の少なくとも1つに挿入する工程と、上記フロースループラグとチューブシートの各セクションとの間にプレス嵌めを形成するのに十分な力を上記フロースループラグに適用し、それによってチューブシートのセクションの各々を再積層する工程とを含む。
本発明のさらに別の態様において、チューブ開口部を備えた少なくとも2つのセクションを有する積層されたチューブシートを形成する方法が提供される。この方法は、互いに隣接するセクションの各々を位置決めする工程と、各隣接するセクションのチューブ開口部を互いに整列配置する工程と、各チューブシートセクションに固定的に係合するのに十分な力で、少なくとも1つのフロースループラグを上記整列配置されたチューブ開口部に挿入し、それによって積層されたチューブシートを形成する工程とを含む。
さらに別の態様において、本発明は、それを貫いて形成された開口部を有する少なくとも1つのチューブシートと、上記開口部内に挿入された管状部材と、および上記管状部材内に軸方向に配置されたフロースループラグと、を具備する装置に関する。装置は、管状部材内に損傷した部分をさらに含んでいてもよく、フロースループラグの外側表面が損傷した部分の少なくとも一部をカバーする。
本発明の他の、およびさらなる特徴および利点は、本発明の様々な実施形態の下記の記載から明らかである。これらの実施形態は、開示の目的のために与えられ、添付の図面と併せて考慮することができる。
本態様およびその利点のより完全な理解は、添付の図面と併せて理解される下記の記載を参照することによって得ることができ、図面では類似の参照符号は類似の特徴部を示す。
本発明の一実施形態は図5に図解される。この図において、フロースループラグ28はチューブ18の開口内に挿入され、チューブシート10aの開口部12内に配置されて示される。フロースループラグ28は、長手方向軸と、その軸に沿って中空にされたコア開口部34とを有する管状であることが好ましい。フロースループラグ28を、機械加工、鍛造、または、他の任意の公知のまたは後に開発される製造方法から形成することができる。
一実施形態において、フロースループラグの内径は、プラグの長さ方向に沿って一定であってもよい。あるいは、フロースループラグの内側表面は、その後部端32の内径がその前方部分30の内径よりも大きいように、その長さ方向に沿ってテーパ状であってもよい。さらに別の実施形態において、フロースループラグの内側表面の形状は、フロースループラグを通る圧力低下が最小であるように、集中/分岐ノズルまたはベンチュリ形状であってもよい。フロースループラグの内側表面を研磨して付着物の発生を減少させることもできる。
フロースループラグ28の外側表面は、その後部端32の外径がその前方部分30の外径よりも大きいように、その長さ方向に沿ってテーパ状であってもよい。図4に示されたテーパは、この特徴を図解するために誇張されている。フロースループラグ28のテーパ寸法は、1メートル当たり0.83センチメートル(1フィート当たり0.1インチ)ほどの低い傾斜から、1メートル当たり50センチメートル(1フィート当たり6インチ)を超える範囲とすることができるが、本発明は任意のサイズのテーパを適用することができる。テーパの傾斜がフロースループラグ28の長さ方向に沿って実質的に一定とすることもできるが、傾斜が変化するテーパを含む代替の実施形態もまた有用であり得ることが企図される。一実施形態において、フロースループラグ28の外側表面は、その後部端32の外径が中間点31まで実質的に一定であるように、一定の直径であってよく、中間点31から前方部分30へ向けて変化する、すなわちフロースループラグは、中間点31の外径がその前方部分30の外径よりも大きいように、その長さ方向に沿ってテーパ状であってもよい。フロースループラグ28は、1以上の外部の幾何学的特徴部を組み込んでもよく、たとえば、リブ(rib)、ベーン(vane)、バッフル(baffle)、ディンプル、ギザギザ状、旋条または口広げ加工が挙げられるが、それらに限定されない。さらに、フロースループラグ28の外側表面は、ネジ山で輪郭づけることができ、粗くすることができ、または、刻み付き表面を設けることができ、それによって、フロースループラグ28がチューブシート10内に取り付けられる際の、フロースループラグ28に対するさらなる接続手段を提供する。
図5に示されるように、フロースループラグ28のテーパ状の長さによって、フロースループラグ28の前方部分30がチューブ18内の有限距離へ挿入され、その中にプレス嵌めすることができる。プレス嵌めは、フロースループラグ28の外側表面とチューブ18の内側表面の接触面に沿って、この接触面をこえて流体が流れるのを防止するのに十分な圧力封止を形成しなければならない。したがって、フロースループラグ28の前方部分30がチューブ18の損傷した部分22を覆って伸び、それによって、損傷した部分22が、フロースループラグ28の外側表面の一部に接触し、かつ、それによって少なくとも部分的にカバーされることを確実にすることが重要である。チューブ18の損傷した部分22の表面全体がフロースループラグ28によってカバーされ、流体がチューブ18から損傷した部分22を通って漏れるのを防止することができる。
典型的に、フロースループラグ28を、ハンマーによってチューブ18内に手作業で押し込むことができるが、自動化された手段によって適所に押し込むこともでき、または、他の任意の公知の方法もしくは後に開発される方法によって押し込むこともできる。適切なプレス嵌めを形成するために必要な力の量は、当業者の能力の範囲内であり、特別な実験なしで決定することができる。任意に、フロースループラグ28の外径がチューブシート10aの前部表面に接触する領域のまわりに、溶接40を形成することができる。溶接40は、一度チューブ18内にプレス嵌めされればフロースループラグ28を適所に保持するために必要ではないが、フロースループラグ28が、設置後に動くのを防止するために補助措置としてこれを加えることができる。フロースループラグ28に任意の溶接40を適応するためには、フロースループラグ28の後方部分32がチューブシート10と同一平面上にあってはならず、むしろ、チューブシート10から外へ向けて突出しなければならない。
フロースループラグ28は、熱交換器とともに使用されるのに好適な任意の材料から作ることができ、数例を挙げると、たとえば、カーボンスチール、ステンレス鋼、インコネル、タンタル、および、ジルコニウムが挙げられる。さらに、フロースループラグ28は、一般に耐食性ではないと思われる基材から構成することができ、たとえば、浸食に耐えることができるカバー(たとえば、ガラス、エポキシ、エラストマー、フルオロポリマー(たとえば、TEFLON(登録商標))、または上記に挙げられた金属の1つ)と組み合わさたカーボンスチールが挙げられる。いくつかの実施形態において、フロースループラグは、シリコンニトリド、アルミナおよびシリコンカーバイトを含むリストから選択された1以上のセラミック材料を含んで成り得る。しかし、結果的に、使用される実際の材料は、チューブシート(10、10a)およびチューブ18の材料、ならびにフロースループラグ28が受ける流体の種類および操作条件に依存する。
次に、図6を参照すると、フロースループラグ28はチューブ18内に挿入されて示され、チューブ18は積層されたチューブシート10内に位置決めされる。ここで、フロースループラグ28は、その前方部分30がチューブの損傷した区域22を覆ってチューブ18内に施されるように、チューブ18内にプレス嵌めされる。上記のように、チューブ18内にフロースループラグ28が適切にプレス嵌めされると、フロースループラグ28とチューブ18との間の領域を封止し、それによって、損傷した区域22を通って流体が流れるのを防止する。前方部分30がチューブシート10の被覆加工チューブシート14と裏打ちチューブシート16のセクションの両方を越えて伸びるべきであることを指摘しなければならない。本発明のフロースループラグ28を積層されたチューブシートに設置する利点の1つは、フロースループラグ28とチューブ18との間のプレス嵌めが、被覆加工および裏打ちのチューブシート(14、16)の両方の開口部12の内径に対して、チューブ18の外径を押しつけることである。チューブ18および開口部12の相互作用から生じる応力は、フロースループラグ28と、被覆加工チューブシート14および裏打ちチューブシート16の両方との間に機械的結合を形成する。さらに、被覆加工および裏打ちのチューブシート(14、16)の間の接触面15にギャップ17が存在する場合には、チューブ18の外径は、フロースループラグ28の存在によって変形することができ、ギャップ17内に押し込められる。したがって、図6に示されるように、チューブ18内にフロースループラグ28をプレス嵌めすることで、言い換えると、被覆加工チューブシート14を裏打ちチューブシート16に結合させる。このように、本発明の多くの利点の1つは、積層されたチューブシートのセクションを一緒に結合することができることである。この特徴は、層間剥離した複数のセクションを有するチューブシートを修復するために利用することができ、ならびに、新しい積層されたチューブシートを形成するために利用することができる。ここでもまた、任意の溶接40を使用して、フロースループラグ28をチューブシート10に接着するのを確実にすることができる。
フロースループラグ28は、従来の固体プラグを設置するために使用する同様のやり方で、チューブ18内に設置することができる。先に指摘したように、熱交換器の最初の製造過程において、チューブシートの縁13に近接するチューブ18の縁は、「ロールされ」、チューブシート10との接触を固定的にする。チューブ18をロールする力はチューブ18の内径に加えられるが、内径は、チューブ18の外径に比較的平行なままである。したがって、テーパ状にされたフロースループラグ28を受け入れるために、対応するテーパが、フロースループラグ28を設置する前に、チューブ18の内径内にリーマ仕上げされることが可能である。任意の従来の手段を使用して、たとえば、限定するわけではないが、ジャーノー(Jarno)テーパで、チューブ18の内径をリーマ仕上げすることができる。リーマ作用の実施は、熱交換器の特定の状況の分析に基づいており、たとえば、過度の腐食およびまたはスケールを有するチューブは、リーマ仕上げをもっとも必要とし、一方、薄い壁を有するチューブは、リーマ仕上げされるべき十分な材料を有さなくてもよい。さらに、フロースループラグ28がチューブ18内にプレス嵌めされるときに、チューブ18が、フロースループラグ28の外側形状に適合するため十分展性のある金属を含んで成る場合に、リーマ仕上げは不必要であり得る。けれども、リーマ仕上げが必要か否かを決定することは、当業者の能力の範囲内である。チューブ18をリーマ仕上げすることは、チューブ18の開口内にテーパ状にされたフロースループラグ28を挿入することを可能にし、さらにフロースループラグ28のまわりに十分な嵩を提供し、言い換えれば、フロースループラグ28が開口部12を経て打ち込まれるときに、チューブシート10の開口部12の内径を押しつける。
本発明の代替の実施形態において、図7に示されるように、フロースループラグ28aの実施形態に併せて、カラー42が含まれる。カラー42は、断面図に見られるように、フロースループラグ28aの一部を囲み、フロースループラグ28aの外径のテーパに整合するようにその内径に沿って先細になる。カラー42の外径は、チューブ18内に押し込まれ、チューブ18内の損傷した部分22をカバーするように適切にサイズ設定することができ、チューブ18を通る漏れを防止する。カラー42の存在は、被覆加工されたチューブシートの場合には、カラー42の存在によって生じたチューブ18の外向きに方向づけられた半径方向の力がチューブシートの被覆加工された部分を一緒に接着することができるように、チューブ18を半径方向に外向きに促すこともできる。任意に、カラー42は、追加のフロースループラグ28aなしで、チューブ18内に設置することができる。場合によっては、カラー42および代替設置のフロースルーチューブプラグ28aを具備する2片アセンブリを使用することが有益であり得、すなわち、カラー42およびフロースルーチューブプラグ28aは、図7に示されるように、最初にチューブ18内に挿入される。プレス嵌めされるのに続いて、フロースルーチューブプラグ28aが取り外される。任意の円周溶接が、チューブシートとカラー42との間に加えられてもよい。かかる実施形態において、この修正された設置方法は、カラー42が、本発明の修復方法でフロースルーチューブプラグの機能的利点を提供することを可能にする。
本発明のフロースループラグ28は、様々な種類の装置内に配置された管状部材の修復に使用することができ、たとえば、様々な種類の処理ユニットであり、たとえば、熱交換器、加熱炉、反応器、および、管状部材を有する他の流体を扱う機械設備が挙げられるが、それらに限定されない。たとえば、本発明の方法は、強制循環型および熱サイフォン型の蒸留カラムリボイラーの何れにも使用することができ、たとえば、これらに限定されないが、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリロニトリルおよびスチレンを含む材料の精製に使用される蒸留カラムリボイラーが挙げられる。かかるリボイラーは、配管要素によって蒸留カラムに接続される別個の容器、ならびに一体型熱移動装置、たとえば、蒸留カラムの下部(サンプ)部分内に組み込まれ得るバヨネット型交換器を含むことができる。
同様に、管状部材を具備する他の交換器、たとえば、これらに限定されないが、凝縮器、加熱器、気化器、冷却器、中間冷却器およびクロス交換器が、本発明の方法を使用することから利益を得ることができる。これらは、材料、たとえばこれらに限定されないが、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、メタクリロニトリルおよびシアン化水素を製造するための方法において見出すことができる。たとえば、本発明の方法は、メチルメタクリレート(MMA)またはメタクリル酸(MAA)を生産する過程に使用されるシェルおよびチューブ型の分解反応器の予加熱器、加熱器および冷却器を修復するのに好適であり、たとえば米国特許第6,545,176号に記載されたものが挙げられ、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
本発明の方法をまた、直接燃焼式蒸気ボイラーに、ならびに、管状部材を具備する、加熱炉、焼却炉、熱酸化機およびガスタービンシステムに関連した廃熱回収ボイラーに、有益に使用することができる。本発明の方法は、たとえば、熱酸化機システムの廃熱回収蒸気ボイラー内のチューブの修復に好適であり、たとえば、アクリロニトリルを生産する過程に使用されるシステムであり、および米国特許出願公開第2004/0093860号に記載されたものであり、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。さらに、本発明の方法を、冷蔵システム、冷却器、ブライン冷却器および空調装置内の管状部材を修復するのに有益に使用することができる。
上述の実施例に加えて、本発明の方法を交換器とともに使用することができ、チューブ側流体は、たとえば硝酸または合成用ガス(合成ガス)の生産に使用される急冷交換器におけるような、(液体よりむしろ)プロセスガスである。本発明の方法は、シアン化水素の生産に使用されるシェルおよびチューブ型の急冷交換器を修復するために使用することができ、いくつかの実施形態は、たとえば米国特許出願公開第2001/0040024号明細書に記載されており、それは、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。本発明のフロースループラグは、フェルールと組み合わせて有益に使用することができることがさらに企図され、インコネル、アルミナ、シリカ、シリコンカーバイド、および、シリコンニトリドから形成されたフェルール、および、たとえば米国特許出願公開第2001/0040024号に記載されているものを含む。同様に、ガスからガスへの交換器の管状部材、たとえば、直接燃焼式予加熱器および復熱装置に使用されるものもまた、本発明の方法からの利益を享受し得る。
上記のように、本発明の使用は、熱交換器および加熱炉に限定されず、したがって、本発明の方法を、流体を運搬するために有用な任意の種類の管状部材の修復または建造にも使用することができる。たとえば、本発明を使用して、たとえば部分酸化反応器および核反応器をはじめとするチューブを具備する反応器を修復することができる。チューブを具備する部分酸化反応器の例として、たとえばこれらに限定されないが、(メタ)アクロレイン、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、塩化ビニルモノマー(VCM)およびエチレンオキシドの生産に使用されるものが挙げられる。本発明の方法は、1以上の触媒含有管状部材を具備する反応器、たとえば、プロピレンおよびプロパンを含む炭化水素からアクロレインおよびアクリル酸を生産する過程に使用される反応器等、を修復するのに好適である。そのような反応器は、たとえば、米国特許第6,384,274号に記載されており、それは、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
非限定的な例において、本発明の修復方法が、メタクリル酸(「MAA」)およびメタクリル酸エステル(たとえば、メチルメタクリレート、「MMA」)の生産に伴うプロセスに使用された。より具体的には、本発明の方法は、硫黄含有残留流れから有機成分をストリッピングまたは除去するためのプロセス中に、熱を導入するシェルおよびチューブ型の熱交換器に使用された。この特定の熱交換器が配置される特定のストリッピングプロセスは、係属中の米国特許出願公開第2002/0192131号に詳細に説明されており、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
実施例の熱交換器は、おおよそ、約550のジルコニウムチューブ(内径1.370インチ(3.48センチメートル、「cm」))で構成されていた。これらのチューブは、ロールされてジルコニウム被覆加工されたチューブシートに封止溶接された。ジルコニウム被覆加工されたチューブシートは、公称3/8インチ(0.95cm)厚のジルコニウム被覆加工チューブシートが公称2インチ(5cm)厚のカーボンスチール裏打ちチューブシートに、エクスプロージョン被覆加工された構成であった。硫黄含有残留物は、硫酸および水を含み、115°C(240°F)から143°C(290°F)の間の温度で交換器のチューブ側を通って絶えず循環した。交換器のシェルは、カーボンスチールより成っていた。中圧蒸気(およそ5.2×10Pa(75ポンド/平方インチ ))が、シェル側加熱媒体として使用された。
数年にわたるの商業運転で、合計で熱交換器の当初のチューブのおよそ10%が損傷した。この損傷は、定期的に行われる機械的な検査によって確認され、その後、各プラグとチューブシートとの間の円周封止溶接と組み合わせて従来の固体プラグを使用して、損傷したチューブを封止することによって対処された。これらのチューブを封止することによって、交換器をストリッピングプロセスの運転へ戻すことが可能であった。しかし、損傷したチューブをプラグ止めする影響は、交換器の利用可能な熱移動表面のおよそ10%の損失であり、生産能力においてこれに相当する損失をともなった。
その後、商業運転後の機械的な検査により、円周溶接損傷、重大な内部チューブ壁の腐食およびチューブ壁の穿孔を含む重大な、熱影響ゾーン腐食、を有する97のさらなるチューブが確認された。穿孔されたチューブの場合には、裏打ちチューブシートの腐食の形跡および被覆加工されたチューブシートに生じた層間剥離も確認された。
損傷の程度を考えると、損傷したチューブを封止するために従来の固体プラグを使用することは実用的ではない。それは、結果として交換器の残っている熱移動表面のさらに20%の損失を生じさせ、ストリッピングプロセスを所望の生産能力よりもかなり下まわる稼動を強制することとなるからである。ジルコニウム熱交換器を完全に取り換える出費を回避するために、本発明の修復方法を使用することが提案された。
本発明の修復方法にしたがって、損傷したチューブの各々の内部は、最初に、従来の#12サイズのジャーノーテーパを使用して、リーマ仕上げされた(1メートル当たり5センチメートル(1フィート当たり0.6インチ))。リーマ仕上げの正確な深さは、チューブ損傷の程度、フロースループラグの寸法、および、各チューブの相対的な丸みに依存し、チューブによって幾分変動した。しかし、典型的に、リーマ仕上げ器具は、0.01メートル(0.5インチ)から0.05メートル(2インチ)までの深さのチューブ内に挿入された。
次いで、リーマ仕上げ後に、図4に示された種類の0.05メートル(2インチ)長さのジルコニウムのフロースループラグが、手でチューブの端内に挿入された。フロースループラグの外側表面は、その後部端の外径が約0.04メートル(1.49インチ)でありその前方部分の外径が約0.03メートル(1.39インチ)であるように、その長手方向に沿って先細であった。フロースループラグは、0.028メートル(1.125インチ)の軸に沿って、一定の内径を有した。次いで、フロースループラグは、プラグが完全に位置するまでハンマーを使用してチューブ内に手作業で打ち込まれた。一般に、フロースループラグは、チューブ内に0.01メートル(0.50インチ)から0.445メートル(1.75インチ)までの深さが得られた場合に、完全に位置することが分かった。配置させた後に、チューブシートとフロースループラグとの間に円周封止溶接が加えられた。
修復の完了時に、熱交換器は、ストリッピングプロセスの運転へ戻り、熱交換器表面積積の顕著な損失なしで作動することが分かった。所望の生産能力で9ヶ月連続操作した後に、交換器は再度停止され、検査された。重大な新しい損傷は確認されず、修復は必要なかった。フロースループラグに目に見える損傷は見つからず、交換器は再度、ストリッピングプロセスの運転へ戻った。このようにして、この実施例から、本発明の修復方法は、チューブを通る流れを妨げることなく、損傷したチューブおよび被覆加工されたチューブシートの層間剥離を修復しするのに効果的であることが理解され得る。
したがって、本明細書に記載された本発明は、目的を実行し、かつ、述べられた目的および利点、さらに他のそれらに特有なものを実現するように適合される。本発明のいくつかの実施形態が、開示の目的のために提供されているが、所望の結果を達成するために、手順の詳述に多数の変更がなされてもよい。たとえば、本発明は、たとえば(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステルの精製に使用されるような、強制循環型および熱サイフォン型の蒸留カラムリボイラの何れの修復に使用されてもよい。本発明はまた、急冷交換器を修復するのに使用されてもよく、チューブ側流体は、たとえばシアン化水素、硝酸または合成用ガス(合成ガス)の生産に使用される装置における、(液体よりむしろ)気体である。さらに、本発明は熱交換器に限定されず、流体を運搬するのに有用な任意の種類の管状部材の修復に使用することができる。さらに、本発明は、浸食に対する予防的措置として、ならびに被覆加工されたチューブシートのセクションを一緒に結合するかのいずれかで、新しく作られた熱交換器に使用することができる。さらに、本発明の保護的特徴は、チューブの浸食を防止するために損傷していない既存の熱交換器に使用することができる。これらの、および他の類似の修正は、当業者に容易に連想され、本明細書に開示された本発明の精神および添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。
被覆加工されたチューブシートの斜視図である。 関連チューブを備えた熱交換器の積層されたチューブシートの部分切欠図を表す。 チューブシートの一部の斜視図を示す。 本発明のフロースループラグの実施形態の図を描く。 熱交換器のチューブ内に挿入された本発明のフロースループラグの実施形態の断面図である。 積層されたチューブシートを有する熱交換器のチューブ内に挿入された本発明のフロースループラグの実施形態の断面図を描く。 本発明の代替の実施形態の切欠図を示す。
符号の説明
10 チューブシート
10a チューブシート
12 開口部
13 縁
14 被覆加工チューブシート
15 接触面
16 裏打ちチューブシート
17 ギャップ
18 チューブ
20 層間剥離
22 損傷した区域、損傷した部分
24 固体プラグ
26 溶接
28 フロースループラグ
28a フロースループラグ
30 前方部分
31 中間点
32 後部端、後方部分
34 コア開口部
40 溶接
42 カラー

Claims (13)

  1. 管状部材が内側表面および損傷した部分を有する、管状部材を有する装置を修復する方法であって、当該方法は
    チューブに対して実質的に軸方向に方向づけられた力でフロースループラグを管状部材内に挿入する工程、ここで当該フロースループラグは、直径を有し最初に管状部材に挿入される前方部分、直径を有する後部端、および後部端の外径が前方部分の外径よりも大きいようなテーパ状の外側表面を有する;および
    該フロースループラグを管状部材内に押し込み、それによって、該フロースルーチューブプラグで管状部材の損傷した部分の少なくとも一部をカバーする工程、ここで当該押し込みは、プラグの外側表面と管状部材の内側表面との間に圧力封止を形成するプレス嵌めを形成するのに充分な力で行われる:を含み、
    該フロースループラグは、長手方向軸と、流体がフロースループラグを通って流れるのを可能にするのに好適な該軸に沿った開口部とを有する方法。
  2. 該装置が、熱交換器、加熱炉および反応器からなる群から選択される請求項1記載の方法。
  3. 該装置が、裏打ちチューブシートと被覆加工チューブシートとを含んでなる被覆加工されたチューブシートを含む請求項1または2に記載の方法。
  4. 該フロースループラグを管状部材内に押し込んだ後に、管状部材が該裏打ちチューブシートと固定接触の状態にあり、さらに被覆加工チューブシートが裏打ちチューブシートに固定される請求項記載の方法。
  5. 層間剥離したセクションを有するチューブシートを修復する方法であって、各該セクションがそれを通って形成されたチューブ開口部を含み、当該方法が、
    フロースループラグを少なくとも1つのチューブ開口部に挿入する工程であって、該フロースループラグが長手方向軸該軸に沿った開口部、直径を有する後部端、直径を有し最初に管状部材に挿入される前方部分、および後部端の外径が前方部分の外径よりも大きいようなテーパ状の外側表面とを有する工程、および
    該フロースループラグとチューブシートの各セクションとの間にプレス嵌めを形成するのに十分な力を該フロースループラグに加え、それによってそれらの間に圧力封止を形成し、およびチューブシートのセクションの各々を再積層する工程とを含む方法。
  6. チューブ開口部を備えた少なくとも2つのセクションを有する積層されたチューブシートを形成する方法であって、
    該セクションの各々を互いに隣接して位置決めする工程、
    各隣接するセクションのチューブ開口部を互いに整列配置する工程、および
    少なくとも1つのフロースループラグを該整列配置されたチューブ開口部に挿入する工程であって、ここで当該フロースループラグは、直径を有し最初に管状部材に挿入される前方部分、直径を有する後部端、および後部端の外径が前方部分の外径よりも大きいようなテーパ状の外側表面を有し、当該挿入はプレス嵌めを形成し、および各チューブシートセクションを固定的に係合し、それによって積層されたチューブシートを形成するのに充分な力で行われる工程を含む方法。
  7. 該少なくとも1つのフロースループラグが長手方向軸と該軸に沿った開口部とを有する請求項記載の方法。
  8. 積層されたチューブシートが、熱交換器、反応器および加熱炉からなる群から選択された装置内に配置される請求項6または7記載の方法。
  9. 該フロースループラグを、積層されたチューブシートへ溶接する工程をさらに含む請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. それを通るように形成された開口部を有する少なくとも1つのチューブシート、
    内部表面を有し、該開口部内に挿入された管状部材、および
    該管状部材内に軸方向に配置されたフロースループラグ、当該フロースループラグは直径を有する後部端、直径を有し最初に管状部材に挿入される前方部分、および後部端の外径が前方部分の外径よりも大きいようなテーパ状の外側表面を有し、ここで、プラグの外側表面と少なくとも1つのチューブシートの開口部との間に圧力封止を形成するプレス嵌めが存在する:
    を具備する装置。
  11. 該装置が、熱交換器、加熱炉および反応器からなる群から選択される請求項10記載の装置。
  12. 管状部材内に損傷した部分をさらに有し、該フロースループラグの外側表面が損傷した部分の少なくとも一部をカバーする請求項10または11記載の装置。
  13. 該少なくとも1つのチューブシートが、少なくとも2つのチューブシートセクションを含んでなる積層されたチューブシートであり、前記プレス嵌めが、セクションを積層接触状態に維持する積層力を含む請求項10〜12のいずれか一項に記載の装置。
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